説明

現像ブレード

【課題】十分なバネ性を有しながら反りがほとんどない現像ブレードを提供する。
【解決手段】現像ブレードを、弾性係数が0.5×104〜4.0×104kg/mm2の範囲であり、かつ、断面2次モーメント(Iz)が6.5E−04〜1.2E−02の範囲である支持部材と、この支持部材の1つの端側部に沿って片面に配設されたブレード部材とを備えたものとし、ブレード部材を、25%モジュラスが0.85MPa以下のゴム材料からなり、かつ、断面2次モーメント(Iz)が8E−02〜1.2E+01の範囲とし、ブレード部材の長手方向における反りが10mm以下であるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ブレードに係り、特にレーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真画像形成装置の現像装置に用いる現像ブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置では、感光体ドラム上の潜像を現像するための現像装置を備えている。この現像装置は、例えば、図9に示されるように、ホッパー62、現像ローラ63、回動可能な攪拌板64、現像ブレード65を備えたような構造の現像装置61が知られている(特許文献1)。この現像装置61では、ホッパー62内の現像剤66が攪拌板64により現像ローラ63に供給され、現像ブレード65と現像ローラ63との摩擦帯電により現像ローラ63の周面上に現像剤が薄層で均一に担持される。そして、潜像が形成されている感光体ドラム67に現像ローラ63から現像剤66が移行して現像が行われる。
従来の現像ブレード65としては、例えば、図10に示すように、厚みが0.1mm程度の金属製の支持部材72の端側部72Aに沿って、ゴム製のブレード部材74を備えた構造のものが知られている。
【特許文献1】特開2003−43812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の現像ブレードでは、支持部材72の片面にブレード部材74を成形するので、支持部材72とブレード部材74との熱収縮の違いにより、支持部材72がブレード部材74側へ変形して反りを生じるという問題があった。このような反りが生じた現像ブレードは取り扱い性が悪く、変形した製品を平らにして組み込むため装着作業性も悪いものであった。
【0004】
これに対して、支持部材72の厚みや幅を大きくすることにより、あるいは、ブレード部材74の幅を小さくすることにより、上記の現像ブレードの反りを抑制することができる。しかし、支持部材72の厚みや幅を大きくすると、支持部材72のバネ性が低下して、現像装置における現像ブレードの機能発現が損なわれたり、現像装置の小型化に支障を来たすことがあり、また、製造コストが増大するという問題があった。また、ブレード部材74の幅を小さくする場合には、ブレード部材74の成形が難しくなったり、現像装置における現像ブレードの機能発現が損なわれるという問題があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、十分なバネ性を有しながら反りがほとんどない現像ブレードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明の現像ブレードは、支持部材と、該支持部材の1つの端側部に沿って片面に配設されたブレード部材とを備え、前記支持部材は弾性係数が0.5×104〜4.0×104kg/mm2の範囲であり、かつ、断面2次モーメント(Iz)が6.5E−04〜1.2E−02の範囲であり、前記ブレード部材は25%モジュラスが0.85MPa以下のゴム材料からなるとともに、断面2次モーメント(Iz)が8E−02〜1.2E+01の範囲であり、前記ブレード部材の長手方向における反りが10mm以下であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記支持部材は、ステンレス鋼からなり、厚みが0.07〜0.2mm、幅が12〜30mmの範囲であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記支持部材は、リン青銅からなり、厚みが0.2〜0.4mm、幅が12〜30mmの範囲であるような構成とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の現像ブレードは、弾性係数が0.5×104〜4.0×104kg/mm2の範囲であり、断面2次モーメント(Iz)が6.5E−04〜1.2E−02の範囲である非常に薄い支持部材を使用するにもかかわらず、ブレード部材の25%モジュラスと断面2次モーメント(Iz)とが所定の範囲内にあることにより、ブレード部材の長手方向における反りが10mm以下であり、これにより、平坦性に優れ、また、支持部材が良好なバネ性を発現するので、現像装置への装着性が良好であるとともに、現像装置の機能を損ねることがなく、また、現像装置の小型化に支障をきたすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の現像ブレードの一実施形態を示す平面図であり、図2は図1に示される現像ブレードの断面図であって(A)はA−A線矢視断面図、(B)はB−B線矢視断面図である。図1および図2に示されるように、現像ブレード1は、支持部材2と、この支持部材2の片面に、1つの端側部2Aに沿って形成されたブレード部材4とを備えており、ブレード部材の長手方向(図1の矢印a方向)における反りが10mm以下である。
