説明

燃料添加剤としてのセリウム酸化物ナノ粒子

内燃機関からなる車両または他の装置への燃料の導入の前に、燃料にセリウム酸化物および/またはドープした(doped)セリウム酸化物、要すれば1以上の燃料添加剤を添加することを含む内燃機関のための燃料の効率性を改良する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料添加剤として有用なセリウム酸化物ナノ粒子に関する。
【0002】
セリウム酸化物は、自動車における有毒な排気放出ガスの除去および煤塵放出の削減のためのスリーウェイ・コンバーターにおける触媒として、広く用いられている。触媒中に含まれるセリア(ceria)は化学的に活性な成分として作用し、還元ガスの存在下で酸素を放出すること、かつ酸化種との相互作用によって酸素を取り除くことにより酸素貯蔵として働く。
【0003】
セリウム酸化物は、以下のプロセスによって酸素を貯蔵し放出する:
2CeO ←→ Ce + l/2O
【0004】
触媒目的としてセリアを使用する鍵は、Ce3+イオンおよびCe4+イオンの間の低い酸化還元電位(1.7V)であり、これにより排気ガス中で上記反応が容易に生じる。セリウム酸化物は、COまたはCの酸化を目的とする酸素を提供することができ、またはNOの還元のために酸素を吸収することができる。気相へ供給されおよび気相から取り除かれる可逆的な酸素の量は、セリアの酸素貯蔵容量(OSC)といわれる。
【0005】
上記の触媒活性は、セリウム酸化物を添加剤として燃料(例えばディーゼルまたはガソリン)に添加する場合に生じ得る。しかしながらこの効果が有用であるためには、セリウム酸化物は、燃料中の安定な分散を維持するのに十分な程度に小さな大きさの粒子でなければならない。このセリウム酸化物粒子はナノ結晶性でなければならず、例えばそれらは大きさが1ミクロン未満であり、かつ好ましくは1〜300nmの大きさでなければならない。加えて、触媒効果は表面積依存であるので、小さい粒子径は触媒としてより有効なナノ結晶性材料を提供する。
【0006】
燃料におけるセリウム酸化物の導入は、1以上の目的を果たす。第一の目的は、燃料の燃焼での有毒な排気放出ガスの削減において触媒として作用することである。しかしながら、ディーゼルエンジンにおいては別の目的を果たし得る。ディーゼルエンジンは、ディーゼル燃料の燃焼から生じる煤塵のトラップを含有するものが普及している。トラップ中にセリウム酸化物が存在すると、トラップ中に堆積する煤塵が燃して除かれることを助ける。実際にそのような使用は、市販の操作に存在する。従って、某自動車、主にプジョー(Peugeot)によって考案されたものは、セリウム酸化物が燃料に取り込まれてからエンジンをかける車載システムを内蔵している。これは複雑なシステムであるが、適切な量の添加剤を燃料へ供給するために、広範囲な電子制御を必要とする。事実上、車載システムは、その終わりがより長く続くように、微粒子フィルタが再生することを可能にする。
【0007】
本発明により、粒子が初期段階で燃料に添加されることによって異なるセリウム酸化物ナノ粒子が使用されることが解った。このように粒子の導入が改善した燃料効率を導き得ることが解った。
【0008】
従って、本発明は、内燃機関を有する車両または他の装置へ燃料を導入する前に、セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物、要すれば1以上の燃料添加剤を加えることを含む内燃機関のための燃料の効率の改良方法を提供する。
【0009】
このようにセリウム酸化物の導入によって、車両の燃料マネジメントシステムが必要でなくなる。燃料効率は、燃料中のセリウム酸化物の導入から得られ得る。
【0010】
粒子は、種々の異なる点で燃料へ導入され得る。それらの種々の異なる点で粒子を導入することに関して、特に利点がある。特にセリウム酸化物は、典型的に処理添加剤を加えて、精油所(refinery)で導入され得る。これはもちろん、セリウム酸化物の添加され得る最も早い点であり、かつ燃料が精油所で添加剤を既に含有しているために後の段階で導入する必要がないことを意味する。しかしながら、所望により、それは燃料会社の補給所で添加されてもよく、それは導入量が個々の会社にカスタマイズされることを意味する。また、セリウム酸化物は好適または公的な給油施設で、貯蔵タンクへ添加され得るか、車両への供給時に燃料に分配してもよい。これは、粒子分散の安定性が最大となる利点を有する。
【0011】
燃料へのセリウム酸化物の添加の主な目的は、燃料の経済性を増大させることであるが、燃料中の粒子の存在は、ディーゼル煤塵フィルタがもし存在するならば、それを同時に再生するのを助長することが認識される。セリウム酸化物の効果は一般的に、低温度で再生が可能であることである。これは、通常セラミック材料であるフィルターが一般的に亀裂を起こしにくくなるという利点を有する。
【0012】
