特に血液自動分析機においてチューブを取り扱う装置及び方法
【課題】ラックを取り扱うことの可能な、構造が簡単で、信頼性があり且つ有効な機器を提供することを主な課題とする。
【手段】この機器は、夫々製品試料が収納された複数のチューブ(3)のための支持体を構成している少なくとも一つのラック(2)を移動させるためのラック移動装置(20)と、前記製品試料を抽出するための手段(50)を有し、前記ラック移動装置が、前記ラック(2)の移動中に前記ラック(2)を案内するためのガイド手段(21)と前記ガイド手段(21)を揺り動かすための揺り動かし手段(27)とを有し、これら装置が機器のシャーシに取り付けられている。
【手段】この機器は、夫々製品試料が収納された複数のチューブ(3)のための支持体を構成している少なくとも一つのラック(2)を移動させるためのラック移動装置(20)と、前記製品試料を抽出するための手段(50)を有し、前記ラック移動装置が、前記ラック(2)の移動中に前記ラック(2)を案内するためのガイド手段(21)と前記ガイド手段(21)を揺り動かすための揺り動かし手段(27)とを有し、これら装置が機器のシャーシに取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析機、特に血液自動分析機においてチューブ用ラックを取り扱う装置に関するものである。また、本発明は、同分析機においてラックを移動させる方法に関するものである。
【0002】
以下においては、血液サンプルの分析について言及するが、それに限定されるものでないことが銘記されなければならない。
【背景技術】
【0003】
分析するために、サンプル、特に血液サンプルは、通常、複数のチューブ中に収納される。各チューブは、針等を突き刺すことの可能なストッパーによって気密にシールされている。チューブからの試料の抽出は、抽出針をストッパーに貫通させることにより実施される。簡単に取り扱えるようにするために、これらチューブは複数のラック内に配置される。各ラックは、略同一平面において互いに平行に横に並んだ状態の例えば5本のチューブを収容することができる。
【0004】
分析機においてラックが移動される最中に、ラックは様々な取り扱い操作に晒される。通常、それらの取り扱い操作としては、
・ラックを分析機にローディングする操作と、
・分析を一旦実施した時に、ラックを分析機からアンロードする操作と、
・装置においてラックを移動させる操作、特に、ローディング位置と、分析位置と、アンロード位置との間を移動させる操作と、
・チューブの内容物を均質化させるために同内容物を攪拌する操作がある。内容物のそのような均質化は、チューブから抽出されたサンプル試料がチューブの内容物の現実の標本であることを担保させるために、特に血液サンプルの場合に有益である。
【0005】
殆どの自動ハエマトロジー装置(haematology device)においては、水平ローディング装置が用いられている。その水平ローディング装置は、嵩張り、高価であって、構造が複雑である。更に、その装置は、複雑であるため、信頼性の点における問題点を露呈する可能性がある。そのようなローディング装置は、特許文献1及び2において開示されている。この種の別の自動装置は、マグネチックバーティカルローディング(magnetic vertical loading)を採用している。そのようなマグネチックローディングは、特に特許文献3において開示され、各ラックに固定される金属プレートを必要とし、底部から上方へ移動させることによりラックをロード又はアンロードするための空気機器(pneumatic device)を用いている。
【0006】
そのようなローディング装置では、チューブを揺り動かすことの確実性を担保することができない。
【0007】
自動分析機におけるラックの移動は、通常、ストッパーを上側にしてチューブを略垂直にした状態で線状に実施される。そのラックは、通常、レールによって案内される。そのように移動させる装置においても、チューブを揺り動かすことの確実性を担保することはできない。特許文献3には、揺り動かし装置としても機能するコンベアベルトを採用した移動装置が開示されている。そのような解決策は、チューブ内の内容物の完全な均質化を可能にするものではない。また、そのような装置には、高価で、信頼性に限界があるという問題点が残されている。
【0008】
コンベアベルト以外に、揺り動かしのための装置が、特許文献1,2,4及び5において開示されている。これらの装置は、ラックから取り除かれた少なくとも一つのチューブを、又は、チューブを収容したラックを揺り動かすことが可能であるが、高価で且つ構造が複雑である。実際に、それら装置は、移動装置においてラック又はチューブを揺り動かすための機構と、揺り動かす前にそれらラック又はチューブを引っ込め且つ揺り動かし後に元に戻すための機構を必要とする。
【0009】
必要なサンプリング操作がラックのチューブにおいて一旦実施されるや否や、ラックはレセプタクル(receptacle)内に配置される。そのような装置は、特許文献1及び2において開示されている。特許文献3は、空気機器によって動かされるバーティカルエジェクションシステム(vertical ejection system)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】FR2692358
【特許文献2】FR2812088
【特許文献3】US4609017
【特許文献4】US4921676
【特許文献5】US4518264
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、自動分析機においてラックを取り扱うことの可能な、構造が簡単で、信頼性があり且つ有益な装置を提供することを目的とする。そのような装置は、小さな研究室において使用するのに適した自動機器に採用することができる。
【0012】
本発明の別の目的は、本発明による装置において用いるのに適した、ラックを取り扱う方法を提供することにある。
【0013】
本発明の更に別の目的は、本発明による装置を含んだ、特に血液自動分析機の如き機器及び/又は本発明による方法を実施するための装置を提供することにある。
【0014】
本発明の第一の目的を達成する機器は、夫々製品試料が収納された複数のチューブのための支持体を構成している少なくとも一つのラックを移動させるためのラック移動装置と前記製品試料を抽出するための手段とを有し、前記ラック移動装置が、前記ラックの移動中に前記ラックを案内するためのガイド手段と前記ガイド手段を揺り動かすための揺り動かし手段とを有し、前記ラック移動装置が前記機器のシャーシに取り付けられている。この機器は、自動製品分析機、特に血液自動分析機として好適である。
【0015】
有益なことに、ガイド手段は、揺り動かし中にラックが機器に適切に保持されるようにラックを保持するための手段である。このガイド手段は、ラックに設けられた相補的係合手段と協働するレールであってもよい。この場合には、そのレールは略C字状の断面を有し、その両縁部が互いに対向する方向に伸びてリブを構成し、それらリブが、前記相補的係合手段としてラックに設けられた例えば溝と係合するよう構成される。そのような構成は、レールのリブとラックの相補的係合手段としての溝との協働によって、ラックがガイドされる時にラックが確実に保持されることを可能にさせる。
【0016】
ラック移動装置は、ラックに設けられた第二の相補的係合手段、例えば、ナット形態のものと好ましくは部分的に協働するウォーム手段を含んでいてもよい。このウォーム手段を回転駆動させるためにステッピング走行モータを設けることができる。こうして、機器におけるラックの位置を何時でも認識することができ、それは、どのチューブの内容物が分析されているかについて認識することを確実にさせる。
【0017】
その走行モータは、ガイド手段に確りと固定されているのが好ましい。この場合には、ラックが揺り動かされても、ガイド手段に対するウォーム手段の相対回転が生ずることはなく、従って、ガイド手段、例えば、レールに沿ったラックの移動が行われる。
【0018】
揺り動かし手段は、例えば、チューブを垂直に近い下向き位置と垂直に近い上向き位置との間を揺動させるために、ラックの移動方向と平行な軸を中心としてラックを回転させることを可能にするように設計するのが好ましく、そのような揺り動かしによって、オペレータの手作業で実施されるラック揺り動かしの場合の効率と同じ効率の揺り動かしを再現することができる。
【0019】
完全なオートメーション化のためには、本発明による機器は、ラックのためのローディング装置及び/またはアンローディング装置を含んでいるのが有益であり、それら装置は、機器のシャーシに固定するのが好ましい。
【0020】
ローディング装置は、複数のラックが積み重なれて収容されることを可能にする収容手段を含んでいてもよい。その収容手段は、収容手段内の複数のラックが自重で移動することを可能にさせるように設計することができる。「先入れ先出し」の排出原理に適合させるために、ローディング装置は、収容手段内に積み重ねられたラックの最下段のラックを排出させるための手段を含んでいてもよい。
【0021】
そのラック排出手段は、ラックに設けられた、例えば、ナット形態の相補的係合手段と係合するウォームと、このウォームを駆動させるための、好ましくはステッピングタイプのモータを含んでいてもよい。
【0022】
そのウォームはウォームの回転軸と平行な平面を備えた切取り面部を有しているのが有益で、その切取り面部の平面によってウォームのねじすじが遮断されていて、その切取り面部は、ウォームが前記軸を中心として回転した後にラックと係合するような位置にラックがつくことを許容するように構成されている。
【0023】
本発明による機器用のアンローディング装置は、アンロードされたラックを受けるためのレセプタクルを含んでいるのが有益である。ラック移動装置は、ラックを受けるレセプタクルのラック受け領域にラックをダイレクトに移動させるよう構成することができる。
【0024】
レセプタクルを、例えば、機器の一方の側で、略水平方向で且つラック移動装置におけるラックの移動軸に対して略直交する方向へ伸ばし、機器が、レセプタクルのその伸長方向へ、各ラックをラックの厚みに少なくも相当する距離だけ転送させるための手段を含んでいるのが有益である。この転送手段は、ステッピングモータによって駆動される少なくとも一つのカムを有している。
