説明

玩具用発電ユニット及び車輌玩具

【課題】組立ての容易な玩具用発電ユニット及び玩具用発電ユニットを搭載した車輌玩具を提供する。
【解決手段】円筒状の永久磁石及びロータ軸を備えたロータと、コイルがそれぞれ巻回された第1及び第2のボビンと、前記ロータと前記ボビンとを収納する筒状のフレームと、を備え、前記フレームは、第1及び第2の軸装部を有し、その内周に第1着座部と第2着座部とを備え、前記ロータが前記フレーム内に収納され、前記ロータ軸が前記第1及び第2の軸装部に回転可能に挿入され、前記第1及び第2のボビンがそれぞれ前記第1着座部と前記第2着座部とに着座され、コイルの各々の一端が互いに接続されてなることを特徴とする玩具用発電ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具用発電ユニット及び当該玩具用発電ユニットを搭載した車輌玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車輌玩具用の発電ユニットとして、例えば、ゼンマイや手押し等の駆動力で回転する車軸の回転力によって磁石を回転させ、この磁石の近傍に配置した1つのコイルに誘導起電力を生じさせて玩具車輌の前照灯等に電力を供給する発電ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、発電ユニットとしては、車輌玩具用ではないが、例えば、2つのコイルの間に配置した磁石を支持するロータ軸を風力によって回転させ、各コイルに生じる誘導起電力によって電子機器に電力を供給する発電ユニットが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−70594号公報
【特許文献2】実用新案登録第3120264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示される発電ユニットは、コイルが1つのみであるため、発電効率が低いという問題があった。また、特許文献2に開示される風力発電ユニットは、車輌玩具に搭載するには装置が大きく、手押し等により駆動させる車輌玩具のように小型な物品を取り付け対象とする発電ユニットとしては適さないという問題があった。
【0006】
ここで、複数のコイルを有する小型の発電ユニットとして、未だ公知とはなっていないが、図7に示すように、回転する磁石をロータとしてフレームの内側に収納し、フレームの周囲に2つのコイルを配置する構成が考えられる。しかしこのように構成した発電ユニットにおいては、磁石径がロータ軸径よりも大きいため、コイルの被装着部分であるボビンを縦割り又は横割りの2分割にしなければならないという構造的制約が生じる。それゆえ、発電ユニットを組み立てる際における、コイルを巻回する作業の簡易化が問題となる。
【0007】
すなわち、図7(a)に示すようにボビンが縦割りの状態でフレームに配置される場合、ロータ軸が左右に突出しているため、コイルを巻き付ける際に軸が妨げとなってコイルを巻回しづらいという問題があった。一方、図7(b)に示すようにボビンが横割りの状態でフレームに配置される場合、各ボビンにコイルを巻回した後で上下のボビン同士を接着して一体化する必要があり、組立てが煩雑であった。このため、組立て容易な玩具用発電ユニットが望まれていた。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、組立ての容易な玩具用発電ユニット及び当該玩具用発電ユニットを搭載した車輌玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、永久磁石と、前記永久磁石が付設されるロータ軸とを備えたロータと、
コイルが巻回された第1及び第2のボビンと、
一端に第1開口部、他端に第2開口部を有し、前記ロータのロータ本体と前記第1及び第2のボビンとを収納する筒状のフレームと、を備え、
前記フレームは、その周壁における前記一端と前記他端との中間部に、前記第1開口部又は前記第2開口部に達するスリットからなる軸装部を有するとともに、その内周に、前記第1開口部側の少なくとも一部において前記第1のボビンを支持する第1着座部と、前記第2開口部側の少なくとも一部において前記第2のボビンを支持する第2着座部と、を備え、
前記ロータ本体は、前記フレームにおける前記一端と前記他端との中間部に支持され、
前記第1及び第2のボビンは、各々の軸方向が前記ロータ軸の軸方向に直交するようにしてそれぞれ前記第1着座部と前記第2着座部とに着座され、
前記第1及び第2のボビンにそれぞれ巻回されているコイルの各々の一端が互いに接続されてなることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、
