説明

照明装置

【課題】樹脂製の発熱機能を備えた筐体を用いてLEDで発生した熱の効率的な放熱を実現させる。
【解決手段】径小の一端から径大の他端に至るまで漸次拡径する形状に形成した筐体11の径小の一端に、電源からの電力を供給する口金16を取着し、径大の他端に基板121上に複数のLED12を実装して構成されるLEDモジュール基板13を取着する。筐体11に形成された収納部111内に、入力を口金16に、出力をLED12にそれぞれ接続し、LED12を点灯させる点灯回路が実装された点灯回路基板15を収納する。LEDモジュール基板13を覆うとともに、LED12で発光された光を拡散させる透光性のグローブ14を取着する。筐体11の材料には、熱伝導率の高い炭素系フィラーを入りの樹脂を使用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、LED(Light Emitting Diode)や有機EL(Electro Luminescence)などの発光素子を光源とした照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDを光源として用いた照明装置は、LEDの温度が上昇すると発光効率が低下することから、放熱効果を向上させる目的でアルミニウムやアルミダイカスト等の熱伝導率の高い金属製の筐体が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−313727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルミニウムなどの金属は熱伝導率が高い一方で導電性も高い。そのため、口金と筐体との間を絶縁しなければならないことから、部品点数が増加するとともに、構造が複雑化してしまう恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この実施形態によれば、筐体と、前記筐体の一端に取着され、電力が供給される口金と、前記筐体の他端に取着され、発光素子が実装されたモジュール基板と、前記筐体内に収納され、入力が前記口金に、出力が前記発光素子に接続され、該発光素子を点灯させる点灯回路を実装した点灯回路基板と、前記発光素子で発光された光を拡散して放射させる前記筐体に取着した透光性のグローブと、を具備し、前記筐体は、炭素系フィラーを含む樹脂からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明の実施形態によれば、放熱板を兼ねた炭素系フィラーを入れた樹脂製の筐体とすることで、構造の簡略化と廉価を実現した照明装置が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】照明装置に関する第1の実施形態について説明するための斜視図である。
【図2】図1の発光部を覆った状態の縦断面図である。
【図3】図1の上面図である。
【図4】図1要部の分解斜視図である。
【図5】LEDを点灯させるための点灯回路例について説明するための回路構成図である。
【図6】照明装置に関する第2の実施形態について説明するための斜視図である。
【図7】図6の発光部を覆った状態の縦断面図である。
【図8】図6の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1〜図4は、照明装置に係る第1の実施形態を示すものであり、図1は電球型LEDランプの斜視図、図2は発光部をグローブで覆った状態の図1の縦断面図、図3は図1の上面図、図4は図1要部の分解斜視図である。
【0010】
図1〜図3に示すように、100は、40W、60Wなどの電球型のLEDランプである。LEDランプ100は、熱伝導率の高い樹脂を用いて形成された筐体11を有する。この筐体11の一端側には内部に延びる収納部111が形成され、他端側には外周近傍に断面凸状で円環状の取付用の環状突起112が形成される。また、環状突起112に囲まれた筐体11の他端側には、半導体発光素子の一例であるLED12が複数個実装された円板状の基板121で構成されるLEDモジュール基板13が取り付けられている。
【0011】
LEDモジュール基板13は、熱伝導性に優れた例えばアルミニウムなどの金属あるいはセラミックスで形成される。また、LEDモジュール基板13は、環状突起112に取り付けられた透光性のグローブ14で覆われ保護される。収納部111の内壁には、図示しないガイド部が形成される。このガイド部にLED点灯回路基板15が係合することで、収納部111内にLED点灯回路基板15が保持される。
【0012】
筐体11は、口金16が取着される径小の一端側からLEDモジュール基板13が取り付けられる他端側へと漸次径大にされた略円柱形状を成している。必要により筐体11の外周面に一体的に放熱フィンを形成しても構わない。
【0013】
グローブ14は、光拡散性を有するガラスあるいは合成樹脂などにより球殻状に形成されており、環状突起112の外周に形成された段部113に当接することにより、グローブ14の外周面と筐体11の外周面がほぼ面一になっている。グローブ14の開放端部の内側には、環状突起112の内周面に対向する円環状の位置決め用リブ141が一体形成される。グローブ14は、リブ141と開放端部とにより環状突起112を挟む格好で、環状突起112に嵌め込まれ接着剤などの手段で固定される。
【0014】
グローブ14の固定は、環状突起112の外周側面とグローブ14の開放付近内周面にそれぞれネジを形成し、ネジ止めによる取り付けを行っても構わない。また、筐体11に複数の鉤を形成し、この鉤とグローブ14に形成された溝あるいは突起とを嵌合させることによる固定でも構わない。
【0015】
