熱収縮性筒状ラベル
【課題】 熱収縮により綺麗なリンクル調の外観を生じ、さらに、キャップシールとして用いた場合にキャップ部の上面に密着させて装着できる熱収縮性筒状ラベルを提供する。
【解決手段】 本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、周方向に熱収縮可能な筒状フィルム2と、前記筒状フィルム2の周方向に複数列設けられ且つ筒状フィルム2の上下方向に延びる線状の収縮規制部3と、を有し、前記複数列の収縮規制部3が、前記筒状フィルム2の上方領域Aを除く少なくとも中間領域Bに設けられている。
【解決手段】 本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、周方向に熱収縮可能な筒状フィルム2と、前記筒状フィルム2の周方向に複数列設けられ且つ筒状フィルム2の上下方向に延びる線状の収縮規制部3と、を有し、前記複数列の収縮規制部3が、前記筒状フィルム2の上方領域Aを除く少なくとも中間領域Bに設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮によって多数列の襞が形成された、いわゆるリンクル調の外観を生じる熱収縮性筒状ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱収縮によりリンクル調の外観を生じる熱収縮性筒状ラベルが飲料容器などに装着されている。
ここで、熱収縮によって、いわゆるリンクル調の外観を生じる熱収縮性筒状ラベルは、熱を加えると周方向に収縮し、その収縮に伴い外面又は内面に複数列の襞が生じ、その複数列の襞によって独特の外観及び風合いを呈する熱収縮性筒状ラベルである。
このような熱収縮性筒状ラベルは、例えば、酒入り容器のキャップシールとして利用されている。
【0003】
特許文献1には、一軸延伸熱収縮性フィルムと、金属薄膜を有する二軸延伸非熱収縮性フィルムとを、複数列のライン状の接着剤によって一体化し、ライン状の接着部と非接着部が交互に配列され、接着部の幅が0.6〜4mmで、接着部と非接着部の比率が1:3〜3:2で、接着部と非接着部の繰り返し単位が2〜16mmである熱収縮性包装用フィルムが開示されている。
かかる熱収縮性包装用フィルムを筒状にした熱収縮性筒状ラベルを容器のキャップ部に外嵌し且つ熱収縮させると、熱収縮性筒状ラベルの上方領域がキャップ部の上面側に折れ曲がると共に、熱収縮性筒状ラベルの上方領域以外がキャップ部の外周面及び容器の胴部に密着する。この際、非接着部に対応する熱収縮性フィルムが熱収縮する一方で、非接着部に対応する非熱収縮性フィルムは収縮しないので、その非熱収縮性フィルム部分が膨らむことによって、上下方向に延びる襞が多数列生じるようになる。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の熱収縮性筒状ラベルは、一軸延伸熱収縮性フィルム及び二軸延伸非熱収縮性フィルムが複数列の接着部において部分的に接着された熱収縮性包装用フィルムを使用しているので、周方向或いは斜め方向に皺が生じることが多い。なお、前記皺と前記襞は、いずれも凸状に突出した状態を意味するが、本明細書において、襞は、リンクル調の外観の基となる、熱収縮により生じる予定の上下方向に延びる長い凸状を意味し、皺は、予定外の無秩序な方向に生じる凸状を意味する。
特に、特許文献1の一軸延伸熱収縮性フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合には、ある温度で急激に収縮するので、それに部分接着された二軸延伸非熱収縮性フィルムが無秩序に引っ張られる結果、前記皺を生じやすい。
また、上記特許文献1の熱収縮性筒状ラベルをキャップシールとして利用した場合、加熱時に、二軸延伸非熱収縮性フィルムに接着された、一軸延伸熱収縮性フィルム部分の収縮が規制されるので、熱収縮性筒状ラベルの上方領域がキャップ部の上面に密着するように折れ曲がり難く、熱収縮性筒状ラベルの上縁とキャップ部の上面の間に大きな隙間を生じる。かかる隙間を生じると、熱収縮性筒状ラベルとキャップ部の間に粉塵が溜まったり、或いは、搬送中に熱収縮性筒状ラベルの上縁に異物が引掛かるなどの不都合を生じる。
さらに、上記特許文献1の熱収縮性筒状ラベルは、一軸延伸熱収縮性フィルム及び二軸延伸非熱収縮性フィルムが部分的に接着された熱収縮性包装用フィルムを使用しているので、開封時に分断し難いという問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−246003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、熱収縮により綺麗なリンクル調の外観を生じ、さらに、キャップシールとして用いた場合にキャップ部の上面に密着させて装着できる熱収縮性筒状ラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、周方向に熱収縮可能な筒状フィルムと、前記筒状フィルムの周方向に複数列設けられ且つ筒状フィルムの上下方向に延びる複数列の線状の収縮規制部と、を有し、前記複数列の収縮規制部が、前記筒状フィルムの上方領域を除く少なくとも中間領域に設けられている。
【0008】
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、上下方向に延びる複数列の線状の収縮規制部が設けられているので、加熱時に、収縮規制部に対応したフィルム部分が実質的に熱収縮しない又は小さく熱収縮する一方で、隣接する収縮規制部の間におけるフィルム部分が大きく熱収縮することにより、凸状に盛り上がる。従って、熱収縮により、周方向に複数列の襞が生じ、綺麗なリンクル調の外観を生じる。
さらに、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、筒状フィルムの上方領域に収縮規制部が設けられていないので、その上方領域全体が周方向に略均等に大きく熱収縮し得る。このため、本発明の熱収縮性筒状ラベルがキャップシールとして用いられた際には、熱収縮性筒状ラベルの上方領域をキャップ部の上面に密着させることができる。
また、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、従来のように、2枚のフィルムを部分的に接着したフィルムを用いていないので、開封し難いこともない。
【0009】
本発明の好ましい熱収縮性筒状ラベルは、前記筒状フィルムの面内の周方向にミシン目が形成されており、前記ミシン目の貫通孔が、前記収縮規制部の一部又は全部を横断するように形成されている。
かかる好ましい熱収縮性筒状ラベルは、周方向に延びるミシン目の貫通孔が収縮規制部の一部又は全部を横断するように形成されているので、そのミシン目を利用してフィルムを分断する際に分断線が上下方向に逸れ難く、そのミシン目に沿って周方向に分断し易い。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、熱収縮させた際に皺が生じにくく、綺麗なリンクル調の外観を生じる。さらに、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、キャップシールとして用いた場合に、その上方領域をキャップ部の上面に密着させて装着できる。このため、熱収縮性筒状ラベルとキャップ部の間に粉塵が溜まったり、或いは、搬送中に熱収縮性筒状ラベルの上縁に異物が引掛かることを防止できる。
また、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、ミシン目に沿って容易に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る熱収縮性筒状ラベルの正面図。ただし、熱収縮性筒状ラベルを偏平状に畳んだ状態で表している。
【図2】同背面図。
【図3】同上面図。
【図4】図1のIV−IV線(周方向)で切断した要部拡大断面図。
【図5】図1のV−V線(周方向)で切断した要部拡大断面図。
【図6】図1の熱収縮性筒状ラベルの中間領域の一部分を拡大した正面図。
【図7】同熱収縮性筒状ラベルを被着体に装着した包装体についての下方部省略正面図。
【図8】図7のVIII−VIII線(上下方向)で切断した断面図。
【図9】図7のIX−IX線(周方向)で切断した要部拡大断面図。
【図10】本発明の変形例に係る熱収縮性筒状ラベルの正面図。
【図11】本発明のさらなる変形例に係る熱収縮性筒状ラベルを周方向(図1のV−V線と同様の箇所)で切断した要部拡大断面図。
【図12】本発明のさらなる変形例に係る熱収縮性筒状ラベルを周方向(図1のV−V線と同様の箇所)で切断した要部拡大断面図。
【図13】本発明のさらなる変形例に係る熱収縮性筒状ラベルを周方向(図1のV−V線と同様の箇所)で切断した要部拡大断面図。
【図14】本発明の熱収縮性筒状ラベルを被着体に装着した、変形例に係る包装体の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について適宜図面を参照しつつ説明する。
以下の説明において、「内面」は、熱収縮性筒状ラベルを被着体に装着したと仮定した際の、被着体に近い側の面を指し、その「外面」は、その反対側の面を指す。「周方向」は、熱収縮性筒状ラベルの軸芯回りの方向であり、「上下方向」は、熱収縮性筒状ラベルの軸芯と平行な方向であって、前記周方向と直交する方向である。
また、本明細書において、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
なお、各図の具体的な寸法及び縮尺比は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0013】
図1乃至図6において、本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、周方向に熱収縮し得る筒状フィルム2と、筒状フィルム2の面内に設けられた線状の収縮規制部3と、を有する。
収縮規制部3は、収縮規制部形成材料を筒状フィルム2に添着することにより形成されている。
収縮規制部3は、熱収縮温度において、実質的に熱収縮しない部分又は熱収縮しても筒状フィルム2の熱収縮よりも熱収縮率が小さい部分である。
なお、前記熱収縮温度は、熱収縮性筒状ラベル1を熱収縮させるときの、熱収縮性筒状ラベル1の外面の温度又は加熱媒体の温度を意味する。前記熱収縮性筒状ラベル1の外面の温度は、通常、70℃〜100℃の範囲内の任意の温度であり、加熱媒体(例えば、熱風を用いた場合)の温度は、通常、100℃〜250℃の範囲内の任意の温度である。
【0014】
線状の収縮規制部3は、前記筒状フィルム2の外面に設けられ且つ筒状フィルム2の周方向に複数列設けられている。
従って、筒状フィルム2の面内には、上下方向に延びるライン状の収縮規制部3と、上下方向に延びるライン状のフィルム露出部2aと、が周方向に交互に配列されている。
前記フィルム露出部2aは、収縮規制部3が設けられていないので、加熱媒体にて熱収縮温度に加熱されると熱収縮性フィルム4の熱収縮性により、周方向に収縮する。
