説明

燃焼器

【課題】低負荷時の燃焼安定性と高負荷時のカーボン・スモークの低減とを両立させることができる燃焼器の提供。
【解決手段】燃焼器3において、ライナ12の長さ方向他方側の端部の位置を燃料供給ノズル11が設けられた位置に対して固定して、ライナ12を長さ方向一方側に熱伸び自在とさせるハウジングと、上記長さ方向一方側でライナ12に固定され、燃料供給ノズル11と長さ方向でスライド自在に嵌合すると共に、一端部21が外部に開口して他端部22が燃料供給ノズル11と上記嵌合する内周面20aに開口する第1の流路23が形成されているスリーブ20と、を有し、燃料供給ノズル11には、一端部31がスリーブ20と上記嵌合する外周面11aに開口して他端部32が燃焼領域13に開口する第2の流路33が形成されているという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンの燃焼器は、燃焼領域を形成するライナと、ライナの長さ方向一方側から燃料を燃焼領域内に供給する燃料供給ノズルと、ライナの長さ方向一方側からライナの外部を流通する燃焼用空気(圧縮空気)を燃焼領域内に導入する燃焼用空気導入部(空気孔、スワラ等)と、を有しており、燃料供給ノズルを介して供給される燃料と燃焼用空気導入部から導入された圧縮空気との混合気体を、ライナによって形成される燃焼領域内において燃焼させ、その燃焼ガスをライナの長さ方向他方側からタービンに供給する構成となっている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−61725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような燃焼器においては、カーボン・スモーク対策が課題となっている。カーボン・スモーク対策には、高負荷時に少量の空気を燃料供給ノズル部分で混入させることが効果的であることが知られているが、一方で、低負荷時には燃料供給ノズル部分で混入される空気量が多いと燃焼安定性が低下してしまう。
空気孔やスワラ等の開口の大きさは、負荷が変動してもほとんど変化しないため、上記高負荷時に対応できない。また、空気孔やスワラ等の開口の大きさを負荷に応じて可変に制御する機構を採用することも考えられるが、燃焼ガスからの熱の影響を受けてしまう部位であるため、熱対策をしないと当該機構の導入は難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、低負荷時の燃焼安定性と高負荷時のカーボン・スモークの低減とを両立させることができる燃焼器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、燃焼領域を形成するライナと、上記ライナの長さ方向一方側から燃料を上記燃焼領域内に供給する燃料供給ノズルと、上記ライナの長さ方向一方側から上記ライナの外部を流通する燃焼用空気を上記燃焼領域内に導入する燃焼用空気導入部と、を有する燃焼器であって、上記ライナの長さ方向他方側の端部の位置を上記燃料供給ノズルが設けられた位置に対して固定して、上記ライナを上記長さ方向一方側に熱伸び自在とさせる固定部と、上記長さ方向一方側で上記ライナに固定され、上記燃料供給ノズルと上記長さ方向でスライド自在に嵌合すると共に、一端部が上記外部に開口して他端部が上記燃料供給ノズルと上記嵌合する面に開口する第1の流路が形成されているスリーブと、を有し、上記燃料供給ノズルには、一端部が上記スリーブと上記嵌合する面に開口して他端部が上記燃焼領域に開口する第2の流路が形成されているという構成を採用する。
【0007】
この構成を採用することによって、本発明では、負荷(温度)よって変動するライナの長さ方向における熱伸び量を利用して、燃料供給ノズル部分での燃焼用空気の混入量を調整することができる。すなわち、ライナの長さ方向他方側の端部の位置を燃料供給ノズルが設けられた位置に対して固定すると、ライナは負荷に応じて長さ方向一方側に熱伸びする。ライナが長さ方向一方側に熱伸びすると、該長さ方向一方側でライナに固定されたスリーブが、燃料供給ノズルに対し相対移動する。当該相対移動により、スリーブと燃料供給ノズルとが嵌合する面において、スリーブに形成された第1の流路の他端部と燃料供給ノズルに形成された第2の流路の一端部とが連通すると、ライナの外部を流通する燃焼用空気が、第1の流路及び第2の流路を介して燃料供給ノズル部分から燃焼領域に供給される。このため、本発明では、負荷に応じて燃焼用空気を燃料供給ノズル部分で混入させることが可能となる。