【0025】
ラックを移動させるためのウォーム手段を備えた本発明による機器を有しているシステム、特に、血液分析システムは、そのウォーム手段と協働するための、一緒になってナット形態に構成される複数の凹部を備えたラックを有しているのが有益である。そのようなラックは、チューブのストッパーと対向するサンプリング壁を有するクローズドタイプのものであってもよく、そのサンプリング壁はサンプリング針が貫通することのできる開口を有している。
【0026】
本発明の第二の目的による、機器におけるチューブを取り扱う方法は、チューブの支持体として機能するラック内に複数のチューブを配置する工程と、機器においてチューブを案内及び保持するためのガイド手段を使用する工程と、ガイド手段を揺り動かす工程を含んでいる。
【0027】
そのような方法は、血液製品が収容されたチューブを移動させ且つその血液製品を分析する目的でチューブ内の血液製品を均質化させるために用いるのに有益である。
【0028】
本発明の別の特徴及び利点については、本発明の非限定的な実施形態についての後述する説明を参照することにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明による血液自動分析機1を示した図である。この自動分析機は、複数のラック2を取り扱うことができる。特に図8に示したように、各ラック2は、分析される製品、図示実施形態においては、血液製品が夫々収納された5本のチューブを収容することができるよう構成されている。自動分析機1は、ラック2用のローディング装置10と、ラック2用の移動・揺り動かし装置20と、ラック2用のアンローディング装置30を含んでいる。図1を簡略化させるために、アンローディング装置30は部分的に図示されている。移動・揺り動かし装置20は、複数のチューブのうちの一つの中の血液試料のための中間サンプリング位置を通過させることにより、ラックをローディング位置からアンローディング位置へ移動させることができるように設けられている。この移動・揺り動かし装置は、チューブの内容物をサンプリングする前に同内容物を均質化させるという目的でチューブを揺り動かすことを可能にするために設けられた揺り動かし手段27を含んでいる。
【0030】
自動分析機1は、図1中に部分的に示されたサンプリング針51を含んだサンプリング装置50と、サンプリング針によって抽出された試料の分析手段(図示せず)を更に有している。
【0031】
更に、自動分析機1は、上述した全ての装置10,20,30,27,50並びに分析手段を支持しているシャーシ4を有している。
【0032】
茲で、図1に示した自動分析機1において使用することの可能なラック2について、図7及び図8を参照して説明する。図示のラック2は、箱型に成形されている。この箱は、背面壁61と、背面壁61に直交して背面壁を取り囲んでいる四つのサイド壁62,63,63,64を有している。図示のラック2は、5本までのチューブ3を収容することができるよう構成され、その全体が図8に示されている。チューブ3は、背面壁61に平行になった状態で背面壁61に対して着脱自在にスナップ止めされている。チューブ2をラック2内に簡単に導入し且つラックからチューブ2を簡単に取り出すことができるようにするために、背面壁61と対向する側は完全に開口されている。サイド壁は、背面壁61から略一定の高さまで起立して、厚さE2を構成している。図示実施形態においては、複数のラックは、互いに同一に構成されている。
【0033】
各チューブ3は、それらのストッパー6がサイド壁のうちのサンプリング壁62側に面するように配置される。サンプリング壁62には、複数のサンプリング開口67が設けられている(特に、図2,4及び6参照)。サンプリング針51が、図1に示したように、開口67を通過し、チューブ3のストッパー6を貫通して、同チューブからサンプルを抽出することができるように、各開口67は、ラック2内に収容された対応のチューブ3のストッパー6と向き合うよう形成されている。
【0034】
サンプリング壁62と向き合っているサイド壁64は、ラックのベースを構成している。ベース64の外面には、ベース64に沿って設けられた複数の突起リブによって区画された複数の凹部65が設けられており、これら凹部65は、分析機においてラックを移動させるために、一緒になって、後述するウォームと係合することの可能なナット形態の相補的係合部を構成している。ラック2は、ベース64の両側縁に沿ってベース64と平行に伸びてサイド壁63まで達している溝66を更に有し、これら溝66は、分析機においてラックを並進案内させるためのガイドレール21(特に、図4参照)と係合するよう設けられている。
【0035】
茲で、図2を参照して、ローディング装置10について詳細に説明する。図示実施形態においては、ローディング装置は、ローディング位置で複数のラック2が互いに上下に積み重ねられて収容される収容手段11を有している。
【0036】
収容手段11は後方へ若干傾斜している。それ故、収容手段11の背面壁110は傾斜路を構成し、この傾斜路110は、各ラック2のベース64が傾斜路に対して支えられるように傾斜し、それにより、ラックの上述した突起リブが正確に位置決めされることを可能にし、収容手段内に積載されたラックの移動が自重で達成されるようになっている。
【0037】
ローディング位置において、ラックの背面壁61はチューブの上方に位置し、サンプリング壁62は自動分析機の前方に向けられる。ローディング装置は、先入れ先出しの原則に従って作動する。即ち、積み重ねられた複数のラック2のうちの、所謂底部位置にあるラックが、最初に、それに収容されたチューブの内容物を分析するためにローディング装置から排出される。未だ排出されていないラックの移動は、それらが底部位置に達するまで自重で実施される。図2は、排出の過程にある一つのラックと、収容手段内で徐々に新たな位置につきつつあるその他のラックを示している。
【0038】
茲で、図3を参照して、収容手段11からラックを排出させるための手段について説明する。その排出手段は、ローディングモータ13と、水平な回転軸X14を有するローディングウォーム(loading worm)14を有している。そのウォーム14は、モータ13によって駆動されるようになっていて、そのモータ13はステッピングモータである。
【0039】
ウォーム14は、ラックが底部位置にある時にそのラックの複数の凹部65(図8参照)と係合することができるように、収容手段11の後に配置されている。図7に示したように、ウォーム14は切取り面部141を有している。その切取り面部141においては、ウォーム14の回転軸X14と平行な切取り面部141の平面P141によってウォームのねじすじが遮断されている。それ故、図7に示した位置においては、収容手段の底部位置に向かってラック2がD方向へ降下することを可能にするために、ウォーム14の切取り面部141は回転軸X14に対して前方へ位置するよう配置されている。このような構成によって、ウォーム14が存在することによって邪魔されることなく、ラックが底部位置につくことが可能になる。ラックが底部位置についた時に、ウォーム14がモータ13によって回転され、それにより、ラックを移動・揺り動かし装置20へ導入させるためにラックを排出させることが可能になる。ウォーム14のピッチは、排出過程中のラックが収容手段11のベースを構成しているプレート15に向かって下方へ押されることを可能にするように配向されている。プレート15は、移動・揺り動かし装置20に対する位置決めのための基準として機能する。
【0040】
移動・揺り動かし装置20は、自動分析機1の残りの部分とは切り離して図4〜6に詳細に示されている。移動・揺り動かし装置20は、ウォーム14の回転軸と整列位置している移動軸X20を中心として組立てられている。図1に示したように、移動・揺り動かし装置20は、自動分析機の前側で自動分析機を横切って、ローディング装置10寄りの基部端201とアンローディング装置30寄りの遠位端202との間を延びている。
【0041】
移動・揺り動かし装置20は、ラックを並進ガイドする手段21を有している。特に図9に示したように、ガイド手段21は、軸X20を中心とした断面略C字状のレールを構成している。その略C字状のレールの両縁部は互いに対向する方向に伸びたリブ211を有している。リブ211は、ラック2のベース64の両側に設けられた溝66と係合するものとして構成されている。レール21は、軸X20と同軸的な筒部を構成している内側面212を有している。図示実施形態においては、移動・揺り動かし装置20の取り付けを可能にするために、例えば、レール21は、軸X20を含む平面に沿って対称な二つの部分によって構成されている。
【0042】
移動・揺り動かし装置20は、ラックをレール21に沿って長手方向へ移動させるための移動手段を更に有している。この移動手段は、軸X20と同軸的な駆動シャフト25に取り付けられた複数のウォーム22,23を含んでいる。第一のウォーム22は、レール21の基部端201寄りに配置され、第二のウォーム23はレール21の遠位端202寄りに配置されている。
【0043】
ウォーム22,23は、レール21の内部に回転自在に配置されている。駆動シャフト25は、二つの部分から構成されたベアリング213によって支持されている。そのベアリングの各部は、対応のレール部分と一体に形成されている。シャフト25及びそれに支持されているウォームは、走行モータ24によって回転駆動されるようになっている。走行モータ24は、レール21に対して取り付け固定されている。この走行モータ24は、ステップモータであるのが有益である。
【0044】
移動・揺り動かし装置20は、揺り動かし手段27を更に有している。この揺り動かし手段27は、モータ29によって駆動されるギアピニオン28を含んでいる。このギアピニオン28は、180°より大きな内角を有する歯付きセクタである。この歯付きセクタは、移動軸X20を中心として配置されている。歯付きセクタ28は、レール21に対して確りと固定され、図示実施形態においては、レール21の少なくとも一部と一体になった片から構成されている。
【0045】
