説明

照明装置

【課題】故障時等における反射板の延焼を抑制することができるLED照明装置を提供する。
【解決手段】発光ダイオード41を光源とする照明装置100において、複数の発光ダイオード41が設けられる基板40と、平板部51と各発光ダイオード41が挿通する凹部52とを有し、基板40の前面に配設されて発光ダイオード41の光を外部に反射する反射板50と、平板部51に設けられる金属膜60と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(以下「LED」という)を光源とする照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、蛍光灯や蛍光管に替えて、低消費電力で長寿命のLEDを光源とするLED照明装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、半球形の窪み部が形成された樹脂製の反射板と、窪み部内に臨むように設けられたLEDと、反射板の裏面に設置された放熱板と、を備えたLED照明装置が開示されている(図23参照)。特許文献1に記載のLED照明装置は、放熱板により放熱特性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−99533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のLED照明装置では、LEDの後方に放熱板が配置されるので、例えばLEDの故障等によってLEDの電気接続部の温度が高くなり過ぎた場合には、故障したLEDを中心に反射板が延焼することが考えられる。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑みてなされたものであり、故障時等における反射板の延焼を抑制することができるLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、発光ダイオードを光源とする照明装置において、複数の発光ダイオードが設けられる基板と、平板部と、各発光ダイオードが挿通する凹部とを有し、基板の前面に配設されて発光ダイオードの光を外部に反射する反射板と、平板部に設けられる金属膜と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、反射板の平板部に金属膜を備えるので、例えば発光ダイオードの故障等によって発光ダイオードの電気接続部の温度が高くなって凹部が溶融し始めても、凹部の溶融時の熱は金属膜を介して金属膜面方向に伝達されて逃されるとともに金属膜表面から放熱される。これにより、平板部の温度が着火点に到達しにくくなるので、万一故障した発光ダイオード位置の凹部から出火しても、隣接する凹部に燃え広がることがなく、反射板の延焼を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)は本発明の実施形態に係るLED照明装置の斜視図であり、(B)はLED照明装置の側面図である。
【図2】(A)はLED照明装置の発光ユニットの縦断面図であり、(B)は発光ユニットの分解斜視図である。
【図3】(A)はLED照明装置の透光カバーの底面図であり、(B)は透光カバーの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1を参照して、LEDを光源とするLED照明装置100について説明する。図1(A)はLED照明装置100の斜視図を示し、図1(B)はLED照明装置100の側面図を示す。
【0012】
図1(A)及び図1(B)に示すLED照明装置100は、屋外等に設置される照明器具であって、調光制御装置を介して調光可能に構成されている。
【0013】
LED照明装置100は箱状の筐体部10を備え、筐体部10の内部には発光ユニット30(図2(A)参照)が収容される。筐体部10の下部には開口部が形成されており、この開口部には、発光ユニット30を覆うように透光カバー20が設置される。
【0014】
図2を参照して、LED照明装置100の発光ユニット30の構成について説明する。図2(A)は発光ユニット30の縦断面図を示し、図2(B)は発光ユニット30の分解斜視図を示す。
【0015】
図2(A)及び図2(B)に示すように、発光ユニット30は、複数のLED41が設置されるLED基板40と、LED基板40の前面に配置される反射板50と、反射板50とLED基板40との間に設置される金属膜60とを備える。
【0016】
LED基板40は矩形状のアルミ基板であり、LED基板40の前面には複数のLED41が実装される。LED41は、順方向に電圧を印加すると発光する高出力型の発光ダイオードである。LED41には、LED基板40上に形成された配線回路を介して、図示しない電源から電力が供給される。
【0017】
反射板50は、高反射率のアクリル系樹脂等を成型した部材である。反射板50は、LED光を外部に反射する白色板状部材であって、平板部51と、平板部51から後方に突出するように形成された碗形状の凹部52とを備える。
【0018】
反射板50の凹部52は、LED基板40に設けられたLED41毎に設けられる。凹部52の中心には、LED挿通用の挿通孔52Aが形成される。発光ユニット30を組み立てた状態では、図2(A)に示すように、反射板50の裏面側にLED基板40が配設され、LED41が凹部52の挿通孔52Aを挿通する。このように反射板50とLED基板40を配置するので、反射板50とLED基板40との間には、凹部52の突出量に応じた空気層53が画成される。
【0019】
