説明

熱媒供給装置

【課題】ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態において、ヒートポンプ装置を効率よく運転することを可能にし、より一層の省エネ性向上を図り得る熱媒供給装置の提供。
【解決手段】バーナ加熱式熱交換器15にて加熱された熱媒を低温暖房端末8bに供給する低温暖房回路9bと高温暖房端末8aに供給する高温暖房回路9aを備え、低温暖房回路9bには、バーナ加熱式熱交換器15に加えてヒートポンプ加熱式熱交換器17が設けられ、バーナ加熱状態とヒートポンプ加熱状態とに切換自在な熱媒供給装置1で、低温暖房端末8bからの熱媒をヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給するヒートポンプ用熱媒路61が、低温暖房端末8bからの熱媒の全量又はその一部をヒートポンプ加熱式熱交換器17へ直接供給するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナの燃焼により熱媒を加熱するバーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を低温暖房端末に供給する低温暖房回路と、前記バーナ加熱式熱交換器にて前記低温暖房端末への熱媒よりも高温に加熱された熱媒を高温暖房端末に供給する高温暖房回路とを備え、前記低温暖房回路と高温暖房回路が、膨張タンク及び熱媒循環ポンプを共用するように構成され、前記低温暖房回路には、前記バーナ加熱式熱交換器に加えて、ヒートポンプ装置の媒体により熱媒を加熱するヒートポンプ加熱式熱交換器が設けられ、その低温暖房回路が、前記バーナ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態と前記ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態とに切換自在に構成されている熱媒供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような構成の熱媒供給装置では、低温暖房端末に熱媒を供給する低温暖房時に、その暖房負荷等の各種条件に基づいてヒートポンプ装置のCOP(成績係数)を算定し、COPが高くなる領域では、ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態に切り換え、COPが低くなる領域では、バーナ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態に切り換えて運転することが可能となり、省エネ性の向上を図ることができ、このような熱媒供給装置はすでに知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−43321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の装置では、ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態において、必ずしもヒートポンプ装置を効率よく運転しているとは言い切れず、この点に改良の余地があった。
この特許文献1に記載の装置は、図6(特許文献1の図2をそのまま記載したもの)に示すような構成であり、以下、この図6を参照して説明する。
すなわち、ヒートポンプ装置16のヒートポンプ加熱式熱交換器17にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態では、図中太線にて示すように、低温暖房端末8bからの熱媒が、熱媒戻り路31から第1熱媒バイパス路39を通して第1熱媒路32に流入する。そして、その第1熱媒路32を通流する熱媒に対して、ヒートポンプ加熱式熱交換器17にて加熱された後の熱媒が、第2熱媒路35を通して合流し、合流した後の熱媒が、膨張タンク33、熱媒循環ポンプ34を通過したのち、その一部が第2熱媒バイパス路41を通流してヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給される。
このように、低温暖房端末8bからの熱媒に対して、ヒートポンプ加熱式熱交換器17で加熱された熱媒が合流し、その合流により温度が上昇した熱媒がヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給されるので、ヒートポンプ加熱式熱交換器17での熱回収(熱媒への熱供給)が低下し、ヒートポンプ装置を効率よく運転しているとは言い難い欠点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態において、ヒートポンプ装置を効率よく運転することを可能にし、それによって、より一層の省エネ性向上を図り得る熱媒供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明に係る熱媒供給装置の特徴構成は、バーナの燃焼により熱媒を加熱するバーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を低温暖房端末に供給する低温暖房回路と、前記バーナ加熱式熱交換器にて前記低温暖房端末への熱媒よりも高温に加熱された熱媒を高温暖房端末に供給する高温暖房回路とを備え、前記低温暖房回路と高温暖房回路が、膨張タンク及び熱媒循環ポンプを共用するように構成され、前記低温暖房回路には、前記バーナ加熱式熱交換器に加えて、ヒートポンプ装置の媒体により熱媒を加熱するヒートポンプ加熱式熱交換器が設けられ、その低温暖房回路が、前記バーナ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態と前記ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態