説明

熱電供給システム

【課題】電力系統の停電時において、電力の需給バランスを保ちつつ、熱用途に対して熱を供給できる熱電供給システムを提供する。
【解決手段】電力系統1及び発電装置6の少なくとも一方から供給される電力を消費して動作される熱供給関連装置7と、熱供給関連装置7の動作を制御する制御装置C3とを備え、停電時運転制御において、停電時運転制御において、制御装置C3は、熱供給関連装置7の動作を制御して、需要が発生している熱用途8のうちの何れかの熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限することにより熱供給関連装置7が消費する合計消費電力を発電装置6の発電電力以下とする処理を行うことができ、その場合に、需要が発生している熱用途8のうちの優先順位の低い熱用途8から順に当該熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限するように熱供給関連装置7の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統と連系可能である発電装置と、熱を発生させる熱源機、及び、その熱源機で発生した熱を熱用途に対して供給するために用いる電動機器を有し、電力系統及び発電装置の少なくとも一方から供給される電力を消費して熱源機及び電動機器が動作される熱供給関連装置とを備える熱電供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
暖房用途、給湯用途及び風呂追焚用途などの様々な熱用途に対して供給する熱を発生させるために熱源機が用いられる。熱源機は、ガスや灯油などの燃料を燃焼させて熱を発生させるタイプのもの、電気を用いて熱を発生させるタイプのものなどがある。尚、ガスや灯油などの燃料を燃焼させて熱を発生させるタイプの熱源機であっても、送風ファンなどの電力消費部を有しているため、熱を発生して外部に供給しようとすると必然的に電力の消費が行われる。つまり、何れのタイプの熱源機であっても、動作させる際に電力の消費が行われる。
更に、熱源機で発生した熱を暖房用途、給湯用途、風呂追焚用途などの熱用途に供給するために、即ち、熱媒や湯水を暖房機器、浴室、台所などに供給するために、ポンプなどの電動機器が必要である。
【0003】
以上のように、熱源機及び電動機器を有する熱供給関連装置を用いて各種熱用途に対して熱を発生・供給するためには電力が必要である。尚、例えば暖房用途(暖房機器)に対して熱を供給する場合と給湯用途(浴室、台所)に対して熱を供給する場合とで電動機器の作動状態は異なるので、熱供給関連装置が消費する電力は異なるようになる。そのため、需要が発生している熱用途の数及び種類に応じて熱供給関連装置の合計消費電力は変化する。
【0004】
ところで、災害の発生などに伴って電力系統で停電が発生したとしても、暖房用途、給湯用途及び風呂追焚用途などの様々な熱用途に対して熱源機などから熱を供給することができれば便利である。特許文献1には、発電装置を備え、電力系統の停電時であってもその発電装置から電力の供給を受けることができる給湯暖房ユニット(20)が記載されている。この給湯暖房ユニット(20)は、都市ガスなどを燃料とする給湯器等の補助熱源(31)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−223559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電力系統の停電時に発電装置の発電電力を使用して熱源機及び電動機器を有する熱供給関連装置を動作させるとしても、その熱供給関連装置の消費電力を発電装置の発電電力以下にして、電力の需給バランスを保つ必要がある。尚、需要が発生している熱用途の数及び種類に応じて熱供給関連装置の合計消費電力は変化するため、需要が発生している熱用途の数及び種類に応じて熱供給関連装置の合計消費電力が発電装置の発電電力以下であるか否かが異なってくる可能性がある。
【0007】
上述した特許文献1では、電力系統の停電時に、どのような種類及び数の熱用途に需要が発生しているのか、即ち、電力系統の停電時に熱供給関連装置においてどの程度の合計消費電力が発生しているのかが考慮されていない。従って、特許文献1では、熱供給関連装置の合計消費電力が、需要の発生している熱用途の数及び種類に応じて変化して発電装置の発電電力より大きくなり、電力の需給バランスを保てなくなる可能性がある。その場合、熱源機の動作が不安定になったり、発電装置からの発電電力を停止する必要が生じたりするといった問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電力系統の停電時において、電力の需給バランスを保ちつつ、熱用途に対して熱を供給できる熱電供給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る熱電供給システムの特徴構成は、
電力系統と連系可能である発電装置と、
前記発電装置と前記電力系統との間の電気的な接続の有無を切り替える開閉装置と、
前記電力系統の停電を検出する停電検出装置と、
熱を発生させる熱源機、及び、前記熱源機で発生した熱を熱用途に対して供給するために用いる電動機器を有し、前記電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から供給される電力を消費して前記熱源機及び前記電動機器が動作される熱供給関連装置と、
前記開閉装置の動作を制御する第1制御装置と、
前記発電装置の動作を制御する第2制御装置と、
前記熱供給関連装置の動作を制御する第3制御装置と、を備え、
前記第1制御装置は、前記電力系統が停電していることを前記停電検出装置が検出すると、前記発電装置と前記電力系統との間の電気的な接続を無くすように前記開閉装置を動作させ、
前記第2制御装置及び前記第3制御装置は、前記電力系統が停電していることを前記停電検出装置が検出すると、熱用途に対して供給する熱の発生及び供給のために前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力が前記発電装置の発電電力以下となる状態に前記発電装置及び前記熱供給関連装置の動作を制御する停電時運転制御を協働して行い、
前記停電時運転制御において、前記第3制御装置は、前記熱供給関連装置の動作を制御して、需要が発生している熱用途のうちの何れかの熱用途へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限することにより前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記発電装置の発電電力以下とする処理を行うことができ、前記処理により前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記発電装置の発電電力以下とする場合に、需要が発生している熱用途のうちの優先順位の低い熱用途から順に当該熱用途へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限するように前記熱供給関連装置の動作を制御する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、電力系統が停電しているときであっても、第2制御装置が発電装置を運転させることで、熱供給関連装置は発電装置の発電電力の供給を受けて動作することができる。つまり、電力系統が停電している間であっても、熱供給関連装置から熱用途へ熱を供給できる。
加えて、第3制御装置が、熱供給関連装置の動作を制御して、需要が発生している熱用途のうちの何れかの熱用途へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限することにより熱供給関連装置が消費する合計消費電力を発電装置の発電電力以下とする処理を行うことができ、前記処理により前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記発電装置の発電電力以下とする場合に、需要が発生している熱用途のうちの優先順位の低い熱用途から順に当該熱用途へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限するように熱供給関連装置の動作を制御する。つまり、需要が発生している熱用途に対して供給する熱の発生及び供給のために熱供給関連装置が消費する合計消費電力を把握した上で、発電装置の発電電力との対比が行われ、必要な場合には、需要が発生している熱用途のうちの優先順位の低い熱用途から順に当該熱用途へ向けた熱の発生及び供給が一部又は全部制限される(即ち、熱供給関連装置の消費電力が削減される)。その結果、熱用途に対して供給する熱の発生及び供給のために熱供給関連装置が消費する合計消費電力が発電装置の発電電力より大きくなることを回避して、電力の需給バランスを保つことができる。
