照明装置

【課題】点光源を用いた照明装置において、全光束低下を抑制でき、正面グレア及び斜めグレアを同時に解消することができ、かつ光源像が制御可能な照明装置を提供すること。
【解決手段】本発明の照明装置(1)は、少なくとも一つの点光源(11)と、点光源(11)から出光する光が入光する少なくとも一つの入光面(13a)及び入光した光が出光する少なくとも一つの出光面(13b)を有する拡散部材(13)と、を具備し、拡散部材(13)は、入光面(13a)及び/又は出光面(13b)に、特定点(P)を中心として複数の凹部及び/又は凸部が略同心円状又は略放射状に配列された凹凸構造(132)を含む凹凸領域(A)を有し、凹凸領域(A)は、特定点(P)を中心とした円周方向(D2)と半径方向(D1)とで拡散角度が異方性を示すことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点光源と拡散部材とを具備する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、発光ダイオード(LED)は、発光効率の向上が著しく省エネに適することから、LEDを用いた種々の照明装置が開発・販売されている。しかしながら、LEDは、指向性の強い点光源であることから、LEDを直視するとグレアが目に入るという問題がある。このようなグレアを抑制するため、照明装置の出光面側に拡散部材を配置した照明装置が知られている。
【0003】
照明装置の出光面側に拡散部材を配置した照明装置においては、一般的にLEDから出光した光の拡散に伴って光量が低下する問題がある。このような拡散に伴う光量の低下の問題を解決するため、部分的に光透過率を変えた拡散部材を用いた照明装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−48955号公報
【特許文献2】特開2003−281923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された照明装置においては、光源から出光した光が、拡散部材における光透過率の高い領域から出光する場合がある。特に、指向性の高いLEDを光源として用いる場合においては、LEDを見る角度によってはグレアが非常に強くなるおそれがある。
【0006】
特に、天井面に設置するダウンライト、ベースライトやシーリングライトのような照明装置においては、斜め下方向から照明装置を目にする機会が多く、従来の部分的に光を変えた拡散部材を用いた場合においては、照明装置の直下方向へのグレア(正面グレア)及び斜め下方向へのグレア(斜めグレア)を同時に解決すること、及び拡散に伴う光量の低下(以下、「全光束の低下」)を同時に解決すること、は困難であった。
【0007】
また、拡散部材は、一般的に点光源からの出射光を等方的に拡げるために使用される。特殊な場合(例えば、ライン状の照明領域が必要な場合など)には、拡散部材が点光源からの出射光を異方的に拡げるために使用される場合もあるが、その方向は拡散部材の特定の一方向に限定される。
【0008】
一方で、等方的な拡散性を有する拡散部材又は一方向に異方的な拡散性を有する拡散部材を用いた場合、光源の像は、円状、楕円状(異方性の度合いが極めて高い場合は線状)のいずれかとなる。このため、これらの光源の像を前提とした非常に狭い範囲で照明装置をデザインせねばならなかった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、全光束低下を抑制でき、正面グレア及び斜めグレアを同時に低減でき、しかも光源像が制御可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上述したような照明装置における従来技術の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、点光源と、特定点を中心とした円周方向と半径方向とで異方性を有する凹凸構造を有する拡散部材と、を具備する照明装置によって、上述した従来技術の問題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明の照明装置は、少なくとも一つの点光源と、当該点光源から出光する光が入光する少なくとも一つの入光面及び入光した光が出光する少なくとも一つの出光面を有する拡散部材と、を具備し、前記拡散部材は、前記入光面及び/又は前記出光面に、特定点を中心として複数の凹部及び/又は複数の凸部が略同心円状又は略放射状に配列された凹凸構造を含む凹凸領域を有し、前記凹凸領域は、前記特定点を中心とした円周方向と半径方向とで拡散角度が異方性を示すことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、拡散部材が特定点を中心として円周方向と半径方向とで異方性を示す凹凸構造を有するので、指向性が高い点光源を用いた場合においても、点光源からの光を異方的に広範囲に拡大できる。これにより、全光束の低下を抑制しつつ、斜めグレア及び正面グレアを共に抑制できると共に、点光源の光源像の形状の制御が可能となる。
【0013】
本発明の照明装置においては、前記拡散部材の形状が、シート状、多角柱状、円筒状、ドーム状、多角錐状、円錐状又はアーチ状のいずれかであることが好ましい。
【0014】
本発明の照明装置においては、前記凹凸構造が、非周期的に設けられたことが好ましい。
【0015】
本発明の照明装置においては、前記凹凸構造は、前記円周方向における平均ピッチの最大値が、前記半径方向の平均ピッチの最大値よりも大きいことが好ましい。
【0016】
本発明の照明装置においては、前記凹凸構造は、前記半径方向における平均ピッチの最大値が、前記円周方向の平均ピッチの最大値よりも大きいことが好ましい。
【0017】
本発明の照明装置においては、前記凹凸領域が、平面視にて略円形であり、複数の略扇形の部分領域に分割されてなることが好ましい。
【0018】
本発明の照明装置においては、前記円周方向において、隣接する2つの前記部分領域の間に、当該2つの部分領域に属する凹凸構造が互いに重なって存在する交差領域を有することが好ましい。
【0019】
本発明の照明装置においては、前記交差領域において、隣接する2つの前記部分領域に属する凹凸構造の交差角度が120度以上であることが好ましい。
【0020】
本発明の照明装置においては、前記拡散部材の拡散角度の最大値が、30度以上であることが好ましい。
【0021】
本発明の照明装置においては、前記拡散部材の拡散角度の最小値が、5度以下であることが好ましい。
【0022】
本発明の照明装置においては、前記凹凸構造の平均アスペクト比の最大値が、0.5以上であることが好ましい。
【0023】
本発明の照明装置においては、前記凹凸構造の平均ピッチの最小値が、20μm以下であることが好ましい。
【0024】
本発明の照明装置においては、前記凹凸構造の平均ピッチの最大値が、100μm以上であることが好ましい。
