説明

熱交換器

【課題】結露水によるヒートポンプの腐食や接触不良などの故障を防止し、長期的な信頼性が高く、熱接続性能を低下させることがなく、優れた放熱効率を有する熱交換器を提供する。
【解決手段】金属板材3および前記金属板材の一方の面に熱的に接続された複数の放熱フィン4からなる放熱部材2と、放熱部材の金属板材3の他方の面に、一方の面が熱的に接続されるヒートポンプと、ヒートポンプの他方の面に熱的に接続される別の金属板材9と、内周縁部および外周縁部を備えた、中抜きのシート状の防水・防湿部材6を備えた熱交換器。防水・防湿部材の内周縁部が金属板材の外周縁部に接合され、防水・防湿部材の外周縁部が別の金属板材に接合されて、ヒートポンプを外気から遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関し、特に、使用するヒートポンプを外気から遮断する熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプを用いた熱交換器が使用されている。物質が液体から気体に変化するとき、気体に変化する物質は周囲から熱を奪う。その周囲の物体は熱を奪われて冷却される。これと逆に、物質が気体から液体へ変化するとき、液体に変化する物質は周囲へ放熱する。その周囲の物体は熱を与えられて加熱される。ヒートポンプは、この仕組みを利用して、大気中の熱を圧縮機を利用して効率よく汲み上げ、移動することによって冷却や加熱を行うシステムである。
【0003】
ヒートポンプを用いた熱交換器において、結露水によるヒートポンプの腐食や接触不良などの故障を防止するため、防水、防湿の方法として、シリコンやエポキシなどの材料のパッキン、充填剤が用いられていた(特許文献1参照)。
【0004】
その他、パッキンを用いる防水、防湿方法が開示されている(特許文献2参照)。更に、サーモモジュールに防湿対策をする方法が開示されている(特許文献3、特許文献4参照)。図11は、従来の熱交換器を示す模式図である。図11(a)は、ヒートポンプの側面の全周にわたって充填剤101を埋め込んで防水、防湿対策をしている。図11(b)は、ヒートポンプの側面の全周にわたってパッキンまたはOリング102を設けて防水、防湿対策をしている。
【0005】
サーモモジュールは、ヒートポンプの一種で、一般にp型の熱電半導体素子とn型の熱電半導体素子を金属電極により直列に接続し、pn接合対を形成することにより作成される。熱電素子は、pn接合対に電流を流すことにより、接合部の一方で冷却、他方の接合部では発熱を発生するペルチェ効果と、接合対の間に温度差を与えることにより電力を発生するゼーベック効果があり、冷却装置又は発電装置として利用される。
【特許文献1】特開平13−144337号公報
【特許文献2】特許第3467297号公報
【特許文献3】特開平06−294562号公報
【特許文献4】特開平14−111082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたシリコンやエポキシなどの材料は、水蒸気透過率は低いものではなく、長期的な信頼性が十分でなかった。さらに、これらの充填剤は、立体的な凸凹や隙間に充填されるため、製造工程において気泡の巻き込みや充填不十分な要因から防水、防湿性能を低下させることがあった。また、材質によっては、環境や温度により収縮や膨張があり、歪みによる熱接続性能を低下させることもある。
【0007】
特許文献2に開示された方法では、ヒートシンクのベース面にネジ穴、パッキン溝などの加工を施す必要もあるほか十分な剛体であることが必要なため、コストアップや性能を低下させることもある。例えば、ヒートポンプとしてサーモモジュールを用いた熱交換器の場合、サーモモジュールの吸放熱面と熱接続材を介して接するヒートシンクのベースが熱により膨張、収縮するため、ネジなどで固定されている場合に応力が緩和されずヒートシンクの変形や歪みによる熱接続性能を低下させ、さらにはサーモモジュールの破損の原因になる。
特許文献3および特許文献4に開示された方法では、熱抵抗を増加させるばかりか、戻り熱の影響により性能を悪化させるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、結露水によるヒートポンプの腐食や接触不良などの故障を防止し、長期的な信頼性が高く、熱接続性能を低下させることがなく、優れた放熱効率を有する熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、上述した問題点を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、内周縁部および外周縁部を備えた、中抜きのシート状の防水・防湿部材を使用して、ヒートポンプの1つの面と接している放熱部材に内周縁部を接合し、ヒートポンプの他の面と接している別の金属板材に外周縁部を接合して、ヒートポンプを外気から遮断すると、シート状の防水・防湿部材は、水蒸気透過率が低いので、長期的な防湿効果が得られることが判明した。
