説明

燃料電池システム

【課題】遮断弁の閉鎖機能が正常であり且つ通路部分の気密性が正常であるか否かを、容易に判定できる燃料電池システムが提供される。
【解決手段】制御部100は、遮断弁69および開閉弁66を開放させることにより、ガス源からの燃料ガスを燃料ガス通路6に供給させている状態のとき、遮断弁69の閉鎖および開閉弁66の閉鎖により、燃料ガス通路6のうち遮断弁69と開閉弁66との間の通路部分6mを密閉させる。その後、制御部100は、遮断弁69および開閉弁66のうちの双方が閉鎖されている閉鎖状態に関する基準時刻から経過する経過時間と、圧力検知要素61で検知される圧力の変動とに基づいて、遮断弁69の閉鎖機能、開閉弁66の閉鎖機能および通路部分6mの気密性の正否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料ガス通路を開閉させる遮断弁をもつ燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、燃料電池システムの燃料電池に繋がるガス通路の一部に閉空間を形成し、閉空間の圧力及び温度の双方に基づいてガス通路の異常を検知する技術を開示する。このものによれば、ガスの体積が温度に影響されることに着目し、閉空間の圧力の他に温度をも考慮するため、閉じ空間からガス漏れが発生していないにも拘わらず、ガス漏れが発生していると過誤判定することを防止できる。
【0003】
特許文献2は、燃料ガス通路において弁、脱硫器、改質装置を直列に配置した燃料電池システムを開示する。このものによれば、システムの発電運転終了後には弁が閉鎖されるため、燃料ガス通路には閉塞経路が形成される。閉塞経路は温度が次第に低下するため、閉塞経路内のガス体積が小さくなり、閉塞経路は次第に負圧化される。負圧化された状態では、弁の円滑な開放動作に支障をきたすおそれがある。そこで、複数設けられている弁のうち、上流にある弁を一時的に開放させ、燃料ガスを燃料ガス通路に供給させることにより、燃料ガス通路の負圧化を抑制させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-92789号公報
【特許文献2】特開2005-44653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、完全な閉空間のないシステムの場合には、ガス通路の気密性異常、つまり、ガス漏れ等の異常を検知することは、困難である。また、都市ガスを改質反応により改質させたアノードガスを用いる燃料電池システムの場合には、都市ガスの元圧が一般的には1.0〜2.5kPaと低圧であるため、温度変化による影響も大きく、気密の異常について過誤判定する可能性が高い。
【0006】
特許文献2によれば、制御部は、燃料ガス通路における負圧を解消する制御を実行するが、配管の気密性、ガス漏れの異常検知に関しては、言及されていない。また、ガス漏れがあった場合には、負圧を解消させるために上流側の弁を一時的に開いて燃料ガスを燃料ガス通路に供給させるため、燃料ガス通路に供給された燃料ガスが外部に漏れる可能性がある。さらに都市ガスを用いるガス機器においては、安全性の観点から、2個の弁を直列に配置した2連弁が設けられることが一般的である。しかし特許文献2に係る技術においては、仮に、一方の弁が異物の噛み込み等で、閉弁指令が出力されているにも拘わらず、開放状態のまま維持される不具合が発生したとき、その不具合を検知することが困難である。そのため、2連弁のうち一方の弁が開放状態のままで、システムが長期的に運転されるおそれがあり、好ましくない。
【0007】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、燃料ガス通路に設けられている遮断弁の閉鎖機能が正常であり且つ通路部分の気密性が正常であるか否かを、容易に判定できる燃料電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の様相1に係る燃料電池システムは、アノードおよびカソードを有する燃料電池と、燃料電池のカソードにカソードガスを供給するカソードガス通路と、ガス源の燃料ガスを燃料電池のアノードに供給する燃料ガス通路と、燃料ガス通路に設けられた第1ガス搬送源と、燃料ガス通路において第1ガス搬送源よりも上流に設けられた開閉可能な遮断弁と、燃料ガス通路において遮断弁および第1ガス搬送源よりも下流に設けられた開閉可能な開閉弁と、燃料ガス通路のうち遮断弁と開閉弁との間の通路部分のガス圧力に関する物理量を検知するための圧力検知要素と、圧力検知要素の検知信号が入力され且つ第1ガス搬送源、遮断弁および開閉弁を直接的にまたは間接的に制御する制御部とを具備する燃料電池システムにおいて、
制御部は、遮断弁の閉鎖機能および通路部分の気密性の正否を判定する判定処理を行い、
判定処理において、(i)遮断弁を開放させることにより、ガス源からの燃料ガスを燃料ガス通路に供給させた後、第1ガス搬送源を停止させた状態において、遮断弁の閉鎖および開閉弁の閉鎖により、燃料ガス通路のうち遮断弁と開閉弁との間の通路部分を密閉させ、通路部分に燃料ガスを閉じ込め、その後、(ii)第1ガス搬送源を停止させた状態において、遮断弁および開閉弁のうちの双方の閉鎖に関する基準時刻から経過する経過時間と、圧力検知要素で検知される圧力の変動とに基づいて、遮断弁の閉鎖機能、開閉弁の閉鎖機能および通路部分の気密性の正否を判定する。
【0009】
圧力の変動は、基準時刻からの経過時間に応じて圧力の低下または圧力の上昇を含む。基準時刻からの経過時間が短いときには、圧力の低下が通路部分からのガス漏れに相当するため、気密性の異常に相当する。基準時刻からの経過時間が長いときには、遮断弁を閉鎖したことで減圧されるはずが減圧されず、遮断弁が閉じていないことに相当するため、遮断弁の異常に相当する。
【0010】
本様相によれば、制御部は、遮断弁および開閉弁を開放させることにより、ガス源からの燃料ガスを燃料ガス通路に供給させる。この状態のとき、制御部は、遮断弁の閉鎖および開閉弁の閉鎖により、燃料ガス通路のうち遮断弁と開閉弁との間の通路部分を密閉させ、当該通路部分に燃料ガスを閉じ込める。開閉弁の閉鎖機能および通路部分の気密性が損なわれていない場合には、当該通路部分に挿入された高圧の燃料ガスは外部に漏れず、基準時刻から時間が経過しても、圧力検知要素で検知される圧力の変動(低下)が抑えられる。しかしながら、開閉弁の閉鎖機能が損なわれている場合、または、通路部分の気密性が損なわれている場合には、当該通路部分に挿入された高圧の燃料ガスは外部に漏れる。このため、基準時刻から時間が経過すると、圧力検知要素で検知される圧力は変動(低下)する。
【0011】
このため本様相によれば、基準時刻から経過する経過時間と、圧力検知要素で検知される圧力の変動とに基づいて、開閉弁の閉鎖機能および通路部分の気密性の正否を判定することができる。
【0012】
また、経過時間が長いのに圧力の低下がない場合は、遮断弁を閉じ密閉状態において、気密が確保されていれば、配管内の温度低下に伴い減圧される。それに対し、遮断弁の閉鎖機能が異常の場合、燃料の元圧が配管内にかかるため減圧されない。つまり、基準時間経過しても圧力は変動しない。上記により、基準時刻からの圧量検知要素で検知される圧力の変動とに基づいて、遮断弁の閉鎖機能の成否も判定することができる。
【0013】
基準時刻は、燃料ガス通路のうち遮断弁と開閉弁との間の通路部分を密閉し、当該通路部分に燃料ガスを閉じ込める時刻に基づく意味である。このような基準時刻としては、遮断弁が閉鎖する時刻に基づいて設定されることが好ましい。また、燃料電池システムの発電運転から停止に移行させるときには、制御部またはユーザから発電運転を停止させる停止指令が出力され、少なくとも遮断弁を閉鎖させる指令が制御部から出力される。このため遮断弁を閉鎖させるべく、停止指令が出力された時刻に基づいて、基準時刻を設定することにしても良い。または、システムの発電運転を起動させる直前に判定処理が実施されるときには、遮断弁を一旦開放させて燃料ガスを通路部分に供給させた後、遮断弁を閉鎖させる指令を出力する時刻に基づいて設定することも好ましい。
【0014】