普通のセリウム酸化物粒子を使用することは可能であるが、さらに酸素空孔(oxygen vacancies)を形成することになる成分でドープしたセリウム酸化物を使用することが有益であることが解った。これは一般的にドーパント(dopant)が酸素空孔を提供するために二価または三価であり得ることを意味する。
【0013】
このようなドーパントイオンは、酸素空孔を提供するために、希土類金属、遷移金属または周期表IIA、IIIB、VBまたはVIB族の金属である、元素の二価または三価イオンであるべきである。それらはまた、セリウム酸化物ナノ粒子の表面領域内に、イオンの導入を許容する大きさであるべきである。従って、大きなイオン半径を有する金属を使用すべきではない。例えば、遷移金属の第1列および第2列にある遷移金属が、第3列に記載されるものよりも、一般に好ましい。セリアは、還元反応中に酸素活性剤および交換媒体として作用する。しかしながら、セリアなどはセラミック材料であるため、電子導電性が低く、かつ反応種の化学吸着に対する表面活性も低い。遷移金属添加剤は、これらの状況の改良に特に有用である。また、多価ドーパントはそれ自体も触媒効果を有し得る。
【0014】
典型的にはこの酸化物は、
式:Cel−x
[式中、Mは上記金属または非金属(metalloid)であり、特にRh、Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Sb、Se、Fe、Ga、Mg、Mn、Cr、Be、B、Co、V、Zr、TiおよびCa、並びにPr、SmおよびGdであり、かつxは0.3以下の値、典型的には0.01または0.1〜0.2である。]
または、
式:[(CeO1−n(REO1−kM’
[式中、M’は希土類元素以外の上記金属または非金属であり、REは希土類元素であり、yは1または1.5であり、nおよびkはそれぞれ、同一または異なっていてもよく、0.5以下の値であり、好ましくは0.3以下の値であり、典型的には0.01または0.1〜0.2である。]
を有する。さらなる詳細はPCT出願明細書GB2002/005013に示され、これを参照すべきである。
【0015】
一般に、粒子は1ミクロンを超えない大きさを有し、特に300nm以下、例えば1〜300nm、具体的に1〜150nm、特に10〜50nm、特に1〜20nmである。
【0016】
粒子を被覆して凝集を防ぐことが好ましい。この目的のために、粒子は有機酸、酸無水物またはエステルまたはルイス塩基であるコーティング剤の存在下、有機溶媒中で粉砕され得る。コーティングそのままを含む方法において、酸化物のコーティングを著しく改良することができることが解った。さらに、得られる産物は、多くの場合、中間段階も含まず直接的に使用することができる。従って、幾つかのコーティング手順において、炭化水素溶媒中に分散させる前に、被覆された粒子を乾燥させる必要がある。
【0017】
従ってセリウム酸化物は、(液体)燃料または燃料と混和性である他の炭化水素中に、分散性であるかまたは溶解性であり得る。
【0018】
このプロセスにかけられる粒子は、できるだけ大きな表面積を有するのがよく、かつ好ましくはこの粒子は、コーティング前に表面積を少なくとも10m/g、好ましくは表面積を少なくとも50または75m/gを有し、例えば80〜150m/g、または100〜300m/gを有する。
【0019】
コーティング剤は、好適には有機酸、酸無水物またはエステルまたはルイス塩基である。コーティング剤は好ましくは有機カルボン酸または酸無水物であり、典型的には少なくとも8個の炭素原子、例えば10〜25個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子を有するもの、例えばステアリン酸などが挙げられる。炭素鎖は飽和であっても不飽和であってもよく、例えばオレイン酸のようにエチレン性不飽和であってもよいことは明らかであり得る。同様の説明は、使用できる酸無水物にも適用される。それらは好ましくは、ジカルボン酸無水物、特にアルケニルスクシン酸無水物、特にドデシルコハク酸無水物、オクタデセニルスクシン酸無水物およびポリイソブテニルスクシン酸無水物である。本発明のプロセスで使用され得る他の有機酸、酸無水物およびエステルとして、リン酸およびスルホン酸から誘導されたものが挙げられる。エステルは典型的には脂肪族エステルであり、例えば酸およびエステル部分の両方が4〜18個の炭素原子を有するアルキルエステルである。
【0020】
コーティング法は、有機溶媒中で行われ得る。好ましくは、溶媒は非極性であり、かつ好ましくは非疎水性でもある。脂肪属性または芳香族性溶媒であってもよい。典型的な例はトルエン、キシレン、ガソリン、ディーゼル燃料、並びに重燃料油(hevier fuel oils)を包含する。当然ながら、使用される有機溶媒は、被覆した粒子の所望の最終用途に適用するよう選択しなければならない。水の存在は、避けなければならない;無水物のコーティング剤としての使用は、水の存在を排除するのを促進する。
【0021】