【0025】
本発明の照明装置においては、前記拡散部材の拡散角度が最大値を示す方向における拡散角度が、前記凹凸領域の中心から外側に向かって連続的に変化することが好ましい。
【0026】
本発明の照明装置においては、前記拡散部材は、前記入光面及び/又は前記出光面に、複数の前記凹凸領域を有することが好ましい。
【0027】
本発明の照明装置においては、前記点光源は、平面視において前記凹凸領域の中心と略一致する位置に配置されたことが好ましい。
【0028】
本発明の照明装置においては、前記点光源が、発光ダイオードであることが好ましい。
【0029】
本発明の照明装置においては、前記凹凸構造は、コヒーレントな光が拡散板を通過した後に干渉により生成するスペックルパターンを用いて感光性材料を露光及び現像することによって形成された凹凸構造を転写したものであることが好ましい。
【0030】
本発明の拡散部材の製造方法は、上記照明装置を構成する拡散部材の製造方法であって、感光性材料を含む感光材層を有するフィルム状部材に対して、感光材層の特定点を中心としてフィルム状部材を連続的または断続的に回転させることによって、特定点を頂点とする略扇形状の開口領域を順次ずらしつつ前記スペックルパターンによって露光する工程を含むことを特徴とする。
【0031】
本発明の拡散部材の製造方法は、上記照明装置を構成する拡散部材の製造方法であって、前記スペックルパターンを用いて形成された凹凸構造を有する感光性材料、又はその凹凸構造を転写したマスタから複数の略扇形状の部材を切り出す切り出し工程、前記複数の略扇形状の部材を凹凸構造が略同心円状又は略放射状となるように略円形に配列する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、全光束低下を抑制でき、正面グレア及び斜めグレアを同時に低減でき、しかも光源像が制御可能な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態に係る拡散部材を具備する照明装置の一例の断面模式図である。
【図2】本実施の形態に係る拡散部材の一例を示す平面模式図である。
【図3】本実施の形態に係る拡散部材における凹凸領域の部分拡大図である。
【図4】本実施の形態に係る拡散部材の他の例を示す平面模式図である。
【図5】ドーム状の拡散部材の一例を示す模式図である。
【図6】本実施の形態に係る拡散部材の製造方法を示す概念図である。
【図7】本実施の形態に係る拡散部材の製造方法を示す概念図である。
【図8】実施例に係る照明装置のLEDの配置を示す模式図である。
【図9】実施例に係る照明装置の光源像を示す模式図である。
【図10】実施例に係る照明装置の光源像を示す模式図である。
【図11】実施例に係る照明装置の光源像を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変更して実施できる。また、各図面に記載の各構成要素の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0035】
本発明の一実施の形態に係る照明装置は、少なくとも1つの点光源と、この点光源から入射した光を拡散して出光する拡散部材とを具備する。拡散部材は、光源から出光した光を入光する少なくとも1つの入光面及び入光面から入光した光を出光する少なくとも1つの出光面を有する。また、拡散部材は、入光面及び/又は出光面に設けられた複数の凹部及び凸部を含む凹凸構造を有する。
【0036】
図1は、本実施の形態に係る照明装置1の一例を示す断面模式図である。本実施の形態に係る照明装置1は、支持部材10上に配設された点光源11と、この点光源11と被照射面12(例えば、床面)との間に配置されるシート状の拡散部材13とを具備する。拡散部材13は、点光源11の光を透過する光透過性材料で構成され、概して平板形状を有する。拡散部材13は、その一対の主面が被照射面12に対して略平行となるように配置される。この照明装置1においては、点光源11から出光した光が拡散部材13によって拡散され、拡散された光が被照射面12を照らすように構成されている。なお、点光源11は、支持部材10上に複数設けてもよい。
【0037】
拡散部材13は、点光源11側の一方の主面が、点光源11から出光した光を入光する入光面13aとなる。この入光面13aと対向する他方の主面が、入光面から入光した光を出光する出光面13bとなる。拡散部材13は、概してシート状の基材131と、この基材131の少なくとも一方の主面上に設けられた凹凸構造132と、を備える
【0038】
拡散部材13の凹凸構造132は、入光面13a及び/又は出光面13bに設けられる。本実施の形態においては、凹凸構造132は、入光面13aとなる基材131の一方の主面上に設けられる。なお、凹凸構造132は、拡散部材13の出光面13b側となる基材131の他方の主面上に設けてもよく、拡散部材13の入光面13a及び出光面13bとなる基材131の両面にそれぞれ設けてもよい。
【0039】
次に、拡散部材13の構成について詳細に説明する。拡散部材13は、入光面13a及び/又は出光面13bに、特定点を中心として複数の凹部及び/又は複数の凸部が略同心円状又は略放射状に配列された凹凸構造を含む凹凸領域を有する。この凹凸領域は、特定点を中心とした円周方向と半径方向とで拡散角度が異方性を示す。拡散角度の異方度は、正面及び斜めグレアの低減と、全光束の低下の抑制と、を両立するために2以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、20以上であることが更に好ましい。なお、異方度とは、測定点において、拡散角度が最大値を示す方向の拡散角度の値を、拡散角度が最小値を示す方向の拡散角度の値で割った値をいうものとする。
【0040】
図2は、本実施の形態に係る拡散部材13の一例を示す平面模式図であり、凹凸構造132の一例を示している。図2においては、図1に示す照明装置1において、点光源11側から見た拡散部材13を模式的に示している。
【0041】
図2に示すように、この拡散部材13においては、その入光面13a上に、特定点Pを中心として複数の凹部132a(又は凸部、以下同様)が、略同心円状に配列された凹凸構造132が設けられている。この凹凸構造132は、拡散部材13の入光面13aにおける特定点Pを中心として平面視にて略円形形状の凹凸領域Aを構成している。なお、図2に示す例では、凹凸領域Aが平面視にて略円形形状の例を示しているが、凹凸領域Aの形状としては、少なくとも凹凸構造132を含む形状であれば、略円形形状に制限されず、適宜変更可能である。なお、点光源11は、正面グレア及び斜めグレアを低減する観点から、平面視において凹凸領域Aの中心と略一致する位置に配置することが好ましい。
【0042】