とに切換自在に構成されている熱媒供給装置であって、前記低温暖房端末からの熱媒を前記ヒートポンプ加熱式熱交換器に供給するヒートポンプ用熱媒路が、前記低温暖房端末からの熱媒の全量又はその一部を前記ヒートポンプ加熱式熱交換器へ直接供給するように構成されている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、低温暖房端末からの熱媒をヒートポンプ加熱式熱交換器に供給するヒートポンプ用熱媒路が、低温暖房端末からの熱媒の全量又はその一部をヒートポンプ加熱式熱交換器へ直接供給するように構成されているので、ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態において、低温暖房端末からの熱媒をそのままヒートポンプ用熱媒路を通してヒートポンプ加熱式熱交換器へ直接供給することができる。
したがって、低温暖房端末からの熱媒の温度上昇を回避した状態でヒートポンプ加熱式熱交換器へ供給することが可能となって、ヒートポンプ装置を効率よく運転することができ、その結果、上述したように、低温暖房端末に熱媒を供給する低温暖房時において、ヒートポンプ加熱状態とバーナ加熱状態との切り換え運転により省エネ性の向上を図り得るのに加えて、ヒートポンプ加熱状態において一層の効率化を図ることが可能となり、より一層の省エネ性向上を図ることができる。
【0008】
本発明に係る熱媒供給装置の更なる特徴構成は、前記ヒートポンプ用熱媒路が、前記低温暖房端末からの熱媒を前記バーナ加熱式熱交換器へ戻す熱媒戻り路に対して並列状態に設けられ、前記低温暖房端末からの熱媒を前記バーナ加熱式熱交換器に供給するか又は前記ヒートポンプ加熱式熱交換器に供給するかを切り換える切換弁が設けられている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、ヒートポンプ用熱媒路が、低温暖房端末からの熱媒をバーナ加熱式熱交換器へ戻す熱媒戻り路に対して並列状態に設けられているので、切換弁の切り換えによって、低温暖房端末からの熱媒をヒートポンプ加熱式熱交換器に供給するヒートポンプ加熱状態において、低温暖房回路と高温暖房回路が共用する熱媒循環ポンプをそのまま利用して熱媒をヒートポンプ加熱式熱交換器に供給することができ、熱媒循環ポンプの共用による構造の簡素化を図ることができる。
【0010】
本発明に係る熱媒供給装置の更なる特徴構成は、前記熱媒戻り路が、前記高温暖房端末に接続の高温熱媒戻り路と前記低温暖房端末に接続の低温熱媒戻り路とを備え、前記ヒートポンプ用熱媒路が、前記高温熱媒戻り路と低温熱媒戻り路が合流する手前の低温熱媒戻り路に対して並列状態に設けられている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、ヒートポンプ用熱媒路が、高温熱媒戻り路と低温熱媒戻り路が合流する手前の低温熱媒戻り路に対して並列状態に設けられているので、低温暖房端末からの低温の熱媒をヒートポンプ加熱式熱交換器で加熱して、ヒートポンプ装置での熱回収(熱媒への熱供給)の向上化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態におけるバーナ加熱状態を示す熱媒供給装置の概略構成図
【図2】第1実施形態におけるヒートポンプ加熱状態を示す熱媒供給装置の概略構成図
【図3】時間経過に伴う運転モードの変化を示す図
【図4】運転モード毎にバーナ加熱状態とヒートポンプ加熱状態とに切り換えた場合の1次エネルギー消費量と、その算定の基準を示す図表
【図5】第2実施形態による熱媒供給装置の概略構成図
【図6】先行技術文献に記載された熱媒供給装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る熱媒供給装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
この熱媒供給装置1は、図1に示すように、一般家庭用の水道管に接続された給水路2からの水を給湯加熱部3にて加熱してその加熱された湯水を給湯栓4等が接続された給湯路5に供給する給湯回路6と、暖房端末8からの熱媒を暖房加熱部7にて加熱してその加熱された熱媒を暖房端末8に供給する暖房回路9と、暖房加熱部7にて加熱された熱媒により浴槽10の湯水をふろ熱交換器11にて加熱してその加熱された湯水を浴槽10に供給する追焚回路12とを備えている。
暖房端末8として、高温の熱媒(例えば80℃の熱媒)が要求される高温暖房端末8a(例えば浴室乾燥装置)とその高温暖房端末8aよりも低温の熱媒(例えば40〜75℃の熱媒)が要求される低温暖房端末8b(例えば床暖房パネル)とが備えられ、これらの暖房端末8a、8bに対応して、暖房回路9も、高温の熱媒を高温暖房端末8aに供給する高温暖房回路9aと低温の熱媒を低温暖房端末8bに供給する低温暖房回路9bを備えている。
【0014】
給湯回路6における給湯加熱部3は、給湯バーナ13の燃焼により給水路2からの水を加熱するように構成され、給湯バーナ13の燃焼ガスの潜熱により水を加熱する潜熱用給湯熱交換器3aと、給湯バーナ13の燃焼ガスの顕熱により水を加熱する顕熱用給湯熱交換器3bとから構成されている。
暖房回路9における暖房加熱部7として、高温暖房回路9aは、暖房バーナ14の燃焼により熱媒を加熱するバーナ加熱式熱交換器15を備え、低温暖房回路9bは、そのバーナ加熱式熱交換器15に加えて、ヒートポンプ装置16の媒体により熱媒を加熱するヒートポンプ加熱式熱交換器17を備え、バーナ加熱式熱交換器15は、暖房バーナ14の燃焼ガスの潜熱により熱媒を加熱する潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aと、暖房バーナ14の燃焼ガスの顕熱により熱媒を加熱する顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bとから構成されている。