コーティング法は、凝集を形成するのを防ぐために粒子を粉砕することを包含する。この目的のために使用される技術は、高速撹拌またはタンブラを包含し、かつコロイドミル、超音波またはボールミルの使用を包含する。ボールミルは好ましい。このようなコーティングのさらなる詳細は、PCT/GB02/02312で示され得る。
【0022】
燃料中のセリウム酸化物の濃度は、一般的に車載システム中で使用される量より少ないと指摘され得る。従って、燃料中のセリウム酸化物の濃度は、一般的に20ppmを超えず、かつ典型的には10ppmを超えない。一般的に、最小濃度は1−2ppmの間である。
【0023】
粒子は燃料に直接的あるいは燃料へ添加される添加剤パッケージの一部として導入され得る。粒子は、好ましくはディーゼル燃料に導入される。本発明は特に、大きな車両、例えば車載システムが一般的に導入されていないトラックおよびバスに有用である。燃料はまた、静電気エンジン、例えばジェネレータに使用され得る。
【0024】
セリウム酸化物の導入に使用される配合の特性は、もちろんセリウム酸化物が導入される時点に依存して変化し得る。
【0025】
一般的に、セリウム酸化物粒子は、洗浄剤の存在によって燃料中または燃料添加パッケージ中で安定であることが解った。この点について、潤滑剤はこれらが沈殿物を形成する原因となり得るため、悪影響を与えることが認識されている。本発明により使用され得る特定の洗浄剤は、塩基性窒素含有洗浄剤を包含する。そのような洗浄剤は無灰(すなわち、それらは金属を含まない)でなければならない。好適な洗浄剤は、アミド、アミン、マンニッヒ塩基およびスクシンイミド(これが好ましい)を包含する。好ましくは洗浄剤は、1モルにつき少なくとも平均3個の窒素原子を有するスクシンイミドである。スクシンイミドは好ましくは、脂肪族であり、飽和または不飽和、特にエチレン性不飽和、例えばアルキルまたはアルケニルスクシンイミドであってよい。典型的な洗浄剤は、一般的にアルキル基またはアルケニル基中に少なくとも35個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルスクシンアシル化剤、および1モルにつき平均少なくとも3個の窒素原子を有するアルキレンポリアミド混合物から形成される。好ましくは、それは、数平均分子量500〜10,000を有するポリイソブチレンから誘導されたポリイソブテニルスクシンアシル化剤および平均組成トリエチレンテトラミンからペンタエチレンヘキサミンを有する環状および非環状部を包含し得るエチレンポリアミンから形成され得る。従って、鎖は典型的に平均分子量500〜2500、特に750〜1500を有すが、分子量約900および1300を有するものが特に有用である。但し、平均分子量約2100を有する脂肪族鎖を有するスクシンイミドもまた有用である。さらに詳細はUS-A-5,932,525および6048373およびEP-A-432,941、460309および1,237,373で示され得る。
【0026】
従って、本発明は、洗浄剤、好ましくは脂肪族スクシンイミドとともにセリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物を含有する燃料添加組成物もまた提供する。
【0027】
典型的には、添加剤中のセリウム酸化物の濃度は、0.1〜10%、一般的に0.5〜5重量%である。
【0028】
セリウム酸化物が精油所で添加され得るならば、それは実際、他に何もなしで添加され得る。典型的に、精油所で導入される添加剤はセタン価向上剤(cetane number improvers)、コールドフロー向上剤および酸化防止剤を含む。従って、本発明による組成物は、これらの1以上を導入し得る。しかしながら、一般的にセリウム酸化物は、セタン価を改良しないので、それがこれらとともに添加することはありそうにない。
【0029】
セリウム酸化物が貯蔵所で添加されるならば、それは単独または洗浄剤、並びに典型的にはこの段階での燃料に添加される下記に示されるような他の成分とともに添加してもよい。
【0030】
セリウム酸化物が給油施設(filling station forecourt)で添加されるならば、同様の検討が貯蔵所での添加に適用する。
【0031】
燃料組成物(特にディーゼル燃料)中で用いられ得る典型的な添加剤として、従来使用されているような、下記のものなどが挙げられる:
非極性有機溶媒;例えば芳香族および脂肪族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、および揮発油、およびそれらの混合物およびRoyal Dutch/Shell Groupから商標「SHELLSOL」およびExxonMobil Groupから「EXXSOL」で販売されるものが挙げられる。
極性有機溶媒;特にアルコール、一般的に脂肪族アルコール、例えば2エチルヘキサノール、デカノールおよびイソトリデカノール、
洗浄剤;例えばヒドロカルビル置換アミンおよびアミド、例えばヒドロカルビル置換スクシンイミド、例えばポリイソブテニルスクシンイミド、