【0010】
2つの放熱部材でヒートポンプを挟み込んで形成する熱交換器においても、内周縁部および外周縁部を備えた、中抜きのシート状の防水・防湿部材を2枚使用して、ヒートポンプと接しているそれぞれの放熱部材に内周縁部を接合し、外周縁部同士を接合して、ヒートポンプを外気から遮断すると、シート状の防水・防湿部材は、水蒸気透過率が低いので、長期的な防湿効果が得られることが判明した。
【0011】
更に、水蒸気透過率が低いフィルム状の防水・防湿部材を使用するので、素材の膨張、収縮がヒートシンクや熱交換器に与える応力が発生しない、更に、ヒートシール等によって封止することができるので、作業が容易でガスの発生もないことが判明した。この発明は上述した研究結果に基きなされたものである。
【0012】
この発明の熱交換器の第1の態様は、金属板材および前記金属板材の一方の面に熱的に接続された複数の放熱フィンからなる放熱部材と、前記放熱部材の前記金属板材の他方の面に、一方の面が熱的に接続されるヒートポンプと、
前記ヒートポンプの他方の面に熱的に接続される別の金属板材と、
内周縁部および外周縁部を備えた、中抜きのシート状の防水・防湿部材であって、前記防水・防湿部材の内周縁部が前記金属板材の外周縁部に接合され、前記防水・防湿部材の外周縁部が前記別の金属板材に接合されて、前記ヒートポンプを外気から遮断する防水・防湿部材とを備えた熱交換器である。
【0013】
この発明の熱交換器の第2の態様は、第1の金属板材および前記第1の金属板材の一方の面に熱的に接続された複数の第1の放熱フィンからなる第1の放熱部材と、
前記第1の金属板材の他方の面に、一方の面が熱的に接続されるヒートポンプと、
第2の金属板材および前記第2の金属板材の一方の面に熱的に接続された複数の第2の放熱フィンからなり、前記ヒートポンプの他方の面に熱的に接続される第2の放熱部材と、
内周縁部および外周縁部を有し、中抜きのシート状の第1の防水・防湿部材及び第2の防水・防湿部材とを備え、
前記第1の防水・防湿部材の内周縁部が前記第1の金属板材の外周縁部に接合され、前記第2の防水・防湿部材の内周縁部が前記第2の金属板材の外周縁部に接合され、前記第1の防水・防湿部材の外周縁部及び前記第2の防水・防湿部材の外周縁部が相互に接合されて、前記ヒートポンプを外気から遮断する熱交換器である。
【0014】
この発明の熱交換器の第3の態様は、前記シート状の防水・防湿部材は、少なくとも一層の高分子樹脂フィルムからなっている、熱交換器である。
【0015】
この発明の熱交換器の第4の態様は、前記シート状の防水・防湿部材は、高分子樹脂フィルムと高分子樹脂以外の異種材料との多層膜からなる、熱交換器である。
【0016】
この発明の熱交換器の第5の態様は、前記シート状の防水・防湿部材は、中央部がくりぬかれた、概ね同一幅の矩形状である、熱交換器である。
【0017】
この発明の熱交換器の第6の態様は、前記シート状の防水・防湿部材は、水蒸気透過率が5g/m・24hr以下である、熱交換器である。
【0018】
この発明の熱交換器の第7の態様は、前記シート状の防水・防湿部材は、ヒートシールまたは接着剤による接着によって接合される、熱交換器である。
【0019】
この発明の熱交換器の第8の態様は、前記第1の放熱部材が内部に位置し、前記第2の放熱部材が外部に位置するように筐体に取り付けられた、熱交換器である。
【発明の効果】
【0020】
この発明の熱交換器によると、内周縁部および外周縁部を備えた、中抜きのシート状の防水・防湿部材を使用して、ヒートポンプの1つの面と接している放熱部材に内周縁部を接合し、ヒートポンプの他の面と接している別の金属板材に外周縁部を接合して、ヒートポンプを外気から遮断するので、シート状の防水・防湿部材は、水蒸気透過率が低く、長期的な防湿効果が得られる。
【0021】
更に、この発明によると、フィルム状の防水・防湿部材を使用するので、素材の膨張、収縮がヒートシンクや熱交換器に与える応力が発生しない。更に、ヒートシール等によって封止することができるので、作業が容易でガスの発生もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の熱交換器の態様を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