凹凸領域Aは、平面視にて略扇形形状の複数の部分領域に分割される。本実施の形態においては、凹凸領域Aは、特定点Pを中心として、中心角30度の略扇形形状の12個の部分領域a1〜a12に分割される。各部分領域a1〜a12には、平面視にて略楕円形状を有する複数の凹部132aが設けられている。
【0043】
複数の凹部132aは、その短軸の方向が特定点Pに対する半径方向D1と略一致するように設けられている。複数の凹部132aは、特定点Pを中心として同心多重円状となるように、隣接する部分領域a1〜a12に設けられた凹部132aの長軸の両端部が互いに近接するように設けられる。複数の凹部132aは、凹凸領域Aの円周方向D2におけるピッチp2が、半径方向D1におけるピッチp1より大きくなるように配置される。これにより、拡散部材13の凹凸領域Aにおいては、特定点Pを中心とする円周方向D2と半径方向D1とで拡散角度の異方性が発現する。図2に示す例では、半径方向D1における拡散角度が円周方向D2における拡散角度に対して相対的に大きくなる。
【0044】
図3は、図2に示した拡散部材13の凹凸領域Aの部分拡大図である。なお、図3においては、図2に示した部分領域a1〜a3を拡大して示している
【0045】
図3に示すように、拡散部材13は、特定点Pを中心とする円周方向D2において、隣接する2つの部分領域(例えば、a1及びa2)の間に、この2つの部分領域に属する凹部132aの端部が互いに重なって存在する交差領域Bを有することが好ましい。このように、交差領域Bが存在することにより、隣接する2つの部分領域(例えば、a1及びa2)の間と交差領域Bとの間の拡散角度の差を低減できるので、正面グレア及び斜めグレアをより低減できる。
【0046】
また、交差領域Bにおいては、隣接する2つの部分領域(例えば、a1,a2)に属する凹凸構造132(凹部及び/又は凸部)の交差角度θが120度以上180度未満であることが好ましい。交差角度θが、120度以上であれば、滑らかな光源像を得ることができる。交差角度θとしては、144度以上180度未満であることがより好ましく、150度以上180度未満であることがさらに好ましい。ここで、「交差角度」とは、隣接する部分領域を繋いでゆくことで得られる仮想的な多角系の内接角の最大値を意味する。例えば、図2に示す例では、凹凸構造132が12個の部分領域a1〜a12を有することから、隣接した部分領域a1〜a12に属する凹凸構造132の交差角度θは、正十二角形の内接角に相当する150度となる。
【0047】
図2に示す例においては、凹凸構造132としては、特定点Pを中心とした円周方向D2における平均ピッチの最大値が、半径方向D1における平均ピッチの最大値よりも大きいことが好ましい。これにより、点光源11からの光を集光することが可能となる。ここで、平均ピッチとは、拡散部材13の凹凸構造132の隣接する凸部の頂点間、又は隣接する凹部の底間のピッチの平均のことである。平均ピッチは、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、レーザー顕微鏡及び表面形状測定機などを用いて観察することで測定することができる。
【0048】
図4は、本実施の形態に係る拡散部材13の他の例を示す平面模式図であり、凹凸構造132の他の例を示している。図4においては、図2と同様に図1に示す照明装置1において、点光源11側から見た平面模式図を示している。
【0049】
図4に示すように、この拡散部材13においては、その入光面13a上に、特定点Pを中心として複数の凹部132a(又は凸部、以下同様)が、略放射状に配列された凹凸構造132が設けられている。この凹凸構造132は、拡散部材13の入光面13aにおける特定点Pを中心とする平面視にて略円形形状の凹凸領域Aを構成している。なお、図2に示す例では、凹凸領域Aが平面視にて略円形形状の例を示しているが、凹凸領域Aの形状としては、少なくとも凹凸構造132を含む形状であれば、略円形形状に制限されず、適宜変更可能である。また、点光源11は、正面グレア及び斜めグレアを低減する観点から、平面視において凹凸領域Aの中心と略一致する位置に配置することが好ましい。
【0050】
凹凸領域Aは、平面視にて略矩形形状の部分領域に分割される。本実施の形態においては、凹凸領域Aは、特定点Pを中心として、中心角30度の略扇形形状の12個の部分領域a1〜a12に分割される。各部分領域a1〜a12には、平面視にて略楕円形状を有する複数の凹部132aが設けられている。
【0051】
複数の凹部132aは、その長軸の方向が特定点Pに対する半径方向D1と略一致するように設けられている。複数の凹部132aは、特定点Pを略中心として略放射状となるように、各部分領域a1〜a12に設けられた凹部132aの長軸の両端部が互いに近接するように設けられている。複数の凹部132aは、凹凸領域Aの半径方向D1におけるピッチp1が、円周方向D2におけるピッチp2より大きくなるように配置される。これにより、拡散部材13の凹凸領域Aにおいては、特定点Pを中心とする円周方向D2と半径方向D1とで拡散角度の異方性が発現する。図4に示す例では、半径方向D1における拡散角度が円周方向D2における拡散角度に対して相対的に小さくなる。
【0052】
図4に示す例においては、凹凸構造132としては、半径方向D1における平均ピッチp3の最大値が、円周方向D2における平均ピッチp4の最大値よりも大きいことが好ましい。これにより、点光源11からの光を集光することが可能となる。
【0053】
このように、本実施の形態に係る照明装置1においては、凹凸領域Aが特定点Pを中心とした円周方向と半径方向とで異方性を有するので、点光源11から入光した光が凹凸領域Aによって適度に拡散され、斜めグレア及び正面グレアを低減することができる。また、本実施の形態においては、凹凸領域Aが、平面視にて略円形形状を有すると共に、複数の略扇形形状の部分領域a1〜a12に分割されるので、光源像を略円形に制御することができる。光源像を略円形に制御することにより、照明装置1をどの方向から見た場合においてもグレア抑制効果を付与することができる。
【0054】
なお、図1に示す例では、シート状の拡散部材13を用いた例について説明したが、拡散部材13としては、必ずしもシート状のものを用いる必要はなく、立体的な形状を有する拡散部材を用いてもよい。この場合、拡散部材13の形状としては、成形性の観点から、シート状、多角柱状、円筒状、ドーム状、多角錐状、円錐状、又はアーチ状のいずれかであるものが好ましい。ここで、ドーム状とは、例えば、球又は楕円体のような、表面が曲面からなる立体を平面で切断することによってできる立体の形状をいう。また、アーチ状とは、上記各種形状の立体から一回り小さい上記各種形状(各種形状とは異なる形状であってもよい)の立体を除去することによってできる立体の形状をいい、例えば、半球から底面を共有し半径が一回り小さい半球を除去してできる半球殻が挙げられる。立体的な形状を有する拡散部材は、例えば、多角柱状、円筒状、ドーム状、多角錐状、円錐状、アーチ状などの立体的な形状の基材131を用いることにより作製できる。
