説明

物理探査システムおよび加速度検出ユニット

【課題】複数の加速度検出ユニットを用いて目的物の探査を行う物理探査システムにおいて、各加速度検出ユニットの設置に過度の労力を要することなく、目的物の正確な探査を行う。
【解決手段】複数の加速度検出ユニットを有する物理探査システムであって、加速度検出ユニットのそれぞれは、少なくとも一軸の加速度検出軸を有し、該加速度検出軸に沿った加速度を検出する加速度検出部と、物理探査システムによって目的物の探査が行われる場所の地磁気を検出する地磁気検出部と、地磁気検出部によって検出された地磁気の方向に基づいて所定の補正軸を設定し、該所定の補正軸に従って加速度検出部によって検出された加速度を補正する補正部と、を備える。そして、それぞれの加速度検出ユニットが備える補正部において設定された所定の補正軸に従って、該補正部によって補正された加速度のそれぞれの整合がとられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサの加速度検出に基づいて地中に存在する目的物の探査を行う物理探査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地中に存在する目的物を探査する方法として地震探査法が知られている。当該地震探査法では、地表近くで爆薬や起震車両等により振動を発生させ、地中にその振動を伝播させる。そして、その伝播振動は、例えば地中の岩盤の固さが変化する領域(障害物、擾乱、岩石層の変化)において、伝播速度が変化し、一部反射する。そこでこの反射した信号を加速度センサで検出することで、地中の目的物の空間的位置を測ることが可能となる(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−147130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地中に存在する目的物を探査する方法として、地中から伝播する振動を加速度センサで検出する方法や、地表近くで発生させた振動を地中に伝播させ、その反射振動を同様に加速度センサで検出する方法がある。本発明は、これらの方法を含み、地中で受ける加速度に基づいて地中の目的物の探査を行う物理探査システムの課題を解決しようとするものである。
【0005】
ここで、地中の目的物をより正確に探査するためにも、地中からの加速度をより多くの検出ユニットで検出するのが好ましい。実際に、現在においても通常100個程度の検出ユニットを用い、多い場合には1万個以上の検出ユニットを用いることもある。ここで、検出ユニットには、少なくとも一軸の加速度検出軸が設けられ、場合によっては二軸、三軸の検出軸が設けられる。このように検出ユニットに設けられた検出軸は、検出ユニットが複数個となることで検出ユニット間の軸の向きが一致せず、それぞれの検出値を目的物の正確な探査のために使用することが困難となる可能性がある。また、探査に当たり検出ユニットを設置する際に、加速度の検出軸の向きを揃えるようにしてもよいが、検出ユニットに設置に要する労力がその数とともに増大する。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、複数の加速度検出ユニットを用いて目的物の探査を行う物理探査システムにおいて、各加速度検出ユニットの設置に過度の労力を要することなく、目的物の正確な探査を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明に係る物理探査システムにおいて、加速度検出ユニットに地磁気を検出する地磁気検出部を設け、その検出された地磁気に従って、検出された加速度を補正することとした。地磁気は、地球の磁場によって形成されるものであって、物理探査システムが探査を行う範囲内では概ね同一と考えられる。そこで、この地磁気を各加速度検出ユニットに共通し得る絶対座標軸的として利用することで、たとえ設置時に各加速度検出ユニットにおける加速度検出軸にばらつきがあったとしても、この地磁気を利用してそのばらつきを抑えるように各加速度検出ユニットの出力を補正することが可能となる。
【0008】
詳細には、本発明は、地中で受ける加速度を検出する加速度検出ユニットを複数有し、該加速度検出ユニットからの出力に基づいて地中に存在する目的物を探査する物理探査システムであって、前記加速度検出ユニットのそれぞれは、少なくとも一軸の加速度検出軸を有し、該加速度検出軸に沿った加速度を検出する加速度検出部と、前記物理探査システムによって目的物の探査が行われる場所の地磁気を検出する地磁気検出部と、前記地磁気検出部によって検出された地磁気の方向に基づいて所定の補正軸を設定し、該所定の補正軸に従って前記加速度検出部によって検出された加速度を補正する補正部と、を備える。そして、前記物理探査システムは、それぞれの前記加速度検出ユニットが備える前記補正部において設定された前記所定の補正軸に従って、該補正部によって補正された加速度のそれぞれの整合をとることで、目的物の探査を行う。
【0009】