従って、電力系統の停電時において、電力の需給バランスを保ちつつ、熱用途に対して熱を供給できる熱電供給システムを提供できる。
【0011】
本発明に係る熱電供給システムの別の特徴構成は、前記停電時運転制御において、前記第2制御装置は、前記発電装置を一定の発電電力で運転させ、前記第3制御装置は、前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記一定の発電電力以下とするように前記熱供給関連装置の動作を制御する需要制御を行う点にある。
【0012】
電力系統で停電が発生すると、それまで電力系統から供給されていた電力分が突然発電装置に対して要求され、発電装置の発電電力によって供給するべき熱供給関連装置の合計消費電力が急激に増大することとなる。そのとき、発電装置の発電電力を急激に増大させることができず、結果として、電力の需給バランスを保てないことも起こり得る。
ところが本特徴構成によれば、発電装置を一定の発電電力で運転させるという前提の下で、その一定の発電電力に見合った消費電力が発生するように熱供給関連装置の運転が制御される。つまり、発電装置の発電電力を変化させることは要求されず、熱供給関連装置の合計消費電力を調節するによって電力の需給バランスが保たれる。その結果、発電装置の発電電力が熱供給関連装置の合計消費電力の変化に追従できないといった問題が発生しないようにできる。
【0013】
本発明に係る熱電供給システムの更に別の特徴構成は、前記停電時運転制御において、前記第2制御装置は、前記熱供給関連装置で消費する電力を前記発電装置の発電電力で賄えるように前記発電装置を最低発電電力と最高発電電力との間の運転状態で運転させ、前記第3制御装置は、前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記発電装置の最高発電電力以下とするように前記熱供給関連装置の動作を制御する需要供給制御を行う点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、熱用途に対する需要の変化に応じて、熱供給関連装置から熱の発生及び供給を行う対象とする熱用途の数及び種類を変更することで熱供給関連装置の合計消費電力が変化するとしても、その合計消費電力は発電装置の最高発電電力以下に制御される。その結果、電力の需給バランスを保つことができる。
【0015】
本発明に係る熱電供給システムの更に別の特徴構成は、前記停電時運転制御において、前記第2制御装置は、前記発電装置を一定の発電電力で運転させ、前記第3制御装置は、前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記一定の発電電力以下とするように前記熱供給関連装置の動作を制御する需要制御を行い、前記需要制御に引き続いて、前記第2制御装置は、前記熱供給関連装置で消費する電力を前記発電装置の発電電力で賄えるように前記発電装置を最低発電電力と最高発電電力との間の運転状態で運転させ、前記第3制御装置は、前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記発電装置の最高発電電力以下とするように前記熱供給関連装置の動作を制御する需要供給制御を行う点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、第2制御装置及び第3制御装置は、電力系統が停電していることを停電検出装置が検出すると、上記需要制御を行い、その需要制御に引き続いて上記需要供給制御を行う。
つまり、電力系統で停電が発生すると、発電装置を一定の発電電力で運転させつつ、熱供給関連装置が消費する合計消費電力をその発電装置の上記一定の発電電力以下とする需要制御が行われる。このように、電力系統で停電が発生するのに伴って、それまで電力系統から供給されていた電力分が突然発電装置に対して要求され、発電装置の発電電力によって供給するべき熱供給関連装置の合計消費電力が急激に増大するとしても、発電装置の発電電力を実際に変化させることは要求されず、熱供給関連装置の合計消費電力を調節するによって電力の需給バランスが保たれる。その結果、発電装置の発電電力が熱供給関連装置の合計消費電力の変化に追従できないといった問題が発生しないようにできる。
更に、上記需要制御によって一旦電力の需給バランスが保たれた後で、熱用途に対する需要の変化に応じて、熱供給関連装置から熱の発生及び供給を行う対象とする熱用途の数及び種類を変更することで熱供給関連装置の合計消費電力が変化するとしても、その合計消費電力は発電装置の最高発電電力以下に制御される。その結果、電力の需給バランスを保つことができる。
【0017】
本発明に係る熱電供給システムの更に別の特徴構成は、前記需要制御において、前記第2制御装置は、前記発電装置を前記電力系統の停電を検出したときの一定の停電時発電電力で運転させる点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、上記需要制御において、発電装置の発電電力を、電力系統に停電が発生した時点での停電時発電電力で一定に維持したまま、電力の需給バランスが保たれる。つまり、電力系統に停電が発生した直後に発電装置の発電電力を変化させることは要求されず、熱供給関連装置の合計消費電力を調節することで電力の需給バランスが保たれる。
【0019】
本発明に係る熱電供給システムの更に別の特徴構成は、前記熱用途は、暖房用途、給湯用途及び風呂追焚用途のうちの少なくとも二種類以上を含んで構成され、前記熱用途の種類別に前記優先順位が設定される点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、電力系統の停電時であっても、熱供給関連装置を動作させて暖房用途、給湯用途及び風呂追焚用途のうちの少なくとも二種類以上の熱用途に対して上記優先順位に応じて熱を供給可能な熱電供給システムを構築できる。
【0021】
本発明に係る熱電供給システムの更に別の特徴構成は、前記熱供給関連装置は、前記電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から供給される電力を消費して発生する熱を凍結予防用途に用いるための電熱ヒータ装置を有し、
前記熱用途は、凍結予防用途、暖房用途、給湯用途及び風呂追焚用途のうちの少なくとも二種類以上を含んで構成され、前記熱用途の種類別に前記優先順位が設定される点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、電力系統の停電時であっても、熱供給関連装置を動作させて凍結予防用途、暖房用途、給湯用途及び風呂追焚用途のうちの少なくとも二種類以上の熱用途に対して上記優先順位に応じて熱を供給可能な熱電供給システムを構築できる。
【0023】
本発明に係る熱電供給システムの更に別の特徴構成は、前記発電装置の発電電力を消費可能な余剰電力消費装置と、前記余剰電力消費装置の動作を制御する第4制御装置と、を備え、前記停電時運転制御において、前記第4制御装置は、前記第2制御装置及び前記第3制御装置と協働して、前記熱供給関連装置の合計消費電力と前記余剰電力消費装置の消費電力との和が前記発電装置の発電電力となるように前記余剰電力消費装置の動作を制御する点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、電力系統の停電時に発電装置を単独運転させる場合に、余剰電力消費装置の消費電力を活用して、熱電供給システムの内部での電力の需給バランスを確実に保つことができる。
【0025】
本発明に係る熱電供給システムの更に別の特徴構成は、前記電力系統の停電中に前記発電装置の発電電力を消費する電気機器を接続可能な電気コンセントを有する点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、電力系統の停電中に単独運転している発電装置から、電気コンセントを介して電力供給を受けることができる。電気コンセントに対しては電気機器の取り付け及び取り外しが自在であるので、電力系統の停電中であっても、必要な電気機器を適宜稼動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態の熱電供給システムの電力供給系統の構成を主に示す図である。