そして、給湯回路6の給湯加熱部3と暖房回路9のバーナ加熱式熱交換器15が、いわゆる1缶2水形式に構成されている。
【0015】
給湯バーナ13及び暖房バーナ14の夫々には、一般家庭用の燃料ガスを供給するガス供給路18が分岐して接続され、そのガス供給路18の分岐部位よりも上流側には、燃料ガスの供給を断続する断続弁19が設けられ、分岐部位よりも下流側には、給湯バーナ13と暖房バーナ14に対応して、燃料ガス供給量を調整するガス比例弁20が夫々設けられている。
また、給湯バーナ13及び暖房バーナ14の夫々には、燃焼用空気を供給する燃焼用ファンFも各別に設けられ、図示は省略するが、給湯バーナ13及び暖房バーナ14の近くには、給湯バーナ13及び暖房バーナ14の夫々に対する点火動作を実行する点火用のイグナイタ及び着火されたか否かを検出するフレームロッド等も各別に設けられている。
【0016】
給湯回路6を構成する給水路2には、給水量を検出する水量センサ24と給水温度を検出する給水サーミスタ25とが設けられ、その給水路2が、給湯バイパス路26を介して給湯路5に接続され、その給湯バイパス路26によって、給水路2の水を給湯加熱部3をバイパスして給湯路5に供給可能としている。
その給水路2と給湯バイパス路26との接続箇所には、給湯加熱部3に供給する水量と給湯バイパス路26を通流させる水量との比率を調整自在なバイパス弁27が設けられ、給湯路5には、上流側から順に、給湯加熱部3の出口温度を検出する出口温サーミスタ28、給湯路5から供給される水量を調整自在な水量調整弁29、バイパス路26から供給される水が混合した後の湯水の温度を検出する出湯サーミスタ30が設けられている。
【0017】
暖房回路9のバーナ加熱式熱交換器15において、その潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aの入口側には、暖房端末8からの熱媒を戻す熱媒戻り路31が接続され、その熱媒戻り路31は、高温暖房端末8aに接続の高温熱媒戻り路31aと低温暖房端末8bに接続の低温熱媒戻り路31bとを備えている。潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aの出口側には、加熱後の熱媒を顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bに供給する第1熱媒路32が接続され、その第1熱媒路32には、熱媒を貯留する膨張タンク33と、熱媒を循環させる熱媒循環ポンプ34が設けられ、高温暖房回路9aと低温暖房回路9bが、膨張タンク33及び熱媒循環ポンプ34を共用するように構成されている。
顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bの出口側には、第2熱媒路35が接続され、この第2熱媒路35によって、加熱後の熱媒が第1熱媒路32の膨張タンク33の設置箇所よりも上流側部位に供給される。これにより、潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aにて加熱された熱媒と顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bにて加熱された熱媒とが合流されて、膨張タンク33及び熱媒循環ポンプ34に供給される。
【0018】
第1熱媒路32の熱媒循環ポンプ34よりも下流側部位には、熱媒を低温暖房端末8bに供給する低温往き路36が分岐接続され、熱媒循環ポンプ34からの熱媒の一部が低温暖房端末8bに供給され、残りの一部が顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bに供給されるように構成されている。そして、第1熱媒路32において、低温往き路36の分岐箇所よりも下流側部位に開閉弁60が設けられている。
第2熱媒路35には、熱媒の温度を検出する熱媒サーミスタ37が設けられ、この熱媒サーミスタ37よりも下流側部位には、熱媒を高温暖房端末8aに供給する高温往き路38が分岐接続され、これにより、顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bからの熱媒の一部が高温暖房端末8aに供給され、残りの一部が第2熱媒路35及び第1熱媒路32を通して膨張タンク33に供給されるように構成されている。
【0019】
第1熱媒路32において第2熱媒路35との合流箇所よりも上流側部位が、第1熱媒バイパス路39を介して熱媒戻り路31に接続され、この第1熱媒バイパス路39によって、高温暖房端末8a及び低温暖房端末8bからの熱媒を潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aをバイパスして膨張タンク33に供給可能としている。
そして、熱媒戻り路31と第1熱媒バイパス路39との接続箇所には、高温暖房端末8a及び低温暖房端末8bからの熱媒を、そのまま熱媒戻り路31を介して潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aに供給するか、又は、第1熱媒バイパス路39にて潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aをバイパスするかを切換自在な第1熱媒切換弁40が設けられている。
【0020】
高温暖房端末8a及び低温暖房端末8bから熱媒を戻す熱媒戻り路31において、高温熱媒戻り路31aと低温熱媒戻り路31bが合流する手前の低温熱媒戻り路31bには、ヒートポンプ用熱媒路として機能する第2熱媒バイパス路61が低温熱媒戻り路31bに並列状態に接続され、この第2熱媒バイパス路61には、ヒートポンプ装置16の媒体と熱媒とを熱交換させて媒体にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱式熱交換器17が配置され、ヒートポンプ加熱式熱交換器17の出口側には、熱媒の出口温度を検出する熱媒サーミスタ63が設けられている。