収容手段11からのラック2の排出中に、そのラックがレール21と係合するように、即ち、レール21のリブ211がラック2の溝66と係合するようにレール21は配置されている。ローディング装置10のウォーム14は、ラックがレールと係合するようになるまで、排出過程の間ラックを移動させる。第一のウォーム22は、それの基部端にウォーム14の切取り面部141と同様な切取り面部221を有している。ラックがウォーム22の切取り面部221に沿って十分にレール上を前進させられた時に、第一のウォーム22が回転させられて、収容手段11から完全に排出されるまでウォーム14の切取り面141に沿って駆動しているラックの凹部65と係合し、ラックはレール21に沿って移動し続ける。
【0046】
完全に排出されて移動・揺り動かし装置20によって取り上げられたラックは、それに収容されたチューブ内の内容物を均質化させるために揺り動かすことができる。この揺り動かしのために、揺り動かし手段27が用いられる。即ち、レールが軸X20を中心に回転させられ、それによって、レールに保持されているラックが傾けられる。それ故、収容手段11から略水平な状態で排出されたラックを、それに収納されたチューブのストッパーが下側に位置するように下方へ傾斜させ、または、チューブのストッパーが上側に位置するように上方へ傾斜させることができる。このように、ラックを交互に上方及び下方へ揺り動かすことによって、オペレータが手作業でチューブを揺り動かすのと同様な動きでチューブを揺り動かすことができる。従って、この動きは特に有益である。ラック2の溝66と係合しているガイド手段のリブ211は、ラックが、移動軸X20を中心とした如何なる位置にあろうとも、ラックの移動中又は揺り動かし中に、移動・揺り動かし装置20、従って、自動分析機に確りと保持されることを担保する。
【0047】
ウォームと揺り動かし手段とを組み合わせて使用することにより、図1に示したように、ラックを後方に若干傾斜した高い位置に移動させることもできる。即ち、そのような組合せによって、サンプル針51がラックに収納されたチューブ3から血液試料を抽出するためにチューブ3のストッパー6を貫通することができるようにストッパー6がサンプル針51と対向するようになる位置に、ラックを移動させることができる。
【0048】
好ましい実施形態においては、自動運転を中断させて、レールによって保持された一つのラック又は任意に保持された複数のラックを図示していない下方位置へ移動させることができる。この場合には、サンプリング針51に自由にアクセスすることができて、オペレータは、チューブから試料を抽出するためにチューブのストッパーにサンプリング針51を貫通させることができる。サンプリング針51は、離れたチューブからのサンプリングを容易にさせるために前方へ傾斜することができるように、水平な軸X50を中心として同軸に関節連結された揺動アーム52に取り付けられている。
【0049】
レールは、複数のラック、図示実施形態においては、二つのラックと同時に係合しつつ、それらラックを傾けるのに十分な長さを有している。新たなラックの導入中に、その新たに排出されたラックが先行するラックに追従するように、先行のラックはアンローディング装置に向かって移動させることができる。それ故、先行するラックの位置に対する後続のラックの位置を知ることができる。更に、走行モータがレールに確りと固定されているので、揺り動かしによってウォーム22,23がレール21に対して回転させられることがなく、揺り動かしの最中は、各ラックは並進運動しない状態のままとなる。更に、特に走行モータとしてステッピングモータを使用することによって、各チューブの位置を何時でも認識しつつラック2をレール21上で移動させることができる。こうして、チューブを間違えるというリスク無く、ローディング装置からアンロード装置30までラックを連続的に自動分析機において移動させることができる。
【0050】
特に、既に内容物が分析されたチューブが、内容物が分析されている最中のチューブが収容されているラックに先行するラック中に配置されている時に、例えば、結果をチェックするために、その既に分析された内容物に関して新たな分析を実施するのが有益であることがある。分析結果を得るのに必要な時間は、一つのラックに収納された複数のチューブから試料を抽出するのに必要な時間よりも短い。それ故、先行のラックがレール上に依然としてある時に、ウォーム22,23を逆方向に回転させることにより新たな分析のためにその先行のラックを後戻りさせることができる。位置決めが正確であるため、既に分析が済んだチューブは、そのチューブを間違うことがないとうい確実性をもって、再び分析することができる。
【0051】
ラックに収容されているチューブの内容物の分析が終了した後に、そのラックは、新たなチューブと共に継続的に再使用するために自動分析機から取り除くことができる。本発明による自動分析機は、図1中に部分的に図示されたアンロード装置30を有しているのが有益であり、そのアンロード装置の二つの実施形態が、図10と、図11,12に夫々図示されている。
【0052】
先ず、アンロード装置30の図10に図示された第一の実施形態について説明する。このアンロード装置30は、チューブの内容物の分析が既に完了したラックを受けるためのレセプタクル31を含んでいる。図1には、レセプタクル31のみが図示されている。このレセプタクル31は、自動分析機の右側で移動・揺り動かし装置20の遠位端202の近傍に配置されている。レセプタクル31は、移動・揺り動かし装置20から離れたラックを直ちに受領するための、レセプタクル31の前側に位置している受け領域35を含んでいる。その受け領域35は、移動・揺り動かし装置20の遠位端202の極近くで遠位端202に整合位置している。レセプタクル31は、受け領域35から自動分析機の後方へ向かって略水平に伸びている。レセプタクル31は、ラックの厚さE方向が前側から後側に向かって水平に伸びるように、ラックのベース64が下向きで且つラックの背面壁61が後方に向いた状態で垂直に配置されたラックを受けるように構成されている。
【0053】
図10に図示された実施形態においては、アンロード装置30は、アンロードされたラックを受け領域35からレセプタクル31の後部方向へ連続的に移すための転送手段32を更に含んでいる。この転送手段32は、二つのカム33を有している。これら二つのカムは水平カム軸X33を中心として回転するよう取り付けられている。そのカム軸X33は、移動軸X20と略平行になっている。カム33は、図10に図示されていないステッピングモータによってカム軸X33を中心として回転するようになっている。これらカム33は、受け領域35にあるラックの各サイド壁63に対してそれぞれ同時に支持されるようになっている。これらカムは、互いに同一に構成されている。各カムは、それの軸X33までの距離Dが軸X33までの短い距離D1と軸X33までの長い距離D2との間で少なくとも異なり且つ距離D1とD2との差がラック2の厚さE2に相当するように、カム軸X33に対して偏心したディスク状に形成されている。
【0054】
アンロードされるラックが上方へ縦に傾けられた時、即ち、サンプリング壁が上方へ向けられた時に、移動・揺り動かし装置20からのラックのアンロードが実施される。更に、受け領域に自由にアクセスすることができるようにするためには、カムは、受け領域35に対向して、軸X33までの距離が短い距離D1よりも小さいか或いは等しい距離D3の部分を有するように構成しなければならない。第二のウォーム23がラックのベース64に作用することにより、アンロードされるラックが受け領域35に移動させられる。そして、受け領域35に対向する、軸X33までの距離が徐々に増加するようにカムが回転させられる。カムが回転して軸X33までの距離がD1である部分が受け領域35と対向する方向に回転させられた時に、カムがラックと接触して、軸X33までの距離がD1である部分又はその距離よりも長い部分Dが受け領域35と対向する位置に達するまで、ラックをレセプタクル31の後部へ転送し始める。そして、受け領域35は、新たなラックのアンローディングのために再び空けられる。転送装置によって転送された各ラックは、先に転送されたラックと接触することにより、アンロードされたラックの列が徐々に作られる。レセプタクル31は、収容手段11内に収容されるラックの数と少なくとも同じ数のラックを受けることができるように設計するのが有益である。
【0055】
茲で、図11及び図12に図示した、アンローディング装置30の第二の実施形態について、図10に図示した第一の実施形態と異なる構成に関する範囲において説明する。この第二の実施形態において、受け領域35とレセプタクル31は第一の実施形態のそれらと同様に構成されている。第一の実施形態と異なっているのは、第二の実施形態において用いられている転送装置がパレットシステム70である点である。この転送装置70は、ケーシング72と、ケーシング72と一体になった単一の片より構成されたパレット71とを有している。ケーシング72とパレット71は、パレット71が受け領域35の上方でケーシング72から上方へ伸び、ケーシング72が受け領域35の下方でパレット71から下方へ伸びるように形成及び配置されている。受け領域35より下方へ建付け台が伸びていて、ケーシング72は、パレット軸X70を中心として旋回するよう建付け台に関節連結されている。パレット軸X70は、移動・揺り動かし装置20の軸X20と略平行になっている。パレット軸X70はケーシング72の底部を横方向に貫通するよう配置されている。
【0056】
図11は、転送システム70が待機位置にある状態を示している。また、図12は、転送システム70がラック押圧位置にある状態を示している。転送システム70は、パレット軸X70を中心として待機位置とラック押圧位置との間を旋回するよう建付け台に取り付けられている。転送システム70のこれら二つの位置間の移動は、傾倒促進手段73によって実施される。この傾倒促進手段73は、パレット軸X70と平行な偏心軸X74を中心に回転するよう設けられた偏心器74を有している。この偏心器74は、モータ75によって回転駆動される。偏心器74は、ケーシング72の互いに対向した側壁の間に位置した状態でケーシング72内に配置されて、それら対向した側壁に支持される偏心器の回転によってケーシング72が傾倒され、従って、パレット71の傾倒が齎される。
【0057】