【図2】熱電供給システムの熱供給系統の構成を主に示す図である。
【図3】熱電供給システムの停電時運転制御(需要制御)を説明するフローチャートである。
【図4】熱電供給システムの停電時運転制御(需要供給制御)を説明するフローチャートである。
【図5】第4実施形態の熱電供給システムの電力供給系統の構成を主に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して第1実施形態の熱電供給システムS1(S)の構成を説明する。
図1は、第1実施形態の熱電供給システムS1の電力供給系統の構成を主に示す図である。図2は、熱電供給システムS1の熱供給系統の構成を主に示す図である。熱電供給システムS1は、電力系統1と連系可能である発電装置としての熱電併給装置6と、熱電併給装置6と電力系統1との間の電気的な接続の有無を切り替える開閉装置4と、電力系統1の停電を検出する停電検出装置3と、熱供給関連装置7と、開閉装置4の動作を制御する第1制御装置C1と、熱電併給装置6の動作を制御する第2制御装置C2と、熱供給関連装置7の動作を制御する第3制御装置C3とを備える。本発明に係る熱電供給システムS1では、熱用途8として、暖房用途8b、給湯用途8c及び風呂追焚用途8dのうちの少なくとも二種類以上の熱用途を含むことを前提としており、更に凍結予防用途8aを含んでいてもよい。図2には、熱電供給システムS1が、熱用途8として、暖房用途8b、給湯用途8c、風呂追焚用途8d、及び、凍結予防用途8aの4種類の熱用途8を含む例を示している。また、図1及び図2において、熱電供給システムS1が、熱電併給装置6の発電電力を消費可能な余剰電力消費装置としての余剰電力消費用ヒータ装置10を含む例を示しているが、余剰電力が発生しないのであれば(例えば、熱電併給装置6の発電電力を熱供給関連装置7などで常に消費できるのであれば)この余剰電力消費用ヒータ装置10を用いないこと(或いは、余剰電力消費用ヒータ装置10を備えない熱電供給システム)も可能である。
【0029】
本実施形態では、発電装置として、熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置6を用いている。熱電併給装置6としては、例えば、燃料電池を備え、その燃料電池から出力される発電電力と燃料電池から排出される熱とが利用されるタイプの装置や、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備え、その発電機から出力される発電電力とエンジンから排出される熱とが利用されるタイプの装置などで構成できる。
【0030】
本実施形態では、電力系統1から熱電供給システムS1に対して、2本の電圧線2a、2cと1本の中性線2bとで構成される三線式の電力線2によって電力が供給される例を示している。このような三線式の電力線2において例えば中性線2bと電圧線2a、2cとのそれぞれの間に100Vの電位差が形成されている場合、電圧線2a及び電圧線2cに接続される装置には200Vの電圧で電力が供給され、或いは、中性線2b及び電圧線2c(又は電圧線2a)に接続される装置には100Vの電圧で電力が供給されることとなる。発電装置としての熱電併給装置6は、その発電電力を所望の電力に変換する電力変換装置5を介して電力系統1に連系されている。電力変換装置5は、例えば半導体スイッチング素子を用いて構成される。電力線2には、電力系統1の停電を検出する停電検出装置3が設けられている。停電検出装置3は公知の装置を利用でき、停電の有無に関する情報は制御装置(第1制御装置C1、第2制御装置C2、第3制御装置C3、第4制御装置C4)に伝達される。第1制御装置C1、第2制御装置C2、第3制御装置C3、第4制御装置C4には、電力系統1及び熱電併給装置6の少なくとも一方から電力が供給され、各制御が遂行される。
【0031】
第1制御装置C1は、開閉装置4の動作を制御する。第1制御装置C1は、開閉装置4に内蔵されているか或いは開閉装置4と別体で設けられている。具体的には、第1制御装置C1は、電力系統1が停電していることを停電検出装置3が検出すると、熱電併給装置6と電力系統1との間の電気的な接続を無くすように開閉装置4を動作させ、電力系統1が停電していない正常時には、熱電併給装置6と電力系統1との間の電気的な接続が有るように開閉装置4を動作させる。その結果、停電検出装置3が電力系統1に停電が発生したことを検出すると、第1制御装置C1によって開閉装置4が動作されて、開閉装置4よりも下流側(即ち、開閉装置4よりも熱電併給装置6側)の電力線2が電力系統1から解列される。
【0032】
第2制御装置C2は、最低発電電力と最高発電電力との間の運転状態で熱電併給装置6の動作を制御する。第2制御装置C2は、熱電併給装置6に内蔵されているか或いは熱電併給装置6と別体で設けられている。
第2制御装置C2は、電力系統1が停電していることを停電検出装置3が検出すると、第2制御装置C2が熱電併給装置6を最低発電電力と最高発電電力との間の運転状態で運転させつつ、以下に停電時運転制御として説明するように、熱供給関連装置7で消費する電力を熱電併給装置6の発電電力で賄えるようにその運転状態(即ち、発電電力)を制御する。上述した最低発電電力と最高発電電力は、熱電併給装置6の特性に応じて決定される値である。
【0033】
第3制御装置C3は、熱供給関連装置7の動作を制御する。熱供給関連装置7は、熱を発生させる熱源機15、及び、熱源機15で発生した熱を熱用途8に対して供給するために用いる電動機器(後述する送風ファンF、ポンプP1〜P3など)を有し、電力系統1及び熱電併給装置6の少なくとも一方から供給される電力を消費して熱源機15及び電動機器が動作される。例えば、図2に示すように、熱源機15は、燃料を消費して熱を発生する燃焼器である。第3制御装置C3は、例えば熱源機15に内蔵されているか或いは熱源機15と別体で設けられている。この熱源機15としての燃焼器は、電力消費部としての送風ファンFなどと、発熱部としてのバーナ17とを有する。つまり、熱源機15は、熱の発生過程において電力消費部での電力消費を伴う装置である。熱供給関連装置7は、開閉装置4と電力変換装置5との間の電力線2に対して電気的に接続されている。つまり、第1制御装置C1によって開閉装置4が動作されて、開閉装置4よりも下流側(即ち、開閉装置4よりも熱電併給装置6側)の電力線2が電力系統1から解列されたとしても、熱供給関連装置7は、熱電併給装置6から供給される電力を消費できるように構成されている。このように、熱源機15を含む熱供給関連装置7は、電力系統1が停電していない正常時には、熱電併給装置6の発電電力の大小に関わらず電力系統1からも必要な電力の供給を受けることができるため、その合計消費電力に上限を設ける必要はない。しかし、電力系統が停電している停電時には、熱供給関連装置7の合計消費電力は熱電併給装置6の発電電力を上限とする必要がある。なぜならば、熱供給関連装置7の合計消費電力が、熱電併給装置6の発電電力より大きくなると、電力の需給バランスを保てなくなり、その場合、熱源機の動作が不安定になったり、熱電併給装置6からの発電電力を停止する必要が生じたりするといった問題が生じるからである。
【0034】
第4制御装置C4は、余剰電力消費装置としての余剰電力消費用ヒータ装置10の動作を制御する。第4制御装置C4は、余剰電力消費用ヒータ装置10に内蔵されているか或いは余剰電力消費用ヒータ装置10と別体で設けられている。余剰電力消費用ヒータ装置10は、電力変換装置5と熱電併給装置6との間の電力線2に対して電気的に接続されている。本実施形態では、余剰電力消費用ヒータ装置10が電力を消費することで発生した熱(即ち、ジュール熱)は熱回収用熱交換器13を介して蓄熱装置9に蓄えられるように構成されている。
【0035】
次に、図1及び図2を参照して熱電供給システムS1の熱供給系統について説明する。
蓄熱装置9は、熱媒としての湯水を貯えることで蓄熱を行う装置であり、特に本実施形態では、温度成層を形成して湯水を貯える装置としている。つまり、蓄熱装置9の上部に高温の湯水が貯えられ、下部に行くに従って低温の湯水が貯えられる構成となっている。
【0036】
〔排熱回収路L1〕