なお、判定処理において遮断弁および通路部分が正常であると判定されないとき、制御部は警報を出力することが好ましい。警報は、ユーザなどへの警報でも良いし、システム停止でも良い。圧力検知要素としては、燃料ガス通路のうち遮断弁と第1ガス搬送源との間の通路部分のガス圧力に関する物理量を検知できるものであれば良く、圧力センサ、圧力スイッチ等を例示できる。第1ガス搬送源は燃料ガスを搬送できるものであれば良く、ポンプ。ファン、コンプレッサを問わない。燃料電池は固体酸化物形燃料電池(SOFC)に限定されず、場合によっては、PEFCとも呼ばれる固体高分子形燃料電池でも良いし、リン酸形燃料電池でも良く、溶融炭酸塩形燃料電池でも良く、他のタイプの燃料電池でも良い。
【0015】
(2)本発明の様相2に係る燃料電池システムによれば、上記様相において、判定処理は、燃料電池の発電運転から停止に移行させるとき、または、発電運転の停止を継続させているときにおいて、実行される。燃料電池を発電運転から停止に移行させるときには、燃料ガスの搬送を停止させるべく、第1ガス搬送源を駆動状態から停止状態に移行させる。このため、判定処理は、燃料電池の発電運転に影響を与えることなく、容易に実行される。
【0016】
(3)本発明の様相3に係る燃料電池システムによれば、上記様相において、判定処理において、圧力検知要素で検知される通路部分の圧力が、基準時刻から規定時間TM1以内に、規定圧力Pbよりも低下するとき、制御部は、開閉弁の閉鎖機能が異常、または、通路部分の気密性が異常であると判定する。開閉弁の閉鎖機能が異常(開閉弁が完全に閉鎖されないこと等)、または、通路部分の気密性が異常であるため(通路部分を形成する壁からのガス漏れ等)、通路部分の圧力が外部(例えば大気圧)に漏れて低下する。このように通路部分の大気圧よりも高圧の圧力が外部(例えば大気圧)に漏れて低下する時間、過誤検知しないことを考慮して、規定圧力Pbおよび規定時間TM1はシステムに応じて設定される。TM1は例えば10〜300秒の範囲内の任意値とすることができる。但し、これに限定されるものではない。Pbは、ガス源の元圧と大気圧との間の範囲の任意値として設定できる。
【0017】
(4)本発明の様相4に係る燃料電池システムによれば、上記様相において、燃料電池は発電運転に伴い常温領域よりも昇温され、前記判定処理において、圧力検知要素で検知される通路部分の圧力が、基準時刻から規定時間TM2において、規定圧力Pcよりも低下するとき、遮断弁の閉鎖機能が正常であり且つ通路部分の気密性が正常であると判定する。TM2>TM1の関係とされる。
【0018】
燃料電池は、発電運転において常温領域よりも昇温される。発電運転が停止されると、時間の経過につれて燃料電池の温度は次第に低下する。このため遮断弁および開閉弁が開放され、ガス源からの燃料ガスが燃料ガス通路に供給されている状態のとき、遮断弁の閉鎖および開閉弁の閉鎖により、燃料ガス通路のうち遮断弁と開閉弁との間の通路部分に燃料ガスが密閉されて閉じ込められている。このように通路部分に燃料ガスが閉じ込められた後、基準時刻から時間が経過すると、燃料電池の温度は次第に低下するため、通路部分の燃料ガスの熱収縮に基づいて、通路部分の圧力は本来的には減圧されるはずである(例えば負圧化)。従って、遮断弁の閉鎖機能が正常であり且つ通路部分の気密性が正常である場合には、圧力検知要素で検知される通路部分の圧力が、基準時刻から規定時間TM2(TM2>TM1)において、規定圧力Pcよりも低下する。この場合には、制御部は、遮断弁の閉鎖機能および通路部分の気密性が正常であると判定する。
【0019】
これに対して、遮断弁の閉鎖機能が異常であり閉鎖指示にもかかわらず閉鎖できない場合には、燃料の元圧により燃料が通路部分に侵入する。このため、圧力検知要素で検知される通路部分の圧力が、基準時刻から規定時間TM2(TM2>TM1)において、規定圧力Pcよりも低下しない。規定圧力Pcは、燃料の元圧よりも低い圧力としてシステムに応じて設定できる。この場合、制御部は遮断弁が異常であると判定する。例えば、TM2は、通路部分の温度が発電運転時の温度から常温域に低下して充分に減圧される時間等を考慮して設定できる。TM2は0.5〜10時間の範囲内において設定できる。TM2>TM1の関係となる。
【0020】
(5)本発明の様相5に係る燃料電池システムによれば、上記様相において、(i)遮断弁は、燃料ガス通路において直列に隣設された上流側の第1遮断弁および下流側の第2遮断弁で形成されており、制御部は、(ii)遮断弁の第1遮断弁及び第2遮断弁を開放させ、ガス源からの燃料ガスを燃料ガス通路に供給させている状態のとき、遮断弁のうち第1遮断弁及び第2遮断弁のいずれか一方の遮断弁の閉鎖および開閉弁の閉鎖により、燃料ガス通路のうち一方の遮断弁と開閉弁との間の通路部分を密閉させ、通路部分に燃料ガスを閉じ込め、その後、基準時刻から経過する経過時間と、圧力検知要素で検知される圧力の変動とに基づいて、一方の遮断弁の閉鎖機能および通路部分の気密性の正否を判定する第1判定処理を実行し、更に、
(iii)遮断弁の第1遮断弁及び第2遮断弁を開放させ、ガス源からの燃料ガスを燃料ガス通路において供給させている状態のとき、遮断弁のうち第1遮断弁及び第2遮断弁のいずれか他方の遮断弁の閉鎖および開閉弁の閉鎖により、燃料ガス通路のうち他方の遮断弁と開閉弁との間の通路部分を密閉させ、通路部分に燃料ガスを閉じ込め、その後、基準時刻から経過する経過時間と、圧力検知要素で検知される通路部分の圧力の変動とに基づいて、他方の遮断弁の閉鎖機能および通路部分の気密性の正否を判定する第2判定処理を実行する。
【0021】
遮断弁は、燃料ガス通路において直列に隣設された上流側の第1遮断弁および下流側の第2遮断弁で形成されており、二連弁とされている。制御部は、第1遮断弁および第2遮断弁のうち一方の遮断弁の閉鎖機能および通路部分の気密性の正否を判定する第1判定処理を実行する。その後、制御部は、第1遮断弁および第2遮断弁のうち一方の遮断弁の閉鎖機能および通路部分の気密性の正否を判定する第2判定処理を実行する。このように通路部分の気密性はダブルチェックされる。
【0022】
(6)本発明の様相6に係る燃料電池システムによれば、上記様相において、開閉弁が閉鎖しており、第1ガス搬送源が停止して燃料電池が発電していない起動前において、制御部は判定処理を実行する。本様相によれば、制御部は、システムの起動前において、遮断弁の閉鎖機能および通路部分の気密性の正否を判定する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、燃料ガス通路に設けられている遮断弁の閉鎖機能が正常であり且つ通路部分の気密性が正常であるか否かを、容易に判定できる燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1に係り、燃料電池システムの燃料ガス通路付近の概念を模式的に示す図である。
【図2】実施形態4に係り、燃料電池システムの燃料ガス通路付近の概念を模式的に示す図である。
【図3】他の実施形態に係り、制御部が実行する制御則を示すフローチャートである。
【図4】他の施形態に係り、制御部が実行する制御則を示すフローチャートである。
【図5】他の実施形態に係り、制御部が実行する制御則を示すフローチャートである。
【図6】他の実施形態に係り、制御部が実行する制御則を示すフローチャートである。
【図7】他の実施形態に係り、制御部が実行する制御則を示すフローチャートである。
【図8】他の実施形態に係り、制御部が実行する制御則を示すフローチャートである。
【図9】燃料電池システムの概念を模式的に示す図である。
【図10】制御部の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態1)
図1は燃料電池システムを示す。本システムは、アノード10およびカソード11を有する燃料電池1と、燃料電池1のカソード11にカソードガス(一般的は空気)を供給するカソードガス通路70と、燃料電池1のアノード10に燃料ガスとしての燃料ガスを供給する燃料ガス通路6と、燃料ガス通路6に設けられた第1ガス搬送源としての第1ガスポンプ60、燃料ガス通路6において第1ガスポンプ60よりも上流つまり燃料ガス通路6の入口側に設けられた遮断弁69と、燃料ガス通路6の通路部分6mのガス圧力を検知する圧力センサ61(圧力検知要素)と、圧力センサ61の検知信号が入力され且つ第1ガスポンプ60および遮断弁69を制御する制御部100と、これらを収容する筐体5とを備えている。
【0026】