このヒートポンプ用熱媒路としての第2熱媒バイパス路61によって、熱媒循環ポンプ34からの熱媒を開閉弁60の閉弁により顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bに供給せずに、低温暖房端末8bを介してその低温暖房端末8bからの熱媒の全量をそのまま、場合によっては、低温暖房端末8bからの熱媒の一部をそのままヒートポンプ加熱式熱交換器17に直接供給可能としている。なお、低温暖房端末8bからの熱媒の一部がヒートポンプ加熱式熱交換器17に直接供給される場合、熱媒の残りは、後述する第2熱媒切換弁62から熱媒戻り路31を通流し、ヒートポンプ加熱式熱交換器17側へ逆流することなく、膨張タンク33及び熱媒循環ポンプ34に供給される。
【0021】
そして、熱媒戻り路31における低温熱媒戻り路31bと第2熱媒バイパス路61との接続箇所には、熱媒循環ポンプ34からの熱媒を、そのまま熱媒戻り路31にてバーナ加熱式熱交換器15に供給するか、又は、第2熱媒バイパス路61にてヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給するかを切換自在な第2熱媒切換弁62が設けられている。
このようにして、暖房回路9の低温暖房回路9bにおいて、バーナ加熱式熱交換器15とヒートポンプ加熱式熱交換器17とが並列状態に設けられ、第1熱媒切換弁40と第2熱媒切換弁62、及び、開閉弁60を切り換えることで、バーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態とヒートポンプ加熱式熱交換器17にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態とに切換自在に構成されている。
【0022】
ヒートポンプ装置16は、圧縮機21、凝縮器としてのヒートポンプ加熱式熱交換器17、膨張弁22、蒸発器23の順に媒体を循環させる媒体回路Rを備えた圧縮式ヒートポンプ装置にて構成され、圧縮機21を作動させることで、ヒートポンプ加熱式熱交換器17に圧縮機21からの高温高圧の媒体が供給され、その媒体にてヒートポンプ用熱媒路61を通流する熱媒を加熱するように構成されている。
そして、第2熱媒路35における熱媒サーミスタ37の設置箇所よりも下流側部位と、熱媒戻り路31における第1熱媒切換弁40の設置箇所よりも上流側部位とに第3熱媒バイパス路43が接続されている。第3熱媒バイパス路43には、ふろ熱交換器11、ふろ熱動弁44が順に設けられ、ふろ熱交換器11は、第3熱媒バイパス路43の熱媒にてふろ循環路45の湯水を加熱する液々熱交換器にて構成されている。
【0023】
ふろ熱交換器11には、加熱後の湯水を浴槽10に供給するふろ往き路46と浴槽10から湯水を吸引するふろ戻り路47とが接続され、ふろ往き路46とふろ戻り路47とからふろ循環路45が構成されている。
ふろ戻り路47には、上流側から順に、圧力を検出することにより浴槽10内の水位を検出する水位センサ48と、浴槽10から湯水を吸引して循環させるふろ循環ポンプ49と、水流スイッチ50と、浴槽内の湯水の温度を検出するふろサーミスタ51とが設けられている。そして、給湯路5から分岐してふろ戻り路47に接続された湯張り路52には、上流側から順に、湯張り弁53、空気層形成用ホッパ54、湯張り逆止弁55が設けられている。空気層形成用ホッパ54には、図示は省略するが、湯水を排水する排水路とその排水路を開閉する排水弁とが設けられている。
【0024】
熱媒供給装置1は、その全ての運転がコンピュータを備えた運転制御手段56により制御されるように構成され、その運転制御手段56は、熱媒供給装置1の運転を指令する人為操作式の熱媒供給装置用リモコン(図示は省略する)との間で各種の情報を通信可能に構成されている。
熱媒供給装置用リモコンは、例えば、台所や浴室等の夫々に設けられており、給湯設定温度や湯張り設定温度等を設定可能であるとともに、各種スイッチのON操作により各種の運転を要求指令できるように構成されている。
また、運転制御手段56は、暖房端末8の運転を指令する人為操作式の高温暖房端末用リモコン及び低温暖房端末用リモコン(図示は省略する)との間で各種の情報を通信可能に構成され、高温暖房端末用リモコンは、高温暖房端末8aに対して設けられ、低温暖房端末用リモコンは、低温暖房端末8bに対して設けられている。
【0025】
つぎに、運転制御手段56による熱媒供給装置1の制御運転について説明する。
運転制御手段56は、熱媒供給装置用リモコンの運転スイッチがON操作されると制御可能な状態となり、給湯栓4が開操作されると給湯栓4から湯水を給湯する給湯運転を実行する。そして、熱媒供給装置用リモコンの湯張りスイッチがON操作されてふろ湯張りが要求されると湯張り運転を実行し、追焚スイッチがON操作されてふろ追焚が要求されると追焚運転を実行する。
また、運転制御手段56は、高温暖房端末用リモコンの暖房運転スイッチがON操作されて高温暖房端末8aから運転が要求されると高温暖房運転を実行し、低温暖房端末用リモコンの暖房運転スイッチがON操作されて低温暖房端末8bから運転が要求されると低温暖房運転を実行する。
【0026】
〔給湯運転〕
運転制御手段56は、給湯栓4を開いて水量センサ24による検出水量が所定量以上になり給湯が要求されていると判別すると、給湯バーナ13を燃焼させて給湯加熱部3にて水を加熱させる給湯加熱作動を行う。つまり、燃焼用ファンFの駆動を開始させた後、断続弁19を開弁し、ガス比例弁20の開度を調整してイグナイタにより給湯バーナ13に点火する。そして、熱媒供給装置用リモコンでの給湯設定温度、給水サーミスタ25による検出水温、水量センサ24による検出水量等に基づいて、給湯温度を給湯設定温度とするための給湯バーナ13の目標燃焼量を求め、その求めた目標燃焼量となるようにガス比例弁20の開度及び燃焼用ファンFの回転速度を制御する。