蓄熱装置9と熱電併給装置6との間には、湯水が循環する排熱回収路L1が設けられている。この排熱回収路L1では、例えば、蓄熱装置9に貯えられている比較的低温の湯水が熱電併給装置6に流入し、熱電併給装置6から排出される熱によって加熱され、加熱された比較的高温の湯水が蓄熱装置9に帰還するという蓄熱サイクルが成立している。また、余剰電力消費用ヒータ装置10を設ける場合、熱電併給装置6から蓄熱装置9へ向かう排熱回収路L1の途中にその余剰電力消費用ヒータ装置10からの熱が伝達される熱回収用熱交換器13を設けることができる。その結果、排熱回収路L1を循環する湯水は、余剰電力消費用ヒータ装置10で発生した熱も、蓄熱装置9において回収可能に構成されている。以上のように、熱電併給装置6で発生された熱及び余剰電力消費用ヒータ装置10で発生された熱は、蓄熱装置9に蓄えられる。
【0037】
〔熱媒循環路L6〕
熱媒循環路L6には、蓄熱装置9の上部から熱媒取出路L7を介して取り出された高温の湯水を三方弁V3を介して供給できる。熱媒循環路L6は、湯水が風呂追焚用熱交換器12を通って循環する第1熱媒循環路L6a、及び、湯水が暖房用熱交換器11を通って循環する第2熱媒循環路L6b、及び、第1熱媒循環路L6aと第2熱媒循環路L6bとの共通部分L6cで構成される。熱媒循環路L6の共通部分L6cから、第1熱媒循環路L6a及び第2熱媒循環路L6bへの分岐箇所には、三方弁V4が設けられている。熱媒循環路L6の共通部分L6cには、熱媒循環路L6において湯水を循環させるための熱媒循環ポンプP1と、湯水を加熱するための熱源機15とが設けられている。従って、第1熱媒循環路L6a及び第2熱媒循環路L6bには、熱源機15で加熱した後の高温の湯水を供給できる。本実施形態において、熱源機15のバーナ17には燃料としてのガスが供給され、送風ファンFによって供給される空気と混合された上で燃焼される。そして、その燃焼熱によって熱媒循環路L6を通流する湯水が加熱される。
【0038】
〔給水路L2、給湯路L3〕
給水路L2は、蓄熱装置9に水を補充するための水路である。給湯路L3は、熱用途8の一つである給湯用途8cに熱(湯水)を供給するための水路である。この給湯路L3は、熱媒循環路L6の途中から分岐している。具体的には、給湯路L3は、熱源機15よりも下流側であり、三方弁V4よりも上流側の、熱媒循環路L6の途中から分岐している。従って、給湯路L3には、熱源機15で加熱した後の高温の湯水を供給できる。また、給湯路L3の途中には温水用比例弁V1が設けられ、且つ、温水用比例弁V1が設けられている箇所よりも下流側の給湯路L3には、給水路L2が冷水用比例弁V2を介して連結されているので、給湯路L3を流れる温水の流量と、給水路L2から給湯路L3へ流入する冷水の流量とを調節した上で混合させることができる。その結果、温水用比例弁V1及び冷水用比例弁V2の開度を調節することで、給湯用途8cに供給される湯水の温度を調節できる。
【0039】
〔暖房用熱媒路L5〕
暖房用熱媒路L5は、熱用途8の一つである暖房用途8bとしての暖房機器16に熱を供給するための熱媒路である。具体的には、上記暖房用熱交換器11と暖房機器16との間で熱媒が循環可能なように、暖房用熱媒路L5が設けられている。暖房用熱媒路L5の途中には、暖房用熱媒路L5において熱媒を循環させるための熱媒循環ポンプP1が設けられている。このように、暖房用熱媒路L5を流れる熱媒は、暖房用熱交換器11において第2熱媒循環路L6bを流れる高温の湯水と熱交換して昇温された上で暖房機器16に流入することで、暖房機器16での熱消費が可能となっている。
【0040】
〔風呂追焚用熱媒路L4〕
風呂追焚用熱媒路L4は、熱用途8の一つである風呂追焚用途8dに熱を供給するための熱媒路である。具体的には、風呂追焚用熱交換器12と浴槽24との間で湯水が循環可能なように、風呂追焚用熱媒路L4が設けられている。風呂追焚用熱媒路L4の途中には、風呂追焚用熱媒路L4において湯水を循環させるための風呂追焚用循環ポンプP3が設けられている。つまり、浴槽24に貯えられている湯水及び風呂追焚用熱媒路L4中に存在している湯水は、風呂追焚用熱交換器12において、第1熱媒循環路L6aを流れる高温の湯水と熱交換して昇温された上で浴槽24へ帰還することで、浴槽24に貯えられている湯水を昇温することができる(即ち、風呂追焚を実施することができる)。
【0041】
以上のように、本実施形態の熱電供給システムS1には、電力系統1及び熱電併給装置6の少なくとも一方から供給される電力を消費して動作される熱供給関連装置7として、熱源機15の送風ファンF、熱媒循環ポンプP1、暖房用循環ポンプP2、風呂追焚用循環ポンプP3が設けられている。具体的には、熱用途8の一つである暖房用途8bに熱を供給するために動作させることが必要な熱供給関連装置7として、熱源機15の送風ファンFと熱媒循環ポンプP1と暖房用循環ポンプP2とがある。熱用途8の一つである給湯用途8cに熱を供給するために動作させることが必要な熱供給関連装置7として、熱源機15の送風ファンFと熱媒循環ポンプP1とがある。熱用途8の一つである風呂追焚用途8dに熱を供給するために動作させることが必要な熱供給関連装置7として、熱源機15の送風ファンFと熱媒循環ポンプP1と風呂追焚用循環ポンプP3とがある。
【0042】
更に、本実施形態では、電力系統1及び熱電併給装置6の少なくとも一方から供給される電力を消費して発生する熱を凍結予防用途8aに用いるための電熱ヒータ装置14を有する。つまり、電熱ヒータ装置14は、熱用途8の一つである凍結予防用途8aに熱を供給するために動作させることが必要な熱供給関連装置7を構成する。図2に示した例では、電熱ヒータ装置14は、給水路L2及び給湯路L3を通流する水(湯水)の凍結を防止するために、給水路L2及び給湯路L3の一部を加熱可能な状態で設けられており、具体的には、冷水用比例弁V2に至るまでの給水路L2並びに温水用比例弁V1よりも下流側の給湯路L3に電熱ヒータ装置14が設けられている。
上述した各熱用途8に対して熱を発生及び供給する際の熱供給関連装置7の消費電力の一例は以下の表の値になる。
【0043】
【表1】

【0044】
本実施形態において、上述した熱用途8に需要が発生しているか否かは、熱供給関連装置7の動作制御を担う第3制御装置C3が判定する。例えば、第3制御装置C3は、暖房装置用のリモコンスイッチ等に対する使用者の操作内容を検知することで暖房用途8bに需要が発生しているか否かを判定できる。第3制御装置C3は、給湯用のリモコンスイッチやカラン(水栓)に対する使用者の操作内容を検知することで給湯用途8cに需要が発生しているか否かを判定できる。第3制御装置C3は、風呂追焚用のリモコンスイッチ等に対する使用者の操作内容を検知することで風呂追焚用途8dに需要が発生しているか否かを判定できる。第3制御装置C3は、外気温が例えば0℃以下になったことを検知すると凍結予防用途8aに需要が発生したと判定できる。
【0045】
そして、第3制御装置C3は、需要が発生している熱用途8に対して熱の発生及び供給を行うか否かを決定し、熱用途8に対して熱の発生及び供給を行うと決定した場合には熱供給関連装置7を動作させる。具体的には、第3制御装置C3は、電力系統1が停電していない正常時には、需要が発生している熱用途8の全てに対して熱の発生及び供給を行うように熱供給関連装置7を動作させる。
これに対して、第3制御装置C3は、電力系統1が停電している停電時には、以下に説明する停電時運転制御の中で、需要が発生している熱用途8のうちの一部又は全部に対して熱の発生及び供給を行うように熱供給関連装置7を動作させる。そのため、停電時運転制御の中で、第3制御装置C3は、熱供給関連装置7の動作を制御して、需要が発生している熱用途のうちの何れかの熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限することにより熱供給関連装置7が消費する合計消費電力を熱電併給装置6の発電電力以下とする処理を行うことができる。そして、第3制御装置C3は、上記処理により熱供給関連装置7が消費する合計消費電力を熱電併給装置6の発電電力以下とする場合に、需要が発生している熱用途8のうちの優先順位の低い熱用途8から順にその熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限する。
【0046】
次に、電力系統1が停電した場合における熱電供給システムS1の運転制御について説明する。