【0055】
拡散部材13として、多角柱状や円筒状のものを用いる場合、例えば、対向する一対の主面のうち、一方の主面を光源側に配置する。この場合、光源側の一方の主面が入光面となり、他方の主面が出光面となる。そして、一方の主面及び/又は他方の主面に図2又は図4に示したような凹凸領域を設け、一方の主面から他方の主面に向けて光を透過することにより、図1に示した拡散部材13と同様の効果を得ることができる。また、拡散部材13として、ドーム状のものを用いる場合、例えば、平面を光源側に配置する。この場合、平面が入光面となり、曲面が出光面となる。そして、平面及び/又は曲面に図2及び図4に示した凹凸領域を設け、平面から曲面に向けて光を透過することにより、図1に示した拡散部材13と同様の効果を得ることができる。
【0056】
図5A及び図5Bは、ドーム状の拡散部材13の一例を示す図である。図5Aに示すように、この拡散部材13は、底面から一方向に膨出したドーム状の基材131を用いて作製される。この拡散部材13においては、ドーム状の基材131の曲面の全面に凹凸領域Aが設けられている。この凹凸領域Aは、ドーム状の基材131の頂部を特定点Pとして、放射状に12の部分領域a1〜a12(図5Aにおいては、一部の部分領域a1〜a5のみを示している)に分割される。図5Bに示すように、各部分領域a1〜a12は、平面視にて略扇形形状をなしている。また、各部分領域a1〜a12内には、図2及び図4に示した例と同様に、特定点Pを中心として略同心円状又は略放射状に凹凸構造が設けられている。この拡散部材13においては、各部分領域a1〜a12の内周面に凹凸構造を設けてもよく、外周面に凹凸構造を設けてもよい。なお、凹凸構造は、図2及び図4に示した凹凸構造をドーム状の基材131の曲面に投影した形状となるように設ける。また、特定点Pは、必ずしも頂部に設けなくともよい。
【0057】
また、拡散部材13として、アーチ状のものを用いる場合、例えば、一方の曲面を光源側に配置する。この場合、光源側の一方の曲面が入光面となり、他方の曲面が出光面となる。そして、入光面及び/又は出光面に凹凸領域を設け、一方の曲面から他方の曲面に向けて光を透過することにより、図1に示した拡散部材13と同様の効果を得ることができる。また、拡散部材13として、多角錐状、円錐状のものを用いる場合、例えば、底面を入光面側に配置する。この場合、底面が入光面となり、側面(曲面又は側面)が出光面となる。そして、底面及び/又は側面に凹凸領域を設け、底面から側面に向けて光を透過することにより、図1に示した拡散部材13と同様の効果を得ることができる。なお、曲面上に凹凸領域を設ける場合においては、凹凸領域は、図2及び図4に示した凹凸構造132を曲面に投影した形状となるように設ける。
【0058】
また、図1に示す例では、入光面13a及び出光面13bをそれぞれ1つずつ有する拡散部材13を用いた例について説明したが、拡散部材13としては、入光面13a及び/又は出光面13bをそれぞれ複数有するものを用いてもよい。このような拡散部材13においては、用いる基材131の形状に応じて、入光面13a及び/又は出光面13bが複数設けられる。例えば、多角柱状、多角錐状の基材131を用いることにより、入光面13a及び/又は出光面13bを2つ以上有する拡散部材13を作製できる。また、円筒状、ドーム状、円錐状、アーチ状の基材131を用いることにより、入光面13a及び/又は出光面13bが曲面である基材131を作製できる。なお、立体的な形状を有する拡散部材13を用いる場合においては、少なくとも一つの入光面13a及び/又は出光面13bに凹凸構造132を設ければよい。なお、入光面13a及び/又は出光面13bを複数有する拡散部材13を用いる場合においては、凹凸領域は、複数の入光面13a及び出光面13bに対して、図2及び図4に示した凹凸構造を平面に投影した形状となるように設ける。
【0059】
なお、図2及び図4に示した凹凸領域Aは、拡散部材13の入光面13a及び/又は出光面13bに複数設けてもよい。特に、複数の点光源11を有する照明装置1においては、平面視にて各凹凸領域Aの特定点Pの位置と各点光源11の位置とが略一致することが好ましい。これにより、各点光源1について最適な配光を達成することができる。なお、拡散部材13が複数の凹凸領域Aを有する場合、各凹凸領域Aの凹凸構造132の構成は、同じであってもよく、異なるものであってもよい。
【0060】
なお、本発明においては、特定点Pとは、略同心円状又は略放射状に配列された凹凸構造132の中心を示すものであり、必ずしも凹凸領域Aの中心を表すものではない。また、図2及び図4においては、特定点Pが、平面視にて略円形形状となるように設けられた凹凸領域Aの略中央部に設けられた例について説明したが、特定点Pの位置及び凹凸領域Aの形状は、適宜変更可能である。例えば、凹凸領域Aの形状としては、略円形形状の凹凸領域Aの一部が切り取られた形状であってもよく、特定点Pを頂点とする複数の略扇形形状の部分領域に分割された形状であってもよい。ここで、略円形形状とは、円形形状又は特定点Pに対する6角形以上の点対称性を有する同心多角形形状をいうものとする。略円形形状が円形形状の場合には、部分領域a1〜a12の形状は略扇形形状となる。また、略円形形状が同心多角形の場合には、部分領域a1〜a12の形状は、略二等辺三角形となる。
【0061】
点光源11としては、光を発する機能を有するものであれば、表示形態、寸法、配光範囲に制限されず、本発明の効果を奏する範囲で各種光源を用いることができる。また、点光源11としては、自発光光源を用いることが好ましい。自発光光源としては、例えば、LED、白熱灯、ハロゲンランプ、水銀灯、キセノンランプ、ナトリウムランプ、及び可視光レーザーなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら中でもLEDは、発した光の発散性が低いので照射面においても高輝度を保ったライン状照明装置を得やすいこと、発光効率の高さや光源の小型化が可能なことから好ましい。LEDとしては、LEDチップを単独で用いてもよく、COB型(Chip On Board型)LEDなどの単一光源として用いてもよく、LEDチップが複数実装された複数光源を用いてもよい。
【0062】
拡散部材13としては、例えば、表面に凹凸構造を有する表層を紫外線硬化樹脂によって平滑な光透過性の基材層の上に賦形したものを用いてもよく、表面凹凸構造を有する金型を用いて射出成形によって光透過性の基材の表面に直接賦形したものを用いてもよい。
【0063】