そして、水量センサ24にて通水が検出されなくなると、ガス比例弁20及び断続弁19を閉弁させて燃料供給を停止して給湯バーナ13の燃焼を停止し、燃焼用ファンFも停止させて給湯運転を終了する。
【0027】
〔湯張り運転〕
運転制御手段56は、湯張りスイッチがON操作されてふろ湯張りが要求されると、湯張り弁53を開弁して通水を開始させ、出湯サーミスタ30の検出温度が湯張り用の目標温度になるように、給湯バーナ13を燃焼させて給湯加熱部3にて湯水を加熱させる給湯加熱作動を行う。
そして、水位センサ48にて検出される浴槽10の水位が設定水位に達すると、湯張り弁53を閉じて、給湯バーナ13の燃焼を停止し、燃焼用ファンFも停止させて給湯加熱作動を停止して湯張り運転を終了する。
【0028】
以下、追焚運転、高温暖房運転、及び、低温暖房運転について説明するが、本発明に係る熱媒供給装置1では、暖房回路9における低温暖房回路9bに対して、暖房バーナ14の燃焼により熱媒を加熱するバーナ加熱式熱交換器15と、ヒートポンプ装置16の媒体により熱媒を加熱するヒートポンプ加熱式熱交換器17とが並列状態に設けられている。
そして、第1熱媒切換弁40と第2熱媒切換弁62、及び、開閉弁60を切り換えることで、バーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態(図1中太線参照)とヒートポンプ加熱式熱交換器17にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態(図2中太線参照)とに切換自在に構成され、追焚運転と高温暖房運転では、バーナ加熱状態で運転し、低温暖房運転では、バーナ加熱状態及びヒートポンプ加熱状態の何れかに切り換えて運転を行うように構成されている。
【0029】
〔追焚運転〕
この追焚運転では、運転制御手段56が、第1熱媒切換弁40と第2熱媒切換弁62、及び、開閉弁60を切り換えることでバーナ加熱状態に切り換える。
運転制御手段56は、追焚スイッチがON操作されてふろ追焚が要求されると、ふろ循環ポンプ49を作動させて、浴槽10内の湯水をふろ戻り路47及びふろ往き路46を通して循環させる。そのときに水流スイッチ50によりそのことが検出されると、ふろ熱動弁44を開弁させて熱媒循環ポンプ34を作動させるとともに、第1熱媒切換弁40と第2熱媒切換弁62を切り換え、開閉弁60を開弁することでバーナ加熱状態に切り換えて、暖房バーナ14を燃焼させてバーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱させる暖房バーナ加熱作動を行う。
その暖房バーナ加熱作動として、燃焼用ファンFの駆動を開始させた後、断続弁19を開弁し、ガス比例弁20の開度を調整してイグナイタにより暖房バーナ14に点火し、熱媒サーミスタ37の検出温度と目標温度(例えば80℃)との偏差等に基づいて、熱媒サーミスタ37の検出温度を目標温度とするための暖房バーナ14の目標燃焼量を求め、その求めた目標燃焼量となるようにガス比例弁20の開度及び燃焼用ファンFの回転速度を制御する。
【0030】
運転制御手段56がふろ熱動弁44を開弁することで、顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bにて加熱された熱媒を第3熱媒バイパス路43を通してふろ熱交換器11に供給している。第1熱媒切換弁40と第2熱媒切換弁62、及び、開閉弁60がバーナ加熱状態に切り換えられているので、ふろ熱交換器11を通過した熱媒は、熱媒戻り路31を通して潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aに供給されて加熱される。潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aにて加熱された熱媒は、第1熱媒路32を通して膨張タンク33、熱媒循環ポンプ34を通過したのち、顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bに供給されて加熱される。
このようにして、バーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱しながら、その加熱された熱媒をふろ熱交換器11に循環供給している。一方、ふろ循環ポンプ49の作動によりふろ循環路45を通してふろ熱交換器11に浴槽10の湯水が供給され、ふろ熱交換器11において熱媒により浴槽10の湯水を加熱し、ふろ往き路46にて浴槽10に供給し、バーナ加熱式熱交換器15にて加熱された熱媒により浴槽10の湯水を加熱して追焚を行っている。そして、ふろサーミスタ51の検出温度が追焚設定温度に達すると、ふろ循環ポンプ49及び熱媒循環ポンプ34を停止させるとともに、暖房バーナ14の燃焼を停止し、燃焼用ファンFも停止させて暖房バーナ加熱作動を停止して、追焚運転を終了する。
【0031】
〔高温暖房運転〕
この高温暖房運転でも、運転制御手段56が、第1熱媒切換弁40と第2熱媒切換弁62、及び、開閉弁60を切り換えることでバーナ加熱状態に切り換える。
運転制御手段56は、高温暖房端末8aから運転が要求されると、熱媒循環ポンプ34を作動させるとともに、上述の追焚運転と同様に、第1熱媒切換弁40と第2熱媒切換弁62を切り換え、開閉弁60を開弁することでバーナ加熱状態に切り換えて、暖房バーナ14を燃焼させてバーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱させる暖房バーナ加熱作動を行う。ここで、熱媒サーミスタ37の検出温度と目標温度(例えば80℃)との偏差等に基づいて、熱媒サーミスタ37の検出温度を目標温度とするための暖房バーナ14の目標燃焼量を求め、その求めた目標燃焼量となるようにガス比例弁20の開度及び燃焼用ファンFの回転速度を制御する。