燃料ガス通路6は、改質前の燃料ガス(例えば都市ガス)を改質器2Aに供給させる通路である。図1に示すように、燃料ガス通路6は、入口側から順に、遮断弁69、圧力センサ61、燃料ガスを脱硫させる脱硫器62、流量計64、バッファタンク65、第1ガスポンプ60、逆止弁66(開閉弁)、発電モジュール18を直列に配置させている。配置順はこれに限定されるものではない。第1ガスポンプ60が駆動しているときには、逆止弁66に作用する通路部分6mの圧力は逆止弁66のリリーフ圧を超えるため、逆止弁66は開放される。これに対して、第1ガスポンプ60が駆動から停止に移行すると、逆止弁66に作用する通路部分6mの圧力は逆止弁66のリリーフ圧よりも低下するため、逆止弁66は内蔵バネにより自動的に閉鎖される。遮断弁69の上流には、ガス源63に繋がるガス配管6xと、ガス源63に繋がる元圧弁6yとが設けられている。ガス源63および元圧弁6yは筐体5の外部に配置されている。
【0027】
図1に示すように、発電モジュール18は、燃料ガス通路6に繋がる改質器2Aと、改質器2Aの下流に設けられた燃料電池1と、これらを包囲する断熱壁19とを有する。改質器2Aは給水路8にも繋がる。改質器2Aは、改質水搬送源としての水ポンプ80で搬送された液相状の改質水を加熱させて水蒸気とさせる蒸発部2と、蒸発部2で生成された水蒸気で燃料ガスを改質反応させ、水素含有のアノードガスとして改質させる改質部3とを有する。逆止弁66は、第1ガスポンプ60から発電モジュール18の改質器2Aに燃料ガスを矢印A1方向に流入させるものの、その反対方向(矢印A2方向)のガス流れを阻止する。圧力センサ61は燃料ガス通路6において遮断弁69と脱硫器62との間に設けられている。燃料ガス通路6のうちなるべく上流側の圧力(負圧)を検知し、判定処理を速やかに済ませるためである。但し、圧力センサ61の位置はここに限定されるものではなく、遮断弁69と逆止弁66との間に設けられていれば良い。カソードガス通路70には、カソードガスを燃料電池1のカソード11に向けて搬送させる第2ガス搬送源としての第2ガスポンプ71が設けられている。圧力センサ61が検知した検知信号、流量計64が検知した検知信号は、制御部100に入力される。制御部100は遮断弁69、第1ガスポンプ60、第2ガスポンプ71および水ポンプ80等の機器を制御させる。
【0028】
ところで、燃料電池1の発電運転においては、元圧弁6yが開放されており、更に、遮断弁69が開放状態で且つ第1ガスポンプ60が駆動してガス源63の燃料ガスを第1ガスポンプ60よりも下流の発電モジュール18の改質器2Aに向けて矢印A1方向に搬送させる。改質器2Aに供給された燃料ガスは、改質反応により改質され、水素を含有するアノードガスとされる。アノードガスは燃料電池1のアノード10に供給される。発電運転において第2ガスポンプ71が駆動してカソードガス(空気)を発電モジュール18の燃料電池1のカソード11に向けて搬送させる。これにより燃料電池1は発電運転して電力を生成させる。
【0029】
上記したように遮断弁69が開放された状態で且つ第1ガスポンプ60が駆動して燃料ガスを第1ガスポンプ60よりも下流の発電モジュール18に向けて供給させて発電運転させる。第1ガスポンプ60が駆動するときには、通路部分6mの圧力がリリーフ圧に勝つため、逆止弁66が自動的に開放される。
【0030】
本実施形態によれば、発電運転から停止モードに移行させるときにおいて、または停止モードにおいて、第1ガスポンプ60の駆動が停止している条件において、制御部100は判定処理を実行する。即ち、制御部100は、第1ガスポンプ60の駆動を停止させる。すると、逆止弁66に作用する圧力は逆止弁66のリリーフ圧よりも低下するため、逆止弁66は自動的に閉鎖される。発電運転から停止モードに移行させるときにおいて、または停止モードにおいて、制御部100は、遮断弁69を閉鎖させる指令を遮断弁69に出力させる。これにより、燃料ガス通路6のうち遮断弁69と逆止弁66との間の通路部分6mが密閉され、通路部分6mに燃料ガスが閉じ込められる。
【0031】
ここで、逆止弁66の閉鎖機能および通路部分6mの気密性が損なわれていない場合には、基準時刻から時間が経過しても、当該通路部分6mに閉じこめられた燃料ガスは、外部に漏れない。このため基準時刻からの経過時間が第1規定時間TM1(例えば10〜300秒の範囲内の任意値)経過しても、圧力センサ61で検知される通路部分6mの圧力P1の低下(変動)が抑えられる。
【0032】
しかしながら、逆止弁66の閉鎖機能、または、通路部分6mの気密性が損なわれている場合には、当該通路部分6mに閉じこめられた燃料ガスは、逆止弁66または通路部分6mから外部に漏れる。このため、基準時刻からの経過時間が長くなり、第1規定時間TM1を経過すると、圧力センサ61で検知される圧力P1は規定圧力Pbよりも低下する。
【0033】
本実施形態によれば、基準時刻は、燃料ガス通路6のうち遮断弁69の出口と逆止弁66の入口との間の通路部分6mを密閉し、当該通路部分6mに燃料ガスを閉じ込める操作に関する基準時刻に相当する。具体的には、第1ガスポンプ60の停止により通路部分6mの圧力が低下すると、それに応答して逆止弁66は自動的に閉鎖される。このため基準時刻は、制御部100が遮断弁69を閉鎖させる指令を出力した時刻に基づいて設定できる。基準時刻から経過する経過時間と、圧力センサ61で検知される圧力P1の低下(変動)との関係に基づいて、制御部100は、逆止弁66の閉鎖機能および通路部分6mの気密性の正否を判定することができる。
【0034】
本実施形態によれば、燃料電池システムを発電運転から停止に移行させるとき、遮断弁69を開放から閉鎖に切り替えるとともに、第1ガスポンプ60を駆動から停止に切り替える。このため、見方を変えると、基準時刻としては、燃料電池システムを発電運転から停止モードに移行させる指令を制御部100が出力した時刻に基づいて設定することもできる。要するに基準時刻は、燃料ガスを閉じ込めた通路部分6mの圧力変動の始点として機能できる時刻を意味する。
【0035】
このように本実施形態によれば、判定処理は、燃料電池1の発電運転を停止させるときに実行される。このように燃料電池1の発電運転を停止させるときには、燃料ガスを発電モジュール18側に供給させないため、第1ガスポンプ60を駆動から停止に移行させる。このため、判定処理は、燃料電池1の発電運転に影響を与えることなく、容易に実行される。そして、遮断弁69が閉鎖された後において、制御部100は、圧力センサ61が検知する通路部分6mの圧力P1が規定圧力Pb以下に移行するか否かを判定する。圧力センサ61が検知する圧力P1が第1規定時間TM1内において規定圧力Pb以下に移行しないときには、通路部分6mの燃料ガスが外部に漏れていない。このため、制御部100は、『逆止弁66の閉鎖機能が正常であり且つ通路部分6mの気密性が正常である』と判定する。
【0036】
これに対して、圧力センサ61が検知する圧力P1が第1規定時間TM1内において規定圧力Pb以下に減圧されてしまうときには、通路部分6mの燃料ガスが外部に漏れている。このため、制御部100は、『逆止弁66の閉鎖機能が異常であり、または、通路部分6mの気密性が異常である』と判定する。
【0037】
もし、逆止弁66が閉鎖できず、または、通路部分6mの気密性が異常であると、通路部分6mの高圧の圧力P1が規定圧力Pb以下に低下してしまう。燃料ガス通路6において第1ガスポンプ60の上流の圧力が逆止弁66のリリーフ圧よりも低下すると、逆止弁66は自動的に閉鎖されるため、実際には、燃料ガス通路6において遮断弁69から逆止弁66の入口までの通路部分6mの気密性の有無が判定されることになる。判定にあたり、燃料ガス通路6において遮断弁69と逆止弁66との間の通路部分6mが減圧化されるか否かが重要である。
【0038】
本実施形態によれば、図1に示すように、圧力センサ61は燃料ガス通路6において遮断弁69の下流直下に設けられているため、つまり、遮断弁69と脱硫器62との間に設けられているため、圧力センサ61は通路部分6mの減圧化を速やかに検知できる。判定処理において遮断弁69および通路部分6mが正常であるとは判定されないとき(つまり異常であるとき)、制御部100は警報を出力する。警報は、警報器、ユーザ、メンテナンス会社等への警報でも良いし、システムの発電停止でも良い。
【0039】