本発明に係る物理探査システムでは、加速度検出部によって検出された加速度に基づいて地中の目標物の探査が行われる。なお、加速度検出ユニットが検出するのは、上述したような地震探査法(すなわち、地表近くで発生させた振動の反射波を検知することで目的物の探査を行う方法)による加速度だけではなく、地中の様々な要因によって生じる振動に起因する加速度も含まれ、更にこれら以外の加速度であっても、それが地中の目的物の存在に起因するものであれば構わない。
【0010】
ここで、加速度検出部によって検出される加速度の検出軸方向は、各加速度検出ユニット毎にばらつく可能性がある。しかし、上記物理探査システムでは、地磁気検出部によって行われる、いわば絶対座標軸的な探査場所における地磁気の検出と、補正部によって行われる、所定の補正軸の設定および加速度の補正によって、物理探査システムは、各加速度検出ユニットから出力される補正後の加速度の整合をとることが可能となる。すなわち、加速度検出ユニット毎にばらつきが極めて少ない地磁気に基づいた所定の補正軸が設定されることで、元来、検出方向にばらつきがある加速度検出ユニット毎の検出加速度を、当該所定の補正軸に従わせることにより、各加速度検出ユニットから最終的に出力される加速度の向きのばらつきを抑えることができ、以て目的物の探査を極めて高精度に行うことができる。
【0011】
付言すると、地磁気に基づいた所定の補正軸が加速度検出ユニット毎に設定されることになるため、加速度検出部の加速度検出軸の向きを考慮しながら慎重に加速度検出ユニットの設置を行う必要がなくなる。したがって、本発明に係る物理探査システムでは、目的物の探査を行うに当たり、加速度検出ユニットの設置に要する労力を軽減しながらも、高精度な探査が自動的に担保されることになる。
【0012】
ここで、上記物理探査システムにおいて、前記加速度検出ユニットのそれぞれが備える前記補正部は、前記地磁気検出部によって検出された地磁気方向に基づいて、前記加速度検出ユニットの全てに共通する前記所定の補正軸を設定し、該共通の所定の補正軸に従って、前記加速度検出部によって検出された加速度を補正し、前記物理探査システムは、前記共通の所定の補正軸に従って、前記加速度検出ユニットの前記補正部によって補正された加速度から目的物の探査を行うようにしてもよい。このように、各加速度検出ユニットが備える補正部が設定する所定の補正軸を当所から共通する軸、例えば、地磁気のS極からN極へ向かう軸に設定しておけば、各加速度検出ユニットから出力信号を得る物理探査システムの本体側での処理を軽減することができる。もちろん、各加速度検出ユニットで設定される所定の補正軸を異なるものとしてもよいが、その場合でも、所定の補正軸は各加速度検出ユニットにおいて共通の地磁気に基づいて設定されたものであるから、異なる所定の補正軸同士の相関関係は物理探査システムにとっては既知であり、したがって、各加速度検出ユニット間での加速度の整合をとることは可能である。
【0013】
また、上述までの物理探査システムにおいて、前記加速度検出ユニットのそれぞれが備える前記地磁気検出部は、検出される地磁気方向が直交するように二軸の地磁気検出軸を有し、そして、前記加速度検出ユニットのそれぞれが備える前記補正部は、前記二軸の地磁気検出軸に基づいて前記所定の補正軸を設定するようにしてもよい。このようにすることで、地磁気の方向をより正確に検出することが可能となる。また、加速度検出部が二軸以上の加速度検出軸を有する場合には、そのうち二軸の加速度検出軸によって形成される平面と、この二軸の地磁気検出軸を同一平面上に配置させることで、加速度検出部による検出加速度の補正を容易に行うことができる。また、地磁気検出軸は、三軸以上であってもよい。一般的に、その軸数が増えることにより地磁気検出におけるS/N比が高くなるため、より正確な地磁気の検出が可能となる。
【0014】
ここで、上述までの物理探査システムにおいて、前記加速度検出ユニットのそれぞれが備える前記加速度検出部は、水平方向に直交する二軸の加速度検出軸と、鉛直方向の一軸の加速度検出軸とを有し、該加速度検出ユニットが探査場所に設置されたときの各加速度検出軸の初期検出値に基づいて、各加速度検出軸の検出値を補正し、該補正値を加速度検出部の検出値として出力するように構成してもよい。各加速度検出軸の設置時の初期検出値を利用することで、加速度検出ユニット毎に、各加速度検出軸に対応する基準面に対する加速度検出ユニットのずれを補正することができる。その上で、上述したように、地磁気を用いた加速度検出ユニット同士のずれを補正することで、最終的には、より正確な目的物の探査を行うことができる。
【0015】
さらに、本発明を物理探査システムに使用される加速度センサユニットの側面からも捉えることができる。すなわち、本発明は、地中に存在する目的物の探査を行う物理探査システムにおいて複数使用される加速度検出ユニットであって、少なくとも一軸の加速度検出軸を有し、該加速度検出軸に沿った加速度を検出する加速度検出部と、前記物理探査システムによって目的物の探査が行われる場所の地磁気を検出する地磁気検出部と、前記地磁気検出部によって検出された地磁気の方向に基づいて所定の補正軸を設定し、該所定の補正軸に従って前記加速度検出部によって検出された加速度を補正する補正部と、前記補正部によって補正された加速度を、前記物理探査システムに含まれる複数の加速度検出ユニットのうちの一の加速度検出ユニットの検出として、該物理探査システムに出力する出力部と、を備える。また、上述までの物理探査システムに関する技術的思想は、この加速度センサユニットにも適用可能である。