図3及び図4は、熱電供給システムS1の停電時運転制御を説明するフローチャートである。この停電時運転制御は、電力系統1が停電していることを検出した停電検出装置3からその情報の伝達を受けた第2制御装置C2及び第3制御装置C3が、熱電併給装置6の動作制御及び熱供給関連装置7の動作制御を協働して行うときの制御内容である。具体的には、熱電供給システムS1の停電時運転制御において、先ず図3に示す需要制御が行われ、それに引き続いて図4に示す需要供給制御が行われる。以下、図3に示す停電時運転制御(需要制御)のフローチャート及び図4に示す停電時運転制御(需要供給制御)のフローチャートについて説明する。
【0047】
〔需要制御〕
図3のフローチャートに示す需要制御では、第2制御装置C2は、熱電併給装置6を一定の発電電力で運転させ、第3制御装置C3は、熱供給関連装置7が消費する合計消費電力を一定の発電電力以下とするように熱供給関連装置7の動作を制御する需要制御を行う。特に、本実施形態では、第2制御装置C2は、250W(最低発電電力)と750W(最高発電電力)との間の運転状態で熱電併給装置6の動作を制御可能であるが、電力系統1が停電していることを検出した停電検出装置3からその情報の伝達を受けた時点ではその発電電力を変更せずにそのままの一定の発電電力(即ち、本発明の「停電時発電電力」)を維持しておく。また、第1制御装置C1は、電力系統1が停電していることを検出した停電検出装置3からその情報の伝達を受けると、熱電併給装置6と電力系統1との間の電気的な接続を無くすように開閉装置4を動作させる(即ち、解列させる)ものとする。
【0048】
具体的には、工程#10において、第2制御装置C2は、電力系統1が停電していることを検出した停電検出装置3からその情報の伝達を受けると、熱電併給装置6の発電電力を変更せずにその伝達を受けた時点での発電電力(即ち、本発明の「停電時発電電力」)を維持しておく。次に、工程#12において、第3制御装置C3は、電力系統1が停電していることを検出した停電検出装置3からその情報の伝達を受けると、熱用途8に需要が発生しているか否かの判定を行う。そして、何れかの熱用途8に需要が発生している場合(工程#12において「Yes」の場合)には工程#14に移行し、何れの熱用途8にも需要が発生していない場合(工程#12において「No」の場合)には、この需要制御のエンドに移行する。
【0049】
工程#14において、第3制御装置C3は、熱電併給装置6の発電電力(即ち、一定の停電時発電電力)が、需要のある熱用途8に熱を熱供給関連装置7で発生及び供給するのに要する合計消費電力以上であるか否かを判定する。この需要制御では、第2制御装置C2は熱電併給装置6の発電電力を一定の停電時発電電力のまま維持し、発電電力は変更されないので、需要のある熱用途8の合計消費電力が熱電併給装置6の停電時発電電力より大きいと、電力が不足してしまう。
そこで、第3制御装置C3は、工程#14において、需要のある熱用途8の合計消費電力が熱電併給装置6の停電時発電電力より大きいと判定した場合、工程#16に移行して、熱用途8に熱を発生及び供給するために熱供給関連装置7が消費する合計消費電力を一定の停電時発電電力以下とするように熱供給関連装置7の動作を制御する。具体的には、第3制御装置C3は、需要が発生している熱用途8のうちの優先順位の低い熱用途8から順に当該熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限するように熱供給関連装置7の動作を制御する。その結果、熱電供給システムS1の内部での電力の需給バランスが保たれる。
【0050】
例えば、本実施形態において、熱用途8の優先順位は、高い方から順に、凍結予防用途8a、暖房用途8b、給湯用途8c、風呂追焚用途8dと予め設定されて、第3制御装置C3の内部メモリなどに記憶されている。
仮に、停電時発電電力が350Wであり、表1に例示したような消費電力で暖房用途8b(160W)と給湯用途8c(110W)と風呂追焚用途8d(120W)とに需要が発生していたとすると、第3制御装置C3は、需要が発生している熱用途8(暖房用途8bと給湯用途8cと風呂追焚用途8d)のうち、優先順位の低い風呂追焚用途8dへ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限するように熱供給関連装置7の動作を制御する。
【0051】
ここで、熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を「全部」制限する場合というのは、第3制御装置C3が、熱供給関連装置7に対してその熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を行わせないこと、即ち、その熱用途8へ向けた熱の発生及び供給のために熱供給関連装置7で電力を消費させないことを意味する。
【0052】
また、熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を「一部」制限する際の手法例としては、第3制御装置C3が、熱供給関連装置7に対してその熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を通常時よりも抑制して限定的に行わせること、即ち、その熱用途8へ向けた熱の発生及び供給のために熱供給関連装置7で電力を規定値よりも少ないながらも消費させる手法がある。例えば、上述したように停電時発電電力が350Wであり、暖房用途8b(160W)と給湯用途8c(110W)と風呂追焚用途8d(120W)とに需要が発生していた場合、第3制御装置C3が、優先順位が最下位に設定されている風呂追焚用途8dのために熱供給関連装置7で80Wだけ消費するような運転を行わせる手法がある。具体的には、第3制御装置C3は、風呂追焚用途8dに熱を供給するために動作させることが必要な熱供給関連装置7としての、熱源機15の送風ファンFと熱媒循環ポンプP1と風呂追焚用循環ポンプP3との合計の消費電力が80Wとなるように、それらの機器を動作させる。この場合、風呂追焚用途8dへの熱を発生させるための熱源機15の燃焼量が通常時よりも抑制され、風呂追焚用途8dへの熱を供給するための熱媒循環ポンプP1と風呂追焚用循環ポンプP3との仕事量が通常時よりも抑制されることとなる。
同様の手法で、第3制御装置は、暖房用途8b及び給湯用途8cへ向けた熱の発生及び供給を「一部」制限することも実施できる。
【0053】
また、第3制御装置C3が、凍結予防用途8aへ向けた熱の発生及び供給を「一部」制限する際の手法例としては、例えば、凍結予防用途8aに対する熱の発生及び供給のために動作する電熱ヒータ装置14が複数箇所に設けられたヒータで構成される場合、各ヒータへの通電時期をずらして交代で通電を行うことで、電熱ヒータ装置14の合計消費電力を低下させる手法がある。具体的には、電熱ヒータ装置14を構成する複数のヒータに対して同時に通電しないようにして(即ち、幾つかのヒータには通電し且つ残りのヒータには通電しないようにし、その後、通電するヒータと通電しないヒータとを順次切り替えるようにして)、結果的に、凍結予防用途8aに対する熱の発生及び供給のために要する消費電力を低下させるような「一部」制限の手法である。
【0054】
凍結予防用途8aは、装置の破損や故障といった問題や熱供給を正常に行えないといった問題の発生を回避ために重要な熱用途であるため、その凍結予防用途8aへ向けた熱の発生及び供給を制限することは好ましくない。しかし、上述したような手法で凍結予防用途8aへ向けた熱の発生及び供給を一部制限するだけに止めることで、凍結予防用途8aへ向けた熱の発生及び供給を欠かさず行うことができる。更に、凍結予防用途8aへ向けた熱の発生及び供給を一部制限することで生まれた余剰電力を用いて、他の熱用途8に対しても熱の発生及び供給を行うことも可能となる。
【0055】
以上のように、第3制御装置C3が、特定の熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を「一部」制限するだけに止めることで、結果的に、多種の熱用途に対する熱の発生及び供給を行えるという利便性の高い熱電供給システムを構築できる。
【0056】
図3のフローチャートの工程#14において第3制御装置C3が、需要のある熱用途8の合計消費電力が熱電併給装置6の停電時発電電力以下であると判定した場合、工程#18に移行して、需要のある熱用途8の全てに対して熱の発生及び供給が行われるように熱供給関連装置7の動作を制御する。この場合、需要のある熱用途8の全てに対して熱の発生及び供給が行われるように熱供給関連装置7を動作させても、その合計消費電力を熱電併給装置6の発電電力(停電時発電電力)で全て賄うことができ、電力不足は生じない。