【0008】
また、本発明においては、上記第1の流路の他端部と上記第2の流路の一端部とは、上記ライナの長さ方向における熱伸び量が、特定の閾値未満のときに非連通とされ、上記特定の閾値以上のときに連通とされる相対位置関係を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、負荷(温度)が特定の閾値未満のときには、第1の流路の他端部と第2の流路の一端部との間を非連通とさせて、燃焼用空気を燃料供給ノズル部分で混入させないように制御し、低負荷時の燃焼安定性を確保する。一方で、負荷(温度)が特定の閾値以上のときには、第1の流路の他端部と第2の流路の一端部との間を連通させて、燃焼用空気を燃料供給ノズル部分で混入させるように制御し、高負荷時のカーボン・スモークを低減させる。
【0009】
また、本発明においては、上記第1の流路の他端部と上記第2の流路の一端部との少なくともいずれか一方は、上記嵌合する面にリング状に開口しているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、ライナの熱伸びによって、その長さ方向に延びる軸周りにスリーブと燃料供給ノズルとの相対位置が変動してしまった場合であっても、第1の流路の他端部と第2の流路の一端部とが連通するべき位置関係で非連通となることを防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、燃焼領域を形成するライナと、上記ライナの長さ方向一方側から燃料を上記燃焼領域内に供給する燃料供給ノズルと、上記ライナの長さ方向一方側から上記ライナの外部を流通する燃焼用空気を上記燃焼領域内に導入する燃焼用空気導入部と、を有する燃焼器であって、上記ライナの長さ方向他方側の端部の位置を上記燃料供給ノズルが設けられた位置に対して固定して、上記ライナを上記長さ方向一方側に熱伸び自在とさせる固定部と、上記長さ方向一方側で上記ライナに固定され、上記燃料供給ノズルと上記長さ方向でスライド自在に嵌合すると共に、一端部が上記外部に開口して他端部が上記燃料供給ノズルと上記嵌合する面に開口する第1の流路が形成されているスリーブと、を有し、上記燃料供給ノズルには、一端部が上記スリーブと上記嵌合する面に開口して他端部が上記燃焼領域に開口する第2の流路が形成されているという構成を採用することによって、負荷(温度)よって変動するライナの長さ方向における熱伸び量を利用して、燃料供給ノズル部分での燃焼用空気の混入量を調整することができる。
したがって、本発明では、低負荷時の燃焼安定性と高負荷時のカーボン・スモークの低減とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態におけるガスタービンの構成図である。
【図2】本発明の実施形態における燃焼器の構成図である。
【図3】本発明の実施形態における低負荷時の燃料供給ノズルとスリーブとの嵌合状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態における高負荷時の燃料供給ノズルとスリーブとの嵌合状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態における燃料供給ノズルとスリーブとの嵌合状態を示す部分断面斜視図である。
【図6】本発明の別実施形態における低負荷時の燃料供給ノズルとスリーブとの嵌合状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるガスタービン1の構成図である。
図1に示すように、ガスタービン1は、圧縮機2と、燃焼器3と、タービン4とを有する。圧縮機2は、吸気口5から吸気した外気を、タービン軸6に固定され回転自在な圧縮機動翼7とハウジング8に固定された圧縮機静翼9との間で圧縮して昇圧させて、燃焼器3が配置された圧縮空気室10に供給する構成となっている。燃焼器3は、燃料供給ノズル11を介して供給される燃料と圧縮機2から供給された圧縮空気(燃焼用空気)との混合気体を、ライナ12によって形成される燃焼領域13内において燃焼させ、その燃焼ガスをタービン4に供給する構成となっている。タービン4は、タービン軸6に固定され回転自在なタービン動翼14と、ハウジング8に固定されたタービン静翼15とで燃焼器3から供給される燃焼ガスから回転運動エネルギーを得て、各タービン翼を通過した燃焼ガスを、排気口16を介して外部に排気する構成となっている。
