説明

物品搬送装置

【課題】低コストの簡易な制御手段であっても制御できるように制御条件を簡素化することができる物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】複数台のトラバーサ4a,4b,4cが一列で走行するレール51と、それに並設された、複数台のトラバーサ4d,4e,4fが一列で走行するレール52と、トラバーサ4a〜4fの各レールにおける移動を制御する台車PLC24とを有する。レール51のトラバーサ4a,4b,4cは、台車間移載を行うレール52のトラバーサ4d,4e,4fがそれぞれ定められている。台車PLC24は、トラバーサ4b、4eが並列可能な重複領域Yについて、トラバーサ4bの隣のトラバーサ4a,4cと、トラバーサ4eの隣のトラバーサ4d,4fとは移動不可範囲として移動の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品移載箇所が設置される走行路を一列で走行する複数の物品搬送台車が、搬送元の物品移載箇所から搬送先の物品移載箇所に物品を移載する物品搬送装置に係り、特に、複数の走行路を有する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品搬送装置は、複数台の物品搬送台車が同一の軌道上を一列で走行するようになっており、各物品搬送台車を用いて物品を搬送元の各物品移載箇所から搬送先の物品移載箇所に搬送する際に、制御手段は、複数台の物品搬送台車のうち、待機中のものや近くの位置にあるもの等の所定の条件により、最適な物品搬送台車を選択するようになっている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4232112号公報
【特許文献2】特許第4329035号公報
【特許文献3】特許第4329034号公報
【特許文献4】特許第4089154号公報
【特許文献5】特許第2857836号公報
【特許文献6】特開2007−119145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜6に記載の物品搬送装置にあっては、一つの軌道しか備えていなかったので、搬送する物品が多くなって処理能力以上の物品が搬送されてくると物品移載箇所で物品が滞ってしまうことがある。このため、処理能力を上げるために、同一軌道上で物品搬送台車を増やすことが考えられるが、この同一軌道上の物品搬送台車の台数増加には限界があり、また、各物品搬送台車を制御している制御手段も台数増加に応じて複雑化する。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、処理能力をより高めつつ、簡易な制御が可能な物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の物品搬送装置は、
複数の物品搬送台車が一列で走行する並設された第1および第2の走行路と、前記物品搬送台車の各走行路における移動を制御する制御手段とを有する物品搬送装置であって、
前記制御手段は、前記第1および第2の走行路の外側に物品を移載する外側移載の際に、各走行路上の前記物品搬送台車ごとに定められた物品移載箇所への前記物品搬送台車の移動をそれぞれ制御するとともに、前記第1の走行路の物品搬送台車と、前記第2の走行路の物品搬送台車間で物品を移載する台車間移載の際に双方の物品搬送台車が並列する位置への双方の物品搬送台車の移動をそれぞれ制御し、
前記第1の走行路の各物品搬送台車と、前記第2の走行路の物品搬送台車とは、各走行路上の前記物品搬送台車ごとに定められた物品移載箇所を含む領域ごとに各走行路上の移動可能範囲が定められ、
前記第1の走行路の各物品搬送台車は、前記台車間移載を行う、1または複数の前記第2の走行路の物品搬送台車がそれぞれ定められており、当該台車間移載を行う物品搬送台車の前記移動可能範囲は、前記第1の走行路と前記第2の走行路とで当該物品搬送台車が並列可能な重複領域を含んでおり、当該重複領域は、当該台車間移載を行う双方の物品搬送台車の各走行路上の隣接する物品搬送台車は移動不可範囲として定められていることを特徴としている。
この特徴によれば、第1の走行路の各物品搬送台車は、制御手段により移動が制御されて、第1の走行路の定められた物品移載箇所まで移動して物品を移載し、物品を移載した第1の走行路の物品搬送台車とそれに対応する第2の走行路の物品搬送台車とは、制御手段により移動が制御されて、前記台車間移載を行うことができる適切な並列する位置までそれぞれ移動する。その際に、双方の物品搬送台車が並列する位置は、前記第1の走行路と前記第2の走行路とで当該物品搬送台車が並列可能な重複領域を含んでおり、当該重複領域は、当該台車間移載を行う双方の物品搬送台車の各走行路上の隣接する物品搬送台車は移動不可範囲として定められているので、制御手段による移動の制御は、それぞれの物品搬送台車の移動可能範囲においてのみ移動を制御するだけで、各物品搬送台車が接触することがない。台車間移載により物品を移載した第2の走行路の物品搬送台車は、制御手段により移動が制御されて、第2の走行路の定められた物品移載箇所まで移動して物品を移載する。
逆に、第2の走行路の定められた物品移載箇所から第1の走行路の定められた物品移載箇所までの物品の移載についても同様に制御手段により移動制御が行われる。また、これらの移動制御が行われるのと並行して、台車間移載を行う第1または第2の走行路の物品搬送台車以外の他の第1または第2の走行路の物品搬送台車は、制御手段により移動が制御されて、定められた物品移載箇所までそれぞれ移動して物品を移載することができ、また、他の第1の走行路の物品搬送台車と対応する第2の走行路の物品搬送台車間で、台車間移載を並行して行うこともできる。
これにより、台車間移載は、前記第1の走行路と前記第2の走行路とで当該物品搬送台車が並列可能な重複領域における位置で行われ、この重複領域は、当該台車間移載を行う双方の物品搬送台車の各走行路上の隣接する物品搬送台車は移動不可範囲として定められているので、隣の物品搬送台車が移動してくることがないため、隣接する物品搬送台車どうしが接触するようなことがなく隣の物品搬送台車の移動を妨げることがない。また、第1または第2の走行路の各物品搬送台車は、物品移載箇所がそれぞれ定められているため、第1または第2の走行路の各物品搬送台車が物品移載箇所に移動して物品を移載する際にも、隣の第1または第2の走行路の物品搬送台車に対して、定められた物品移載箇所には移動しないので、隣接する物品搬送台車どうしが接触するようなことがなく隣の物品搬送台車の移動を妨げることがない。
従って、第1および第2の走行路を並設して物品搬送台車を増やすことでより処理能力を高めることができるとともに、各物品搬送台車でそれぞれ移動と移載を同時に並行させて行うことができるので、より効率的に物品の移載を行うことができる。また、移載する物品移載箇所と、台車間移載を行う物品搬送台車と、台車間移載の際に双方の物品搬送台車が並列する重複領域とをあらかじめ定めておくことでグループ化して、物品搬送台車を増やすことで各物品搬送台車の移動制御が複雑化するのを防ぎ、より簡単に移動制御を行うことができる。
【0007】
本発明の物品搬送装置は、
前記第1または第2の走行路の前記物品搬送台車に対して定められた前記移動可能範囲上に、前記物品移載箇所が複数隣接して配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、第1または第2の走行路の前記物品搬送台車に対して定められた前記移動可能範囲上に、前記物品移載箇所が複数隣接して配置されるようにできる。物品移載箇所を複数隣接して配置されている場合とは、例えば、第1の走行路側に搬入出用の搬入出部を設けているような場合、搬入路と搬出路とを別々に設けてそれぞれに物品移載箇所を設けておき、搬入する場合と搬出する場合とで物品搬送台車が移載する位置を異ならせておくことで、物品の連続搬入や連続搬出に対応できるようにできる。また、例えば、第2の走行路側に物品保管倉庫を設けているような場合、物品保管倉庫の入出庫用の物品移載箇所を複数設けておき、各物品保管倉庫の入出庫用の物品移載箇所に対してそれぞれ物品を入出庫するようにできる。
また、前記第1または第2の走行路の各物品搬送台車に対して定められた前記物品移載箇所がそれぞれ複数隣接して配置されている場合には、第1または第2の走行路の前記物品搬送台車が、移動可能範囲上の隣接する物品移載箇所間を移動し、隣の物品搬送台車に定められている重複領域については、移動不可範囲として定められているので、隣接する物品搬送台車どうしが接触するようなことがなく隣の物品搬送台車の移動を妨げることがない。
【0008】
本発明の物品搬送装置は、
前記第1の走行路の前記物品移載箇所は、物品搬入出用の搬入出部における搬入出用物品移載箇所であり、前記第1の走行路の各物品搬送台車は、該搬入出用物品移載箇所で物品を移載し、
