説明

物干し竿掛け具

【課題】腕部材を所望の角度に支持することが可能で使い勝手の良い物干し竿掛け具を提供する。
【解決手段】腕部2を支持具に対して角度を変えて支持することが可能な物干し竿掛け具1において、支持軸33を摺動・係止孔の基端側の端部に位置させた状態で回動することにより腕部2の腕側係止部が支持部3の支持部側係止部に係脱可能であり、摺動・係止孔を支持軸33を基端側の端部に位置させて回動することにより腕側係止部を支持部側係止部から抜脱させた状態で支持軸33に沿って先端側に移動させたときに腕部2の基端に突設させた腕側係止部が支持部3に設置した各支持部側係止部に当接せずに先端側位置において支持軸33を中心として回動可能な軸線方向の長さを有するものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物の壁面やベランダの壁面に一対を所定間隔で設置され、突出させた腕部に形成した受け部に洗濯物を干すための物干し竿を掛け渡して使用する物干し竿掛け具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、物干し竿が支持される腕部と、腕部の基端を壁面等に保持するための支持部とからなり、物干し竿の受け部を有する腕部がその基部に形成された摺動・係止孔を建物の壁面などに取り付けるための支持部における対向して配置される一対の側板間に形成される開口部に枢支された支持軸に嵌挿させて支持されており、前記腕部を前記支持部の軸部において摺動・回動させることにより前記腕部に突設された腕側係止部を前記支持具の前記支持軸から等距離に且つ所定の角度位置に設けられた複数の支持具側係止部のいずれかに係脱することにより前記腕部を前記支持具に対して角度を変えて支持することが可能な物干し竿掛け具が知られており、例えば実公平7−13668号公報、実公平8−1758号公報などに提示されている。
【0003】
しかしなから、前記公報に提示されているような従来のこの種の物干し竿掛け具は、例えば図9に示すように、支持軸が複数であったり、摺動・係止孔が分岐した複雑な形状であり、製作が容易でなく、また、腕の支持を重視した反面、腕部の仰伏操作が複雑に鳴るという問題があった。
【0004】
また、1つの支持軸と1つの摺動・係止孔を用いた簡潔な構成とした低コストで作成可能な物干し竿掛け具が、特開2003−63086号公報に提示されている物干し竿掛け具は、高い位置に取り付けた場合に用いられることを前提としたものであり、腕部を斜め下方に向けて保持可能としたものであって、上方へ向けて支持させることができないと問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平7−13668号公報
【特許文献2】実公平8−1758号公報
【特許文献3】特開2003−63086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、比較的簡潔な構成で低コストに作成が可能であるばかりか、腕部材を下方だけでなく上方に向けても所望の角度に支持することが可能で使い勝手の良い物干し竿掛け具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するためになされた本発明は、物干し竿の受け部を有する腕部がその基部に形成された摺動・係止孔を建物の壁面などに取り付けるための支持部における対向して配置される一対の側板間に形成される開口部に枢支された支持軸に嵌挿させて支持されており、前記腕部を前記支持部の軸部において摺動・回動させることにより前記腕部に突設された腕側係止部を前記支持具の前記支持軸から等距離に且つ所定の角度位置に設けられた複数の支持具側係止部のいずれかに係脱することにより前記腕部を前記支持具に対して角度を変えて支持することが可能な物干し竿掛け具において、前記腕部の前記腕側係止
部が前記腕部の基端における上下方向の中心位置に上向きの鈎状を有して突設されており、前記摺動・係止孔が前記腕部における長さ方向の中心軸線に沿って形成される所定の長さを有する1つの長孔からなるとともに前記支持部の支持軸が前記支持部の中心軸線位置に配置された1つからなるとともにこの支持軸を中心として複数の前記腕側係止部と互いに噛み合う下向きの鈎状を呈する支持部側係止部が前記支持部の中心軸線位置に配置された支持軸を中心として等距離に且つそれぞれ中心軸を中心として所望の角度を有して前記開口部に向けて設置されており、前記支持軸は前記摺動・係止孔の基端側の端部に位置させた状態で回動することにより前記腕部の腕側係止部が前記支持部の支持部側係止部に係脱可能であり、前記摺動・係止孔が前記支持軸を基端側の端部に位置させて回動することにより前記腕側係止部を前記支持部側係止部から抜脱させた状態で支持軸に沿って先端側に移動させたときに前記腕部の基端に突設させた腕側係止部が前記支持部に設置した各支持部側係止部に当接せずに前記先端側位置において支持軸を中心として回動可能な軸線方向の長さを有していることを特徴とする。