【0008】
現像ブレード1を構成する支持部材2は、弾性係数が0.5×104〜4.0×104kg/mm2、好ましくは1.0×104〜3.0×104kg/mm2範囲であり、断面2次モーメント(Iz)が6.5E−04〜1.2E−02、好ましくは9.4E−04〜5.2E−03の範囲となるものである。したがって、支持部材2の材質には特に制限はなく、例えば、SUS301、SUS304等のステンレス鋼、C5210等のバネ用リン青銅、ベリリウム銅等からなる金属基板、セラミックス基板、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂基板、炭素繊維基板等を挙げることができる。
【0009】
また、支持部材2の厚み、幅は、それぞれ材質を考慮して適宜設定することができ、例えば、材質がステンレス鋼の場合には、厚みは0.07〜0.2mm、好ましくは0.09〜0.15mmの範囲、幅は12〜30mm、好ましくは15〜25mmの範囲で適宜設定できる。また、材質がリン青銅の場合には、厚みは0.2〜0.4mm、好ましくは0.25〜0.35mmの範囲、幅は12〜30mm、好ましくは15〜25mmの範囲で適宜設定できる。
ここで、支持部材の弾性係数の測定は、金属材料引張試験方法JIS Z2241法により行う。
【0010】
また、断面2次モーメント(Iz)は、Iz=∫y2dAから算出する。この式において、yは重心から微小面積dAまでの距離であり、dAは微小面積である。より具体的には、以下のように断面2次モーメント(Iz)を算出する。
(i) 支持部材の断面形状が三角形、あるいは三角形に近似している場合には、下記の式1により算出する。
Iz=bh3/36 … 式1
(b:底辺の長さ(mm)、h:高さ(mm))
(ii) 支持部材の断面形状が半円、あるいは半円に近似している場合には、下記の式2により算出する。
Iz=0.1098r4 … 式2
(r:半円の半径(mm))
(iii) 支持部材の断面形状が1/4円、あるいは1/4円に近似している場合には、下記の式3により算出する。
Iz=0.055r4 … 式3
(r:1/4円の半径(mm))
(iv) 支持部材の断面形状が方形、あるいは方形に近似している場合には、下記の式4により算出する。
Iz=bh3/12 … 式4
(b:幅(mm)、h:高さ(mm))
【0011】
但し、支持部材の断面形状が上記の(i)〜(iv)で挙げた形状の中間的な形状であり、式1〜式4のいずれの算出式を使用するか決定が困難な場合には、該当すると思われる複数の算出式からそれぞれIzを算出し、その平均値を断面2次モーメント(Iz)とする。また、支持部材の断面形状が上記の(i)〜(iv)で挙げた2種以上の形状の組み合わせである場合には、各形状毎に式1〜式4のいずれかの算出式によりIzを算出し、その合計値を断面2次モーメント(Iz)とする。
【0012】
尚、図示例では、支持部材2は端側部2Aに対向する端側部2Bに沿って複数の穴部3を備えている。この穴部3は取り付け用、位置決め用等、任意に設定することができ、図示例に限定されるものではない。
ブレード部材4は、支持部材2の端側部2Aに沿って形成されたブレード本体5と、このブレード本体5の一方の端部に位置するスカート部6とを備えている。ブレード本体5は、現像ローラとの接触領域が曲面をなすものであり、図示例では、断面が略半円形状となっている。
【0013】
また、スカート部6は、後述する上金型においてゲートを設けるための部位である。尚、図3に示すように、ブレード本体5の両端部にそれぞれスカート部6a,6bを備えるものであってもよい。この場合、スカート部6aは、後述する上金型においてゲートを設けるための部位であり、他方のスカート部6bは、スカート部6aから注入されたブレード本体5を形成するための成形材料の流れを良くするものである。但し、ゲートを設けるスカート部はスカート部6a、スカート部6bのいずれであってもよい。
【0014】
このようなブレード部材4は、25%モジュラスが0.85MPa以下、好ましくは0.3〜0.6MPaの範囲にあり、断面2次モーメント(Iz)が8E−02〜1.2E+01、好ましくは4.2E−01〜6.0E+00の範囲である。25%モジュラスが0.85MPaを超えると、上述の支持部材2に10mmを超える反り(変形)が生じ易く好ましくない。また、断面2次モーメント(Iz)が8E−02未満であると、ブレード部材4の成形が困難であったり、現像装置の機能を損なう場合があり、一方、断面2次モーメント(Iz)が1.2E+01を超えると、現像装置の小型化に支障を来たしたり、製造コストが増大するので好ましくない。
【0015】