【0057】
尚、上記工程#12で「No」の場合には、熱電併給装置6が一定の停電時発電電力で運転するにも関わらず、何れの熱用途8にも需要が発生していない。そのため、停電時発電電力は余剰電力となる。また、上記工程#14で「Yes」の場合には、熱供給関連装置7の合計消費電力が熱電併給装置6の停電時発電電力より小さいと、余剰電力が発生する。
このような場合であっても、余剰電力消費用ヒータ装置10でその余剰電力を消費することで、熱電供給システムS1の内部での電力の需給バランスを保つことができる。具体的には、第4制御装置C4は、第2制御装置C2及び第3制御装置C3と協働して、第2制御装置C2が熱電併給装置6を停電時発電電力で動作させているという情報を得て、及び、第3制御装置C3が動作させている熱供給関連装置7の合計消費電力に関する情報を得た上で、上記停電時発電電力から上記合計消費電力を減算して、余剰電力を導出する。そして、第4制御装置C4は、その余剰電力を余剰電力消費用ヒータ装置10で消費するように、余剰電力消費用ヒータ装置10の動作を制御する。
【0058】
以上のように、この需要制御では、第2制御装置C2が、熱電併給装置6の発電電力を、電力系統1に停電が発生した時点での停電時発電電力で一定に維持したままで、第3制御装置C3が、その一定の停電時発電電力に見合った消費電力が発生するように熱供給関連装置7の運転を制御することで、電力の需給バランスが保たれる。つまり、電力系統1で停電が発生するのに伴って、それまで電力系統1から供給されていた電力分が突然熱電併給装置6に対して要求される状況が生じても(即ち、見かけ上は熱電併給装置の発電電力によって供給するべき熱供給関連装置7の合計消費電力が急激に増大する状況が生じても)、熱電併給装置6の発電電力を実際に変化させることは要求されず、熱供給関連装置7の合計消費電力を調節するによって電力の需給バランスが保たれる。その結果、熱電併給装置6の発電電力が熱供給関連装置7の合計消費電力の変化に追従できないといった問題が発生しないようにできる。
【0059】
〔需要供給制御〕
図4のフローチャートに示す需要供給制御では、第2制御装置C2は、熱供給関連装置7で消費する電力を熱電併給装置6の発電電力で賄えるように熱電併給装置6を最低発電電力と最高発電電力との間の運転状態で運転させ、第3制御装置C3は、熱供給関連装置7が消費する合計消費電力を熱電併給装置6の最高発電電力以下とするように熱供給関連装置7の動作を制御する。本実施形態では、第2制御装置C2は、250W(最低発電電力)と750W(最高発電電力)との間の運転状態で熱電併給装置6の動作を制御可能である。
【0060】
具体的には、工程#20において、第3制御装置は、熱用途8に需要が発生しているか否かの判定を行う。尚、上記需要制御から移行してきた直後の工程#20の段階であれば、第2制御装置C2は、上記需要制御と同様に、上記停電時発電電力を一定出力するように熱電併給装置6を動作させている。そして、何れかの熱用途8に需要が発生している場合(工程#20において「Yes」の場合)には工程#24に移行し、何れの熱用途8にも需要が発生していない場合(工程#20において「No」の場合)には工程#22に移行する。
【0061】
工程#24において、第3制御装置C3は、需要のある熱用途8の合計消費電力が、熱電併給装置6の発電電力(この段階では、「停電時発電電力」)以下であるか否かを判定する。つまり、この工程#24では、需要のある熱用途8に対して熱を発生及び供給するために熱供給関連装置7で消費する電力を熱電併給装置6の現状の発電電力で賄えるか否かの判定が行われる。そして、熱供給関連装置7で消費する電力を熱電併給装置6の現状の発電電力で賄える場合には、工程#26において第3制御装置C3は、需要が発生している熱用途8の全てに対して供給すべき熱の発生及び供給を行うように熱供給関連装置7の動作を制御し、第2制御装置C2は熱供給関連装置7で消費する合計消費電力を熱電併給装置6の発電電力で賄えるように熱電併給装置6の動作を制御する。このとき、第2制御装置C2は、熱電併給装置6の発電電力が熱供給関連装置7の合計消費電力と同じになるように熱電併給装置6の発電電力を制御してもよく、熱電併給装置6の発電電力が熱供給関連装置7の合計消費電力を所定電力だけ上回るように熱電併給装置6の発電電力を制御してもよい。
【0062】
これに対して、工程#24において、需要のある熱用途8に対して熱を発生及び供給するために熱供給関連装置7で消費する電力を熱電併給装置6の現状の発電電力で賄えないと判断された場合には、熱電併給装置6の発電電力を上昇させるか(工程#30)、或いは、需要のある熱用途8のうちの特定の熱用途8への熱の発生・供給を一部又は全部制限する(工程#32)、という制御が行われる。具体的には、第2制御装置C2及び第3制御装置C3は、熱供給関連装置7で消費する電力を熱電併給装置6の現状の発電電力で賄えないと判定した場合、工程#28において熱電併給装置6の現状の発電電力が最高発電電力であるか否かを更に判定し、最高発電電力でないならば(即ち、発電電力に余力があるならば)工程#30に移行して、第2制御装置C2が熱電併給装置6の発電電力を、例えば予め設定された一定電力だけ上昇させた上で、再度、工程#24が実行されるようにする。他方で工程#28において熱電併給装置6の現状の発電電力が最高発電電力であるならば(即ち、発電電力に余力がないならば)工程#32に移行して、第3制御装置C3が、需要が発生している熱用途8のうち、優先順位の低い熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限した上で、第2制御装置C2及び第3制御装置C3は、熱電併給装置6の発電電力が、熱供給関連装置7が消費する合計消費電力となるような制御を協働して行う。熱用途8へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限する手法は上記需要制御の場合に説明したのと同様である。
【0063】
以上のように、上記需要制御によって一旦電力の需給バランスが保たれた後で、熱用途8に対する需要の変化に応じて熱の発生及び供給を行う対象とする熱用途8の数及び種類が変更されることで熱供給関連装置7の合計消費電力が変化するとしても、その合計消費電力は熱電併給装置6の最高発電電力以下に制御される。その結果、電力の需給バランスを保つことができる。
【0064】
<第2実施形態>
第2実施形態の熱電供給システムは、上記停電時運転制御の内容が第1実施形態の熱電供給システムと異なっている。以下に、第2実施形態の熱電供給システムについて説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0065】
第2実施形態の熱電供給システムでは、停電時運転制御として、第2制御装置C2は、熱電併給装置6を一定の発電電力で運転させ、第3制御装置C3は、熱供給関連装置7が消費する合計消費電力を上記一定の発電電力以下とするように熱供給関連装置7の動作を制御する需要制御のみを行う。つまり、本実施形態では、停電時運転制御として、図3に例示した需要制御のみが行われ、図4に例示した需要供給制御は行われない。
このとき、停電時運転制御が行われている間で熱電併給装置6が発生する一定の発電電力は、電力系統1が停電していることを検出した停電検出装置3から第2制御装置C2がその情報の伝達を受けた時点での発電電力(即ち、本発明の「停電時発電電力」)でもよく、或いは、他の一定の発電電力でもよい。
【0066】
<第3実施形態>
第3実施形態の熱電供給システムは、上記停電時運転制御の内容が第1実施形態及び第2実施形態と異なっている。以下に、第3実施形態の熱電供給システムについて説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0067】
第3実施形態の熱電供給システムでは、停電時運転制御として、第2制御装置C2は、熱供給関連装置7で消費する電力を熱電併給装置6の発電電力で賄えるように熱電併給装置を最低発電電力と最高発電電力との間の運転状態で運転させ、第3制御装置C3は、熱供給関連装置7が消費する合計消費電力を熱電併給装置6の最高発電電力以下とするように熱供給関連装置7の動作を制御する需要供給制御のみを行う。つまり、本実施形態では、停電時運転制御として、図4に例示した需要供給制御のみが行われ、図3に例示した需要制御は行われない。
【0068】
<第4実施形態>