前記第2の走行路の前記物品移載箇所は、物品入出庫用の入出庫部における入出庫用物品移載箇所であり、前記第2の走行路の物品搬送台車は、該入出庫用物品移載箇所で物品を移載することを特徴としている。
この特徴によれば、物品搬入出用の搬入出部から搬出される物品は、搬入出用物品移載箇所で前記第1の走行路の各物品搬送台車に移載される。搬出された物品を移載した第1の走行路の物品搬送台車は、第2の走行路の物品搬送台車と前記台車間移載を行う。物品を移載した第2の走行路の物品搬送台車は、入出庫用物品移載箇所で物品入出庫用の入出庫部に物品を移載することで、入出庫部は、入庫した物品を物品保管倉庫等に保管させるようにできる。逆に、物品入出庫用の入出庫部から出庫された物品は、入出庫用物品移載箇所で第2の走行路の物品搬送台車に移載される。出庫された物品を移載した第2の走行路の物品搬送台車は、第1の走行路の物品搬送台車と前記台車間移載を行う。物品を移載した第1の走行路の物品搬送台車は、搬入出用物品移載箇所で物品搬入出用の搬入出部に物品を移載することで、搬入出部は、物品保管倉庫等から出庫された物品を生産ライン等へ搬入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例における物品搬送装置を示す平面図である。
【図2】トラバーサを示す平面図である。
【図3】トラバーサを示す正面図である。
【図4】バーコードシートと位置検出センサを示す斜視図である。
【図5】物品搬送装置の構成を示すシステムブロック図である。
【図6】生産ラインから搬出されるコンテナを保管倉庫に搬送する際の各情報の送受状況を示す説明図である。
【図7】トラバーサが搬出コンベヤ前に位置する状態を示す平面図である。
【図8】搬出コンベヤからトラバーサにコンテナを移載する際の物品搬送装置を示す平面図である。
【図9】レールのトラバーサからレールのトラバーサにコンテナを台車間移載する際の物品搬送装置を示す平面図である。
【図10】トラバーサから入庫コンベヤにコンテナを移載する際の物品搬送装置を示す平面図である。
【図11】出庫コンベヤからトラバーサにコンテナを移載する際の物品搬送装置を示す平面図である。
【図12】出庫コンベヤからトラバーサにコンテナを移載後にトラバーサが移動する際の物品搬送装置を示す平面図である。
【図13】レールのトラバーサからレールのトラバーサにコンテナを台車間移載する際の物品搬送装置を示す平面図である。
【図14】トラバーサから搬入コンベヤにコンテナを移載する際の物品搬送装置を示す平面図である。
【図15】保管倉庫から出庫されるコンテナを生産ラインに搬送する際の各情報の送受状況を示す説明図である。
【図16】レールのトラバーサから異なるグループのレールのトラバーサにコンテナを台車間移載する際の物品搬送装置を示す平面図である。
【図17】レールのトラバーサから異なるグループのレールのトラバーサにコンテナを台車間移載する際の物品搬送装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る物品搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0011】
実施例に係る物品搬送装置につき、図1から図15を参照して説明する。以下、図1の紙面左側を物品搬送装置の正面側(前方側)とし、図2の紙面左側をトラバーサの正面側(前方側)として説明する。
【0012】
図1の符号1は、本発明の適用された物品搬送装置である。物品搬送装置1は、工場などの生産ライン(図示略)と、生産ラインから搬出されるコンテナ2(物品)を一時的に保管する保管倉庫3と、の間に設けられる複数台のトラバーサ4(物品搬送台車)を有し、これらのトラバーサ4によってコンテナ2が搬送されるようになっている。
【0013】
図1に示すように、任意の長さを有する有端状の第1および第2の走行路としてのレール51、52(軌道)が敷設されており、このレール51、52上には、3台のトラバーサ4がそれぞれ配置されている。走行路としては、レール以外に複数のトラバーサ4が一列で走行するような軌道や搬送路を備えていればよい。第1の走行路のレール51の物品搬送装置1の後方側(紙面右側)から順にトラバーサ4a,4b,4cとし、また、第2の走行路のレール52の物品搬送装置1の後方側(紙面右側)から順にトラバーサ4d,4e,4fとして説明する。この複数台のトラバーサ4a,4b,4cが同一のレール51上を走行し、また、複数台のトラバーサ4d,4e,4fが同一のレール52上を走行する。各トラバーサは、後述する地上盤12の台車PLC24(制御手段,台車制御手段)により各走行路における移動が制御される。トラバーサ4a,4b,4cは、レール51の外側(紙面上側)である生産ラインの複数の搬入出コンベヤのそれぞれと物品を各物品移載箇所で移載(外側移載)し、また、トラバーサ4d,4e,4fは、レール52の外側(紙面下側)である保管倉庫3の複数の入出庫コンベヤのそれぞれと物品を各物品移載箇所で移載(外側移載)する。各レール上のトラバーサ4ごとに物品移載箇所が予め定められており、各レール上のトラバーサ4は、定められた物品移載箇所で物品を移載し、また、各レール上のトラバーサ4ごとに、物品移載箇所を含む領域の移動可能範囲があらかじめ定められている。また、レール51、52は並設されており、レール間のトラバーサどうしが物品を移載(台車間移載)可能なように構成されている。台車間移載を行うトラバーサは、1台のトラバーサに対して、1または複数台のトラバーサを定めておくことができる。例えば、本実施例においては、トラバーサ4aとトラバーサ4dとの間で物品を移載する台車間移載を行い、また、トラバーサ4aとトラバーサ4eとの間で物品を移載する台車間移載を行うよう定められている。同様に、トラバーサ4cとトラバーサ4fとがそれぞれ台車間移載を行い、また、トラバーサ4cとトラバーサ4eとの間で物品を移載する台車間移載を行うよう定められている。また、トラバーサ4bに対しては、トラバーサ4eのみが台車間移載を行うように定められている。従って、本実施例においては、トラバーサ4eは、レール51上のトラバーサ4a,4b,4cの全てと台車間移載を行うことができる。台車間移載を行う場合、双方のトラバーサは、それぞれの移動可能範囲において並列する重複領域を含んでいる。この重複領域は、レール51とレール52とで双方のトラバーサが移動可能範囲で並列可能な領域であって、台車間移載を行う双方のトラバーサの各レール上の隣接するトラバーサは移動不可範囲として定められている。このように、本実施例においては、トラバーサごとに、移載する物品移載箇所と、その物品移載箇所を含む領域である各レール上の移動可能範囲と、台車間移載を行うトラバーサと、台車間移載の際に双方のトラバーサ車が並列する重複領域とをあらかじめ定めておくことでグループ化している。本実施例においては、図1に示す点線によりグループ分けしており、紙面右側から順にグループS1,S2,S3とし、グループS1はトラバーサ4aとトラバーサ4dとが属し、グループS2にはトラバーサ4bとトラバーサ4eとが、グループS3にはトラバーサ4cとトラバーサ4fとがそれぞれ属している。また各グループには、後述するように、各物品移載箇所がそれぞれ割り当てられ、各グループ内において各トラバーサの移動可能範囲と、重複領域とが定められている。
【0014】
本実施例では、複数台のトラバーサ4a,4b,4c,4d,4e,4fは同様の構成となっているため、所定のトラバーサ4aについて図2及び図3を参照して説明する。トラバーサ4aは、平面視で矩形状をなし、上面にコンテナ2を載置できるようになっており、前後方向に走行するための走行モータ6が設けられている。
【0015】
また、トラバーサ4aには、コンテナ2を移載する移載モータ7が設けられるとともに、無端状のローラチェーン8が設けられている。そして、移載モータ7が駆動されて、ローラチェーン8が回転することによって、トラバーサ4aの上面に載置されたコンテナ2を正面側(紙面左側)から見た左右方向に移動させることができ、コンテナ2が自動的に移載されるようになっている。これにより、トラバーサ4aは、各物品移載箇所において、生産ライン側の搬入出コンベヤと移載が可能であり、また、トラバーサ4aはトラバーサ4dまたは4eとの間で物品を台車間移載することができる。また、レール52側のトラバーサ4dは、台車間移載と、保管倉庫3側の搬入出コンベヤと移載が可能である。
【0016】
図3に示すように、レール51の近傍には、複数のバーコードが連続して印字されたバーコードシート9がレール51の沿って設けられており、トラバーサ4aの下面側には、現在位置情報を検出する位置検出センサ10が取り付けられている。この位置検出センサ10は、アブソリュート・エンコーダを有し、トラバーサ4aの絶対位置を検出するアブソリュート型の位置検出センサ10となっている。
【0017】