ここで、本発明における25%モジュラスは、JIS K6254の低変形引張試験に準拠して測定する。この場合、試験片は幅5mm、長さ100mm、厚さ2.0±0.2mmの短冊形状とし、試験片の長さ方向の中央部にて標線間距離を40mmに設定し、試験片を引張速度50±5mm/分で25%伸張(標線間距離40mm→50mm)して測定する。尚、測定装置は東洋精機(株)製のストログラフを使用する。また、ブレード部材の断面2次モーメント(Iz)の算出は、上記の支持部材の断面2次モーメント(Iz)の算出方法と同様である。
【0016】
現像ブレードの反り(変形)の程度は、幅Wが18mm、長さLが240mm(図1参照)の支持部材を備える現像ブレードを、図4に示すように、ブレード部材側が上となるようにして水平定盤上に載置し、ブレード部材4の長手方向において、支持部材2の両端部2a,2bについて、水平定盤から支持部材2までの最大反り量を測定し、これらの合計(単位mm)を反り量(変形量)とする。例えば、図4において、一方の端部2aの2箇所の隅部での反り量h1、h2のうち、最大反り量がh1であり、他方の端部2bの2箇所の隅部での反り量h3、h4のうち、最大反り量がh3である場合、現像ブレード1の反り量は(h1+h3)となる。尚、反り量の測定は各端部の隅部に限定されないこと、および、現像ブレード自体の自重による変形を含むことは勿論である。
【0017】
ブレード部材4の材質としては、25%モジュラスが0.85MPa以下であるゴム材料であればよく、例えば、シリコーンゴム(Q)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)、ウレタンゴム(U)、エピクロルヒドリンゴム(CO)、水素化ニトリルゴム(HNBR)等を挙げることができる。
【0018】
図5は本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す平面図である。図5において、現像ブレード11は、支持部材12と、この支持部材12の片面に、1つの端側部12Aに沿って形成されたブレード部材14とを備えている。そして、ブレード部材14は、ブレード本体15と、このブレード本体15に沿って形成されたスカート部16とを備えている。このスカート部16は、上述のスカート部6と同様に、後述する上金型においてゲートを設けるための部位であり、注入されたブレード本体15を形成するための成形材料の流れを良くするものである。スカート部16にゲートを設ける位置は、スカート部16の両端部のいずれであってもよい。
尚、現像ブレード11を構成する支持部材12は、他方の端側部12Bに沿って複数の穴部13を備えている。
【0019】
また、図6は本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す図2(A)相当の断面図である。図6において、現像ブレード21は、支持部材22と、この支持部材22の片面に、1つの端側部22Aに沿って形成されたブレード部材24とを備えている。この現像ブレード21では、ブレード部材24が、ブレード本体25と、このブレード本体25に連続的に形成されたスカート部26とを備えている。このようなスカート部26は、上述のスカート部6と同様に、後述する上金型においてゲートを設けるための部位であり、注入されたブレード本体25を形成するための成形材料の流れを良くするものである。スカート部26にゲートを設ける位置は、スカート部26の両端部のいずれであってもよい。
尚、現像ブレード21を構成する支持部材22は、他方の端側部22Bに沿って複数の穴部を備えていてもよい。
【0020】
上述の現像ブレード11,21を構成する支持部材12,22、ブレード部材14,24は、それぞれ上述の現像ブレード1を構成する支持部材2、ブレード部材4と同様である。したがって、支持部材12,22は、弾性係数が0.5×104〜4.0×104kg/mm2、好ましくは1.0×104〜3.0×104kg/mm2範囲であり、断面2次モーメント(Iz)が6.5E−04〜1.2E−02、好ましくは9.4E−04〜5.2E−03の範囲となるものである。また、ブレード部材14,24は、25%モジュラスが0.85MPa以下、好ましくは0.3〜0.6MPaのゴム材料からなり、断面2次モーメント(Iz)が8E−02〜1.2E+01、好ましくは4.2E−01〜6.0E+00の範囲である。
本発明の現像ブレードは、射出成形、トランスファ成形のいずれであっても製造することができる。
【0021】
ここで、上述の現像ブレード1を例として、射出成形による現像ブレードの製造例を説明する。
図7および図8は、射出成形により本発明の現像ブレードを製造する場合に使用する金型の一例を説明するための図であり、図7は上述の現像ブレード1の図2(A)に示される部位に相当する断面図であり、図8は上述の現像ブレード1の図2(B)に示される部位に相当する断面図である。
【0022】