基材131としては、点光源11からの光を透過する光透過性の部材であれば、本発明の効果を奏する範囲で各種光透過性部材を用いることが可能である。基材131としては、例えば、光透過性を有するシート材、フィルム材、膜材、又は板材などを用いることができる。また、基材131の材質としては有機材料、無機材料、又は有機材料及び無機材料からなる複合材料を用いることができる。ここで、有機高分子材料などの有機材料は、切断等の加工性に優れるため好ましい素材である。有機高分子としては、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリスルホン、セルロース、トリアセチルセルロース、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロロビニル、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ポリエーテル−ポリアミドブロックコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、及びシクロオレフィンポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
基材131の厚みとしては、40μm以上であることが好ましい。また基材131の光透過率としては、85%以上であることが好ましい。
【0065】
正面グレア及び斜めグレアを抑制するための良好な集光性能を発揮する観点から、拡散部材13の拡散角度の最大値としては、30度以上であることが好ましく、40度以上であることがより好ましく、60度以上であることが更に好ましい。拡散部材13としては、拡散角度の最大値が同心円の中心から外側に向かって連続的に変化するものを用いてもよい。これにより、光量の分布に応じたグレアの抑制ができる。
【0066】
全光束の低下を抑制する観点から、拡散部材13の拡散角度の最小値としては、5度以下であることが好ましく、1度以下であることがより好ましい。
【0067】
拡散角度は、例えば、変角光度計(GC−5000L、日本電色工業社製)やビームプロファイラ(NanoScan、フォトン・インク(Photon Inc.)社製)を用いて測定する。拡散角度は、拡散部材13の凹凸構造132形成面に対する法線方向から、拡散部材13の凹凸構造132を有する表層に入射した光の出射角度に対する透過光強度の分布を測定し、出射光強度の最大値の半分以上の値となる拡散角度の範囲(半値幅)を求めることによって得られる。拡散部材13に対する法線方向とは、拡散部材13の表面に対して垂直な方向のことである。すなわち、拡散部材13が平面の場合には、当該平面に対する垂直方向である。拡散部材13の基材131がドーム状やアーチ状などの立体的な構造を有する場合には、曲面に設けられた凹凸構造132を、既知の屈折率を有する平板状の透明な型取り材料に転写し、平板状の型取り部材に転写された凹凸構造について同様の測定を行うことで、拡散角度を求めることができる。
【0068】
凹凸構造132としては、十分な集光性能を発現する観点から、平均アスペクト比の最大値が0.5以上であることが好ましい。ここで、アスペクト比とは、凸部高さの1/2の位置における凸部の幅に対する凸部高さの比(高さ/幅)で定義される。平均アスペクト比の最大値は、略同心円状に配列された凹凸構造132(図2参照)においては、半径方向D2における所定の位置(r)において、円周方向D2にアスペクト比を走査したときの平均アスペクト比をX(r)とし、半径方向D1における所定の位置(r)を0から最大まで変化させたときのX(r)の最大値である。また、略放射状に配列された凹凸構造132(図4参照)においては、円周方向D2における所定の角度位置(θr)で半径方向D2に走査したときの平均アスペクト比をY(θr)とし、円周方向D2においる所定の位置(θr)を0度から359度まで変化させたときのY(θr)の最大値である。
【0069】
拡散部材13の凹凸構造132としては、平均ピッチの最小値が、凹凸構造の視認性を低下する観点から、100μm以下であることが好ましい。また、平均ピッチの最小値としては、拡散部材13の外観上のざらつき感を抑制する観点から、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。ここで、平均ピッチとは、拡散部材13の凹凸構造の隣接する凸部の頂点間又は凹部の底間のピッチの平均値である。平均ピッチは、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、レーザー顕微鏡及び表面形状測定器などを用いて観察することにより測定することができる。平均ピッチの最小値は、略同心円状に配列された凹凸構造を有する拡散部材13においては、半径方向D1における所定の位置(r)において、円周方向D2にアスペクト比を走査したときの平均ピッチをX(r)とし、半径方向D1における所定の位置(r)を0から最大まで変化させたときのX(r)の平均ピッチの最小値である。また、略放射状に配列された凹凸構造132(図4参照)においては、円周方向D2における所定の角度位置(θr)で半径方向D1に走査したときの平均ピッチをY(θr)とし、円周方向D2においる所定の位置(θr)を0度から359度まで変化させたときのY(θr)の平均ピッチの最小値である。
【0070】
拡散部材13の凹凸構造132としては、平均ピッチの最大値が、最小拡散角度を下げる観点から、10μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることがさらに好ましい。平均ピッチの最大値は、略同心円状に配列された凹凸構造を有する拡散部材13においては、半径方向D1における所定の位置(r)において、円周方向D2にアスペクト比を走査したときの平均ピッチをX(r)とし、半径方向D1における所定の位置(r)を0から最大まで変化させたときのX(r)の平均ピッチの最大値である。また、略放射状に配列された凹凸構造132(図4参照)においては、円周方向D2における所定の角度位置(θr)で半径方向D1に走査したときの平均ピッチをY(θr)とし、円周方向D2においる所定の位置(θr)を0度から359度まで変化させたときのY(θr)の平均ピッチの最大値である。
【0071】
また、凹凸構造132としては、コヒーレントな光が拡散板を通過した後に干渉により生成するスペックルパターンを用いて感光性材料を露光、及び現像することによって形成された凹凸構造を転写したものであることが好ましい。
【0072】
拡散部材13の凹凸構造132としては、多数の微細突起部からなる構造であれば特に制限はない。微細突起部の形状としては、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状及び略放物面状のいずれでもよい。また、微細突起部間は、連続的な曲面でつながっていてもよい。
【0073】
また、凹凸構造132は、非周期的に設けられることが好ましい。凹凸構造132を非周期的に設けることにより、ぎらつきの抑制や多重影の発生を抑制できる。ここでいう「非周期的」とは、隣接する数個の凹部132a(又は凸部)の高さ及びピッチの少なくとも一方がランダムであることを意味する。
【0074】
