説明

照明装置

【課題】組み立てが容易で広配光化が可能な照明装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る照明装置は、透光部を有する外囲器、外囲器内に設けられた矩形状の基板、および一対の支持部を有する。基板の一面には、その長手方向に沿った中心線より幅方向一側にずれたライン上に並んで複数の発光素子が実装され、このラインより基板の幅方向他側に外れた位置に電子部品が実装される。一対の支持部は、外囲器の内面に設けられ、基板の長手方向に沿った両端辺を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、LED(発光ダイオード)などの半導体発光素子を光源として用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細長い直管形の蛍光灯に変わる次世代の直管形ランプとして、複数個のLED(発光ダイオード)を細長い帯状の基板の中心線に沿って並べて実装した発光モジュールを透光性を有する円筒形の直管の中に収容配置した直管形LEDランプが普及されつつある。
【0003】
円筒形の直管の中に帯板状の発光モジュールを取り付ける場合、例えば、直管の内面に延設した2本のレールに沿って直管の一端側からモジュール基板を差し込む。この取り付け方法を採用すると、直管に対する基板の位置決めや固定作業を容易にでき、モジュール基板の取り付け作業を容易にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−27260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
円筒形の直管内に平らな帯板状の発光モジュールを取り付ける場合、基板の幅と直管の内径によって基板の取り付け位置はほぼ決まる。例えば、基板の幅が比較的広く直管の内径とほぼ等しいような場合には、この基板は直管の中心近くを通る位置に取り付けられる。一方、基板の幅が直管の内径より狭い場合には、直管の中心より内面に近付く方向に片寄って基板を取り付け可能である。
【0006】
つまり、発光モジュールから放出される光の配光角を拡げるためには基板の幅をできるだけ狭くして基板の裏面を直管の内面に近づけることが有利である。
【0007】
しかし、LED以外にコンデンサなどの他の電子部品を実装する場合、基板の狭幅化には限界がある。
【0008】
通常、複数個のLEDは基板の長手方向中心線に沿って並べて実装されるが、LED列に暗部を形成されることを抑制するため、このLED列から外れた基板端辺側に片寄った位置に電子部品を実装することが好適である。
【0009】
また、上述した様な実施形態であると、基板の長手方向に沿った両端辺を例えばレールで保持する構造の場合、基板の長手方向に沿った幅方向両端にレールで保持するための領域(電子部品を実装できない領域)が必要となるため、基板の幅を狭くすることは難しい。
【0010】
よって、組み立てが容易で広配光化が可能な照明装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態に係る照明装置は、透光部を有する外囲器、外囲器内に設けられた矩形状の基板、および一対の支持部を有する。基板の一面には、その長手方向に沿った中心線より幅方向一側にずれたライン上に並んで複数の発光素子が実装され、このラインより基板の幅方向他側に外れた位置に電子部品が実装される。一対の支持部は、外囲器の内面に設けられ、基板の長手方向に沿った両端辺を支持する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の照明装置によると、組み立てを容易にでき広配光化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態に係る照明装置の外観斜視図である。
【図2】図2は、図1の照明装置をF2で切断した断面図である。
【図3】図3は、図1の照明装置の回路構成を示す回路図である。
【図4】図4は、図1の照明装置に取り付けた直管形ランプに組み込まれた発光モジュールのモジュール列を光の取り出し側から見た平面図である。
【図5】図5は、図4のモジュール列のうち給電側に最も近い発光モジュールを拡大して示す平面図である。
【図6】図6は、図4のモジュール列の中間に配置される発光モジュールを拡大して示す平面図である。