この発明の熱交換器の1つの態様は、金属板材および金属板材の一方の面に熱的に接続された複数の放熱フィンからなる放熱部材と、放熱部材の金属板材の他方の面に、一方の面が熱的に接続されるヒートポンプと、ヒートポンプの他方の面に熱的に接続される別の金属板材と、内周縁部および外周縁部を備えた、中抜きのシート状の防水・防湿部材であって、防水・防湿部材の内周縁部が金属板材の外周縁部に接合され、防水・防湿部材の外周縁部が別の金属板材に接合されて、ヒートポンプを外気から遮断する防水・防湿部材とを備えた熱交換器である。
【0024】
図1は、この発明の熱交換器の1つの態様を説明する図である。図2から図4はその詳細を説明する分解図である。図1に示すように、ヒートシンク1は、放熱部材2と別の金属板材9、例えば、温調プレートとの間にヒートポンプを挟みこみ、防水・防湿部材6で囲んで、ヒートポンプを外気から遮断している。
【0025】
即ち、金属板材3および金属板材3の一方の面に熱的に接続された複数の放熱フィン4からなる放熱部材2の他方の面に、ヒートポンプの一方の面を熱的に接続している。ヒートポンプの他方の面には別の金属板材9が熱的に接続されている。防水・防湿部材6は、内周縁部および外周縁部を備えた、中抜きのシート状である。防水・防湿部材の内周縁部が金属板材3の外周縁部に接合され、防水・防湿部材の外周縁部が別の金属板材9に接合されて、ヒートポンプを外気から遮断する。
【0026】
図2は、防水・防湿部材、および、防水・防湿部材と金属部材の接合状態を説明する図である。図2(a)に示すように、防水・防湿部材6は内周縁部7および外周縁部8を備えた、中抜きのシート状の部材である。即ち、矩形のシート状部材の中央部を矩形に切り取って形成されたロの字形の部材で、ロの部分は概ね同一の幅を有している。
【0027】
このようにして形成されたロの字形の内側部分が内周縁部7であり、ロの字形の外側部分が外周縁部8である。防水・防湿部材6は、少なくとも一層の高分子樹脂フィルムからなっている。高分子樹脂フィルムと高分子樹脂以外の異種材料との多層膜からなっていてもよい。また無機層を形成してもよい。上述したように多層化することによって、水蒸気透過率を低下させ、ガスバリア性を向上させることができる。
【0028】
シート状の防水・防湿部材6は、水蒸気透過率が20g/m・24hr以下であり、好ましくは、5g/m・24hr以下である。水蒸気透過率を5g/m・24hr以下にすることによって、長期的な信頼性が得られる。更に、シート状の防水・防湿部材6は、ヒートシールまたは接着剤で張り合わせが可能なものである。このようにヒートシール等によって接合すると、凹凸のない接合面が得られ、接合状態が良いので、製造工程において気泡の巻き込み等を生じることはなく、防水、防湿性能を低下させない。
【0029】
更に、防水・防湿部材6は、上述した少なくとも一層の高分子樹脂フィルムからなっているので、環境や温度によって収縮、膨張が生じないので、熱接続性能を低下させることはない。ヒートポンプとしてサーモモジュールを用いた熱交換器の場合には、サーモモジュールの吸放熱面と熱接続材料、例えば熱伝導グリスを介して接するヒートシンクのベース部材が熱によって膨張、収縮しても、防水・防湿部材に応力が集中しない(応力緩和性が高い)ので、熱接続性能を低下させることはない。
【0030】
なお、上述した防水・防湿部材6は、市販の部材が使用できる。例えば、東レ製の商品名トレファン(ベースフィルム:OPP(延伸ポリプロピレン)にアルミを蒸着させている)、三菱樹脂製の商品名テックバリア(ベースフィルム:PET(ポリエチレンテレフタレート)にシリカを蒸着させている)、東洋紡製の商品名エコシアール(ベースフィルム:ONY(2軸延伸ナイロン)にシリカ、アルミナを二次元蒸着させている)等がある。
【0031】
図2(b)は、放熱部材2の金属板材3である。金属板材3は熱伝導性に優れた金属、例えば、銅、アルミニウム、それらの合金等からなっている。図2(c)は、図2(a)に示した中抜きのシート状の防水・防湿部材6を放熱部材2の金属板材3に接合した状態である。即ち、金属板材3の外周縁部に防水・防湿部材6の内周縁部7を合わせて、ヒートシール(熱圧着)等によって接合している。
【0032】