一方、前記収縮規制部3に対応するフィルム部分(筒状フィルム2のうち、収縮規制部3が重なっているフィルム部分)は、熱収縮温度において収縮規制部3が熱収縮性フィルム4の収縮を規制することによって、実質的に熱収縮しない又は熱収縮しても前記フィルム露出部2aの熱収縮よりも収縮しない。
【0015】
本発明の特徴の1つは、筒状フィルム2が実質的に1枚の熱収縮性フィルム4から構成されていることである。なお、実質的に1枚の熱収縮性フィルム4とは、単一層のフィルムだけでなく、2層以上の積層フィルムも含まれる。ただし、前記2層以上の積層フィルムは、1つの層と他の層が特許文献1のように接着部と非接着部を介して接着されているような、非接着な部分を複数箇所有する積層構造ではない。本発明における2層以上の積層フィルムは、複数の同種又は異種のフィルムが各種積層手段(例えば、共押出し法、ラミネート法)を用いて積層された積層フィルム、或いは、1つ又は複数の同種又は異種のフィルムと機能層が各種積層手段(例えば、共押出し法、ラミネート法)を用いて積層された積層フィルムである。
【0016】
本発明のもう1つの特徴として、前記収縮規制部3が筒状フィルム2の上方領域Aには設けられていないことである。
筒状フィルム2の上方領域Aは、図1及び図2に示すように、筒状フィルム2の上縁2bから下方に所定長さの領域であり、この上方領域Aは、熱収縮性筒状ラベル1を被着体に装着したときに、内側へ折れ曲がる折れ曲がり部を含む領域である。
以下、具体的に説明する。
【0017】
熱収縮性筒状ラベル1は、周方向に熱収縮し得る筒状フィルム2の外面に線状の収縮規制部3が周方向に複数列設けられた筒状体である。
なお、図1乃至図6においては、熱収縮性筒状ラベル1を偏平状に畳んだ状態で表している。
【0018】
筒状フィルム2は、熱収縮性フィルム4の熱収縮方向が周方向となるように、熱収縮性フィルム4を筒状に丸め、その両側端部4a,4bを重ね合わせて接着することにより構成されている。前記両側端部4a,4bを重ね合わせて接着した部分5は、通常、センターシール部と呼ばれる。
なお、図1及び図2において、符号21は、筒状フィルム2の上縁2bの一部分から上方に延設された摘み部を示す。
かかる筒状フィルム2は、加熱によって少なくとも周方向に大きく収縮し得る。
熱収縮性フィルム4は、熱収縮性のベースフィルム41と、前記ベースフィルム41に設けられた意匠印刷層42と、を有する。ただし、意匠印刷層42は、必要に応じて設けられる。
【0019】
前記ベースフィルム41は、少なくとも一方向に熱収縮性を有していれば、特に限定されない。
ベースフィルム41は、80℃に加熱した際の一方向(主たる熱収縮方向。筒状フィルムとなった際には周方向)における熱収縮率が30%以上のフィルムが好ましく、さらに、同40%以上のフィルムがより好ましく、同50%以上のフィルムが特に好ましい。なお、ベースフィルム41は、他方向にも熱収縮し得るフィルムでもよい。なお、他方向とは、ベースフィルム41の面内において、前記一方向と直交する方向をいう。この場合、そのベースフィルム41は、80℃に加熱した際の他方向における熱収縮率が1〜15%のフィルムが好ましく、さらに、同1〜10%のフィルムがより好ましい。
【0020】
ここで、上記80℃に加熱した際の熱収縮率とは、加熱前のフィルムの長さ(元の長さ)と、フィルムを80℃の温水中に10秒間浸漬した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)の割合であり、下記式(1)に代入して求められる。
式(1):熱収縮率(%)=[{(一方向(又は他方向)の元の長さ)−(一方向(又は他方向)の浸漬後の長さ)}/(一方向(又は他方向)の元の長さ)]×100。
【0021】
上記ベースフィルム41としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などからなる合成樹脂製フィルムが挙げられる。また、ベースフィルム41として、熱収縮性を有する2種以上のフィルムが各種積層手段を用いて積層された積層フィルムや、熱収縮性を有するフィルムに機能層が各種積層手段を用いて積層された積層フィルムなどを用いることもできる。
前記機能層としては、アルミニウム箔などの金属箔(金属蒸着膜を含む)、和紙、不織布、発泡樹脂層などが挙げられる。前記機能層は、熱収縮性を有するフィルムの熱収縮に比較的追従しやすいものが好ましい。
【0022】
ベースフィルム41としては、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系フィルム及びこのフィルムを有する積層フィルムを用いることが好ましい。かかるフィルムは、収縮曲線が比較的緩やかなので、熱収縮性筒状ラベル1を均等に熱収縮させ易く、良好なリンクル調の外観を生じさせることができる。
ベースフィルム41の厚みは、特に限定されないが、一般に、20μm〜150μmであり、好ましくは30μm〜100μmである。
【0023】
前記意匠印刷層42は、ベースフィルム41の内面及び外面の少なくとも何れか一方面に設けられている。図示例では、意匠印刷層42は、透明なベースフィルム41の内面に設けられている。もっとも、特に図示しないが、意匠印刷層42は、不透明又は透明なベースフィルム41の外面に設けられていてもよいし、或いは、ベースフィルム41の外面及び内面の双方に設けられていてもよい。
【0024】
意匠印刷層42は、例えば、商品名、会社名、説明書き、図柄などのデザインを表したインキ層、又は、具体的なデザインを伴わない1色又は多色模様の背景インキ層である。意匠印刷層42は、前記インキ層から選ばれる1つのインキ層でもよいし、複数を重ね塗りしたインキ層でもよい。意匠印刷層42は、公知の印刷法にて設けることができ、その代表的な印刷法としては、グラビア印刷法などが挙げられる。
【0025】
意匠印刷層42は、ベースフィルム41の面全体にベタ状に設けられていてもよいし、その面内の所望の領域に部分的に設けられていてもよい。もっとも、センターシール部5の接着強度を高めるため、意匠印刷層42を、図4及び図5に示すように、センターシール部5における両側端部4a,4bの間に介在させないようにすることが好ましい。
意匠印刷層42を形成するためのインキは、特に限定されず、例えば、溶剤型などの溶媒乾燥型インキなどが挙げられる。熱収縮性筒状ラベル1がよりキラキラした外観を呈するようになるので、意匠印刷層42のインキとして、銀色、金色又は黄色などの光を比較的反射し易い着色剤、及び、金属微粒子やシリカ微粒子のような光を反射又は拡散し得る微粒子を含むインキなどの金属光沢感を有するインキを用いることが好ましい。
【0026】
例えば、銀色ベタ印刷の意匠印刷層42を設けることにより、金属光沢感を有する熱収縮性筒状ラベル1を構成できる。
【0027】
意匠印刷層42の厚みは、特に限定されない。意匠印刷層42そのものは比較的柔らかいので、意匠印刷層42が熱収縮性フィルム4の熱収縮を規制することはない。もっとも、意匠印刷層42が余りに厚いと、熱収縮性フィルム4の全体の熱収縮率を低下させるおそれがある。よって、意匠印刷層42の厚みは、0.2μm〜10μm程度が好ましく、1μm〜5μmがより好ましい。
【0028】
線状に延びる収縮規制部3は、筒状フィルム2の外面に複数本設けられている。好ましくは,前記収縮規制部3は、直線状である。
その線状の収縮規制部3は、筒状フィルム2の上下方向と略平行な方向に延びている。この線状の収縮規制部3が、所定間隔を開けて周方向に配列されている(周方向に複数列設けられている)。
収縮規制部3は、筒状フィルム2の上方領域A及び下方領域Cを除いて、筒状フィルム2の外面に設けられている。つまり、収縮規制部3は、筒状フィルム2の外面の上下方向中間領域Bに設けられている。もっとも、収縮規制部3は、筒状フィルム2の上方領域Aに設けられていないことを条件として、筒状フィルム2の下縁2cに至るまで設けられていてもよい。
収縮規制部3が設けられていない筒状フィルム2の上方領域A及び下方領域Cは、熱収縮温度において、熱収縮性フィルム4の熱収縮性により周方向に熱収縮する。
【0029】
収縮規制部3を有さない筒状フィルム2の前記上方領域Aは、熱収縮性筒状ラベル1を被着体に装着したときに、内側へ折れ曲がる折れ曲がり部を含む領域である。
前記収縮規制部3を有さない上方領域Aの範囲は、被着体に応じて適宜設定される。例えば、上方領域Aの上下方向長さは、筒状フィルム2の上縁2bから下方に3mm〜10mm程度である。
また、収縮規制部3を有さない筒状フィルム2の前記下方領域Cは、後述するように、筒状ラベル連続体から1つの熱収縮性筒状ラベル1を得るときに必然的に生じる領域である。このため、前記収縮規制部3を有さない下方領域Cの範囲は、特に制限はないが、通常、筒状フィルム2の下縁2cから1mm〜3mm上方までの範囲である。
もっとも、収縮規制部3を下方領域Cに設けないことで、被着体の下面へ折れ曲がる折れ曲がり部を形成してもよい。この場合、下方領域Cの上下方向長さは、例えば、筒状フィルム2の下縁2cから上方に3〜10mm程度である。このように収縮規制部3を設けていない下方領域Cを有する熱収縮性筒状ラベル1を熱収縮させた際にも、その下方領域Cが被着体の下面の周縁部に折れ曲がる。よって、その折れ曲がった下方領域Cである折れ曲がり部を、被着体の下面に密着させて熱収縮性筒状ラベル1を装着できる。
【0030】
収縮規制部3の上下方向長さ(収縮規制部3の上縁から下縁までの直線長さ)は、筒状フィルム2の上下方向長さに応じて適宜設定できる。
複数列の収縮規制部3の幅W1は、それぞれ略同じ幅でもよいし、或いは、異なっていてもよい。なお、収縮規制部3の幅W1は、図5に示すように、周方向における長さである。
周方向において揃った襞を生じさせるために、複数列の収縮規制部3は、それぞれ略同じ幅であることが好ましい。特に、略同じ幅の複数列の収縮規制部3が周方向に一定間隔で規則的に設けられていることが特に好ましい。
収縮規制部3の幅W1の具体例としては、0.6mm〜4.0mm程度を例示できる。
【0031】
複数の収縮規制部3の列間には、筒状フィルム2が露出した部分である、上下方向に延びる線状のフィルム露出部2aが存在している。フィルム露出部2aは、収縮規制部3の本数に対応して複数列存在している。
この複数列のフィルム露出部2aの幅W2は、それぞれ略同じ幅でもよいし、或いは、異なっていてもよい。周方向において揃った襞を生じさせるために、複数列のフィルム露出部2aは、それぞれ略同じ幅であることが好ましい。なお、フィルム露出部2aの幅W2は、図5に示すように、周方向における長さである。
フィルム露出部2aの幅W2の具体例としては、0.4mm〜12.0mm程度を例示できる。
また、収縮規制部3の幅W1とフィルム露出部2aの幅W2の比(収縮規制部3の幅W1:フィルム露出部2aの幅W2)は、特に限定されないが、例えば、1:3〜3:2程度が好ましい。
【0032】
収縮規制部3は、熱収縮温度(例えば、収縮規制部3が80℃となる温度)において、実質的に熱収縮しない又は熱収縮しても前記フィルム露出部2aの熱収縮よりも収縮しないものからなる。
