説明

無電極放電灯点灯装置及びこれを用いた照明器具

【課題】 電力ロスが低減される無電極放電灯点灯装置及びこれを用いた照明器具を提供する。
【解決手段】 磁性材料からなる円筒形状のコア4と、コア4の外周面に巻回された誘導コイル3とを備える。誘導コイル3及びコア4は、それぞれ、放電ガスが封入されたバルブ11の外面に設けられた接続凹部111に挿入されることで、バルブ11に近接配置される。コア4の軸方向の一端には、磁性材料からなる補助コア6が配置されている。バルブ11内に発生する放電電流の分布がコア4の軸方向に拡大されることで、電力ロスが低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電極放電灯点灯装置及びこれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばガラスのような透光性を有する材料からなり放電ガスが封入されたバルブを備える無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置が提供されている。この種の無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯のバルブに近接配置される誘導コイルを有し、この誘導コイルに対して高周波の交流電力を供給することにより、無電極放電灯のバルブ内に高周波電磁界を発生させるものである。高周波電磁界によって無電極放電灯のバルブ内にアーク放電が発生すると、励起された放電ガスが紫外線を放出する。無電極放電灯のバルブの内面には蛍光体が塗布されており、この蛍光体によって上記の紫外線が可視光に変換されることにより、無電極放電灯のバルブは発光する。
【0003】
さらに、凹部(以下、「接続凹部」と呼ぶ。)がバルブの外面に設けられた無電極放電灯に対応し、誘導コイルを保持して接続凹部内に挿入されるカプラを有する無電極放電灯点灯装置も提供されている(例えば、特許文献1参照)。上記のカプラは、円筒形状の磁性体からなるコアを有し、このコアの外周面に誘導コイルが巻回されていて、コアの軸方向を接続凹部の深さ方向に向けて誘導凹部内に挿入される。これにより、誘導コイルは無電極放電灯のバルブに近接配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−119038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような無電極放電灯点灯装置では、磁気回路の最適化により、電力ロスが低減される可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、電力ロスが低減される無電極放電灯点灯装置及びこれを用いた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無電極放電灯点灯装置は、磁性材料からなる円筒形状のコアと、前記コアの外周面に巻回された誘導コイルとを備え、前記コアと前記誘導コイルとは、それぞれ、透光材料からなり放電ガスが封入されたバルブの外面に設けられた接続凹部に対し、前記コアの軸方向を前記接続凹部の深さ方向に向けて収納されるものであって、前記コアの軸方向の少なくとも一端には、磁性材料からなる補助コアが近接配置されていることを特徴とする。
【0008】
この無電極放電灯点灯装置において、前記補助コアは、磁性材料からなる箔が前記コアの軸方向から見て渦巻き状となるように巻かれてなることが望ましい。
【0009】
また、本発明の照明器具は、上記いずれかの無電極放電灯点灯装置と、前記無電極放電灯点灯装置を保持した器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、補助コアを設けない場合に比べ、バルブ内に発生する放電電流の分布がコアの軸方向に拡大されることで、電力ロスが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図である。
【図2】同上の補助コアを示す斜視図である。
【図3】同上の変更例の補助コアを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、図1に示すように、無電極放電灯1に対して着脱自在に結合するカプラ2を備える。カプラ2には誘導コイル3が設けられており、カプラ2が無電極放電灯1に結合した状態では誘導コイル3が無電極放電灯1に近接配置される。誘導コイル3には周知の高周波電源(図示せず)が接続される。以下、上下方向は図1を基準とする。
【0014】