金属膜60は、反射板50よりも高熱伝導率の金属の膜であって、例えばアルミニウム箔によって形成されている。金属膜60には、反射板50の凹部52が挿通される円形の挿通部61が、凹部52と同数設けられる。金属膜60は、挿通部61に凹部52が挿通した状態で、反射板50の平板部51の裏面に接着固定される。
【0020】
なお、本実施形態では、金属膜60を平板部51に接着固定するようにしたが、金属膜60を平板部51に蒸着してもよい。
【0021】
上記のように構成される発光ユニット30では、LED41から照射されたLED光の一部は反射板50の平板部51及び凹部52によって前方(外部)に反射されて透光カバー20を透過し、残りは直接透光カバー20を透過する。
【0022】
ここで、例えばLED41の故障等によってLED41の電気接続部の温度が高くなり過ぎた場合には、故障したLED位置の凹部52が溶融することが考えられる。凹部52の溶融時の熱は、反射板50の平板部51に設置された高熱伝導率の金属膜60を介して、金属膜60の面方向に伝達されて逃されるとともに金属膜60の表面から空気層53に放熱されるので、溶融している凹部52に隣接する平板部51が局所的に高温になることが抑制される。これにより、平板部51の温度が着火点に到達しにくくなるので、万一故障したLED位置の凹部52から出火しても、隣接する凹部52に燃え広がることがなく、反射板50の延焼を抑制することができる。
【0023】
次に、図1及び図3を参照して、LED照明装置100の透光カバー20について説明する。図3(A)は透光カバー20の底面図を示し、図3(B)は透光カバー20の縦断面図である。
【0024】
図1(A)及び図1(B)に示すように、透光カバー20は、透光性の樹脂部材によって形成されており、筐体部10の下方に突出するように設けられる。
【0025】
図3(A)及び図3(B)に示すように、透光カバー20の底面の一部(矩形領域)は、発光ユニット30からのLED光をそのまま透過する透過部21として形成される。透光カバー20の側面及び透過部21の外縁は、透過するLED光を拡散する拡散部22として形成される。拡散部22でLED光を拡散させるため、拡散部22における透光カバー20の表面には微小凹凸加工(マット加工)が施されている。
【0026】
上記のように透光カバー20に拡散部22を設けたので、LED照明装置100から離れた位置からでもLED照明装置100の点灯を視認でき、さらにグレアも低減することができる。
【0027】
以上により、本実施形態のLED照明装置100では、下記の効果を得ることができる。
【0028】
LED照明装置100は、反射板50の平板部51に金属膜60を備えるので、例えばLED41の故障等によってLED41の電気接続部の温度が高くなり過ぎて、故障したLED位置の凹部52が溶融し始めても、凹部52の溶融時の熱は、金属膜60を介して、金属膜60の面方向に伝達されて逃されるとともに金属膜60の表面から放熱される。これにより、平板部51の温度上昇が抑制され、平板部51の温度が着火点に到達しにくくなるので、万一故障したLED位置の凹部52から出火しても、隣接する凹部52に燃え広がることがなく、反射板50の延焼を抑制することができる。
【0029】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0030】
本実施形態のLED照明装置100では、反射板50の平板部51の裏面に金属膜60を設けたが、反射板50の平板部51及び凹部52の裏面に金属膜60を設けてもよいし、反射板50の平板部51の両面に金属膜60を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の照明装置は、LEDを光源として使用する全ての照明装置に適用が可能である。
【符号の説明】
【0032】
100 LED照明装置
10 筐体部
20 透光カバー
21 透過部
22 拡散部
40 LED基板
41 LED
50 反射板
51 平板部
52 凹部
52A 挿通孔
53 空気層
60 金属膜
61 挿通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードを光源とする照明装置において、
複数の発光ダイオードが設けられる基板と、
平板部と各発光ダイオードが挿通する凹部とを有し、前記基板の前面に配設されて前記発光ダイオードの光を外部に反射する反射板と、
前記平板部に設けられる金属膜と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記金属膜は、前記反射板よりも高熱伝導率の金属によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記金属膜は、前記凹部が挿通する挿通部を備え、前記挿通部に前記凹部が挿通した状態で前記平板部の裏面に設置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記基板、前記反射板、及び前記金属膜から構成される発光ユニットを収容する筐体部と、
前記筐体部の前方から突出するように設けられるカバーと、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項5】
前記カバーの少なくとも側面には、透過するLED光を拡散させる拡散部が形成されることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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