前記収縮規制部3が添着されたベースフィルム41は、その面内の全方向における熱収縮率が、10%以下であるものを含み、好ましくは同熱収縮率が5%以下、より好ましくは3%以下であるものを含む。前記収縮規制部3が添着されたベースフィルム41の熱収縮率は、ベースフィルム41の一方面全体に収縮規制部3がベタ状に添着された状態で、上記ベースフィルム41の熱収縮率の測定方法と同様にして求められる。この収縮規制部3が添着されたベースフィルム41の熱収縮率は、収縮規制部3の収縮規制の度合いを指標する。
【0033】
収縮規制部3は、主成分として樹脂成分を含む固化層からなる。なお、主成分とは、収縮規制部3を構成する成分中で質量が最も多い成分をいう。
前記樹脂成分は、特に限定されず、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などの公知の樹脂が挙げられる。
また、収縮規制部3には、必要に応じて任意の添加剤が含まれていてもよいし、着色剤が含まれていてもよい。もっとも、収縮規制部3は、着色剤を含まない透明なものが好ましい。
【0034】
収縮規制部3は、筒状フィルム2の外面に樹脂組成物を線状に塗工し、これを固化させることにより形成できる。前記樹脂組成物には、必要に応じて任意の添加剤などが配合されていてもよい。
例えば、樹脂組成物の性状は、溶剤型、エマルション型などが挙げられる。樹脂組成物は、樹脂成分の硬化原理に応じて分類すると、紫外線硬化型、電子線(EB)硬化型、反応型、熱硬化型、二液混合型などが挙げられる。汎用的に用いられていること及び比較的硬い塗膜(収縮規制部3)を形成できることから、樹脂組成物として、反応性硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂及び紫外線硬化型樹脂から選択される少なくとも1つを用いることが好ましく、着色剤を含まない紫外線硬化型樹脂を用いることがより好ましい。
【0035】
反応性硬化型樹脂の組成物としては、例えば、ウレタン樹脂を主成分とした反応性ホットメルト接着剤が挙げられる。
電子線硬化型樹脂の組成物としては、電子線照射により、ラジカル重合又はカチオン重合し得るモノマー、オリゴマー及びプレポリマーの少なくとも1種を含むものが挙げられる。この電子線硬化型樹脂の組成物は、必要に応じて、増感剤や滑剤等の添加剤、及び、顔料などの着色剤を含んでいてもよい。
紫外線硬化型樹脂の組成物としては、光重合性オリゴマー(プレポリマー)や光重合性モノマーなどの樹脂成分、及び、光重合開始剤を含むものが挙げられる。この紫外線硬化型樹脂の組成物は、必要に応じて、増感剤や滑剤等の添加剤、及び、顔料などの着色剤を含んでいてもよい。
紫外線硬化型樹脂としては、エポキシ基やビニルエーテル基を有するカチオン重合性化合物、アクリロイル基やビニル基を有するラジカル重合性化合物などが挙げられる。例えば、前記カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられ、前記ラジカル重合性化合物としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、エステルアクリレート系、アクリレート系の化合物などが挙げられる。
紫外線硬化型樹脂に対応する光重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、シラノール/アルミニウム錯体、スルホン酸エステル、イミドスルホネートなどの光カチオン重合開始剤が挙げられる。
なお、前記各種の硬化型樹脂の組成物として、例えば、汎用的な印刷用インキを使用することができる。
【0036】
前記樹脂組成物は、シルクスクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法、グラビア印刷法などの従来公知の印刷法によって塗工することができる。これらの印刷法によって樹脂組成物を塗工し固化することにより、綺麗に揃った複数の収縮規制部3を容易に形成できる。
特に、1回の印刷又は少ない回数の重ね塗り印刷で比較的厚い塗膜を形成する場合には、シルクスクリーン印刷法によって収縮規制部3を形成することが好ましく、比較的硬くて薄い塗膜を形成する場合には、フレキソ印刷法によって収縮規制部3を形成することが好ましい。
収縮規制部3の厚みは特に限定されない。もっとも、収縮規制部3の厚みが余りに薄いと、筒状フィルム2の収縮を十分に規制できないおそれがある。このような点を考慮すると、収縮規制部3の厚みは、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上が特に好ましい。また、収縮規制部3の厚みが余りに厚いと、筒状ラベル連続体をロールに巻き取った際にフィルム同士のブロッキングが生じたり、フィルムが凹凸状になるおそれがある。このような点を考慮すると、収縮規制部3の厚みの上限は、それを印刷法によって形成する場合、通常、100μmである。
例えば、収縮規制部3の形成材料として紫外線硬化型樹脂を使用する場合には、その厚みは、1μm〜10μmが好ましい。
また、上記では、収縮規制部3を従来公知の印刷法によって樹脂組成物を塗工固化して形成することを例示したが、収縮規制部3の形成方法はこれに限定されず、例えば、金属微粒子が分散された層をホットスタンプ法やコールドスタンプ法などの転写法によって、熱収縮性フィルム4の外面に設けることによって形成することもできる。
なお、収縮規制部3の表面は、図5に示すように、熱収縮性フィルム4の外面と略平行な平面状とされている。
【0037】
筒状フィルム2の面内には、上下方向に延びる補助ミシン目6と、周方向に延びる開封用ミシン目7と、が設けられている。
ここで、本明細書において、「ミシン目」とは、ミシン針の縫い跡の如く筒状フィルム2の内外面に貫通する貫通孔が一方向に断続的に形成された、貫通孔の集合を意味する。かかるミシン目は、隣接する貫通孔の間に、非貫通部(貫通処理のなされていないフィルム部分)が存在する。1つの貫通孔の正面視形状は、細長い直線状、針穴状(円形孔又は楕円形孔)などが挙げられる。ミシン目に沿ってフィルムが切れ易くなることから、各貫通孔の形状は、細長い直線状が好ましい。
【0038】
前記補助ミシン目6は、筒状フィルム2の摘み部21の両側下端から筒状フィルム2の面内中途部にかけて、上下方向と略平行に形成されており、図示例では、補助ミシン目6は左右一対形成されている。
補助ミシン目6は、収縮規制部3に重なって形成されていてもよいし、或いは、フィルム露出部2aに形成されていてもよい。
補助ミシン目6に沿ってフィルムを切り易くなることから、補助ミシン目6は、図1及び図2に示すように、フィルム露出部2aに形成されていることが好ましい。もっとも、補助ミシン目6は、筒状フィルム2の上下方向に対して若干傾斜させて形成することもでき、この場合、フィルム露出部2aに形成される補助ミシン目6は、収縮規制部3を上斜めから縦断するように形成されることもある(図示せず)。
【0039】
開封用ミシン目7は、筒状フィルム2の周方向全体に形成され、開封用ミシン目7の一部分は、補助ミシン目6の下端に連設されている。なお、補助ミシン目6の下端に開封用ミシン目7が連設されているとは、貫通孔及び非貫通部が一連に集合した線からなる補助ミシン目6と、貫通孔及び非貫通部が一連に集合した線からなる開封用ミシン目7が、実質的に交差していることを意味する。
【0040】
開封用ミシン目7は、その貫通孔71が収縮規制部3に重なって形成されていてもよいし(貫通孔71が収縮規制部3の幅の一部又は全部を横断するように形成されている)、或いは、貫通孔71が収縮規制部3に重ならずフィルム露出部2aに形成されていてもよいし、或いは、開封用ミシン目7を構成する複数の貫通孔71のうち一部の貫通孔71が収縮規制部3に重なり且つ一部の貫通孔71がフィルム露出部2aに形成されていてもよい。
【0041】
好ましくは、開封用ミシン目7は、図6に示すように、その貫通孔71が、全て又は殆どの収縮規制部3の一部又は全部を横断するように形成されている。この場合、図6に示すように、フィルム露出部2aにも開封用ミシン目7の貫通孔(この貫通孔は、収縮規制部3に重なっておらず、図6において、符号71aで示している)が形成されていてもよいし、或いは、フィルム露出部2aのみに形成される貫通孔を有さなくてもよい(図示せず)。
なお、図6は、収縮規制部が設けられた中間領域を正面から見た拡大図であるが、収縮規制部を判り易くするために、収縮規制部3を網掛けで表している。
【0042】
前記貫通孔71が横断する殆どの収縮規制部3は、筒状フィルム2に形成された全ての収縮規制部3の本数に対し、80%以上100%未満の収縮規制部3を意味する。この割合(80%以上100%未満)は、(貫通孔71が横断している収縮規制部3の本数/筒状フィルム2に形成された全ての収縮規制部3の本数)×100で求められる。
全ての収縮規制部3に重なるように正確に複数の貫通孔71を形成することは困難な場合があり、また、上記のように殆どの収縮規制部3の一部又は全部を横断するような貫通孔71を有する開封用ミシン目7であれば、そのミシン目に沿ってフィルムを周方向に切り取ることができる。
【0043】
なお、精度良くミシン目を形成できるミシン目刻設装置を用いれば、全ての収縮規制部3の一部又は全部を横断する貫通孔71を有する開封用ミシン目7を形成することも可能である。
なお、図6において、収縮規制部3の一部を横断する貫通孔を符号71bで、収縮規制部3の全部を横断する貫通孔を符号71cで示している。
この場合、特に図示しないが、全ての収縮規制部3の全部を横断する貫通孔を有する開封用ミシン目7を形成することがより好ましい。
【0044】
上記熱収縮性筒状ラベル1は、通常、長尺状に繋がった筒状ラベル連続体の形態で提供され、使用に際して、この連続体から個々の熱収縮性筒状ラベル1が切り取られる。すなわち、本発明の熱収縮性筒状ラベル1を機械的に製造する場合、長尺状の熱収縮性フィルム4に、その長手方向に延びる複数列の収縮規制部3を設けた後、これを筒状にしながら両側端部4a,4bを接着し、これを偏平状にすることにより、筒状ラベル連続体を得る。この筒状ラベル連続体を、一旦ロールに巻き取り、そのロールに巻き取った筒状ラベル連続体をラベラー(ラベル装着装置)又はラベル切断装置に装填する。ラベラー又はラベル切断装置において、筒状ラベル連続体に補助ミシン目6及び開封用ミシン目7を形成し、筒状ラベル連続体を所定長さに切断することにより、1つの熱収縮性筒状ラベル1を形成し、これを被着体に熱収縮装着させていく。
【0045】
ラベラー又はラベル切断装置での筒状ラベル連続体の切断において、収縮規制部3の下縁に一致する切断予定線に沿って筒状ラベル連続体を切断すれば、筒状フィルム2の上方領域Aを除き、筒状フィルム2の下縁2cにまで収縮規制部3が設けられた熱収縮性筒状ラベル1が得られる。もっとも、通常、長尺状の筒状ラベル連続体を順次切断する際に、収縮規制部3の下縁に一致するように精度良く切断することは困難であるため、収縮規制部3の下縁から少し離れた切断予定線に沿って切断する。
このような機械的製造工程を考慮して、上記熱収縮性筒状ラベル1は、その筒状フィルム2の下縁2cにまで収縮規制部3が至っていないのである。