本実施例では、トラバーサ4aがバーコードシート9の上方を走行する際に、位置検出センサ10が、バーコードシート9に印字されたバーコードのうち、少なくとも連続する3つのバーコードを読み取るようになっており、このバーコードシート9に基づいて、トラバーサ4aの現在位置が把握される(図4参照)。各トラバーサは、絶対位置を検出する位置検出センサ10を有し、動作PLC23及び台車PLC24は、位置検出センサ10を用いて各トラバーサの現在位置を把握することで、各トラバーサの現在位置の検出の信頼性が向上し、動作PLC23及び台車PLC24が各トラバーサの現在位置を正確に把握することができ、かつ物品搬送装置1を起動する度に、各トラバーサのレール51に対する原点合わせ等の動作を行う必要がなくなる。
【0018】
現在位置を把握するための変形例としては、バーコードシート9を利用する代わりに、2本のレール51の間に、形状の異なる多数の貫通孔が形成されたコード板をレール51の長手方向に設けておき、トラバーサ4の下面側には、コード板を挟むようにU字状の読取ヘッドを取り付けるようにしてもよい。この場合、複数の貫通孔28からなるコードパターンを読取ヘッドで読み取ることで現在位置を把握することができる。
【0019】
図2及び図3に示すように、トラバーサ4aの前部及び後部には、赤外線等を用いて光無線通信ができる光無線通信装置11a,11bが取り付けられている。この光無線通信装置11a,11bを介して、トラバーサ4の制御を行う地上盤12(地上部)に現在位置情報を送信したり制御手段である地上盤12からの移動指示情報などを受信したりするようになっている(図5参照)。
【0020】
尚、他のトラバーサ4b,4c,4d,4e,4fにも、光無線通信装置11c,11d,11e,11f,11l,11m,11n,11o,11p,11qがそれぞれ設けられるとともに、レール51、52の両端部にも、それぞれ光無線通信装置11g,11h,11j,11kが取り付けられている(図5参照)。そして、レール51の一方の端部の光無線通信装置11hと、トラバーサ4aの光無線通信装置11aが対向するように取り付けられており、通信可能になっている。また、レール52の一方の端部の光無線通信装置11kと、トラバーサ4dの光無線通信装置11lが対向するように取り付けられており、それぞれ通信可能になっている(図5参照)。
【0021】
また、トラバーサ4a,4b同士の光無線通信装置11b,11cがそれぞれ対になって通信可能になっているとともに、トラバーサ4b,4c同士の光無線通信装置11d,11eがそれぞれ対になって通信可能になっている。更に、レール51の他方の端部の光無線通信装置11gと、トラバーサ4cの光無線通信装置11fがそれぞれ対になって通信可能になっている。また、トラバーサ4d,4e同士の光無線通信装置11m,11nがそれぞれ対になって通信可能になっているとともに、トラバーサ4e,4f同士の光無線通信装置11o,11pがそれぞれ対になって通信可能になっている。更に、レール52の他方の端部の光無線通信装置11jと、トラバーサ4fの光無線通信装置11qがそれぞれ対になって通信可能になっている。
【0022】
このように、トラバーサ4a,4b,4c及びレール51の光無線通信装置11a〜11hを用いてループ状のネットワークが構築され、同様に、トラバーサ4d,4e,4f及びレール52の光無線通信装置11j〜11qを用いてループ状のネットワークが構築されており、このネットワーク化により通信用の有線ケーブルの敷設を省略でき、物品搬送装置1の設置コストを低減させることができる。なお、実施例においてはレール51側とレール52側とでそれぞれループ状のネットワークを構築しているが、全ての光無線通信装置11a〜11qにより一つのループ状のネットワークを構築するように構成してもよい。
【0023】
また、地上盤12とトラバーサ4a,4b,4cとの接続、また、地上盤12とトラバーサ4d,4e,4fの接続は、それぞれループ状をなしているため、一箇所で切断が起きた場合など、例えばトラバーサ4aとトラバーサ4bの間の情報伝達が切断されてしまった場合であっても、トラバーサ4bはトラバーサ4c側からも情報を受信でき、物品搬送装置1の運転を続行することができるようになっている。
【0024】
更に、トラバーサ4aの前部及び後部には、衝突防止センサ13a,13bが取り付けられている。この衝突防止センサ13a,13bにより他のトラバーサ4bやレール51の端部等を検出し、走行速度を制限したり停止させたりすることで衝突を防止できるようになっている。同様の衝突防止センサ13c,13d,13e,13f,13l,13m,13n,13o,13p,13qが他のトラバーサ4b,4c,4d,4e,4fにもそれぞれ取り付けられている(図5参照)。
【0025】
図1に示すように、レール51の左側(紙面上側)には、生産ライン(図示略)から搬出されるコンテナ2が一時的にストックされる搬出コンベヤ14a,15a,16a(搬入出部,物品移載箇所)と、生産ライン(図示略)に対してコンテナ2を搬入する搬入コンベヤ14b,15b,16b(搬入出部,物品移載箇所)が設けられている。グループS1のトラバーサ4aは、搬出コンベヤ14aからコンテナ2を受け取るとともに、搬入コンベヤ14bにコンテナ2を受け渡すことができるようになっている。また、グループS2のトラバーサ4bは、搬出コンベヤ15aからコンテナ2を受け取るとともに、搬入コンベヤ15bにコンテナ2を受け渡すことができるようになっており、グループS3のトラバーサ4cは、搬出コンベヤ16aからコンテナ2を受け取るとともに、搬入コンベヤ16bにコンテナ2を受け渡すことができるようになっている。このように、各トラバーサはグループごとに物品移載箇所が予め定められている。
【0026】
レール52の右側(紙面下側)には、保管倉庫3と、保管倉庫3に対してコンテナ2の入出庫を行う複数の入庫コンベヤ17(物品移載箇所)及び出庫コンベヤ18(物品移載箇所)と、が設けられている。グループS1のトラバーサ4dは、グループS1内の二つの出庫コンベヤ18からコンテナ2を受け取ることができるとともに、グループS1内の二つの入庫コンベヤ17にコンテナ2を受け渡すことができるようになっている。また、グループS2のトラバーサ4eは、グループS2内の四つの出庫コンベヤ18からコンテナ2を受け取ることができるとともに、グループS2内の四つの入庫コンベヤ17にコンテナ2を受け渡すことができるようになっており、グループS3のトラバーサ4fは、グループS3内の三つの出庫コンベヤ18からコンテナ2を受け取ることができるとともに、グループS3内の三つの入庫コンベヤ17にコンテナ2を受け渡すことができるようになっている。このように、各トラバーサはグループごとに物品移載箇所が予め定められている。
【0027】
保管倉庫3には、コンテナ2を保管するためのラック19が複数配置されており、ラック19,19の間には、ラック19の長手方向に沿ってレール20が敷設され、レール20上をスタッカクレーン21(物品保管倉庫)が走行し、スタッカクレーン21とラック19との間でコンテナ2の入出庫を行うようになっている。
【0028】
図1に示すように、搬出コンベヤと搬入コンベヤは交互に配置され、搬出コンベヤ14a,15a,16aと、搬入コンベヤ14b,15b,16bと、がそれぞれ一対の搬入出コンベヤとなっている。
【0029】
また、入庫コンベヤ17と出庫コンベヤ18も同様に交互に配置され、入庫コンベヤ17及び出庫コンベヤ18は、トラバーサ4d,4e,4fとスタッカクレーン21との間でコンテナ2の移載を行うようになっている。例えば、物品搬送装置1における後方側(紙面最右側)では、入庫コンベヤ17と出庫コンベヤ18とスタッカクレーン21とにより、1組の入出庫ユニットS1−1が構成されている。
【0030】
本実施例では、レール51の左側(紙面上側)に設けられた搬出コンベヤ14a及び搬入コンベヤ14bと、入出庫ユニットS1−1、S1−2と、トラバーサ4aとトラバーサ4dとによりグループS1が構成されている。同様に、搬出コンベヤ15a及び搬入コンベヤ15bと、入出庫ユニットS2−1〜S2−4と、トラバーサ4bとトラバーサ4eとによりグループS2が構成され、搬出コンベヤ16a及び搬入コンベヤ16bと、入出庫ユニットS3−1〜S3−3と、トラバーサ4cとトラバーサ4fによりグループS3が構成されている。
【0031】
例えば、グループS3の搬出コンベヤ16aから入出庫ユニットS3−1の入庫コンベヤ17にコンテナ2を搬送する場合には、グループS3のトラバーサ4cとトラバーサ4fとが搬送を行うようになっている。また、グループS3の搬出コンベヤ16aから入出庫ユニットS2−1の入庫コンベヤ17にコンテナ2を搬送する場合には、グループS3のトラバーサ4cと、グループS2のトラバーサ4eとが搬送を行うようになっており、異なるグループのトラバーサ間でも台車間移載が可能になっている。
【0032】
