焼却炉で発生した廃ガスの処理方法及び装置
【課題】 焼却炉から発生する廃ガス中の有害物質を液体セラミックに能率よく吸収させて、無害なものとして排出する方法を提供しようとする。
【解決手段】 焼却炉で発生した廃ガスを分離室へ導き、廃ガスを分離室内の下から上へ流し、液体セラミックを分離室の上部から下方へ向かって噴霧して廃ガス中に分散させ、有害物質を吸収した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、必要に応じて付着物をまとめて掻き取って分離室から取り出し、一方、有害物質が除去された廃ガスを大気中に放出する。
【解決手段】 焼却炉で発生した廃ガスを分離室へ導き、廃ガスを分離室内の下から上へ流し、液体セラミックを分離室の上部から下方へ向かって噴霧して廃ガス中に分散させ、有害物質を吸収した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、必要に応じて付着物をまとめて掻き取って分離室から取り出し、一方、有害物質が除去された廃ガスを大気中に放出する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、焼却炉で発生した廃ガスの処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】焼却炉で発生した廃ガスの中には色々な有害物質が含まれている。例えば、都市のゴミ焼却炉で発生した廃ガスは塩化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物、煤塵、重金属の酸化物、ダイオキシン、ダイオキシンのような塩素含有有機物を発生させる塩素系化合物等の有害物質を含んでいる。従って、この廃ガスの放出に際しては、これらの有害物質をできるだけ除去することが必要である。
【0003】焼却炉で発生した廃ガスから有害物質を除去するには、既に幾つかの方法が提案されている。その1つは、特開昭57−132532号公報、及び特開平7−75718号公報が教えるように、廃ガスに消石灰のスラリを噴霧し、廃ガス中の塩化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物等の酸性物質をアルカリ性の消石灰に吸収させて中和し、無害な塩として濾過し、これを廃棄する方法である。他の1つは、特開平10−146581号及び特開平10−238743号公報に記載されているように、廃ガスに液体セラミックを噴霧し、廃ガス中の有害物質を液体セラミックに吸収させて捕捉し、その後これを加熱処理し、無害な物質にして廃棄する方法である。
【0004】ここで、液体セラミックと言うのは、セラミックとなるべき無機物をアルカリ性の水溶液にしたものである。それは例えば、浄化剤「リキッドセラミックス」という名称で(株)コーミックスから販売されている。これは、シリコンのような金属と、硼酸のような無機化合物と、苛性ソーダのようなアルカリ金属水酸化物とを水溶液中で加熱し、反応させて得られた無機化合物の水溶液である。液体セラミックは、そのアルカリ性を失わせると、高分子量の無機化合物が水溶液中に沈澱して、いわゆるセラミックを生成する、という特性を持っている。また、液体セラミックは、これを加熱して水分を蒸発させると、セラミックとなる。((株)コーミックスの出願に係る特公平7−14801号公報参照)
【0005】液体セラミックを使用して廃ガスを処理する方法は、液体セラミックという物自体が比較的新しいものであるために、効率よく行われていない。例えば、特開平10−146581号公報は、液体セラミックを廃ガス中に噴霧する機構を図1及び図2に模型的に示しているが、それによれば液体セラミックと廃ガスとを合流させ、長い通路を経て沈澱槽に入れ、沈澱槽内で分離している。すなわち、液体セラミックを連結管86内で焼却炉からの廃ガスと合流させ、長い合流管87を経て沈澱槽70へ導き、沈澱槽70内で自然の沈澱を待ち、沈澱槽70内で上澄液と泥状微粒子4とに分け、上澄液を再び噴霧するのに使用し、泥状微粒子を圧送して燃焼炉61上の固化容器69内に導き、燃焼炉61の熱によって固化することとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開平10−146581号公報が教えるように、連結管86内で液体セラミックと廃ガスとを単に合流させただけでは、液体セラミックが廃ガス中の有害物質を効率よく吸収しないし、またその後合流物を長い合流管87に通したのでは、液体セラミックが合流管を詰まらせることになる。また、沈澱槽内で自然に沈澱するのを待って沈澱を分離することは、有害物質の分離方法としては効率がよくない。なぜならば、有害物質を吸収したセラミック微粒子は、水と混在する間に、有害物質を放出することとなるからである。そこで、この発明は、液体セラミックに廃ガス中の有害物質をさらに効率よく吸収させて、廃ガスを能率よく無害なものにしてしまう方法を提供しようとしてなされたものである。
【0007】
【課題解決のための手段】この発明は、焼却炉で発生した廃ガスを、大気中へ放出するまでの途中で分離室へ導き、分離室内の下から上へ上昇させ、一方、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中に分散させ、液体セラミックの微粒子と廃ガスとをよく接触させたあとで、微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物を掻き取って分離室から取り出すことを骨子とする。
【0008】本発明のうち請求項1記載の発明は、焼却炉で発生した廃ガスを、大気中へ放出するまでの途中で分離室へ導いて分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物を掻き取って分離室から取り出すことを特徴とするものである。
【0009】請求項2記載の発明は、焼却炉と焼却炉で発生した廃ガスを大気中へ放出する放出口との間に分離室を設け、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物を掻き取って分離室から取り出すようになされていることを特徴とするものである。
【0010】請求項3記載の発明は、焼却炉と焼却炉で発生した廃ガスを大気中へ放出する放出口との間に分離室を設け、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物の中で流動性の成分はこれを流動させて分離室の底もしくはその近傍に設けた取出口から取り出し、再び噴霧させるのに使用し、付着物の中で非流動性の成分を掻き取って分離室から取り出すようになされていることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明を図面に基づき説明すると次のとおりである。
【0012】図1に示したこの発明方法は、次のように実施される。図1の左下方に位置する焼却炉内で発生した廃ガスは、煙道を経て分離室へ導かれる。分離室は、左下端に廃ガスの入口を備え、内部に隔壁を含み、隔壁の上部に廃ガスの通孔を備えている。そのため、分離室内へ入った廃ガスは、分離室内を上昇し、隔壁の通孔を通過してのち分離室内を下降し、その後分離室の出口を経て分離室から出て行く。