【発明の効果】
【0016】
複数の加速度検出ユニットを用いて目的物の探査を行う物理探査システムにおいて、各加速度検出ユニットの設置に過度の労力を要することなく、目的物の正確な探査を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る物理探査システムの概略構成図である。
【図2】本発明に係る物理探査システムに含まれる加速度検出ユニットとデータ収集装置との接続関係を示す図である。
【図3】図2に示す加速度検出ユニットの機能ブロック図である。
【図4】加速度検出ユニットの傾斜を説明する概念図である。
【図5】地磁気を検出するための原理を示す図である。
【図6】図2に示す複数の加速度検出ユニット間の加速度検出軸がずれた状態を示す図である。
【図7】図2に示す加速度検出ユニットが傾いた状態で設置されたときに、該ユニットに作用する加速度を示す図である。
【図8】図2に示す加速度検出ユニットで実行される初期化制御のフローを示す図である。
【図9】図2に示す加速度検出ユニットで実行される加速度検出制御のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る物理探査システム1の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、地中に存在する原油等のリザーバを探査するための物理探査システム1の概略構成を示す。物理探査システム1は、振動源から発せられ地中を伝播する振動波が、地中のリザーバに到達したときに生じる反射波を、加速度を介して検出し、それによりリザーバが地中のどの領域に位置するのかを判断するという、いわゆる地震探査法を用いた地中の探査を行う。地震探査法自体は公知の技術であるため、本明細書ではその詳細な説明は省略する。
【0020】
地震探査法により反射波に基づいて地中のリザーバを効率的に検知するためには、反射波によって生じる加速度の大きさ、向きをより正確に捕らえることが必要であり、そこで、本実施例では、後述する図3に示すようにx軸、y軸、z軸の三軸からなる加速度検出軸を有する加速度検出ユニット10が用いられる。x軸、y軸はともに直交するとともに、水平面を形成する検出軸であり、z軸は鉛直方向に延びる検出軸である。このように互いに直交する三軸の加速度検出軸を有する加速度検出ユニット10を用いることで、反射波によって生じる加速度の大きさと向きを正確に検出でき、地中のリザーバの効率的な探査に貢献する。
【0021】
このような加速度検出ユニット10によって行われる加速度検出に基づく地震探査法では、当然のことながら加速度検出ユニット10の数を可及的に増やし、反射波の検出エリアをより広く、且つよりその検出密度をより高密度にするのが好ましい。このようにすることで、地中に存在するリザーバの広がる領域をより正確に探査することが可能となる。そこで、本実施例に係る物理探査システム1では、図2に示すように、複数の加速度検出ユニット10を網羅的に接続し、各加速度検出ユニット10からの出力値、すなわち各加速度検出ユニットが有している三軸の加速度検出軸での加速度の値を、統括的にデータの収集を行うデータ収集装置2に集約し、そこで収集データを解析することで、地中に存在するリザーバの探査が行われる。
【0022】
そこで、まず物理探査システム1の概略構成について、図2に基づいて説明する。物理探査システム1では、複数の加速度検出ユニット10が通信ライン5によって直列に連結された状態で、データ収集スレーブ装置3に接続されている。そして、更にデータ収集スレーブ装置3同士が、通信ラインであるLAN回線6によって接続されるとともに、これらのデータ収集スレーブ装置3とデータ収集装置2との中継を行う中継装置4がLAN回線6によって接続される。したがって、最終的に加速度のデータが集約されるデータ収集装置2と各加速度検出ユニット10は、データ収集スレーブ装置3、中継装置4を介して接続されることになる。
【0023】
このデータ収集スレーブ装置3は、一台が担当する複数の加速度検出ユニット10から送られてくる出力としての加速度データを、一時的にバッファし、データ収集装置2での処理能力に応じて、それをある程度まとめて又は順次該データ収集装置2へと送信する。このとき、データ収集スレーブ装置3とデータ収集装置2との距離が長くなりすぎると送信信号の減衰が顕著となるため、そのような場合に中継装置4による信号増幅が行われる。また、データ収集装置2は、各加速度検出ユニット10からの出力データの集約の開始
、または停止の制御を行うが、地震探査法を行う物理探査システム1では、正確な加速度データの収集の観点から、この開始、停止信号の伝送は極めて重要である。そこで、本実施例では、この出力データ集約の開始、停止を行う制御信号は、LAN回線6とは別に敷設された制御回線7(図2中、点線で示される)を介して、データ収集装置2から各データ収集スレーブ装置3へと送られる。