【0046】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、従来と同様に、所望の被着体に外嵌した後、加熱することにより、被着体に熱収縮装着される。
被着体は、特に限定されず、飲料、調味料、食品、化粧品、サニタリー品などの任意の商品が収納された容器、これらの商品が収納された包装箱、任意の成形物品などが挙げられる。
特に、本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、キャップ部を保護するべく、被着体のキャップ部を含んで装着されるキャップシールとして用いることに適している。
【0047】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1を、例えば容器のような被着体9のキャップ部91及び胴部92の周囲に装着し、蒸気又は熱風などの加熱媒体を用いて熱収縮温度に加熱すると、図7及び図8に示すように、筒状フィルム2が熱収縮することによって、胴部92に密着すると共に、筒状フィルム2の上方領域Aが折れ曲がり、その折れ曲がり部がキャップ部91の上面91aに密着する。
【0048】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、加熱時に、収縮規制部3に対応したフィルム部分が実質的に熱収縮しない(又は熱収縮してもその量が小さい)一方で、隣接する収縮規制部3の間(フィルム露出部2a)におけるフィルム部分が大きく熱収縮することにより、収縮規制部3が設けられたフィルム部分が凸状に盛り上がる(図9参照)。従って、熱収縮後の熱収縮性筒状ラベル1には、上下方向に延びる長い凸状である襞が周方向に複数列生じ、綺麗なリンクル調の外観を生じる。
なお、熱収縮性筒状ラベル1を熱収縮させると、前記凸状に盛り上がったフィルム部分において、そのフィルム部分に設けられた収縮規制部3の面内の一部に、無秩序の亀裂が生じる(図示せず)。収縮規制部3の一部に前記のような亀裂が生じた場合には、収縮規制部3を通過する光の屈折率がその面内において一様でなくなる。このため、凸状に盛り上がったフィルム部分の表面又は意匠印刷層42にて反射する光の方向が変化し、熱収縮後の熱収縮性筒状ラベル1は、装飾性に優れた外観を呈する。特に、意匠印刷層42が金属光沢感を有するインキからなる場合(意匠印刷層に、光を比較的反射し易い着色剤、又は、金属微粒子やシリカ微粒子のような光を反射又は拡散し得る微粒子などが含まれている場合)、見る角度によってキラキラ感が変化する熱収縮性筒状ラベル1を提供できる。
【0049】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、筒状フィルム2が実質的に1枚の熱収縮性フィルム4から構成されているので、熱収縮時に、周方向などの任意な方向へ皺が生じ難く、収縮規制部3に従った綺麗な襞を生じる。また、1枚の熱収縮性フィルム4は、単一層のベースフィルムから構成することもできるので、比較的安価で且つ綺麗なリンクル調の熱収縮性筒状ラベル1を提供できる。
さらに、熱収縮性筒状ラベル1が、金属箔を有する場合、又は、光を反射又は拡散し得る微粒子を含むインキを用いた意匠印刷層42を有する場合には、リンクル調の外観と相俟ってキラキラした外観を呈する。
【0050】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、筒状フィルム2の上方領域Aに収縮規制部3が設けられていないので、その上方領域Aが周方向に略均等に大きく熱収縮し得る。このため、熱収縮性筒状ラベル1の折れ曲がり部が被着体9のキャップ部91の上面91aの周縁部に密着した包装体(熱収縮性筒状ラベル1が熱収縮装着された被着体9)を得ることができる。
かかる包装体は、熱収縮性筒状ラベル1とキャップ部91の間に粉塵が溜まり難く、又、搬送中に熱収縮性筒状ラベル1の上縁に異物が引掛かることを防止できる。
【0051】
被着体に装着された熱収縮性筒状ラベル1は、ミシン目を利用して開封できる。
例えば、補助ミシン目6を利用して装着後の熱収縮性筒状ラベル1を縦方向に分断した後、開封用ミシン目7を利用して熱収縮性筒状ラベル1を周方向に分断することにより、キャップ部91の上面91a及び胴部92に密着した熱収縮性筒状ラベル1の上半分を除去できる。
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、筒状フィルム2が実質的に1枚の熱収縮性フィルム4から構成されているので、補助ミシン目6及び開封用ミシン目7に沿って容易に分断できる。
もっとも、筒状フィルム2のうち収縮規制部3が設けられている部分は、収縮規制部3が設けられている分だけ切れにくい。特に、収縮規制部3は上下方向に延びて形成されているので、熱収縮性筒状ラベル1を周方向に分断しようとする際に、分断線が収縮規制部3の側縁によって上下方向に導かれる傾向にある。
この点、上記開封用ミシン目7は、その貫通孔71が収縮規制部3の一部又は全部を横断するように形成されているので、開封用ミシン目7を利用してフィルムを分断する際に、分断線が上下方向に逸れ難く、開封用ミシン目7に沿って周方向に分断し易い。
【0052】
次に、本発明の熱収縮性筒状ラベルの変形例を説明する。ただし、下記変形例の説明における構成及び効果のうち、上記実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0053】
上記実施形態の熱収縮性筒状ラベル1は、被着体に装着する前から筒状に形成されているが、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、これに限定されず、被着体への装着時に筒状に形成されるものでもよい(図示せず)。このような熱収縮性筒状ラベルは、巻付けタイプの熱収縮性筒状ラベルである。
被着体への装着時に筒状に形成される熱収縮性筒状ラベルは、例えば、収縮規制部が設けられた枚葉状の熱収縮性フィルムの一方の側端部を、被着体に部分接着し、このフィルムを被着体の周囲に巻き付けた後、前記一方の側端部の外面に他方の側端部の内面を接着することにより筒状に形成される。巻き付けて筒状に形成した熱収縮性筒状ラベルを、その後、熱収縮温度に加熱して熱収縮させることにより、上記実施形態と同様に、その熱収縮性筒状ラベルを被着体に密着させることができる。
【0054】
また、上記実施形態の収縮規制部3は、上下方向と略平行に形成されているが、本発明においては線状の収縮規制部3は上下方向に延びて形成されていればよく、必ずしも、上下方向と略平行である場合に限定されない。
例えば、図10に示すように、線状の収縮規制部3を周方向に対して傾斜させて設けた熱収縮性筒状ラベル1でもよい。かかる熱収縮性筒状ラベル1も、線状の収縮規制部3が上下方向に延びているので、熱収縮により上方方向に延びる皺が周方向に複数列生じる。この場合、線状の収縮規制部3の傾斜角は特に限定されないが、例えば、収縮規制部3の延びる方向と上下方向との成す角αが、1度〜30度が好ましい。
また、図示しないが、例えば、線状の収縮規制部3をらせん状(上下方向に曲線状)に設けてなる熱収縮性筒状ラベル1でもよい。
また、図示しないが、例えば、線状の収縮規制部3の幅W1及びフィルム露出部2aの幅W2は、上下方向において一定でなくてもよい。
【0055】
さらに、上記実施形態の収縮規制部3は、筒状フィルム2の外面に設けられているが、例えば、図11に示すように、収縮規制部3が、筒状フィルム2の内面に設けられていてもよいし、或いは、図12に示すように、収縮規制部3が、筒状フィルム2の外面及び内面に設けられていてもよい。
内面及び/又は外面に収縮規制部3を設けても、収縮規制部3が設けられたフィルム部分の熱収縮が規制されるので、熱収縮によりリンクル調の外観を生じる熱収縮性筒状ラベル1を提供できる。
【0056】
収縮規制部3が筒状フィルム2の外面及び内面に設けられる場合、筒状フィルム2の外面に設けられた収縮規制部3に対応する筒状フィルム2の内面に収縮規制部3が設けられていてもよいが(すなわち、筒状フィルム2の外面及び内面に設けられた収縮規制部3がフィルムを介して重なるように設けられていてもよいが)、図12に示すように、外面及び内面において収縮規制部3が重ならないように設けられていることが好ましく、外面と内面に交互に収縮規制部3が設けられていることがより好ましい。
【0057】
さらに、上記実施形態の収縮規制部3の表面は、熱収縮性フィルム4の外面と略平行な平面状に形成されているが、収縮規制部3の表面が、図13に示すように、熱収縮性フィルム4の外面(又は内面)に対して傾斜するような平面状に形成されていてもよいし、或いは、特に図示しないが、収縮規制部の表面が、凹凸状に形成されていてもよい。
前記収縮規制部3の表面が熱収縮性フィルム4の外面(又は内面)に対して傾斜するような平面状に形成されている熱収縮性筒状ラベル1は、光の反射方向が変化するので、熱収縮後の外観に変化を生じさせることができる。前記収縮規制部の表面が凹凸状に形成されている熱収縮性筒状ラベルは、光が乱反射するので、通常の印刷とは表現性が異なる外観を有する。
【0058】
なお、本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、キャップシールとして利用できるほか、キャップ部を有さない被着体に装着しても、本発明の効果を奏する。
例えば、本発明の熱収縮性筒状ラベル1を、任意の樹脂成形品の胴部及び上面の周縁部に密着するように装着すると、本発明の熱収縮性筒状ラベル1の中間領域などをその胴部に密着させ、熱収縮性筒状ラベル1の上方領域をその上面に沿って周縁部に密着させることができる(図示せず)。
また、上記実施形態の包装体は、熱収縮性筒状ラベル1が被着体9の上方部分に装着され且つ被着体9の下方部分には熱収縮性筒状ラベル1が装着されていないが、包装体の形態はこれに限られない。例えば、図14に示すように、熱収縮性筒状ラベル1が被着体9の上方部分及び下方部分に装着されていてもよい。図14に示す包装体は、正面から見たときに、被着体9が隠れ、襞が周方向に複数列生じた熱収縮性筒状ラベル1のみが見える。
かかる包装体を構成する熱収縮性筒状ラベルとして、下方領域Cに収縮規制部3が設けられていない熱収縮性筒状ラベル1を用いることにより、その下方領域Cを被着体9の下面(底面)に折り曲げて、被着体の下面(底面)に密着する折れ曲がり部を形成できる。
【符号の説明】
【0059】
1…熱収縮性筒状ラベル、2…筒状フィルム、2a…筒状フィルムのフィルム露出部、2b…筒状フィルムの上縁、2c…筒状フィルムの下縁、3…収縮規制部、4…熱収縮性フィルム、5…センターシール部、6…補助ミシン目、7…開封用ミシン目、71…開封用ミシン目の貫通孔、A…上方領域、B…中間領域、C…下方領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮によって多数列の襞が形成された、いわゆるリンクル調の外観を生じる熱収縮性筒状ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱収縮によりリンクル調の外観を生じる熱収縮性筒状ラベルが飲料容器などに装着されている。