前記ロータ軸が、前記軸装部から前記フレーム外方に延出されていることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項3に記載の発明は、
前記フレームに装着される端子板を備え、
前記第1及び第2のボビンにそれぞれ巻回されているコイルの各々の一端が、前記端子板にそれぞれはんだ付けされることで互いに接続されていることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため、請求項4に記載の発明は、
前記フレームに、該フレームを取り付け体に取り付けるための取付部を形成したことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明は、
前記玩具用発電ユニットを搭載し、該玩具用発電ユニットに生じる誘導起電力を電源として作動する電子機器を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フレームとは別体のボビンを2つ用意してコイルをそれぞれ巻回させ、コイルの巻回後、ロータをフレームに収納した上で2つのボビンを第1着座部及び第2着座部を介してフレームと一体化させることができる。したがって、コイルの巻回とロータを収納する作業とを独立に行うことができる。それゆえコイルの巻回作業が容易となる。
【0015】
また、ロータ軸が何れか一方が第1開口部又は第2開口部と連通する第1及び第2軸装部から延出されることにより、玩具用発電ユニットの各構成要素を1度の作業で確実に所定の位置に配置することができる。したがって、玩具用発電ユニットにおける各構成要素の位置決めが容易となる。よって玩具用発電ユニットの組立作業が容易となり、組立時間を短縮することができる。それゆえ玩具用発電ユニットひいては車輌玩具の製造コストが下がり、製品価格を安価とすることができる。
【0016】
また、当該玩具用発電ユニットが、フレームに装着される端子板を備えていることにより、第1及び第2のボビンにそれぞれ巻回されているコイルの一端同士の接続がより容易となる。
【0017】
また、当該玩具用発電ユニットが取付部を備えていることにより、当該玩具用発電ユニットが適用される対象に取り付ける作業が容易かつ確実となる。
【0018】
また、当該電子機器が玩具用発電ユニットを搭載していることにより、電池等の電源によらずとも、駆動する車輌玩具の車軸等から動力を得て発電ユニットを駆動させ、それによって発生した電気によって電子機器を作動させることができる。さらに当該玩具用発電ユニットの組立てが容易であるので、その分玩具用発電ユニットひいては車輌玩具の製造コストが下がり、製品価格も安価とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る玩具用発電ユニットを搭載した車輌玩具を概念的に示した分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る玩具用発電ユニットの組立後の状態を示す全体図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る玩具用発電ユニットにおいて、ロータがフレームに収納される前の状態を示す分解図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る玩具用発電ユニットにおいて、ロータがフレームに収納された後の分解図である。
【図5】本発明の実施形態に係る玩具用発電ユニットの電気的構成を示す回路図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る玩具用発電ユニットを搭載した車輌玩具を概念的に示した分解斜視図である。
【図7】従来技術の発電ユニットであって、(a)ボビンを縦割りとした場合、(b)ボビンを横割りとした場合、をそれぞれ示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(全体構成)
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る玩具用発電ユニットを備えた車輌玩具の一例としての自動車玩具1の分解斜視図である。
【0021】
この自動車玩具1は、前輪2、2が前輪車軸3を介して付設されたシャーシ4と、後輪5、5が後輪車軸(ロータ軸)6を介して付設されている玩具用発電ユニット7(以下、単に発電ユニット7と称する)と、ボディ8とを備えている。また、自動車玩具1は、図示しないが、実際の自動車の運転席、助手席及び後部座席を象った自動車玩具用の前部座席及び後部座席を備えている。この自動車玩具1は、シャーシ4の上に発電ユニット7と、前部座席及び後部座席とを載置した後、ボディ8を上方から被せることによって簡単に組み上げることができるようになっている。