【0024】
このように多数の加速度検出ユニット10を含む物理探査システム1では、地中からの反射波をより広い領域で、且つ高密度で検出することができるため、地中のリザーバの探査が効率的に行われることが期待される。しかし、上述したように、各加速度検出ユニット10には三軸の加速度センサが設けられており、特に水平面を形成する二軸の加速度センサ(x軸およびy軸の加速度センサ)においては、加速度検出ユニット間でその軸の向きにずれが生じている場合がある。そのような場合、ある加速度検出ユニット10のx軸の加速度検出値と、別の加速度検出ユニット10のx軸の加速度検出値とでは、物理的に同条件下での検出値と言うことができない。そのため、全ての加速度検出ユニット10における加速度検出軸の向きを事前に揃えるべくその設置を行おうとすると、当該設置に要する労力は極めて大きくなり、これはより正確な探査を行おうとして加速度検出ユニットの数が増加するほど顕著となる。
【0025】
そこで、物理探査システム1に含まれる加速度検出ユニット10では、水平面を形成するx軸およびy軸の加速度センサの検出軸の向きの、加速度検出ユニット10間のずれを踏まえ、各加速度検出ユニット10での物理的条件が同じとなるように補正をすることで、より正確な探査が行えるように加速度検出ユニット10を図3に示すように構成した。なお、図3は、加速度検出ユニット10を構成する各種センサと、これらによる検出値を処理するための機能部をイメージ化して示したものである。ここで、示される機能部は、加速度検出ユニット10に含まれる演算処理装置内で所定の制御プログラムが実行されることで、または加速度検出ユニット10に含まれるデバイスを利用して実現される。以下に、加速度検出ユニット10の構成について、図3に基づいて説明する。
【0026】
加速度検出ユニット10には、上述したように互いに直交するx軸、y軸、z軸の三軸の加速度センサ11x、11y、11zが設けられている。これらの加速度センサは受けた加速度に応じた電圧を出力するものであり、これらにより三次元での加速度検出が可能となっている。ここで、加速度検出ユニット10では、各軸の加速度センサによる検出値がそのままデータ収集スレーブ装置3に送られるのではなく、加速度検出ユニット10が設置された斜面の傾斜状況に基づいて、検出された加速度の傾斜補正が加速度センサ傾斜補正部12aによって行われる。一方で、加速度検出ユニット10には、加速度センサ11x〜11zの検出値を補正するために用いられる第一地磁気センサ13aと第二地磁気センサ13bが設けられ、これらの地磁気センサはその検出方向が互いに直交している。そして、当該ユニット10では、検出加速度の場合と同様に、これらの地磁気センサの検出値に対する斜面の傾斜状況に基づいた傾斜補正が、地磁気センサ傾斜補正部12bによって行われる。そして、これらの傾斜補正された検出加速度と検出地磁気を利用して、補正軸決定部14と加速度補正部15によって検出加速度の補正(以下、「地磁気補正」という。)が行われた後に、出力部16によってデータ収集スレーブ装置3へのデータ送信が行われる。
【0027】
ここで、加速度センサ傾斜補正部12aによる各加速度検出軸での傾斜補正について図4に基づいて説明する。加速度検出ユニット10における設置時の傾斜については、当該傾斜状態では、加速度検出ユニット10は、図4に示すように、X軸回りで角度ψ、Y軸回りで角度θ傾いている状態であると考える。ここで、加速度ユニット10に搭載される三台の加速度センサ11x、11y、11zが、基準水平面に設置された際のセンサ出力(基準出力)をVx、Vy、Vzとする。この基準水平面については、X軸とY軸によっ
て水平面が形成され、Z軸方向にのみ重力による加速度が作用する。したがって、基準水平面における各加速度センサの出力は、Vx=0、Vy=0、Vz=1Gである。
【0028】
そして、加速度検出ユニット10が斜面に配置された状態でのセンサの出力を、各軸それぞれvx、vy、vzとすると、一般的なオイラーの式により、以下の式1が成立する。
【数1】

ここで、上記行列において、
Cψ=cosψ、Cθ=cosθ、Sψ=sinψ、Sθ=sinθである。
【0029】
上記式1に従うことで、各加速度センサによって検出された検出値を利用することで、Cψ等の各パラメータの値が算出される。このように加速度センサ傾斜補正部12aは、各加速度センサの基準出力を利用することで、加速度検出ユニットが配置されている斜面の傾斜に関するパラメータを算出する。
【0030】
次に、地磁気センサ傾斜補正部12bによる各地磁気センサ13a、13bの傾斜補正について説明する。なお、第一地磁気センサ13aおよび第二地磁気センサ13bは、MI効果(Magneto Impedance Effect)を応用した地磁気センサであり、検出される外部磁界の方向が互いに直交するように配置されている。詳細には、第一地磁気センサ13aの地磁気検出軸は、x軸加速度センサ11xの検出軸と同じ向きであり、第二地磁気センサ13bの地磁気検出軸は、y軸加速度センサ11yの検出軸と同じ向きである。
【0031】