【図7】図7は、図4のモジュール列のうち給電側から最も遠い発光モジュールを拡大して示す平面図である。
【図8】図8は、図4のモジュール列の配線図である。
【図9】図9は、図5の線F9−F9で発光モジュールを切断した断面図である。
【図10】図10は、図9の発光素子を実装するパッドを光の取り出し側から見た平面図である。
【図11】図11は、図10のパッドに発光素子を設けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る照明装置1の外観斜視図であり、図2は、この照明装置1の断面図である。また、図3は、照明装置1の回路構成を示す配線図である。この照明装置1は、建物の天井Cに固設される器具本体2(以下、単に、本体2と称する)と、この本体2に着脱可能に取り付けられる直管形ランプ10(以下、単に、ランプ10と称する)と、を有する。
【0015】
図1および図2に示すように、本体2は、天井Cに図示しないネジ等を用いて固定される細長い帯状のベース板3、このベース板3の長手方向中央に取り付けられた点灯装置4、ベース板3の長手方向両端に取り付けられた一対のソケット5a、5b、および、点灯装置4や他の図示しない構成部品を覆ってベース板3の表面側に設けられた反射体6を有する。
【0016】
ベース板3は、ランプ10の管軸と略平行に延びた矩形帯状の金属板である。ベース板3には、天井裏から引き込まれた図示しない電源線を接続するための図示しない電源端子台、一対のソケット5a、5bを取り付けるための図示しない支持部材、および反射体6を締結固定するための図示しない支持金具などが取り付けられている。電源端子台は、図示しない配線を介して点灯装置4に接続されている。
【0017】
図3に示すように、点灯装置4は、電源端子台に接続された電源線を介して商用交流電源101から入力される交流電流を直流電流に変換する。一対のソケット5a、5bは、それぞれ、ランプ10の長手方向両端にあるピン10a、10bに接触する端子金具5c、5dを有する。点灯装置4は、配線4aを介して一方のソケット5aの端子金具5cに接続され、直流電流を一方のソケット5aを介してランプ10の一端に給電する。ランプ10の他端にあるピン10bは、もう一方のソケット5bによって単に支持されているだけであり、電気的に接続されているものではない。
【0018】
一対のソケット5a、5bは、ランプ10の両端にある13Gタイプの口金11a、11bに適合するものであり、上述したランプ10の両端のピン10a、10bを差し込んでランプ10を回転することでランプ10が装着される。この状態で、本体2からランプ10への給電が可能となる。言い換えると、ランプ10は、回転することによって容易に器具本体2から取り外し可能である。
【0019】
反射体6は、図2に断面を示すように、ベース板3から下方に離間した位置でベース板3と略平行に延びた矩形帯状の底板部6a、およびこの底板部6aの長手方向に沿った両端辺からベース板3の長手方向に沿った両端辺の外側に向けて広がるように傾斜した一対の矩形帯状の側板部6bを有する。一対の側板部6bの天井Cまで延びた端辺は、ベース板3の端辺に向けて内側に折り曲げられている。本実施形態では、底板部6aと一対の側板部6bは、1枚の金属板を折り曲げて形成されている。
【0020】
底板部6aの長手方向両端には、ソケット5a、5bを通す孔が設けられている。また、底板部6a、および一対の側板部6bの長手方向両端には、一対の端板部6cが設けられている。一対の端板部6cは、底板部6a、一対の側板部6b、およびベース板3で囲まれた空間の長手方向両端を塞ぐように設けられている。
【0021】
底板部6aと一対の側板部6bは、表面が白色系のカラー鋼板によって形成されている。このため、底板部6aの表面および一対の側板部6bの表面は、光の良好な反射面として機能する。なお、この反射体6は、化粧ネジ7をベース板3の図示しない支持金具に螺合することで締結固定される。一対のソケット5a、5bは、底板部6aの長手方向両端にある孔を介してベース板3から離れる方向(図示下方)に突出する。
【0022】
ランプ10は、透光性の樹脂により形成された細長い円筒形の直管12(外囲器)、この直管12の長手方向両端に取り付けられた上述した一対の口金11a、11b、および4つの発光モジュール13a〜13dを有する。発光モジュール13a、13b、13c、13dは、給電側の口金11aから他方の口金11bに向かって、この順番で並んで直管12内に収容配置される。以下、図4に示すように、4つの発光モジュール13a〜13dを挿入順に一列につなげた構造をモジュール列13と称する。