(実施形態2)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。燃料電池システムによれば、燃料電池1の発電運転を終了させる指令が出力されたとき、制御部100は、発電モジュール18内を還元性雰囲気にさせつつ冷却させる停止モード(非発電状態)を実行し、その後、待機モードを実行する。停止モードでは、発電運転時よりも少量の改質水を水ポンプ80により改質器2Aに供給させると共に第1ガスポンプ60により発電運転時よりも少量の燃料ガスを改質器2Aの蒸発部2に供給させて、改質反応により水素含有ガスを少量生成させる。水素は還元性雰囲気を形成するため、発電モジュール18の冷却時において、発電モジュール18内の過剰酸化が抑制され、耐久性を高め得る。更に停止モードでは、第2ガスポンプ71の駆動によりカソードガスを燃料電池1のカソード11に供給させることにより、発電モジュール18の内部を冷却させる。発電モジュール18が規定温度以下まで冷却されたら、酸化のおそれが解消されるため、停止モードが終了される。終了に伴い、制御部100は、水ポンプ80、第1ガスポンプ60および第2ガスポンプ71を停止させた状態に維持させる待機モード(非発電状態)を、次回の起動まで実行する。このように待機モードでは、アノードガス、カソードガス、改質水は発電モジュール18に供給されない。
【0040】
上記した判定処理は、停止モードから待機モードに移行させる毎に実行できる。なお、発電運転していないとき(例えば、第1ガスポンプ60が停止している条件下で、停止モードから待機モードに移行するときにおいて、あるいは、待機モードが継続されているときにおいて)、制御部100は上記した判定処理を実行しても良い。
【0041】
なお、判定処理において逆止弁66および通路部分6mの気密性が正常であると判定されないとき、必要に応じて、制御部100は、遮断弁69の開放および閉鎖を交互に複数回繰り返す指令を遮断弁69に出力して逆止弁66の噛み込み解除制御を実行することが好ましい。
【0042】
(実施形態3)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。この場合、上記したように遮断弁69の開放および閉鎖を交互に複数回繰り返す逆止弁66の噛み込み解除制御を実施した後において、制御部100は判定処理を再び実行することが好ましい。この判定処理は、第1ガスポンプ60が停止し、逆止弁66が閉鎖されおり、燃料電池1が発電していないときに実行される。
【0043】
すなわち、制御部100は、判定処理において、逆止弁66(開閉弁)が閉鎖されている状態において、遮断弁69を開放させ、ガス源63からの燃料ガスの元圧を燃料ガス通路6に供給させる操作と、次に、遮断弁69を閉鎖させ、燃料ガス通路6の通路部分6mを密閉させ、通路部分6mに燃料ガスを閉じ込める操作と、次に、遮断弁69を閉鎖させた基準時刻から経過する経過時間と、圧力センサ61で検知される圧力P1の変動(低下)との関係に基づいて、遮断弁69の閉鎖機能および通路部分6mの気密性の正否を判定する。
【0044】
この判定処理において正常であると判定されないとき、異物が逆止弁66に噛み込んでおり、逆止弁66が完全に閉鎖できず、逆止弁66の気密性が低下しているおそれがある。そこで制御部100は、再び、遮断弁69の開放および閉鎖を交互に複数回繰り返す噛み込み解除制御を実行する。このように複数回の噛み込み解除制御を実行すれば、逆止弁66において噛み込まれていた異物が除去され易くなるため、逆止弁66が正常状態に復帰する可能性が高い。
【0045】
(実施形態4)
図2は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。遮断弁である遮断弁69は、燃料ガス通路6(燃料ガス通路)において直列に設けられた上流側の第1遮断弁69fおよび下流側の第2遮断弁69sで形成されている。判定処理では、制御部100は遮断弁69f,69sを同時に開閉させる。
【0046】
(実施形態4B)
本実施形態は実施形態4と基本的には同様の作用および効果を有するため、図2を準用する。遮断弁69は、燃料ガス通路6(燃料ガス通路)において直列に設けられた上流側の第1遮断弁69fおよび下流側の第2遮断弁69sで形成されている。
【0047】
制御部100は第1判定処理を実施する。第1判定処理では、第1遮断弁69fおよび第2遮断弁69sが開放状態で且つ第1ガスポンプ60が駆動して燃料ガスを下流に向けて供給させているとき、制御部100は第1判定処理を実行する。すなわち、第1ガスポンプ60の駆動から停止に切り替えると、圧力応答式の逆止弁66は自動的に閉鎖される。制御部100は、第1遮断弁69fおよび第2遮断弁69sのうち、遮断弁69fをまず閉鎖させる指令を出力させる。これにより通路部分6mに燃料ガスが密閉される。遮断弁69sを閉鎖させる指令を出力した時刻を第1基準時刻とする。
【0048】
遮断弁69fの閉鎖後において、制御部100は、圧力センサ61が検知する通路部分6mの圧力P1が、第1基準時刻から第1規定時間TM1以内に規定圧力Pb以下に減圧されるか否かを判定する。圧力センサ61が検知する圧力P1が第1規定時間TM1以内に規定圧力Pb以下に減圧されないとき、制御部100は、逆止弁66の閉鎖機能が正常であり且つ通路部分6m(第1遮断弁69fから逆止弁66の入口までの通路の部分)の気密性が正常であると判定する。
【0049】
正常であれば、その後、制御部100は第2判定処理を実行する。即ち、制御部100は、第1遮断弁69fおよび第2遮断弁69sが開放されて燃料ガスの元圧を下流に向けて供給させているとき、制御部100は第2判定処理を実行する。即ち、第1ガスポンプ60が停止、逆止弁66が閉鎖されている条件下で、制御部100は、第1遮断弁69fおよび第2遮断弁69sのうち遮断弁69sを閉鎖させる指令を出力させる。これにより通路部分6mに燃料ガスが閉じ込められる。遮断弁69sを閉鎖させる指令を出力した時刻を第2基準時刻とする。遮断弁69sの閉鎖後において、制御部100は、圧力センサ61が検知する通路部分6mの圧力P1が、第2基準時刻から第1規定時間TM1以内に規定圧力Pb以下に減圧されるか否かを判定する。圧力センサ61が検知する圧力P1が第1規定時間TM1以内に規定圧力Pb以下に減圧されないとき、制御部100は、逆止弁66の閉鎖機能が正常であり且つ通路部分6m(第1遮断弁69sから逆止弁66の入口までの通路の部分)の気密性が正常であると判定する。
【0050】
本実施形態においても、第1判定処理において遮断弁69fが正常であると判定されないとき、制御部100は、ガスポンプ60が停止している状態において、遮断弁69fの開放および閉鎖を交互に複数回繰り返す指令を遮断弁69fに出力する噛み込み解除制御を実行することができる。その後、ガスポンプ60が停止している状態において、第1判定処理を再び実行することにしても良い。第2判定処理において遮断弁69sが正常であると判定されないとき、制御部100は、遮断弁69sの開放および閉鎖を交互に複数回繰り返す指令を遮断弁69sにそれぞれ出力する制御を実行することができる。その後、第2判定処理を再び実行することにしても良い。
【0051】
(実施形態4C)
本実施形態は上記した実施形態と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。遮断弁69(69f,69s)の閉鎖後において、制御部100は、圧力センサ61が検知する通路部分6mの圧力P1が、規定圧力Pb以下に減圧されるか否かを判定する。もし、圧力P1が規定圧力Pb以下に減圧される場合には、制御部100は、基準時刻から規定圧力Pb以下に減圧されるまでの経過時間を計測する。この経過時間に基づいて、制御部100は、逆止弁66の閉鎖機能および通路部分6mの気密性の正否を判定しても良い。経過時間が短いと、逆止弁66および通路部分6mからのガス漏れが発生しているため、異常と判定される。
【0052】
(実施形態5)
本実施形態は上記した実施形態と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。発電運転中の燃料電池1および脱硫器62は、常温領域よりも昇温されている。燃料電池1の発電運転が停止されると、時間の経過につれて燃料電池1および脱硫器62の温度は次第に低下する。
【0053】
さて、判定処理の前においては、遮断弁69および逆止弁66が開放され、ガス源63からの燃料ガスが燃料ガス通路6に供給されて発電運転が実行されている。そして、発電運転から停止モードに移行するとき、遮断弁69の閉鎖および逆止弁66の閉鎖により、燃料ガス通路6のうち遮断弁69の閉鎖および逆止弁66との間の通路部分6mに、燃料ガスが閉じ込められる。遮断弁69の閉鎖はガスの閉じ込めに相当し、基準時刻に相当する。このように通路部分6mに燃料ガスが閉じ込められた後、基準時刻から時間が経過すると、燃料電池1および脱硫器62の温度は次第に低下するため、通路部分6mの燃料ガスの温度も低下する。このため通路部分6mの燃料ガスの熱収縮に基づいて、通路部分6mの圧力は本来的には減圧されるはずである。更に、脱硫器62の温度も低下すると、通路部分6mに閉じこめられている燃料ガスのCH基が脱硫剤に吸着される。この意味においても、発電運転から停止モードに移行すると、通路部分6mの圧力は本来的には減圧されるはずである。