【0022】
(シャーシ4の構成)
図1に示すように、シャーシ4は前記前輪2、2及び前輪車軸3の他に、板バネ9を備えている。板バネ9の一端部はシャーシ4に固定され、他端部は前輪車軸3を下方に向けて付勢している。一方、前輪車軸3は、シャーシ4に付設されたリブ10、10の長孔10aに挿通されリブ10、10内で上下動自在となっている。そして、シャーシ4は自動車玩具1が凹凸のある面上を走行する際等に生じる振動を板バネ9によって吸収するように構成されている。
【0023】
また、シャーシ4には発電ユニット受容部41及び取付受容部42a、42bが形成されている。発電ユニット受容部41は、シャーシ4の後部において全幅に亘って形成された凹部であって、発電ユニット7の底部と略同一の形状を有している。取付受容部42a、42bは、発電ユニット受容部41付近に形成された2つの凹部であり、発電ユニット7が発電ユニット受容部41に載置された際に、後述の凸状に形成された取付部744a、744bとそれぞれ係合するような位置及び形状により構成されている。
【0024】
(発電ユニット7の構成)
続いて、図3及び4を参照して発電ユニット7の構成を詳細に説明する。
図3は発電ユニットにおいて、ロータがフレームに収納される前の状態を示す分解図であり、図4は発電ユニットにおいて、ロータがフレームに収納された後の状態を示す分解図である。
図3及び図4に示すように、発電ユニット7は、ロータ71、コイル72、ボビン73、フレーム74、金属端子板75(以下、単に端子板75と称する)、及びカバー79を備えている。
【0025】
ロータ71は、永久磁石76とロータ軸6とを備えている。
永久磁石76は、周方向に1組の異磁極(N極/S極)が配された円筒状のネオジウム磁石である。この永久磁石76の中空部には、永久磁石76と同程度の長さを有する円筒状の挿入部材761が挿入されており、挿入部材761の中空部にはロータ軸6が挿入されている。永久磁石76と挿入部材761、挿入部材761とロータ軸6とは、互いに間隙なく嵌挿されており、これによって、永久磁石76、挿入部材761、ロータ軸6が軸周りに一体に回転するようになっている。ここで、ロータ軸6に挿入部材761及び永久磁石76が付設されている部分が、ロータ本体を構成している。また、挿入部材761の一端には、永久磁石76の中空部より大径のフランジ761aが形成されている。
なお、ロータ軸6の周方向に2組以上の異磁極が交互に並ぶように構成してもよい。
【0026】
ロータ軸6は、その軸方向においてロータ本体を挟み込むように配置された軸支持部材77、77に、ベアリング78、78を介して挿通されており、軸支持部材77、77がフレーム74内に装着された際に、フレーム74に対して回転自在に支持されるようになっている。これにより、ロータ軸6を正確かつ円滑に回転させることができ、ロータ71の回転により生じる摩擦熱を抑制することができるようになっている。
【0027】
本実施の形態においては、ロータ軸6の両端部がフレーム74の外方に延出しており、ロータ軸6が後輪車軸として機能する。すなわち、ロータ軸6の両端部を介して後輪5、5が発電ユニット7に連結されている(図1参照)。また、自動車玩具1の組み立て後に、後輪車軸を構成するロータ軸6が、前輪車軸3と平行に配置される。
【0028】
コイル72は、第1のコイル部72a及び第2のコイル部72bを備え、第1のコイル部72aと第2のコイル部72bとが直列接続されることによって1組のコイル72が形成されている。
【0029】
ボビン73は第1のボビン73a及び第2のボビン73bを備えている。第1のボビン73a及び第2のボビン73bは、共に軸方向視にて角部が丸みを帯びた略四角形の環状であって、略同一の形状を有している。
【0030】
ボビン73aには外周全域に亘って溝731aが形成されている。この溝731aは、第1のコイル部72aが巻回される第1の被装着部を構成している。
また、ボビン73aの外周は、コイル72の軸方向視にて角部が丸みを帯びた略四角形の形状となっており、後述するフレーム74に付設された第1着座部74aの形状と略同一である。ボビン73aがこの第1着座部74aに着座されることにより、ボビン73aとフレーム74とが一体化されるようになっている。なお、ボビン73aの外周の形状は特に限定されず、円形、多角形等、任意の形状であってもよい。