【0023】
図1および図2に示すようにランプ10を本体2に取り付けた状態で、図3に示すスイッチ102をONにすると、ランプ10から放出された光の多くの部分は図示下方(光の取り出し側)に向かい、逆方向、すなわち天井Cに向かう光の一部が反射体6の底板部6aおよび一対の側板部6bによって反射される。つまり、本実施形態の照明装置1は、室内を直接照明する光に加え天井Cを含む部屋全体を照明する全方向の光を放出することができる。
【0024】
ランプ10の直管12は、好ましくは、光の拡散材が混ぜられたポリカーボネート樹脂により形成される。直管12は、少なくとも光出射方向に透光部を有する構造であれば良い。直管12の透光部の拡散透過率は、好ましくは、90%〜95%である。直管12の内面には、4つの発光モジュール13a〜13dをスライドさせて案内するとともに直管12内の所定位置に位置決め配置するための2本のレール14a、14bが突設されている。レール14a、14bは、管軸に沿って連続して真っ直ぐに延設されている。
【0025】
4つの発光モジュール13a〜13dは、予め図4に示すように細長く連結された状態(モジュール列13の状態)で、直管12の一端側から挿通され、一対のレール14a、14b(一対の支持部)によってその長手方向に沿った両端辺が案内されて、直管12内に挿入配置される。このように、レール14a、14bに沿って直管12内にモジュール列13を挿通配置することで、ランプ10の組み立てを容易にできる。
【0026】
このように、円筒形の直管12の内部に平らな帯板状のモジュール列13を取り付ける場合、モジュール列13の長手方向と直交する方向の幅、および直管12の内径によって、モジュール列13の取り付け位置がほぼ決まる。つまり、モジュール列13の幅を狭くすることで、管軸中心からより離れた位置にモジュール列13を取り付けることができ、その分、ランプ10の高配光化に有利となる。
【0027】
反面、モジュール列13の幅を単純に狭くすると、発光素子や電子部品の実装スペースが狭くなってしまう。特に、本実施形態のようにモジュール列13の幅方向両端をレール14a、14bで支持する構造を採用した場合、モジュール列13の幅方向両端にレール14a、14bで支持するための領域が必要となり、この領域に電子部品を実装することができなくなる。
【0028】
よって、本実施形態では、直管12内にレール14a、14bを突設した構造を採用して発光モジュール13a〜13dの取り付けを容易にした上で、ランプ10の高配光化を達成できるようにした。以下、主に、図4〜図11を参照して、狭幅化が可能な発光モジュール13a〜13d(モジュール列13)の詳細な構造について説明する。
【0029】
図4は、上述したモジュール列13を光の取り出し側から見た平面図であり、図5は、4つの発光モジュール13a〜13dのうち給電側に最も近い発光モジュール13aを拡大して示す平面図であり、図6は、4つの発光モジュール13a〜13dのうち中間にある2つの同じ形の発光モジュール13b、13cを拡大して示す平面図であり、図7は、4つの発光モジュール13a〜13dのうち給電側から最も遠い発光モジュール13dを拡大して示す平面図である。
【0030】
図5〜図7に示した発光モジュール13a〜13d、およびこれら発光モジュール13a〜13dを一列につなげた図4に示したモジュール列13は、それぞれ、複数個の発光素子20の中心が、モジュール基板の中心線Lより幅方向一側(図示下側)に片寄った架空のラインL’上に並ぶようにオフセットしたレイアウトを採用したことを特徴としている。また、これに伴い、複数個のコンデンサ15(電子部品)を複数の発光素子20を実装したラインL’より幅方向他側(図示上側)に外れた位置に実装したことを特徴としている。このような部品実装レイアウトを採用したことで、モジュール列13の幅方向両端にレール14a、14bで基板を支持する非実装スペースを確保した上で、モジュール基板の幅を狭幅化できた。
【0031】
