説明

燃焼装置

【課題】赤熱筒の変形や取り付け部分全体の変形を防止する燃焼装置を提供する。
【解決手段】
燃焼ガスが流れる集熱部4内に設けた仕切り板9に赤熱筒3の上面に設けた仕切り板蓋10を取り付け、前記仕切り板の略中央には円形状で底面が平坦な凹部11を形成すると共に、仕切り板蓋10の略中央に円形状で底面が平坦な凹部12を形成し、前記仕切り板の凹部11と仕切り板蓋10の凹部12により断熱部17を形成したので、仕切り板9と仕切り板蓋10の両凹部11,12が燃焼ガスにより過熱されないので温度むらが小さくなり、温度むらによる赤熱筒3自体の変形や、赤熱筒3の取り付け部分全体の変形を防止できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油等の燃料を燃焼させて暖房を行う暖房機などに用いられる燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種のものに於いては、図3及び図4に示すように燃油及び燃焼空気の供給を受けてバーナ部1で燃焼が行われ、この燃焼で発生した燃焼ガスは、燃焼室2で完全燃焼しながら赤熱筒3を加熱して赤熱状態とした後、集熱部4を介して熱交換器5内を流通して屋外へ排出され、そして送風ファン6を駆動させることで、吸引口(図示せず)から吸引された室内空気が熱交換器5外周を通り熱交換で温風となって室内に放出されると共に、赤熱状態の赤熱筒3より輻射熱が透明の燃焼筒7を通し輻射室(図示せず)の反射板(図示せず)で燃焼装置8の前方に反射され、輻射暖房を行うものであった。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−289513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、赤熱筒3と集熱部4との接続は図2に示すように、集熱部4内に設けた断面略コの字状の仕切り板9の下面に、赤熱筒3の上面に設けた略円板状の仕切り板蓋10の上面を密着させて取り付けるが、この際赤熱筒3と集熱部4との位置を決めるために仕切り板9と仕切り板蓋10との略中央に断面略半円状の小さい凹部11,12を形成し、お互いの凹部11,12が重なることで赤熱筒3と集熱部4との位置を決めていた。
【0005】
しかし、この構造では赤熱筒3内を上昇してくる高温の燃焼ガスが仕切り板蓋10の凹部12に集中して仕切り板蓋10の凹部12が高温になり、それにより仕切り板蓋10の凹部12と密着している仕切り板9の凹部11も高温になり、又、集熱部4内を仕切り板9により区切ることで集熱部4内に燃焼ガスの略コの字状の燃焼ガス流路を形成しているが、温度が低下した燃焼ガスが仕切り板9の上面を流れていくものの仕切り板9の凹部11にほとんど触れないため、温度が低下した燃焼ガスにより仕切り板9の凹部11を冷却することがなく、それにより仕切り板9と仕切り板蓋10の両凹部11,12が過熱されて腐食してしまうという問題があった。
【0006】
又、仕切り板9と仕切り板蓋10の両凹部11,12が他の部分に比べて過熱されることで温度むらが生じ、それにより赤熱筒3自体が変形したり、赤熱筒3の取り付け部分全体が変形して赤熱筒3を取り外して交換することができなくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を請求項1では、燃焼を行うバーナ部と、この燃焼で発生した燃焼ガスにより過熱される赤熱筒と、該赤熱筒を内設しバーナ部と燃焼ガスが流れる集熱部とに接続されて燃焼室を形成する透明な燃焼筒と、集熱部を通過した燃焼ガスと送風ファンにより吸引された室内空気と熱交換を行う熱交換器を備え、前記集熱部内に設けた仕切り板に赤熱筒の上面に設けた仕切り板蓋を取り付けた燃焼装置に於いて、前記仕切り板の略中央には円形状で底面が平坦な凹部を形成すると共に、仕切り板蓋の略中央に円形状で底面が平坦な凹部を形成し、前記仕切り板の凹部と仕切り板蓋の凹部により断熱部を形成したものである。
【0008】