【0013】
図2は、本発明の実施形態における燃焼器3の構成図である。
図2に示すように、圧縮空気室10は、ハウジング8により外郭が構成されている。燃焼器3は、圧縮空気室10内に設置されている。燃焼器3は、圧縮空気室10における圧縮空気の流動方向(図2において紙面左右方向)に延在すると共に、圧縮空気室10の環状空間に沿って、略環状を呈する、所謂アニュラー(環)型のライナ12を有する。ライナ12は、耐熱性を備えると共に所定の線膨張係数を有する金属材(本実施形態では、ハステロイ(商標))から形成されている。なお、本実施形態のライナ12には、その外周部から燃焼領域13に冷却用の圧縮空気を導き入れる不図示のフィルム冷却孔が複数形成されている。
【0014】
ライナ12の圧縮機2から圧縮空気が供給される側(ライナ12の長さ方向(本実施形態のタービン軸6の軸方向と同一方向)における一方側)には、燃料供給ノズル11が設けられている。燃料供給ノズル11の周りには、スワラ(燃焼用空気導入部)18が設けられている。スワラ18は、圧縮機2から供給された圧縮空気を、燃料供給ノズル11近傍から燃焼領域13に導き入れて、混合ガスを生成する構成となっている。
【0015】
ライナ12の長さ方向他方側の端部12aは、ハウジング(固定部)8にリジッドに固定されている。ハウジング8は、ライナ12の長さ方向他方側の端部12aの位置を燃料供給ノズル11が設けられた位置に対して固定して、ライナ12をその長さ方向一方側において熱伸び自在に支持する構成となっている。そして、このライナ12の長さ方向一方側には、スリーブ20が、ライナ12と一体的に固定されている。スリーブ20は、燃料供給ノズル11と、ライナ12の長さ方向(図2において紙面左右方向)においてスライド自在に嵌合する構成となっている。
【0016】
図3は、本発明の実施形態における低負荷時の燃料供給ノズル11とスリーブ20との嵌合状態を示す断面図である。図4は、本発明の実施形態における高負荷時の燃料供給ノズル11とスリーブ20との嵌合状態を示す断面図である。図5は、本発明の実施形態における燃料供給ノズル11とスリーブ20との嵌合状態を示す部分断面斜視図である。
【0017】
スリーブ20は、略円筒形状を有している。スリーブ20には、図3及び図4に示すように、一端部21が圧縮空気室10に開口して、他端部22が燃料供給ノズル11と嵌合する内周面20aに開口する第1の流路23が形成されている。図5に示すように、第1の流路23の一端部21は、圧縮空気室10側に露出する環状の面20bからその軸心方向に直線的に形成された複数の孔部から構成されている。一方、第1の流路23の他端部22は、一端部21の各孔部と連通して、内周面20aにその周方向に沿ってリング状に開口する溝部から構成されている。
【0018】
燃料供給ノズル11は、略円柱形状を有している。燃料供給ノズル11の中央部には、燃料を燃焼領域13に噴射する噴射口30が形成されている。図3及び図4に示すように、燃料供給ノズル11には、一端部31がスリーブ20と嵌合する外周面11aに開口して、他端部32が燃焼領域13に開口する第2の流路33が形成されている。図5に示すように、第2の流路33の一端部31は、外周面11aにその周方向において間隔をあけて形成された複数の孔部から構成されている。一方、第2の流路33の他端部32は、一端部31の各孔部と連通して、噴射面11bにリング状に形成される溝部から構成されている。他端部32は、噴射口30の周りにリング状に開口している。
【0019】
図3に示すように、低負荷時(低温時)においては、第1の流路23の他端部22と第2の流路33とは、互いに非連通の相対位置関係を有する。より詳しくは、低負荷時において、第1の流路23の他端部22の開口は、第2の流路33の一端部31の開口に対し、ライナ12の長さ方向他方側(図3において紙面右側)に位置する相対位置関係を有する。このとき、第1の流路23の他端部22の開口は、燃料供給ノズル11の外周面11aにより閉塞される。また、第2の流路33の一端部31の開口は、スリーブ20の内周面20aにより閉塞される。
一方、図4に示すように、高負荷時(高温時)においては、第1の流路23の他端部22と第2の流路33とは、互いに連通する相対位置関係を有する。より詳しくは、高負荷時において、第1の流路23の他端部22の開口と、第2の流路33の一端部31の開口とが、互いに対向する相対位置関係を有する。
【0020】