ここで、第一地磁気センサ13aによって直接検出される磁場成分をHx、第二地磁気センサ13bによって直接検出される磁場成分をHyとすると、加速度検知ユニット10が設置される場所での地磁気の向きは、北向き(Y軸)から方位角θhだけ傾く。そして、この方位角θhについては、以下の式が成立する。
tanθh=Hx/Hy ・・・(式2)
【0032】
ただし、この第一地磁気センサ13aおよび第二地磁気センサ13bも加速度検出ユニット10内に収容されているため、これらも加速度センサと同様に、加速度検出ユニット10の傾斜状態の影響を受ける。そこで、加速度センサ傾斜補正部12aによって算出された、傾斜に関する上記パラメータ(Cψ等)を利用して、地磁気センサ傾斜補正部12bは、各地磁気センサの直接の検出値の補正を、以下に示す式3に従って行う。ここで、地球における北方向をY軸とし、それに対応する第二地磁気センサ13bの出力をVnyとし、該Y軸に直交するX軸に対応する第一地磁気センサ13aの出力をVxyとするとともに、傾斜状態に設置されたときの第二地磁気センサ13bと第一地磁気センサ13aの出力をvny、vsxとする。
【数2】

【0033】
以上が、加速度センサ傾斜補正部12aおよび地磁気センサ傾斜補正部12bによる傾斜補正であるが、次に、補正軸決定部14と加速度補正部15による地磁気補正について説明する。上述したように、物理探査システム1においては複数の加速度検出ユニット10が接続されるため、同じ加速度検出軸であっても加速度検出ユニット間において軸の方向にずれが生じ、加速度検出のための物理的条件が一致しない状況が生まれる。その状態で加速度検出を行っても、正確な地中探査を行うことの妨げとなる虞がある。そこで、補正軸決定部14と加速度補正部15による地磁気補正は、この加速度検出ユニット間での加速度検出軸の方向のずれによる影響を、地磁気センサの検出を利用して解消するものである。
【0034】
ここで、図6に、一つのモデルとして、二つの加速度検出ユニット10においてx軸とy軸がずれた状態を示す。各加速度検出ユニット10の内部では、それぞれのx軸、y軸とは互いに直交しているが(図6中のx1とy1、x2とy2)、加速度検出ユニット10間では、向きが大きくずれている。このように加速度検出ユニット10間で、各加速度検出軸の物理的条件が異なると、それぞれの軸で検出された加速度の意味も異なってくるため、地中のリザーバの正確な探査が困難となる。そこで、本実施例での地磁気補正では、これらの加速度検出ユニット10に共通する補正軸(補正x軸、補正y軸)が補正軸決定部14によって決定される。
【0035】
具体的には、補正軸決定部14は、図6に示す共通の補正軸を決定するための重要な要素である、各加速度検出ユニットにおける地磁気の向きを表す方位角を算出する。式2に示すように、一応の方位角はθhで算出されるが、これには加速度検出ユニットの傾斜状態が反映されていない。そこで、より正確な方位角φは、式3による算出結果を利用して以下の式4で表すことができる。
【数3】

【0036】
すなわち、この方位角φは、各加速度検出ユニットが、共通の補正軸(Y軸)となる気方向を向く軸からZ軸周りにどの程度回転した状態に配置されているかを表す角である。したがって、補正軸決定部14は、この方位角φを算出することにより、図6に示すような複数の加速度検出ユニットに共通する補正軸を決定することになる。
【0037】
次に加速度補正部15であるが、上記式1、3、4に基づいて、各加速度検出ユニットに共通する軸、すなわち補正軸決定部14が決定した軸に従って、各加速度検出ユニットが有する三軸の加速度を補正する。言い換えると、上記式1、3、4で算出されたオイラー角ψ、θ、φを利用することで、各加速度検出ユニット毎に、そこで検出された三軸の加速度を共通の補正軸へ変換する。具体的には、下記の式5に従って、加速度補正部15は、各加速度センサによって直接に検出された加速度の補正を行う。
【数4】

ここで、上記行列において、
Cφ=cosφ、Sφ=sinφであり、Vgx、Vgy、Vgzは、各軸の補正後の出力である。
この加速度補正部15の働きにより、各加速度検出ユニットから出力される加速度に関するデータが、共通の軸に従ったデータとなる。なお、この補正後の加速度のデータは、出力部16によってデータ収集スレーブ装置3に送信される。
【0038】
そして、各加速度検出ユニット10の出力部16から送信された補正加速度は、データ収集スレーブ装置3のバッファ部31に一時的に蓄積され、その後データ収集装置2からの指示に従って、最終的にデータ収集装置2の補正加速度収集部21に集約される。そして、ここに集約された補正後の加速度データに基づいて、目的物探査部22が、地中の様子をディスプレイ(図示せず)に表示し、目的物の探査を行う。
【0039】
ここで、加速度検出ユニット10には、該ユニットが検出場所に設置されたときに、当該設置状態が加速度の検出に好ましい状態ではないことを検知するための設置エラー通知部17a、17bが設けられる。設置エラー通知部17aは、三台の加速度センサ11x〜11zによって直接検出される加速度(加速度センサ傾斜補正部12aによって補正される前の加速度)に基づいて、設置エラーの通知を行い、設置エラー通知部17bは、二台の地磁気センサ13a〜13bによって直接検出される地磁気(地磁気センサ傾斜補正部12bによって補正される前の地磁気)に基づいて、設置エラーの通知を行う。