ここで、グループS1(図1に示す紙面上右側の点線から右側の領域)のレール51上の領域は、トラバーサ4aが移動可能範囲として定められており、搬入コンベヤ14b(物品移載箇所)から搬出コンベヤ14a(物品移載箇所)間と、さらに搬出コンベヤ14aを超えてレール51の後方側(紙面最右側)までの領域が移動可能範囲となっている。また、グループS1のレール52上の領域は、トラバーサ4dが移動可能範囲として定められており、入出庫ユニットS1の2組の入庫コンベヤ17(物品移載箇所)および出庫コンベヤ18(物品移載箇所)に対応する領域が移動可能範囲となっている。また、トラバーサ4aとトラバーサ4dが並列して移動可能な領域である重複領域Xのいずれかで台車間移載が可能となっている(図1参照)。
【0033】
同様に、グループS2(図1に示す2つの点線の間の領域)における搬出コンベヤ15a(物品移載箇所)から搬入コンベヤ15b(物品移載箇所)までに対応するレール51上の領域は、トラバーサ4bが移動可能範囲として定められており、また、グループS2における入出庫ユニットS2の4組の入庫コンベヤ17(物品移載箇所)および出庫コンベヤ18(物品移載箇所)までに対応するレール52上の領域が、トラバーサ4eが移動可能範囲として定められている。また、トラバーサ4bとトラバーサ4eが並列して移動可能な領域である重複領域Yのいずれかで台車間移載が可能となっている。さらに、トラバーサ4eは、トラバーサ4aとトラバーサ4eが並列して移動可能な領域である重複領域Bのいずれかで台車間移載が可能であり、また、トラバーサ4cとトラバーサ4eが並列して移動可能な領域である重複領域Aのいずれかで台車間移載が可能となっている(図1参照)。グループS3(図1に示す紙面上左側の点線から左側の領域)における搬出コンベヤ16a(物品移載箇所)から搬入コンベヤ16b(物品移載箇所)間とさらに搬入コンベヤ16bを超えてレール51の前方側(紙面最左側)までに対応するレール51上の領域は、トラバーサ4cが移動可能範囲として定められており、また、グループS3における入出庫ユニットS3の3組の入庫コンベヤ17(物品移載箇所)および出庫コンベヤ18(物品移載箇所)までに対応するレール52上の領域は、トラバーサ4fが移動可能範囲として定められており、また、トラバーサ4cとトラバーサ4fが並列して移動可能な領域である重複領域Zのいずれかで台車間移載が可能となっている(図1参照)。
【0034】
本実施例における物品搬送装置1は、重複領域X,Y,Zにおいて同一グループのトラバーサ間で台車間移載を行うとともに、重複領域A,Bにおいて異なるグループのトラバーサ間で台車間移載を行うようになっている。この場合、各重複領域は、当該台車間移載を行う双方のトラバーサの各レール上の隣接するトラバーサは移動不可範囲として定められている。例えば、重複領域Aにおいては、トラバーサ4cとトラバーサ4eとが台車間移載を行う領域であるので、レール51の隣接するトラバーサ4bは、重複領域Aには移動できないように定められており、また、レール52の隣接するトラバーサ4fは、重複領域Aには移動できないように定められている。重複領域Bについても同様である。また、重複領域Xについても、トラバーサ4aとトラバーサ4dとが台車間移載を行う領域であるので、レール51の隣接するトラバーサ4bは、重複領域Xには移動できないように定められており、レール52の隣接するトラバーサ4eは、重複領域Xには移動できないように定められている。重複領域Y,Zについても同様である。各レール上のトラバーサは、グループ内の移動可能範囲のみを走行することで、衝突が起こらないように制御されている。本実施例においては、図1に示す搬出コンベヤ14aから搬入コンベヤ16bまでのレール51上の距離が、グループS1の最後段の入庫コンベヤ17(紙面最右側)〜グループS3の最前段の出庫コンベヤ18(紙面最左側)までのレール52上の距離より短い場合、すわなち、生産ライン側の間口が物品保管倉庫側の間口より短い場合を前提としている。このため、レール51とレール52との各グループ領域におけるレール上の長さが異なっているので、同じグループにおけるレール51のトラバーサの移動可能範囲と、他のレール52のトラバーサの移動可能範囲とが重複する領域を台車間移載可能な範囲としている。例えば、前述したように、トラバーサ4bの移動可能範囲は、グループS2のレール51上の領域であるが、この領域は、レール51のトラバーサ4bの隣のトラバーサ4a、トラバーサ4cに定められた物品移載箇所である搬出コンベヤ14a〜搬入コンベヤ14b間(トラバーサ4bの移動不可範囲)と、搬出コンベヤ16a〜搬入コンベヤ16b間(トラバーサ4bの移動不可範囲)とを少なくとも除いた領域となる。また、トラバーサ4eの移動可能範囲は、グループS2のレール52上の領域であるが、この領域は、レール52のトラバーサ4eの隣のトラバーサ4d、トラバーサ4fに定められた物品移載箇所である入出庫ユニットS1の2組の入庫コンベヤ17(物品移載箇所)および出庫コンベヤ18(物品移載箇所)に対応する領域(トラバーサ4eの移動不可範囲)と、グループS3における入出庫ユニットS3の3組の入庫コンベヤ17(物品移載箇所)および出庫コンベヤ18(物品移載箇所)までに対応するレール52上の領域(トラバーサ4eの移動不可範囲)とを少なくとも除いた領域となる。従って、各グループにおけるトラバーサの台車間移載可能範囲は、結果的に、隣のグループにおけるトラバーサの移動可能範囲を除いた範囲となるように、重複領域A,B,X,Y,Zが定められている。このように、隣のトラバーサが動作する可能性のある領域については、移動不可となるように領域を定めているので、レール51またはレール52の各トラバーサが、定められた物品移載箇所へ移動する際に、隣接するトラバーサどうしが接触するようなことがなく隣のトラバーサの移動を妨げることがない。また、レール51またはレール52の各トラバーサは、台車間移載する際の重複領域も、レール51またはレール52の隣のトラバーサが動作する可能性のある領域を除いているので、台車間移載する際にも、隣接するトラバーサどうしが接触するようなことがなく隣のトラバーサの移動を妨げることがない。
【0035】
図5に示すように、トラバーサ4a,4b,4cには、光無線通信装置11a〜11fと、スイッチングハブ22と、トラバーサ4a,4b,4cを走行させる走行モータ6と、コンテナ2を移載させる移載モータ7と、走行モータ6及び移載モータ7を制御する動作PLC23(制御手段,台車制御手段)と、衝突防止センサ13a〜13fと、位置検出センサ10と、がそれぞれ設けられており、また、トラバーサ4d,4e,4fには、光無線通信装置11j〜11qと、スイッチングハブ22と、トラバーサ4d,4e,4fを走行させる走行モータ6と、コンテナ2を移載させる移載モータ7と、走行モータ6及び移載モータ7を制御する動作PLC23(制御手段,台車制御手段)と、衝突防止センサ13l〜13qと、位置検出センサ10と、がそれぞれ設けられている。前述したように各トラバーサ4a〜4fはいずれも同一構成となっている。
【0036】
地上盤12には、トラバーサ4a〜4fを統括的に制御する台車PLC24(制御手段,統括制御手段)と、スイッチングハブ25と、が設けられている。また、このスイッチングハブ25には、搬出コンベヤ14a,15a,16a及び搬入コンベヤ14b,15b,16bを制御する搬入出コンベヤPLC26と、入庫コンベヤ17及び出庫コンベヤ18を制御する入出庫コンベヤPLC27と、が接続されている。
【0037】
次に、コンテナ2の搬入出及び入出庫を行う際のトラバーサ4a〜4fの動作及び制御について、図5から図15を参照して説明する。
【0038】
まず、搬出コンベヤ14a,15a,16aから搬送要求があったときに、搬出コンベヤ14a,15a,16aからコンテナ2が搬出され各トラバーサを介してコンテナ2が入庫コンベヤ17に搬送される場合の搬出〜入庫動作及び制御を図6に基づいて説明する。尚、本実施例では、図7に示すように、搬出コンベヤ15a,16aに搬送の対象となるコンテナ2が存在し、搬出コンベヤ14aには搬送が必要なコンテナ2が無い状態となっている場合を例にし、搬出コンベヤ15aからのコンテナ2は、トラバーサ4bおよびトラバーサ4eを介して入出庫ユニットS2−1における入庫コンベヤ17に搬送され、また、搬出コンベヤ16aからのコンテナ2は、トラバーサ4cおよびトラバーサ4fを介して入出庫ユニットS3−1における入庫コンベヤ17に搬送される場合を例にして説明する。
【0039】
トラバーサ4a,4b,4cは、生産ラインからコンテナ2が搬出される搬出コンベヤ14a,15a,16aに対応するレール51上に位置している。搬出コンベヤ14a,15a,16a上にコンテナ2が搬送されていない場合には、搬入出コンベヤPLC26によって搬出コンベアを駆動することで、各トラバーサの物品移載箇所までコンテナを移動させる。
【0040】
図7に示すように、搬出コンベヤ14a,15a,16aのいずれかにコンテナ2が到着すると、搬入出コンベヤPLC26によってスイッチングハブ25を介して地上盤12における台車PLC24に対して搬送要求情報が伝達される(図6参照)。
【0041】