モジュール列13の長手方向両端にある発光モジュール13a(図5)および発光モジュール13d(図7)は、それぞれ、その長手方向に沿って5つの基板領域E1〜E5を有する。また、モジュール列13の中間にある発光モジュール13b、13c(図6)は、その長手方向に沿って6つの基板領域E1〜E6を有する。最も給電側に近い発光モジュール13aは、その給電側に最も近い基板領域E1に部品実装領域13eを含む以外、給電側から最も離れた発光モジュール13dと略同じ構造を有する。
【0032】
給電側に最も近い発光モジュール13aは、部品実装領域13eを含む基板領域E1に9個の発光素子20を備え、他の基板領域E2〜E5にそれぞれ8個の発光素子20を備えている。また、中間に位置する発光モジュール13b、13cは、各基板領域E1〜Eそれぞれに8個の発光素子20を備えている。さらに、給電側から最も遠い発光モジュール13dは、給電側から最も離れた基板領域E5に9個の発光素子20を備え、他の基板領域E1〜E4にそれぞれ8個の発光素子20を備えている。つまり、ランプ10の両端に位置した基板領域に実装した発光素子20の数だけが、他の基板領域の発光素子20の数より1つ多くなっている。
【0033】
モジュール列13の長手方向に沿って点在したコンデンサ15は、各発光モジュール13a〜13dそれぞれの各基板領域E1〜E5(E6)毎にそれぞれ1つずつ設けられている。図8にモジュール列13の配線図を示す。これによると、各コンデンサ15は、それぞれの基板領域に実装されている8個或いは9個の発光素子20のLEDチップ21の組と並列接続されている。
【0034】
これにより、各コンデンサ15は、並列接続した複数のLEDチップ21のバイパス素子として機能し、後述する配線パターン31、32に重畳されたノイズ成分がLEDチップに不所望な電流を流すことを防止する。例えば、照明装置1のスイッチ102(図3)をOFFにした状態で、ノイズ電流がLEDチップ21に流れることが防止され、いわゆるランプ10の暗点灯を防止することができる。また、例えば、何らかの要因によって配線パターンに過大な電流が流れた場合であっても、この過電流がLEDチップ21に流れて破壊するような不具合を防止することができる。
【0035】
また、各基板領域E1〜E5(E6)の8個或いは9個のLEDチップ21を並列接続することで、1つのLEDチップ21が通電不良により発光しない場合であっても、残りのLEDチップ21を発光させることができ、ランプ10の1つの基板領域全てのLEDチップ21(発光素子20)が点灯しなくなる不具合を防止できる。
【0036】
なお、給電側に最も近い発光モジュール13aの給電側端部にある部品実装領域13eには、入力コネクタ16、抵抗17、および整流用ダイオード18が実装されている。部品実装領域13eには、発光素子20が配置されていない。このため、これら部品実装領域13eの電子部品16〜18のレイアウトは自由であり、本実施形態では、発光モジュール13aの中心線上にレイアウトされている。
【0037】
このうち、抵抗17、および整流用ダイオード18は、通電によって発熱する。このため、これら電子部品17、18の熱が基板領域E1に実装された発光素子20に伝わることを抑制すべく、整流用ダイオード18と最も給電側に近い発光素子20との間には、発光モジュール13aの幅方向に延びて貫通した長孔19が設けられている。この長孔19は、幅方向に分割して複数設けられても良い。この長孔19は、発光モジュール13aの基板の短手方向に沿った断面積を小さくするために設けられており、それにより、この部分での熱の伝わりを抑制している。
【0038】
図8に示すように、入力コネクタ16は、給電側の発光モジュール13aの配線パターン31、32に接続されている。また、入力コネクタ16は、ランプ10の給電側の口金11aのピン10aに接続されている。そして、9個の発光素子20のLEDチップ21、およびコンデンサ15が、配線パターン32の途中で並列接続されている。
【0039】
同様に、他の発光モジュール13b〜13dも、8個或いは9個のLEDチップ21およびコンデンサ15を並列接続するための配線パターン31、32を有する。そして、4つの発光モジュール13a〜13dは、連結されてモジュール列を構成する際に、モジュール間で配線パターン31、32同士がコネクタ線33によって接線される。これにより、4つの発光モジュール13a〜13dも電気的に接続され、全ての発光素子20がコンデンサ15(および他の電子部品16〜18)とともに給電可能となる。
【0040】