【0013】廃ガスが上昇する分離室の天板には液体セラミックの噴霧具が設けられている。液体セラミックは、LCドラム缶(あるいはコンテナ、定置タンク等)からセラミック流路を通って噴霧具へ導かれ、噴霧具から噴霧されて微粒子となり、分離室内を下方及び斜め下方へと飛散する。飛散した微粒子は、分離室内を上昇してくる廃ガスに対向して進み、廃ガスとよく接触せしめられる。
【0014】液体セラミックはアルカリ性のものであるから、廃ガス中の酸性成分、例えば塩化水素、硫黄酸化物及び窒素酸化物を短時間内によく吸収し、これと反応して無害な塩を生成する。すると、液体セラミックはアルカリ性が弱くなり、固形化して無機物からなる非流動性の成分となる。
【0015】また、液体セラミックは、約900℃以上の熱によって固形化し、硬いセラミックとなる性質がある。このため、液体セラミックの微粒子は、廃ガス中の酸性成分、重金属、ダイオキシンのような塩素含有有機物を発生させる塩素系化合物等を含む飛灰や煤、ダイオキシン、及びガス状の有害物質を取り込んで吸収した後、焼却炉から継続的に分離室内へ導かれる約900℃以上の熱によって加熱されてセラミックとなる。すなわち、廃ガス中に含まれる有害物質は、セラミックによって覆われ閉じ込められる。そして、この場合も、液体セラミックは非流動性の成分となる。
【0016】つまり、非流動性の付着物は、液体セラミックが廃ガス中の酸性成分、重金属、塩素系化合物、ガス状の有害物質等を吸収することによって生じたものである。この付着物から分離した水分は廃ガスの熱によって直ちに除去される。こうして、廃ガス中に含まれていた有害物質は、恰も釉薬によって包囲されたようになり、そのまま放棄することのできる無害なものとなる。なお、分離室から取り出した付着物を加熱処理してセラミック化を充分促進させておくと、付着物から重金属等が漏れださないようになり、より好ましい。
【0017】さて、この発明の大きな特徴は、ダイオキシンの発生を防止することができるということである。
【0018】ダイオキシンは塩素系物質が燃焼した時に生じるとはいうものの、高温の状態ではあまり発生せず、塩素系化合物が300〜400℃近傍にまで冷えた時に大量に発生することが知られている。また、この温度を通過して低温となった塩素系化合物からはダイオキシンの発生はない、という(雑誌「ケミカル・エンジニヤリング」1998年4月号、特集“ダイオキシン抑制技術と対策”等参照)。
【0019】しかし、燃焼によって生じた高温の廃ガスがまだ900℃以上に保たれている時に、廃ガス中の塩素系化合物が液体セラミック中に取り込まれ、しかも、セラミックによって覆われ閉じ込められると、塩素系化合物からダイオキシンは発生しない。また、セラミックによって閉じ込められた塩素系化合物が冷えて、300〜400℃以下に温度低下すると、もはやダイオキシンは発生しない。すなわち、廃ガス中からダイオキシンを除去するだけであれば付着物の後加熱の必要はなく、常温になった付着物からのダイオキシンの発生はない。
【0020】すなわち、このような簡単な方法によって廃ガス中の有害物質を除去することができ、しかも、ダイオキシンの発生を防止することができる。また、作業手間が少なくてすむばかりでなく、イニシャルコスト及びランニングコストが低減され、経済的効果も大きい。さらに、こうした焼結処理物を建築用や構築用等の有価物材料として利用することもできる。
【0021】図1に示した分離室は、図2に示すように、二重構造とされている。すなわち、外殻と内殻とで構成され、外殻は、上部にフランジを備えて天板を着脱可能とした有底筒状体であり、下部に廃ガスの入口と出口とを備えている。また、内殻は外殻の内側に密接して外殻から取り出し可能なフランジ付きの筒状体である。外殻と内殻のフランジの上には、上記の天板が乗せられ、ボルト、ナットによって固着される。また内殻には内部を縦に二分する隔壁が付設され、隔壁の上部に通孔が設けられている。また、天板には噴霧具が固定されている。
【0022】噴霧具から液体セラミックを噴霧すると、霧状に飛散した液体セラミックの微粒子は、分離室内に広がって降下する。このとき、液体セラミックが廃ガス中の酸性成分を吸収し、中和されてセラミックを析出させる。この析出したセラミックは、内殻の内面に付着する。つまり、液体セラミックから析出したセラミックは、分離室の側壁(隔壁)及び底壁に付着する。しかし、液体セラミックがアルカリ性を有し、流動性を保持しておれば、流動性を保ったまま内殻に沿って流下する。
【0023】また、廃ガス中の酸性成分、重金属、塩素系化合物等を含む飛灰や煤等、及びガス状の有害物質を取り込んで吸収した液体セラミックの微粒子が、焼却炉から継続的に分離室内へ導かれる約900℃以上の熱によって加熱されてセラミックとなった非流動性の成分も、分離室の側壁(隔壁)及び底壁に付着する。
【0024】流下した液体セラミックは流動して、分離室近傍の取出口から取り出され、再び噴霧するのに使用される。他方、流動性を失って内殻の側壁(隔壁)及び底壁に付着している非流動性の付着物は、そのまま放置すると漸次堆積して廃ガスの通過を阻害することとなる。従って、適宜、付着物を除去する必要がある。例えば、内殻を引き上げて外殻外に取り外した後、内殻に付着している付着物を掻き落としたり、また、内殻を外殻に付設したまま図示していない掻き取り具で掻き取って、分離室から取り出す。こうして、流動性の付着物と非流動性の付着物とに分け、それぞれの処理を行う。
【0025】液体セラミックは、例えば、特公平7−14801号公報に記載されている方法によって作ることができると言われている。この公報は、アルミニウム又はシリコンの金属と、硼砂、硼酸、弗化ソーダ又は弗酸と、アルカリ金属とを濃厚な状態にして水中で反応させ、温度を50〜100℃に保持して、生成物の比重を1.1以上にすることによって液体セラミックとすることができる、と記載している。前述の(株)コーミックスから販売されている液体セラミックはこの方法によって作られたものであると言われている。この発明では、このような製造方法によって作られた水溶液をすべて使用することができる。
【0026】液体セラミックの代表的なものは、シラノールである。シラノールは、一般式Hn Si (OH)4-n で表される化合物である。一般式中の水酸基の水素がアルカリ金属によって置換されて、水溶性のものとなっている。シラノールを約900℃以上に加熱すると、水酸基を失い、珪素Si が酸素を介して結合し合った構造となり、釉薬のような皮膜を形成して不溶性となる。こうして重金属等を包み込む。また、酸性物質を吸収して中和し、酸性物質を不揮発性のものとして包み込む。このようにして、廃ガス中の有害物質は無害なものに変えられる。
【0027】液体セラミックの噴霧は、液体セラミックをなるべく小さな粒子にして、分離室の側壁及び底に向けて均等に飛散させることが好ましい。噴霧具としては市販の噴霧具を用いることができる。噴霧具としては、一方から液体セラミックを加圧下に送り込み、他方から空気を加圧下に送り込み、空気の噴出力によって液体セラミックを微粒子として飛散させる構造のものを用いる。
【0028】分離室は、図1及び図2に示したように、外殻と内殻とで構成することが好ましいが、唯一層からなる普通の容器であってもよい。
