説明

犬猫用水飲み容器

【課題】ペットとして飼育される犬猫はボール状の器に入れた水を与えられることが一般的であるが、犬猫は抜け毛や切れ毛があるのが常態であるため、一般的なボール状の水飲み容器ではすぐに体毛が入り込んでしまうため、犬猫は水と一緒に毛を飲まざるを得ないという課題があった。
【解決手段】送風ファンにより容器内に循環流を作り出し、水面に浮かんだ犬猫の毛を貯水部分の一箇所に設置したメッシュ状またはネット状の還流止めで堰き止め、集毛部分の上部を覆うことにより、犬猫が水を飲む貯水部に毛のない状態を保つことを特徴とする犬猫用の水飲み容器を提供することにより課題を解決している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は送風ファンで貯水部の水面に風を送り容器内に循環流を作り出し、水面に浮かんだ犬猫の毛を貯水部の一ヶ所に設置した毛の環流止めで堰き止め、その集毛部分を覆うことにより犬猫が水を飲む貯水部に毛のない状態を保つことを特徴とする犬猫用の水飲み容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットとして飼育される犬猫はボール状の器に入れた水を与えられることが一般的である。しかし、犬猫は常に抜け毛や切れ毛があるのが常態であるため、こうした水の与え方ではすぐに水飲み容器の水面に体毛が浮かんでしまい、犬猫は体毛の混ざった水を飲まざるを得ない。その結果、体内に溜まった毛玉を吐き出すために嘔吐することは往々にして見られることである。
【0003】
さらに、老齢や病気などで嘔吐する体力のない犬猫にあっては体内に飲みこんだ体毛を取り出すために獣医により手術が必要な場合もある。
【0004】
こうした事態を回避するには水飲み容器の水面に毛が浮かぶとすぐに水を替えなければならないが、一般的なボール状の水飲み容器を使用した場合には水面に毛の浮かんでいない状態を長時間維持することは困難である。
【0005】
また、犬猫の毛を取り除く従来技術の水飲み容器には以下のものがある。
【特許文献1】特開2003−52269
以下、従来技術について説明する。
【0006】
上記の従来技術は犬猫が水を飲む下部貯水部分と水が減った場合に循環水を供給するための上部貯水部分が設けられている連続流式ペット水遣り器である。この技術は下部貯水部分の水を汲み上げスロープを通して循環させるために水中ポンプを利用している。そして、水の循環経路にフィルターを設置することにより体毛やゴミなどを除去している。
【0007】
この連続流式ペット水遣り器の技術は水を循環させるために大量の水が必要となり、必然的に装置が大きくなり、広い設置スペースが必要となる。さらに、メンテナンスをする場合には装置を分解し水中ポンプや水の循環経路を洗浄しなければならないという煩わしさがある。
【0008】
また、この連続流式ペット水遣り器は水中ポンプが詰まらないように交換フィルターを使用しなければならず、ランニングコストが掛かるという問題がある。
【0009】
さらに、近年では犬猫専用の水を与える飼主も多いが、この連続流式ペット水遣り器は大量の水を必要とするため、犬猫専用の水を使用した場合にはコスト面での負担が大きくなるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は簡単な構造で犬猫に毛の混じらない水を与え、一般的な水飲み容器と同様に場所を取らず、メンテナンスも容易な水飲み容器の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は送風ファンにより容器内に循環流を作り出し、水面に浮かんだ犬猫の毛を貯水部分の一箇所に設置したメッシュ状またはネット状の環流止めで堰き止め、毛が集まる集毛部分の上部を覆うことにより、犬猫が水を飲む貯水部に毛のない状態を保つことを特徴とする犬猫用の水飲み容器で従来の課題を解決している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の犬猫用水飲み容器は簡単な構造で常に犬猫に毛の混じらない水を与える事ができる。その結果、犬猫が毛を飲み込むことによる嘔吐や健康被害を防ぐことが可能である。
【0013】
また、本発明の水飲み容器は従来のボール状の水飲み容器と同等の水量で毛の混じらない水を与える事ができるので、犬猫専用の水を与える場合でもコスト面でのメリットがある。
【0014】
さらに、常に水面に風を送っているので水温の上昇を押さえる効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
容器の形状は犬猫が水を飲む貯水部は半円形とし、毛が集まる集毛部を台形に形成する。そして、ファンの送風で作り出される循環流が水面に浮かんだ毛を犬猫が水を飲む貯水部から集毛部方向へ効率よく流すように、半円形部分と台形部分の間に置き島を設け、貯水部全体を変形のドーナツ状にする。なお、送風ファンはブロアファンを使用する。
【0016】
この置き島にはメッシュ状の毛の環流止めを設置するための溝を形成する。また、容器壁面側にも環流止め設置用の溝を形成し、環流止めはこの間に設置する。なお、置き島は容器の底部に設置位置を設け、取り外し可能とする。
【0017】
そして、還流止めに集まった犬猫の毛が上部から見えないように集毛部の上に蓋状の覆いを設ける。なお、送風ファンは水が入らないように隔壁で囲まれたファン収容部に取り外し可能に設置する。