【0032】
そして、高温往き路38に備えられた熱媒断続弁(図示省略)を開弁させ、第1熱媒切換弁40及び第2熱媒切換弁62がバーナ加熱状態に切り換えられているので、高温暖房端末8aからの熱媒は、高温熱媒戻り路31aと熱媒戻り路31を通して潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aに供給されて加熱される。潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aにて加熱された熱媒は、第1熱媒路32を通して膨張タンク33、熱媒循環ポンプ34を通過したのち、顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bに供給されて加熱され、その後、第2熱媒路35及び高温往き路38を通して高温暖房端末8aに供給される。つまり、高温暖房端末8aからの熱媒は、高温暖房回路9aを通して、バーナ加熱式熱交換器15により加熱され、その後、高温暖房端末8aに供給される。
そして、高温暖房端末8aからの運転要求が終了すると、熱媒循環ポンプ34を停止させるとともに、暖房バーナ14の燃焼を停止し、燃焼用ファンFも停止させて暖房バーナ加熱作動を停止して、高温暖房運転を終了する。
【0033】
〔低温暖房運転〕
この低温暖房運転では、図1及び図2に示すように、運転制御手段56が、状況に応じて、バーナ加熱状態とヒートポンプ加熱状態とのうちの何れかに切り換える。すなわち、低温暖房端末8bにて要求される温度に応じて複数の運転モードが実行可能に構成され、どの運転モードを実行するかは、運転制御手段56が低温暖房端末8bにて要求されている熱媒の温度等に応じて選択するように構成されている。
その複数の運転モードとして、例えば、図3に示すように、低温暖房端末8bに供給する熱媒の温度をホットダッシュ用設定温度(例えば75℃)とするホットダッシュ運転モード、低温暖房端末8bに供給する熱媒の温度を高温用設定温度(例えば60℃)とする高温運転モード、及び、低温暖房端末8bに供給する熱媒の温度を低温用設定温度(例えば40℃)とする低温運転モードを実行するように構成されている。
【0034】
そこで、運転制御手段56は、運転モード毎に、バーナ加熱状態に切り換えた場合の1次エネルギー消費量とヒートポンプ加熱状態に切り換えた場合の1次エネルギー消費量とを求めておき、その求めた1次エネルギー消費量が小さい方を選択して切り換えるように設定されている。
例えば、図3に示すように、低温暖房運転として、ホットダッシュ運転モードをホットダッシュ用設定時間(例えば30分)行った後、高温運転モードを高温用設定時間(例えば1.5時間)行い、その後、低温運転モードを低温用設定時間(例えば5.0時間)行う場合について、以下、詳細に説明する。
運転モード毎の暖房負荷は、低温暖房端末8bに供給する熱媒の温度及び運転時間等から求めることができ、例えば、図4に示すように、ホットダッシュ運転モードでの暖房負荷が2.9kWh、高温運転モードでの暖房負荷が3.6kWh、低温運転モードでの暖房負荷が6.5kWhであり、このようにして、運転モード毎の暖房負荷を求めておく。
【0035】
そして、バーナ加熱状態に切り換えた場合の1次エネルギー消費量については、運転モード毎の暖房負荷(kWh)をCOP(成績係数)にて除算することにより、その暖房負荷を賄うためのガス需要(kWh)を求める。ここで、COPは、バーナ加熱状態に切り換えてバーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱したときのCOPを用い、その求めたガス需要(kWh)に3.6を乗算することにより1次エネルギー消費量(MJ)に換算して、バーナ加熱状態に切り換えた場合に運転モード毎に1次エネルギー消費量(MJ)を求めることができる。
また、ヒートポンプ加熱状態に切り換える場合の1次エネルギー消費量については、運転モード毎の暖房負荷をCOPにて除算することにより、その暖房負荷を賄うための電気需要(kWh)を求める。ここで、COPは、ヒートポンプ加熱状態に切り換えたヒートポンプ加熱式熱交換器17にて熱媒を加熱したときのCOPを用い、そして、その求めた電気需要(kWh)を0.369で除算するとともに、3.6を乗算することにより1次エネルギー消費量(MJ)に換算して、ヒートポンプ加熱状態に切り換えた場合に運転モード毎に1次エネルギー消費量(MJ)を求めることができる。
【0036】
運転モード毎にバーナ加熱状態に切り換えた場合の1次エネルギー消費量(MJ)とヒートポンプ加熱状態に切り換えた場合の1次エネルギー消費量(MJ)を求めることができるので、運転モード毎に1次エネルギー量が小さい方を選択して設定しておく。
ホットダッシュ運転モード(例えば暖房負荷が2.9kWh)では、ヒートポンプ加熱で供給できる温水温度の上限が60℃であり、75℃の温水を供給できないので、バーナ加熱状態に切り換えるように設定しておく。
また、高温運転モード(例えば暖房負荷が3.6kWh)では、バーナ加熱状態の1次エネルギー消費量(14.4MJ)がヒートポンプ加熱状態の1次エネルギー消費量(24.4MJ)よりも小さいので、バーナ加熱状態に切り換えるように設定し、低温運転モード(例えば暖房負荷が6.5kWh)では、ヒートポンプ加熱状態の1次エネルギー消費量(15.6MJ)がバーナ加熱状態の1次エネルギー消費量(26.3MJ)よりも小さいので、ヒートポンプ加熱状態に切り換えるように設定しておく。
【0037】
