説明

犬の無駄吠え防止装置

【課題】来訪者や見知らぬ人がきた場合でも、犬に過度のストレスを与えることなく無駄吠えを停止させることができる犬の無駄吠え防止装置を提供する。
【解決手段】本発明の犬の無駄吠え防止装置1は、呼鈴2の呼出ボタン3が押されると送信される信号、または検知手段4が検知対象を検知すると送信される信号を受信するための受信部5と、受信部5からの入力信号に基づいて給餌機6を制御するための制御部7とを有し、制御部7にコントロールされることにより、呼鈴2の呼出ボタン3が押された場合、または検知手段4が検知対象を検知した場合に給餌機6から犬に餌が供給されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば来訪者などに対して飼い犬が無駄吠えすることを防止するための犬の無駄吠え防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、犬の無駄吠え防止装置しては、振動、高周波、或いは電気ショックなど犬が嫌がるものを罰として与えて躾るタイプのもの(例えば、特開2005−348657号公報)や、犬が無駄吠えを所定時間停止すると褒美として餌を与えるタイプのもの(例えば、特開2007−82488号公報)などが提案されている。
【0003】
ところで、犬が吠える契機は様々であり、例えば、来訪者がある時、見知らぬ人が接近してきた時、犬が近くにきた時、遠吠えする時、犬が各種欲求を充足したい時などがある。これらのうち、特に来訪者や見知らぬ人がきた時は、犬は基本的に恐怖心から威嚇吠えをして鳴き止まず、飼い主として困惑させられることがある。
【0004】
この種の無駄吠えを防止するものとして、前者の装置は恐怖の中にさらに恐怖を与えるため鳴き止まないことが多く、また、犬に過度のストレスが与え続け経時的に病気を発症させることがあった。他方、後者の装置は、恐怖心からの威嚇吠えの最中に、餌をもらうために所定時間鳴き止むことは不可能であり実効性が全くなかった。
【特許文献1】特開2005−348657号公報
【特許文献2】特開2007−82488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、来訪者や見知らぬ人がきた場合でも、犬に過度のストレスを与えることなく無駄吠えを停止させることができる犬の無駄吠え防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものは、呼鈴の呼出ボタンが押されると送信される信号、または検知手段が検知対象を検知すると送信される信号を受信するための受信部と、該受信部からの入力信号に基づいて給餌機を制御するための制御部とを有し、該制御部にコントロールされることにより、前記呼鈴の呼出ボタンが押された場合、または前記検知手段が検知対象を検知した場合に、前記給餌機から犬に餌が供給されることを特徴とする犬の無駄吠え防止装置である。
【0007】
前記犬の無駄吠え防止装置は、前記給餌機からの餌の供給に関する各種信号を送信するためのリモコンを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、来訪者や見知らぬ人がきた場合でも、犬に過度のストレスを与えることなく無駄吠えを停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の犬の無駄吠え防止装置は、呼鈴の呼出ボタンが押された場合、または検知手段が検知対象を検知した場合に、給餌機から犬に餌が供給されるよう構成されているため、来訪者や見知らぬ人がきた場合でも、餌を与えられるという犬にとって望ましいことが起こることで恐怖心が和らぐと共に、犬の意識を餌の方に移行させ、または、本来、恐怖心を抱く事象を望ましいことが起こる前兆として経験的に学習させることで、無駄吠え停止を実現した。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の犬の無駄吠え防止装置の一実施例のブロック図であり、図2は図1に示した犬の無駄吠え防止装置の呼鈴の正面図であり、図3は図1に示した犬の無駄吠え防止装置の検知手段の斜視図であり、図4は図1に示した犬の無駄吠え防止装置のリモコンの正面図であり、図5または図6は図1に示した犬の無駄吠え防止装置の給餌機の給餌機構を説明するための正面側縦断面概略図である。
【0011】
この実施例の犬の無駄吠え防止装置1は、図1に示すように、呼鈴2の呼出ボタン3が押されると送信される信号、または検知手段4が検知対象を検知すると送信される信号を受信するための受信部5と、受信部5からの入力信号に基づいて給餌機6を制御するための制御部7とを有し、制御部7にコントロールされることにより、呼鈴2の呼出ボタン3が押された場合、または検知手段4が検知対象を検知した場合に給餌機6から犬に餌が供給されるように構成されている。以下、各構成について順次詳述する。
【0012】