デヘイザー(Dehazers);例えばアルコキシル化フェノールホルムアルデヒドポリマー、市販の「NALCO」(商標)7D07(Nalcoによる)および「TOLAD」(商標)2683(Petoliteによる)、
消泡剤;例えばポリエーテル変性ポリシロキサン、「TEGOPREN」(商標)5851(Th. Goldschmidtによる)、Q 25907(Dow Comingによる)または「RHODORSIL」(商標)(Rhone Poulencによる)として市販、
点火改良剤;例えば脂肪族ニトレート、例えば2−エチルヘキシルニトレートおよびシクロヘキシルニトレート、
防錆剤;ドイツ国マンハイムのRhein Chemie、から「RC4801」として、またはEthyl corporationからHiTEC 536として市販されているもの、すなわち、スクシン酸誘導体の多価アルコールエステル
脱臭剤;
酸化防止剤;例えば2,6−ジ−t−ブチルフェノールなどのフェノール類、またはN,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミンなど、
金属活性低下剤;例えばサリチル酸誘導体、例えばN,N'−ジサリチリデン−1,2−プロパンジアミン、および
潤滑剤;例えば極性化合物、特に脂肪酸およびエステルおよびアミド。典型的な酸は、C−C50鎖を有しおよび/または多価塩基酸、例えばジカルボン酸、例えば不飽和酸(例えばオレインまたはリノレン酸)のダイマー、並びに特にオルトOH基を有するヒドロキシ芳香族カルボン酸、例えばサリチル酸、特に少なくとも10個の炭素原子を所有する基によって置換されたものを包含する。典型的なエステルは、このような酸およびアルコール(典型的にはCおよびC脂肪族アルコールまたは多価アルコール、例えばグリコール、グリセロールまたはペンタエリスリトールまたは例えば5オキサアルキレン基を有するポリ(オキサアルキレン)アルコール)から誘導される。多価塩基酸のエステルは部分的であってよい。特定のエステルは、グリセロールモノ−およびジ−エステル、例えばグリセリルモノオレエートおよびペンタエリスリトールモノオレエート、並びにサリチル酸エステルを包含する。使用され得る他の潤滑剤は、カルボキシフェノールおよびポリオールおよびアミノアルキルモルホリンから誘導されるエステルを含む。いくつかのそのような剤は、EC831、P631、P633またはP639(Infiniumによる)、または「HITEC」(商標)580(Ethyl Corporationによる)、ベーカーペトロリット(Baker Petrolit)のTOLAD 2670および9103から市販され、およびWO 98/01516および98/16596に記載されているものがある。
【0032】
乳化破壊剤はベーカーペトロリットよりTOLAD 2898として市販されているもの。
【0033】
好ましい添加剤は、1以上の消泡剤、乳化破壊剤および防錆剤を包含する。
【0034】
特に指定のない限り、燃料中の各添加剤の(活性物質(active matter))濃度は、一般的に1000ppmw以下(ディーゼル燃料重量に対する100万分率(部))、特に800ppmw、例えば1〜1000、1〜800、または1〜20ppmwである。
【0035】
ディーゼル燃料におけるデヘイザーの(活性物質)濃度は、好ましくは1〜20ppmwの範囲である。他の添加剤(洗浄剤、点火改良剤および潤滑剤を除く)の(活性物質)濃度は、それぞれ好ましくは20ppmw以下である。洗浄剤の(活性物質)濃度は、典型的には800ppmw以下、例えば10〜500ppmwである。ディーゼル燃料中の点火改良剤の(活性物質)濃度は、好ましくは600ppmw以下、例えば100〜250ppmwである。潤滑剤がディーゼル燃料中に導入される場合は、50〜500ppmwの量で適切に用いられる。
【0036】
これらの添加剤のいくつかは、より一般的には精油所で直接的に(セリウム酸化物とともに)加えられる一方で、他のものは、典型的にはタンカーまたはポンプへの搭載時に加えられるディーゼル燃料添加剤(DFA)の一部を形成する。典型的なDFAは下記のものを含む:
【0037】
【表1】

【0038】
ディーゼルオイル自体は、添加された(添加剤を含む)オイルであってもよい。ディーゼルオイルが添加されたオイルである場合は、1以上の添加剤、例えば静電防止剤、配管抵抗抑制剤、流動性向上剤、例えばエチレン/酢酸ビニルコポリマーまたはアクリレート/無水マレイン酸コポリマー、およびワックス沈降防止剤、例えば商標「PARAFLOW」(例えば「PARAFLOW」450、Paraminsによる)、「OCTEL」(例えば「OCTEL」 W 5000、Octelによる)および「DODIFLOW」(例えば「DODIFLOW」 V 3958、Hoechstによる)の市販品を少量含んでもよい。
【0039】
同一または同様の添加剤は、当業者が認識している他の燃料(例えば、ペトロール(petrol))に使用され得る。