また、ボビン73aの内周は、コイル72の軸方向視にて角部が丸みを帯びた略四角形の孔となっている。当該ボビン73aの内周の形状はカバー79aの下面に付設された凸部791aの形状と略同一であり、凸部791aがボビン73aの内周に嵌合することにより、ボビン73aがカバー79aと一体化されるように構成されている。
【0031】
ボビン73bには、外周全域に亘って溝731bが形成されている。この溝731bは第2のコイル部72bが巻回され、第2の被装着部を構成している。
また、ボビン73bの外周は、コイル72の軸方向視にて角部が丸みを帯びた略四角形の形状となっており、フレーム74に付設された第2着座部74bの形状と略同一である。ボビン73bがこの第2着座部74bに着座されることにより、ボビン73bとフレーム74とが一体化されるようになっている。なお、ボビン73bの外周の形状は特に限定されず、円形、多角形等、任意の形状であってもよい。
また、ボビン73bの内周は、コイル72の軸方向視にて角部が丸みを帯びた略四角形の孔となっている。当該ボビン73bの内周の形状はカバー79bの上面に付設された凸部791bの形状と略同一であり、凸部791bがボビン73bの内周に嵌合することにより、ボビン73bがカバー79bと一体化されるように構成されている。
【0032】
フレーム74は、コイル72の軸方向視にて略四角形の筒状をなし、内部には四角形の孔が形成された中板741が付設されている。そして、フレーム74の内部は、中板741の一面側に存在してボビン73aが着座する第1着座部74aと、中板741の他面側に存在してボビン73bが着座する第2着座部74bとに分割されている。そして、第1着座部74aに着座されるボビン73aが中板741の一面に当接し、第2着座部74bに着座されるボビン73bが中板741の他面に当接した状態で、ボビン73a、73bはフレーム74に取り付けられる。
【0033】
中板741に形成された四角形状の孔は、ロータ本体、ロータ軸6及び軸支持部材77、77を受容できるように形成されている。このうち、ロータ本体を受容する孔の部分は、ロータ本体が回転に伴って孔の内周面と摺接しないように、ロータ本体よりも大きく形成されている。
【0034】
フレーム74には、第1着座部74aの存在する側に第1開口部742aが、第2着座部74bの存在する側に第2開口部742bが、それぞれ形成されている。
【0035】
フレーム74の周壁のうちで対向する一対の壁には軸装部743a、743bが形成されている。軸装部743a、743bは対向配置されている。
このうち軸装部743aはスリットとなっている。このスリットは第1開口部742aを始端とし、終端は中板741を越して第2着座部74bに達している。なお、この軸装部743aは第1開口部742a、第2開口部742bのいずれか一方に達していればよい。
また、軸装部743bは、ロータ軸6が回転可能に挿通され得る径を有する孔となっている。なお、軸装部743bはスリットであってもよい。
【0036】
発電ユニット7は、フレーム74の周壁を構成する壁の1つに端子板75を備えている。端子板75はフレーム74の内側に嵌め込まれる。端子板75には図3で斜線で示すような電極パターンが形成されている。そして、第1のボビン73a及び第2のボビン73bにそれぞれ巻回されている第1のコイル部72a及び第2のコイル部72bの各々の一端が、端子板75のA、Bにはんだ付けされることで互いに接続される。また、後述の導線745が端子板75のC、Dにはんだ付けされることで接続される。本実施形態においては、第1のコイル部72a及び第2のコイル部72bが上から下に向けていずれも時計回りに巻回されている。そこで、端子板75の配線は図3に示す通り、上下一対の電極A、Bが第1のコイル部72a及び第2のコイル部72bの巻線方向と合致するよう(時計回り)に、かつC、Dに対して交差するように結線されており、第1のコイル部72a及び第2のコイル部72bに流れる電流の方向を揃えた状態となるよう効率よく配線されている。なお、端子板75の電極パターンは上記に限定されず、第1のコイル部72a及び第2のコイル部72bの巻線方向に応じて、適宜変更可能である。
【0037】
フレーム74の筒状端部における第1開口部742a側には、取付部744a、744bが付設されている。取付部744a、744bは突起状に形成され、フレーム74の外方であって、ロータ軸6の延在方向と直交する方向に付設されている。自動車玩具1の組立ての際には、発電ユニット7が発電ユニット受容部41に載置され、取付部744a、744bがシャーシ4に形成された取付受容部42a、42bにそれぞれ取り付けられた状態でねじ止めされる。
【0038】