搬送要求情報としては、どの搬出コンベヤでコンテナ2を搬出しているかの情報が含まれ、この場合には、搬出コンベヤ15a,16aで搬出がある旨が示される。台車PLC24が搬送要求情報を受信すると、台車PLC24によって搬出コンベヤ15a,16aに対応するトラバーサ4b,4cにおける各動作PLC23に対して対象搬出コンベヤへの移動指示情報が送信される。そして、各動作PLC23によって走行モータ6が同時に駆動され、トラバーサ4b,4cは、それぞれ担当するグループに属する搬出コンベヤ15a,16aに対応する位置に移動される(図7及び図8参照)。また、例えば、この搬出コンベヤ14a,15a,16aからの移載箇所に対応するレール51上の位置が初期位置として定められているような場合には、図7及び図8に示すような初期位置にトラバーサ4a,4b,4cがあるため移動指示は不要となる。
【0042】
図8に示すように、トラバーサ4b,4cがそれぞれ搬出コンベヤ15a,16aに対応する位置に移動されると、トラバーサ4b,4cにおける各動作PLC23がそれぞれ台車PLC24に対して移動完了情報を送信する。
【0043】
搬送対象のコンテナ2がない搬出コンベヤ14aの属するグループS1を担当するトラバーサ4aに対しては、特に移動指示情報を送信する必要はない。
【0044】
台車PLC24によって、搬入出コンベヤPLC26に対して搬出コンベヤ15a,16aの搬出動作開始指示情報が送信され、トラバーサ4bにおける動作PLC23と、トラバーサ4cにおける動作PLC23と、に対してコンテナ2の引込指示情報が送信される。
【0045】
搬出コンベヤ15aの動作が開始されるとともに、動作PLC23によって移載モータ7が駆動されてローラチェーン8が回転し、コンテナ2をトラバーサ4bの上面にコンテナ2を引き込むことで、トラバーサ4bにコンテナ2が移載されるとともに、搬出コンベヤ16aとトラバーサ4cも同様に動作し、トラバーサ4cにコンテナ2が移載される。
【0046】
次に、トラバーサ4b,4cに対してコンテナ2の移載が完了すると、トラバーサ4bの動作PLC23とトラバーサ4cの動作PLC23とから移載完了情報が台車PLC24に送信され、また、搬入出コンベヤPLC26は、コンテナ2の払出が完了すると、払出完了情報を台車PLC24に送信する。
【0047】
次に台車間移載を行わせるために、台車PLC24は、トラバーサ4b,4cの各動作PLC23と、レール52の対応するグループのトラバーサ4e,4fの各動作PLC23とに対して台車間移載位置への移動を指示するための移動指示情報を送信する。この際に、台車間移載位置としては、台車間移載を行う両トラバーサの現在の位置と、台車間移載が可能な重複領域とから、台車PLC24は、より最適な位置を選択して移動する位置を指示する。例えば、図8に示すように、グループS2のトラバーサ4bは、台車間移載が可能な重複領域Yにあって、トラバーサ4eは重複領域Yにいないので、台車PLC24は、台車間移載位置をトラバーサ4bが存在する位置として決定し、トラバーサ4eをトラバーサ4bが存在する位置まで移動指示する。もしくは、台車PLC24は、台車間移載位置を、トラバーサ4bとトラバーサ4eとの中間位置として決定するようにした場合には、トラバーサ4bとトラバーサ4eとをこれらの中間位置までそれぞれ移動指示する。また、例えば、図8に示すように、グループS3のトラバーサ4fは、台車間移載が可能な重複領域Zにあって、さらに入庫先である入出庫ユニットS3−1における入庫コンベヤ17の位置に存在しており、一方トラバーサ4cは重複領域Zにいないので、台車PLC24は、台車間移載位置をトラバーサ4fが存在する位置として決定し、トラバーサ4cをトラバーサ4fが存在する位置まで移動指示する。尚、台車PLC24は、トラバーサ4a〜4fにおける各位置検出センサ10によって検出した現在位置情報を各動作PLC23からそれぞれ受信しており、これにより現在位置を検出して移動指示を行うことができる。このように、台車間移載位置は、重複領域内のいずれかの最適な位置に決定することができる。
【0048】
図9に示すように、トラバーサ4c,4eがそれぞれ台車間移載位置に移動され、トラバーサ4a〜4fにおける各動作PLC23がそれぞれ台車PLC24に対して移動完了情報を送信する。
【0049】
トラバーサの移動が完了すると、台車PLC24は、トラバーサ4b,4e,4c,4fの動作PLC23に対してコンテナの移載指示情報を送信し、各トラバーサにコンテナ2の移載指示がなされる。
【0050】
図9に示すように、トラバーサ4bおよびトラバーサ4eの各動作PLC23によって移載モータ7が駆動されてローラチェーン8がそれぞれ回転し、トラバーサ4bからトラバーサ4eの上面にコンテナ2が移載されるとともに、トラバーサ4cおよびトラバーサ4fの各動作PLC23によって移載モータ7が駆動されてローラチェーン8がそれぞれ回転し、トラバーサ4cからトラバーサ4fの上面にコンテナ2が移載される。
【0051】
次に、図10に示すように、トラバーサ4e,4fに対してコンテナ2の移載が完了すると、トラバーサ4bおよびトラバーサ4eの動作PLC23とトラバーサ4cおよびトラバーサ4fの動作PLC23とから移載完了情報がそれぞれ台車PLC24に送信される。
【0052】
つぎに、台車PLC24は、搬送先の入出庫コンベヤPLC27からの情報をもとに、コンテナ2を移載する入庫コンベヤ17を選択して各トラバーサ4に移動指示情報を送信するようになっている。尚、本実施例では、トラバーサ4eが搬送するコンテナ2の搬送先として入出庫ユニットS2−1における入庫コンベヤ17が選択され、トラバーサ4fが搬送するコンテナ2の搬送先として入出庫ユニットS3−1における入庫コンベヤ17が選択された場合を例に説明する。
【0053】
トラバーサ4eに対するコンテナ2の移載が完了すると、台車PLC24によってトラバーサ4eに対しては入出庫ユニットS2−1における入庫コンベヤ17への移動指示情報が送信され、トラバーサ4f対しては入出庫ユニットS3−1における入庫コンベヤ17への移動指示情報が送信される。この場合、トラバーサ4fは、入出庫ユニットS3−1における入庫コンベヤ17に対応する移載箇所にすでに位置しているので、移動する必要がないので移動指示情報を送信しなくてもよい。
【0054】
なお、トラバーサ4aおよびトラバーサ4cは、グループS1内の領域に位置しているため、隣のトラバーサ4b、4eがグループS2内を移動してもトラバーサ同士が衝突してしまうことがない。
【0055】
そして、トラバーサ4e,4fにおける各動作PLC23によって台車PLC24に移動完了情報が送信されると、台車PLC24によって、トラバーサ4e,4fの動作PLC23に対してコンテナ2の払出指示情報が送信されるとともに、入出庫コンベヤPLC27に対して入出庫ユニットS2−1における入庫コンベヤ17及び入出庫ユニットS3−1における入庫コンベヤ17の入庫動作開始指示情報が送信される。
【0056】
トラバーサ4eにおける動作PLC23によって移載モータ7が駆動され、トラバーサ4eから入出庫ユニットS2−1における入庫コンベヤ17に対してコンテナ2の払出が行われるとともに、入庫コンベヤ17が駆動してコンテナ2がラック19の方向に移動される。トラバーサ4fも同様に動作し、トラバーサ4fから入出庫ユニットS3−1における入庫コンベヤ17にコンテナ2が移載される。
【0057】
コンテナ2の移載が完了すると、トラバーサ4e,4fにおける各動作PLC23によって台車PLC24に対して払出完了情報が送信されるとともに、入出庫コンベヤPLC27によって、移載完了情報が台車PLC24に送信される。
【0058】
入庫コンベヤ17に移載されたコンテナ2は、対応するスタッカクレーン21に移載された後に、ラック19に運ばれて保管される。尚、保管倉庫3におけるスタッカクレーン21の制御は、他の制御装置(図示略)によって行われている。
【0059】
つぎに、図15において、出庫コンベヤ18から出庫要求があったときに、出庫コンベヤ18からコンテナ2が出庫され各トラバーサを介してコンテナ2が搬入コンベヤ14b,15b,16bに搬送される場合の出庫〜搬入動作及び制御を説明する。尚、本実施例では、入出庫ユニットS1−2、S2−1、S3−1の出庫コンベヤ18に搬送の対象となるコンテナ2が存在している場合を例にし、入出庫ユニットS1−2の出庫コンベヤ18からのコンテナ2は、トラバーサ4dおよびトラバーサ4aを介して搬入コンベヤ14bに搬送され、また、入出庫ユニットS2−1の出庫コンベヤ18からのコンテナ2は、トラバーサ4eよびトラバーサ4bを介して搬入コンベヤ15bに搬送され、入出庫ユニットS3−1の出庫コンベヤ18からのコンテナ2は、トラバーサ4fよびトラバーサ4cを介して搬入コンベヤ16bに搬送される場合を例にして説明する。
【0060】
出庫コンベヤ18から地上盤12における台車PLC24に対し出庫要求情報が送信されると、台車PLC24からトラバーサ4d,4e,4fにおける各動作PLC23に対して出庫対象のコンテナ2がある出庫コンベヤ18への移動指示情報が送信される。出庫要求情報としては、どの出庫コンベヤからコンテナ2を出庫するかの情報が含まれ、この場合には、入出庫ユニットS1−2、S2−1、S3−1の出庫コンベヤ18から搬出がある旨が示される。