LEDモジュール基板13は、図3に示すように、高熱伝導性の略円形の基板121上に複数のLED12を環状に適長隔離して配設して構成される。ここでは8個のLED12を環状配設した構成であるが、LED12の個数や配設は図3に限定されるものではなく、照明装置の仕様や用途に応じて個数を変更することや、配置を略矩形状にするなど適宜行うことができる。また、LEDは基板121上に複数のLED素子を実装するCOB(Chip On Board)方式を採用してもよい。
【0016】
基板121は、LED12が実装された面と反対側の面が筐体11に密着するように図示しないネジや熱伝導性の接着剤などにより筐体11上に固定されている。基板121は、他の配線基板に換えることができるが、LED12から発光される光の吸収を抑えることが可能な反射率の高い、例えば白色系の絶縁性基板が好ましい。
【0017】
また、LED12は、例えば青色光を発するものである場合、このLED12を図示しないシリコーンなどの樹脂で覆い、この樹脂内に、LED12が発する青色光により励起され、青色の補色である黄色の光を主として放射する図示しない蛍光体を混入させることで、各LED12が白色系の照明光を得られるよう構成されている。LED12は、蛍光体を変えることにより、所要の発光色を得ることができ、白色の他に昼白色や電球色等も発光させることができる。
【0018】
収納部111の入口部分の外周は、口金16を取着するために径小にした口金取付部114が形成される。口金16は、図示しない相手側のソケットにねじ込んで電気的に接続して電力供給を受けるための電源接続部として取り付けられる。口金16は、カシメ若しくはシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の耐熱性を有する接着剤を用いて固着される。
【0019】
ここで、図4の分解斜視図も参照しながら、口金16の構成についてさらに説明するとともに、口金取付部114に口金16を取り付ける手順について説明する。
【0020】
口金16はエジソンタイプのE26形などで、図示しない照明器具のランプソケットにねじ込むためのネジ山を備えた筒状のシェル161、このシェル161の一端側に絶縁部162を介して設けられたアイレット163を備えている。口金16にはアイレット163に一端が接続され、口金16の内部に延びる外部接続端子171が取り付けられる。また、口金16には開放端近傍に形成され接続孔164に一端が接続され、口金16の内部に延びる外部接続端子172が取り付けられる。外部接続端子171,172は、LED点灯回路基板15に構成されるLED点灯回路の電源部に接続され、電力供給の入力となる。
【0021】
筐体11の口金取付部114には、口金取付部114の開放端から切欠き部115が形成される。切欠き部115は、口金16とLED点灯回路基板15が外部接続端子171,172で電気的および機械的に接合された状態で、図4中白抜きの矢印に示す方向に、LED点灯回路基板15を収納部111に収納するときにおける外部接続端子172の逃げの役割を果たす。また、収納部111の内部には、放熱性および絶縁性を有する充填材であるシリコーン系の樹脂などを充填してもよい。
【0022】
そして口金16を口金取付部114に取り付ける際に、LED点灯回路基板15を収納部111の内壁に形成されガイド部に係合させた状態でスライドさせる。これにより、口金16は口金取付部114に挿着されるとともに、LED点灯回路基板15が収納部111の内部に保持される。そして、前述したように口金16は、口金取付部114にカシメ若しくはシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の耐熱性を有する接着剤を用いて固着される。
【0023】
また、LEDモジュール基板13の中央部には、筐体11の挿通孔部116と連通する配線孔131が形成されている。LEDモジュール基板13とLED点灯回路基板15は、挿通孔部116および配線孔131内を通した図示しない電線を用いて電気的に接続される。
【0024】
図5は、LED点灯回路基板15に搭載されるLED点灯回路例について説明するための概略的な回路構成図である。
【0025】
LED点灯回路50は、口金16から外部接続端子171,172を介して供給される電源51の交流電圧100Vをダイオードブリッジ52および平滑コンデンサCにより整流平滑して例えば直流電圧24Vに変換し、各LED12に供給する。R1は各LED12に流れる電流を設定するチップ抵抗、QはLED12の点灯制御用のトランジスタ、このトランジスタQのベース電位はチップ抵抗R2およびツェナダイオードDにより設定される。
【0026】
これにより、交流電圧100Vの電源51がLED点灯回路50に供給されると、ダイオードブリッジ52および平滑コンデンサCにより直流電圧24Vに変換され、各LED12に対してチップ抵抗R2およびツェナダイオードDにより設定された電圧が印加される。トランジスタQで制御された電流が、LEDモジュール基板13に流れることで各LED12が点灯する。なお、LED点灯回路50には、LEDモジュール12の照度を調整する調光回路を設けてもよい。
【0027】
また、LED点灯回路50の出力端には、LED12への電力給電用の電線Wが接続され、この電線Wが、前述した収納部111内に設置されたLED点灯回路基板15から挿通孔部116と配線孔131に挿通されてLEDモジュール基板13のLED12に電力を供給している。
【0028】
ところで、筐体11には、従前のアルミニウムやアルミダイカスト等の熱伝導率の高い金属材料に換えて、5W/m・K以上の高熱伝導率を有する樹脂材料が用いられる。このような樹脂材料としては、例えば25W/m・Kの熱伝導率を有するPPS(ポリフェニレンサルファイド)が考えられる。
【0029】