【0040】
以下の実施例は、本発明をより説明する。
【実施例】
【0041】
セリウム酸化物単独でまたは他の添加剤とともに含む燃料の沈降を試験して、以下の結果を得る:
【0042】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を包含する車両または他の装置へ燃料を導入する前に、燃料にセリウム酸化物および/またはドープした(doped)セリウム酸化物、要すれば1以上の燃料添加剤を添加することを含む内燃機関のための燃料の効率性を改良する方法。
【請求項2】
希土類金属、遷移金属または周期表IIA、IIIB、VBまたはVIB族の二価または三価の金属または非金属(metalloid)を用いてドープされたセリウム酸化物を加えることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記金属が遷移金属である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記金属が、ロジウム、銅、銀、金、パラジウム、白金、鉄、マンガン、クロム、コバルト、バナジウム、ジルコニウムまたはチタンである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記金属が、テルビウム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウム、アンチモン、セレン、ガリウム、マグネシウム、ベリリウム、ホウ素またはカルシウムである、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が1ミクロン以下の大きさを有する、従前請求項いずれかに記載の方法。
【請求項7】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が1〜300nmの大きさを有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が、有機酸、酸無水物もしくはエステルまたはルイス塩基で被覆された、従前請求項いずれかに記載の方法。
【請求項9】
被膜がジカルボン酸無水物である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
被膜がアルケニルスクシン酸無水物である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
スクシン酸無水物が、ドデシニルスクシン酸無水物、オクタデシニルスクシン酸無水物またはポリイソブチルスクシン酸無水物である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
燃料がディーゼル燃料である、従前請求項いずれかに記載の方法。
【請求項13】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が、脂肪族または芳香族炭化水素、若しくは脂肪族アルコールである溶媒とともに添加される、従前請求項いずれかに記載の方法。
【請求項14】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が、精製の際に燃料へ添加される、従前請求項いずれかに記載の方法。
【請求項15】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が、燃料貯蔵庫で添加される、請求項1〜13いずれかに記載の方法。
【請求項16】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が、給油施設(filling station forecourt)で添加される、請求項1〜13いずれかに記載の方法。
【請求項17】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が、洗浄剤、デヘイザー(dehazer)、消泡剤(anti-foaming agent)、点火改良剤、防錆剤(anti-rust agent)、脱臭剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、潤滑剤または乳化破壊剤の1以上とともに添加される、従前請求項いずれかに記載の方法。
【請求項18】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が、洗浄剤とともに添加される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
洗浄剤が、塩基性窒素含有無灰洗浄剤(ashless detergent)である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
洗浄剤が、1モルにつき少なくとも3個の窒素原子を含有するスクシンイミドである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