図3は、金属板材の外周縁部に防水・防湿部材の内周縁部を接合した放熱部材を斜め上から見た図である。図3に示すように、金属板材3および金属板材3の一方の面に熱的に接続された複数の放熱フィン4からなる放熱部材2の金属板材3の他方の面の外周縁部に、防水・防湿部材6の内周縁部7が接合されている。この状態では、防水・防湿部材6の外周縁部8は、他の部材と接合されることなくそのままの状態である。
【0033】
図4は、ヒートポンプを、温調プレート(別の金属板材9)と放熱部材2で挟み込んだ状態を説明する図である。図4に示すように、ヒートポンプ5の一方の面(図では下側)に、放熱部材2の金属板材3の外周縁部に中抜きのシート状の防水・防湿部材6の内周縁部を接合した状態で、金属部材3と熱的に接続している。ヒートポンプ5の他方の面(図では上側)に温調プレート9を熱的に接続している。
【0034】
図4に示す状態で、中抜きのシート状の防水・防湿部材6の外周縁部を温調プレート9にヒートシール等で接合すると、ヒートポンプ5がシート状の防水・防湿部材6で外気から遮断した状態のヒートシンク1が得られる。即ち、図1に示したように、ヒートシンク1は、放熱部材2と別の金属板材9との間にヒートポンプ5を挟みこみ、防水・防湿部材6で周囲を接合して、ヒートポンプを外気から遮断している。
【0035】
ヒートポンプの1つであるサーモモジュール(電子冷熱モジュール)は、例えば、交互に隣り合うように配置された複数対のp型およびn型熱電半導体素子と、複数対のp型およびn型熱電半導体素子に対応して形成され、それらが挿入される複数の孔部を備えた独立微細発泡体からなる基板と、基板の両端部に配置されて、複数対のp型およびn型熱電半導体素子がその上に形成される接合層を介して直列に電気的に連結される電気回路金属層とを備えている。
【0036】
上述した独立微細発泡体の厚さがp型およびn型熱電半導体素子の高さと実質的に同一であり、p型およびn型熱電半導体素子が独立微細発泡体および電気回路金属層によって密閉された構造を備えている。この発明のヒートシンクの1つの態様は、このようなサーモモジュールが上述したように外気から遮断されている。
【0037】
次に、この発明の熱交換器について説明する。この発明の熱交換器の1つの態様は、第1の金属板材および第1の金属板材の一方の面に熱的に接続された複数の第1の放熱フィンからなる第1の放熱部材と、第1の金属板材の他方の面に、一方の面が熱的に接続されるヒートポンプと、第2の金属板材および第2の金属板材の一方の面に熱的に接続された複数の第2の放熱フィンからなり、ヒートポンプの他方の面に熱的に接続される第2の放熱部材と、内周縁部および外周縁部を有し、中抜きのシート状の第1の防水・防湿部材及び第2の防水・防湿部材とを備えている。
【0038】
上述した第1の防水・防湿部材の内周縁部が第1の金属板材の外周縁部に接合され、第2の防水・防湿部材の内周縁部が第2の金属板材の外周縁部に接合され、第1の防水・防湿部材の外周縁部及び第2の防水・防湿部材の外周縁部が相互に接合されて、ヒートポンプを外気から遮断する熱交換器である。
【0039】
図5は、この発明の熱交換器の1つの態様を説明する図である。図5に示すように、熱交換器10は、2つの放熱部材12、17の間にヒートポンプを挟みこみ、放熱部材12、17の金属板材のそれぞれに防水・防湿部材16、20の内周縁部を接合し、防水・防湿部材16、20の外周縁部を相互に接合して、ヒートポンプを外気から遮断している。
【0040】
図6(a)は、防水・防湿部材の内周縁部がそれぞれ金属板材に接合された放熱部材を説明する図である。図6(a)の上部に示すように、第1の放熱部材12は、第1の金属板材13および第1の金属板材13の一方の面に熱的に接続された複数の第1の放熱フィン14からなっている。第1の金属部材13の他方の面の外周縁部には、中抜きのシート状の第1の防水・防湿部材16の内周縁部がヒートシール等によって接合されている。
【0041】
図6(a)の下部に示すように、第2の放熱部材17は、第2の金属板材18および第2の金属板材18の一方の面に熱的に接続された複数の第2の放熱フィン19からなっている。第2の金属部材18の他方の面の外周縁部には、中抜きのシート状の第2の防水・防湿部材20の内周縁部がヒートシール等によって接合されている。
【0042】
図6(b)は、図6(a)に示した第1の放熱部材12と第2の放熱部材17の間にヒートポンプを挟みこんだ状態を説明する図である。図6(b)に示すように、ヒートポンプ15の一方の面(図では上側)には、第1の放熱部材12の第1の金属部材13の放熱フィン14と反対側の面が熱的に接続されている。ヒートポンプ15の他方の面(図では下側)には、第2の放熱部材17の第2の金属部材18の放熱フィン19と反対側の面が熱的に接続されている。