【0008】
また、本発明において、前記摺動・係止孔の基端に腕部の斜め下前方へ延びる所定長さの連通孔が形成されている場合には腕部材を下方に向けた垂直状態にすることが可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複雑な構成でなく、低コストに作成が可能であるばかりか、腕部材を下方だけでなく上方に向けても所望の角度に支持することが可能で使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示すもので(a)は側面図、(b)は正面図。
【図2】図1に示した実施の形態の使用方法を示す縦断面図。
【図3】図1に示した実施の形態の使用方法を示す縦断面図。
【図4】図1に示した実施の形態の使用方法を示す縦断面図。
【図5】図1に示した実施の形態の使用方法を示す縦断面図。
【図6】図1に示した実施の形態の使用方法を示す縦断面図。
【図7】異なる実施の形態の使用方法を示す縦断面図。
【図8】本発明の異なる実施の形態についての縦断面図。
【図9】従来例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0012】
図1乃至図7は本発明の好ましい実施の形態を示すものであり、物干し竿掛け具1は、主として物干し竿(図示せず)を受ける腕部2と前記腕部2の基部22を支持して建物の壁部やベランダ(図示せず)に取り付ける支持部3とからなり、左右一対が用いられる。
【0013】
そして、腕部2は、長尺の適宜の厚さを有する板状であり、従来から用いられているものと同様に全長にわたって環状の物干し竿の受け部21を所定の間隔を有して形成したものであり、基部22に中心軸線X1に沿って所定の位置に所定の長さを有する1つの長孔である摺動・係止孔23が形成されているとともに基端には上下方向の中心位置に上向きの鈎状を有して腕側係止部24が突設されている。
【0014】
支持部3は、ねじ孔により形成される壁面などへの取付部31,31を有する背板32と前記腕部2に形成したけ摺動・係止孔22を嵌挿する支持軸33を枢支する一対の側板34,34とを有して平面がコ字形の上下ならびに前方を開口した前記腕部2の基部22
を挿入支持する開口部35が形成されている。
【0015】
さらに、前記開口部35における背板32の内面に、前記腕側係止部24と互いに噛み合う下向きの鈎状を呈する複数の支持部側係止部36A,36B,36Cが支持軸3を中心として等距離に且つそれぞれ前記支持軸33を中心として所望の角度を有して設置されている。
【0016】
また、前記支持軸33を嵌挿する摺動・係止孔24が、支持軸33を基端側の端部に位置させて回動することにより腕側係止部24を各支持部側係止部36A,36B,36Cから抜脱させた状態で支持軸33に沿って先端側に移動させたときに前記腕部2の基端に突設させた腕側係止部24が支持部3に設置した各支持部側係止部36A,36B,36Cに当接せずに先端側位置において支持軸33を中心として回動可能な軸線方向の長さを有している。
【0017】
尚、本実施の形態では前記腕部2に形成した摺動・係止孔23には例えば下側の端縁25に開口する前記支持軸33が挿通可能な径を有するねじ孔26が形成されており、支持軸33を挿通させて止めねじ27を螺締することにより予め支持部3に支持軸33を枢着させた状態で腕部2を装着することができ、製作ならびに保守や修理、交換がきわめて容易である。
【0018】
次に、本実施の形態の使用方法について説明すると、まず、前述の如く取付部31,31を介して止めねじなどにより左右一対の物干し竿掛け具1を使用する物干し竿に合わせて所定の間隔で取り付ける(図示せず)。
【0019】
図2は腕部2の腕側係止部24が支持部3に設置した水平位置に腕部2を支持する支持部側係止部36Bに係止した状態を示すものであり、このとき、支持部3の支持軸33が摺動・係止孔22の先端に位置しており、腕部2と腕部2に掛けた物干し竿(図示せず)の加重により基端の腕側係止部24に支持軸33を支点とする上方への回転力が生じるので腕部2が支持部3に水平状態で支持されている。
【0020】
