説明

照明装置

【課題】製造性を向上でき、かつ、製造コストを低減できる電球形ランプを提供する。
【解決手段】電球形ランプは、LEDチップ32を実装した発光モジュール13を有する。電球形ランプは、発光モジュール13を支持する基体を有する。電球形ランプは、透光性を有する部材により形成したグローブを有する。グローブは、基体に固定することにより発光モジュール13を基体に保持する下部グローブ部45を備える。グローブは、下部グローブ部45と接続してLEDチップ32を覆う上部グローブ部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光素子を実装した発光モジュールおよびこの発光モジュールを支持する支持部材を有する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子として例えばLEDを用いた照明装置としての電球形ランプでは、一端側に口金を有する支持部材としてのアルミカバーである基体の他端側に、LEDを有する発光モジュールが配置されるとともに、この発光モジュールを覆うグローブが配置され、また、基体内に、LEDに電力を供給して点灯させる点灯回路が絶縁部材としてのカバーを介して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−134568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような電球形ランプでは、発光モジュールを基体に対して確実に固定して熱的に接続するために、発光モジュールをグローブ側から基体の一端側に押さえつけて固定する別途の保持部材が用いられることがあるものの、このような保持部材を用いると、作業工数や部品点数の増加を招く。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、製造性を向上でき、かつ、製造コストを低減できる照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の照明装置は、発光素子を実装した発光モジュールを有する。また、この照明装置は、発光モジュールを支持する支持部材を有する。さらに、この照明装置は、透光性を有する部材により形成されたグローブを有する。このグローブは、支持部材に固定されることにより発光モジュールを支持部材に保持する一のグローブ部を備える。また、このグローブは、一のグローブ部と接続されて発光素子を覆う他のグローブ部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、グローブを構成する一のグローブ部を支持部材に固定することで発光モジュールを支持部材に保持できるので、製造性の向上および製造コストの低減が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態を示す照明装置の一部を示す平面図である。
【図2】同上照明装置の断面図である。
【図3】同上照明装置の一部の分解断面図である。
【図4】第2の実施形態を示す照明装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
【0010】
図2において、11は照明装置としての電球形ランプで、この電球形ランプ11は、金属製の支持部材としてのホルダである基体12、この基体12の一端側(電球形ランプ11のランプ軸の一端側)に取り付けられた発光モジュール13、基体12の他端側に取り付けられた絶縁性を有する絶縁部材であるカバー14、このカバー14の他端側に取り付けられた図示しない口金、発光モジュール13を覆って基体12の一端側に取り付けられた透光性を有するグローブ16、および基体12と口金との間でカバー14の内側に収納された点灯回路17を備えている。
【0011】
基体12は、熱伝導性が優れた例えばアルミニウムなど金属材料によって一体形成された放熱部材、すなわちアルミ放熱カバーであり、中央域に円筒状の胴体部21が形成され、この胴体部21の周囲にランプ軸方向に沿った図示しない複数の放熱フィンが放射状に突出形成されている。
【0012】
また、胴体部21は、一端側が円形状の支持部23により閉塞されており、他端側へ向けて開口している。この支持部23の一端側の面である一主面は、中央域に発光モジュール13が面接触して取り付けられる取付面27となっており、この取付面27の外周縁近傍には、グローブ16を基体12に対してねじ止めする複数、例えば4つの取付孔28が形成され、周辺域である縁部には、グローブ16が嵌合して取り付けられる環状のグローブ取付部29が凹状に形成されている。
【0013】
また、支持部23には、点灯回路17と発光モジュール13とを配線接続するための図示しない孔部が形成されている。
【0014】
また、発光モジュール13は、例えば、アルミニウムなどの金属材料、あるいはセラミックスやエポキシ樹脂などの絶縁材料で形成された略四角形状の基板31を有し、この基板31の一端側の面である実装面に配線パターンが形成されているとともに、実装面の中央域に複数の発光素子としての光源であるLEDチップ32がマトリクス状に配列されて実装されている。
【0015】
これら複数のLEDチップ32は、図示しないが、両側域に配置された配線パターンの一対の電極パッド間の方向に沿ってワイヤボンディングによって直列に接続されている。また、基板31には、発光モジュール13が基体12に取り付けられた状態で点灯回路17側と発光モジュール13側とを電気的に接続するためのコネクタが配置されている。