【0061】
台車PLC24は、入出庫コンベヤPLC27からの出庫要求情報をもとに、コンテナ2を出庫する出庫コンベヤ18への移動指示情報をトトラバーサ4d,4e,4fにおける動作PLC23に送信するようになっている。
【0062】
図11に示すように、トラバーサ4dが入出庫ユニットS1−2における出庫コンベヤ18に対応する位置に移動され、トラバーサ4eが入出庫ユニットS2−1における出庫コンベヤ18に対応する位置に移動され、トラバーサ4fが入出庫ユニットS3−2における出庫コンベヤ18に対応する位置に移動されると、トラバーサ4d,4e,4fにおける動作PLC23がそれぞれ台車PLC24に対して移動完了情報を送信する。また、例えば、出庫コンベヤ18の移載箇所に対応するレール52上の位置が初期位置として定められていてその初期位置からの出庫の場合にはトラバーサの移動指示は不要となる。
【0063】
そして、台車PLC24によって、入出庫コンベヤPLC27に対して入出庫ユニットS1−2における出庫コンベヤ18、入出庫ユニットS2−1における出庫コンベヤ18及び入出庫ユニットS3−2における出庫コンベヤ18の出庫動作開始指示情報が送信されるとともに、トラバーサ4d,4e,4fにおける動作PLC23にコンテナ2の引込指示情報が送信される。
【0064】
出庫コンベヤ18の動作が開始されるとともに、動作PLC23によって移載モータ7が駆動されてローラチェーン8が回転し、トラバーサ4d,4e,4fの上面にコンテナ2が引込まれ、コンテナ2が出庫コンベヤ18からトラバーサそれぞれに移載される。
【0065】
図11に示すように、トラバーサ4d,4e,4fに対してコンテナ2の移載が完了すると、トラバーサ4d,4e,4fの動作PLC23から移載完了情報が台車PLC24にそれぞれ送信される。
【0066】
次に台車間移載を行わせるために、台車PLC24は、レール52のトラバーサ4d,4e,4fの各動作PLC23と、レール51の対応するグループのトラバーサ4a,4b,4cの各動作PLC23と、に対して台車間移載位置への移動を指示するための移動指示情報を送信する。この際の台車間移載位置は、上述したように各重複領域のより最適な位置が選択されて移動する位置が指示される。例えば、図12に示すように、グループS2のトラバーサ4bは、台車間移載が可能な重複領域Yにあって、トラバーサ4eは重複領域Yにいないので、台車PLC24は、台車間移載位置をトラバーサ4bが存在する位置として決定し、トラバーサ4eをトラバーサ4bが存在する位置まで移動指示する。もしくは、台車PLC24は、台車間移載位置を、トラバーサ4bとトラバーサ4eとの中間位置として決定するようにした場合には、トラバーサ4bとトラバーサ4eとをこれらの中間位置までそれぞれ移動指示する。また、例えば、図12に示すように、グループS3のトラバーサ4fは、台車間移載が可能な重複領域Zにあって、一方トラバーサ4cは重複領域Zにいないので、台車PLC24は、台車間移載位置をトラバーサ4fが存在する位置として決定し、トラバーサ4cをトラバーサ4fが存在する位置まで移動指示する。同様に、グループS1についてもトラバーサ4dは台車間移載が可能な重複領域Xにあって、一方トラバーサ4aは重複領域Xにいないので、台車PLC24は、台車間移載位置をトラバーサ4dが存在する位置として決定し、トラバーサ4aをトラバーサ4dが存在する位置まで移動指示する。
【0067】
図13に示すように、トラバーサ4a,4e,4cがそれぞれ台車間移載位置に移動され、トラバーサ4a〜4fにおける各動作PLC23がそれぞれ台車PLC24に対して移動完了情報を送信する。
【0068】
トラバーサの移動が完了すると、台車PLC24は、トラバーサ4a〜4fの動作PLC23に対してコンテナの移載指示情報を送信し、各トラバーサにコンテナ2の移載指示がなされる。
【0069】
図13に示すように、トラバーサ4aおよびトラバーサ4dの各動作PLC23によって移載モータ7が駆動されてローラチェーン8がそれぞれ回転し、トラバーサ4dからトラバーサ4aの上面にコンテナ2が移載され、トラバーサ4bおよびトラバーサ4eの各動作PLC23によって移載モータ7が駆動されてローラチェーン8がそれぞれ回転し、トラバーサ4eからトラバーサ4bの上面にコンテナ2が移載され、トラバーサ4cおよびトラバーサ4fの各動作PLC23によって移載モータ7が駆動されてローラチェーン8がそれぞれ回転し、トラバーサ4fからトラバーサ4cの上面にコンテナ2が移載される。
【0070】
次に、トラバーサ4a,4b,4cに対してコンテナ2の移載が完了すると、トラバーサ4a,4b,4cの各動作PLC23から移載完了情報がそれぞれ台車PLC24に送信される。
【0071】
つぎに、台車PLC24によってトラバーサ4a,4b,4cにおける各動作PLC23に対してそれぞれ担当する搬入コンベヤ14b,15b,16bへの移動指示情報が送信される。この場合、トラバーサ4cは、搬入コンベヤ16bに対応する移載箇所にすでに位置しているので、移動する必要がないので移動指示情報を送信しなくてもよい。
【0072】
トラバーサ4a,4b,4cにおける各動作PLC23によって各走行モータ6が駆動され、トラバーサ4aは搬入コンベヤ14bに、トラバーサ4bは搬入コンベヤ14bに、トラバーサ4cは搬入コンベヤ15bに移動される。(図14参照)。
【0073】
そして、トラバーサ4a,4b,4cにおける各動作PLC23によって台車PLC24に移動完了情報が送信されると、台車PLC24によってトラバーサ4a,4b,4cの各動作PLC23に対して払出指示情報が送信される。
【0074】
トラバーサ4aにおける動作PLC23によって移載モータ7が駆動され、トラバーサ4aから搬入コンベヤ14bに対してコンテナ2の払出が行われる。また、トラバーサ4bにおける動作PLC23によって移載モータ7が駆動され、トラバーサ4bから搬入コンベヤ15bに対してコンテナ2の払出が行われる。トラバーサ4cも同様に動作し、トラバーサ4cから搬入コンベヤ16bにコンテナ2が移載される。
【0075】
コンテナ2の移載が完了すると、トラバーサ4a,4b,4cにおける各動作PLC23によって台車PLC24に対して払出完了情報が送信されるとともに、搬入出コンベヤのPLC27によって、移載完了情報が台車PLC24に送信される。
【0076】
搬入コンベヤ14b〜16bにそれぞれ移載されたコンテナ2は、各搬入コンベヤにより生産ラインに搬入される。
【0077】
このように、物品搬送装置1では、搬出コンベヤ14a,15a,16aからトラバーサ4a,4b,4cにコンテナ2を移載後、トラバーサ4d,4e,4fに台車間移載し、その後入庫コンベヤに移載して保管倉庫3に入庫することができる。また、保管倉庫3からトラバーサ4d,4e,4fにコンテナ2を移載後、トラバーサ4a,4b,4cに台車間移載し、その後搬入コンベヤ14b,15b,16bに移載する。本実施例においては、コンテナ2の搬出〜入庫動作と、出庫〜搬入動作とをすべてのグループで同様に行う場合を例にしているが、例えば、図7に示すような、搬出コンベヤ15a,16aに搬送の対象となるコンテナ2が存在し、搬出コンベヤ14aには搬送が必要なコンテナ2が無い状態の場合に、グループS2およびS3においては前述した入庫動作を行うのと並行させて、グループS1においては、出庫動作を行ってもよい。例えば、グループS2およびS3においてコンテナ2の搬出〜入庫動作を行っているのと同時に、グループS1では、保管倉庫3からトラバーサ4dにコンテナ2を移載後、トラバーサ4aに台車間移載し、その後搬入コンベヤ14bに移載するような出庫〜搬入動作を行うこともできる。
【0078】
また、本実施例においては、異なるグループのトラバーサ間の台車間移載を行うことができる。この場合、上述した外側移載(コンテナ2の搬出入及び入出庫における移載)については、同様な移載と移動の制御を行うので、台車間移載における動作について以下で説明する。
【0079】
本実施例では、図16に示すように、搬出コンベヤ16aからトラバーサ4cにコンテナ2が移載され、移載完了情報と払出完了情報の送信が行われた後、トラバーサ4cとトラバーサ4eとで台車間移載を行う場合を例にして説明する。
【0080】
台車間移載を行わせるために、台車PLC24は、トラバーサ4cの動作PLC23と、レール52の異なるグループのトラバーサ4eの動作PLC23とに対して台車間移載位置への移動を指示するための移動指示情報を送信する。この際に、台車間移載位置としては、台車間移載を行う両トラバーサの現在の位置と、台車間移載が可能な重複領域とから、台車PLC24は、より最適な位置を選択して移動する位置を指示する。本実施例においては、グループS3のトラバーサ4cは、台車間移載が可能な重複領域Aにおり、トラバーサ4eが重複領域Aにいなければ、台車PLC24は、台車間移載位置をトラバーサ4cが存在する位置として決定し、トラバーサ4eをトラバーサ4cが存在する位置まで移動指示する。トラバーサの移動が完了すると、台車PLC24は、トラバーサ4c,4eの動作PLC23に対してコンテナの移載指示情報を送信し、各トラバーサにコンテナ2の移載指示がなされ、以降の移載動作については、上述した動作と同様に行う。コンテナ2の移載後、トラバーサ4eから出庫ユニットS2−1〜S2−4のいずれかの入庫コンベヤ17にコンテナ2が搬送される。