【0029】図2は一般的な焼却炉から発生する廃ガスをこの発明によって処理する場合の方法を示している。また、図2に示した方法及び装置について、その他の点を説明すると、次のとおりである。例えば、廃ガスは、サイクロンのような一次集塵機を通ってここで粉塵が充分に取り除かれ、さらにバグフィルターのような二次集塵機に入って微粉まで完全に除かれた後、大気中に放出される。このように、分離室の出口を出た廃ガスは、サイクロン又はバグフィルターのような集塵装置を通り、固形物を濾過されてのち、大気中に放出される。すると、放出される廃ガスは、有害物質を殆ど含まなくなっている。なお、集塵装置の後方もしくは前方にファンを設け、焼却炉から排出される廃ガスを強制的に分離室や集塵装置を経て大気中へ放出するようにしておくことが好ましい。廃ガスが滞りなく大気中へ放出させることにより、焼却炉の燃焼効率が良くなり、不完全燃焼を防止することができる。
【0030】図3は、流動層式焼却炉から発生する廃ガスを、この発明方法によって処理する場合の実施態様を示している。流動層式焼却炉内の底には珪砂・石灰石等の粒子が存在し、これがバーナーによって800℃〜1000℃に加熱されるとともに、空気吹込みノズルから吹き込まれる空気により浮遊せしめられて、炉内に珪砂・石灰石等の粒子の流動層が形成されている。焼却すべき焼却物は、焼却物供給口から炉内へ投入され、炉内を流動する加熱された粒子に接触して、焼却される。
【0031】図3の焼却炉では、空気吹込みノズルから吹き込まれた空気、及び焼却により発生した有害物質を含む飛灰、煤、廃ガス等(以下、総称して廃ガスという)が、煙道を通り分離室へ導かれる。廃ガスは分離室内で初め下降するが、隔壁の下端に位置する通孔を通ってのち上昇する。上昇する部分の天板には液体セラミックの噴霧具が付設されている。この噴霧具から液体セラミックが微粒子として噴霧される。従って、廃ガスは上昇する間に液体セラミックの微粒子とまんべんなく接触することとなり、廃ガス中の有害物質は液体セラミックに吸収されて除かれる。有害物質を吸収した液体セラミックの微粒子は、分離室の側壁(隔壁)及び底に付着する。
【0032】分離室の底には傾斜が付されていて、底の最も低い部分に取出口が付設され、取出口にはバルブが付設されている。分離室の底は、蝶番により接続されており、開閉できる。また、分離室の底には濾材が付設されていて、塊が取出口へ進入しないようにされている。
【0033】分離室の側壁(隔壁)及び底に付着した付着物の中で、流動性の成分は、底の濾材を通過し、取出口から取り出されて再び噴霧するのに用いられる。他方、付着物の中で非流動性の成分は、分離室の底を開いて掻き落とされ、分離室から取り出される。さらに、濾材上に堆積している成分も分離室から除去される。また分離室を出た廃ガスは、フィルターを経て大気中に放出される。
【0034】図4は、この発明で使用するに適した分離室の分解斜視図である。この分離室は、有底円筒状の外殻と、外殻に内接する有底円筒状の内殻と、天板とで構成されている。外殻の下部には廃ガスの入口と出口とが設けられ、入口と出口には角ダクトが付設されている。内殻は内部を縦に二分する隔壁を備え、隔壁の上部は切欠されて廃ガスの通孔を形成しており、下部には外殻の入口と出口に対応する切欠部が形成されている。天板は液体セラミックの噴霧具を備えている。外殻内に内殻を嵌め、その上に天板を乗せ、外殻の上端に形成されているフランジと天板の周縁とをボルトで固定することによって、分離室とすることができる。なお、こうして組み立てられた分離室のボルトを外して内殻を外殻から取り出し、容易にセラミックの付着物を掻き取ることができる。
【0035】図5に示した分離室は、下すぼみのほぼ直方体状の箱型外殻と、同じく下すぼみのほぼ直方体状の箱型内殻と、直角四辺形の天板とで構成されている。また、外殻の内面と内殻の外面との間には隙間が設けられている。従って、外殻内への内殻の着脱が非常に容易である。もっとも、外殻の内面と内殻の外面との間に隙間が設けられていると、外殻の入口へ導入された廃ガスがこの隙間を通って外殻の出口へショートカットしてしまい、処理されない廃ガスが大気中に放出されることになる。そこで、内殻の外面には、この隙間を丁度塞ぐに足るだけの厚みの帯状閉塞材が付設されている。また、内殻の内部には内部を縦に二分する隔壁が付設されている。外殻のフランジと内殻のフランジとの間に耐熱パッキンを介在させ、同様に内殻のフランジと天板との間にも耐熱パッキンを介在させ、これらをボルトで固定して、分離室が構成される。なお、天板にはネジ付き座が固定されており、ここに液体セラミックの噴霧具がネジ込まれて付設される。
【0036】図6は、煙道を形成するパイプが、そのまま内外径を拡大された形状の分離室を示している。この分離室は、その断面形状が丸や角等の筒状のパイプをほぼZ形に屈曲させて形成されており、その中央の胴部が縦方向に設置されている。また、その上部には液体セラミックの噴霧具が付設されている。そこで、廃ガスは煙道から分離室下部の側方へ入り、分離室内を矢印方向に沿って上昇する間に、分離室の上部から下方へ向かって噴霧された液体セラミックの微粒子と出会うことになる。なお、分離室が煙道よりも大きく形成されていると、分離室内へ入った廃ガスがゆっくり上昇することになり、液体セラミックの微粒子と接する時間が長くなる。従って、廃ガスと液体セラミックの微粒子とがまんべんなく接触して、有害物質が充分に除かれる。有害物質が除去された廃ガスは、分離室上部の側方を経て大気中へ放出される。この分離室は、煙道にフランジ接続され、着脱自在にされている。
【0037】図7の分離室も、図6の分離室と同様に、フランジにより煙道に着脱自在とされている。但し、図7R>7の分離室の下部には盲板が設けられ、この盲板がボルトナットで接続されているので、必要に応じ、作業員が盲板を外して分離室内に入り、非流動性の付着物の掻き取り作業、保守点検等を行うことができる。また、図7は、液体セラミックの噴霧具を分離室の上部に複数個取り付けてもよいことを示している。
【0038】図8は、液体セラミックの噴霧具を示している。図8の噴霧具は、一般的な二流体用の噴霧ノズルである。例えば、この噴霧具の左側の孔から液体セラミックを圧入し、右側の孔から空気を圧入すると、噴出口から空気が噴出するのに伴って、液体セラミックの微粒子が霧状に円錐形状に散布される。下部に含まれている針は、噴出口が詰まったときに、噴出口内から下方へ突出させて噴出口を開くのに使用される。なお、作業休止中に液体セラミックの残液によって噴出口が目詰まりするのを防止するため、作業終了直後に噴出口部を洗浄するとともに、針を噴出口内から下方へ突出させて、噴霧具を充分清浄に保つようにする。
【0039】図9は、別の液体セラミック用噴霧具を示している。この噴霧具は、図8の噴霧具に似ているが、針突出具が自動化されている点で異なっている。すなわち、噴出口が詰まったとき、あるいは作業終了直後の噴出口の清浄時に、上方から空気を圧入し、空気圧によって自動針突出具を作動させ、針を噴出口内から下方へ突出させるようになされている。なお、モーター駆動や油圧シリンダーによって、針を噴出口内から下方へ突出させることもできる。