【0043】
上述したように、第1の金属部材13の外周縁部には、中抜きのシート状の第1の防水・防湿部材16の内周縁部がヒートシール等によって接合されている。第2の金属部材18の外周縁部には、中抜きのシート状の第2の防水・防湿部材20の内周縁部がヒートシール等によって接合されている。図6(b)に示すように、この状態では、第1の防水・防湿部材16の外周縁部および第2の防水・防湿部材20の外周縁部はそれぞれ未だ接合されていない。
【0044】
次に、このように2つの放熱部材でヒートポンプを挟んだ状態で、第1の防水・防湿部材16の外周縁部および第2の防水・防湿部材20の外周縁部を相互に接合して、図5に示すように、ヒートポンプが外気から遮断された熱交換器が得られる。防水・防湿部材同士の接合は、接着、溶着による。
【0045】
図7は、この発明の熱交換器の取り付け例を説明する図である。図7に示すように、筐体30の壁面に熱交換器10を取り付ける。図6を参照して説明したような、第1の放熱部材12と第2の放熱部材17の間にヒートポンプ15を挟みこんだ状態で筐体30の壁面に取り付ける。第1の防水・防湿部材16の外周縁部および第2の防水・防湿部材20の外周縁部は、それぞれ筐体の外側および内側に接合される。
【0046】
図7に示す態様によれば、熱交換器10は、筐体30の内側および外側にそれぞれヒートシンクを備え、また、第1の防水・防湿部材16および第2の防水・防湿部材20がそれぞれ筐体30に接合しているため、ヒートポンプ15を外気から遮断しながら、筐体30の内側の温度調節をすることができる。
【0047】
図8は、熱交換器の電源端子および温度センサーなどの配線の取り出し方法を説明する図である。図8(a)は熱交換器の側面図、図8(b)は熱交換器の平面図である。図8(a)および図8(b)に示すように、ヒートポンプへの電源供給のための被覆のない平板状端子31をヒートポンプの横方向に突き出して設け、端子部分の周りを、第1の防水・防湿部材16の外周縁部および第2の防水・防湿部材20の外周縁部によって気密に接合する。
【0048】
図8に示す態様によれば、第1の防水・防湿部材16と第2の防水・防湿部材20とを接合しても、平板状端子31を接合部分から取り出すことができる。更に、平板状端子31を被覆のないものを使用することによって、被覆と平板状端子31との間からの水分の透過を防止することができる。
【0049】
図9は、熱交換器の電源端子および温度センサーなどの配線の他の取り出し方法を説明する図である。図9(a)は熱交換器の側面図、図9(b)は熱交換器の平面図である。図9(a)および図9(b)に示すように、ヒートポンプへの電源供給のための端子32を第1の放熱板材12または第2の放熱板材17の金属部材13、18の端部に孔部を設け、熱交換器の外部に突き出す。端子は孔部の中に気密状態に設けられている。第1の防水・防湿部材16の外周縁部および第2の防水・防湿部材20の外周縁部は相互に接合されている。
【0050】
図9に示す態様によれば、金属部材13、18の間は第1の防水・防湿部材16と第2の防水・防湿部材20とで密閉し、端子32と孔部の間をシリコン等の(図示しない)充填材で密閉することができるため、ヒートポンプを確実に外気から遮断することができる。
【0051】
図10は、防水・防湿部材の貼り付け位置を説明する図である。図10(a)に示す態様では、防水・防湿部材6は放熱部材の金属板材3の放熱フィン側の上面の外周部に配置されている。図10(b)は、図10(a)に示す態様を斜め下から見た図である。図10(b)から明らかなように、放熱部材の金属板材3の放熱フィン側の上面の外周部に、防水・防湿部材6が貼り付けられている。
【0052】
この発明によると、結露水によるヒートポンプの腐食や接触不良などの故障を防止し、長期的な信頼性が高く、熱接続性能を低下させることがなく、優れた放熱効率を有する熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、この発明のヒートシンクの1つの態様を説明する図である。
【図2】図2は、防水・防湿部材、および、防水・防湿部材と金属部材の接合状態を説明する図である。
【図3】図3は、金属板材の外周縁部に防水・防湿部材の内周縁部を接合した放熱部材を斜め上から見た図である。
【図4】図4は、ヒートポンプを、温調プレート(別の金属板材)と放熱部材で挟み込んだ状態を説明する図である。