【0081】
またこの際に、例えば、搬出コンベヤ15aからトラバーサ4bにもコンテナ2が移載されていた場合、トラバーサ4b,4cともにコンテナ2がある状態で、双方ともトラバーサ4eに対して移載を行いたい場合には、台車PLC24は、移載する順序を決定し、各トラバーサに対して指示することができる。移載順序は、予めトラバーサの優先順位を定めておき、優先順位の高いものから移載を行うようにしてもよいし、台車PLC24に対して移動完了情報の到達順に移載順序を指示するようにしてもよい。
【0082】
また、この場合も、他のグループにおけるコンテナ2の搬入出及び入出庫、例えば、図16に示すように、グループS1のトラバーサ4dの入出庫、グループS3のトラバーサ4fの入出庫についても、並行して行うこともできる。
【0083】
また、逆に、図17に示すように、入出庫ユニットS2−1の出庫コンベヤ18からトラバーサ4eにコンテナ2が移載され、移載完了情報と払出完了情報の送信が行われた後、異なるグループのトラバーサ4eとトラバーサ4aとで台車間移載を行う場合をつぎに説明する。
【0084】
台車間移載を行わせるために、台車PLC24は、レール52のトラバーサ4eの動作PLC23と、レール51の異なるグループのトラバーサ4aの動作PLC23と、に対して台車間移載位置への移動を指示するための移動指示情報を送信する。この際にも、台車間移載位置は、上述したように重複領域のより最適な位置が選択されて移動する位置が指示される。例えば、図17に示すように、トラバーサ4eは重複領域Bにおり、グループS1のトラバーサ4aは台車間移載が可能な重複領域Bにいない場合には、台車PLC24は、台車間移載位置をトラバーサ4eが存在する位置として決定し、トラバーサ4aをトラバーサ4eが存在する位置まで移動指示する。もしくは、台車PLC24は、その後搬入コンベア14bに移載することを考慮した場合には、重複領域B内に搬入コンベア14bの対応する位置があるので、台車間移載位置を、搬入コンベア14bに対応するような位置に、トラバーサ4aとトラバーサ4eとに移動指示するようにしてもよい。トラバーサの移動が完了すると、台車PLC24は、トラバーサ4a,4eの動作PLC23に対してコンテナの移載指示情報を送信し、各トラバーサにコンテナ2の移載指示がなされ、以降の移載動作については、上述した動作と同様に行う。コンテナ2の移載後、トラバーサ4aから搬入コンベヤ14bにコンテナ2が搬送される。
【0085】
またこの際に、例えば、入出庫ユニットS1−2の出庫コンベヤ18からトラバーサ4dにもコンテナ2が移載されていた場合、トラバーサ4d,4eともにコンテナ2がある状態で、双方ともトラバーサ4aに対して移載を行いたい場合にも、前述と同様に、台車PLC24は、移載する順序を決定し、各トラバーサに対して指示することができる。
【0086】
また、この場合も、他のグループにおけるコンテナ2の搬入出及び入出庫、例えば、図17に示すように、グループS1のトラバーサ4dの入出庫、グループS3のトラバーサ4fの入出庫についても、並行して行うこともできる。
【0087】
このように、物品搬送装置1では、トラバーサ4a,4b,4cと、隣接する異なるグループのトラバーサ4d,4e,4fとの台車間移載も行えるようにできる。これにより、例えば、生産ラインのグループS3の搬出コンベヤ16aからグループS2の入庫コンベヤ17に対して各トラバーサを介して搬送を行い、グループS2の保管倉庫3にコンテナ2の入庫を行い、その後、グループS2の保管倉庫3の出庫コンベヤ18から生産ラインのグループS1の搬入コンベヤ14bに対して各トラバーサを介して搬送を行うことで、コンテナ2を、グループS3→グループS2→グループS1というように、隣接するグループを経由していくことですべてのグループの生産ラインまたは保管倉庫3に搬送することができる。このため、各グループの生産ラインでコンテナ2内の製品に対して異なる加工を行うような場合、コンテナ2内の製品が、生産ラインのグループを次々と移動していき、各生産ラインで加工されて、完成品まで加工できるような工程とすることができる。この場合、保管倉庫3は、各グループの生産ラインの加工と加工の間で、一時保管するような場合に利用することができる。
【0088】
このように、グループS1〜S3のようにグループ分けをして、トラバーサ4a,4b,4cと、トラバーサ4d,4e,4fとが、それぞれ担当する搬出コンベヤ14a,15a,16aと、搬入コンベヤ14b,15b,16bと、入庫コンベヤ17と、出庫コンベヤ18とを、あらかじめ定めて移動範囲を規定して移動するため、隣のトラバーサの移動を妨げることがなくなるので、トラバーサ同士の衝突を防止でき、また、グループごとに搬出〜入庫動作と出庫〜搬入動作とはそれぞれ並行して行えるようになっている。また、重複領域については、台車間移載を行う双方のトラバーサの各レール上の隣接するトラバーサは移動不可範囲として定められているので、隣のトラバーサが移動してくることがないため、隣接するトラバーサどうしが接触するようなことがなく隣のトラバーサの移動を妨げることがない。
【0089】
以上、本実施例における物品搬送装置1では、複数台のトラバーサ4a,4b,4cが一列で走行するレール51と、それに並設された、複数台のトラバーサ4d,4e,4fが一列で走行するレール52と、トラバーサ4a〜4fの各レールにおける移動を制御する台車PLC24とを有する物品搬送装置1であって、台車PLC24は、レール51およびレール52の外側(生産ライン側または保管倉庫3側)に物品を移載する外側移載の際に、各レール上のトラバーサ4a〜4fごとに定められた物品移載箇所へのトラバーサ4a〜4fの移動をそれぞれ制御するとともに、レール51のトラバーサ4a,4b,4cと、レール52のトラバーサ4d,4e,4f間で物品を移載する台車間移載の際に双方のトラバーサ4a〜4fが並列する位置への双方のトラバーサ4a〜4fの移動をそれぞれ制御し、レール51のトラバーサ4a,4b,4cと、レール52のトラバーサ4d,4e,4fとは、各レールのトラバーサごとに定められた物品移載箇所を含む領域S1〜S3ごとに各レールの移動可能範囲が定められ、レール51のトラバーサ4a,4b,4cは、前記台車間移載を行う、1または複数のレール52のトラバーサ4d,4e,4fがそれぞれ定められており、当該台車間移載を行うトラバーサ4a〜4fの前記移動可能範囲は、レール51とレール52とで当該トラバーサが並列可能な重複領域A,B,X,Y,Zを含んでおり、当該重複領域A,B,X,Y,Zは、当該台車間移載を行う双方のトラバーサの各レールの隣接するトラバーサは移動不可範囲として定められている。レール51のトラバーサ4a,4b,4cは、台車PLC24により移動が制御されて、レール51の定められた物品移載箇所まで移動して物品を移載し、物品を移載したレール51のトラバーサ4a,4b,4cとそれに対応するレール52のトラバーサ4d,4e,4fとは、台車PLC24により移動が制御されて、前記台車間移載を行うことができる適切な並列する位置までそれぞれ移動する。その際に、双方のトラバーサが並列する位置は、レール51とレール52とで当該トラバーサが並列可能な重複領域A,B,X,Y,Zを含んでおり、当該重複領域A,B,X,Y,Zは、当該台車間移載を行う双方のトラバーサの各走行路上の隣接するトラバーサは移動不可範囲として定められているので、台車PLC24による移動の制御は、それぞれのトラバーサの移動可能範囲においてのみ移動を制御するだけで、各トラバーサが接触することがない。台車間移載により物品を移載したレール52のトラバーサ4d,4e,4fは、台車PLC24により移動が制御されて、レール52の定められた物品移載箇所まで移動して物品を移載する。逆に、レール52の定められた物品移載箇所からレール51の定められた物品移載箇所までの物品の移載についても同様に台車PLC24により移動制御が行われる。また、これらの移動制御が行われるのと並行して、台車間移載を行うレール51またはレール52のトラバーサ以外の他のレール51またはレール52のトラバーサは、台車PLC24により移動が制御されて、定められた物品移載箇所までそれぞれ移動して物品を移載することができ、また、他のレール51のトラバーサと対応するレール52のトラバーサ間で、台車間移載を並行して行うこともできる。これにより、台車間移載は、レール51とレール52とで当該トラバーサが並列可能な重複領域A,B,X,Y,Zにおける位置で行われ、この重複領域A,B,X,Y,Zは、当該台車間移載を行う双方のトラバーサの各レールの隣接するトラバーサは移動不可範囲として定められているので、隣のトラバーサが移動してくることがないため、隣接するトラバーサどうしが接触するようなことがなく隣のトラバーサの移動を妨げることがない。また、レール51またはレール52の各トラバーサは、物品移載箇所がそれぞれ定められているため、レール51またはレール52の各トラバーサが物品移載箇所に移動して物品を移載する際にも、隣のレール51またはレール52のトラバーサに対して、定められた物品移載箇所には移動しないので、隣接するトラバーサどうしが接触するようなことがなく隣のトラバーサの移動を妨げることがない。