以下、図9乃至図11を参照して、発光モジュール13aの詳細な構造について発光素子20の実装構造とともに説明する。4つの発光モジュール13a、13b、13c、13dの基本構造は略同じであるため、ここでは給電側に最も近い発光モジュール13aについて代表して説明する。図9は、図5の線F9−F9に沿って発光モジュール13aを切断した断面図であり、図10は、発光素子20を実装するパッド41、42を光の取り出し側から見た平面図であり、図11は、図10のパッド41、42に発光素子20を設けた状態の平面図である。
【0041】
図9に示すように、発光モジュール13aは、帯状の平らな基板22、配線パターン31、32、保護層23、複数個のLEDチップ21、ボンディングワイヤ24、25、封止部材26、および各種電子部品15、16、17、18を有する。LEDチップ21は、後述するパッド41上に取り付けられて、ボンディング接続された後、透光性を有する封止部材26によって基板22の表面に封止される。
【0042】
基板22は、ベース層22a、金属層22b、およびカバー層22cを積層した三層構造を有する。最も厚さのあるベース層22aは、樹脂、例えばガラスエポキシ樹脂により形成されている。このガラスエポキシ樹脂製のベース層22aは、熱伝導性が良く比較的安価である。ベース層22aは、ガラスコンポジット材料またはその他の合成樹脂材料によって形成することもできる。
【0043】
金属層22bは、ベース層22aの裏面に積層された例えば銅箔であり、ベース層22aより一回り小さく、その周辺が金属層22bの周辺まで達していない。また、カバー層22cは、ベース層22aの裏面が露出した周辺部、および金属層22bの裏面を覆うように積層されている。カバー層22cは、絶縁材料、例えば合成樹脂製のレジスト層である。基板22は、ベース層22aの裏面に積層された金属層22bおよびカバー層22cによって補強され、反りが防止されている。
【0044】
配線パターン31、32は、例えば、Cu層34、Ni層35、およびAg層36を基板22のベース層22aの表面(すなわち基板22の表面)に順に積層した3層構造を有する。つまり、配線パターン31、32の表面は、銀により形成されており、光を良好に反射する反射面として機能し、その全光線反射率は90%以上である。
【0045】
保護層23は、電気絶縁性の合成樹脂を主成分とした例えば白色のレジスト層であり、一方の配線パターン32の一部を露出させることで図10に示すようなパッド41、42を形成している。配線パターン32は、発光素子20の数に応じた複数のパッド41を接続するパターン部分32aと、同じ数のパッド42を接続するパターン部分32bと、を有する。これら2つのパターン部分32a、32bは互いに電気的に分割されており、いずれか1組のパッド41、42を接続すると電気的に導通する。
【0046】
保護層23は、パッド41、42の領域を除いて、基板22の表面の大部分を覆うように設けられる。つまり、パッド41、42は、配線パターン32のAg層36の表面が露出したものである。なお、保護層23は、白色レジストで形成したため、光を良好に反射する光反射層として機能する。パッド41、42は、発光素子20の実装箇所に設けられ、基板22の長手方向に沿って並べられている。
【0047】
LEDチップ21は、LEDのベアチップであり、例えば、青色の光を発光するタイプのものが用いられる。このベアチップは、サファイア製の素子基板の一面に発光層を備えており、矩形ブロック状の外形を有する。そして、このLEDチップ21は、素子基板の他方の面をパッド41上に接着剤27を用いて接着することで、パッド41の上に実装される。パッド41から離間した発光層の表面には、アノード電極21aおよびカソード電極21bがLEDチップ21の長手方向に離間して設けられている。
【0048】
LEDチップ21のアノード電極21aは、ボンディングワイヤ24を介して、LEDチップ21を実装した比較的大きなパッド41に接続され、カソード電極21bは、ボンディングワイヤ25を介して、比較的小さなパッド42に接続される。つまり、電気的に分離されている2つのパッド41、42は、ボンディングワイヤ24、25を用いてLEDチップ21を接続することで通電可能となる。ボンディングワイヤ24、25は、金属の細線、例えば金の細線であり、図示しないボンディングマシーンを用いて接線される。
【0049】