パレット71は、ケーシング72との連結部712を有し、この連結部712は、待機位置においては、移動・揺り動かし装置20によって受け領域35に導入されたラックのために、受け領域35の前方でそのラックのガイドとして機能する平坦で垂直な壁を形成するよう構成されている。また、待機位置において、パレット71のラック押圧領域711は、連結部712から上方へ伸びて連結部712より前方へ傾斜した平坦な壁を構成している。パレット71のラック押圧領域711は、ラック押圧位置において、垂直となって受け領域35を越えて後方へ位置するよう構成されている。
【0058】
こうして、ラックが受け領域35に導入された時に、そのラックは先ず連結部712によってガイドされる。そして、ラックが受け領域に完全に位置した時、即ち、ラックが移動・揺り動かし装置20から解放された時に、パレット71がラック押圧位置まで後方へ揺動して、そのラックをレセプタクル31上において転送させて、既に先にアンロードされた何らかのラックを押すと同時に、受け領域35が空けられる。
【0059】
勿論、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、これら実施形態に対して様々な変更及び修正を加えることができる。
【0060】
特に、本発明による自動分析機は、互いに異なった複数のチューブを収容するためのラック、または、チューブのストッパーに対向する壁を有しない、所謂、オープンタイプのラックの如き、別のタイプのラックと共に用いるよう構成することができる。
【0061】
ラックを自重でローディングさせることに代えて、例えばアンローディング手段に類似した押圧手段を用いて又はスプリングの作用によってラックを例えば水平方向へ機械的にローディングさせるように構成することができる。
【0062】
ラックの揺り動かしは、ラックを360度までの或る角度回転させるように構成することもできる。然しながら、垂直に近い上方位置と垂直に近い下方位置との間のラックの揺動を可能にする少なくとも180度の角度でラックを揺動させるのが好ましい。
【0063】
上述したレールの概念は、広い意味に解釈されなければならない。例えば、レールの機能は、少なくとも部分的に磁性のガイド・保持手段によって担保させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による自動分析機の半横向きの正面斜視図である。
【図2】図1に示した自動分析機のローディング装置の半横向きの斜視図である。
【図3】図2に示したローディング装置の半横向きの縮小背面斜視図である。
【図4】図1に示した自動分析機のラック移動・揺り動かし装置の半横向き背面斜視図である。
【図5】図4に示したラック移動・揺り動かし装置の前面上方から見た斜視図である。
【図6】図4に示したラック移動・揺り動かし装置の側方から見た斜視図である。
【図7】図1に示した自動分析機へのラックのローディングを説明するための概略図である。
【図8】図1に示した自動分析機において用いるのに好適なラックの斜視図である。
【図9】図1に示した自動分析機における図8のラックのガイド及び保持を説明するための概略図である。
【図10】図1の自動分析機において採用することのできる、ラックのアンローディング装置の第一の実施形態を示した斜視図である。
【図11】図1の自動分析機において採用することのできる、ラックのアンローディング装置の第二の実施形態が待機位置にある状態を示した斜視図である。
【図12】図11に示したラックのアンローディング装置の第二の実施形態がラック押圧位置にある状態を示した斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析機、特に血液自動分析機においてチューブ用ラックを取り扱う装置に関するものである。また、本発明は、同分析機においてラックを移動させる方法に関するものである。
【0002】
以下においては、血液サンプルの分析について言及するが、それに限定されるものでないことが銘記されなければならない。
【背景技術】
【0003】
分析するために、サンプル、特に血液サンプルは、通常、複数のチューブ中に収納される。各チューブは、針等を突き刺すことの可能なストッパーによって気密にシールされている。チューブからの試料の抽出は、抽出針をストッパーに貫通させることにより実施される。簡単に取り扱えるようにするために、これらチューブは複数のラック内に配置される。各ラックは、略同一平面において互いに平行に横に並んだ状態の例えば5本のチューブを収容することができる。
【0004】
分析機においてラックが移動される最中に、ラックは様々な取り扱い操作に晒される。通常、それらの取り扱い操作としては、
・ラックを分析機にローディングする操作と、
・分析を一旦実施した時に、ラックを分析機からアンロードする操作と、
・装置においてラックを移動させる操作、特に、ローディング位置と、分析位置と、アンロード位置との間を移動させる操作と、
・チューブの内容物を均質化させるために同内容物を攪拌する操作がある。内容物のそのような均質化は、チューブから抽出されたサンプル試料がチューブの内容物の現実の標本であることを担保させるために、特に血液サンプルの場合に有益である。
【0005】
殆どの自動ハエマトロジー装置(haematology device)においては、水平ローディング装置が用いられている。その水平ローディング装置は、嵩張り、高価であって、構造が複雑である。更に、その装置は、複雑であるため、信頼性の点における問題点を露呈する可能性がある。そのようなローディング装置は、特許文献1及び2において開示されている。この種の別の自動装置は、マグネチックバーティカルローディング(magnetic vertical loading)を採用している。そのようなマグネチックローディングは、特に特許文献3において開示され、各ラックに固定される金属プレートを必要とし、底部から上方へ移動させることによりラックをロード又はアンロードするための空気機器(pneumatic device)を用いている。
【0006】
そのようなローディング装置では、チューブを揺り動かすことの確実性を担保することができない。
【0007】
自動分析機におけるラックの移動は、通常、ストッパーを上側にしてチューブを略垂直にした状態で線状に実施される。そのラックは、通常、レールによって案内される。そのように移動させる装置においても、チューブを揺り動かすことの確実性を担保することはできない。特許文献3には、揺り動かし装置としても機能するコンベアベルトを採用した移動装置が開示されている。そのような解決策は、チューブ内の内容物の完全な均質化を可能にするものではない。また、そのような装置には、高価で、信頼性に限界があるという問題点が残されている。
【0008】
コンベアベルト以外に、揺り動かしのための装置が、特許文献1,2,4及び5において開示されている。これらの装置は、ラックから取り除かれた少なくとも一つのチューブを、又は、チューブを収容したラックを揺り動かすことが可能であるが、高価で且つ構造が複雑である。実際に、それら装置は、移動装置においてラック又はチューブを揺り動かすための機構と、揺り動かす前にそれらラック又はチューブを引っ込め且つ揺り動かし後に元に戻すための機構を必要とする。
【0009】
必要なサンプリング操作がラックのチューブにおいて一旦実施されるや否や、ラックはレセプタクル(receptacle)内に配置される。そのような装置は、特許文献1及び2において開示されている。特許文献3は、空気機器によって動かされるバーティカルエジェクションシステム(vertical ejection system)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】FR2692358
【特許文献2】FR2812088
【特許文献3】US4609017
【特許文献4】US4921676
【特許文献5】US4518264
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、自動分析機においてラックを取り扱うことの可能な、構造が簡単で、信頼性があり且つ有益な装置を提供することを目的とする。そのような装置は、小さな研究室において使用するのに適した自動機器に採用することができる。
【0012】
本発明の別の目的は、本発明による装置において用いるのに適した、ラックを取り扱う方法を提供することにある。
【0013】
本発明の更に別の目的は、本発明による装置を含んだ、特に血液自動分析機の如き機器及び/又は本発明による方法を実施するための装置を提供することにある。
【0014】
本発明の第一の目的を達成する機器は、夫々製品試料が収納された複数のチューブのための支持体を構成している少なくとも一つのラックを移動させるためのラック移動装置と前記製品試料を抽出するための手段とを有し、前記ラック移動装置が、前記ラックの移動中に前記ラックを案内するためのガイド手段と前記ガイド手段を揺り動かすための揺り動かし手段とを有し、前記ラック移動装置が前記機器のシャーシに取り付けられている。この機器は、自動製品分析機、特に血液自動分析機として好適である。
【0015】
有益なことに、ガイド手段は、揺り動かし中にラックが機器に適切に保持されるようにラックを保持するための手段である。このガイド手段は、ラックに設けられた相補的係合手段と協働するレールであってもよい。この場合には、そのレールは略C字状の断面を有し、その両縁部が互いに対向する方向に伸びてリブを構成し、それらリブが、前記相補的係合手段としてラックに設けられた例えば溝と係合するよう構成される。そのような構成は、レールのリブとラックの相補的係合手段としての溝との協働によって、ラックがガイドされる時にラックが確実に保持されることを可能にさせる。
【0016】
ラック移動装置は、ラックに設けられた第二の相補的係合手段、例えば、ナット形態のものと好ましくは部分的に協働するウォーム手段を含んでいてもよい。このウォーム手段を回転駆動させるためにステッピング走行モータを設けることができる。こうして、機器におけるラックの位置を何時でも認識することができ、それは、どのチューブの内容物が分析されているかについて認識することを確実にさせる。
【0017】