詳しく説明すると、無電極放電灯1は、透光性を有する材料からなり放電ガスが封入されたバルブ11を備える。バルブ11の材料としては例えばガラスを用いることができ、放電ガスとしては例えばアルゴンのような希ガスと水銀のような金属蒸気とが混合されたものを用いることができる。また、バルブ11の一部が内側に膨出されることで、バルブ11の外面には接続凹部111が形成されている。さらに、無電極放電灯1は、接続凹部111の開口を囲む形でバルブ11に結合した筒状の口金12を備える。口金12の材料としては例えば合成樹脂を用いることができ、口金12とバルブ11との結合は例えば嵌合によって実現することができる。また、バルブ11は、接続凹部111内に突設された排気管112を有する。排気管112は製造時には先端(図1での下端)が開口した状態でバルブ11内の排気に用いられて放電ガスの封入後に閉塞されたものである。さらに、バルブ11の内面には蛍光体膜(図示せず)が設けられている。すなわち、誘導コイル3が上記の高周波電源から高周波電力を供給されたときに発生する高周波電磁界によってバルブ11内にアーク放電が発生すると、発生した紫外線が上記の蛍光体膜において可視光に変換されることにより、無電極放電灯1が発光する。
【0015】
カプラ2は、磁性材料からなる円柱形状であって外周面上に誘導コイル3が巻回されたコア4と、コア4を支持するベース5とを備える。コア4の材料としては例えばフェライトを用いることができる。
【0016】
ベース5は、円板形状の台座部51と、台座部51の上面の中央から上方に突設された円柱形状の接続部52とを有する。コア4は、例えばベース5の接続部52が嵌合することにより、軸方向を上下方向に向けて、ベース5の接続部52の上端部を囲む形でベース5に結合している。すなわち、ベース5の接続部52が無電極放電灯1の接続凹部111に挿入されることで、誘導コイル3は無電極放電灯1のバルブ11に近接配置されることになる。また、コア4の上端はベース5の上端よりも上方に位置する。
【0017】
さらに、本実施形態は、図2に示すように、磁性材料からなる円筒形状の補助コア6を備える。補助コア6は、軸方向を上下方向に向けて、中央の空洞61をコア4の内側の空洞に連通させる形でコア4に機械的に結合している。つまり、無電極放電灯1の排気管112は上記の空洞61に挿通される。補助コア6をコア4に結合させる手段としては例えば接着のような周知の手段を用いることができる。
【0018】
上記構成によれば、補助コア6が設けられない場合に比べ、無電極放電灯1のバルブ11内に発生する放電電流の分布が上下方向(コア4の軸方向)に拡大されることで、電力ロスが低減される。
【0019】
また、図3に示すように、補助コア6を、磁性材料からなる長方形状の箔が長手方向において渦巻き状(平面螺旋形状)に巻回されてなるものとしてもよい。図3の補助コア6は、上記の箔の短手方向をコア4の軸方向に向けて、中央部の空洞61をコア4の内側の空洞に連通させる形でコア4に機械的に結合する。つまり、コア4の軸方向(上下方向)から見て、上記の補助コア6は渦巻き状となる。この構成を採用すれば、図2のように補助コア6を筒形状とする場合に比べ、補助コア6に発生する渦電流が抑えられることで、さらに電力ロスが低減される。
【0020】
さらに、上記のような補助コア6は、コア4の下端に近接配置してもよいし、コア4の上下両端にそれぞれ1個ずつ近接させるように2個配置してもよい。
【0021】
補助コア6の材料は、補助コア6が配置される環境の温度として想定される最高の温度よりもキュリー点が高い材料である必要があり、且つ、鉄損がなるべく小さい材料であることが望ましい。補助コア6の材料としては具体的には例えばFeSiB等のアモルファス合金を用いることができる。
【0022】
上記各種の無電極放電灯点灯装置は、適宜の形状の器具本体(図示せず)に保持されて照明器具を構成することができる。
【符号の説明】
【0023】
3 誘導コイル
4 コア
6 補助コア
11 バルブ
111 接続凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料からなる円筒形状のコアと、
前記コアの外周面に巻回された誘導コイルとを備え、
前記コアと前記誘導コイルとは、それぞれ、透光材料からなり放電ガスが封入されたバルブの外面に設けられた接続凹部に対し、前記コアの軸方向を前記接続凹部の深さ方向に向けて収納されるものであって、
前記コアの軸方向の少なくとも一端には、磁性材料からなる補助コアが近接配置されていることを特徴とする無電極放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記補助コアは、磁性材料からなる箔が前記コアの軸方向から見て渦巻き状となるように巻かれてなることを特徴とする請求項1記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の無電極放電灯点灯装置と、前記無電極放電灯点灯装置を保持した器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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