ここで、熱収縮によって、いわゆるリンクル調の外観を生じる熱収縮性筒状ラベルは、熱を加えると周方向に収縮し、その収縮に伴い外面又は内面に複数列の襞が生じ、その複数列の襞によって独特の外観及び風合いを呈する熱収縮性筒状ラベルである。
このような熱収縮性筒状ラベルは、例えば、酒入り容器のキャップシールとして利用されている。
【0003】
特許文献1には、一軸延伸熱収縮性フィルムと、金属薄膜を有する二軸延伸非熱収縮性フィルムとを、複数列のライン状の接着剤によって一体化し、ライン状の接着部と非接着部が交互に配列され、接着部の幅が0.6〜4mmで、接着部と非接着部の比率が1:3〜3:2で、接着部と非接着部の繰り返し単位が2〜16mmである熱収縮性包装用フィルムが開示されている。
かかる熱収縮性包装用フィルムを筒状にした熱収縮性筒状ラベルを容器のキャップ部に外嵌し且つ熱収縮させると、熱収縮性筒状ラベルの上方領域がキャップ部の上面側に折れ曲がると共に、熱収縮性筒状ラベルの上方領域以外がキャップ部の外周面及び容器の胴部に密着する。この際、非接着部に対応する熱収縮性フィルムが熱収縮する一方で、非接着部に対応する非熱収縮性フィルムは収縮しないので、その非熱収縮性フィルム部分が膨らむことによって、上下方向に延びる襞が多数列生じるようになる。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の熱収縮性筒状ラベルは、一軸延伸熱収縮性フィルム及び二軸延伸非熱収縮性フィルムが複数列の接着部において部分的に接着された熱収縮性包装用フィルムを使用しているので、周方向或いは斜め方向に皺が生じることが多い。なお、前記皺と前記襞は、いずれも凸状に突出した状態を意味するが、本明細書において、襞は、リンクル調の外観の基となる、熱収縮により生じる予定の上下方向に延びる長い凸状を意味し、皺は、予定外の無秩序な方向に生じる凸状を意味する。
特に、特許文献1の一軸延伸熱収縮性フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合には、ある温度で急激に収縮するので、それに部分接着された二軸延伸非熱収縮性フィルムが無秩序に引っ張られる結果、前記皺を生じやすい。
また、上記特許文献1の熱収縮性筒状ラベルをキャップシールとして利用した場合、加熱時に、二軸延伸非熱収縮性フィルムに接着された、一軸延伸熱収縮性フィルム部分の収縮が規制されるので、熱収縮性筒状ラベルの上方領域がキャップ部の上面に密着するように折れ曲がり難く、熱収縮性筒状ラベルの上縁とキャップ部の上面の間に大きな隙間を生じる。かかる隙間を生じると、熱収縮性筒状ラベルとキャップ部の間に粉塵が溜まったり、或いは、搬送中に熱収縮性筒状ラベルの上縁に異物が引掛かるなどの不都合を生じる。
さらに、上記特許文献1の熱収縮性筒状ラベルは、一軸延伸熱収縮性フィルム及び二軸延伸非熱収縮性フィルムが部分的に接着された熱収縮性包装用フィルムを使用しているので、開封時に分断し難いという問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−246003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、熱収縮により綺麗なリンクル調の外観を生じ、さらに、キャップシールとして用いた場合にキャップ部の上面に密着させて装着できる熱収縮性筒状ラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、周方向に熱収縮可能な筒状フィルムと、前記筒状フィルムの周方向に複数列設けられ且つ筒状フィルムの上下方向に延びる複数列の線状の収縮規制部と、を有し、前記複数列の収縮規制部が、前記筒状フィルムの上方領域を除く少なくとも中間領域に設けられている。
【0008】
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、上下方向に延びる複数列の線状の収縮規制部が設けられているので、加熱時に、収縮規制部に対応したフィルム部分が実質的に熱収縮しない又は小さく熱収縮する一方で、隣接する収縮規制部の間におけるフィルム部分が大きく熱収縮することにより、凸状に盛り上がる。従って、熱収縮により、周方向に複数列の襞が生じ、綺麗なリンクル調の外観を生じる。
さらに、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、筒状フィルムの上方領域に収縮規制部が設けられていないので、その上方領域全体が周方向に略均等に大きく熱収縮し得る。このため、本発明の熱収縮性筒状ラベルがキャップシールとして用いられた際には、熱収縮性筒状ラベルの上方領域をキャップ部の上面に密着させることができる。
また、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、従来のように、2枚のフィルムを部分的に接着したフィルムを用いていないので、開封し難いこともない。
【0009】
本発明の好ましい熱収縮性筒状ラベルは、前記筒状フィルムの面内の周方向にミシン目が形成されており、前記ミシン目の貫通孔が、前記収縮規制部の一部又は全部を横断するように形成されている。
かかる好ましい熱収縮性筒状ラベルは、周方向に延びるミシン目の貫通孔が収縮規制部の一部又は全部を横断するように形成されているので、そのミシン目を利用してフィルムを分断する際に分断線が上下方向に逸れ難く、そのミシン目に沿って周方向に分断し易い。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、熱収縮させた際に皺が生じにくく、綺麗なリンクル調の外観を生じる。さらに、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、キャップシールとして用いた場合に、その上方領域をキャップ部の上面に密着させて装着できる。このため、熱収縮性筒状ラベルとキャップ部の間に粉塵が溜まったり、或いは、搬送中に熱収縮性筒状ラベルの上縁に異物が引掛かることを防止できる。
また、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、ミシン目に沿って容易に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る熱収縮性筒状ラベルの正面図。ただし、熱収縮性筒状ラベルを偏平状に畳んだ状態で表している。
【図2】同背面図。
【図3】同上面図。
【図4】図1のIV−IV線(周方向)で切断した要部拡大断面図。
【図5】図1のV−V線(周方向)で切断した要部拡大断面図。
【図6】図1の熱収縮性筒状ラベルの中間領域の一部分を拡大した正面図。
【図7】同熱収縮性筒状ラベルを被着体に装着した包装体についての下方部省略正面図。
【図8】図7のVIII−VIII線(上下方向)で切断した断面図。
【図9】図7のIX−IX線(周方向)で切断した要部拡大断面図。
【図10】本発明の変形例に係る熱収縮性筒状ラベルの正面図。
【図11】本発明のさらなる変形例に係る熱収縮性筒状ラベルを周方向(図1のV−V線と同様の箇所)で切断した要部拡大断面図。
【図12】本発明のさらなる変形例に係る熱収縮性筒状ラベルを周方向(図1のV−V線と同様の箇所)で切断した要部拡大断面図。
【図13】本発明のさらなる変形例に係る熱収縮性筒状ラベルを周方向(図1のV−V線と同様の箇所)で切断した要部拡大断面図。
【図14】本発明の熱収縮性筒状ラベルを被着体に装着した、変形例に係る包装体の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について適宜図面を参照しつつ説明する。
以下の説明において、「内面」は、熱収縮性筒状ラベルを被着体に装着したと仮定した際の、被着体に近い側の面を指し、その「外面」は、その反対側の面を指す。「周方向」は、熱収縮性筒状ラベルの軸芯回りの方向であり、「上下方向」は、熱収縮性筒状ラベルの軸芯と平行な方向であって、前記周方向と直交する方向である。
また、本明細書において、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
なお、各図の具体的な寸法及び縮尺比は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0013】
図1乃至図6において、本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、周方向に熱収縮し得る筒状フィルム2と、筒状フィルム2の面内に設けられた線状の収縮規制部3と、を有する。
収縮規制部3は、収縮規制部形成材料を筒状フィルム2に添着することにより形成されている。
収縮規制部3は、熱収縮温度において、実質的に熱収縮しない部分又は熱収縮しても筒状フィルム2の熱収縮よりも熱収縮率が小さい部分である。
なお、前記熱収縮温度は、熱収縮性筒状ラベル1を熱収縮させるときの、熱収縮性筒状ラベル1の外面の温度又は加熱媒体の温度を意味する。前記熱収縮性筒状ラベル1の外面の温度は、通常、70℃〜100℃の範囲内の任意の温度であり、加熱媒体(例えば、熱風を用いた場合)の温度は、通常、100℃〜250℃の範囲内の任意の温度である。
【0014】
線状の収縮規制部3は、前記筒状フィルム2の外面に設けられ且つ筒状フィルム2の周方向に複数列設けられている。
従って、筒状フィルム2の面内には、上下方向に延びるライン状の収縮規制部3と、上下方向に延びるライン状のフィルム露出部2aと、が周方向に交互に配列されている。
前記フィルム露出部2aは、収縮規制部3が設けられていないので、加熱媒体にて熱収縮温度に加熱されると熱収縮性フィルム4の熱収縮性により、周方向に収縮する。
一方、前記収縮規制部3に対応するフィルム部分(筒状フィルム2のうち、収縮規制部3が重なっているフィルム部分)は、熱収縮温度において収縮規制部3が熱収縮性フィルム4の収縮を規制することによって、実質的に熱収縮しない又は熱収縮しても前記フィルム露出部2aの熱収縮よりも収縮しない。
【0015】
本発明の特徴の1つは、筒状フィルム2が実質的に1枚の熱収縮性フィルム4から構成されていることである。なお、実質的に1枚の熱収縮性フィルム4とは、単一層のフィルムだけでなく、2層以上の積層フィルムも含まれる。ただし、前記2層以上の積層フィルムは、1つの層と他の層が特許文献1のように接着部と非接着部を介して接着されているような、非接着な部分を複数箇所有する積層構造ではない。本発明における2層以上の積層フィルムは、複数の同種又は異種のフィルムが各種積層手段(例えば、共押出し法、ラミネート法)を用いて積層された積層フィルム、或いは、1つ又は複数の同種又は異種のフィルムと機能層が各種積層手段(例えば、共押出し法、ラミネート法)を用いて積層された積層フィルムである。
【0016】
本発明のもう1つの特徴として、前記収縮規制部3が筒状フィルム2の上方領域Aには設けられていないことである。
筒状フィルム2の上方領域Aは、図1及び図2に示すように、筒状フィルム2の上縁2bから下方に所定長さの領域であり、この上方領域Aは、熱収縮性筒状ラベル1を被着体に装着したときに、内側へ折れ曲がる折れ曲がり部を含む領域である。