そして、例えば前記図2に示した水平状態から腕側係止部24を下側の支持部側係止部36Cを腕部2を斜め下方向に保持させる場合は、まず、図3に示すように腕部2を加重に抗して持ち上げることにより腕部2の基部22を支持軸33を中心として上方へ向けて回動し、腕側係止部24を支持部側係止部36Cから抜脱させ、次いで、図4に示すように、支持軸33が摺動・係止孔22の基端に位置するまで腕部2を先端方向へ引き、図5に示すように腕部2を先端側が下方になるように支持軸33を中心として回動してから図6に示すように腕部2を中心軸線X1に沿って基端方向に移動させて支持軸33が摺動・係止孔23の基端側に位置させ、図7に示すように、支持軸33を中心として腕部2を回動させて腕側係止部24を上側の支持部側係止部36Aに係止させて腕部2を別の支持角度に支持させることができるものである。
【0021】
このようにして腕部2を操作することにより腕側係止部24を支持部側係止部36A,36B,36Cに掛け替えることにより腕部2を複数の角度に支持して使用することができるものである。
【0022】
尚、本実施の形態では支持部側係止部36A,36B,36Cを設けて上方、水平、下方に向けた3つの支持位置を設けたが、これに限るものでなく、実施することができるものであることはいうまでもない。
【0023】
図8は、本発明の異なる実施の形態を示すものであり、全体の構成は前記図1乃至図7
に示した実施の形態とほぼ同様であるが、摺動・係止孔23の基端に腕部2の斜め下前方へ延びる所定長さの連通孔28が形成されている点が異なる。
【0024】
本実施の形態では、前記1乃至7に記載の実施の形態と同様にして使用することが可能であることはいうまでもないが、本実施の形態では、支持軸33を前記連通孔28の先端に位置させることによく、腕部2の基端に突設した腕側係止部24の支持部側係止部36Aへの干渉を解除して腕部材2を下向きの垂直状態にすることができ、特に、不使用時に邪魔にならずに配置しておくことができる。
【符号の説明】
【0025】
1 物干し竿掛け具、2 腕部、3 支持部、21 物干し受け部、22 基部、23
摺動・係止孔、24 腕側係止部、25 端部、28 連通孔、33 支持軸、35 開口部、36A,36B,36C 支持部側係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物干し竿の受け部を有する腕部がその基部に形成された摺動・係止孔を建物の壁面などに取り付けるための支持部における対向して配置される一対の側板間に形成される開口部に枢支された支持軸に嵌挿させて支持されており、前記腕部を前記支持部の軸部において摺動・回動させることにより前記腕部に突設された腕側係止部を前記支持具の前記支持軸から等距離に且つ所定の角度位置に設けられた複数の支持具側係止部のいずれかに係脱することにより前記腕部を前記支持具に対して角度を変えて支持することが可能な物干し竿掛け具であって、
前記腕部の前記腕側係止部が前記腕部の基端における上下方向の中心位置に上向きの鈎状を有して突設されており、前記摺動・係止孔が前記腕部における長さ方向の中心軸線に沿って形成される所定の長さを有する1つの長孔からなるとともに前記支持部の支持軸が前記支持部の中心軸線位置に配置された1つからなるとともにこの支持軸を中心として複数の前記腕側係止部と互いに噛み合う下向きの鈎状を呈する支持部側係止部が前記支持部の中心軸線位置に配置された支持軸を中心として等距離に且つそれぞれ支持軸を中心として所望の角度を有して前記開口部に向けて設置されており、前記支持軸は前記摺動・係止孔の基端側の端部に位置させた状態で回動することにより前記腕部の腕側係止部が前記支持部の支持部側係止部に係脱可能であり、前記摺動・係止孔が前記支持軸を基端側の端部に位置させて回動することにより前記腕側係止部を前記支持部側係止部から抜脱させた状態で支持軸に沿って先端側に移動させたときに前記腕部の基端に突設させた腕側係止部が前記支持部に設置した各支持部側係止部に当接せずに前記先端側位置において支持軸を中心として回動可能な軸線方向の長さを有していることを特徴とする物干し竿掛け具。
【請求項2】
前記摺動・係止孔の基端に腕部の斜め下前方へ延びる所定長さの連通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の物干し竿掛け具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−63188(P2013−63188A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203835(P2011−203835)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(598001397)株式会社フロンテア (19)