次に、本実施の形態に係る照明装置1に用いられる拡散部材13の製造方法について説明する。本実施の形態に係る拡散部材13の製造方法は、上記照明装置1を構成する拡散部材13の製造方法であって、感光性材料を含む感光材層を有するフィルム状部材に対して、感光材層の特定点を中心としてフィルム状部材を連続的または断続的に回転させることによって、特定点を頂点とする略扇形状の開口領域を順次ずらしつつスペックルパターンによって露光する工程を含む。
【0075】
また、本実施の形態に係る照明装置1に用いられる拡散部材13の製造方法は、上記照明装置1を構成する拡散部材13の製造方法であって、スペックルパターンを用いて形成された凹凸構造を有する感光性材料、又はその凹凸構造を転写したマスタから複数の略扇形状の部材を切り出す切り出し工程、前記複数の略扇形状の部材を凹凸構造が略同心円状又は略放射状となるように略円形に配列する工程を含む。
【0076】
拡散部材13の凹凸構造132としては、例えば、スペックルパターンを用いて感光性材料を露光及び現像することによって非周期的な凹凸構造を形成する。この非周期的な凹凸構造は、例えば、以下のようにして形成することができる。
【0077】
まず、干渉露光により予めスペックルパターンを形成したサブマスタ型を作製し、このサブマスタ型に電鋳などにより金属を被着する。そして、被着した金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。次に、光透過性材料で構成された基材にマスタ型を用いて紫外線硬化樹脂による賦形により、又はマスタ型を用いた射出成型により、光透過性材料で構成された基材の表面にスペックルパターンを転写する(硬化した紫外線硬化樹脂からなるスペックルパターン層を基材の表面に成形する)。このスペックルパターンが拡散部材13の凹凸構造132となる。
【0078】
ここで、スペックルパターンとは、コヒーレントな光が拡散板を通過した後の空間に干渉によって生成するランダムな強度を有する光分布パターンのことであるが、空間に感光性樹脂層を有する基板を設置して露光及び現像することによって、ランダムな表面凹凸構造に変換され、構造を有するサブマスタ型を製造することができる。本実施の形態においては、このランダムな表面凹凸構造のこともスペックルパターンという。
【0079】
上述したサブマスタ型の詳細な製造方法については、例えば、以下の製造方法が挙げられる。まず、ホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光により感光性媒体を露光し、露光した感光性媒体を現像することにより、スペックルパターンに由来する非周期的な凹凸構造を有するサブマスタ型を作製する。次に、作製したサブマスタ型から基材へと表面構造を転写することにより、非周期的な凹凸構造を有するシートを得ることができる。このシートの非周期的な凹凸構造は、スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調整することにより、拡散部材13の凹凸構造132が調節され、凹凸構造132の平均ピッチを制御することができる。スペックルパターンの寸法、形状及び方向の調節方法については、例えば、特許第3390954号公報などに記載された公知の方法を用いることができる。
【0080】
また、スペックルパターンで特徴づけられた拡散部材2の表面凹凸構造は、拡散部材2の一方の面にのみ設けられていてもよいし、複数の面に設けられていてもよい。
【0081】
スペックルパターン露光時に、レンズあるいは感光性媒体を回しながら重ねて露光することで略同心円状に配列した表面凹凸構造を有するサブマスタ型を得ることができる。例えば、図6に示すように、光源(不図示)側からホログラフ拡散体を有するスリット101、フォトマスク102及び開口領域103aを有し感光性材料からなる感光材層を有するフィルム状部材103をこの順に配置する。そして、ホログラフ拡散体を有するスリット101を介して光源からレーザー光を照射することにより、スペックルを発生させ、フォトマスク102を通してフィルム状部材103を感光剤層の特定点Pを中心として、連続的又は断続的に回転させることで、特定点Pを頂点とする略扇形の開口領域103aを順にずらしつつスペックルパターンによって露光する方法が挙げられる。
【0082】
また、図7に示すように、異方性を有するサブマスタ型(又はマスタ型)201を略二等辺三角形又は略扇形の部材202(以下「扇形部材」という)に切り出し、複数の扇形部材202をその凹凸構造が略同心円状または略放射状となるように略円形形状に配列し、その配置物から当該凹凸構造を転写することでも、略同心円状または略放射状に配列された複数の凹部(又は凸部)を含む凹凸構造を有する略円形の凹凸領域を有する拡散部材13を得ることができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例及び比較例について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
【0084】
以下の実施例においては、上記実施の形態に係る拡散部材を用いて照明装置を作製し、光学特性(全光束など)、グレアの発生、光源像について評価した。また、以下の比較例においては、上記実施の形態に係る拡散部材を用いずに照明装置を作製し、その光学特性、グレアの発生などを実施例に係る照明装置と比較した。まず、照明装置の評価方法について説明する。
【0085】
(配光特性の測定)
配光特性は、照度計(商品名:ルクスハイテスタ、日置電機社製)を用いて測定した。照明装置の出光面に対する垂直方向と、照明装置の出光面から出光する光線の方向と、のなす角度の絶対値は、以下のように、照明装置の出光面の中心位置を基準として照明装置を回転させることで設定した。
【0086】
測定する照明装置の中心位置を基準として、照度計を水平距離d=4000mm離して設置し、照明装置を水平方向に5度毎に回転させながら、出光面の鉛直方向を0度とした水平方向への回転角が−90度〜90度の範囲で測定した照度値Eを、下記式(1)によって光度Iに換算し、照明装置の配光分布を得た。
I=E・d…式(1)
【0087】
(1/2ビーム角の測定)
1/2ビーム角は、照明装置の出光面に対する垂直方向と、光度が出光面に対する垂直方向における光度の1/2となる方向と、のなす角度の絶対値の2倍の角度とした。1/2ビーム角は、照明装置の出光面に対する垂直方向となる角度を、光源を1度毎に回転させながら測定した。
【0088】
(全光束の測定)
全光束は、「球帯係数法」に従って測定した。下記式(2)によって全光束φを算出し、上記照明装置において、光源からの出光面側に光学シートを配置しない場合の全光束を100とした場合の相対値として評価した。なお、下記式(2)におけるZ(r)は球帯係数であり、光度に無関係な値である。また、I(r)は回転角rに照明装置(光源)を設定したときの光度である。
φ=ΣZ(r)・I(r)…式(2)
【0089】