又請求項2に係る燃焼装置では、特にその構成を請求項1に於いて、前記断熱部内に断熱材を設けると共に、仕切り板蓋の凹部の略中央に孔部を形成したものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の請求項1によれば、燃焼を行うバーナ部と、この燃焼で発生した燃焼ガスにより過熱される赤熱筒と、該赤熱筒を内設しバーナ部と燃焼ガスが流れる集熱部とに接続されて燃焼室を形成する透明な燃焼筒と、集熱部を通過した燃焼ガスと送風ファンにより吸引された室内空気と熱交換を行う熱交換器を備え、前記集熱部内に設けた仕切り板に赤熱筒の上面に設けた仕切り板蓋を取り付けた燃焼装置に於いて、前記仕切り板の略中央には円形状で底面が平坦な凹部を形成すると共に、仕切り板蓋の略中央に円形状で底面が平坦な凹部を形成し、前記仕切り板の凹部と仕切り板蓋の凹部により断熱部を形成したので、仕切り板の凹部と仕切り板蓋の凹部とが組み合うことで赤熱筒と集熱部との位置決めが容易に出来つつ、断熱部により仕切り板蓋と仕切り板が燃焼ガスにより過熱されるのを防止することで、仕切り板と仕切り板蓋の両凹部が過熱されて腐食してしまうのを防止できるものである。
【0010】
又、仕切り板と仕切り板蓋の両凹部が過熱されないので温度むらが小さくなり、温度むらによる赤熱筒自体の変形や、赤熱筒の取り付け部分全体の変形を防止できるものである。
【0011】
又、本発明の請求項2に記載の燃焼装置によれば、前記断熱部内に断熱材を設けると共に、仕切り板蓋の凹部の略中央に孔部を形成したので、燃焼ガスが直接仕切り板蓋に接触しないので仕切り板蓋が過熱されず、又 断熱材は耐熱温度が高く断熱性も高いので、この断熱材8と接する仕切り板の凹部も従来に比べて温度が低くなり、断熱部により仕切り板蓋と仕切り板が燃焼ガスにより過熱されるのを防止することで、仕切り板と仕切り板蓋の両凹部が過熱されて腐食してしまうのを防止できるものである。
【0012】
又、仕切り板と仕切り板蓋の両凹部が過熱されないので温度むらが小さくなり、温度むらによる赤熱筒自体の変形や、赤熱筒の取り付け部分全体の変形を防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態を示す燃焼装置の要部概略図。
【図2】従来の燃焼装置の要部概略図。
【図3】同分解斜視図。
【図4】同一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る発明の1実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、前述の従来例と同じ番号が付されているものは同じ機能を有するので、説明を省略する。
1は燃焼装置8内の下部に備えられた気化式のバーナ部で、燃焼ファン13によって屋外から吸引された燃焼空気と、燃料供給手段14から供給される燃油とを予混合して燃焼させるものである。
【0015】
7はバーナ部1と集熱部4との間を密閉空間として連通する耐熱性の透明ガラス円筒から成る燃焼筒で、内方には燃焼ガスで加熱され赤熱状態となる赤熱筒3が集熱部4から垂下し、バーナ部1の燃焼室2を構成するものであり、この燃焼筒7とバーナ部1及び集熱部4との接続は、燃焼筒7とバーナ部1及び燃焼筒7と集熱部4との接続部分に耐熱性で柔軟なパッキン15を収納し、ここに燃焼筒7の端部を埋設することで容易に密閉構造を得ることが出来るものである。
【0016】
5は上記集熱部4と連通し、燃焼ガスを流通させて室内空気との熱交換を行わせる熱交換器で、複数本のパイプ16を並設して構成されている。
6は熱交換器5上方に備えられたクロスフローファンから成る温風ファンで、燃焼装置8背面上部の吸引口(図示せず)から吸引した室内空気を、熱交換器5及び燃焼筒7外周を流通させて熱交換で温風として、室内に放出させるものである。
【0017】
9は集熱部4内に設けた断面略コの字状の仕切り板で、集熱部4内に燃焼ガスの略コの字状の燃焼ガス流路を形成し、その略中央には円形状で底面が平坦な凹部11を形成するものである。