なお、25W/m・Kの熱伝導率を実現したPPS樹脂としては、2002年12月16日に発行された文献「日経エレクトロニクス」の127〜136頁の「熱伝導率60倍の樹脂を開発 金属部品を安価なプラスチックに代替」に、その技術内容が紹介されている。筐体11の材料としては、少なくともこのPPS樹脂を使用することで、5W/m・K以上の熱伝導率を必要とする筐体11として実用に供せられる。さらに、樹脂材料に放熱性フィラーを含有させて熱伝導率の向上を図ることが知られている。絶縁性を備えた筐体11にかかるコストを考慮すると、カーボンや黒鉛などの炭素系の放熱性フィラーが望ましい。
【0030】
このように、筐体11は、5W/m・K以上の熱伝導率を有する炭素系放熱性フィラー入りの樹脂材料で形成したものである。これにより、樹脂材料で筐体11を構成した場合においても、高熱を発するLEDモジュール基板13の筐体11として実用に供することができる。
【0031】
口金16は、筐体11と一体的に形成される口金取付部114に直接取り付けることが可能となる。また、筐体11は絶縁性を有していることから、口金16を口金取付部114に直接取り付ける場合にも、口金16と筐体11との間に絶縁手段を施す必要がなく部品点数の削減にも寄与する。
【0032】
さらに、LEDモジュール基板13を構成するLED12が実装される基板121は、アルミニウムなどの金属材料、あるいは絶縁材料などにより形成された基板や反射率の高い例えば白色系の基板とすることにより、LED12から発光される光の吸収を抑えることができ、LED12から発光される光を、効率的にグローブ14を介して放射させることができる。
【0033】
この実施形態では、高い熱伝導率を有する樹脂材料を用いて筐体を形成したことで、LEDランプの構成を廉価な材料で実現することができる。また、口金とLEDモジュール基板を共通の筐体に取り付けることができるために、全体の構成を簡略化できることから組み立て工数を削減でき、廉価なLEDランプの実現を図ることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図6〜図8は、照明装置に係る第2の実施形態について示ものであり、図6は電球型LEDランプの斜視図、図7は発光部をグローブで覆った状態の図6の縦断面図、図8は図6の上面図である。なお、上記した実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付し、ここでは異なる部分について説明する。
【0035】
この実施形態は、筐体11の材料として、5W/m・K以上の熱伝導率を有する前述したPPSなどの樹脂に炭素系フィラーを含有させたものを使用した。また、LEDモジュール基板13は面積の小さい基板122とし、この基板122を筐体11の他端側の大部分の面積を占めるアルミニウム製の伝熱板61の表面に接合させたものである。グローブ14と対向する伝熱板61の板面は、LED12からグローブ14に反射して当たる間接光をさらに反射させてグローブ14に返すような表面状態に仕上げられている。
【0036】
この場合は、筐体11として樹脂製のものを使用した第1の実施形態の効果を得ながら、伝熱性の高い伝熱板61上にLEDモジュール基板13を配置したことから、発熱に伴うLED12の発光効率の低下を抑えることができる。
【0037】
また、伝熱板61には、LEDモジュール基板13にあけた配線孔131と連続するように同径の配線孔62が形成される。この配線孔62を介して、LED点灯回路基板15とLED12とを電気的に接続する電力給電用の電線を通せるようになっている。
【0038】
また、LED12周辺の基板122の発光側表面は、白色などの光を反射させる材料あるいは塗装などを施すことにより、光の放射量を増やし、照度の向上を図ることができる。
【0039】
この実施形態では、面積の小さいLEDモジュール基板を、これよりも大面積の伝熱板の表面に接合することにより、筐体に対して熱を逃がすようにしたので、LEDの発光効率が向上し、照度の向上を図ることが可能となる。
【0040】
上記した各実施形態では、発光素子としてLEDを用いた場合について説明したが、有機ELなどの他の発光素子を用いても構わない。
【0041】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
100 LEDランプ
11 筐体
111 収納部
114 口金取付部
115 切欠き部
12 LED
121,122 基板
13 LEDモジュール基板
14 グローブ
15 LED点灯回路基板
16 口金
171,172 外部接続端子
61 伝熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の一端に取着され、電力が供給される口金と、
前記筐体の他端に取着され、発光素子が実装されたモジュール基板と、
前記筐体内に収納され、入力が前記口金に、出力が前記発光素子に接続され、該発光素子を点灯させる点灯回路を実装した点灯回路基板と、
前記発光素子で発光された光を拡散して放射させる前記筐体に取着した透光性のグローブと、を具備し、
前記筐体は、炭素系フィラーを含む樹脂からなることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記筐体は、5W/m・K以上の熱伝導率を有する樹脂材料で形成したことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記モジュール基板は、アルミニウム製の伝熱板の表面に接合したことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−93285(P2013−93285A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236131(P2011−236131)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】