【0054】
従って、遮断弁69の閉鎖機能が正常であり且つ通路部分6mの気密性が正常である場合には、通路部分6mに燃料ガス(燃料元圧)や外気(大気圧)が侵入しない。このため、圧力センサ61で検知される通路部分6mの圧力が、基準時刻から第2規定時間TM2(TM2>TM1)経過すると、温度低下に伴い、規定圧力Pcよりも低下する。この場合、制御部100は、『遮断弁69の閉鎖機能および通路部分6mの気密性が正常である』と判定する。
【0055】
これに対して、遮断弁69の閉鎖機能が異常であり、または、通路部分6mの気密性が異常である場合には、遮断弁69の閉鎖指令が出力されているにも拘わらず、燃料ガス(燃料元圧)または外気(大気圧)が通路部分6mに侵入する。このため、圧力センサ61で検知される通路部分6mの圧力が、基準時刻から規定時間TM2(TM2>TM1)経過するとき、規定圧力Pcよりも高い。この場合、制御部100は遮断弁69または通路部分6mが異常であり、燃料ガスを遮断しているのにも関わらず燃料ガスまたは外気が通路部分6mに侵入したと判定する。制御部100は警報を出力することが好ましい。
【0056】
(実施形態5B)
本実施形態は上記した実施形態5と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。発電運転していた燃料電池1が冷却されると、気密性が正常である場合には、遮断弁69の閉鎖後において、圧力センサ61が検知する通路部分6mの圧力P1は減圧されるはずである(負圧化)。制御部100は、基準時刻から、圧力P1が規定圧力Pc以下に減圧されるまでの経過時間を計測する。この経過時間に基づいて、制御部100は、遮断弁69fの閉鎖機能および通路部分6mの気密性の正否を判定しても良い。気密性が無いときには、通路部分6mは減圧されないため、経過時間は0となり、異常とされる。
【0057】
(実施形態6)
図3は実施形態6を示す。本実施形態は上記した実施形態と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図3は制御部100が実行する制御則の例を示す。システムが発電運転から停止モード(第1ガスポンプ60の停止,遮断弁69が閉鎖)に移行された場合には、制御部100はStep.1に移行し、本フローチャートをスタートさせる。遮断弁66は閉鎖、ガスポンプ60は停止されている。Step.2では、制御部100は、圧力センサ61が検知した圧力P1が規定圧力Pbよりも高圧であるか否かを判定する(P1>Pb,Step.2)。例えば、規定圧力Pbは都市ガス等の燃料ガスの正常圧1.0〜2.5kPaに対し、0.4kPa未満等の値が設定されることが好ましい。但しPbはこれに限定されるものではない。圧力P1が低下しており規定圧力Pb以下であれば(Step.2のNO)、通路部分6mのガスが外部に漏れている。そこで制御部100は、『逆止弁66の閉鎖機能が異常、または、通路部分6mの気密性は異常である』と判定し、警報を出力する(Step.7)。警報後には、システムの再起動がかからないようにすることが望ましい。
【0058】
圧力P1が規定圧力Pbよりも高圧であれば(Step.2のYES)、遮断弁69を閉鎖させた基準時刻からの経過時間が第1規定時間TM1を超えているか否かを判定する。TM1としては、例えば10〜300sec、殊に40〜100sec(例えば60sec)等の時間が設定される。経過時間が第1規定時間TM1を経過していなければ(Step.3のNO)、Step.2に進み、圧力P1が規定圧力Pbよりも高圧であるか否かを判定する(P1>Pb)。圧力P1が規定圧力Pbよりも高圧である状態を維持しつつ、経過時間が第1規定時間TM1を経過すると(Step.3のYES)、通路部分6mの圧力はまだ高圧であり、通路部分6mの燃料ガスが外部に漏れず、規定圧力Pb以下に減圧されていないことに相当する。このため、制御部100は、『逆止弁66は正常に閉鎖され、且つ、通路部分6mの気密性は正常である』と一次的に判定し、Step.3からStep.4へ移行する。これに対して、経過時間が第1規定時間TM1以内に、圧力P1が規定圧力Pbよりも低下すると、制御部100は、『逆止弁66の閉鎖機能が異常、または、通路部分6mの気密性は異常である』と判定し、警報を出力する(Step.7)。
【0059】
Step.4では、制御部100は、遮断弁69を閉鎖させた基準時刻からの経過時間が規定時間TM2より長いか否かを判定する。経過時間が規定時間TM2未満である場合には(Step.4のYES)、制御部100は、圧力センサ61が検知した通路部分6mの圧力P1が規定圧力Pc未満(P1<Pc)か否かを判定する(Step.5)。
【0060】
ここで、前述したように、燃料電池1の発電運転が停止されると、時間経過につれて,発電モジュール18の温度が低下し、ひいては通路部分6mの温度が低下し、熱収縮により通路部分6mのガス体積が収縮し、通路部分6mのガス圧力が低下する。更に、発電運転が停止されると、脱硫器62の温度が低下し、脱硫器62に担持されている脱硫剤へ燃料ガスのCH基が吸着され、通路部分6mのガス圧力が更に低下する。規定時間TM2は、温度低下による通路部分6mの圧力低下、脱硫器62の温度低下による脱硫剤へのCH基の吸着による圧力低下により、P1<Pcとなる時間に基づいてシステム毎に設定されている。例えば、規定時間TM2としては、0.5〜10時間の範囲、1〜5時間の範囲の値が設定される。TM2>TM1の関係とされている。
【0061】
Step.5における判定の結果、通路部分6mの圧力P1が規定圧力Pcよりも減圧化(例えば負圧化)されている場合には(P1<Pc)、遮断弁69が正常に閉鎖され、且つ、通路部分6mが正常に密閉されており、外気が通路部分6mに侵入していないと推定される。従って、制御部100は、燃料ガス(燃料元圧)もしくは外気(大気圧)が通路部分6mに侵入しなかったと判定し、つまり、遮断弁69および通路部分6mが正常であると判定し、正常フラグを立て、Step.6で本フローチャートを終了する。Step.5における判定の結果、通路部分6mの圧力P1が規定圧力Pcよりも減圧化(例えば負圧化)されていない場合には(P1≧Pc)、燃料ガス(燃料元圧)もしくは外気(大気圧)が通路部分6mに侵入しておそれがある。即ち、遮断弁69が正常に閉鎖されないか、または、通路部分6mが正常に密閉されていないことに相当する。従って、制御部100は、基準時刻からの経過時間が規定時間TM2よりも長くなっても(Step.4のNO)、通路部分6mの圧力P1が規定圧力Pcよりも減圧化(例えば負圧化)されない場合には、制御部100は遮断弁69の故障または通路部分6mの気密異常であると判定し、異常フラグをたて、警報を出力する(Step.8)。
【0062】
(実施形態7)
図4は実施形態7を示す。本実施形態は上記実施形態と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図4は基本的には図3と同様であるが、Step.には識別のためBが付されている。Step.5Bにおける判定の結果、P1<Pcであると判定された場合(Step.5BのYES)には、通路部分6mが正常に減圧化(負圧化)されており、遮断弁69が正常に閉鎖され、且つ、通路部分6mが正常に密閉されており、外気が通路部分6mに侵入していない。
【0063】
しかし遮断弁69は正常であるものの、通路部分6mが負圧化されているため、負圧により遮断弁69が円滑に作動できないおそれがある。そこで、制御部100は負圧解消制御を実行し(Step.6B)、本フローチャートを終了する(Step.9B)。負圧解消制御では、遮断弁69(69f,69s)を既定時間ΔTw、もしくは、P1>Peとなるまで開放させ、ガス源63の元圧を通路部分6mに作用させ、その後、遮断弁69(69f,69s)を閉鎖させる。この場合、第1ガスポンプ60が停止しており、逆止弁66が閉鎖されており、通路部分6mには燃料ガスが装填される。例えば、Peは燃料ガスの元圧に近い値とすることができる。
【0064】