【0040】図10は、さらに他の液体セラミック用噴霧具を示している。この噴霧具は、二重管構造の噴出部が長くされている点と、長くされたその噴出部が外筒の中に収容されて三重管構造とされている点とが、図8及び図9のものと異なっている。液体セラミックは上端より内筒内に圧入され、噴霧用空気は右側から中筒内に圧入され、冷却用空気は冷却用空気吹込口から外筒内に流入される。露出した長い噴出部が高温の廃ガスにより加熱されると、噴出部内の液体セラミックが固化してしまうおそれがある。そこで、長い噴出部の周りにこれを包み込むに足る外筒を設け、冷却用空気を外筒内に流して、高温の廃ガスの熱を遮断し、液体セラミックが噴出部内で固まるのを防止するようにしたものである。図中、長さLは必要に応じた長さとすることができ、分離室内の希望の位置で液体セラミックを噴霧することができる。なお、この噴霧具は、例えば図6に示すように取り付けられて使用される。
【0041】図11は、図9に示した噴霧具の分解斜視図である、噴霧具は下から順にエアキャップ、フルーイドキャップ、ガスケット、ボディ、ガスケット、パッキンボックス、パッキン、パッキン押さえ、バネ、針、プランジャー、リテイナーが組み合わされて構成されている。ボディの一側にある孔からは液体セラミックが圧入され、反対側にある孔からは噴霧用空気が圧入される。
【0042】図12は、図11に示した噴霧具の一部を組み立てたときの斜視図を示している。すなわち、パッキンボックスを下端にして、パッキン、パッキン押さえ、バネ、針、プランジャー、リテイナーをこの順に組み立てたときの状態を示している。
【0043】図13は、図11に示した噴霧具を完全に組み立てたときの斜視図を示している。
【0044】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、焼却炉で発生した廃ガスを分離室へ導き、廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させるので、廃ガス中の酸性成分、重金属、塩素系化合物等を含む飛灰や煤等、及びガス状の有害物質を液体セラミックの微粒子に継続的に能率よく吸収させることができる。こうして有害物質を吸収した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、必要に応じて付着物をまとめて掻き取って分離室から取り出せばよいので、清掃の手間が簡略化される。また、このようにして有害物質が除去された廃ガスを大気中に放出するので、環境を悪化させることがない。特にダイオキシンは塩素系物質が燃焼した時に生じるとはいうものの、高温の状態ではあまり発生せず、塩素系化合物が300〜400℃近傍にまで冷えた時に大量に発生することが知られている。しかし、高温の廃ガスが300〜400℃に温度低下する以前に廃ガス中の塩素系化合物が液体セラミック中に取り込まれ、しかも、セラミックによって覆われ閉じ込められることになるので、塩素系化合物からダイオキシンが発生しない。また、このような簡単な方法によって廃ガス中の有害物質を除去することができるので、作業手間が少なくてすむばかりでなく、イニシャルコスト及びランニングコストが低減され、経済的効果も大きい。
【0045】請求項2記載の発明によれば、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、焼却炉から分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させるようにしたので、廃ガスと霧状の液体セラミックとは分離室内において、互いに対向し、ぶつかり合うように流れる。従って、廃ガスと霧状の液体セラミックとはまんべんなく接触しあい、廃ガス中の飛灰や煤等、及びガス状の有害物質は液体セラミックにからめとられる。こうして、液体セラミックの微粒子は、廃ガス中に含まれている有害物質を吸収した後、分離室の側壁や底に付着する。そこで、必要に応じて、適宜分離室から付着物を掻き取って取り出せばよく、手間が省けて能率的に廃ガスの処理を行うことができる。
【0046】請求項3記載の発明によれば、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、焼却炉から分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物の中で流動性の成分はこれを流動させて分離室の底もしくはその近傍に設けた取出口から取り出し、再び噴霧させるのに使用し、付着物の中で非流動性の成分を掻き取って分離室から取り出すようになされているので、分離室内で直ちに流動性の成分と非流動性の成分とに分離することができ、液体セラミックを無駄なく使用することができる。つまり、有害物質を少量の液体セラミックで能率よく捕捉して簡単に無害なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明方法の一実施態様を模型的に示した図である。
【図2】この発明方法の要部を装置とともに示した模型図である。
【図3】この発明方法の別の要部を装置とともに示した模型図である。
【図4】この発明で用いることのできる分離室の分解斜視図である。
【図5】この発明で用いることのできる他の分離室の分解斜視図である。
【図6】この発明で用いることのできる別の分離室の縦断面図である。
【図7】この発明で用いることのできるさらに別の分離室の縦断面図である。
【図8】この発明で用いることのできる液体セラミック用噴霧具の一部切断側面図である。
【図9】この発明で用いることのできる他の液体セラミック用噴霧具の一部切断側面図である。
【図10】この発明で用いることのできるさらに別の液体セラミック用噴霧具の縦断面図である。
【図11】図9に示した噴霧具の分解斜視図である。
【図12】図11に示した噴霧具の一部組立斜視図である。
【図13】図11に示した噴霧具の組立斜視図である。
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、焼却炉で発生した廃ガスの処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】焼却炉で発生した廃ガスの中には色々な有害物質が含まれている。例えば、都市のゴミ焼却炉で発生した廃ガスは塩化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物、煤塵、重金属の酸化物、ダイオキシン、ダイオキシンのような塩素含有有機物を発生させる塩素系化合物等の有害物質を含んでいる。従って、この廃ガスの放出に際しては、これらの有害物質をできるだけ除去することが必要である。
【0003】焼却炉で発生した廃ガスから有害物質を除去するには、既に幾つかの方法が提案されている。その1つは、特開昭57−132532号公報、及び特開平7−75718号公報が教えるように、廃ガスに消石灰のスラリを噴霧し、廃ガス中の塩化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物等の酸性物質をアルカリ性の消石灰に吸収させて中和し、無害な塩として濾過し、これを廃棄する方法である。他の1つは、特開平10−146581号及び特開平10−238743号公報に記載されているように、廃ガスに液体セラミックを噴霧し、廃ガス中の有害物質を液体セラミックに吸収させて捕捉し、その後これを加熱処理し、無害な物質にして廃棄する方法である。
【0004】ここで、液体セラミックと言うのは、セラミックとなるべき無機物をアルカリ性の水溶液にしたものである。それは例えば、浄化剤「リキッドセラミックス」という名称で(株)コーミックスから販売されている。これは、シリコンのような金属と、硼酸のような無機化合物と、苛性ソーダのようなアルカリ金属水酸化物とを水溶液中で加熱し、反応させて得られた無機化合物の水溶液である。液体セラミックは、そのアルカリ性を失わせると、高分子量の無機化合物が水溶液中に沈澱して、いわゆるセラミックを生成する、という特性を持っている。また、液体セラミックは、これを加熱して水分を蒸発させると、セラミックとなる。((株)コーミックスの出願に係る特公平7−14801号公報参照)