その走行モータは、ガイド手段に確りと固定されているのが好ましい。この場合には、ラックが揺り動かされても、ガイド手段に対するウォーム手段の相対回転が生ずることはなく、従って、ガイド手段、例えば、レールに沿ったラックの移動が行われる。
【0018】
揺り動かし手段は、例えば、チューブを垂直に近い下向き位置と垂直に近い上向き位置との間を揺動させるために、ラックの移動方向と平行な軸を中心としてラックを回転させることを可能にするように設計するのが好ましく、そのような揺り動かしによって、オペレータの手作業で実施されるラック揺り動かしの場合の効率と同じ効率の揺り動かしを再現することができる。
【0019】
完全なオートメーション化のためには、本発明による機器は、ラックのためのローディング装置及び/またはアンローディング装置を含んでいるのが有益であり、それら装置は、機器のシャーシに固定するのが好ましい。
【0020】
ローディング装置は、複数のラックが積み重なれて収容されることを可能にする収容手段を含んでいてもよい。その収容手段は、収容手段内の複数のラックが自重で移動することを可能にさせるように設計することができる。「先入れ先出し」の排出原理に適合させるために、ローディング装置は、収容手段内に積み重ねられたラックの最下段のラックを排出させるための手段を含んでいてもよい。
【0021】
そのラック排出手段は、ラックに設けられた、例えば、ナット形態の相補的係合手段と係合するウォームと、このウォームを駆動させるための、好ましくはステッピングタイプのモータを含んでいてもよい。
【0022】
そのウォームはウォームの回転軸と平行な平面を備えた切取り面部を有しているのが有益で、その切取り面部の平面によってウォームのねじすじが遮断されていて、その切取り面部は、ウォームが前記軸を中心として回転した後にラックと係合するような位置にラックがつくことを許容するように構成されている。
【0023】
本発明による機器用のアンローディング装置は、アンロードされたラックを受けるためのレセプタクルを含んでいるのが有益である。ラック移動装置は、ラックを受けるレセプタクルのラック受け領域にラックをダイレクトに移動させるよう構成することができる。
【0024】
レセプタクルを、例えば、機器の一方の側で、略水平方向で且つラック移動装置におけるラックの移動軸に対して略直交する方向へ伸ばし、機器が、レセプタクルのその伸長方向へ、各ラックをラックの厚みに少なくも相当する距離だけ転送させるための手段を含んでいるのが有益である。この転送手段は、ステッピングモータによって駆動される少なくとも一つのカムを有している。
【0025】
ラックを移動させるためのウォーム手段を備えた本発明による機器を有しているシステム、特に、血液分析システムは、そのウォーム手段と協働するための、一緒になってナット形態に構成される複数の凹部を備えたラックを有しているのが有益である。そのようなラックは、チューブのストッパーと対向するサンプリング壁を有するクローズドタイプのものであってもよく、そのサンプリング壁はサンプリング針が貫通することのできる開口を有している。
【0026】
本発明の第二の目的による、機器におけるチューブを取り扱う方法は、チューブの支持体として機能するラック内に複数のチューブを配置する工程と、機器においてチューブを案内及び保持するためのガイド手段を使用する工程と、ガイド手段を揺り動かす工程を含んでいる。
【0027】
そのような方法は、血液製品が収容されたチューブを移動させ且つその血液製品を分析する目的でチューブ内の血液製品を均質化させるために用いるのに有益である。
【0028】
本発明の別の特徴及び利点については、本発明の非限定的な実施形態についての後述する説明を参照することにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明による血液自動分析機1を示した図である。この自動分析機は、複数のラック2を取り扱うことができる。特に図8に示したように、各ラック2は、分析される製品、図示実施形態においては、血液製品が夫々収納された5本のチューブを収容することができるよう構成されている。自動分析機1は、ラック2用のローディング装置10と、ラック2用の移動・揺り動かし装置20と、ラック2用のアンローディング装置30を含んでいる。図1を簡略化させるために、アンローディング装置30は部分的に図示されている。移動・揺り動かし装置20は、複数のチューブのうちの一つの中の血液試料のための中間サンプリング位置を通過させることにより、ラックをローディング位置からアンローディング位置へ移動させることができるように設けられている。この移動・揺り動かし装置は、チューブの内容物をサンプリングする前に同内容物を均質化させるという目的でチューブを揺り動かすことを可能にするために設けられた揺り動かし手段27を含んでいる。
【0030】
自動分析機1は、図1中に部分的に示されたサンプリング針51を含んだサンプリング装置50と、サンプリング針によって抽出された試料の分析手段(図示せず)を更に有している。
【0031】
更に、自動分析機1は、上述した全ての装置10,20,30,27,50並びに分析手段を支持しているシャーシ4を有している。
【0032】
茲で、図1に示した自動分析機1において使用することの可能なラック2について、図7及び図8を参照して説明する。図示のラック2は、箱型に成形されている。この箱は、背面壁61と、背面壁61に直交して背面壁を取り囲んでいる四つのサイド壁62,63,63,64を有している。図示のラック2は、5本までのチューブ3を収容することができるよう構成され、その全体が図8に示されている。チューブ3は、背面壁61に平行になった状態で背面壁61に対して着脱自在にスナップ止めされている。チューブ2をラック2内に簡単に導入し且つラックからチューブ2を簡単に取り出すことができるようにするために、背面壁61と対向する側は完全に開口されている。サイド壁は、背面壁61から略一定の高さまで起立して、厚さE2を構成している。図示実施形態においては、複数のラックは、互いに同一に構成されている。
【0033】
各チューブ3は、それらのストッパー6がサイド壁のうちのサンプリング壁62側に面するように配置される。サンプリング壁62には、複数のサンプリング開口67が設けられている(特に、図2,4及び6参照)。サンプリング針51が、図1に示したように、開口67を通過し、チューブ3のストッパー6を貫通して、同チューブからサンプルを抽出することができるように、各開口67は、ラック2内に収容された対応のチューブ3のストッパー6と向き合うよう形成されている。
【0034】
サンプリング壁62と向き合っているサイド壁64は、ラックのベースを構成している。ベース64の外面には、ベース64に沿って設けられた複数の突起リブによって区画された複数の凹部65が設けられており、これら凹部65は、分析機においてラックを移動させるために、一緒になって、後述するウォームと係合することの可能なナット形態の相補的係合部を構成している。ラック2は、ベース64の両側縁に沿ってベース64と平行に伸びてサイド壁63まで達している溝66を更に有し、これら溝66は、分析機においてラックを並進案内させるためのガイドレール21(特に、図4参照)と係合するよう設けられている。
【0035】
茲で、図2を参照して、ローディング装置10について詳細に説明する。図示実施形態においては、ローディング装置は、ローディング位置で複数のラック2が互いに上下に積み重ねられて収容される収容手段11を有している。
【0036】
収容手段11は後方へ若干傾斜している。それ故、収容手段11の背面壁110は傾斜路を構成し、この傾斜路110は、各ラック2のベース64が傾斜路に対して支えられるように傾斜し、それにより、ラックの上述した突起リブが正確に位置決めされることを可能にし、収容手段内に積載されたラックの移動が自重で達成されるようになっている。
【0037】
ローディング位置において、ラックの背面壁61はチューブの上方に位置し、サンプリング壁62は自動分析機の前方に向けられる。ローディング装置は、先入れ先出しの原則に従って作動する。即ち、積み重ねられた複数のラック2のうちの、所謂底部位置にあるラックが、最初に、それに収容されたチューブの内容物を分析するためにローディング装置から排出される。未だ排出されていないラックの移動は、それらが底部位置に達するまで自重で実施される。図2は、排出の過程にある一つのラックと、収容手段内で徐々に新たな位置につきつつあるその他のラックを示している。
【0038】
茲で、図3を参照して、収容手段11からラックを排出させるための手段について説明する。その排出手段は、ローディングモータ13と、水平な回転軸X14を有するローディングウォーム(loading worm)14を有している。そのウォーム14は、モータ13によって駆動されるようになっていて、そのモータ13はステッピングモータである。
【0039】
ウォーム14は、ラックが底部位置にある時にそのラックの複数の凹部65(図8参照)と係合することができるように、収容手段11の後に配置されている。図7に示したように、ウォーム14は切取り面部141を有している。その切取り面部141においては、ウォーム14の回転軸X14と平行な切取り面部141の平面P141によってウォームのねじすじが遮断されている。それ故、図7に示した位置においては、収容手段の底部位置に向かってラック2がD方向へ降下することを可能にするために、ウォーム14の切取り面部141は回転軸X14に対して前方へ位置するよう配置されている。このような構成によって、ウォーム14が存在することによって邪魔されることなく、ラックが底部位置につくことが可能になる。ラックが底部位置についた時に、ウォーム14がモータ13によって回転され、それにより、ラックを移動・揺り動かし装置20へ導入させるためにラックを排出させることが可能になる。ウォーム14のピッチは、排出過程中のラックが収容手段11のベースを構成しているプレート15に向かって下方へ押されることを可能にするように配向されている。プレート15は、移動・揺り動かし装置20に対する位置決めのための基準として機能する。
【0040】
移動・揺り動かし装置20は、自動分析機1の残りの部分とは切り離して図4〜6に詳細に示されている。移動・揺り動かし装置20は、ウォーム14の回転軸と整列位置している移動軸X20を中心として組立てられている。図1に示したように、移動・揺り動かし装置20は、自動分析機の前側で自動分析機を横切って、ローディング装置10寄りの基部端201とアンローディング装置30寄りの遠位端202との間を延びている。