換言すると、通路部分6mが負圧に維持される場合には、次回のシステムの起動において、遮断弁69の弁の固着等の遮断弁69の作動が負圧による吸引力の影響を受けるおそれがある。そこで、判定処理により遮断弁69および通路部分6mが正常であると判定した後、制御部100は、遮断弁69(69f,69s)を開放させてガス源63の元圧を通路部分6mに作用させ、その後、遮断弁69(69f,69s)を閉鎖させ、通路部分6mに燃料ガスを閉じ込める。これにより次回の起動時等において、通路部分6mの負圧化を抑制させ、遮断弁69の開閉作動の円滑化を確保する。
【0065】
(実施形態8)
図5は実施形態8を示す。本実施形態は上記した実施形態と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図5は基本的には図3,図4と同様である。Step.にはCが付される。図5に示すように、制御部100は、遮断弁69および通路部分6mを正常と判定させた後、Step.6Cにおいて負圧解消制御を実施して通路部分6mに元圧の燃料ガスを装填させ、その後、Step.9Cにおいて異常判定を行う。すなわち、負圧解消制御において遮断弁69(二連弁であるときには、遮断弁69f,69s)を開放させたとしても、通路部分6の圧力P1が元圧に近い値Peに復帰しない場合には(Step.9CのNO)、制御部100は、マイコンメータの遮断等に起因して、燃料電池システムに供給される元圧弁6yよりも上流の元圧(都市ガス13Aの元圧)が低下していると判定する。または、遮断弁69(69f,69s)を開放させる指令を出力させたものの、遮断弁69(69f,69s)が閉鎖されたままの状態であると判定する。そして制御部100は、元圧異常のおそれがある異常フラグを立て、異常の警報を出力する(Step.11C)。
【0066】
これに対して、Step.6Cに係る負圧解消制御において二連弁である遮断弁69f,69sを開放させたとき、通路部分6の圧力P1が元圧に近い値Peよりも高い圧力に復帰した場合には(Step.9CのYES)、制御部100は、元圧弁6yよりも上流の元圧(都市ガス13Aの元圧)が正常であると判定し、元圧の正常を示す正常フラグを立て、本フローチャートを終了する(Step.10C)。
【0067】
(実施形態9)
図6は実施形態9を示す。本実施形態は上記実施形態と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。Step.にはDが付される。図6に示すように、本制御は、システムの待機モード(非発電状態)において、もしくは、待機モードにおいてシステムの起動直前等に実行される。この場合、第1ガスポンプ60が停止しており、燃料ガスがシステムに供給されていない状態で行なう。第1ガスポンプ60が停止しているため、逆止弁66も閉鎖されている。本制御を実行させる指示が制御部100に入力されると(Step.1D)、本制御則が開始される。まず、制御部100は遮断弁69を開く(Step.2D)。これによりガス源63の燃料ガス(例えば都市ガス)を通路部分6mに充填させる。よって通路部分6mにはガス源63の燃料ガスの元圧が作用する。通路部分6mの圧力は、ガス源63の燃料ガスの元圧と同程度となる。
【0068】
次に、制御部100は、遮断弁69の開放時刻からの経過時間が規定時間TM4未満か否かを判定する(Step.3D)。経過時間が規定時間TM4未満の場合には、制御部100は、遮断弁69の開放後において圧力センサの圧力P1が規定圧力Pa(元圧よりも低いが、元圧に近い値)よりも高圧か否かを判定する(Step.4D)。P1≧Paとなった場合には(Step.4DのYES)、燃料ガスの元圧は正常であり、通路部分6mに燃料ガスが閉じ込められている。その後、制御部100は遮断弁69を閉鎖させる(Step.5D)。
【0069】
Step.4Dにおける判定の結果、P1<Paの場合には、Step.3Dに戻る。経過時間が既定時間TM4経過しても、通路部分6mの圧力P1が規定圧力Paよりも高くならない場合には、元圧がもともと低い、もしくは遮断弁が開指示にもかかわらず開放しておらず圧力がかからない(遮断弁の故障)と考えられる。そこで制御部100は元圧の異常として警報を出力する(Step.9D)。
【0070】
前述したように遮断弁69(69f,69s)が閉鎖されて燃料ガスが通路部分6mに閉じ込められた後(Step.5D)、制御部100は、遮断弁69の閉鎖時刻(基準時刻)からの経過時間が規定時間TM1未満か否かを判定する(Step.6D)。経過時間が規定時間TM1未満の場合、Step.6DからStep.7Dへ移行し、P1<Pbか否かを判定する。経過時間が規定時間TM1未満でP1<Pbとなった場合(Step.7DのYES)には、制御部は、通路部分6mから外部へのガス漏れにより、通路部分6mの圧力が短時間で低下したと判定し、異常フラグを立て、気密異常の警報を出力する(Step.8D)。
【0071】
これに対して、P1≧Pbの場合には、制御部100はStep.6Dに戻り、基準時刻から規定時間TM1経過後において、P1≧Pbの場合には(Step.6DのNO)、通路部分6mの圧力P1が高く、遮断弁69および通路部分6mからのガス漏れが無く、通路部分6mの気密性が正常に維持されている。従って制御部100は、遮断弁69および通路部分6mが正常であると判定し、正常フラグを立ててStep.10Dに移行し、本制御を終了する。遮断弁69および通路部分6mが正常であると判定された場合は、制御部100またはユーザ等から起動指示があれば、システムが起動されて、発電運転が開始される。
【0072】
(実施形態10,11)
図7は実施形態10の概念を示す。図8は実施形態11の概念を示す。本実施形態は上記実施形態と基本的には同様の作用および効果を有する。図7に示すフローチャートは、図3のフローチャートにおけるStep.1〜Step.7に相当する。図8に示すフローチャートは、図3のフローチャートにおけるStep.4〜Step.8に相当する。
【0073】
(実施形態12)
図9および図10は実施形態12の概念を示す。本実施形態は上記実施形態と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図9に示すように、燃料電池システムは、燃料電池1と、液相状の水を蒸発させて水蒸気を生成させる蒸発部2と、蒸発部2で生成された水蒸気を用いて燃料ガスを改質させてアノードガスを形成する改質部3と、蒸発部2に供給される液相状の水を溜める水タンク4と、これらを収容する筐体5とを有する。燃料電池1は、イオン伝導体を挟むアノード10とカソード11とをもち、例えば、SOFCとも呼ばれる固体酸化物形燃料電池(運転温度:例えば400℃以上)に適用できる。
【0074】
改質部3は、セラミックス担体3kに改質触媒を担持させて形成されており、蒸発部2に隣設されている。蒸発部2はセラミックス担体2kをもつ。担体2k,3kは粒状、ハニカム状等にできる。改質部3および蒸発部2は改質器2Aを構成しており、燃料電池1と共に断熱壁19で包囲され、発電モジュール18を形成している。発電電運転時には、改質器2Aは改質反応に適するように断熱壁19内において加熱される。発電運転時には、蒸発部2は水を加熱させて水蒸気とさせ得るように加熱される。燃焼部105は改質部3および蒸発部2を加熱させる。燃料ガス通路6は、ガス源63からの燃料を改質器2Aに供給させるものであり、遮断弁69、脱硫器62、第1ガスポンプ60および流量計64をもつ。配置順は特に限定されない。燃料電池1のカソード11には、カソードガス(空気)をカソード11に供給させるためのカソードガス通路70が繋がれている。カソードガス通路70には、カソードガス搬送用のガス搬送源として機能するカソードポンプ71、流量計72が設けられている。
【0075】
図9に示すように、筐体5は、外気に連通する吸気口50と排気口51と吸気口50付近(外気)の温度を検知する温度センサ57とをもつ。温度センサ57は必要に応じて設ければ良い。筐体5には、改質部3で改質される液相状の改質水を溜める水タンク4が収容されている。水タンク4には、排水バルブ40mが設けられており、更に、電気ヒータ等の加熱機能をもつ加熱部40が必要に応じて設けられている。加熱部40は、水タンク4に貯留されている改質水を加熱させるものであり、電気ヒータ等で形成できる。外気温度等の環境温度が低いとき等には、制御部100からの指令に基づいて、水タンク4の水は加熱部40により加熱され、凍結が抑制される。なお、水タンク4内の水位は基本的にはほぼ同一となるようにされていることが好ましい。
【0076】