【0016】
ここで、LEDチップ32には、例えば、青色光を発するLEDチップが用いられる。基板31に実装された複数のLEDチップ32上には、例えばシリコーン樹脂など透明樹脂である封止樹脂が塗布形成されている。この封止樹脂には、LEDチップ32からの青色光の一部により励起されて黄色光を放射する蛍光体が混入されている。したがって、LEDチップ32および封止樹脂によって発光部36が構成され、この発光部36の表面である封止樹脂の表面が発光面37となり、この発光面37から白色系の照明光が放射される。
【0017】
基板31は、LEDチップ32の実装面と反対側である他端側の面が基体12の支持部23の一端側の面である取付面27に面接触した状態に取り付けられている。このとき、基板31の他端側の面と基体12の取付面27との間には、熱伝導性に優れたシートやグリスなどの熱伝導材が介在されている。すなわち、基板31は、基体12に対して熱的に接続されている。また、この基板31には、隅部31a,31a間に円弧状に窪んだ凹部31bがそれぞれ形成されており、これら凹部31bは、基体12の取付孔28とそれぞれ位置合わせされている。そして、基板31を基体12の取付面27に取り付けた状態では、発光面37の中心がランプ軸の中心に対応して位置している。なお、この基板31(発光モジュール13)には、発光面37(発光部36)を覆って、光拡散用の導光部材である導光柱などを配置してもよい。
【0018】
また、カバー14は、例えばPBT樹脂などの絶縁材料により、他端側へ向けて開口する円筒状に形成されている。カバー14の他端側の外周部には、基体12と口金との間に介在して互いの間を絶縁する環状の鍔部41が形成されている。カバー14の一端側の面には、基体12の孔部に連通する図示しない配線孔が形成されている。さらに、このカバー14は、図示しない凹凸構造などにより基体12に対して固定される。
【0019】
また、口金は、例えば、E17形やE26形などの一般照明電球用のソケットに接続可能なもので、カバー14に嵌合されてかしめられて固定されるシェルと、このシェルの他端側に設けられる絶縁部と、およびこの絶縁部の頂部に設けられるアイレットとを有している。さらに、この口金は、カバー14に対して、図示しない凹凸構造などにより係止固定される。
【0020】
そして、グローブ16は、図1ないし図3に示すように、透光性および光拡散性を有するガラスあるいは合成樹脂などで発光モジュール13を覆う球面状となるように形成されている。このグローブ16は、一のグローブ部である下部グローブ部45と、他のグローブ部である上部グローブ部46とに、例えばグローブ16の球面の中心位置Oを含みランプ軸と直交(交差)する面(線)Pに沿って分割され、これら下部グローブ部45と上部グローブ部46とが互いに組み合わせて接続されている。すなわち、下部グローブ部45と上部グローブ部46とは、同一の材質(部材)によって形成されている。
【0021】
下部グローブ部45は、一端側および他端側がそれぞれ開口した筒状となっており、他端側から一端側へと徐々に拡径している。また、この下部グローブ部45の他端側の内周縁には、発光モジュール13を基体12へと押さえつけて保持するための保持部51がフランジ状に突設されている。さらに、この下部グローブ部45の他端側の開口縁部には、基体12のグローブ取付部29に嵌合されるとともに例えば接着剤などで固定される嵌合縁部52が突設されている。
【0022】
保持部51は、ランプ軸と直交する面に沿って形成されており、円環状をなしている。すなわち、この保持部51の中央部には、円形状に開口部54が形成されており、この開口部54には、発光モジュール13の発光部36(LEDチップ32)が露出するように構成されている。また、この保持部51の他端側、すなわち発光モジュール13側には、この発光モジュール13の基板31が嵌合する嵌合凹部55が凹設されている。したがって、保持部51の他端側の面は、嵌合凹部55を除く位置が、基体12の取付面27に密着する密着部56となっている。さらに、この保持部51には、基体12の取付孔28と対応する複数箇所、例えば4箇所に、グローブ16(下部グローブ部45)を基体12に対してねじ止めするための貫通孔58がそれぞれ形成されているとともに、これら貫通孔58のそれぞれに対応する位置に、開口部54側へと円弧状に突出し発光モジュール13の基板31の凹部31bにそれぞれ嵌合する位置決め部である位置決め凸部59が形成されている。
【0023】
また、上部グローブ部46は、他端側から一端側へと徐々に縮径する半球面状に形成されており、他端側が下部グローブ部45の一端側と気密に接続されるように構成されている。
【0024】
さらに、点灯回路17は、例えば、発光モジュール13のLEDチップ32に対して定電流を供給する回路であり、回路を構成する複数の回路素子61がそれぞれ実装された回路基板62,63を有し、これら回路基板62,63がカバー14内に収納されて固定されている。点灯回路17の入力側には、口金のシェルおよびアイレットが接続線で電気的に接続されている。さらに、点灯回路17の出力側には図示しない接続線が接続され、この接続線がカバー14の配線孔および基体12の孔部を通じて基体12の一端側に引き出され、先端側のコネクタ部が基板31のコネクタと接続されている。
【0025】