10は赤熱筒3が取り付けられ上面が仕切り板9に密着して取り付けられる仕切り板蓋で、その略中央には円形状で底面が平坦な凹部12が形成され、仕切り板9に密着して取り付けられることにより、この仕切り板蓋10の凹部12の上部を仕切り板9の凹部11が塞いで断熱部17が形成され、該断熱部17には円盤状でセラミックからなる断熱材18が挿入されているものである。
又仕切り板蓋10の凹部12の略中央には孔部19が形成され、赤熱筒3内を上昇してきた高温の燃焼ガスが直接断熱材18に接触するものである。
【0018】
前記仕切り板蓋10の凹部12の内径は、仕切り板9の凹部11の外径と略同寸法で、仕切り板9の凹部11の底面が断熱材18の上面と密着し、又断熱材18の直径は、仕切り板蓋10の凹部12の内径と略同寸法で、円盤状の断熱材18の円周部分が 仕切り板蓋10の凹部12の側面と密着し、又仕切り板蓋10の凹部12の底面が断熱材18の下面と密着するように設けられているものである。
【0019】
次に燃焼時の燃焼ガスの流れについて説明する。
燃焼により発生した燃焼ガスは、バーナ部1から赤熱筒3内と赤熱筒3と燃焼筒7との間を上昇し、赤熱筒3内を上昇した燃焼ガスは仕切り板蓋10の凹部12の孔部19で断熱材18に接触して流れる方向を変えて、集熱部4に流れていく。
【0020】
この時、燃焼ガスは直接仕切り板蓋10に接触しないので仕切り板蓋10が過熱されず、又 断熱材18は耐熱温度が1300℃で断熱性も高いので、この断熱材18と接する仕切り板9の凹部11も従来に比べて温度が低くなるものである。
【0021】
又、仕切り板9の凹部11を円形状で底面が平坦な形状に形成したことにより、温度が下がった燃焼ガスが集熱部4内の仕切り板9上面を通過する際、仕切り板9の凹部11に接触して仕切り板9の凹部11を冷却するものである。
【0022】
これにより従来に比べて仕切り板9と仕切り板蓋10の両凹部11,12が過熱されないので、仕切り板9と仕切り板蓋10の両凹部11,12が過熱されて腐食してしまうのを防止できるものである。
【0023】
又、従来に比べて仕切り板9と仕切り板蓋10の両凹部11,12が過熱されないので温度むらが小さくなり、温度むらによる赤熱筒3自体の変形や、赤熱筒3の取り付け部分全体の変形を防止できるものである。
【0024】
尚、本実施例では断熱部17内に円盤状でセラミックからなる断熱材18を設けたがこれに限定されず、中空状態であっても従来に比べて仕切り板9と仕切り板蓋10の両凹部11,12が過熱されず、仕切り板9と仕切り板蓋10の両凹部11,12が過熱されて腐食してしまうのを防止でき、又、従来に比べて仕切り板9と仕切り板蓋10の両凹部11,12が過熱されないので温度むらが小さくなり、温度むらによる赤熱筒3自体の変形や、赤熱筒3の取り付け部分全体の変形を防止できるものである。
【符号の説明】
【0025】
1 バーナ部
2 燃焼室
3 赤熱筒
4 集熱部
5 熱交換器
6 送風ファン
7 燃焼筒
9 仕切り板
10 仕切り板蓋
11 凹部
12 凹部
17 断熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼を行うバーナ部と、この燃焼で発生した燃焼ガスにより過熱される赤熱筒と、該赤熱筒を内設しバーナ部と燃焼ガスが流れる集熱部とに接続されて燃焼室を形成する透明な燃焼筒と、集熱部を通過した燃焼ガスと送風ファンにより吸引された室内空気と熱交換を行う熱交換器を備え、前記集熱部内に設けた仕切り板に赤熱筒の上面に設けた仕切り板蓋を取り付けた燃焼装置に於いて、前記仕切り板の略中央には円形状で底面が平坦な凹部を形成すると共に、仕切り板蓋の略中央に円形状で底面が平坦な凹部を形成し、前記仕切り板の凹部と仕切り板蓋の凹部により断熱部を形成したことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記断熱部内に断熱材を設けると共に、仕切り板蓋の凹部の略中央に孔部を形成したことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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