図9に示すように、水タンク4の出口ポート4pと蒸発部2の入口ポート2iとを連通させる給水路8が、配管として筐体5内に設けられている。図9に示すように、筐体5内において、水タンク4は蒸発部2の下側に配置されているため、給水路8は上下方向に沿って延びる。給水路8は、水タンク4内に溜められている水を水タンク4の出口ポート4pから蒸発部2に供給させる通路である。給水路8には、水タンク4内の水を蒸発部2まで搬送させる水ポンプ80が設けられている。なお、給水路8は蒸発部2,改質部3、燃料電池1等を介して大気に連通するようにされている。水ポンプ80を水タンク4の出口ポート4p側に設けても良い。
【0077】
給水路8において、水ポンプ80の下流で且つ蒸発部2の上流において水センサ87が設けられている。水センサ87は、給水路8において蒸発部2の入口ポート2iの直前に配置されていることが好ましい。なお、給水路8には、改質水の流量を測定する流量計は設けられていない。場合によっては、演算結果のチェック等のため、給水路8に流量計を設けることにしても良い。
【0078】
図10に示すように、水ポンプ80を駆動回路を介して制御するための制御部100が設けられている。制御部100は、入力処理回路100a、出力処理回路100b、タイマー計測機能をもつCPU100c、記憶部として機能するメモリ100mとを有する。制御部100には、水センサ87,温度センサ57の検知信号がそれぞれ入力される(図10参照)。制御部100は水ポンプ80を制御する。更に、制御部100は第2ガスポンプ71,第1ガスポンプ60、遮断弁69(69f,69s)、警報器102を制御することができる(図8参照)。
【0079】
(システムの運転)
システムの発電運転を実施するとき、制御部100は、発電運転に先だって暖機運転を実行する。暖機運転では、制御部100は、遮断弁69を開放させた状態で、第1ガスポンプ60を駆動させて燃料ガスを燃料ガス通路6に介して発電モジュール18の燃料電池1を介して燃焼部105に供給させる。制御部100はカソードポンプ71も駆動させてカソードガス通路70を介して空気を発電モジュール18のカソード11を介して燃焼部105に供給させる。図略の着火部が着火するため、燃焼部105において燃料ガス(例えば都市ガス)が空気により燃焼する。燃焼が継続するため、燃焼部105における燃焼熱により、改質部3、蒸発部2および燃料電池1が加熱されて暖機される。蒸発部が規定温度以上となると水ポンプ80を駆動し改質水を供給し、改質部3で改質反応を開始する。改質された改質ガスとカソードガスで燃焼を継続し改質部3および燃料電池1を継続して加熱し暖機する。改質部3、蒸発部2および燃料電池1が所定の温度域に加熱されると、制御部100は暖機運転を終了させ、発電運転に移行させる。
【0080】
制御部100は、水ポンプ80を駆動させると、水タンク4内の液相状の改質水は、水タンク4の出口ポート4pから給水路8を搬送され入口ポート2iから蒸発部2に供給される。改質水は、蒸発部2で加熱されて水蒸気とされる。水蒸気は、燃料ガス通路6から供給される燃料と共に改質部3に移動する。改質部3において燃料ガスは、水蒸気で改質されてアノードガス(水素含有ガス)となる。アノードガスはアノードガス通路73を介して燃料電池1のアノード10に供給される。更にカソードポンプ71が駆動してカソードガス(酸素含有ガス、筐体5内の空気)がカソードガス通路70を介して燃料電池1のカソード11に供給される。これにより燃料電池1が発電する。カソード11から吐出されたカソードオフガスは、発電反応に消費されなった酸素を含む。アノード10から吐出されたアノードオフガスは、発電反応に消費されなった水素を含む。従って、発電運転においても燃焼部105においてアノードオフガスがカソードオフガスにより燃焼され、改質部3および蒸発部2が改質反応に適するように加熱される。
【0081】
暖機運転および発電運転において、発電モジュール18で発生した高温の排ガスは、排ガス通路75を介して筐体5の外方に排気される。排ガス通路75には、凝縮機能をもつ熱交換器76が設けられている。貯湯槽77に繋がる貯湯通路78および貯湯ポンプ79が設けられている。貯湯通路78は往路780および復路78cをもつ。貯湯槽77の低温の水は、貯湯ポンプ79の駆動により、貯湯槽77の出口ポート77pから吐出されて往路780を通過し、熱交換器76に至り、熱交換器76で排ガスにより加熱される。熱交換器76で加熱された水は、復路78cを介して帰還ポート77iから貯湯槽77に帰還する。このようにして貯湯槽77の水は温水となる。前記した排ガスに含まれていた水蒸気は、熱交換器76で凝縮されて凝縮水となる。凝縮水は、熱交換器76から延設された凝縮水通路42を介して重力等により浄水部43に流下される。従って、浄水部43および水タンク4は発電モジュール18の下側に位置する。
【0082】
浄水部43はイオン交換樹脂等の水浄化剤43aを有するため、凝縮水の不純物は除去される。不純物が除去された水は水タンク4に移動し、水タンク4に改質水として溜められる。水ポンプ80が正運転で駆動すると、水タンク4内の改質水は給水路8を介して高温の蒸発部2に供給され、蒸発部2で水蒸気とされて改質部3に供給され、改質部3において燃料ガスを改質させる改質反応として消費される。水蒸気改質の一般式は(1)と考えられている。
(1)…C+nHO→nCO+[(m/2)+n]H
n,mは特定の整数を示す。n=1,m=4の場合には、メタン(CH)が水蒸気改質される。
【0083】
本実施形態においても、制御部100が発電運転から停止モードに移行するとき、あるいは、停止モードに維持されているとき(但し、第1ガスポンプ60が停止)、あるいは、待機モードに維持されているときにおいて、制御部100は判定処理を実行することができる。これらのモードは、第1ガスポンプ60が停止されており、逆止弁66が閉鎖されており、燃料電池1の発電運転中ではないため、判定処理に要する時間を制限されないため、判定処理の繰り返回数を増加させることができ、判定の精度を高め得る。
【0084】
制御部100は、判定処理を実行するとき、判定処理を実行した直後、判定処理を実行する直前のうちの少なくともいずれかにおいて、万一、燃料ガスが発電モジュール18側に移行するときには、第2ガスポンプ70の駆動により筐体5内の空気をカソードガス通路70に供給させ、燃料ガスを空気で希釈させることが好ましい。なお、発電運転されていないときに、判定処理において正常でないと判定された場合には、システムの次回の起動までに、遮断弁69および燃料ガス通路6の不具合をメンテナンスできる。
【0085】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実行できる。図1および図2において、燃料ガス通路6において流量計64、バッファタンク65が搭載されていないシステムでも良い。
【0086】
流量計64、バッファタンク65燃料電池は固体酸化物形燃料電池(SOFC)に限定されず、場合によっては、PEFCとも呼ばれる固体高分子形燃料電池でも良いし、リン酸形燃料電池でも良く、溶融炭酸塩形燃料電池でも良く、他のタイプの燃料電池でも良い。加熱部40は水タンク4に設けられているが、廃止されていても良い。第1ガス搬送源は第1ガスポンプ60に限らず、ファン、コンプレッサでも良く、要するに燃料ガス等の燃料ガスを搬送できれば良い。第2ガス搬送源は第2ガスポンプ71に限らず、ファン、コンプレッサでも良く、要するにカソードガスを搬送できれば良い。遮断弁69は2連弁でも1連弁でも良い。圧力センサ61の位置は上記に限定されず、脱硫器62と流量計64との間でも良いし、ガスポンプ60と脱硫器62との間でも良い。上記した実施形態は定置形の燃料電池システムに適用しているが、これに限らず、脱硫器を有しない燃料電池システムに適用しても良いし、水素ガスであるアノードガスを充填した燃料タンクをガス源として有する車両搭載型の燃料電池システムに適用しても良い。上記した記載から次の技術的思想が把握される。
【0087】