第4実施形態の熱電供給システムは、熱電併給装置6と電力系統1との接続態様が図1に示した第1実施形態の熱電供給システムと異なっている。以下に、第4実施形態の熱電供給システムについて説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0069】
図5は、第4実施形態の熱電供給システムS2(S)の電力供給系統の構成を主に示す図である。熱電供給システムS2では、熱供給関連装置7への電力供給経路が2経路あり、電力系統1からの電力供給が正常であるか否かに応じて切り替えられる。一方の電力供給経路は、開閉装置4よりも上流側(電力系統1側)の電力線2から熱供給関連装置7への電力供給が行われる電力供給経路2Aである。他方の電力供給経路は、開閉装置4よりも下流側(熱電併給装置6側)の電力線2から熱供給関連装置7への電力供給が行われる電力供給経路2Bである。以下に、電力供給経路2A及び電力供給経路2Bの切替制御について説明する。
【0070】
〔電力系統1からの電力供給が正常であるとき〕
電力系統1からの電力供給が正常であるときは、電力系統1及び熱電併給装置6の少なくとも一方からの電力が、電力供給経路2Aを介して熱供給関連装置7へ供給される。
具体的には、第1制御装置C1は、電力系統1からの電力供給が正常であるとき、熱電併給装置6と電力系統1との間の電気的な接続が有るように開閉装置4を動作させる。また、第1制御装置C1は、電力系統1からの電力供給が正常であるとき、スイッチ18をオフ状態にして、第1コイル19及び第2コイル20に電流が流れないようにする。本実施形態において、第1コイル19は第1スイッチSW1と共に機械式リレーを構成し、及び、第2コイル20は第2スイッチSW2と共に別の機械式リレーを構成する。そして、第1コイル19に電流が流れていない状態では、第1スイッチSW1はオフ状態となり、及び、第2コイル20に電流が流れていない状態では、第2スイッチSW2は接点a−接点c間で接続される状態となる。その結果、電力系統1からの電力供給が正常であるときは、電力系統1及び熱電併給装置6の少なくとも一方からの電力が、電力供給経路2Aを介して熱供給関連装置7へ供給される。このように、非停電時に第1スイッチSW1をオフ状態にしておくのは、非停電時に使用しない変圧器22での消費電力を発生させないためである。
【0071】
〔電力系統1からの電力供給が正常でない(停電している)とき〕
電力系統1からの電力供給が正常でない(停電している)ときは、熱電併給装置6からの電力が、電力供給経路2Bを介して熱供給関連装置7へ供給される。
具体的には、第1制御装置C1は、電力系統1が停電していることを停電検出装置3が検出すると、熱電併給装置6と電力系統1との間の電気的な接続を無くすように開閉装置4を動作させる。また、第1制御装置C1は、電力系統1からの電力供給が正常でないとき、スイッチ18をオン状態にする。そうすると、熱電併給装置6から電力の供給を受けるDC/DC変換器21によってアース(接地)と第1コイル19及び第2コイル20との間に電位差が形成され、第1コイル19及び第2コイル20に電流が流れる。そして、第1コイル19に電流が流れている状態では、第1スイッチSW1はオン状態(スイッチを導通させる状態)となり、及び、第2コイル20に電流が流れている状態では、第2スイッチSW2は接点b−接点c間で接続される状態となる。その結果、熱電併給装置6からの電力が、開閉装置4よりも下流側(熱電併給装置6側)の電力線2に接続されている電力供給経路2Bから、変圧器22を介して熱供給関連装置7へ供給される。
【0072】
また、本実施形態の熱電供給システムS2では、開閉装置4よりも下流側(熱電併給装置6側)の電力線2に対して、様々な電気機器を接続可能な電気コンセント23を接続している。特に、本実施形態では、第2スイッチSW2と熱供給関連装置7との間の電力線2に電気コンセント23を接続しているので、電力系統1が停電している場合でも、熱電併給装置6が発電運転を行っている限り、電気コンセント23には電力供給が行われる。つまり、電気コンセント23は、電力系統1の停電中に熱電併給装置6の発電電力を消費できる位置に設けられている。電気コンセント23に対しては様々な電気機器の取り付け及び取り外しが自在であるので、電力系統1の停電中であっても、必要な電気機器を適宜稼動させることができる。
【0073】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、熱電供給システムの具体的な構成例を説明したが、その構成例は適宜変更可能である。例えば、熱用途8として、暖房用途8b、給湯用途8c、風呂追焚用途8d、凍結予防用途8aの4種類を例示したが、他の熱用途を追加で含むような熱電供給システムや、上述した何れかの熱用途を含まないような熱電供給システムを構成することもできる。また、図2に例示した水(湯水)や熱媒の通流路(排熱回収路L1、給水路L2、給湯路L3、風呂追焚用熱媒路L4、暖房用熱媒路L5、熱媒循環路L6、熱媒取出路L7)の形態を他の形態に変更してもよい。
他にも、電熱ヒータ装置14を設ける位置を適宜変更してもよい。発電装置として、上記実施形態で説明した熱電併給装置6以外の他の装置を用いてもよい。
また、上記実施形態において表1に示した各熱用途8に対して熱を発生及び供給する際の熱供給関連装置7の消費電力はあくまでも一例であり、動作させる必要のある電気機器の種類に応じて消費電力は様々な値に変化し得る。
【0074】
<2>
上記実施形態では、表1に例示した4種類の熱用途8に関して、熱用途8の優先順位を、高い方から順に、凍結予防用途8a、暖房用途8b、給湯用途8c、風呂追焚用途8dというように予め設定しておく例を説明したが、各熱用途8の優先順位の設定手法は適宜変更可能である。
例えば、第3制御装置C3が、熱用途8に対して需要が発生した順序に基づいて優先順位を逐次設定してもよい。具体的には、第3制御装置C3が、先に需要が発生した熱用途8の優先順位を高く逐次設定すること、或いは、後に需要が発生した熱用途の優先順位を高く逐次設定することなどを行ってもよい。
更に、第3制御装置C3が、熱用途8に対して需要が発生した順序に基づいて優先順位を逐次設定しながらも、特定の熱用途8に関しては発生順序に関わらず常に優先順位を所定順位(例えば、最高位、最低位など)にする、といった優先順位の設定手法を採用することもできる。例えば、第3制御装置C3が、熱用途8に対して需要が発生した順序に基づいて優先順位を逐次設定しながらも、凍結予防用途8aに関しては発生順序に関わらず常に優先順位を最高位にする、といった優先順位の設定手法などが挙げられる。
【0075】
<3>
上記実施形態では、熱源機15として燃料を燃焼させて熱を発生させるタイプのものを利用する例を説明したが、燃料を用いない電気式の熱源機(電熱ヒータを用いるタイプや、ヒートポンプを用いるタイプなど)を利用することもできる。
【0076】
<4>
上記実施形態では、第1制御装置C1〜第4制御装置C4が互いに別々の装置に設置されている例を説明したが、それらの内の何れか又は全部は同一の装置に設置されていてもよい。例えば、第1制御装置C1と第2制御装置C2とを同一の装置の中に設置するような変更も可能である。
【0077】
<5>
上記実施形態では、第3制御装置C3が、熱の発生及び供給を一部又は全部制限する対象として、最も優先順位が低い一つの熱用途8を決定する例を説明したが、優先順位が低い方から順に所定の複数の熱用途8に対して、熱の発生及び供給を一部又は全部制限してもよい。一例を挙げると、第3制御装置C3が、優先順位が低い方から順に2種類の熱用途8に対して熱の発生及び供給を一部制限するとするならば、例えば、3種類の熱用途8に需要が発生している場合、第3制御装置C3は、優先順位が低い方から順に2種類の熱用途8に対して熱の発生及び供給を一部制限する。或いは、2種類の熱用途8に需要が発生している場合、第3制御装置C3は、それら2種類両方の熱用途8に対して熱の発生及び供給を一部制限する。
【0078】
<6>