【0090】
従って、レール51およびレール52を並設してトラバーサを増やすことでより処理能力を高めることができるとともに、各トラバーサでそれぞれ移動と移載を同時に並行させて行うことができるので、より効率的に物品の移載を行うことができる。また、移載する物品移載箇所と、台車間移載を行うトラバーサと、台車間移載の際に双方のトラバーサが並列する重複領域A,B,X,Y,Zとをあらかじめ定めておくことでグループ化して、トラバーサを増やすことで各トラバーサの移動制御が複雑化するのを防ぎ、より簡単に移動制御を行うことができる。
【0091】
また、レール51またはレール52のトラバーサに対して定められた前記移動可能範囲上に、前記物品移載箇所が複数隣接して配置されるようにできる。物品移載箇所を複数隣接して配置されている場合とは、例えば、レール51側に搬入出用の搬入出部(生産ライン)を設けているような場合、搬入コンベヤ14b,15b,16bと搬出コンベヤ14a,15a,16aとを別々に設けてそれぞれに物品移載箇所を設けておき、搬入する場合と搬出する場合とでトラバーサが移載する位置を異ならせておくことで、物品の連続搬入や連続搬出に対応できるようにできる。また、例えば、レール52側に保管倉庫3を設けているような場合、保管倉庫3の入出庫用の入庫コンベヤ17、出庫コンベヤ18を複数設けておき、各保管倉庫3の入出庫用の入庫コンベヤ17、出庫コンベヤ18に対してそれぞれ物品を入出庫するようにできる。
【0092】
また、レール51またはレール52の各トラバーサに対して定められた搬入コンベヤ15bと搬出コンベヤ15aまたは、入庫コンベヤ17と出庫コンベヤ18がそれぞれ隣接して配置されている場合には、レール51またはレール52のトラバーサ4b,4eが、隣接する搬入コンベヤ15bと搬出コンベヤ15a間または、入庫コンベヤ17と出庫コンベヤ18間を移動するため、この隣のトラバーサ4a、4cに定められている搬入コンベヤ14bと搬出コンベヤ14a間と、搬入コンベヤ16bと搬出コンベヤ16a間とを除いた移動可能範囲における位置として台車間移載の前記移動の制御を行うことで、搬入コンベヤ14bと搬出コンベヤ14a間と、搬入コンベヤ16bと搬出コンベヤ16a間には台車間移載を行うトラバーサが並列することがないので、隣のトラバーサ4a、4cが、定められた搬入コンベヤ14bと搬出コンベヤ14a間、または、搬入コンベヤ16bと搬出コンベヤ16a間へ移動する際に、隣接するトラバーサ4a、4b、4cどうしが接触するようなことがなく隣のトラバーサの移動を妨げることがない。
【0093】
また、レール51の搬入コンベヤ14b、15b、16bと搬出コンベヤ14a、15a,16aは、物品搬入出用の生産ラインにおける搬入出用物品移載箇所であり、レール51の各トラバーサ4a、4b、4cは、搬入コンベヤ14b、15b、16bと搬出コンベヤ14a、15a,16aで物品を移載し、レール52の入庫コンベヤ17と出庫コンベヤ18は、物品入出庫用の保管倉庫3における入出庫用物品移載箇所であり、レール52のトラバーサ4d,4e,4fは、入庫コンベヤ17と出庫コンベヤ18で物品を移載する。これによれば、物品搬入出用の生産ラインから搬出される物品は、搬出コンベヤ14a、15a,16aでレール51の各トラバーサ4a、4b、4cに移載される。搬出された物品を移載したレール51のトラバーサ4a、4b、4cは、レール52のトラバーサ4d,4e,4fとそれぞれ台車間移載を行う。搬入された物品を移載したレール52のトラバーサ4d,4e,4fは、入庫コンベヤ17で物品を移載することで、入庫コンベヤ17から物品を保管倉庫3等に保管させるようにできる。逆に、出庫コンベヤ18から出庫された物品は、レール52のトラバーサ4d,4e,4fに移載される。出庫された物品を移載したレール52のトラバーサ4d,4e,4fは、レール51のトラバーサ4a、4b、4cと記台車間移載をそれぞれ行う。物品を移載したレール51のトラバーサ4a、4b、4cは、搬入コンベヤ14b、15b、16bに物品を移載することで、搬入コンベヤ14b、15b、16bは、保管倉庫3から出庫された物品を生産ラインへ搬入することができる。
【0094】
このように制御することで、隣接するトラバーサ4a,4b,4c同士が互いに干渉されないようにし、低コストの簡易な台車PLC24であっても制御できるように制御条件を簡素化することができる。
【0095】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0096】
例えば、前記実施例では、各レールにトラバーサを3台ずつ設けているが、2台でも、4台以上組み合わせてもよい。
【0097】
また、前記実施例では、各グループS1〜S3に一台ずつのトラバーサ4a,4b,4cとトラバーサ4d,4e,4fとを割り当てて運用しているが、各グループS1〜S3に複数台ずつのトラバーサを割り当てて運用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 物品搬送装置
2 コンテナ(物品)
3 保管倉庫
4a,4b,4c トラバーサ(物品搬送台車)
4d,4e,4f トラバーサ(物品搬送台車)
51,52 レール(走行路)
10 位置検出センサ
12 地上盤(地上部)
14a 搬出コンベヤ(搬入出部,物品移載箇所)
14b 搬入コンベヤ(搬入出部,物品移載箇所)
15a 搬出コンベヤ(搬入出部,物品移載箇所)
15b 搬入コンベヤ(搬入出部,物品移載箇所)
16a 搬出コンベヤ(搬入出部,物品移載箇所)
16b 搬入コンベヤ(搬入出部,物品移載箇所)
17 入庫コンベヤ(物品移載箇所)
18 出庫コンベヤ(物品移載箇所)
21 スタッカクレーン(物品保管倉庫)
23 動作PLC(制御手段,台車制御手段)
24 台車PLC(制御手段,統括制御手段)
26 搬入出コンベヤPLC
27 入出庫コンベヤPLC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品搬送台車が一列で走行する並設された第1および第2の走行路と、前記物品搬送台車の各走行路における移動を制御する制御手段とを有する物品搬送装置であって、
前記制御手段は、前記第1および第2の走行路の外側に物品を移載する外側移載の際に、各走行路上の前記物品搬送台車ごとに定められた物品移載箇所への前記物品搬送台車の移動をそれぞれ制御するとともに、前記第1の走行路の物品搬送台車と、前記第2の走行路の物品搬送台車間で物品を移載する台車間移載の際に双方の物品搬送台車が並列する位置への双方の物品搬送台車の移動をそれぞれ制御し、
前記第1の走行路の各物品搬送台車と、前記第2の走行路の物品搬送台車とは、各走行路上の前記物品搬送台車ごとに定められた物品移載箇所を含む領域ごとに各走行路上の移動可能範囲が定められ、
前記第1の走行路の各物品搬送台車は、前記台車間移載を行う、1または複数の前記第2の走行路の物品搬送台車がそれぞれ定められており、当該台車間移載を行う物品搬送台車の前記移動可能範囲は、前記第1の走行路と前記第2の走行路とで当該物品搬送台車が並列可能な重複領域を含んでおり、当該重複領域は、当該台車間移載を行う双方の物品搬送台車の各走行路上の隣接する物品搬送台車は移動不可範囲として定められていることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記第1または第2の走行路の前記物品搬送台車に対して定められた前記移動可能範囲上に、前記物品移載箇所が複数隣接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記第1の走行路の前記物品移載箇所は、物品搬入出用の搬入出部における搬入出用物品移載箇所であり、前記第1の走行路の各物品搬送台車は、該搬入出用物品移載箇所で物品を移載し、
前記第2の走行路の前記物品移載箇所は、物品入出庫用の入出庫部における入出庫用物品移載箇所であり、前記第2の走行路の物品搬送台車は、該入出庫用物品移載箇所で物品を移載することを特徴とする請求項1または2に記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−23343(P2013−23343A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160061(P2011−160061)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】