このようにして、運転制御手段56が、どの運転モードを実行するかによってバーナ加熱状態に切り換えるかヒートポンプ加熱状態に切り換えるかを予め設定しておくことができるので、運転モードを選択するだけで、バーナ加熱状態とヒートポンプ加熱状態との切換を行うことができる。したがって、運転制御手段56は、低温暖房端末8bから運転が要求されると、熱媒循環ポンプ34を作動させるとともに、運転モードを選択することによりバーナ加熱状態又はヒートポンプ加熱状態に切り換える。
例えば、ホットダッシュ運転モード及び高温運転モードを行うときにはバーナ加熱状態に切り換え、低温運転モードを行うときにはヒートポンプ加熱状態に切り換える。この構成を採用することにより、熱媒を加熱するのに要する1次エネルギー消費量を小さく抑えて熱媒を低温暖房端末8bに供給することが可能となり、省エネ性に優れた熱媒供給装置を実現することができる。
【0038】
バーナ加熱状態の場合には、運転制御手段56が、上述の高温暖房運転と同様に、第1熱媒切換弁40と第2熱媒切換弁62、及び、開閉弁60をバーナ加熱状態に切り換え、暖房バーナ14を燃焼させてバーナ加熱式熱交換器15にて熱媒を加熱させる暖房バーナ加熱作動を行う。
ここで、運転制御手段56は、熱媒サーミスタ37の検出温度と目標温度(低温暖房端末8bにて要求される熱媒の温度に応じて設定される)との偏差等に基づいて、熱媒サーミスタ37の検出温度を目標温度とするための暖房バーナ14の目標燃焼量を求め、その求めた目標燃焼量となるようにガス比例弁20の開度及び燃焼用ファンFの回転速度を制御する。
【0039】
そして、運転制御手段56は、低温暖房端末8bから運転が要求されると、低温往き路36に備えられた熱媒断続弁(図示省略)を開弁させ、図1中太線にて示すように、低温暖房端末8bからの熱媒は、低温熱媒戻り路31bと熱媒戻り路31を通して潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aに供給されて加熱される。潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aにて加熱された熱媒は、第1熱媒路32を通して膨張タンク33、熱媒循環ポンプ34を通過したのち、一部が低温往き路36を通して低温暖房端末8bに供給される。つまり、低温暖房端末8bからの熱媒は、低温暖房回路9bを通して、バーナ加熱式熱交換器15の潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aにより加熱され、その後、低温暖房端末8bに供給される。
そして、熱媒循環ポンプ34を通過した熱媒のうち、残りの一部が顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bに供給されて加熱され、顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bにて加熱された熱媒は、第2熱媒路35を通して膨張タンク33に供給される。
【0040】
ヒートポンプ加熱状態の場合には、運転制御手段56が、ヒートポンプ装置16を運転させるとともに、第1熱媒切換弁40と第2熱媒切換弁62、及び、開閉弁60を切り換えることでヒートポンプ加熱状態に切り換える。
ここで、運転制御手段56は、熱媒サーミスタ63の検出温度と目標温度(低温暖房端末8bにて要求されている熱媒の温度に応じて設定される)との偏差等に基づいて、熱媒サーミスタ63の検出温度を目標温度とするための圧縮機21の目標回転速度を求め、その求めた目標回転速度となるように圧縮機21の回転速度を制御する。
そして、図2中太線にて示すように、低温暖房端末8bからの熱媒は、低温熱媒戻り路31bと第2熱媒バイパス路61を通流してヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給されて加熱される。ヒートポンプ加熱式熱交換器17で加熱された熱媒は、熱媒戻り路31から第1熱媒バイパス路39に通流し、潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aをバイパスして第1熱媒路32を通して膨張タンク33に供給され、熱媒循環ポンプ34を通過したのち、その全量又はその一部が低温往き路36を通して低温暖房端末8bに供給される。つまり、低温暖房端末8bからの熱媒は、低温暖房回路9bを通して、ヒートポンプ加熱式熱交換器17により加熱され、その後、低温暖房端末8bに供給される。
【0041】
〔第2実施形態〕
第2実施形態による熱媒供給装置1について、図5に基づいて説明するが、重複説明を避けるため、第1実施形態で説明した構成部品や同じ作用を有する構成部品については、同じ符号を付すことで説明を省略し、主として第1実施形態と異なる構成について説明する。
この第2の実施形態では、第1の実施形態が給湯バーナ13と暖房バーナ14を備えていたのに対し、給湯バーナ13と暖房バーナ14とを兼用する単一のバーナ13(14)を備えている。そのバーナ13(14)の燃焼により水を加熱する給湯加熱部3と熱媒を加熱するバーナ加熱式熱交換器15とを備え、バーナ加熱式熱交換器15が、燃焼ガスの潜熱により熱媒を加熱する潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aと顕熱により熱媒を加熱する顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bとから構成されて、いわゆる1缶3水形式に構成されている。
そして、給湯回路6を構成する給湯路5には、循環用バイパス路70の熱媒にて給湯路5の湯水を加熱する液々熱交換器71が付加され、その循環用バイパス路70と第3熱媒バイパス路43とが第2熱媒路35に接続され、その接続箇所に熱媒切換弁72が設けられるとともに、低温往き路36と高温往き路38がバイパス路73で接続され、その接続箇所に熱媒切換弁74が設けられている。
【0042】
つぎに、運転制御手段56による熱媒供給装置1の制御運転について説明するが、主として第1実施形態と異なる点について言及する。