【0005】液体セラミックを使用して廃ガスを処理する方法は、液体セラミックという物自体が比較的新しいものであるために、効率よく行われていない。例えば、特開平10−146581号公報は、液体セラミックを廃ガス中に噴霧する機構を図1及び図2に模型的に示しているが、それによれば液体セラミックと廃ガスとを合流させ、長い通路を経て沈澱槽に入れ、沈澱槽内で分離している。すなわち、液体セラミックを連結管86内で焼却炉からの廃ガスと合流させ、長い合流管87を経て沈澱槽70へ導き、沈澱槽70内で自然の沈澱を待ち、沈澱槽70内で上澄液と泥状微粒子4とに分け、上澄液を再び噴霧するのに使用し、泥状微粒子を圧送して燃焼炉61上の固化容器69内に導き、燃焼炉61の熱によって固化することとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開平10−146581号公報が教えるように、連結管86内で液体セラミックと廃ガスとを単に合流させただけでは、液体セラミックが廃ガス中の有害物質を効率よく吸収しないし、またその後合流物を長い合流管87に通したのでは、液体セラミックが合流管を詰まらせることになる。また、沈澱槽内で自然に沈澱するのを待って沈澱を分離することは、有害物質の分離方法としては効率がよくない。なぜならば、有害物質を吸収したセラミック微粒子は、水と混在する間に、有害物質を放出することとなるからである。そこで、この発明は、液体セラミックに廃ガス中の有害物質をさらに効率よく吸収させて、廃ガスを能率よく無害なものにしてしまう方法を提供しようとしてなされたものである。
【0007】
【課題解決のための手段】この発明は、焼却炉で発生した廃ガスを、大気中へ放出するまでの途中で分離室へ導き、分離室内の下から上へ上昇させ、一方、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中に分散させ、液体セラミックの微粒子と廃ガスとをよく接触させたあとで、微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物を掻き取って分離室から取り出すことを骨子とする。
【0008】本発明のうち請求項1記載の発明は、焼却炉で発生した廃ガスを、大気中へ放出するまでの途中で分離室へ導いて分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物を掻き取って分離室から取り出すことを特徴とするものである。
【0009】請求項2記載の発明は、焼却炉と焼却炉で発生した廃ガスを大気中へ放出する放出口との間に分離室を設け、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物を掻き取って分離室から取り出すようになされていることを特徴とするものである。
【0010】請求項3記載の発明は、焼却炉と焼却炉で発生した廃ガスを大気中へ放出する放出口との間に分離室を設け、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物の中で流動性の成分はこれを流動させて分離室の底もしくはその近傍に設けた取出口から取り出し、再び噴霧させるのに使用し、付着物の中で非流動性の成分を掻き取って分離室から取り出すようになされていることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明を図面に基づき説明すると次のとおりである。
【0012】図1に示したこの発明方法は、次のように実施される。図1の左下方に位置する焼却炉内で発生した廃ガスは、煙道を経て分離室へ導かれる。分離室は、左下端に廃ガスの入口を備え、内部に隔壁を含み、隔壁の上部に廃ガスの通孔を備えている。そのため、分離室内へ入った廃ガスは、分離室内を上昇し、隔壁の通孔を通過してのち分離室内を下降し、その後分離室の出口を経て分離室から出て行く。
【0013】廃ガスが上昇する分離室の天板には液体セラミックの噴霧具が設けられている。液体セラミックは、LCドラム缶(あるいはコンテナ、定置タンク等)からセラミック流路を通って噴霧具へ導かれ、噴霧具から噴霧されて微粒子となり、分離室内を下方及び斜め下方へと飛散する。飛散した微粒子は、分離室内を上昇してくる廃ガスに対向して進み、廃ガスとよく接触せしめられる。
【0014】液体セラミックはアルカリ性のものであるから、廃ガス中の酸性成分、例えば塩化水素、硫黄酸化物及び窒素酸化物を短時間内によく吸収し、これと反応して無害な塩を生成する。すると、液体セラミックはアルカリ性が弱くなり、固形化して無機物からなる非流動性の成分となる。
【0015】また、液体セラミックは、約900℃以上の熱によって固形化し、硬いセラミックとなる性質がある。このため、液体セラミックの微粒子は、廃ガス中の酸性成分、重金属、ダイオキシンのような塩素含有有機物を発生させる塩素系化合物等を含む飛灰や煤、ダイオキシン、及びガス状の有害物質を取り込んで吸収した後、焼却炉から継続的に分離室内へ導かれる約900℃以上の熱によって加熱されてセラミックとなる。すなわち、廃ガス中に含まれる有害物質は、セラミックによって覆われ閉じ込められる。そして、この場合も、液体セラミックは非流動性の成分となる。
【0016】つまり、非流動性の付着物は、液体セラミックが廃ガス中の酸性成分、重金属、塩素系化合物、ガス状の有害物質等を吸収することによって生じたものである。この付着物から分離した水分は廃ガスの熱によって直ちに除去される。こうして、廃ガス中に含まれていた有害物質は、恰も釉薬によって包囲されたようになり、そのまま放棄することのできる無害なものとなる。なお、分離室から取り出した付着物を加熱処理してセラミック化を充分促進させておくと、付着物から重金属等が漏れださないようになり、より好ましい。
【0017】さて、この発明の大きな特徴は、ダイオキシンの発生を防止することができるということである。
【0018】ダイオキシンは塩素系物質が燃焼した時に生じるとはいうものの、高温の状態ではあまり発生せず、塩素系化合物が300〜400℃近傍にまで冷えた時に大量に発生することが知られている。また、この温度を通過して低温となった塩素系化合物からはダイオキシンの発生はない、という(雑誌「ケミカル・エンジニヤリング」1998年4月号、特集“ダイオキシン抑制技術と対策”等参照)。
【0019】しかし、燃焼によって生じた高温の廃ガスがまだ900℃以上に保たれている時に、廃ガス中の塩素系化合物が液体セラミック中に取り込まれ、しかも、セラミックによって覆われ閉じ込められると、塩素系化合物からダイオキシンは発生しない。また、セラミックによって閉じ込められた塩素系化合物が冷えて、300〜400℃以下に温度低下すると、もはやダイオキシンは発生しない。すなわち、廃ガス中からダイオキシンを除去するだけであれば付着物の後加熱の必要はなく、常温になった付着物からのダイオキシンの発生はない。