この実施例の犬の無駄吠え防止装置1は、図1に示すように、送信機8としての呼鈴2と検知手段4とリモコン9からの信号に基づいて作動するように構成されている。他方、給餌機6は、呼鈴2、検知手段4、またはリモコン9(送信機8)から無線で配信される信号を受信する受信部5と、受信部5からの入力信号に基づいてモーター10を作動させる制御部7と、モーター10とを備えている。
【0013】
この実施例の呼鈴2は、玄関先に取り付けられたドアホンの子機と、住居内に取り付けられたドアホン本体(図示せず)とを有し、ドアホンの子機は、図2に示すように、家人を呼出すための呼出ボタン3と、家人の返答を来訪者に伝達するためのスピーカー31と、来訪者を目視確認するためのカメラ部32と、子機の位置を来訪者に知らせるためのLED33と、来訪者の声を家人に伝達するためのマイク34とを有し、ドアホン本体を介して家人と来訪者とがコミュニケーション可能に構成されている。
【0014】
そして、呼鈴2の呼出ボタン3が押されると、ドアホン本体にその信号が送信されて受信される一方、給餌機6の受信部5にもその信号が受信されるように構成されている。
【0015】
なお、本願で言う「呼鈴」とは、呼出ボタンを有し、その呼出ボタンが押されると、その信号を電気的に伝達する機能を備えた装置を広く包含するものであり、例えば、ワイヤレスチャイム、インターホン、呼出ブザーなども包む概念である。
【0016】
検知手段4は、敷地内外に検知範囲を設定して取り付けられたセンサライトにて構成されている。このセンサライトは、図3に示すように、本体部41と、本体部の下部に設けられ検知窓42を備えた赤外線センサ部43と、本体部41の上部に設けられ、人などの検知対象を検知すると点灯するライト部44とを有している。
【0017】
そして、このセンサライトは、人など検知対象を検知すると、ライト部44を点灯させる一方、給餌機6の受信部5にもその信号を送信するに構成されている。
【0018】
なお、本願で言う「検知手段」とは、少なくとも人を検知可能なセンサ部を備えたものを広く包含するものであり、例えば、光学的センサ、磁気センサ、音センサ、動態センサなどの各種センサを備えたものを広く包含する概念である。
【0019】
リモコン9は、餌の供給に関する各種信号を送信するためのものであり、タイマー11を内蔵すると共に、図4に示すように、電源スイッチ91と、表示部92と、表示部92に表示された設定事項の切替操作を行うための切替操作部93と、設定事項の設定値を増減するための設定値操作部94と、餌の供給に関する設定された事項を信号として受信部5に送信するための送信ボタン95とを有している。
【0020】
給餌機6は、送信機8としての呼鈴2と検知手段4とリモコン9からの信号を受信するための受信部5と、受信部5からの入力信号に基づいてモーター10を作動させて給餌を制御するための制御部7と、図5または図6に示した給餌機構12とを有している。
【0021】
給餌機構12は、図5に示すように、モーター10と、モーター10の回転軸に固定された回転体12aと、回転体12aの周縁部付近に設けられた第1ピン12bと、第1リンク12cと、第1リンク12cの長手方向に沿って形成された長孔12dと、第1リンク12cに設けられた第2ピン12eと、第2リンク12fと、第3リンク12gと、第1リンク12cの軌道を規制する規制部12hと、規制部12hに設けられた弧状長孔12iと、給餌機6の上部付近に設けられた餌貯留部12jと、給餌機6の上端部に設けられた給餌口12kとを有している。
【0022】
この給餌機構12は、初期状態では、図5に示すように、第1リンク12cは水平方向に延在しており、そのため、第3リンク12gは最下方に位置している。そして、モーター10が回転すると、回転体12aが回転し、回転体12aに設けられた第1ピン12bが第1リンク12cの長孔12d内を移動する。この第1ピン12bの移動によって第1リンク12cは左端を支点として上下動する。この時、第1リンク12cに設けられた第2ピン12eが、規制部12hの弧状長孔12i内を移動するように規制されているため、第2リンク12fは第3リンク12gを滑らかに上下動させるように作用する。
【0023】
上記のような給餌機構12の作用によって、第3リンク12gが最上位に位置した状態が図6に示す状態である。この状態では、第3リンク12gの最上端部が餌をある程度保持して押し上げ、給餌口12kより外方へ放出させる。なお、この給餌機構12はモーター10の回転軸が一回転すると、第3リンク12gが垂直方向の往復運動を一回行い、それに伴って給餌を一回行う。よって、モーター10の回転軸の回転数を増減することで給餌量の調整が可能になるように構成されている。
【0024】
つぎに、犬の無駄吠え防止装置1の使用方法について説明する。
まず、リモコン9の電源スイッチ91を押してON状態にすると、給餌機6の受信部5にその旨信号が送信されて給餌機6が稼働可能な状態となる。この状態で、呼鈴2の呼出ボタン3が押された場合、または検知手段4が検知対象を検知した場合、それらからの信号を受信部5が受信して、制御部7を介して給餌機構12が作動し、給餌口12kから餌が犬に供給される。これによって、餌が供給された犬は、来訪者や見知らぬ人がきた場合でも、餌を与えられるという犬にとって望ましいことが起こることで恐怖心が和らぐと共に、意識が餌の方に移行して無駄吠えを停止する。