次に、図5を参照して自動車玩具1の電気的構成について説明する。
発電ユニット7において、コイル72a、72bが端子板75を介して直列に接続されており、さらに導線745を介して自動車玩具1の前照灯81、81となる発光ダイオード746、746が逆極性となるように並列に接続されて閉回路が構成されている。そして、自動車玩具1の駆動によりロータ71が回転すると、永久磁石76の異磁極が交互にコイル72a、72bとの接近と離隔とを繰り返して磁場を変化させることにより、発電ユニット7に誘導起電力が生じる。この誘導起電力を電源として発光ダイオード746が発光する。すなわち、端子板75を介して直列に接続されたコイル72a、72bの電磁誘導により生じた電力が、発光ダイオード746、746の(+)側からそれぞれ配電され、各々で発光手段が構成されている。
なお、コイル72a、72bには同時期に異なる磁極が接近することになるが、回路全体としては、コイル72a、72bに(+)側から(−)側、又は(−)側から(+)側の電流が交互に流れるようになっている。そして、ロータ71の回転速度が遅い場合は、起電力が小さいので発光ダイオード746、746が交互に緩やかに点滅する。一方、ロータ71の回転速度が速い場合は、起電力が大きく、発光ダイオード746、746における交互の点滅が非常に高速となる結果、発光ダイオードが点灯し続けているように視覚される。また、発光ダイオード746、746が上記のように接続されているので、発電機における負荷トルクを安定させると共に、発光ダイオード746、746の相互に対する逆極性の起電力から各々を保護することができる。
【0039】
(ボディ9の構成)
図1に示すように、ボディ9は自動車玩具1の車輌外側本体を形成する部分であり、赤、青、白等、任意に着色されている。ユーザが自動車玩具1を床上又は机上等で駆動させると、発光ダイオード746、746が発光し、ボディ9の前部に付設された前照灯81、81が点灯するようになっている。
【0040】
(組立方法)
続いて、図2及び図3を参照して発電ユニット7の組立方法について説明する。
まず、溝731aには第1のコイル部72aが、溝731bには第2のコイル部72bがそれぞれ巻線機によって巻回される。本実施形態において、コイルの直径は0.05mmで各溝731a,731bにコイル線材を1000回ほど巻回しているが、いわゆるミニカーにおいては、コイル線材の直径が0.02〜0.3mmの場合、各溝731a,731bにコイル線材が500〜2000回ほど巻回されることが好ましい。発光ダイオード746、746が日中でも十分に認識できる程度の明るさとなるようにするためである。
【0041】
次に、挿入部材761と永久磁石76とをロータ軸6に取り付けてロータ71を構成した後、ベアリング78を取り付け、軸支持部材77にベアリング部分を嵌め込む。次に、ロータ軸6の一端を、端子板75の孔を通してフレーム74の軸装部743bに挿入する。そして、第1開口部742a側からロータ軸6の他端を、軸装部743aを構成するスリットに沿って下方にスライドさせて挿入する。この場合、端子板75を予めフレーム74に装着しておいてもよいし、端子板75をロータ軸6と一緒にフレーム74に装着してもよい。
【0042】
次に、第1のボビン73a及び第2のボビン73bにそれぞれ巻回されている第1のコイル部72a及び第2のコイル部72bの各々の一端を端子板75にはんだ付けし、第1のコイル部72aと第2のコイル部72bとを電気的に直列に接続する。
【0043】
次に、第1着座部74aに第1開口部742a側から第1のボビン73aを、第2着座部74bに第2開口部742b側から第2のボビン73bを、それぞれ着座させる。すなわち、第1着座部74aに着座されるボビン73aは中板741の一端面に当接し、第2着座部74bに着座されるボビン73bは中板741の他端面に当接した状態で、ボビン73a、73bがフレーム74に取り付けられる。
【0044】
最後に凸部791aをボビン73aの内周に、凸部791bをボビン73bの内周にそれぞれ嵌合させることにより、ボビン73a、73bがそれぞれカバー79a、79bとフレーム74とで挟持されることになる。以上の組立方法により、発電ユニット7は図2に示すような状態となる。
【0045】
なお、本実施の形態においては後輪車軸(ロータ軸)6を介して後輪5、5が発電ユニット7に直接連結されており、発電ユニット7は後輪5、5が連結された状態で、シャーシ4の後部に設けられた発電ユニット受容部41の上に固定される。
【0046】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態に係る自動車玩具1Aについて、図6を参照して説明する。図6は第2の実施形態に係る発電ユニット7Aを搭載した車輌玩具を概念的に示した分解斜視図である。