【0040】
先ず、設置エラー通知部17aによるエラー通知について説明する。図7は、加速度検出ユニット10が斜面に設置された場合の、該ユニット作用する加速度を表した図である。なお、x軸とy軸については、両軸とも水平面を構成する軸であり、本実施例では代表的にx軸についてのみ説明を行う。当業者においては、y軸についてもx軸と同様の現象が生じることは理解できる。図7(a)は加速度検出ユニット10がその設置時において、x軸における基準水平面より角度θxだけ傾斜して設置されている状態を示している。
【0041】
ここで、図7(b)に示すように、x軸加速度センサ11xに水平軸(傾斜が無ければ本来x軸となった軸)に沿った加速度axが作用したとき、当該センサには重力加速度gに起因するx軸方向の加速度も作用している。したがって、x軸加速度センサの出力電圧をvxとすると、vxは以下に示す式6で表すことができる。
vx=V0・(ax・cosθx−g・sinθx)+Voffsetx ・・・(式6)
V0:加速度1Gあたりの出力電圧
Voffsetx:加速度がかかっていない状態におけるオフセット電圧であり、これはユニット使用前に計測により既知とされる。
【0042】
式6を変形し、次ぎの式を得る。
vx=V0・ax・cosθx+(Voffsetx−V0・g・sinθx) ・・・(式7)
ここで、VX=Voffsetx−V0・g・sinθx ・・・(式8)とおくと、
式7より次ぎの式9を得る。
vx=V0・ax・cosθx+VX ・・・(式9)
【0043】
ここで、VXは、x軸加速度センサ11xにx軸方向の加速度axが作用していないとき、すなわち加速度検出ユニット10が所定の箇所に設置されたときの初期検出値であることが分かる。この初期検出値VXは、式3よりオフセット電圧とx軸方向における傾斜角を反映するものであるから、この初期検出値を利用することで、加速度検出ユニット10が設置されたときのx軸方向の傾斜角θxを算出することが可能である。そこで、加速度センサ傾斜補正部12aは、以下の式10に従って傾斜角θxを算出する。
【数5】

同様にy軸の傾斜角θyも以下の式11に従って算出される。
【数6】

なお、Voffsety、VYの定義は、Voffsetx、VXの定義に準ずる。
【0044】
次に、図7(c)に基づいてz軸における傾斜補正について説明する。図7(c)に示すように、z軸加速度センサ11zに鉛直軸(傾斜が無ければ本来z軸となった軸)に沿った加速度azが作用したとき、当該センサには重力加速度gに起因するz軸方向の加速度も作用している。したがって、z軸加速度センサ11zの出力電圧をvzとすると、vzは以下に示す式12で表すことができる。
vz=V0・(az・cosθz−g・cosθz)+Voffsetz ・・・(式12)
V0:加速度1Gあたりの出力電圧
Voffsetz:加速度がかかっていない状態におけるオフセット電圧であり、これはユニット使用前に計測により既知とされる。
【0045】
式12を変形し、次ぎの式13を得る。
vx=V0・az・cosθz+(Voffsetz−V0・g・cosθz) ・・・(式13)
ここで、VZ=Voffsetz−V0・g・cosθz ・・・(式14)とおくと、式13より次ぎの式15を得る。
vz=V0・az・cosθz+VZ ・・・(式15)
【0046】
また、θzは、θxとθyとの幾何学的相関により、以下の式で算出される。
【数7】

【0047】
ここで、x軸加速度センサ11xの初期検出値と、y軸加速度センサ11yの初期検出値に基づいて、式5および式6からθxとθyを算出することが可能である。そして、更に式11から、θzを算出することが可能である。このとき算出されたθxとθyが仮に
5°であったとすると、各軸の加速度センサの出力電圧は以下のようになる。
vx=0.996・V0・ax+VX ・・・(式17)
vy=0.996・V0・ay+VY ・・・(式18)
vz=0.992・V0・az+VZ ・・・(式19)
【0048】
このように傾斜角θx、θyが5°程度であれば、初期検出値VX、VY、VZを除き、加速度検出ユニット10が傾斜することによる影響は微小であると考えられる。そこで、設置エラー通知部17aによるエラー通知は、傾斜角θx、θyが5°を超える場合には、初期検出値VX、VY、VZを除いても傾斜角の影響が無視できない程度であると判断し、エラーを通知する。この制御については、後述する。
【0049】
次に、設置エラー通知部17bによるエラー通知ついて説明する。当該通知部は、第一地磁気センサ13aと第二地磁気センサ13bによって直接算出された地磁気の方位角(すなわち、地磁気センサ傾斜補正部12bによって補正される前の検出結果に従った方位角)であって、式2によって算出される方位角が利用される。具体的には、加速度検出ユニット10が始めて設置されたときの方位角と加速度検出時の方位角との差分が、一定の値を超えるとき、該加速度ユニット10の向きが大きく変動し、該加速度ユニット10は加速度の検出に適切な状態にはないと考えて、エラーを通知するものである。この制御については、後述する。