【0020】すなわち、このような簡単な方法によって廃ガス中の有害物質を除去することができ、しかも、ダイオキシンの発生を防止することができる。また、作業手間が少なくてすむばかりでなく、イニシャルコスト及びランニングコストが低減され、経済的効果も大きい。さらに、こうした焼結処理物を建築用や構築用等の有価物材料として利用することもできる。
【0021】図1に示した分離室は、図2に示すように、二重構造とされている。すなわち、外殻と内殻とで構成され、外殻は、上部にフランジを備えて天板を着脱可能とした有底筒状体であり、下部に廃ガスの入口と出口とを備えている。また、内殻は外殻の内側に密接して外殻から取り出し可能なフランジ付きの筒状体である。外殻と内殻のフランジの上には、上記の天板が乗せられ、ボルト、ナットによって固着される。また内殻には内部を縦に二分する隔壁が付設され、隔壁の上部に通孔が設けられている。また、天板には噴霧具が固定されている。
【0022】噴霧具から液体セラミックを噴霧すると、霧状に飛散した液体セラミックの微粒子は、分離室内に広がって降下する。このとき、液体セラミックが廃ガス中の酸性成分を吸収し、中和されてセラミックを析出させる。この析出したセラミックは、内殻の内面に付着する。つまり、液体セラミックから析出したセラミックは、分離室の側壁(隔壁)及び底壁に付着する。しかし、液体セラミックがアルカリ性を有し、流動性を保持しておれば、流動性を保ったまま内殻に沿って流下する。
【0023】また、廃ガス中の酸性成分、重金属、塩素系化合物等を含む飛灰や煤等、及びガス状の有害物質を取り込んで吸収した液体セラミックの微粒子が、焼却炉から継続的に分離室内へ導かれる約900℃以上の熱によって加熱されてセラミックとなった非流動性の成分も、分離室の側壁(隔壁)及び底壁に付着する。
【0024】流下した液体セラミックは流動して、分離室近傍の取出口から取り出され、再び噴霧するのに使用される。他方、流動性を失って内殻の側壁(隔壁)及び底壁に付着している非流動性の付着物は、そのまま放置すると漸次堆積して廃ガスの通過を阻害することとなる。従って、適宜、付着物を除去する必要がある。例えば、内殻を引き上げて外殻外に取り外した後、内殻に付着している付着物を掻き落としたり、また、内殻を外殻に付設したまま図示していない掻き取り具で掻き取って、分離室から取り出す。こうして、流動性の付着物と非流動性の付着物とに分け、それぞれの処理を行う。
【0025】液体セラミックは、例えば、特公平7−14801号公報に記載されている方法によって作ることができると言われている。この公報は、アルミニウム又はシリコンの金属と、硼砂、硼酸、弗化ソーダ又は弗酸と、アルカリ金属とを濃厚な状態にして水中で反応させ、温度を50〜100℃に保持して、生成物の比重を1.1以上にすることによって液体セラミックとすることができる、と記載している。前述の(株)コーミックスから販売されている液体セラミックはこの方法によって作られたものであると言われている。この発明では、このような製造方法によって作られた水溶液をすべて使用することができる。
【0026】液体セラミックの代表的なものは、シラノールである。シラノールは、一般式Hn Si (OH)4-n で表される化合物である。一般式中の水酸基の水素がアルカリ金属によって置換されて、水溶性のものとなっている。シラノールを約900℃以上に加熱すると、水酸基を失い、珪素Si が酸素を介して結合し合った構造となり、釉薬のような皮膜を形成して不溶性となる。こうして重金属等を包み込む。また、酸性物質を吸収して中和し、酸性物質を不揮発性のものとして包み込む。このようにして、廃ガス中の有害物質は無害なものに変えられる。
【0027】液体セラミックの噴霧は、液体セラミックをなるべく小さな粒子にして、分離室の側壁及び底に向けて均等に飛散させることが好ましい。噴霧具としては市販の噴霧具を用いることができる。噴霧具としては、一方から液体セラミックを加圧下に送り込み、他方から空気を加圧下に送り込み、空気の噴出力によって液体セラミックを微粒子として飛散させる構造のものを用いる。
【0028】分離室は、図1及び図2に示したように、外殻と内殻とで構成することが好ましいが、唯一層からなる普通の容器であってもよい。
【0029】図2は一般的な焼却炉から発生する廃ガスをこの発明によって処理する場合の方法を示している。また、図2に示した方法及び装置について、その他の点を説明すると、次のとおりである。例えば、廃ガスは、サイクロンのような一次集塵機を通ってここで粉塵が充分に取り除かれ、さらにバグフィルターのような二次集塵機に入って微粉まで完全に除かれた後、大気中に放出される。このように、分離室の出口を出た廃ガスは、サイクロン又はバグフィルターのような集塵装置を通り、固形物を濾過されてのち、大気中に放出される。すると、放出される廃ガスは、有害物質を殆ど含まなくなっている。なお、集塵装置の後方もしくは前方にファンを設け、焼却炉から排出される廃ガスを強制的に分離室や集塵装置を経て大気中へ放出するようにしておくことが好ましい。廃ガスが滞りなく大気中へ放出させることにより、焼却炉の燃焼効率が良くなり、不完全燃焼を防止することができる。
【0030】図3は、流動層式焼却炉から発生する廃ガスを、この発明方法によって処理する場合の実施態様を示している。流動層式焼却炉内の底には珪砂・石灰石等の粒子が存在し、これがバーナーによって800℃〜1000℃に加熱されるとともに、空気吹込みノズルから吹き込まれる空気により浮遊せしめられて、炉内に珪砂・石灰石等の粒子の流動層が形成されている。焼却すべき焼却物は、焼却物供給口から炉内へ投入され、炉内を流動する加熱された粒子に接触して、焼却される。
【0031】図3の焼却炉では、空気吹込みノズルから吹き込まれた空気、及び焼却により発生した有害物質を含む飛灰、煤、廃ガス等(以下、総称して廃ガスという)が、煙道を通り分離室へ導かれる。廃ガスは分離室内で初め下降するが、隔壁の下端に位置する通孔を通ってのち上昇する。上昇する部分の天板には液体セラミックの噴霧具が付設されている。この噴霧具から液体セラミックが微粒子として噴霧される。従って、廃ガスは上昇する間に液体セラミックの微粒子とまんべんなく接触することとなり、廃ガス中の有害物質は液体セラミックに吸収されて除かれる。有害物質を吸収した液体セラミックの微粒子は、分離室の側壁(隔壁)及び底に付着する。
【0032】分離室の底には傾斜が付されていて、底の最も低い部分に取出口が付設され、取出口にはバルブが付設されている。分離室の底は、蝶番により接続されており、開閉できる。また、分離室の底には濾材が付設されていて、塊が取出口へ進入しないようにされている。
【0033】分離室の側壁(隔壁)及び底に付着した付着物の中で、流動性の成分は、底の濾材を通過し、取出口から取り出されて再び噴霧するのに用いられる。他方、付着物の中で非流動性の成分は、分離室の底を開いて掻き落とされ、分離室から取り出される。さらに、濾材上に堆積している成分も分離室から除去される。また分離室を出た廃ガスは、フィルターを経て大気中に放出される。
【0034】図4は、この発明で使用するに適した分離室の分解斜視図である。この分離室は、有底円筒状の外殻と、外殻に内接する有底円筒状の内殻と、天板とで構成されている。外殻の下部には廃ガスの入口と出口とが設けられ、入口と出口には角ダクトが付設されている。内殻は内部を縦に二分する隔壁を備え、隔壁の上部は切欠されて廃ガスの通孔を形成しており、下部には外殻の入口と出口に対応する切欠部が形成されている。天板は液体セラミックの噴霧具を備えている。外殻内に内殻を嵌め、その上に天板を乗せ、外殻の上端に形成されているフランジと天板の周縁とをボルトで固定することによって、分離室とすることができる。なお、こうして組み立てられた分離室のボルトを外して内殻を外殻から取り出し、容易にセラミックの付着物を掻き取ることができる。