上記実施形態では、第2制御装置C2が、発電装置としての熱電併給装置6を、熱電併給装置6の特性に応じて決定される最低発電電力と最高発電電力との間で運転させる例を説明したが、その最高発電電力がその熱電併給装置6以外の他の装置の特性等に応じて決定される場合もある。具体例を挙げると、電力変換装置5の内部において、電力線2a、2c及び中性線2bに接続されている線材のそれぞれに流すことのできる電流が、例えば最大電流3.75Aに制限される場合がある。この場合、電力変換装置5の内部において、電力線2a、2c及び中性線2bに接続されている線材に最大電流を超える電流を流すと、線材の発熱などによる不具合が発生する可能性がある。従って、図1に示したように、熱電併給装置6から電力変換装置5を介して電力線2a(又は電力線2c)と中性線2bとの間に接続されている熱供給関連装置7に対して100Vで電力を供給するとした場合、375W(=100V×3.75A)の電力が上限になる。つまり、この場合、第2制御装置C2によって、熱電併給装置6の最高発電電力は、熱電併給装置6自身の特性に応じて決定される値ではなく、他の電力変換装置5の特性に応じて決定される375Wに制限されることになる。或いは、図5に示したように、熱電併給装置6から電力変換装置5を介して電力線2aと電力線2cとの間に接続されている熱供給関連装置7に対して200Vで電力を供給するとした場合、750W(=200V×3.75A)の電力が上限になる。この場合、第2制御装置C2によって、熱電併給装置6の最高発電電力は、熱電併給装置6自身の特性に応じて決定される値ではなく、他の電力変換装置5の特性に応じて決定される750Wに制限されることになる。
以上のように、上記実施形態のように、熱電併給装置6と熱供給関連装置7とが電力変換装置5を介して接続されており、熱電併給装置6から電力変換装置5を介して熱供給関連装置7へ送給できる電力の最大値が、熱電併給装置6自身の特性に応じて決定される発電電力の最大値より小さいとき、第2制御装置C2は、電力変換装置5から熱供給関連装置7へ送給できる電力の最大値を、熱電併給装置6の最高発電電力として設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、電力系統の停電時において、電力の需給バランスを保ちつつ、熱用途に対して熱を供給できる熱電供給システムのために利用できる。
【符号の説明】
【0080】
1 電力系統
3 停電検出装置
4 開閉装置
6 熱電併給装置(発電装置)
7 熱供給関連装置
8 熱用途
8a 凍結予防用途
8b 暖房用途
8c 給湯用途
8d 風呂追焚用途
10 余剰電力消費用ヒータ装置(余剰電力消費装置)
14 電熱ヒータ装置(熱供給関連装置 7)
15 熱源機
23 電気コンセント
C1 第1制御装置
C2 第2制御装置
C3 第3制御装置
C4 第4制御装置
F 送風ファン(電動機器、熱供給関連装置 7)
P1 熱媒循環ポンプ(電動機器、熱供給関連装置 7)
P2 暖房用循環ポンプ(電動機器、熱供給関連装置 7)
P3 風呂追焚用循環ポンプ(電動機器、熱供給関連装置 7)
S 熱電供給システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統と連系可能である発電装置と、
前記発電装置と前記電力系統との間の電気的な接続の有無を切り替える開閉装置と、
前記電力系統の停電を検出する停電検出装置と、
熱を発生させる熱源機、及び、前記熱源機で発生した熱を熱用途に対して供給するために用いる電動機器を有し、前記電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から供給される電力を消費して前記熱源機及び前記電動機器が動作される熱供給関連装置と、
前記開閉装置の動作を制御する第1制御装置と、
前記発電装置の動作を制御する第2制御装置と、
前記熱供給関連装置の動作を制御する第3制御装置と、を備え、
前記第1制御装置は、前記電力系統が停電していることを前記停電検出装置が検出すると、前記発電装置と前記電力系統との間の電気的な接続を無くすように前記開閉装置を動作させ、
前記第2制御装置及び前記第3制御装置は、前記電力系統が停電していることを前記停電検出装置が検出すると、熱用途に対して供給する熱の発生及び供給のために前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力が前記発電装置の発電電力以下となる状態に前記発電装置及び前記熱供給関連装置の動作を制御する停電時運転制御を協働して行い、
前記停電時運転制御において、前記第3制御装置は、前記熱供給関連装置の動作を制御して、需要が発生している熱用途のうちの何れかの熱用途へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限することにより前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記発電装置の発電電力以下とする処理を行うことができ、前記処理により前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記発電装置の発電電力以下とする場合に、需要が発生している熱用途のうちの優先順位の低い熱用途から順に当該熱用途へ向けた熱の発生及び供給を一部又は全部制限するように前記熱供給関連装置の動作を制御する熱電供給システム。
【請求項2】
前記停電時運転制御において、前記第2制御装置は、前記発電装置を一定の発電電力で運転させ、前記第3制御装置は、前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記一定の発電電力以下とするように前記熱供給関連装置の動作を制御する需要制御を行う請求項1に記載の熱電供給システム。
【請求項3】
前記停電時運転制御において、前記第2制御装置は、前記熱供給関連装置で消費する電力を前記発電装置の発電電力で賄えるように前記発電装置を最低発電電力と最高発電電力との間の運転状態で運転させ、前記第3制御装置は、前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記発電装置の最高発電電力以下とするように前記熱供給関連装置の動作を制御する需要供給制御を行う請求項1に記載の熱電供給システム。
【請求項4】
前記停電時運転制御において、
前記第2制御装置は、前記発電装置を一定の発電電力で運転させ、前記第3制御装置は、前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記一定の発電電力以下とするように前記熱供給関連装置の動作を制御する需要制御を行い、
前記需要制御に引き続いて、前記第2制御装置は、前記熱供給関連装置で消費する電力を前記発電装置の発電電力で賄えるように前記発電装置を最低発電電力と最高発電電力との間の運転状態で運転させ、前記第3制御装置は、前記熱供給関連装置が消費する合計消費電力を前記発電装置の最高発電電力以下とするように前記熱供給関連装置の動作を制御する需要供給制御を行う請求項1に記載の熱電供給システム。
【請求項5】
前記需要制御において、前記第2制御装置は、前記発電装置を前記電力系統の停電を検出したときの一定の停電時発電電力で運転させる請求項2又は4に記載の熱電供給システム。
【請求項6】
前記熱用途は、暖房用途、給湯用途及び風呂追焚用途のうちの少なくとも二種類以上を含んで構成され、前記熱用途の種類別に前記優先順位が設定される請求項1〜5の何れか一項に記載の熱電供給システム。
【請求項7】
前記熱供給関連装置は、前記電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から供給される電力を消費して発生する熱を凍結予防用途に用いるための電熱ヒータ装置を有し、
前記熱用途は、凍結予防用途、暖房用途、給湯用途及び風呂追焚用途のうちの少なくとも二種類以上を含んで構成され、前記熱用途の種類別に前記優先順位が設定される請求項1〜5の何れか一項に記載の熱電供給システム。
【請求項8】
前記発電装置の発電電力を消費可能な余剰電力消費装置と、
前記余剰電力消費装置の動作を制御する第4制御装置と、を備え、
前記停電時運転制御において、前記第4制御装置は、前記第2制御装置及び前記第3制御装置と協働して、前記熱供給関連装置の合計消費電力と前記余剰電力消費装置の消費電力との和が前記発電装置の発電電力となるように前記余剰電力消費装置の動作を制御する請求項1〜7の何れか一項に記載の熱電供給システム。
【請求項9】
前記電力系統の停電中に前記発電装置の発電電力を消費する電気機器を接続可能な電気コンセントを有する請求項1〜8の何れか一項に記載の熱電供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−72603(P2013−72603A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212702(P2011−212702)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】