続いて、上記構成の燃焼器3の作用効果について説明する。
図2に示すように、ライナ12外側を流動する圧縮空気は、燃焼器3の内外の差圧によりスワラ18から燃焼領域13に導入される。スワラ18は、圧縮機2から供給された圧縮空気を、燃料供給ノズル11近傍から燃焼領域13に導き入れて、燃料供給ノズル11から噴射される燃料と混合させる。そして、この混合ガスは、不図示の点火線による点火で燃焼ガスとなり、ライナ12の長さ方向一方側から他方側に向かって流動し、タービン4に供給される。
【0021】
低負荷時(低温時)においては、図3に示すように、第1の流路23の他端部22と第2の流路33とは、互いに非連通の相対位置関係を有する。このとき、第1の流路23の他端部22の開口は、燃料供給ノズル11の外周面11aにより閉塞されため、一端部21から導入される圧縮空気の流れを塞き止めることができる。このため、低負荷時の燃焼安定性を確保することができる。
【0022】
時間の経過と共に負荷(温度)が徐々に高まると、負荷に応じてライナ12が徐々に熱伸びする。ライナ12の長さ方向他方側の端部12aは、図2に示すように、ハウジング8にリジッドに固定されているため、ライナ12は長さ方向一方側に熱伸びする。ライナ12が長さ方向一方側に熱伸びすると、該長さ方向一方側でライナ12に固定されたスリーブ20が、燃料供給ノズル11に対し該長さ方向一方側(図3において紙面左側)に相対移動する。
【0023】
スリーブ20が、燃料供給ノズル11に対し相対移動すると、低負荷時に燃料供給ノズル11の外周面11aにより閉塞されていた第1の流路23の他端部22の開口が、外周面11aに開口する第2の流路33の一端部31が形成された位置に向かって徐々に移動し、高負荷時には、図4に示すように、第1の流路23の他端部22と第2の流路33とが、互いに連通する相対位置関係を有することとなる。
【0024】
なお、ライナ12の熱伸びによって、その長さ方向に延びる軸周りにスリーブ20と燃料供給ノズル11との相対位置が変動してしまった場合であっても、第1の流路23の他端部22は、スリーブ20の内周面20aにリング状に開口しているため、第1の流路23の他端部22と第2の流路33の一端部31とが連通するべき位置関係で非連通となることを防止することができる。
【0025】
当該相対移動により、スリーブ20と燃料供給ノズル11とが嵌合する面において、スリーブ20に形成された第1の流路23の他端部22と燃料供給ノズル11に形成された第2の流路33の一端部31とが連通すると、ライナ12の外部を流通する圧縮空気が、燃焼器3の内外の差圧により第1の流路23及び第2の流路33を介して燃料供給ノズル11の噴射口30の周りから燃焼領域13に少量供給される。この燃料供給ノズル11部分で混入される圧縮空気は、酸化剤として機能するため、高負荷時に発生するカーボン・スモークを低減させることができる。
【0026】
したがって、上述の本実施形態によれば、燃焼領域13を形成するライナ12と、ライナ12の長さ方向一方側から燃料を燃焼領域13内に供給する燃料供給ノズル11と、ライナ12の長さ方向一方側からライナ12の外部を流通する圧縮空気を燃焼領域13内に導入するスワラ18と、を有する燃焼器3であって、ライナ12の長さ方向他方側の端部12aの位置を燃料供給ノズル11が設けられた位置に対して固定して、ライナ12を長さ方向一方側に熱伸び自在とさせるハウジング8と、上記長さ方向一方側でライナ12に固定され、燃料供給ノズル11と長さ方向でスライド自在に嵌合すると共に、一端部21が上記外部に開口して他端部22が燃料供給ノズル11と上記嵌合する内周面20aに開口する第1の流路23が形成されているスリーブ20と、を有し、燃料供給ノズル11には、一端部31がスリーブ20と上記嵌合する外周面11aに開口して他端部32が燃焼領域13に開口する第2の流路33が形成されているという構成を採用することによって、負荷(温度)よって変動するライナ12の長さ方向における熱伸び量を利用して、燃料供給ノズル11部分での圧縮空気の混入量を調整することができる。
したがって、本実施形態では、低負荷時の燃焼安定性と高負荷時のカーボン・スモークの低減とを両立させることができる。
【0027】