以下、具体的に説明する。
【0017】
熱収縮性筒状ラベル1は、周方向に熱収縮し得る筒状フィルム2の外面に線状の収縮規制部3が周方向に複数列設けられた筒状体である。
なお、図1乃至図6においては、熱収縮性筒状ラベル1を偏平状に畳んだ状態で表している。
【0018】
筒状フィルム2は、熱収縮性フィルム4の熱収縮方向が周方向となるように、熱収縮性フィルム4を筒状に丸め、その両側端部4a,4bを重ね合わせて接着することにより構成されている。前記両側端部4a,4bを重ね合わせて接着した部分5は、通常、センターシール部と呼ばれる。
なお、図1及び図2において、符号21は、筒状フィルム2の上縁2bの一部分から上方に延設された摘み部を示す。
かかる筒状フィルム2は、加熱によって少なくとも周方向に大きく収縮し得る。
熱収縮性フィルム4は、熱収縮性のベースフィルム41と、前記ベースフィルム41に設けられた意匠印刷層42と、を有する。ただし、意匠印刷層42は、必要に応じて設けられる。
【0019】
前記ベースフィルム41は、少なくとも一方向に熱収縮性を有していれば、特に限定されない。
ベースフィルム41は、80℃に加熱した際の一方向(主たる熱収縮方向。筒状フィルムとなった際には周方向)における熱収縮率が30%以上のフィルムが好ましく、さらに、同40%以上のフィルムがより好ましく、同50%以上のフィルムが特に好ましい。なお、ベースフィルム41は、他方向にも熱収縮し得るフィルムでもよい。なお、他方向とは、ベースフィルム41の面内において、前記一方向と直交する方向をいう。この場合、そのベースフィルム41は、80℃に加熱した際の他方向における熱収縮率が1〜15%のフィルムが好ましく、さらに、同1〜10%のフィルムがより好ましい。
【0020】
ここで、上記80℃に加熱した際の熱収縮率とは、加熱前のフィルムの長さ(元の長さ)と、フィルムを80℃の温水中に10秒間浸漬した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)の割合であり、下記式(1)に代入して求められる。
式(1):熱収縮率(%)=[{(一方向(又は他方向)の元の長さ)−(一方向(又は他方向)の浸漬後の長さ)}/(一方向(又は他方向)の元の長さ)]×100。
【0021】
上記ベースフィルム41としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などからなる合成樹脂製フィルムが挙げられる。また、ベースフィルム41として、熱収縮性を有する2種以上のフィルムが各種積層手段を用いて積層された積層フィルムや、熱収縮性を有するフィルムに機能層が各種積層手段を用いて積層された積層フィルムなどを用いることもできる。
前記機能層としては、アルミニウム箔などの金属箔(金属蒸着膜を含む)、和紙、不織布、発泡樹脂層などが挙げられる。前記機能層は、熱収縮性を有するフィルムの熱収縮に比較的追従しやすいものが好ましい。
【0022】
ベースフィルム41としては、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系フィルム及びこのフィルムを有する積層フィルムを用いることが好ましい。かかるフィルムは、収縮曲線が比較的緩やかなので、熱収縮性筒状ラベル1を均等に熱収縮させ易く、良好なリンクル調の外観を生じさせることができる。
ベースフィルム41の厚みは、特に限定されないが、一般に、20μm〜150μmであり、好ましくは30μm〜100μmである。
【0023】
前記意匠印刷層42は、ベースフィルム41の内面及び外面の少なくとも何れか一方面に設けられている。図示例では、意匠印刷層42は、透明なベースフィルム41の内面に設けられている。もっとも、特に図示しないが、意匠印刷層42は、不透明又は透明なベースフィルム41の外面に設けられていてもよいし、或いは、ベースフィルム41の外面及び内面の双方に設けられていてもよい。
【0024】
意匠印刷層42は、例えば、商品名、会社名、説明書き、図柄などのデザインを表したインキ層、又は、具体的なデザインを伴わない1色又は多色模様の背景インキ層である。意匠印刷層42は、前記インキ層から選ばれる1つのインキ層でもよいし、複数を重ね塗りしたインキ層でもよい。意匠印刷層42は、公知の印刷法にて設けることができ、その代表的な印刷法としては、グラビア印刷法などが挙げられる。
【0025】
意匠印刷層42は、ベースフィルム41の面全体にベタ状に設けられていてもよいし、その面内の所望の領域に部分的に設けられていてもよい。もっとも、センターシール部5の接着強度を高めるため、意匠印刷層42を、図4及び図5に示すように、センターシール部5における両側端部4a,4bの間に介在させないようにすることが好ましい。
意匠印刷層42を形成するためのインキは、特に限定されず、例えば、溶剤型などの溶媒乾燥型インキなどが挙げられる。熱収縮性筒状ラベル1がよりキラキラした外観を呈するようになるので、意匠印刷層42のインキとして、銀色、金色又は黄色などの光を比較的反射し易い着色剤、及び、金属微粒子やシリカ微粒子のような光を反射又は拡散し得る微粒子を含むインキなどの金属光沢感を有するインキを用いることが好ましい。
【0026】
例えば、銀色ベタ印刷の意匠印刷層42を設けることにより、金属光沢感を有する熱収縮性筒状ラベル1を構成できる。
【0027】
意匠印刷層42の厚みは、特に限定されない。意匠印刷層42そのものは比較的柔らかいので、意匠印刷層42が熱収縮性フィルム4の熱収縮を規制することはない。もっとも、意匠印刷層42が余りに厚いと、熱収縮性フィルム4の全体の熱収縮率を低下させるおそれがある。よって、意匠印刷層42の厚みは、0.2μm〜10μm程度が好ましく、1μm〜5μmがより好ましい。
【0028】
線状に延びる収縮規制部3は、筒状フィルム2の外面に複数本設けられている。好ましくは,前記収縮規制部3は、直線状である。
その線状の収縮規制部3は、筒状フィルム2の上下方向と略平行な方向に延びている。この線状の収縮規制部3が、所定間隔を開けて周方向に配列されている(周方向に複数列設けられている)。
収縮規制部3は、筒状フィルム2の上方領域A及び下方領域Cを除いて、筒状フィルム2の外面に設けられている。つまり、収縮規制部3は、筒状フィルム2の外面の上下方向中間領域Bに設けられている。もっとも、収縮規制部3は、筒状フィルム2の上方領域Aに設けられていないことを条件として、筒状フィルム2の下縁2cに至るまで設けられていてもよい。
収縮規制部3が設けられていない筒状フィルム2の上方領域A及び下方領域Cは、熱収縮温度において、熱収縮性フィルム4の熱収縮性により周方向に熱収縮する。
【0029】
収縮規制部3を有さない筒状フィルム2の前記上方領域Aは、熱収縮性筒状ラベル1を被着体に装着したときに、内側へ折れ曲がる折れ曲がり部を含む領域である。
前記収縮規制部3を有さない上方領域Aの範囲は、被着体に応じて適宜設定される。例えば、上方領域Aの上下方向長さは、筒状フィルム2の上縁2bから下方に3mm〜10mm程度である。
また、収縮規制部3を有さない筒状フィルム2の前記下方領域Cは、後述するように、筒状ラベル連続体から1つの熱収縮性筒状ラベル1を得るときに必然的に生じる領域である。このため、前記収縮規制部3を有さない下方領域Cの範囲は、特に制限はないが、通常、筒状フィルム2の下縁2cから1mm〜3mm上方までの範囲である。
もっとも、収縮規制部3を下方領域Cに設けないことで、被着体の下面へ折れ曲がる折れ曲がり部を形成してもよい。この場合、下方領域Cの上下方向長さは、例えば、筒状フィルム2の下縁2cから上方に3〜10mm程度である。このように収縮規制部3を設けていない下方領域Cを有する熱収縮性筒状ラベル1を熱収縮させた際にも、その下方領域Cが被着体の下面の周縁部に折れ曲がる。よって、その折れ曲がった下方領域Cである折れ曲がり部を、被着体の下面に密着させて熱収縮性筒状ラベル1を装着できる。
【0030】
収縮規制部3の上下方向長さ(収縮規制部3の上縁から下縁までの直線長さ)は、筒状フィルム2の上下方向長さに応じて適宜設定できる。
複数列の収縮規制部3の幅W1は、それぞれ略同じ幅でもよいし、或いは、異なっていてもよい。なお、収縮規制部3の幅W1は、図5に示すように、周方向における長さである。
周方向において揃った襞を生じさせるために、複数列の収縮規制部3は、それぞれ略同じ幅であることが好ましい。特に、略同じ幅の複数列の収縮規制部3が周方向に一定間隔で規則的に設けられていることが特に好ましい。
収縮規制部3の幅W1の具体例としては、0.6mm〜4.0mm程度を例示できる。
【0031】
複数の収縮規制部3の列間には、筒状フィルム2が露出した部分である、上下方向に延びる線状のフィルム露出部2aが存在している。フィルム露出部2aは、収縮規制部3の本数に対応して複数列存在している。
この複数列のフィルム露出部2aの幅W2は、それぞれ略同じ幅でもよいし、或いは、異なっていてもよい。周方向において揃った襞を生じさせるために、複数列のフィルム露出部2aは、それぞれ略同じ幅であることが好ましい。なお、フィルム露出部2aの幅W2は、図5に示すように、周方向における長さである。
フィルム露出部2aの幅W2の具体例としては、0.4mm〜12.0mm程度を例示できる。
また、収縮規制部3の幅W1とフィルム露出部2aの幅W2の比(収縮規制部3の幅W1:フィルム露出部2aの幅W2)は、特に限定されないが、例えば、1:3〜3:2程度が好ましい。
【0032】
収縮規制部3は、熱収縮温度(例えば、収縮規制部3が80℃となる温度)において、実質的に熱収縮しない又は熱収縮しても前記フィルム露出部2aの熱収縮よりも収縮しないものからなる。
前記収縮規制部3が添着されたベースフィルム41は、その面内の全方向における熱収縮率が、10%以下であるものを含み、好ましくは同熱収縮率が5%以下、より好ましくは3%以下であるものを含む。前記収縮規制部3が添着されたベースフィルム41の熱収縮率は、ベースフィルム41の一方面全体に収縮規制部3がベタ状に添着された状態で、上記ベースフィルム41の熱収縮率の測定方法と同様にして求められる。この収縮規制部3が添着されたベースフィルム41の熱収縮率は、収縮規制部3の収縮規制の度合いを指標する。
【0033】
収縮規制部3は、主成分として樹脂成分を含む固化層からなる。なお、主成分とは、収縮規制部3を構成する成分中で質量が最も多い成分をいう。
前記樹脂成分は、特に限定されず、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などの公知の樹脂が挙げられる。
また、収縮規制部3には、必要に応じて任意の添加剤が含まれていてもよいし、着色剤が含まれていてもよい。もっとも、収縮規制部3は、着色剤を含まない透明なものが好ましい。
【0034】
収縮規制部3は、筒状フィルム2の外面に樹脂組成物を線状に塗工し、これを固化させることにより形成できる。前記樹脂組成物には、必要に応じて任意の添加剤などが配合されていてもよい。