【0035】図5に示した分離室は、下すぼみのほぼ直方体状の箱型外殻と、同じく下すぼみのほぼ直方体状の箱型内殻と、直角四辺形の天板とで構成されている。また、外殻の内面と内殻の外面との間には隙間が設けられている。従って、外殻内への内殻の着脱が非常に容易である。もっとも、外殻の内面と内殻の外面との間に隙間が設けられていると、外殻の入口へ導入された廃ガスがこの隙間を通って外殻の出口へショートカットしてしまい、処理されない廃ガスが大気中に放出されることになる。そこで、内殻の外面には、この隙間を丁度塞ぐに足るだけの厚みの帯状閉塞材が付設されている。また、内殻の内部には内部を縦に二分する隔壁が付設されている。外殻のフランジと内殻のフランジとの間に耐熱パッキンを介在させ、同様に内殻のフランジと天板との間にも耐熱パッキンを介在させ、これらをボルトで固定して、分離室が構成される。なお、天板にはネジ付き座が固定されており、ここに液体セラミックの噴霧具がネジ込まれて付設される。
【0036】図6は、煙道を形成するパイプが、そのまま内外径を拡大された形状の分離室を示している。この分離室は、その断面形状が丸や角等の筒状のパイプをほぼZ形に屈曲させて形成されており、その中央の胴部が縦方向に設置されている。また、その上部には液体セラミックの噴霧具が付設されている。そこで、廃ガスは煙道から分離室下部の側方へ入り、分離室内を矢印方向に沿って上昇する間に、分離室の上部から下方へ向かって噴霧された液体セラミックの微粒子と出会うことになる。なお、分離室が煙道よりも大きく形成されていると、分離室内へ入った廃ガスがゆっくり上昇することになり、液体セラミックの微粒子と接する時間が長くなる。従って、廃ガスと液体セラミックの微粒子とがまんべんなく接触して、有害物質が充分に除かれる。有害物質が除去された廃ガスは、分離室上部の側方を経て大気中へ放出される。この分離室は、煙道にフランジ接続され、着脱自在にされている。
【0037】図7の分離室も、図6の分離室と同様に、フランジにより煙道に着脱自在とされている。但し、図7R>7の分離室の下部には盲板が設けられ、この盲板がボルトナットで接続されているので、必要に応じ、作業員が盲板を外して分離室内に入り、非流動性の付着物の掻き取り作業、保守点検等を行うことができる。また、図7は、液体セラミックの噴霧具を分離室の上部に複数個取り付けてもよいことを示している。
【0038】図8は、液体セラミックの噴霧具を示している。図8の噴霧具は、一般的な二流体用の噴霧ノズルである。例えば、この噴霧具の左側の孔から液体セラミックを圧入し、右側の孔から空気を圧入すると、噴出口から空気が噴出するのに伴って、液体セラミックの微粒子が霧状に円錐形状に散布される。下部に含まれている針は、噴出口が詰まったときに、噴出口内から下方へ突出させて噴出口を開くのに使用される。なお、作業休止中に液体セラミックの残液によって噴出口が目詰まりするのを防止するため、作業終了直後に噴出口部を洗浄するとともに、針を噴出口内から下方へ突出させて、噴霧具を充分清浄に保つようにする。
【0039】図9は、別の液体セラミック用噴霧具を示している。この噴霧具は、図8の噴霧具に似ているが、針突出具が自動化されている点で異なっている。すなわち、噴出口が詰まったとき、あるいは作業終了直後の噴出口の清浄時に、上方から空気を圧入し、空気圧によって自動針突出具を作動させ、針を噴出口内から下方へ突出させるようになされている。なお、モーター駆動や油圧シリンダーによって、針を噴出口内から下方へ突出させることもできる。
【0040】図10は、さらに他の液体セラミック用噴霧具を示している。この噴霧具は、二重管構造の噴出部が長くされている点と、長くされたその噴出部が外筒の中に収容されて三重管構造とされている点とが、図8及び図9のものと異なっている。液体セラミックは上端より内筒内に圧入され、噴霧用空気は右側から中筒内に圧入され、冷却用空気は冷却用空気吹込口から外筒内に流入される。露出した長い噴出部が高温の廃ガスにより加熱されると、噴出部内の液体セラミックが固化してしまうおそれがある。そこで、長い噴出部の周りにこれを包み込むに足る外筒を設け、冷却用空気を外筒内に流して、高温の廃ガスの熱を遮断し、液体セラミックが噴出部内で固まるのを防止するようにしたものである。図中、長さLは必要に応じた長さとすることができ、分離室内の希望の位置で液体セラミックを噴霧することができる。なお、この噴霧具は、例えば図6に示すように取り付けられて使用される。
【0041】図11は、図9に示した噴霧具の分解斜視図である、噴霧具は下から順にエアキャップ、フルーイドキャップ、ガスケット、ボディ、ガスケット、パッキンボックス、パッキン、パッキン押さえ、バネ、針、プランジャー、リテイナーが組み合わされて構成されている。ボディの一側にある孔からは液体セラミックが圧入され、反対側にある孔からは噴霧用空気が圧入される。
【0042】図12は、図11に示した噴霧具の一部を組み立てたときの斜視図を示している。すなわち、パッキンボックスを下端にして、パッキン、パッキン押さえ、バネ、針、プランジャー、リテイナーをこの順に組み立てたときの状態を示している。
【0043】図13は、図11に示した噴霧具を完全に組み立てたときの斜視図を示している。
【0044】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、焼却炉で発生した廃ガスを分離室へ導き、廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させるので、廃ガス中の酸性成分、重金属、塩素系化合物等を含む飛灰や煤等、及びガス状の有害物質を液体セラミックの微粒子に継続的に能率よく吸収させることができる。こうして有害物質を吸収した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、必要に応じて付着物をまとめて掻き取って分離室から取り出せばよいので、清掃の手間が簡略化される。また、このようにして有害物質が除去された廃ガスを大気中に放出するので、環境を悪化させることがない。特にダイオキシンは塩素系物質が燃焼した時に生じるとはいうものの、高温の状態ではあまり発生せず、塩素系化合物が300〜400℃近傍にまで冷えた時に大量に発生することが知られている。しかし、高温の廃ガスが300〜400℃に温度低下する以前に廃ガス中の塩素系化合物が液体セラミック中に取り込まれ、しかも、セラミックによって覆われ閉じ込められることになるので、塩素系化合物からダイオキシンが発生しない。また、このような簡単な方法によって廃ガス中の有害物質を除去することができるので、作業手間が少なくてすむばかりでなく、イニシャルコスト及びランニングコストが低減され、経済的効果も大きい。