なお、上述の実施形態では、ライナ12が、一般的な長さ150〜250mmに対して、2mm程度熱伸びするため、図3に示すように、第1の流路23の他端部22と第2の流路33の一端部31との初期位置を近接配置しているが、ライナ12の材質を熱伸びし易い材質に変更する、あるいは、ライナ12の長さを長くすれば、熱伸び量を大きくすることができるため、図6に示すように、第1の流路23の他端部22と第2の流路33の一端部31との初期位置を距離Sだけ離して配置することができる。ライナ12の熱伸び量は負荷(温度)に比例するため、距離Sを調整することで、第1の流路23の他端部22と第2の流路33の一端部31とが連通するタイミングを任意に設定することができる。例えば、負荷が特定の閾値未満(例えば500℃未満)のときには、第1の流路23の他端部22と第2の流路33の一端部31との間を非連通とさせて、圧縮空気を燃料供給ノズル11部分で混入させないようし、一方で、負荷が特定の閾値以上(例えば500℃以上)のときには、第1の流路23の他端部22と第2の流路33の一端部31との間を連通させて、圧縮空気を燃料供給ノズル11部分で混入させるように制御することができる。この構成によれば、低負荷時の燃焼安定性をより確実に確保できる。
また、ライナ12の一部を、形状記憶合金から構成することで、第1の流路23の他端部22と第2の流路33の一端部31とが連通するタイミングを任意に設定する構成であってもよい。
【0028】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0029】
例えば、上記実施形態では、第1の流路23の他端部22は、内周面20aにその周方向に沿ってリング状に開口すると説明したが、第2の流路33の一端部31が、外周面11aにその周方向に沿ってリング状に開口する構成であってもよい。この構成によれば、上述のように第1の流路23の他端部22と第2の流路33の一端部31とが連通するべき位置関係で非連通となることを防止することができる。
【0030】
また、例えば、上記実施形態では、アニュラー(環)型の燃焼器について本発明を適用して説明したが、キャン(缶)型の燃焼器について本発明を適用してもよい。
【0031】
また、例えば、上記実施形態では、本発明を航空機用のガスタービンエンジンの燃焼器に適用して説明したが、本発明を発電用のガスタービンの燃焼器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0032】
3…燃焼器、8…ハウジング(固定部)、11…燃料供給ノズル、11a…外周面(スリーブと嵌合する面)、12…ライナ、12a…端部、13…燃焼領域、18…スワラ(燃焼用空気導入部)、20…スリーブ、20a…内周面(燃料供給ノズルと嵌合する面)、21…一端部、22…他端部、23…第1の流路、31…一端部、32…他端部、33…第2の流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼領域を形成するライナと、前記ライナの長さ方向一方側から燃料を前記燃焼領域内に供給する燃料供給ノズルと、前記ライナの長さ方向一方側から前記ライナの外部を流通する燃焼用空気を前記燃焼領域内に導入する燃焼用空気導入部と、を有する燃焼器であって、
前記ライナの長さ方向他方側の端部の位置を前記燃料供給ノズルが設けられた位置に対して固定して、前記ライナを前記長さ方向一方側に熱伸び自在とさせる固定部と、
前記長さ方向一方側で前記ライナに固定され、前記燃料供給ノズルと前記長さ方向でスライド自在に嵌合すると共に、一端部が前記外部に開口して他端部が前記燃料供給ノズルと前記嵌合する面に開口する第1の流路が形成されているスリーブと、を有し、
前記燃料供給ノズルには、一端部が前記スリーブと前記嵌合する面に開口して他端部が前記燃焼領域に開口する第2の流路が形成されていることを特徴とする燃焼器。
【請求項2】
前記第1の流路の他端部と前記第2の流路の一端部とは、前記ライナの長さ方向における熱伸び量が、特定の閾値未満のときに非連通とされ、前記特定の閾値以上のときに連通とされる相対位置関係を有することを特徴とする請求項1に記載の燃焼器。
【請求項3】
前記第1の流路の他端部と前記第2の流路の一端部との少なくともいずれか一方は、前記嵌合する面にリング状に開口していることを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−32022(P2012−32022A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169312(P2010−169312)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)