(グレアの評価)
正面グレアは、照明装置の出光面の鉛直方向(0°)で4000mmの距離から照明装置を直視した際の目視により評価した。斜めグレアは、出光面の斜め方向(方位角30°〜方位角60°の範囲)で4000mmの距離から照明装置を直視した際の目視により評価した。
◎:不快でない(直視に堪える)
○:やや不快である(LEDの輝点がややぼやけている)
×:不快である(LEDの輝点が目立ち、直視に堪えない)
【0090】
[実施例1]
(拡散シートの作製)
実施例1においては、ホログラフ拡散体(特許第3413519号公報参照)を通して拡散された干渉光により感光性媒体を露光し、現像することにより、スペックルパターンに由来する面内で均等な異方性を有し、非周期的な凹凸構造を有するサブマスタ型を作製した。基材としては、厚さ80μmのPET基材(型番:A4300、東洋紡社製)を使用した。
【0091】
作製したサブマスタ型とPET基材との間で、厚さ約20μmとなるように塗布した光硬化性樹脂(ノーランド社製、光学用接着剤NOA63)を光硬化させた後、サブマスタ型を剥離させることにより、表面に凹凸構造を有する表層を基材上に形成した拡散シートを作製した。スペックルパターンの寸法、形状及び方向の制御により、拡散シートの凹凸構造の平均ピッチは、最小値が6.2μmであり、最大値が70μmであった。
【0092】
変角光度計(日本電色工業社製、GC−5000L)を用いて、光源からの光が拡散部材の凹凸構造形成面から照射して作製した拡散シートの拡散角度を測定した結果、拡散角度は、最大値が60度であり、最小値が1度であった。
【0093】
(拡散部材の作製)
上記拡散シートから、中心角の角度が30度の扇形となり、円弧方向の拡散角度が最小値1度となり、半径方向の拡散角度が最大値60度となるように12枚の拡散シートを切り出した。切り出した扇形の12枚の拡散シートをその頂点が中心となるように円状に並べて接合することにより、略同心円状に配列した凹凸構造を有する拡散部材を作製した。したがって、拡散部材の凹凸構造の平均ピッチは、最小値が6.2μm(半径方向)であり、最大値が70μm(円周方向)であった。拡散部材の拡散角度は、円周方向が60度であり、半径方向が1度であった。
【0094】
(照明装置の作製)
点光源として、発光面が直径60mmの円形形状であるCOB型LEDを用いた。上記拡散部材をLEDの発光面からの距離が10mmとなるように、その平滑面側を点光源に向けて設置し(凹凸構造が出光面側となるように設置)、照明装置を作製した。作製した照明装置の配光特性を測定した結果、1/2ビーム角は62度であった。測定した配光特性を元に全光束を評価したところ、98であった。拡散部材の正面グレア及び斜めグレアを評価したところ、正面グレアが○、斜めグレアは◎と共に良好に抑制されていた。
【0095】
(光源像の評価)
上記照明装置の点光源として、発光面が直径60mmの円形形状であるCOB型LEDに換えて発光面積が3mm×3mmのチップ型LED300(6個)を、17mm間隔で六角形状に配置して用いた(図8参照)。拡散部材の平滑面が点光源側となるように、点光源と拡散部材との間の距離が30mmとなるように配置して照明装置を作製した。その結果、光源像301は、図9に示すように、略放射状であった。
【0096】
[実施例2]
実施例1で作製した拡散シートから、中心角の角度が30度の扇形となり、円周方向の拡散角度が最大値60度となり、半径方向の拡散角度が最小値1度となるように12枚の拡散シートを切り出した。切り出した扇形の12枚の拡散シートをその頂点が中心となるように円状に並べて接合することにより、略放射状に配列した凹凸構造を有する拡散部材を得た。作製した拡散部材の円周方向における拡散角度が最大値60度となり、半径方向における拡散角度が最小値1度であった。また、円周方向における平均ピッチは、6.2μmであり、半径方向における平均ピッチは、70μmであった。作製した拡散部材を発光面からの距離が30mmmとなるように、平滑面を点光源に向けて設置したところ、光源像301は、図10に示すように、12角形状であった。
【0097】
[実施例3]
実施例1と同様にホログラフ拡散体を用いてサブマスタ型を作製した。ホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光により感光性媒体を露光する際に、回転の接線方向に拡散角度が最大となるように、感光性媒体を回転することで略放射状に配列した凹凸構造を有するサブマスタ型を得た。
【0098】
作製したサブマスタ型を用いて実施例1と同様に転写することにより、平均ピッチの最小値が8.5μm(円周方向)、平均ピッチの最大値が60μm(半径方向)である拡散部材を得た。この拡散部材の拡散角度を測定したところ、拡散角度の最大値が40度、最小値が3度であった。得られた拡散部材を発光面からの距離が30mmとなるように平滑面を光源に向けて設置したところ、光源像301は、図11で示すようにリング状となった。
【0099】
[実施例4]
実施例1と同様にホログラフ拡散体を用いてサブマスタ型を作製した。ホログラフ拡散体を通して拡散された干渉光により感光性媒体を露光する際に、回転の接線方向に拡散角度が最小となるように、感光性媒体を回転することで略同心円状に配列した凹凸構造を有するサブマスタ型を得た。
【0100】
作製したサブマスタ型を用いて実施例1と同様に転写することにより、平均ピッチの最小値が7.2μm(半径方向)、平均ピッチの最大値が90μm(円周方向)の拡散部材を得た。この拡散部材の拡散角度を測定したところ、拡散角度の最大値が55度であり、最小値が2度であった。
【0101】
作製した拡散部材を実施例1と同様の点光源に対し、その発光面からの距離が10mmとなるようにその平滑面を光源に向けて設置し、配光特性の測定を行った。その結果、1/2ビーム角は、67度であった。また、配光特性を元に全光束を評価したところ、99であった。また、拡散部材の正面グレア及び斜めグレアを評価したところ、正面グレアが○であり、斜めグレアが○であり、グレアを良好に抑制できていた。
【0102】
[比較例1]
拡散部材を用いなかったこと以外は、実施例1と同様に照明部材を作製し、特性を評価した。配光特性は、1/2ビーム角が119度であり、全光束は、100であり、グレアの評価は、正面グレアが×であり、斜めグレアが×であった。
【0103】
[比較例2]
拡散部材に換えて溝ピッチ2mm、焦点距離90mmのフレネルレンズを、その平滑面が光源側となるように設置した以外は、実施例1と同様に照明装置を作製し、その特性を評価した。実施例1と同様に正面グレア及び斜めグレアを評価したところ、溝に由来する筋状の像が明瞭に視認でき、正面グレアが×、斜めグレアが×であった。
【0104】
【表1】

【0105】