【0041】
移動・揺り動かし装置20は、ラックを並進ガイドする手段21を有している。特に図9に示したように、ガイド手段21は、軸X20を中心とした断面略C字状のレールを構成している。その略C字状のレールの両縁部は互いに対向する方向に伸びたリブ211を有している。リブ211は、ラック2のベース64の両側に設けられた溝66と係合するものとして構成されている。レール21は、軸X20と同軸的な筒部を構成している内側面212を有している。図示実施形態においては、移動・揺り動かし装置20の取り付けを可能にするために、例えば、レール21は、軸X20を含む平面に沿って対称な二つの部分によって構成されている。
【0042】
移動・揺り動かし装置20は、ラックをレール21に沿って長手方向へ移動させるための移動手段を更に有している。この移動手段は、軸X20と同軸的な駆動シャフト25に取り付けられた複数のウォーム22,23を含んでいる。第一のウォーム22は、レール21の基部端201寄りに配置され、第二のウォーム23はレール21の遠位端202寄りに配置されている。
【0043】
ウォーム22,23は、レール21の内部に回転自在に配置されている。駆動シャフト25は、二つの部分から構成されたベアリング213によって支持されている。そのベアリングの各部は、対応のレール部分と一体に形成されている。シャフト25及びそれに支持されているウォームは、走行モータ24によって回転駆動されるようになっている。走行モータ24は、レール21に対して取り付け固定されている。この走行モータ24は、ステップモータであるのが有益である。
【0044】
移動・揺り動かし装置20は、揺り動かし手段27を更に有している。この揺り動かし手段27は、モータ29によって駆動されるギアピニオン28を含んでいる。このギアピニオン28は、180°より大きな内角を有する歯付きセクタである。この歯付きセクタは、移動軸X20を中心として配置されている。歯付きセクタ28は、レール21に対して確りと固定され、図示実施形態においては、レール21の少なくとも一部と一体になった片から構成されている。
【0045】
収容手段11からのラック2の排出中に、そのラックがレール21と係合するように、即ち、レール21のリブ211がラック2の溝66と係合するようにレール21は配置されている。ローディング装置10のウォーム14は、ラックがレールと係合するようになるまで、排出過程の間ラックを移動させる。第一のウォーム22は、それの基部端にウォーム14の切取り面部141と同様な切取り面部221を有している。ラックがウォーム22の切取り面部221に沿って十分にレール上を前進させられた時に、第一のウォーム22が回転させられて、収容手段11から完全に排出されるまでウォーム14の切取り面141に沿って駆動しているラックの凹部65と係合し、ラックはレール21に沿って移動し続ける。
【0046】
完全に排出されて移動・揺り動かし装置20によって取り上げられたラックは、それに収容されたチューブ内の内容物を均質化させるために揺り動かすことができる。この揺り動かしのために、揺り動かし手段27が用いられる。即ち、レールが軸X20を中心に回転させられ、それによって、レールに保持されているラックが傾けられる。それ故、収容手段11から略水平な状態で排出されたラックを、それに収納されたチューブのストッパーが下側に位置するように下方へ傾斜させ、または、チューブのストッパーが上側に位置するように上方へ傾斜させることができる。このように、ラックを交互に上方及び下方へ揺り動かすことによって、オペレータが手作業でチューブを揺り動かすのと同様な動きでチューブを揺り動かすことができる。従って、この動きは特に有益である。ラック2の溝66と係合しているガイド手段のリブ211は、ラックが、移動軸X20を中心とした如何なる位置にあろうとも、ラックの移動中又は揺り動かし中に、移動・揺り動かし装置20、従って、自動分析機に確りと保持されることを担保する。
【0047】
ウォームと揺り動かし手段とを組み合わせて使用することにより、図1に示したように、ラックを後方に若干傾斜した高い位置に移動させることもできる。即ち、そのような組合せによって、サンプル針51がラックに収納されたチューブ3から血液試料を抽出するためにチューブ3のストッパー6を貫通することができるようにストッパー6がサンプル針51と対向するようになる位置に、ラックを移動させることができる。
【0048】
好ましい実施形態においては、自動運転を中断させて、レールによって保持された一つのラック又は任意に保持された複数のラックを図示していない下方位置へ移動させることができる。この場合には、サンプリング針51に自由にアクセスすることができて、オペレータは、チューブから試料を抽出するためにチューブのストッパーにサンプリング針51を貫通させることができる。サンプリング針51は、離れたチューブからのサンプリングを容易にさせるために前方へ傾斜することができるように、水平な軸X50を中心として同軸に関節連結された揺動アーム52に取り付けられている。
【0049】
レールは、複数のラック、図示実施形態においては、二つのラックと同時に係合しつつ、それらラックを傾けるのに十分な長さを有している。新たなラックの導入中に、その新たに排出されたラックが先行するラックに追従するように、先行のラックはアンローディング装置に向かって移動させることができる。それ故、先行するラックの位置に対する後続のラックの位置を知ることができる。更に、走行モータがレールに確りと固定されているので、揺り動かしによってウォーム22,23がレール21に対して回転させられることがなく、揺り動かしの最中は、各ラックは並進運動しない状態のままとなる。更に、特に走行モータとしてステッピングモータを使用することによって、各チューブの位置を何時でも認識しつつラック2をレール21上で移動させることができる。こうして、チューブを間違えるというリスク無く、ローディング装置からアンロード装置30までラックを連続的に自動分析機において移動させることができる。
【0050】
特に、既に内容物が分析されたチューブが、内容物が分析されている最中のチューブが収容されているラックに先行するラック中に配置されている時に、例えば、結果をチェックするために、その既に分析された内容物に関して新たな分析を実施するのが有益であることがある。分析結果を得るのに必要な時間は、一つのラックに収納された複数のチューブから試料を抽出するのに必要な時間よりも短い。それ故、先行のラックがレール上に依然としてある時に、ウォーム22,23を逆方向に回転させることにより新たな分析のためにその先行のラックを後戻りさせることができる。位置決めが正確であるため、既に分析が済んだチューブは、そのチューブを間違うことがないとうい確実性をもって、再び分析することができる。
【0051】
ラックに収容されているチューブの内容物の分析が終了した後に、そのラックは、新たなチューブと共に継続的に再使用するために自動分析機から取り除くことができる。本発明による自動分析機は、図1中に部分的に図示されたアンロード装置30を有しているのが有益であり、そのアンロード装置の二つの実施形態が、図10と、図11,12に夫々図示されている。
【0052】
先ず、アンロード装置30の図10に図示された第一の実施形態について説明する。このアンロード装置30は、チューブの内容物の分析が既に完了したラックを受けるためのレセプタクル31を含んでいる。図1には、レセプタクル31のみが図示されている。このレセプタクル31は、自動分析機の右側で移動・揺り動かし装置20の遠位端202の近傍に配置されている。レセプタクル31は、移動・揺り動かし装置20から離れたラックを直ちに受領するための、レセプタクル31の前側に位置している受け領域35を含んでいる。その受け領域35は、移動・揺り動かし装置20の遠位端202の極近くで遠位端202に整合位置している。レセプタクル31は、受け領域35から自動分析機の後方へ向かって略水平に伸びている。レセプタクル31は、ラックの厚さE方向が前側から後側に向かって水平に伸びるように、ラックのベース64が下向きで且つラックの背面壁61が後方に向いた状態で垂直に配置されたラックを受けるように構成されている。
【0053】
図10に図示された実施形態においては、アンロード装置30は、アンロードされたラックを受け領域35からレセプタクル31の後部方向へ連続的に移すための転送手段32を更に含んでいる。この転送手段32は、二つのカム33を有している。これら二つのカムは水平カム軸X33を中心として回転するよう取り付けられている。そのカム軸X33は、移動軸X20と略平行になっている。カム33は、図10に図示されていないステッピングモータによってカム軸X33を中心として回転するようになっている。これらカム33は、受け領域35にあるラックの各サイド壁63に対してそれぞれ同時に支持されるようになっている。これらカムは、互いに同一に構成されている。各カムは、それの軸X33までの距離Dが軸X33までの短い距離D1と軸X33までの長い距離D2との間で少なくとも異なり且つ距離D1とD2との差がラック2の厚さE2に相当するように、カム軸X33に対して偏心したディスク状に形成されている。
【0054】
アンロードされるラックが上方へ縦に傾けられた時、即ち、サンプリング壁が上方へ向けられた時に、移動・揺り動かし装置20からのラックのアンロードが実施される。更に、受け領域に自由にアクセスすることができるようにするためには、カムは、受け領域35に対向して、軸X33までの距離が短い距離D1よりも小さいか或いは等しい距離D3の部分を有するように構成しなければならない。第二のウォーム23がラックのベース64に作用することにより、アンロードされるラックが受け領域35に移動させられる。そして、受け領域35に対向する、軸X33までの距離が徐々に増加するようにカムが回転させられる。カムが回転して軸X33までの距離がD1である部分が受け領域35と対向する方向に回転させられた時に、カムがラックと接触して、軸X33までの距離がD1である部分又はその距離よりも長い部分Dが受け領域35と対向する位置に達するまで、ラックをレセプタクル31の後部へ転送し始める。そして、受け領域35は、新たなラックのアンローディングのために再び空けられる。転送装置によって転送された各ラックは、先に転送されたラックと接触することにより、アンロードされたラックの列が徐々に作られる。レセプタクル31は、収容手段11内に収容されるラックの数と少なくとも同じ数のラックを受けることができるように設計するのが有益である。