【図5】図5は、この発明の熱交換器の1つの態様を説明する図である。
【図6】図6(a)は、防水・防湿部材の内周縁部がそれぞれ金属板材に接合された放熱部材を説明する図である。図6(b)は、図6(a)に示した第1の放熱部材12と第2の放熱部材17の間にヒートポンプを挟みこんだ状態を説明する図である。
【図7】図7は、この発明の熱交換器の取り付け例を説明する図である。
【図8】図8は、ヒートポンプへの電源供給方法を説明する図である。図8(a)は熱交換器の側面図、図8(b)は熱交換器の平面図である。
【図9】図9は、熱交換器の電源端子および温度センサーなどの配線の取り出し方法を説明する図である。図9(a)は熱交換器の側面図、図9(b)は熱交換器の平面図である。
【図10】図10は、防水・防湿部材の貼り付け位置を説明する図である。
【図11】図11は、従来の熱交換器を説明する図である
【符号の説明】
【0054】
1 ヒートシンク
2 放熱部材
3 金属部材
4 放熱フィン
5 ヒートポンプ
6 シート状の防水・防湿部材
7 内周縁部
8 外周縁部
9 別の金属板材
10 熱交換器
12 第1放熱部材
13 第1金属部材
14 第1の放熱フィン
15 ヒートポンプ(サーモモジュール)
16 第1のシート状の防水・防湿部材
17 第2放熱部材
18 第2金属部材
19 第2の放熱フィン
20 第2の防水・防湿部材
30 筐体
31 平板状端子
32 端子




【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板材および前記金属板材の一方の面に熱的に接続された複数の放熱フィンからなる放熱部材と、
前記放熱部材の前記金属板材の他方の面に、一方の面が熱的に接続されるヒートポンプと、
前記ヒートポンプの他方の面に熱的に接続される別の金属板材と、
内周縁部および外周縁部を備えた、中抜きのシート状の防水・防湿部材であって、前記防水・防湿部材の内周縁部が前記金属板材の外周縁部に接合され、前記防水・防湿部材の外周縁部が前記別の金属板材に接合されて、前記ヒートポンプを外気から遮断する防水・防湿部材とを備えた熱交換器。
【請求項2】
第1の金属板材および前記第1の金属板材の一方の面に熱的に接続された複数の第1の放熱フィンからなる第1の放熱部材と、
前記第1の金属板材の他方の面に、一方の面が熱的に接続されるヒートポンプと、
第2の金属板材および前記第2の金属板材の一方の面に熱的に接続された複数の第2の放熱フィンからなり、前記ヒートポンプの他方の面に熱的に接続される第2の放熱部材と、
内周縁部および外周縁部を有し、中抜きのシート状の第1の防水・防湿部材及び第2の防水・防湿部材とを備え、
前記第1の防水・防湿部材の内周縁部が前記第1の金属板材の外周縁部に接合され、前記第2の防水・防湿部材の内周縁部が前記第2の金属板材の外周縁部に接合され、前記第1の防水・防湿部材の外周縁部及び前記第2の防水・防湿部材の外周縁部が相互に接合されて、前記ヒートポンプを外気から遮断する熱交換器。
【請求項3】
前記シート状の防水・防湿部材は、少なくとも一層の高分子樹脂フィルムからなっている、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記シート状の防水・防湿部材は、中央部がくりぬかれた、概ね一定幅の矩形状である、請求項1から3の何れか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記シート状の防水・防湿部材は、水蒸気透過率が5g/m・24hr以下である、請求項1から4の何れか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記シート状の防水・防湿部材は、ヒートシールまたは接着剤による接着によって接合される、請求項1から5の何れか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第1の放熱部材が内部に位置し、前記第2の放熱部材が外部に位置するように筐体に取り付けられた、請求項2に記載の熱交換器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−206114(P2009−206114A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43855(P2008−43855)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)