【0050】
以上までが、本実施例に係る物理探査システムおよび加速度検出ユニットの構成である。当該物理探査システム1では、各加速度検出ユニット10において、共通の基準軸となる補正軸が決定され、それに従って各加速度センサの検出値が補正されるため、加速度検出ユニット間に存在する加速度検出軸のばらつきによる影響を解消することができる。その結果、地中の目的物の探査をより正確に行うことができる。また、地磁気を利用して補正軸を決定するため、安定した共通軸に基づいた補正が可能となる。そのため、加速度検知ユニット10の設置において、各軸の加速度センサの向きをそれほど厳密に揃える必要がなくなり、これはユーザの負担軽減に資する。
【0051】
ここで、物理探査システム1における加速度検出のための制御について、図8および図9に基づいて説明する。図8は、物理探査システム1の設置時に行われる初期化制御のフローを示す。この初期化制御は、上記設置エラー通知部17a、17bによって実行される。先ず、S101では、加速度検出ユニット10に設置されている三軸の加速度センサにおける初期検出値VX、VY、VZが検出される。これらの初期検出値は、上記の通り、各加速度センサのオフセット出力と設置された位置の傾斜角を反映するセンサの出力値である。次に、S102では、式10および式11に従って、x軸における傾斜角θxとy軸における傾斜角θyが算出される。その後、S103で、検出された傾斜角θxとθyのうち少なくともいずれかが5°以下であるか否かが判定される。この閾値である5°は、上述したように加速度検知ユニット10の加速度検知を傾斜角に影響なく行えるか否かの観点から決定されたものである。S103で肯定判定されるとS104へ進み、否定判定されるとS106へ進む。
【0052】
S104では、第一地磁気センサ13aと第二地磁気センサ13bとによって地磁気の検出が行われ、更にS105では、この時点での地磁気の方位角を初期地磁気方位角θh0として決定する。
【0053】
また、S106では、S103で否定判定されたことをもって、ユーザに対して加速度検出ユニットの設置エラーを通知する。すなわち、傾斜角θxまたはθyの少なくともいずれかが5°を超えた状態となっているため、その傾斜角の影響により正確な加速度検出が困難であると判断し、設置エラーを通知するものであり、当該通知は、設置エラー通知
部17aによって実行される。通知されたユーザは、それをデータ収集装置2のディスプレイ上で確認でき、再度、該当する加速度検出ユニット10の設置をやり直すか、当該加速度検出ユニット10によるデータ収集を停止するかを決める。
【0054】
このように図8に示す初期化制御により、各加速度検出ユニット10を適切な状態にスタンバイさせることができる。なお、S105で決定された初期地磁気方位角θh0は、後述する加速度検出制御において使用される。
【0055】
次に、図9に基づいて、加速度検出制御が行われる。この加速度検出制御により、各加速度検出ユニット10による加速度の検出が行われる。まず、S201では、加速度検出のための指示をデータ収集装置2から受け、検出が開始される。次に、S202では、加速度検出ユニット10が置かれた状態で、傾斜角が5°以内にあるか否かが判定される。当該判定処理は、図8に示すS103の判定処理と実質的に同一である。S202で肯定判定されるとS203へ進み、否定判定されるとS211へ進む。なお、S211では、ユーザへの設置エラーの通知が行われる。当該通知は、上記S106における通知と同じである。
【0056】
S203では第一地磁気センサ13aおよび第二地磁気センサ13bによって、当該処理が行われる時点での地磁気方位角θhの検出が行われる。この処理は、図8に示すS104およびS105の処理と実質的に同一である。その後、S204で、初期化制御で決定された初期地磁気方位角θh0とS203で検出された地磁気方位角θhの差の絶対値が、10°以内に収まっているか否かが判定される。すなわち、当該判定処理では、加速度検出ユニット10が設置された時点と計測が行われている時点とで、各地磁気センサの向きにずれが生じていないかが判断される。これが判断されることで、何らかの理由で設置当所と比べてずれが大きくなってしまった加速度検出ユニット10を検知することができ、場合によってはデータの収集を行うユニットとしての立場を剥奪してもよい。そこで、S204で肯定判定されるとS205へ進み、否定判定されるとS211へ進む。なお、S211では、ユーザへの設置エラーの通知が行われる。当該通知は、設置エラー通知部17bによる通知となる。
【0057】
そして、S205以降の処理において、加速度検出ユニット10による加速度データの検出が行われることになる。まず、S205では、三軸の加速度センサによる加速度の検出と、二軸の地磁気センサによる地磁気の検出が行われる。ここで検出される加速度は、いわば補正がされていない生の加速度データである。次に、S206で、この検出された加速度データに対して、上記加速度センサ傾斜補正部12aによる傾斜補正処理が行われる。