表1から分かるように、実施例1から実施例4に係る照明装置においては、全光束低下を抑制でき、正面グレア及び斜めグレアを共に解消することができていることが分かる。これに対して、比較例1から分かるように、拡散部材を用いない場合には、正面グレア及び斜めグレアが増大することが分かる。さらに、比較例2から分かるように、フレネルレンズを用いた場合においても、正面グレア及び斜めグレアが共に悪化することが分かる。これらの結果から、実施例に係る拡散部材を用いることにより、全光束低下を抑制でき、正面グレア及び斜めグレアを同時に解消することができ、しかも光源像の制御が可能な照明装置を実現できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、全光束低下を抑制でき、正面グレア及び斜めグレアを同時に解消することができ、かつ光源像が制御可能な照明装置を実現できるという効果を有し、特に、住宅やオフィスのベースライト、ダウンライト、シーリングライト、又は車載照明用の照明装置などに好適に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 照明装置
11 点光源
12 被照射面
13 拡散部材
13a 入光面
13b 出光面
131 基材
132 凹凸構造
101 スリット
102 フォトマスク
103 フィルム状部材
103a 開口領域
201 サブマスタ型又はマスタ型
202 扇形部材
300 LED
301 光源像
a1〜a12 略扇形の部分領域
A 凹凸領域
B 交差領域
θ 交差角度
P 特定点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの点光源と、当該点光源から出光する光が入光する少なくとも一つの入光面及び入光した光が出光する少なくとも一つの出光面を有する拡散部材と、を具備し、
前記拡散部材は、前記入光面及び/又は前記出光面に、特定点を中心として複数の凹部及び/又は複数の凸部が略同心円状又は略放射状に配列された凹凸構造を含む凹凸領域を有し、前記凹凸領域は、前記特定点を中心とした円周方向と半径方向とで拡散角度が異方性を示すことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記拡散部材の形状が、シート状、多角柱状、円筒状、ドーム状、多角錐状、円錐状又はアーチ状のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記凹凸構造が、非周期的に設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記凹凸構造は、前記円周方向における平均ピッチの最大値が、前記半径方向の平均ピッチの最大値よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記凹凸構造は、前記半径方向における平均ピッチの最大値が、前記円周方向の平均ピッチの最大値よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
前記凹凸領域が、平面視にて略円形であり、複数の略扇形の部分領域に分割されてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
前記円周方向において、隣接する2つの前記部分領域の間に、当該2つの部分領域に属する凹凸構造が互いに重なって存在する交差領域を有することを特徴とする請求項6記載の照明装置。
【請求項8】
前記交差領域において、隣接する2つの前記部分領域に属する凹凸構造の交差角度が120度以上であることを特徴とする請求項7記載の照明装置。
【請求項9】
前記拡散部材の拡散角度の最大値が、30度以上であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の照明装置。
【請求項10】
前記拡散部材の拡散角度の最小値が、5度以下であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の照明装置。
【請求項11】
前記凹凸構造の平均アスペクト比の最大値が、0.5以上であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の照明装置。
【請求項12】
前記凹凸構造の平均ピッチの最小値が、20μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の照明装置。
【請求項13】
前記凹凸構造の平均ピッチの最大値が、100μm以上であることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の照明装置。
【請求項14】
前記拡散部材の拡散角度が最大値を示す方向における拡散角度が、前記凹凸領域の中心から外側に向かって連続的に変化することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載の照明装置。
【請求項15】
前記拡散部材は、前記入光面及び/又は前記出光面に、複数の前記凹凸領域を有することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載の照明装置。
【請求項16】
前記点光源は、平面視において前記凹凸領域の中心と略一致する位置に配置されたことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の照明装置。
【請求項17】
前記点光源が、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれかに記載の照明装置。
【請求項18】
前記凹凸構造は、コヒーレントな光が拡散板を通過した後に干渉により生成するスペックルパターンを用いて感光性材料を露光及び現像することによって形成された凹凸構造を転写したものであることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれかに記載の照明装置。
【請求項19】
請求項18記載の照明装置に使用される拡散部材の製造方法であって、感光性材料を含む感光材層を有するフィルム状部材に対して、感光材層の特定点を中心としてフィルム状部材を連続的または断続的に回転させることによって、特定点を頂点とする略扇形状の開口領域を順次ずらしつつ前記スペックルパターンによって露光する工程を含むことを特徴とする拡散部材の製造方法。
【請求項20】
請求項18記載の照明装置に使用される拡散部材の製造方法であって、前記スペックルパターンを用いて形成された凹凸構造を有する感光性材料、又はその凹凸構造を転写したマスタから複数の略扇形状の部材を切り出す切り出し工程、前記複数の略扇形状の部材を凹凸構造が略同心円状又は略放射状となるように略円形に配列する工程を含むことを特徴とする拡散部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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