スクシンイミドが、アルキルまたはアルケニル部において少なくとも35個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルスクシンアシル化剤、および1モルにつき少なくとも平均3個の窒素原子を含有するアルキレンポリアミン混合物から得られる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
スクシンイミドが、数平均分子量500〜10,000を有するポリイソブテンから得られるポリイソブテニルスクシンアシル化剤およびトリエチレンテトラミンからペンタエチレンヘキサミドまでの平均組成(average composition)を有するエチレンポリアミドから誘導される、請求項20記載の方法。
【請求項23】
スクシンイミドの脂肪族鎖が分子量500〜2500を有する、請求項21記載の方法。
【請求項24】
スクシンイミドの脂肪族鎖が分子量750〜1500を有する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が、消泡剤、乳化破壊剤または防錆剤の少なくとも1つともに添加される、請求項18〜24いずれかに記載の方法。
【請求項26】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が、20ppmを超えない濃度で添加される、従前請求項いずれかに記載の方法。
【請求項27】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物が、10ppmを超えない量で添加される、従前請求項いずれかに記載の方法。
【請求項28】
実質的にこれまでに記載されている、請求項1記載の方法。
【請求項29】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物および洗浄剤を含有する燃料添加剤。
【請求項30】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物の濃度が0.1〜10重量%である、請求項29記載の燃料添加剤。
【請求項31】
セリウム酸化物および/またはドープしたセリウム酸化物の濃度が0.5〜5重量%である、請求項30記載の燃料添加剤。
【請求項32】
セリウム化合物が、請求項2〜11の1以上で定義されるものである、請求項29〜31いずれかに記載の燃料添加剤。
【請求項33】
洗浄剤が、塩基性窒素含有無灰洗浄剤である、請求項32記載の燃料添加剤。
【請求項34】
洗浄剤が、1モルにつき少なくとも平均3個の窒素原子を有するスクシンイミドである、請求項33記載の燃料添加剤。
【請求項35】
スクシンイミドが、アルキルまたはアルケニル部において少なくとも35個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルスクシンアシル化剤、および1モルにつき少なくとも3つの窒素原子を有するアルキレンポリアミン混合物から得られる、請求項34記載の燃料添加剤。
【請求項36】
スクシンイミドが、数平均分子量500〜10,000を有するポリイソブテンから得られるポリイソブテニルスクシンアシル化剤およびトリエチレンテトラミンからペンタエチレンヘキサミドまでの平均組成を有するエチレンポリアミドから誘導される燃料添加剤である、請求項34記載の方法。
【請求項37】
スクシンイミドの脂肪族鎖が分子量500〜2500を有する、請求項35記載の燃料添加剤。
【請求項38】
スクシンイミドの脂肪族鎖が分子量750〜1500を有する、請求項37記載の燃料添加剤。
【請求項39】
また、デヘイザー、消泡剤、点火改良剤、防錆剤、消臭剤、酸化防止剤、金属不活性剤、潤滑剤または乳化破壊剤の1以上を含有する、請求項32〜38いずれかに記載の燃料添加剤。
【請求項40】
消泡剤、防錆剤または乳化破壊剤の1以上を含有する、請求項39記載の燃料添加剤。
【請求項41】
脂肪族または芳香族炭化水素または脂肪族アルコールである溶媒を含有する、請求項29〜42いずれかに記載の燃料添加剤。
【請求項42】
実質的にこれまでに記載されている、請求項29記載の燃料添加剤。

【公表番号】特表2006−516996(P2006−516996A)
【公表日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500244(P2006−500244)
【出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000294
【国際公開番号】WO2004/065529
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(301062455)オクソニカ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】