給湯運転については、給湯加熱部3により水を加熱するのに加えて、液々熱交換器71でも加熱する点が異なるだけで、その他は第1実施形態と同じであり、湯張り運転と追焚運転についても、特に異なる点はない。
高温暖房運転では、高温暖房端末8aからの熱媒が、高温熱媒戻り路31a、熱媒戻り路31、膨張タンク33、熱媒循環ポンプ34を通して潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aに供給されて加熱される。潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aにて加熱された熱媒は、第1熱媒路32を通して顕熱用バーナ加熱式熱交換器15bに供給されて加熱され、その後、第2熱媒路35及び高温往き路38を通して高温暖房端末8aに供給される。つまり、高温暖房端末8aからの熱媒は、高温暖房回路9aを通して、バーナ加熱式熱交換器15により加熱され、その後、高温暖房端末8aに供給される。
【0043】
低温暖房運転では、第1の実施形態と同様に、運転制御手段56が、ホットダッシュ運転モード及び高温運転モードを行うときにはバーナ加熱状態に切り換え、低温運転モードを行うときにはヒートポンプ加熱状態に切り換える。
バーナ加熱状態の場合には、低温暖房端末8bからの熱媒が、低温熱媒戻り路31b、熱媒戻り路31、膨張タンク33、熱媒循環ポンプ34を通して潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aに供給されて加熱される。潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aで加熱された熱媒は、第1熱媒路32を通流し、必要に応じて、高温往き路38からの高温の熱媒がバイパス路73を通して混合され、低温往き路36を通して低温暖房端末8bに供給される。つまり、低温暖房端末8bからの熱媒は、低温暖房回路9bを通して、バーナ加熱式熱交換器15の潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aにより加熱され、その後、低温暖房端末8bに供給される。
ヒートポンプ加熱状態の場合には、図5中太線にて示すように、低温暖房端末8bからの熱媒が、低温熱媒戻り路31bとヒートポンプ用熱媒路としての第2熱媒バイパス路61を通流してヒートポンプ加熱式熱交換器17に供給されて加熱される。加熱された熱媒は、熱媒戻り路31から潜熱用バーナ加熱式熱交換器15aを経て、その全量又はその一部が低温往き路36を通して低温暖房端末8bに供給される。つまり、低温暖房端末8bからの熱媒は、低温暖房回路9bを通して、ヒートポンプ加熱式熱交換器17により加熱され、その後、低温暖房端末8bに供給される。
【0044】
〔別実施形態〕
先の実施形態では、熱媒戻り路31に対して、ヒートポンプ用熱媒路61を並列状態に設けた例を示したが、ヒートポンプ用熱媒路61を熱媒戻り路31に対して直列状態に設けて実施することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 熱媒供給装置
8a 高温暖房端末
8b 低温暖房端末
9a 高温暖房回路
9b 低温暖房回路
14 バーナ
15 バーナ加熱式熱交換器
16 ヒートポンプ装置
17 ヒートポンプ加熱式熱交換器
31 熱媒戻り路
31a 高温熱媒戻り路
31b 低温熱媒戻り路
33 膨張タンク
34 熱媒循環ポンプ
61 ヒートポンプ用熱媒路
62 切換弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナの燃焼により熱媒を加熱するバーナ加熱式熱交換器にて加熱された熱媒を低温暖房端末に供給する低温暖房回路と、前記バーナ加熱式熱交換器にて前記低温暖房端末への熱媒よりも高温に加熱された熱媒を高温暖房端末に供給する高温暖房回路とを備え、前記低温暖房回路と高温暖房回路が、膨張タンク及び熱媒循環ポンプを共用するように構成され、前記低温暖房回路には、前記バーナ加熱式熱交換器に加えて、ヒートポンプ装置の媒体により熱媒を加熱するヒートポンプ加熱式熱交換器が設けられ、その低温暖房回路が、前記バーナ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するバーナ加熱状態と前記ヒートポンプ加熱式熱交換器にて熱媒を加熱するヒートポンプ加熱状態とに切換自在に構成されている熱媒供給装置であって、
前記低温暖房端末からの熱媒を前記ヒートポンプ加熱式熱交換器に供給するヒートポンプ用熱媒路が、前記低温暖房端末からの熱媒の全量又はその一部を前記ヒートポンプ加熱式熱交換器へ直接供給するように構成されている熱媒供給装置。
【請求項2】
前記ヒートポンプ用熱媒路が、前記低温暖房端末からの熱媒を前記バーナ加熱式熱交換器へ戻す熱媒戻り路に対して並列状態に設けられ、前記低温暖房端末からの熱媒を前記バーナ加熱式熱交換器に供給するか又は前記ヒートポンプ加熱式熱交換器に供給するかを切り換える切換弁が設けられている請求項1に記載の熱媒供給装置。
【請求項3】
前記熱媒戻り路が、前記高温暖房端末に接続の高温熱媒戻り路と前記低温暖房端末に接続の低温熱媒戻り路とを備え、前記ヒートポンプ用熱媒路が、前記高温熱媒戻り路と低温熱媒戻り路が合流する手前の低温熱媒戻り路に対して並列状態に設けられている請求項2に記載の熱媒供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−36680(P2013−36680A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173225(P2011−173225)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】