【0045】請求項2記載の発明によれば、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、焼却炉から分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させるようにしたので、廃ガスと霧状の液体セラミックとは分離室内において、互いに対向し、ぶつかり合うように流れる。従って、廃ガスと霧状の液体セラミックとはまんべんなく接触しあい、廃ガス中の飛灰や煤等、及びガス状の有害物質は液体セラミックにからめとられる。こうして、液体セラミックの微粒子は、廃ガス中に含まれている有害物質を吸収した後、分離室の側壁や底に付着する。そこで、必要に応じて、適宜分離室から付着物を掻き取って取り出せばよく、手間が省けて能率的に廃ガスの処理を行うことができる。
【0046】請求項3記載の発明によれば、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、焼却炉から分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物の中で流動性の成分はこれを流動させて分離室の底もしくはその近傍に設けた取出口から取り出し、再び噴霧させるのに使用し、付着物の中で非流動性の成分を掻き取って分離室から取り出すようになされているので、分離室内で直ちに流動性の成分と非流動性の成分とに分離することができ、液体セラミックを無駄なく使用することができる。つまり、有害物質を少量の液体セラミックで能率よく捕捉して簡単に無害なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明方法の一実施態様を模型的に示した図である。
【図2】この発明方法の要部を装置とともに示した模型図である。
【図3】この発明方法の別の要部を装置とともに示した模型図である。
【図4】この発明で用いることのできる分離室の分解斜視図である。
【図5】この発明で用いることのできる他の分離室の分解斜視図である。
【図6】この発明で用いることのできる別の分離室の縦断面図である。
【図7】この発明で用いることのできるさらに別の分離室の縦断面図である。
【図8】この発明で用いることのできる液体セラミック用噴霧具の一部切断側面図である。
【図9】この発明で用いることのできる他の液体セラミック用噴霧具の一部切断側面図である。
【図10】この発明で用いることのできるさらに別の液体セラミック用噴霧具の縦断面図である。
【図11】図9に示した噴霧具の分解斜視図である。
【図12】図11に示した噴霧具の一部組立斜視図である。
【図13】図11に示した噴霧具の組立斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 焼却炉で発生した廃ガスを、大気中へ放出するまでの途中で分離室へ導いて分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物を掻き取って分離室から取り出すことを特徴とする、焼却炉で発生した廃ガスの処理方法。
【請求項2】 焼却炉と焼却炉で発生した廃ガスを大気中へ放出する放出口との間に分離室を設け、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物を掻き取って分離室から取り出すようになされていることを特徴とする、焼却炉で発生した廃ガスの処理装置。
【請求項3】 焼却炉と焼却炉で発生した廃ガスを大気中へ放出する放出口との間に分離室を設け、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物の中で流動性の成分はこれを流動させて分離室の底もしくはその近傍に設けた取出口から取り出し、再び噴霧させるのに使用し、付着物の中で非流動性の成分を掻き取って分離室から取り出すようになされていることを特徴とする、焼却炉で発生した廃ガスの処理装置。
【請求項4】 分離室が、外殻と、これに収容される内殻とからなり、内殻を外殻の上端から取り出し可能としたことを特徴とする、請求項2又は3に記載の焼却炉で発生した廃ガスの処理装置。
【請求項5】 分離室の上部に付設された液体セラミックの噴霧具が、ノズル清掃用針を備えていることを特徴とする、請求項2乃至4に記載の焼却炉で発生した廃ガスの処理装置。
【請求項1】 焼却炉で発生した廃ガスを、大気中へ放出するまでの途中で分離室へ導いて分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物を掻き取って分離室から取り出すことを特徴とする、焼却炉で発生した廃ガスの処理方法。
【請求項2】 焼却炉と焼却炉で発生した廃ガスを大気中へ放出する放出口との間に分離室を設け、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物を掻き取って分離室から取り出すようになされていることを特徴とする、焼却炉で発生した廃ガスの処理装置。
【請求項3】 焼却炉と焼却炉で発生した廃ガスを大気中へ放出する放出口との間に分離室を設け、分離室の上部に液体セラミックの噴霧具を付設し、分離室へ導かれた廃ガスを分離室内の下から上へ流し、分離室の上部から下方へ向かって液体セラミックを噴霧し、液体セラミックを微粒子として廃ガス中へ分散させ、分散した液体セラミックの微粒子を分離室の側壁又は底に付着させ、付着物の中で流動性の成分はこれを流動させて分離室の底もしくはその近傍に設けた取出口から取り出し、再び噴霧させるのに使用し、付着物の中で非流動性の成分を掻き取って分離室から取り出すようになされていることを特徴とする、焼却炉で発生した廃ガスの処理装置。
【請求項4】 分離室が、外殻と、これに収容される内殻とからなり、内殻を外殻の上端から取り出し可能としたことを特徴とする、請求項2又は3に記載の焼却炉で発生した廃ガスの処理装置。
【請求項5】 分離室の上部に付設された液体セラミックの噴霧具が、ノズル清掃用針を備えていることを特徴とする、請求項2乃至4に記載の焼却炉で発生した廃ガスの処理装置。
【図3】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
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【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図7】
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【図11】
【公開番号】特開2001−269535(P2001−269535A)
【公開日】平成13年10月2日(2001.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−88227(P2000−88227)
【出願日】平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願人】(000002451)積水プラントシステム株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年10月2日(2001.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願人】(000002451)積水プラントシステム株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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