そして、電球形ランプ11の製造の際には、まず、基体12の支持部23の取付面27上に、基板31にLEDチップ32などを実装した発光モジュール13の他側面側を載置する。
【0026】
この状態で、グローブ16の下部グローブ部45を、発光モジュール13の基板31を嵌合凹部55に嵌合させ各凹部31bに各位置決め凸部59を嵌合させるとともに、嵌合縁部52を基体12のグローブ取付部29に嵌合させるように取り付け、貫通孔58と基体12の取付孔28とをそれぞれ位置合わせして、グローブ16側である貫通孔58側(上側)からねじを挿入して締め付けることで、保持部51により発光モジュール13の基板31の隅部31aをそれぞれ基体12の取付面27へと圧接させ、下部グローブ部45とともに発光モジュール13を基体12に保持固定するとともに、発光モジュール13(基板31)と基体12とを熱的に結合する。なお、例えば嵌合縁部52とグローブ取付部29となどを、接着剤を用いて固定することで基体12とグローブ16との接続強度をより向上でき、電球形ランプ11の強度を向上できる。さらに、グローブ16の下部グローブ部45に対して上部グローブ部46を接着剤などにより接続固定する。
【0027】
次いで、点灯回路17(回路基板62,63)を収容したカバー14の一端側を、基体12の胴体部21に挿入して固定する。このとき、点灯回路17と発光モジュール13とを、基体12の支持部23に形成された孔部およびカバー14に形成された配線孔などを介して引き出した配線、コネクタおよびコネクタ部を用いて電気的に接続する。
【0028】
この後、点灯回路17とアース線を介してアイレットを接続した口金を、点灯回路17側に電気的に接続した電源線をシェルの外側に導出した状態で、カバー14の他端側から挿入し、カバー14とシェルとの間で電源線を挟み込んで、口金をカバー14に対して係止固定することにより、電球形ランプ11を完成する。
【0029】
そして、電球形ランプ11を図示しない照明器具のソケットなどに装着して通電すると、点灯回路17が動作し、発光モジュール13の複数のLEDチップ32に電力が供給され、複数のLEDチップ32が発光し、この光がグローブ16を通じて拡散放射される。
【0030】
発光モジュール13の複数のLEDチップ32の点灯時に発生する熱は、基板31に熱伝導されるとともにこの基板31から基体12に熱伝導され、この基体12から複数の放熱フィンに熱伝導され、複数の放熱フィンから空気中に効率よく放熱される。
【0031】
このように、グローブ16を構成する下部グローブ部45を基体12に固定することで発光モジュール13を基体12に保持できるので、製造性を向上できるとともに、製造コストを低減できる。
【0032】
なお、上記第1の実施形態のグローブ16の下部グローブ部45の嵌合縁部52の先端部に、図4に示す第2の実施形態のように、基体12と嵌合する爪状の嵌合部66を内方に向けて突設してもよい。この場合には、基体12のグローブ取付部29に、嵌合部66が嵌合する嵌合受部67を形成することにより、下部グローブ部45(グローブ16)を基体12に対してより強固に固定することができ、これらの接続強度、すなわち電球形ランプ11の強度を高めることができる。
【0033】
そして、以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、グローブ16を構成する下部グローブ部45を基体12に固定することで発光モジュール13を基体12に保持できる。したがって、グローブ16の基体12への固定と発光モジュール13の基体12への保持とを同一の作業により行うことができるので、例えば別途保持部材を用いて発光モジュールを基体に保持するとともにグローブを別途基体に取り付ける場合と比較して、作業工数を抑制して製造性を向上できる。しかも、下部グローブ部45はグローブ16を構成するものであるため、グローブ16に必要な材料(材質)のみで発光モジュール13を基体12に保持でき、別部材が必要ないので、部品点数を抑制でき、製造コストを低減できる。
【0034】
なお、上記各実施形態において、発光素子はLEDチップ32に限らず、例えばEL素子などを用いてもよい。
【0035】
また、照明装置は電球形ランプ11に限らず、発光モジュールとこの発光モジュールを覆って基体に固定するグローブとを備える任意の照明装置に用いることができる。
【0036】
そして、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
11 照明装置としての電球形ランプ
12 支持部材としての基体
13 発光モジュール
16 グローブ
32 発光素子としてのLEDチップ
45 一のグローブ部としての下部グローブ部
46 他のグローブ部としての上部グローブ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を実装した発光モジュールと;
この発光モジュールを支持する支持部材と;
この支持部材に固定されることにより発光モジュールを支持部材に保持する一のグローブ部と、この一のグローブ部と接続されて発光素子を覆う他のグローブ部とを備え、透光性を有する部材により形成されたグローブと;
を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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