なお、第1の実施形態に係る自動車玩具1と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0047】
本実施の形態においては、ロータ軸6aと後輪車軸6bとが別体で構成されている。図6に示すように、発電ユニット7Aにおいて、ロータ軸6aはフレーム74Aから外方に延出し、ロータ軸6aの両端部には小径歯車(ピニオン歯車)60aが付設されている。この小径歯車60aは、ロータ軸6aと平行な後輪車軸6bに付設された大径歯車60bに噛合している。なお、歯車は小径歯車60a及び大径歯車60bに限定されず、3以上付設されていてもよい。また、歯車はロータ軸6aの一端側にのみ付設されていてもよい。
【0048】
このように本実施形態のおいてはロータ軸6aと後輪車軸6bとが別体で構成されているので、予め定められた後輪車軸6bの位置に関わらず、自由に発電ユニット7Aのシャーシ4上における固定箇所を設定することができる。したがって、車体前後の重量バランス、その他の付属品の搭載位置等につき、より自由に自動車玩具1Aの設計を行うことができる。また、小径歯車60aと大径歯車60bとはギア比が異なるので、後輪車軸6bを所定の速度で回転させた際におけるロータ軸6aの回転効率を所望に設定することができる。したがって、ロータ軸6aの回転により生じる誘導起電力の発生効率を所望に設定することができる。
なお、本実施形態においては、車輪の直径が10mmで、車輪の回転力を、7倍程度にに増速させてロータ軸6aに伝達させるようにしているが、車輪の直径が5〜20mmのいわゆるミニカーであれば、車輪の回転力を2〜30倍程度に増速させることが好ましい。手押し式の自動車玩具の場合には、それを取り扱う者が通常の速度で手押しした場合に、発光ダイオード746、746の点滅が前照灯として違和感を感じさせない程度に増速することが好ましい。また、ゼンマイやシューターによって加速されて走行する自動車玩具の場合にはゼンマイやシューターによって走行する速度において、発光ダイオード746、746の点滅が前照灯として違和感を感じさせない程度に増速することが好ましい。
【0049】
(効果)
以上説明したように、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る発電ユニット7及び7Aによれば、フレーム74、74Aとは別体のボビン73a、73bを用意してコイル7
2をそれぞれ巻回させ、コイル72の巻回後、ロータ71をフレーム74、74Aに収納した上でボビン73a、73bを第1着座部74a及び第2着座部74bを介してフレーム74、74Aと一体化させることができる。したがって、発電ユニット7における、コイル72の巻回とロータ71の収納の作業とを独立に行うことができる。それゆえコイル72の巻回作業が容易となる。
【0050】
また、ロータ軸6、6aが第1開口部742a又は第2開口部742bの何れかと連通する第1軸装部743a及び第2軸装部743bから延出されるので、発電ユニット7の各構成要素を1度の作業で確実に所定の位置に配置することができる。したがって、発電ユニット7における各構成要素の位置決めが容易となる。よって当該発電ユニット7の組立作業が容易となり、組立時間も短縮することができる。それゆえ発電ユニット7ひいては自動車玩具1の製造コストが下がり、製品価格も安価とすることができる。
【0051】
また、当該発電ユニット7がフレーム74、74Aに装着される端子板75を備えているので、第1及び第2のボビン73a、73bにそれぞれ巻回されているコイル72の一端同士の接続がより容易となる。
【0052】
また、当該発電ユニット7が取付部を備えているので、当該発電ユニット7が適用される対象に取り付ける作業が容易かつ確実となる。
【0053】
また、自動車玩具1が発電ユニット7を搭載しているので、電池等の電源によらずとも、走行する自動車玩具1の車軸6,6b等から動力を得て発電ユニット7を駆動させ、それによって発生した電気によって前照灯81を作動させることができる。さらに当該発電ユニット7の組立が容易であるので、その分発電ユニット7ひいては自動車玩具1の製造コストが下がり、製品価格も安価となる。
【0054】
なお、上記実施形態において、コイル径、コイル巻回数、増速比などについて具体的な数値を挙げたが、かかる数値範囲内であれば、実施形態とは形の異なる発電ユニット(例えば、ボビンやフレームの形が異なっていたり、或いは、ボビンを持たずフレームに直接にコイル線材を巻回する形式の発電ユニット)であっても、発光ダイオード746、746を日中でも十分に認識できる程度の明るさにすることが可能であり、また、発光ダイオード746、746の点滅を前照灯として違和感を感じさせない程度にすることが可能である。