【0025】
また、餌の量を増減させたい場合は、リモコン9の電源スイッチ91がON状態で、切替操作部93の矢印ボタンを押して「給餌回数」の位置で決定ボタンを押し、設定値操作部94を操作して増減させた後、送信ボタン95を押しておけば、モーター10の回転軸の回転数が増減して餌の供給量を調整することができる。
【0026】
さらに、リモコン9の電源スイッチ91がONの状態で、かつ既に現在時刻が設定されている上で、切替操作部93の矢印ボタンを押して「タイマー設定時刻」の位置で決定ボタンを押し、設定値操作部94を操作してタイマー設定時刻を設定し、送信ボタン95を押しておけば、設定された時刻に、設定された給餌回数の餌供給を自動的に行うことができる。これにより、留守にする場合の餌供給装置としても機能させることができる。
【0027】
さらに、リモコン9の電源スイッチ91がONの状態で、「タイマー設定時刻」を00:00とし、「給餌回数」を0以外に設定して、送信ボタンを押すことで、給餌回数分の餌供給を速やかに行うことができる。これにより、必要時に任意に餌を供給することができる。
【0028】
他方、リモコン9の電源スイッチ91を押してOFF状態の時は、給餌機6も電源がOFF状態であるため、呼鈴2の呼出ボタン3が押された場合、または検知手段4が検知対象を検知した場合も、それらからの信号を受信部5が受信せず、犬への餌供給もなされない。これにより、夜間などの不審者に対しては、従来通り、番犬として吠えさせることも可能である。
【0029】
このように、本発明の犬の無駄吠え防止装置は、犬に罰を与えるものでなく、また我慢を強いるものでもなく、人との対面時に犬にとって望ましいことが同時に起こることで人への恐怖心を緩和させる方向で無駄吠えを防止するため、来訪者や見知らぬ人がきた場合でも、犬に過度のストレスを与えることなく無駄吠えを停止させることができる。
【0030】
なお、この実施例の犬の無駄吠え防止装置1は、送信機8から給餌機6への送信を無線で行っているが有線で行うものも本発明の範疇に包含される。また、この実施例の犬の無駄吠え防止装置1は、呼鈴2と検知手段4は既設の装置或いは市販の装置が利用可能に構成されており、給餌機6、或いは給餌機6とリモコン9とから構成されているが、送信機8と給餌機6とを全てシステムとして有するものも本発明の範疇に包含される。さらに、この実施例の犬の無駄吠え防止装置1は、給餌機6が受信部6および制御部7を有しているが、リモコン9が受信部6および制御部7を有する装置本体に構成されたものも本発明の範疇に包含される。さらに、この実施例の犬の無駄吠え防止装置1は、給餌機6のON・OFF制御をリモコン9の電源スイッチ91のON・OFFで行っているが、給餌機のON・OFF制御を、タイマーによる時間設定で行うものも本発明の範疇に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の犬の無駄吠え防止装置の一実施例のブロック図である。
【図2】図1に示した犬の無駄吠え防止装置の呼鈴の正面図である。
【図3】図1に示した犬の無駄吠え防止装置の検知手段の斜視図である。
【図4】図1に示した犬の無駄吠え防止装置のリモコンの正面図である。
【図5】図1に示した犬の無駄吠え防止装置の給餌機の給餌機構を説明するための正面側縦断面概略図である。
【図6】図1に示した犬の無駄吠え防止装置の給餌機の給餌機構を説明するための正面側縦断面概略図である。
【符号の説明】
【0032】
1 犬の無駄吠え防止装置
2 呼鈴
3 呼出ボタン
4 検知手段
5 受信部
6 給餌機
7 制御部
8 送信機
9 リモコン
10 モーター
11 タイマー
12 給餌機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼鈴の呼出ボタンが押されると送信される信号、または検知手段が検知対象を検知すると送信される信号を受信するための受信部と、該受信部からの入力信号に基づいて給餌機を制御するための制御部とを有し、該制御部にコントロールされることにより、前記呼鈴の呼出ボタンが押された場合、または前記検知手段が検知対象を検知した場合に前記給餌機から犬に餌が供給されることを特徴とする犬の無駄吠え防止装置。
【請求項2】
前記犬の無駄吠え防止装置は、前記給餌機からの餌の供給に関する各種信号を送信するためのリモコンを備えている請求項1に記載の犬の無駄吠え防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−118827(P2009−118827A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299259(P2007−299259)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(507381547)
【Fターム(参考)】