例えば、樹脂組成物の性状は、溶剤型、エマルション型などが挙げられる。樹脂組成物は、樹脂成分の硬化原理に応じて分類すると、紫外線硬化型、電子線(EB)硬化型、反応型、熱硬化型、二液混合型などが挙げられる。汎用的に用いられていること及び比較的硬い塗膜(収縮規制部3)を形成できることから、樹脂組成物として、反応性硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂及び紫外線硬化型樹脂から選択される少なくとも1つを用いることが好ましく、着色剤を含まない紫外線硬化型樹脂を用いることがより好ましい。
【0035】
反応性硬化型樹脂の組成物としては、例えば、ウレタン樹脂を主成分とした反応性ホットメルト接着剤が挙げられる。
電子線硬化型樹脂の組成物としては、電子線照射により、ラジカル重合又はカチオン重合し得るモノマー、オリゴマー及びプレポリマーの少なくとも1種を含むものが挙げられる。この電子線硬化型樹脂の組成物は、必要に応じて、増感剤や滑剤等の添加剤、及び、顔料などの着色剤を含んでいてもよい。
紫外線硬化型樹脂の組成物としては、光重合性オリゴマー(プレポリマー)や光重合性モノマーなどの樹脂成分、及び、光重合開始剤を含むものが挙げられる。この紫外線硬化型樹脂の組成物は、必要に応じて、増感剤や滑剤等の添加剤、及び、顔料などの着色剤を含んでいてもよい。
紫外線硬化型樹脂としては、エポキシ基やビニルエーテル基を有するカチオン重合性化合物、アクリロイル基やビニル基を有するラジカル重合性化合物などが挙げられる。例えば、前記カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられ、前記ラジカル重合性化合物としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、エステルアクリレート系、アクリレート系の化合物などが挙げられる。
紫外線硬化型樹脂に対応する光重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、シラノール/アルミニウム錯体、スルホン酸エステル、イミドスルホネートなどの光カチオン重合開始剤が挙げられる。
なお、前記各種の硬化型樹脂の組成物として、例えば、汎用的な印刷用インキを使用することができる。
【0036】
前記樹脂組成物は、シルクスクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法、グラビア印刷法などの従来公知の印刷法によって塗工することができる。これらの印刷法によって樹脂組成物を塗工し固化することにより、綺麗に揃った複数の収縮規制部3を容易に形成できる。
特に、1回の印刷又は少ない回数の重ね塗り印刷で比較的厚い塗膜を形成する場合には、シルクスクリーン印刷法によって収縮規制部3を形成することが好ましく、比較的硬くて薄い塗膜を形成する場合には、フレキソ印刷法によって収縮規制部3を形成することが好ましい。
収縮規制部3の厚みは特に限定されない。もっとも、収縮規制部3の厚みが余りに薄いと、筒状フィルム2の収縮を十分に規制できないおそれがある。このような点を考慮すると、収縮規制部3の厚みは、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上が特に好ましい。また、収縮規制部3の厚みが余りに厚いと、筒状ラベル連続体をロールに巻き取った際にフィルム同士のブロッキングが生じたり、フィルムが凹凸状になるおそれがある。このような点を考慮すると、収縮規制部3の厚みの上限は、それを印刷法によって形成する場合、通常、100μmである。
例えば、収縮規制部3の形成材料として紫外線硬化型樹脂を使用する場合には、その厚みは、1μm〜10μmが好ましい。
また、上記では、収縮規制部3を従来公知の印刷法によって樹脂組成物を塗工固化して形成することを例示したが、収縮規制部3の形成方法はこれに限定されず、例えば、金属微粒子が分散された層をホットスタンプ法やコールドスタンプ法などの転写法によって、熱収縮性フィルム4の外面に設けることによって形成することもできる。
なお、収縮規制部3の表面は、図5に示すように、熱収縮性フィルム4の外面と略平行な平面状とされている。
【0037】
筒状フィルム2の面内には、上下方向に延びる補助ミシン目6と、周方向に延びる開封用ミシン目7と、が設けられている。
ここで、本明細書において、「ミシン目」とは、ミシン針の縫い跡の如く筒状フィルム2の内外面に貫通する貫通孔が一方向に断続的に形成された、貫通孔の集合を意味する。かかるミシン目は、隣接する貫通孔の間に、非貫通部(貫通処理のなされていないフィルム部分)が存在する。1つの貫通孔の正面視形状は、細長い直線状、針穴状(円形孔又は楕円形孔)などが挙げられる。ミシン目に沿ってフィルムが切れ易くなることから、各貫通孔の形状は、細長い直線状が好ましい。
【0038】
前記補助ミシン目6は、筒状フィルム2の摘み部21の両側下端から筒状フィルム2の面内中途部にかけて、上下方向と略平行に形成されており、図示例では、補助ミシン目6は左右一対形成されている。
補助ミシン目6は、収縮規制部3に重なって形成されていてもよいし、或いは、フィルム露出部2aに形成されていてもよい。
補助ミシン目6に沿ってフィルムを切り易くなることから、補助ミシン目6は、図1及び図2に示すように、フィルム露出部2aに形成されていることが好ましい。もっとも、補助ミシン目6は、筒状フィルム2の上下方向に対して若干傾斜させて形成することもでき、この場合、フィルム露出部2aに形成される補助ミシン目6は、収縮規制部3を上斜めから縦断するように形成されることもある(図示せず)。
【0039】
開封用ミシン目7は、筒状フィルム2の周方向全体に形成され、開封用ミシン目7の一部分は、補助ミシン目6の下端に連設されている。なお、補助ミシン目6の下端に開封用ミシン目7が連設されているとは、貫通孔及び非貫通部が一連に集合した線からなる補助ミシン目6と、貫通孔及び非貫通部が一連に集合した線からなる開封用ミシン目7が、実質的に交差していることを意味する。
【0040】
開封用ミシン目7は、その貫通孔71が収縮規制部3に重なって形成されていてもよいし(貫通孔71が収縮規制部3の幅の一部又は全部を横断するように形成されている)、或いは、貫通孔71が収縮規制部3に重ならずフィルム露出部2aに形成されていてもよいし、或いは、開封用ミシン目7を構成する複数の貫通孔71のうち一部の貫通孔71が収縮規制部3に重なり且つ一部の貫通孔71がフィルム露出部2aに形成されていてもよい。
【0041】
好ましくは、開封用ミシン目7は、図6に示すように、その貫通孔71が、全て又は殆どの収縮規制部3の一部又は全部を横断するように形成されている。この場合、図6に示すように、フィルム露出部2aにも開封用ミシン目7の貫通孔(この貫通孔は、収縮規制部3に重なっておらず、図6において、符号71aで示している)が形成されていてもよいし、或いは、フィルム露出部2aのみに形成される貫通孔を有さなくてもよい(図示せず)。
なお、図6は、収縮規制部が設けられた中間領域を正面から見た拡大図であるが、収縮規制部を判り易くするために、収縮規制部3を網掛けで表している。
【0042】
前記貫通孔71が横断する殆どの収縮規制部3は、筒状フィルム2に形成された全ての収縮規制部3の本数に対し、80%以上100%未満の収縮規制部3を意味する。この割合(80%以上100%未満)は、(貫通孔71が横断している収縮規制部3の本数/筒状フィルム2に形成された全ての収縮規制部3の本数)×100で求められる。
全ての収縮規制部3に重なるように正確に複数の貫通孔71を形成することは困難な場合があり、また、上記のように殆どの収縮規制部3の一部又は全部を横断するような貫通孔71を有する開封用ミシン目7であれば、そのミシン目に沿ってフィルムを周方向に切り取ることができる。
【0043】
なお、精度良くミシン目を形成できるミシン目刻設装置を用いれば、全ての収縮規制部3の一部又は全部を横断する貫通孔71を有する開封用ミシン目7を形成することも可能である。
なお、図6において、収縮規制部3の一部を横断する貫通孔を符号71bで、収縮規制部3の全部を横断する貫通孔を符号71cで示している。
この場合、特に図示しないが、全ての収縮規制部3の全部を横断する貫通孔を有する開封用ミシン目7を形成することがより好ましい。
【0044】
上記熱収縮性筒状ラベル1は、通常、長尺状に繋がった筒状ラベル連続体の形態で提供され、使用に際して、この連続体から個々の熱収縮性筒状ラベル1が切り取られる。すなわち、本発明の熱収縮性筒状ラベル1を機械的に製造する場合、長尺状の熱収縮性フィルム4に、その長手方向に延びる複数列の収縮規制部3を設けた後、これを筒状にしながら両側端部4a,4bを接着し、これを偏平状にすることにより、筒状ラベル連続体を得る。この筒状ラベル連続体を、一旦ロールに巻き取り、そのロールに巻き取った筒状ラベル連続体をラベラー(ラベル装着装置)又はラベル切断装置に装填する。ラベラー又はラベル切断装置において、筒状ラベル連続体に補助ミシン目6及び開封用ミシン目7を形成し、筒状ラベル連続体を所定長さに切断することにより、1つの熱収縮性筒状ラベル1を形成し、これを被着体に熱収縮装着させていく。
【0045】
ラベラー又はラベル切断装置での筒状ラベル連続体の切断において、収縮規制部3の下縁に一致する切断予定線に沿って筒状ラベル連続体を切断すれば、筒状フィルム2の上方領域Aを除き、筒状フィルム2の下縁2cにまで収縮規制部3が設けられた熱収縮性筒状ラベル1が得られる。もっとも、通常、長尺状の筒状ラベル連続体を順次切断する際に、収縮規制部3の下縁に一致するように精度良く切断することは困難であるため、収縮規制部3の下縁から少し離れた切断予定線に沿って切断する。
このような機械的製造工程を考慮して、上記熱収縮性筒状ラベル1は、その筒状フィルム2の下縁2cにまで収縮規制部3が至っていないのである。
【0046】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、従来と同様に、所望の被着体に外嵌した後、加熱することにより、被着体に熱収縮装着される。
被着体は、特に限定されず、飲料、調味料、食品、化粧品、サニタリー品などの任意の商品が収納された容器、これらの商品が収納された包装箱、任意の成形物品などが挙げられる。
特に、本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、キャップ部を保護するべく、被着体のキャップ部を含んで装着されるキャップシールとして用いることに適している。
【0047】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1を、例えば容器のような被着体9のキャップ部91及び胴部92の周囲に装着し、蒸気又は熱風などの加熱媒体を用いて熱収縮温度に加熱すると、図7及び図8に示すように、筒状フィルム2が熱収縮することによって、胴部92に密着すると共に、筒状フィルム2の上方領域Aが折れ曲がり、その折れ曲がり部がキャップ部91の上面91aに密着する。