例えば、永久磁石が付設され車軸の回転によって回転するロータ軸と、前記ロータ軸が回転したときに前記永久磁石によって起電力を生じるコイルと、前記コイルに接続され、前記起電力によって点灯する発光ダイオードとを備える自動車玩具の発電ユニットに適用する場合にも、上記数値は妥当する。
また、この場合、前記コイルは、第1のコイル巻回部および第2のコイル巻回部が形成されるようにボビンに巻回され、前記第1のコイル巻回部および第2のコイル巻回部はコイル軸心の延在方向に対して所定の距離離れて設けられ、且つ、前記第1のコイル巻回部および第2のコイル巻回部は直列に接続され、前記ロータ軸は、前記コイル軸心に直交する方向に延在し且つ前記第1のコイル巻回部および前記第2のコイル巻回部の間に位置するように前記ボビンに取り付けられていてもよいことは勿論である。
この場合、前記ボビンは、前記第1のコイル巻回部が形成される第1のボビン片と、前記第1のボビン片に組み付け可能で前記第2のコイル巻回部が形成される第2のボビン片とから構成されていてもよい。
また、前記ボビンは、前記ロータ軸と直交する合わせ面を持ち互いに組み付け可能な第1のボビン片および第2のボビン片から構成されていてもよい。
また、ボビンには、シャーシに対してねじ止めするためのねじ穴や、前記車軸を支持するための軸孔が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 自動車玩具
6 後輪車軸(ロータ軸)
6a ロータ軸
7、7A 発電ユニット
71 ロータ
72 コイル
73a 第1のボビン
73b 第2のボビン
74、74A フレーム
74a 第1着座部
74b 第2着座部
742a 第1開口部
742b 第2開口部
743a、743b 軸装部
744a、744b 取付部
75 端子板
76 永久磁石
77、77 軸支持部材
81 前照灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石と、前記永久磁石が付設されるロータ軸とを備えたロータと、
コイルが巻回された第1及び第2のボビンと、
一端に第1開口部、他端に第2開口部を有し、前記ロータのロータ本体と前記第1及び第2のボビンとを収納する筒状のフレームと、を備え、
前記フレームは、その周壁における前記一端と前記他端との中間部に、前記第1開口部又は前記第2開口部に達するスリットからなる軸装部を有するとともに、その内周に、前記第1開口部側の少なくとも一部において前記第1のボビンを支持する第1着座部と、前記第2開口部側の少なくとも一部において前記第2のボビンを支持する第2着座部と、を備え、
前記ロータ本体は、前記フレームにおける前記一端と前記他端との中間部に支持され、
前記第1及び第2のボビンは、各々の軸方向が前記ロータ軸の軸方向に直交するようにしてそれぞれ前記第1着座部と前記第2着座部とに着座され、
前記第1及び第2のボビンにそれぞれ巻回されているコイルの各々の一端が互いに接続されてなることを特徴とする玩具用発電ユニット。
【請求項2】
前記ロータ軸が、前記軸装部から前記フレーム外方に延出されていることを特徴とする請求項1に記載の玩具用発電ユニット。
【請求項3】
前記フレームに装着される端子板を備え、
前記第1及び第2のボビンにそれぞれ巻回されているコイルの各々の一端が、前記端子板にそれぞれはんだ付けされることで互いに接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の玩具用発電ユニット。
【請求項4】
前記フレームに、該フレームを取り付け体に取り付けるための取付部を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の玩具用発電ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の玩具用発電ユニットを搭載し、該玩具用発電ユニットに生じる誘導起電力を電源として作動する電子機器を備えたことを特徴とする車輌玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−50725(P2011−50725A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241307(P2009−241307)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】