【0055】
茲で、図11及び図12に図示した、アンローディング装置30の第二の実施形態について、図10に図示した第一の実施形態と異なる構成に関する範囲において説明する。この第二の実施形態において、受け領域35とレセプタクル31は第一の実施形態のそれらと同様に構成されている。第一の実施形態と異なっているのは、第二の実施形態において用いられている転送装置がパレットシステム70である点である。この転送装置70は、ケーシング72と、ケーシング72と一体になった単一の片より構成されたパレット71とを有している。ケーシング72とパレット71は、パレット71が受け領域35の上方でケーシング72から上方へ伸び、ケーシング72が受け領域35の下方でパレット71から下方へ伸びるように形成及び配置されている。受け領域35より下方へ建付け台が伸びていて、ケーシング72は、パレット軸X70を中心として旋回するよう建付け台に関節連結されている。パレット軸X70は、移動・揺り動かし装置20の軸X20と略平行になっている。パレット軸X70はケーシング72の底部を横方向に貫通するよう配置されている。
【0056】
図11は、転送システム70が待機位置にある状態を示している。また、図12は、転送システム70がラック押圧位置にある状態を示している。転送システム70は、パレット軸X70を中心として待機位置とラック押圧位置との間を旋回するよう建付け台に取り付けられている。転送システム70のこれら二つの位置間の移動は、傾倒促進手段73によって実施される。この傾倒促進手段73は、パレット軸X70と平行な偏心軸X74を中心に回転するよう設けられた偏心器74を有している。この偏心器74は、モータ75によって回転駆動される。偏心器74は、ケーシング72の互いに対向した側壁の間に位置した状態でケーシング72内に配置されて、それら対向した側壁に支持される偏心器の回転によってケーシング72が傾倒され、従って、パレット71の傾倒が齎される。
【0057】
パレット71は、ケーシング72との連結部712を有し、この連結部712は、待機位置においては、移動・揺り動かし装置20によって受け領域35に導入されたラックのために、受け領域35の前方でそのラックのガイドとして機能する平坦で垂直な壁を形成するよう構成されている。また、待機位置において、パレット71のラック押圧領域711は、連結部712から上方へ伸びて連結部712より前方へ傾斜した平坦な壁を構成している。パレット71のラック押圧領域711は、ラック押圧位置において、垂直となって受け領域35を越えて後方へ位置するよう構成されている。
【0058】
こうして、ラックが受け領域35に導入された時に、そのラックは先ず連結部712によってガイドされる。そして、ラックが受け領域に完全に位置した時、即ち、ラックが移動・揺り動かし装置20から解放された時に、パレット71がラック押圧位置まで後方へ揺動して、そのラックをレセプタクル31上において転送させて、既に先にアンロードされた何らかのラックを押すと同時に、受け領域35が空けられる。
【0059】
勿論、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、これら実施形態に対して様々な変更及び修正を加えることができる。
【0060】
特に、本発明による自動分析機は、互いに異なった複数のチューブを収容するためのラック、または、チューブのストッパーに対向する壁を有しない、所謂、オープンタイプのラックの如き、別のタイプのラックと共に用いるよう構成することができる。
【0061】
ラックを自重でローディングさせることに代えて、例えばアンローディング手段に類似した押圧手段を用いて又はスプリングの作用によってラックを例えば水平方向へ機械的にローディングさせるように構成することができる。
【0062】
ラックの揺り動かしは、ラックを360度までの或る角度回転させるように構成することもできる。然しながら、垂直に近い上方位置と垂直に近い下方位置との間のラックの揺動を可能にする少なくとも180度の角度でラックを揺動させるのが好ましい。
【0063】
上述したレールの概念は、広い意味に解釈されなければならない。例えば、レールの機能は、少なくとも部分的に磁性のガイド・保持手段によって担保させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による自動分析機の半横向きの正面斜視図である。
【図2】図1に示した自動分析機のローディング装置の半横向きの斜視図である。
【図3】図2に示したローディング装置の半横向きの縮小背面斜視図である。
【図4】図1に示した自動分析機のラック移動・揺り動かし装置の半横向き背面斜視図である。
【図5】図4に示したラック移動・揺り動かし装置の前面上方から見た斜視図である。
【図6】図4に示したラック移動・揺り動かし装置の側方から見た斜視図である。
【図7】図1に示した自動分析機へのラックのローディングを説明するための概略図である。
【図8】図1に示した自動分析機において用いるのに好適なラックの斜視図である。
【図9】図1に示した自動分析機における図8のラックのガイド及び保持を説明するための概略図である。
【図10】図1の自動分析機において採用することのできる、ラックのアンローディング装置の第一の実施形態を示した斜視図である。
【図11】図1の自動分析機において採用することのできる、ラックのアンローディング装置の第二の実施形態が待機位置にある状態を示した斜視図である。
【図12】図11に示したラックのアンローディング装置の第二の実施形態がラック押圧位置にある状態を示した斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々製品試料が収納された複数のチューブ(3)のための支持体を構成している少なくとも一つのラック(2)を移動させるためのラック移動装置(20)と、前記製品試料を抽出するための手段(50)を有し、前記ラック移動装置が、前記ラック(2)の移動中に前記ラック(2)を案内するためのガイド手段(21)と前記ガイド手段(21)を揺り動かすための揺り動かし手段(27)とを有していることを特徴とする機器(1)。
【請求項2】
前記機器(1)が、前記製品用の自動分析機である、請求項1に記載の機器(1)。
【請求項3】
前記ガイド手段が、前記機器(1)においてラックを保持する保持手段(21,22)である、請求項1又は2に記載の機器(1)。
【請求項4】
前記ガイド手段が、前記ラック(2)の相補的係合部(66)と係合するレール(21)を含んでいる、請求項1〜3の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項5】
前記レールが、略C字状の断面を有し、その略C字状断面レールの両縁部が互いに対向する方向に伸びてリブ(211)を構成し、これらリブ(211)が前記ラックの前記相補的係合部(66)と係合するようになっている、請求項3又は4に記載の機器(1)
【請求項6】
前記ラック移動装置(20)が、前記ラックの第二の相補的係合部(65)と係合するウォーム手段(22,23)を含んでいる、請求項1〜5の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項7】
前記ウォーム手段(22,23)が断面略C字状のレールの内部に配置されている、請求項5又は6に記載の機器(1)。
【請求項8】
前記ウォーム手段(22,23)を回転駆動させるためのステッピング走行モータ(24)を更に含んでいる、請求項6又は7に記載の機器(1)。
【請求項9】
前記走行モータ(24)が前記ガイド手段に確りと固定されている、請求項8に記載の機器(1)。
【請求項10】
前記揺り動かし装置(27)が、前記ラックをラックの移動方向と平行な軸(X20)を中心として回転させるように構成されている、請求項1〜9の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項11】
前記揺り動かし装置が、前記ガイド手段(21)に確りと固定されたギアピニオン(28)を含んでいる、請求項1〜10の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項12】
前記揺り動かし手段が、前記ギアピニオン(28)を駆動させるためのステッピングモータ(29)を含んでいる、請求項11に記載の機器(1)。
【請求項13】
前記揺り動かし手段(27)が、前記チューブを上向き位置と下向き位置との間を揺動させるように設計されている、請求項1〜12の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項14】
前記ラックのローディング装置(10)を更に含んでいる、請求項1〜13の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項15】
前記ローディング装置が、複数のラック(2)を収容することの可能な収容手段(11)を含んでいる、請求項14に記載の機器(1)。
【請求項16】
前記収容手段(11)が、該収容手段内の各ラックが自重で移動することを許容するように設計されている、請求項15に記載の機器(1)。
【請求項17】
前記収容手段内に積み重ねられたラックの最下段位置のラックを排出するための手段(13,14)を有している、請求項15又は16に記載の機器(1)。
【請求項18】
前記ラック排出手段が、ラックの相補的係合部(65)と係合するウォーム(14)を含んでいる、請求項17に記載の機器(1)。
【請求項19】
前記ウォーム(14)を駆動させるためのステッピングモータ(13)を含んでいる、請求項18に記載の機器(1)。
【請求項20】
前記ウォーム(14)が切取り面部(141)を有し、前記ウォーム(14)の回転軸(X14)と平行な前記切取り面部(141)の平面(P141)によって前記ウォームのねじすじが遮断され、前記切取り面部(141)が、前記ウォーム(14)が前記軸(X14)を中心として回転した後に前記ラックと係合するような位置に前記ラックがつくことを許容するように構成されている、請求項18又は19に記載の機器(1)。