【0048】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、加熱時に、収縮規制部3に対応したフィルム部分が実質的に熱収縮しない(又は熱収縮してもその量が小さい)一方で、隣接する収縮規制部3の間(フィルム露出部2a)におけるフィルム部分が大きく熱収縮することにより、収縮規制部3が設けられたフィルム部分が凸状に盛り上がる(図9参照)。従って、熱収縮後の熱収縮性筒状ラベル1には、上下方向に延びる長い凸状である襞が周方向に複数列生じ、綺麗なリンクル調の外観を生じる。
なお、熱収縮性筒状ラベル1を熱収縮させると、前記凸状に盛り上がったフィルム部分において、そのフィルム部分に設けられた収縮規制部3の面内の一部に、無秩序の亀裂が生じる(図示せず)。収縮規制部3の一部に前記のような亀裂が生じた場合には、収縮規制部3を通過する光の屈折率がその面内において一様でなくなる。このため、凸状に盛り上がったフィルム部分の表面又は意匠印刷層42にて反射する光の方向が変化し、熱収縮後の熱収縮性筒状ラベル1は、装飾性に優れた外観を呈する。特に、意匠印刷層42が金属光沢感を有するインキからなる場合(意匠印刷層に、光を比較的反射し易い着色剤、又は、金属微粒子やシリカ微粒子のような光を反射又は拡散し得る微粒子などが含まれている場合)、見る角度によってキラキラ感が変化する熱収縮性筒状ラベル1を提供できる。
【0049】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、筒状フィルム2が実質的に1枚の熱収縮性フィルム4から構成されているので、熱収縮時に、周方向などの任意な方向へ皺が生じ難く、収縮規制部3に従った綺麗な襞を生じる。また、1枚の熱収縮性フィルム4は、単一層のベースフィルムから構成することもできるので、比較的安価で且つ綺麗なリンクル調の熱収縮性筒状ラベル1を提供できる。
さらに、熱収縮性筒状ラベル1が、金属箔を有する場合、又は、光を反射又は拡散し得る微粒子を含むインキを用いた意匠印刷層42を有する場合には、リンクル調の外観と相俟ってキラキラした外観を呈する。
【0050】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、筒状フィルム2の上方領域Aに収縮規制部3が設けられていないので、その上方領域Aが周方向に略均等に大きく熱収縮し得る。このため、熱収縮性筒状ラベル1の折れ曲がり部が被着体9のキャップ部91の上面91aの周縁部に密着した包装体(熱収縮性筒状ラベル1が熱収縮装着された被着体9)を得ることができる。
かかる包装体は、熱収縮性筒状ラベル1とキャップ部91の間に粉塵が溜まり難く、又、搬送中に熱収縮性筒状ラベル1の上縁に異物が引掛かることを防止できる。
【0051】
被着体に装着された熱収縮性筒状ラベル1は、ミシン目を利用して開封できる。
例えば、補助ミシン目6を利用して装着後の熱収縮性筒状ラベル1を縦方向に分断した後、開封用ミシン目7を利用して熱収縮性筒状ラベル1を周方向に分断することにより、キャップ部91の上面91a及び胴部92に密着した熱収縮性筒状ラベル1の上半分を除去できる。
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、筒状フィルム2が実質的に1枚の熱収縮性フィルム4から構成されているので、補助ミシン目6及び開封用ミシン目7に沿って容易に分断できる。
もっとも、筒状フィルム2のうち収縮規制部3が設けられている部分は、収縮規制部3が設けられている分だけ切れにくい。特に、収縮規制部3は上下方向に延びて形成されているので、熱収縮性筒状ラベル1を周方向に分断しようとする際に、分断線が収縮規制部3の側縁によって上下方向に導かれる傾向にある。
この点、上記開封用ミシン目7は、その貫通孔71が収縮規制部3の一部又は全部を横断するように形成されているので、開封用ミシン目7を利用してフィルムを分断する際に、分断線が上下方向に逸れ難く、開封用ミシン目7に沿って周方向に分断し易い。
【0052】
次に、本発明の熱収縮性筒状ラベルの変形例を説明する。ただし、下記変形例の説明における構成及び効果のうち、上記実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0053】
上記実施形態の熱収縮性筒状ラベル1は、被着体に装着する前から筒状に形成されているが、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、これに限定されず、被着体への装着時に筒状に形成されるものでもよい(図示せず)。このような熱収縮性筒状ラベルは、巻付けタイプの熱収縮性筒状ラベルである。
被着体への装着時に筒状に形成される熱収縮性筒状ラベルは、例えば、収縮規制部が設けられた枚葉状の熱収縮性フィルムの一方の側端部を、被着体に部分接着し、このフィルムを被着体の周囲に巻き付けた後、前記一方の側端部の外面に他方の側端部の内面を接着することにより筒状に形成される。巻き付けて筒状に形成した熱収縮性筒状ラベルを、その後、熱収縮温度に加熱して熱収縮させることにより、上記実施形態と同様に、その熱収縮性筒状ラベルを被着体に密着させることができる。
【0054】
また、上記実施形態の収縮規制部3は、上下方向と略平行に形成されているが、本発明においては線状の収縮規制部3は上下方向に延びて形成されていればよく、必ずしも、上下方向と略平行である場合に限定されない。
例えば、図10に示すように、線状の収縮規制部3を周方向に対して傾斜させて設けた熱収縮性筒状ラベル1でもよい。かかる熱収縮性筒状ラベル1も、線状の収縮規制部3が上下方向に延びているので、熱収縮により上方方向に延びる皺が周方向に複数列生じる。この場合、線状の収縮規制部3の傾斜角は特に限定されないが、例えば、収縮規制部3の延びる方向と上下方向との成す角αが、1度〜30度が好ましい。
また、図示しないが、例えば、線状の収縮規制部3をらせん状(上下方向に曲線状)に設けてなる熱収縮性筒状ラベル1でもよい。
また、図示しないが、例えば、線状の収縮規制部3の幅W1及びフィルム露出部2aの幅W2は、上下方向において一定でなくてもよい。
【0055】
さらに、上記実施形態の収縮規制部3は、筒状フィルム2の外面に設けられているが、例えば、図11に示すように、収縮規制部3が、筒状フィルム2の内面に設けられていてもよいし、或いは、図12に示すように、収縮規制部3が、筒状フィルム2の外面及び内面に設けられていてもよい。
内面及び/又は外面に収縮規制部3を設けても、収縮規制部3が設けられたフィルム部分の熱収縮が規制されるので、熱収縮によりリンクル調の外観を生じる熱収縮性筒状ラベル1を提供できる。
【0056】
収縮規制部3が筒状フィルム2の外面及び内面に設けられる場合、筒状フィルム2の外面に設けられた収縮規制部3に対応する筒状フィルム2の内面に収縮規制部3が設けられていてもよいが(すなわち、筒状フィルム2の外面及び内面に設けられた収縮規制部3がフィルムを介して重なるように設けられていてもよいが)、図12に示すように、外面及び内面において収縮規制部3が重ならないように設けられていることが好ましく、外面と内面に交互に収縮規制部3が設けられていることがより好ましい。
【0057】
さらに、上記実施形態の収縮規制部3の表面は、熱収縮性フィルム4の外面と略平行な平面状に形成されているが、収縮規制部3の表面が、図13に示すように、熱収縮性フィルム4の外面(又は内面)に対して傾斜するような平面状に形成されていてもよいし、或いは、特に図示しないが、収縮規制部の表面が、凹凸状に形成されていてもよい。
前記収縮規制部3の表面が熱収縮性フィルム4の外面(又は内面)に対して傾斜するような平面状に形成されている熱収縮性筒状ラベル1は、光の反射方向が変化するので、熱収縮後の外観に変化を生じさせることができる。前記収縮規制部の表面が凹凸状に形成されている熱収縮性筒状ラベルは、光が乱反射するので、通常の印刷とは表現性が異なる外観を有する。
【0058】
なお、本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、キャップシールとして利用できるほか、キャップ部を有さない被着体に装着しても、本発明の効果を奏する。
例えば、本発明の熱収縮性筒状ラベル1を、任意の樹脂成形品の胴部及び上面の周縁部に密着するように装着すると、本発明の熱収縮性筒状ラベル1の中間領域などをその胴部に密着させ、熱収縮性筒状ラベル1の上方領域をその上面に沿って周縁部に密着させることができる(図示せず)。
また、上記実施形態の包装体は、熱収縮性筒状ラベル1が被着体9の上方部分に装着され且つ被着体9の下方部分には熱収縮性筒状ラベル1が装着されていないが、包装体の形態はこれに限られない。例えば、図14に示すように、熱収縮性筒状ラベル1が被着体9の上方部分及び下方部分に装着されていてもよい。図14に示す包装体は、正面から見たときに、被着体9が隠れ、襞が周方向に複数列生じた熱収縮性筒状ラベル1のみが見える。
かかる包装体を構成する熱収縮性筒状ラベルとして、下方領域Cに収縮規制部3が設けられていない熱収縮性筒状ラベル1を用いることにより、その下方領域Cを被着体9の下面(底面)に折り曲げて、被着体の下面(底面)に密着する折れ曲がり部を形成できる。
【符号の説明】
【0059】
1…熱収縮性筒状ラベル、2…筒状フィルム、2a…筒状フィルムのフィルム露出部、2b…筒状フィルムの上縁、2c…筒状フィルムの下縁、3…収縮規制部、4…熱収縮性フィルム、5…センターシール部、6…補助ミシン目、7…開封用ミシン目、71…開封用ミシン目の貫通孔、A…上方領域、B…中間領域、C…下方領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に熱収縮可能な筒状フィルムと、前記筒状フィルムの周方向に複数列設けられ且つ筒状フィルムの上下方向に延びる線状の収縮規制部と、を有し、
前記複数列の収縮規制部が、前記筒状フィルムの上方領域を除く少なくとも中間領域に設けられている、熱収縮性筒状ラベル。
【請求項2】
前記筒状フィルムの面内の周方向にミシン目が形成されており、
前記ミシン目の貫通孔が、前記収縮規制部の一部又は全部を横断するように形成されている、請求項1に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項1】
周方向に熱収縮可能な筒状フィルムと、前記筒状フィルムの周方向に複数列設けられ且つ筒状フィルムの上下方向に延びる線状の収縮規制部と、を有し、
前記複数列の収縮規制部が、前記筒状フィルムの上方領域を除く少なくとも中間領域に設けられている、熱収縮性筒状ラベル。
【請求項2】
前記筒状フィルムの面内の周方向にミシン目が形成されており、
前記ミシン目の貫通孔が、前記収縮規制部の一部又は全部を横断するように形成されている、請求項1に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−107705(P2013−107705A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−234446(P2012−234446)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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