封止部材26は、透光性を有する樹脂に蛍光体およびフィラーを混合したものである。封止部材26の樹脂は熱可塑性を有する。例えば、この樹脂として、レジン系シリコーン樹脂を用いることが好ましい。レジン系シリコーン樹脂は、三次元架橋された組織を有するため、透光性のシリコーンゴムより硬い。蛍光体は、青色光を吸収して励起されて青色と補色の関係にある黄色光を発光する。
【0050】
そして、封止部材26は、図11に示すように、2つのパッド41、42をカバーする一回り大きな基板表面の領域に塗布されて、LEDチップ21および2本のボンディングワイヤ24、25を封止する。
【0051】
上記構成の発光素子20を実装した発光モジュール13aに配線パターン31、32を介して通電すると、各LEDチップ21のp−n接合部分に順方向の電流が流れ、電気エネルギーを直接変換した青色光が発光される。青色光は、封止部材26を透過して光の取り出し方向へ出射されるとともに、封止部材26に混入された蛍光体を励起発光させる。蛍光体から発光された黄色光は、LEDチップ21から出射された青色光と混ざって白色光として出射される。
【0052】
以上述べた実施形態の直管形ランプ10および照明装置1によれば、細長い帯状の基板を有する発光モジュール13aの中心線Lより幅方向一側にずれた架空の線L’上に複数の発光素子20を配置し、且つ発光素子20の列L’より幅方向他側に外れた位置にコンデンサ15を配置したため、発光モジュール13aの幅を狭くすることができた。これに対し、例えば、同じ幅の基板の中心線上に発光素子20を配置した場合を仮定すると、発光素子20の幅方向両側のスペースが両方とも狭くなってしまい、コンデンサの実装スペースが無くなってしまう。また、発光素子列を中心にすると、基板の幅方向両端にレール14a、14bによる支持領域を設けることもできなくなる。つまり、発光素子20を基板の中心線Lからずれた位置に配置することで、レール14a、14bによる支持構造を採用した上で、発光モジュール13aの狭幅化が可能となった。
【0053】
以上のように、本実施形態によると、直管形ランプ10内に収容配置する発光モジュール13a〜13d(すなわち、モジュール列13)の狭幅化が可能となったことから、直管12の内面に突設した2本のレール14a、14bでモジュール列13の幅方向両端を支持することができ、直管形ランプ10の組み立てを容易にできた。その上、本実施形態によると、モジュール基板の幅を狭くできたため、その分、モジュール列13を直管12の中心から外側にずれた位置に片寄らせて配置することが可能となり、ランプ10の高配光化が可能となった。
【0054】
また、モジュール基板の幅を狭くすることで、基板22の材料コストを低減できランプ10の製造コストを低減でき、照明装置1の製造コストを低減できた。さらに、モジュール基板の幅を狭くすることで、発光モジュール13a〜13d、すなわちモジュール列13を軽くすることができ、ランプ10の軽量化、および照明装置1の軽量化が可能となった。
【0055】
特に、本実施形態のような発光素子20のオフセンした(中心からずらした)レイアウトは、LEDチップ21を基板表面に実装して封止部材26で封止したチップオンボード(COB)タイプの発光モジュール13a〜13dにおいて効果を奏する。つまり、COBタイプの発光素子20は、発光素子20の実装高さが比較的低く、隣接して背の高い素子を実装すると、その素子によって影を生じてしまう。このため、このタイプの発光モジュールでは、発光素子20の列に他の電子部品を一直線に並べて実装すると、その部位で不所望な影を生じ易い。よって、本実施形態のように、COBタイプの発光素子20を有する発光モジュールを用いた場合、発光素子20の列とは幅方向にずれた位置にコンデンサ15を配置することが有効となる。
【0056】
また、本実施形態のようにオフセンした発光素子20の配置は、発光モジュール13a〜13dの製造工程においても以下のような効果を奏する。
一般に、発光素子列がオフセンしない従来の発光モジュールを製造する場合、複数枚の基板を幅方向に並べてつなげ、発光素子やコンデンサなどの電子部品を一斉に実装する。このとき、電子部品の実装工程において、複数枚つながった両端の基板の幅方向端辺からある一定距離の範囲内には、構造上、電子部品を取り付けることができない。つまり、この場合、基板の幅方向端辺から一定距離を超えた位置に電子部品を実装する必要があり、その分、基板の幅を広くする必要がある。その上、基板の中心に沿って発光素子を配置するためには、中心線の反対側でも同じ幅だけ基板領域を設ける必要があり、基板の狭幅化が難しい。このため、従来は、例えば、製品にする基板を1枚減らして、幅方向端部にダミー基板を設け、電子部品の実装位置の制約を無くす方法がとられていた。