【請求項21】
前記ラックをアンロードするためのアンローディング装置(30)を更に含んでいる、請求項1〜20の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項22】
前記アンローディング装置が、アンロードされたラック用のレセプタクル(31)を含んでいる、請求項21に記載の機器(1)。
【請求項23】
前記ラック移動装置(20)が、前記アンローディング装置(30)のラック受け領域(35)にラックを移動させるように構成されている、請求項22に記載の機器(1)。
【請求項24】
前記レセプタクル(31)が略水平方向で且つ前記ラックの移動軸(X20)に対して略直交する方向へ伸び、前記機器(1)が、前記レセプタクル(31)の伸長方向へ、各ラックをラックの厚み(E2)に少なくも相当する距離だけ転送させるための手段(32,27)を更に含んでいる、請求項23に記載の機器(1)。
【請求項25】
前記転送手段が、ステッピングモータによって駆動されるカム(33)又はパレット(71)を含んでいる、請求項24に記載の機器(1)。
【請求項26】
請求項1〜25の何れか一項に記載の機器(1)と少なくとも一つのラックとを有し、前記機器(1)が前記ラックを移動させるためのウォーム手段を有し、前記ラックが、前記ウォーム手段と協働するナット形態のものを一緒になって構成している複数の凹部(65)を有しているシステム。
【請求項27】
前記ラックが、前記チューブのストッパーに面するサンプリング壁(62)を有したクローズドタイプに形成され、前記サンプリング壁が、サンプリング針(52)が貫通するための複数の開口を有している、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
機器においてチューブを取り扱う方法であって、
前記チューブの支持体として機能するラック内に前記チューブを配置する工程と、
前記機器において前記チューブを案内及び保持するためのガイド手段を使用する工程と、
前記ガイド手段を揺り動かす工程を含んでいる方法。
【請求項29】
血液製品が前記チューブ内に収容され、前記チューブを移動させ且つ前記血液製品を分析する目的で前記チューブ内の前記血液製品を均質化させるために用いられる、請求項28に記載の方法。
【請求項1】
夫々製品試料が収納された複数のチューブ(3)のための支持体を構成している少なくとも一つのラック(2)を移動させるためのラック移動装置(20)と、前記製品試料を抽出するための手段(50)を有し、前記ラック移動装置が、前記ラック(2)の移動中に前記ラック(2)を案内するためのガイド手段(21)と前記ガイド手段(21)を揺り動かすための揺り動かし手段(27)とを有していることを特徴とする機器(1)。
【請求項2】
前記機器(1)が、前記製品用の自動分析機である、請求項1に記載の機器(1)。
【請求項3】
前記ガイド手段が、前記機器(1)においてラックを保持する保持手段(21,22)である、請求項1又は2に記載の機器(1)。
【請求項4】
前記ガイド手段が、前記ラック(2)の相補的係合部(66)と係合するレール(21)を含んでいる、請求項1〜3の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項5】
前記レールが、略C字状の断面を有し、その略C字状断面レールの両縁部が互いに対向する方向に伸びてリブ(211)を構成し、これらリブ(211)が前記ラックの前記相補的係合部(66)と係合するようになっている、請求項3又は4に記載の機器(1)
【請求項6】
前記ラック移動装置(20)が、前記ラックの第二の相補的係合部(65)と係合するウォーム手段(22,23)を含んでいる、請求項1〜5の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項7】
前記ウォーム手段(22,23)が断面略C字状のレールの内部に配置されている、請求項5又は6に記載の機器(1)。
【請求項8】
前記ウォーム手段(22,23)を回転駆動させるためのステッピング走行モータ(24)を更に含んでいる、請求項6又は7に記載の機器(1)。
【請求項9】
前記走行モータ(24)が前記ガイド手段に確りと固定されている、請求項8に記載の機器(1)。
【請求項10】
前記揺り動かし装置(27)が、前記ラックをラックの移動方向と平行な軸(X20)を中心として回転させるように構成されている、請求項1〜9の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項11】
前記揺り動かし装置が、前記ガイド手段(21)に確りと固定されたギアピニオン(28)を含んでいる、請求項1〜10の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項12】
前記揺り動かし手段が、前記ギアピニオン(28)を駆動させるためのステッピングモータ(29)を含んでいる、請求項11に記載の機器(1)。
【請求項13】
前記揺り動かし手段(27)が、前記チューブを上向き位置と下向き位置との間を揺動させるように設計されている、請求項1〜12の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項14】
前記ラックのローディング装置(10)を更に含んでいる、請求項1〜13の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項15】
前記ローディング装置が、複数のラック(2)を収容することの可能な収容手段(11)を含んでいる、請求項14に記載の機器(1)。
【請求項16】
前記収容手段(11)が、該収容手段内の各ラックが自重で移動することを許容するように設計されている、請求項15に記載の機器(1)。
【請求項17】
前記収容手段内に積み重ねられたラックの最下段位置のラックを排出するための手段(13,14)を有している、請求項15又は16に記載の機器(1)。
【請求項18】
前記ラック排出手段が、ラックの相補的係合部(65)と係合するウォーム(14)を含んでいる、請求項17に記載の機器(1)。
【請求項19】
前記ウォーム(14)を駆動させるためのステッピングモータ(13)を含んでいる、請求項18に記載の機器(1)。
【請求項20】
前記ウォーム(14)が切取り面部(141)を有し、前記ウォーム(14)の回転軸(X14)と平行な前記切取り面部(141)の平面(P141)によって前記ウォームのねじすじが遮断され、前記切取り面部(141)が、前記ウォーム(14)が前記軸(X14)を中心として回転した後に前記ラックと係合するような位置に前記ラックがつくことを許容するように構成されている、請求項18又は19に記載の機器(1)。
【請求項21】
前記ラックをアンロードするためのアンローディング装置(30)を更に含んでいる、請求項1〜20の何れか一項に記載の機器(1)。
【請求項22】
前記アンローディング装置が、アンロードされたラック用のレセプタクル(31)を含んでいる、請求項21に記載の機器(1)。
【請求項23】
前記ラック移動装置(20)が、前記アンローディング装置(30)のラック受け領域(35)にラックを移動させるように構成されている、請求項22に記載の機器(1)。
【請求項24】
前記レセプタクル(31)が略水平方向で且つ前記ラックの移動軸(X20)に対して略直交する方向へ伸び、前記機器(1)が、前記レセプタクル(31)の伸長方向へ、各ラックをラックの厚み(E2)に少なくも相当する距離だけ転送させるための手段(32,27)を更に含んでいる、請求項23に記載の機器(1)。
【請求項25】
前記転送手段が、ステッピングモータによって駆動されるカム(33)又はパレット(71)を含んでいる、請求項24に記載の機器(1)。
【請求項26】
請求項1〜25の何れか一項に記載の機器(1)と少なくとも一つのラックとを有し、前記機器(1)が前記ラックを移動させるためのウォーム手段を有し、前記ラックが、前記ウォーム手段と協働するナット形態のものを一緒になって構成している複数の凹部(65)を有しているシステム。
【請求項27】
前記ラックが、前記チューブのストッパーに面するサンプリング壁(62)を有したクローズドタイプに形成され、前記サンプリング壁が、サンプリング針(52)が貫通するための複数の開口を有している、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
機器においてチューブを取り扱う方法であって、
前記チューブの支持体として機能するラック内に前記チューブを配置する工程と、
前記機器において前記チューブを案内及び保持するためのガイド手段を使用する工程と、
前記ガイド手段を揺り動かす工程を含んでいる方法。
【請求項29】
血液製品が前記チューブ内に収容され、前記チューブを移動させ且つ前記血液製品を分析する目的で前記チューブ内の前記血液製品を均質化させるために用いられる、請求項28に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−508529(P2010−508529A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535100(P2009−535100)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001690
【国際公開番号】WO2008/056040
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509026068)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001690
【国際公開番号】WO2008/056040
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509026068)
【Fターム(参考)】
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