【0058】
その後、S207で、第一、第二地磁気センサによって検出された地磁気データに対して、上記地磁気センサ傾斜補正部12bによる傾斜補正が行われる。その後、S208で、S206およびS207の処理の結果も踏まえて、上記補正軸決定部による共通補正軸に関する重要な要素である方位角φが決定され、以て補正用共通軸の設定が行われることになる。この結果、S209の処理により、式5で示した検出加速度の補正のための補正行列(式5を参照)が確定され、S210において、上記加速度補正部15によって加速度の補正処理が行われる。
【0059】
また、S211のエラー通知が行われた後は、当該加速度検出ユニット10での加速度検出は中止される(S212)。
【0060】
このように図8に示す初期化制御と図9に示す加速度検出制御によって、物理探査システム1の地震探査法による地中のリザーバの探査を正確に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0061】
1 物理探査システム
2 データ収集装置
3 データ収集スレーブ装置
10 加速度検出ユニット
11x x軸加速度センサ
11y y軸加速度センサ
11z z軸加速度センサ
13a 第一地磁気センサ
13b 第二地磁気センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中で受ける加速度を検出する加速度検出ユニットを複数有し、該加速度検出ユニットからの出力に基づいて地中に存在する目的物を探査する物理探査システムであって、
前記加速度検出ユニットのそれぞれは、
少なくとも一軸の加速度検出軸を有し、該加速度検出軸に沿った加速度を検出する加速度検出部と、
前記物理探査システムによって目的物の探査が行われる場所の地磁気を検出する地磁気検出部と、
前記地磁気検出部によって検出された地磁気の方向に基づいて所定の補正軸を設定し、該所定の補正軸に従って前記加速度検出部によって検出された加速度を補正する補正部と、を備え、
前記物理探査システムは、それぞれの前記加速度検出ユニットが備える前記補正部において設定された前記所定の補正軸に従って、該補正部によって補正された加速度のそれぞれの整合をとることで、目的物の探査を行う、
物理探査システム。
【請求項2】
前記加速度検出ユニットのそれぞれが備える前記補正部は、前記地磁気検出部によって検出された地磁気方向に基づいて、前記加速度検出ユニットの全てに共通する前記所定の補正軸を設定し、該共通の所定の補正軸に従って、前記加速度検出部によって検出された加速度を補正し、
前記物理探査システムは、前記共通の所定の補正軸に従って、前記加速度検出ユニットの前記補正部によって補正された加速度から目的物の探査を行う、
請求項1に記載の物理探査システム。
【請求項3】
前記加速度検出ユニットのそれぞれが備える前記地磁気検出部は、検出される地磁気方向が直交するように二軸の地磁気検出軸を有し、
前記加速度検出ユニットのそれぞれが備える前記補正部は、前記二軸の地磁気検出軸に基づいて前記所定の補正軸を設定する、
請求項1又は請求項2に記載の物理探査システム。
【請求項4】
前記加速度検出ユニットのそれぞれが備える前記加速度検出部は、水平方向に直交する二軸の加速度検出軸と、鉛直方向の一軸の加速度検出軸とを有し、該加速度検出ユニットが探査場所に設置されたときの各加速度検出軸の初期検出値に基づいて、各加速度検出軸の検出値を補正し、該補正値を加速度検出部の検出値として出力する、
請求項1から請求項3の何れかに記載の物理探査システム。
【請求項5】
地中に存在する目的物の探査を行う物理探査システムにおいて複数使用される加速度検出ユニットであって、
少なくとも一軸の加速度検出軸を有し、該加速度検出軸に沿った加速度を検出する加速度検出部と、
前記物理探査システムによって目的物の探査が行われる場所の地磁気を検出する地磁気検出部と、
前記地磁気検出部によって検出された地磁気の方向に基づいて所定の補正軸を設定し、該所定の補正軸に従って前記加速度検出部によって検出された加速度を補正する補正部と、
前記補正部によって補正された加速度を、前記物理探査システムに含まれる複数の加速度検出ユニットのうちの一の加速度検出ユニットの検出として、該物理探査システムに出力する出力部と、
を備える加速度検出ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−169533(P2010−169533A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12327(P2009−12327)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【出願人】(504117958)独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (101)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(597024522)サンコーコンサルタント株式会社 (14)