【0057】
これに対し、本実施形態の発光モジュール13a〜13dのように、基板の中心線Lから幅方向一側に片寄った位置に発光素子列を設けることで、基板の幅方向他側に比較的広い実装領域を確保することができ、上述した電子部品の実装位置の問題も解決できる。つまり、幅方向に複数枚つなげた基板に電子部品を実装するとき、発光素子列がオフセンして空いた幅方向他側の基板端辺から電子部品を実装することができる。この場合、基板の幅を広げる必要はなく、ダミー基板を設ける必要も無い。
【0058】
よって、本実施形態によると、発光モジュールの製造工程において捨て基板が不要となり、材料コストを低減できる。
【0059】
以上のように、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0060】
例えば、上述した実施形態では、器具本体2に1本のランプ10を取り付けた照明装置1について説明したが、これに限らず、2本以上のランプを器具本体に取り付けた照明装置に本発明を適用しても良い。
【0061】
また、上述した実施形態では、直管形ランプ10を具備した照明装置1について説明したが、これに限らず、環状のランプやパイプ構造を持たないラインモジュールを具備した照明装置に本発明を適用することもできる。環状ランプの場合、円弧状に湾曲した複数枚のモジュール基板を連結させる構造となる。また、ラインモジュールを具備した照明装置では、光の取り出し方向(出射方向)に設けた透光性のカバーが外囲器として機能することになる。
【0062】
また、上述した実施形態では、帯状の細長いモジュール基板を具備した照明装置について説明したが、これに限らず、モジュール基板の長さはいかなる長さであっても良く、帯状に限定されるものではない。
【0063】
さらに、上述した実施形態では、ランプの内部で基板を支持する一対の支持部として、2本のレール14a、14bを用いた場合について説明したが、これに限らず、モジュール基板の長手方向に沿った両端辺を直管12の内面にネジ等を用いて直接固定する構造であっても良く、基板の支持構造はいかなるものであっても良い。また、レールであっても、必ずしも連続している必要はなく、直管12の長手方向に沿って分割された複数本のレールを用いても良い。
【符号の説明】
【0064】
1…照明装置、2…器具本体、3…ベース板、4…点灯装置、5a、5b…ソケット、6…反射体、10…直管形ランプ、11a、11b…口金、12…直管、13…モジュール列、13a、13b、13c、13d…発光モジュール、14a、14b…レール、15…コンデンサ、20…発光素子、21…LEDチップ、22…基板、23…保護層、24、25…ボンディングワイヤ、26…封止部材、31、32…配線パターン、41、42…パッド、C…天井、L…中心線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光部を有する外囲器と;
外囲器内に設けられた矩形状の基板と;
基板の一面の長手方向に沿った中心線より幅方向一側にずれたライン上に並んで実装される複数の発光素子と;
基板の一面側であって、複数の発光素子が並んで実装されたラインから基板の幅方向他側に外れた位置に実装される電子部品と;
外囲器の内面に設けられた基板の長手方向に沿った両端辺を支持する一対の支持部と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記発光素子は、上記基板の上記一面に実装したLEDチップを透光性を有する材料で該一面に封止して設けられていることを特徴とする請求項1の照明装置。
【請求項3】
上記一対の支持部は、上記基板の上記一面と反対側の面を上記外囲器の内面に近付けて該基板を上記外囲器の中心からずれた位置に支持することを特徴とする請求項1または請求項2の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−115005(P2013−115005A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262626(P2011−262626)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】