【0018】
また、容器底部の深さは犬猫が水を飲む貯水部よりも、毛が集まる集毛部の方を深く形成する。これにより、集毛部の底部に沈んだ毛やゴミが犬猫が水を飲む貯水部に環流することを防いでいる。
【0019】
上記の構成により、水面に浮かんだ犬猫の毛は送風ファンによって作り出された循環流によって環流止め方向に流され、集毛部に集まる。集毛部の上部には蓋状の覆いがされており、犬猫は覆いのされていない貯水部で体毛の混じらない水を飲むことが出来る。
【実施例】
【0020】
以下、本願発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は容器の外観斜面図、図2は容器の横断面図、図3は容器上部からの透視図、図4は集毛部覆いを取った上部からの図、図5は置き島の斜面透視図である。
【0021】
容器の形状は図3および図4のように犬猫が水を飲む貯水部1は半円形に、集毛部15は台形に形成する。そして、図2のように犬猫が水を飲む貯水部の底12よりも集毛部の底13の方を深くなるように形成する。
【0022】
さらに、容器は図1および図3のように、半円形部分と台形部分の間に置き島位置決め用の凹部6を設け、そこに置き島5を設置する。これにより容器内の形状は変形ドーナツ状になる。なお、置き島5には図5のように縦方向にメッシュ状環流止め7を設置するための溝14を形成する。
【0023】
この溝14にメッシュ状環流止め7を設置することにより、体毛が容器内を環流することを防いでいる。メッシュ状環流止め7のもう一方の幅方向は容器側のネット状環流止め設置用の溝11に設置する。なお、メッシュ状の環流止め7の長さは集毛部の底13に接し、上部は水面より上になる長さとする。
【0024】
ブロアファン8は水が入らないようにファン収容部隔壁9に囲まれたファン収容部10内に設置し、送風口2は集毛部の覆い4と一体のファン収容部上部3に形成する。
【0025】
この構成により、ブロアファン8から犬猫が水を飲む貯水部1の水面に風が送られ、水面に浮かんだ犬猫の毛は半円形の犬猫が水を飲む貯水部1から、台形の集毛部15の方向へ流される。そして、メッシュ状環流止め7で堰き止められ、集毛部15に留まる。
【0026】
また、時間の経過とともに集毛部の底13に沈んだ毛は集毛部15を貯水部1の深さの相違により、集毛部15に留まる。この構造により、犬猫が水を飲む貯水部1は常に体毛のない状態を維持することできる。さらに、ブロアファン8は常に水面に向けて風を送っているので、水温の上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】容器の外観斜面図である。
【図2】容器の横断面図である。
【図3】容器の上部からの透視図である。
【図4】集毛部の覆いを取った上部からの図である。
【図5】置き島の斜面透視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 犬猫が水を飲む貯水部
2 送風口
3 集毛部の覆いと一体のファン収容部上部
4 集毛部の覆い
5 置き島
6 置き島位置決め用凹部
7 メッシュ状還流止め
8 ブロアファン
9 ファン収容部隔壁
10 ファン収容部
11 容器側のネット状還流止め設置用の溝
12 犬猫が水を飲む貯水部の底
13 集毛部の底
14 ネット状環流止め設置用の溝
15 集毛部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファンにより容器内に循環流を作り出し、水面に浮かんだ犬猫の毛を貯水部の一箇所に設置したメッシュ状またはネット状の環流止めで堰き止め、毛が集まる集毛部分の上部を覆うことにより、犬猫が水を飲む貯水部に毛のない状態を保つことを特徴とする犬猫用の水飲み容器。
【請求項2】
容器底部において犬猫が水を飲む貯水部よりも、送風ファンによる循環流で犬猫の毛が集まる集毛部の底部の方が深くなっていることを特徴とする請求項1の犬猫用の水飲み容器。
【請求項3】
犬猫が水を飲む貯水部が半円形または半楕円形に形成され、送風ファンによる循環流で犬猫の毛が集まる集毛部が台形または方形に形成されていることを特徴とする請求項1および請求項2の犬猫用の水飲み容器。
【請求項4】
半円形または半楕円形の犬猫が水を飲む貯水部と台形または方形の集毛部の間に設置することにより貯水部分を変形ドーナツ形状にし、メッシュ状またはネット状の環流止めを設置するための溝を持つ取り外し可能な置き島、および置き島の位置決め部分を持つことを特徴とする請求項1から請求項3の犬猫用の水飲み容器。
【請求項5】
貯水部、送風ファン、環流止め、集毛部分の覆いがそれぞれ分離することを特徴とする請求項1から請求項4の犬猫用の水飲み容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−333860(P2006−333860A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192783(P2005−192783)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(505248314)有限会社イーストタウン (5)
【Fターム(参考)】