[付記項1]アノードおよびカソードを有する燃料電池と、燃料電池のカソードにカソードガスを供給するカソードガス通路と、ガス源の燃料ガスを燃料電池のアノードに供給する燃料ガス通路と、燃料ガス通路に設けられた第1ガス搬送源と、燃料ガス通路において第1ガス搬送源よりも上流に設けられた開閉可能な遮断弁と、燃料ガス通路において遮断弁および第1ガス搬送源よりも下流に設けられた開閉可能な開閉弁と、燃料ガス通路のうち遮断弁と開閉弁との間の通路部分のガス圧力に関する物理量を検知するための圧力検知要素と、圧力検知要素の検知信号が入力され且つ前記第1ガス搬送源、遮断弁および開閉弁を制御する制御部とを具備する燃料電池システムの制御方法において、遮断弁を開放させることにより、ガス源からの燃料ガスを燃料ガス通路に供給させた後、第1ガス搬送源を停止させた状態において、遮断弁の閉鎖および開閉弁の閉鎖により、燃料ガス通路のうち遮断弁と開閉弁との間の通路部分を密閉させ、その後、通路部分の燃料ガスの閉じ込めに関する基準時刻から経過する経過時間と、圧力検知要素で検知される圧力の変動とに基づいて、遮断弁の閉鎖機能、開閉弁の閉鎖機能および通路部分の気密性の正否を判定する判定処理を行う燃料電池システムの制御方法。
【0088】
[付記項2]アノードおよびカソードを有する燃料電池と、燃料電池のカソードにカソードガスを供給するカソードガス通路と、ガス源の燃料ガスを燃料電池のアノードに供給する燃料ガス通路と、前記燃料ガス通路に設けられた第1ガス搬送源と、燃料ガス通路において第1ガス搬送源よりも上流に設けられた開閉可能な遮断弁と、燃料ガス通路において遮断弁および第1ガス搬送源よりも下流に設けられた開閉可能な開閉弁と、燃料ガス通路のうち遮断弁と開閉弁との間の通路部分のガス圧力に関する物理量を検知するための圧力検知要素と、圧力検知要素の検知信号が入力され且つ第1ガス搬送源、遮断弁および開閉弁を制御する制御部とを具備する燃料電池システムにおいて、制御部は、遮断弁を開放させることにより、ガス源からの燃料ガスを燃料ガス通路に供給させた後、第1ガス搬送源を停止させた状態において、遮断弁の閉鎖および開閉弁の閉鎖により、燃料ガス通路のうち遮断弁と開閉弁との間の通路部分を密閉させ、その後、遮断弁および開閉弁のうちの双方の閉鎖に起因する通路部分における燃料ガスの閉じ込めに関する基準時刻から経過する経過時間と、圧力検知要素で検知される圧力の変動とに基づいて、遮断弁の閉鎖機能および通路部分の気密性の正否を判定する判定処理を行い、判定処理において、圧力検知要素で検知される通路部分の圧力が、基準時刻から規定時間TM2(TM2>TM1)において、規定圧力Pcよりも低下するとき、遮断弁の閉鎖機能が正常であり且つ通路部分の気密性が正常であると判定する燃料電池システム。この場合、通路部分の圧力が、基準時刻から規定時間TM2(TM2>TM1)において、規定圧力Pcよりも低下しないとき、通路部分に外気が侵入していると推定し、『遮断弁の閉鎖機能が異常であり、または、通路部分の気密性が異常である』と判定する。正常である場合には、燃料電池の温度低下と共に通路部分も冷却されて減圧化(負圧化)される。正常でない場合には、燃料電池の温度低下と共に通路部分が冷却されて燃料ガスが熱収縮しても、外気が通路部分に侵入するため、通路部分は減圧化(負圧化)されない。
【符号の説明】
【0089】
1は燃料電池、10はアノード、11はカソード、18は発電モジュール、2Aは改質器、2は蒸発部、3は改質部、4は水タンク、5は筐体、6は燃料ガス通路、60は第1ガスポンプ(第1ガス搬送源)、61は圧力センサ(圧力検知要素)、62は脱硫器、63はガス源、66は逆止弁(開閉弁)、69は遮断弁、69fは第1遮断弁、69sは第2遮断弁、70はカソードガス通路、71は第2ガスポンプ(第2ガス搬送源)、75は排ガス通路、8は給水路、100は制御部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードおよびカソードを有する燃料電池と、前記燃料電池の前記カソードにカソードガスを供給するカソードガス通路と、ガス源の燃料ガスを前記燃料電池の前記アノードに供給する燃料ガス通路と、前記燃料ガス通路に設けられた第1ガス搬送源と、前記燃料ガス通路において前記第1ガス搬送源よりも上流に設けられた開閉可能な遮断弁と、前記燃料ガス通路において前記遮断弁および前記第1ガス搬送源よりも下流に設けられた開閉可能な開閉弁と、前記燃料ガス通路のうち前記遮断弁と前記開閉弁との間の通路部分のガス圧力に関する物理量を検知するための圧力検知要素と、前記圧力検知要素の検知信号が入力され且つ前記第1ガス搬送源、前記遮断弁および前記開閉弁を直接的にまたは間接的に制御する制御部とを具備する燃料電池システムにおいて、
前記制御部は、前記遮断弁の閉鎖機能、開閉弁の閉鎖機能および前記通路部分の気密性の正否を判定する判定処理を行い、
前記判定処理において、
前記遮断弁を開放させることにより、前記ガス源からの燃料ガスを前記燃料ガス通路に供給させた後、前記第1ガス搬送源を停止させた状態において、前記遮断弁の閉鎖および前記開閉弁の閉鎖により、前記燃料ガス通路のうち前記遮断弁と前記開閉弁との間の通路部分を密閉させ、前記通路部分に燃料ガスを閉じ込め、その後、
前記第1ガス搬送源を停止させた状態において、前記遮断弁および前記開閉弁のうちの双方の閉鎖に関する基準時刻から経過する経過時間と、前記圧力検知要素で検知される圧力の変動とに基づいて、前記遮断弁の閉鎖機能および前記通路部分の気密性の正否を判定する燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1において、前記判定処理は、前記燃料電池の発電運転から停止に移行させるとき、または、発電運転の停止が継続されているときにおいて、実行される燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1または2において、前記判定処理において、前記圧力検知要素で検知される通路部分の圧力が、前記基準時刻から規定時間TM1以内に、規定圧力Pbよりも低下するとき、前記制御部は、前記開閉弁の閉鎖機能が異常、または、前記通路部分の気密性が異常であると判定する燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1または2において、前記燃料電池は発電運転に伴い常温領域よりも昇温され、前記判定処理において、前記圧力検知要素で検知される前記通路部分の圧力が、前記基準時刻から規定時間TM2において、規定圧力Pcよりも低下するとき、前記遮断弁の閉鎖機能が正常であり且つ前記通路部分の気密性が正常であると判定する燃料電池システム。
【請求項5】
請求項1〜4のうちの一項において、前記遮断弁は、前記燃料ガス通路において直列に隣設された上流側の第1遮断弁および下流側の第2遮断弁で形成されており、
前記制御部は、
前記遮断弁の前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁、前記開閉弁を開放させ、前記ガス源からの燃料ガスを前記燃料ガス通路に供給させている状態のとき、前記遮断弁のうち前記第1遮断弁および前記第2遮断弁のいずれか一方の遮断弁の閉鎖、並びに、前記開閉弁の閉鎖により、前記燃料ガス通路のうち前記一方の遮断弁と前記開閉弁との間の通路部分を密閉させ、前記通路部分に燃料ガスを閉じ込め、その後、
前記基準時刻から経過する経過時間と、前記圧力検知要素で検知される圧力の変動とに基づいて、前記一方の遮断弁の閉鎖機能、開閉弁の閉鎖機能および前記通路部分の気密性の正否を判定する第1判定処理を実行し、更に、
前記遮断弁の前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁を開放させ、前記ガス源からの燃料ガスを前記燃料ガス通路に供給させている状態のとき、前記遮断弁のうち前記第1遮断弁および前記第2遮断弁のいずれか他方の遮断弁の閉鎖、並びに、前記開閉弁の閉鎖により、前記燃料ガス通路のうち前記他方の遮断弁と前記開閉弁との間の通路部分を密閉させ、前記通路部分に燃料ガスを閉じ込め、その後、
前記基準時刻から経過する経過時間と、前記圧力検知要素で検知される前記通路部分の圧力の変動とに基づいて、前記他方の遮断弁の閉鎖機能、開閉弁の閉鎖機能および前記通路部分の気密性の正否を判定する第2判定処理を実行する燃料電池システム。
【請求項6】
請求項1〜5のうちの一項において、前記開閉弁が閉鎖しており、前記第1ガス搬送源が停止して前記燃料電池が発電していない起動前において、前記制御部は前記判定処理を実行する燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−114850(P2013−114850A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258980(P2011−258980)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】