図7および図8において、使用する金型31は、上金型32と、平らな型面を有する下金型33とからなる。上金型32は、ブレード部材4を形成するためのキャビティ34が設けられた型面とキャビティ34に連通するゲート35とを備えている。また、ゲート35は、上述の現像ブレード1のスカート部6に該当する部位に配設されている。そして、キャビティ34が支持部材2で閉塞された状態で上金型32と下金型33とを型合わせして型締めする。その後、ゲート35から成形材料を注入してキャビティ34内を充填することにより、現像ブレード1が製造される。
上述の実施形態は例示であり、本発明の現像ブレードはこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
支持部材として、厚さ0.1mm、幅18mm、長さ240mmのSUS301板材を準備した。この支持部材は、弾性係数が1.9×104kg/mm2であり、断面2次モーメント(Iz)が1.5E−03のものを使用した。尚、支持部材の弾性係数の測定は、金属材料引張試験方法JIS Z2241法を用いた。また、断面2次モーメント(Iz)は、支持部材の断面形状から算出することができ、断面形状が長方形であるため、上述の式4(bh3/12)により算出した。その結果、Iz=18×0.13/12=1.5E−03を得た。
【0024】
次に、液状シリコーンゴムと硬化剤の混合物を6種(混合物A〜F)準備した。次に、各混合物を使用するとともに、図7、図8に示されるような射出成形金型と上記の支持部材を使用して、6種の現像ブレード(試料1〜6)を作製した。各現像ブレードを構成するブレード部材の25%モジュラスを下記の測定方法により測定して、下記の表1に示した。また、各現像ブレードを構成するブレード部材の断面2次モーメント(Iz)は7E−01であった。
【0025】
(25%モジュラスの測定方法)
JIS K6254の低伸張引張試験に準拠して測定した。この場合、
6種の液状シリコーンゴムと硬化剤の混合物A〜Fをそれぞれ硬化させ
幅5mm、長さ100mm、厚さ2.0±0.2mmの短冊状試験片を
作製した。この試験片の長さ方向の中央に標線間距離を40mmに設定
し、試験片を引張速度50±5mm/分で25%伸張(標線間距離40
mm→50mm)して測定する。測定装置はストログラフ(東洋精機
(株)製)を使用した。
【0026】
上記のように作製した各現像ブレード(試料1〜6)について、反り量を下記の方法で測定して、結果を下記の表1に示した。
(反り量の測定方法)
ブレード部材側が上となるようにして現像ブレードを水平定盤上に載置
し、ブレード部材の長さ方向の両端部において、水平定盤から支持部材
までの最大反り量を測定し、これらの合計(単位mm)を反り量(変形
量)とした。
【0027】
【表1】

【0028】
表1に示されるように、弾性係数が1.9×104kg/mm2であり、断面2次モーメント(Iz)が1.5E−03であって、厚さ(0.1mm)に対し長さ(240mm)が2400倍の非常に薄いSUS301板材を支持部材として使用し、この支持部材とは線膨張係数が1桁違うブレード部材を形成しながらも、断面2次モーメント(Iz)が7E−01で、25%モジュラスが0.85MPa以下であるブレード部材を備えた現像ブレード(試料1〜4)は、いずれも反り量が10mm以下であった。
【0029】
[実施例2]
支持部材として、実施例1と同じSUS301板材を準備した。
次に、ゴム材料としてNBR、およびFKM(ダイキン工業(株)製 LT303)、シリコーンゴム(信越化学工業(株)製 X34−1595−B)を準備し、トランスファ成形により、上記の支持部材の片面にブレード部材を成形して、それぞれ現像ブレード(試料7、試料8)を作製した。これらの現像ブレードを構成するブレード部材の25%モジュラスを実施例1と同様に測定した結果、NBRを使用した現像ブレード(試料7)では0.7MPa、FKM、シリコーンゴムを使用した現像ブレード(試料8)は0.5MPaであった。また、ブレード部材の断面2次モーメント(Iz)は、試料7、試料8ともに7E−01であった。
【0030】
上記のように作製した各現像ブレードについて、実施例1と同様に反り量を測定した結果、NBRを使用した現像ブレード(試料7)の反り量は4mm、FKMを使用した現像ブレード(試料8)の反り量は2mmであった。このことから、ゴム材料としてNBRやFKMを使用した場合であっても、ブレード部材が、その断面2次モーメント(Iz)が7E−01で、25%モジュラスが0.85MPa以下であることにより、弾性係数が1.9×104kg/mm2であり、断面2次モーメント(Iz)が1.5E−03である非常に薄いSUS301板材を支持部材として使用しながらも、反り量10mm以下が達成できることが確認された。
【0031】
[実施例3]
支持部材として、実施例1と同じSUS301板材を準備した。
次に、実施例1で使用したのと同じ液状シリコーンゴムと硬化剤の混合物Bを準備した。次いで、上金型のキャビティの容積が異なる射出成形金型を使用した他は、実施例1と同様に射出成形によって、ブレード部材の断面2次モーメントが異なる5種の現像ブレード(試料9〜13)を作製した。このように作製した5種の現像ブレード(試料9〜13)を構成するブレード部材の断面2次モーメントを下記の表2に示した。また、各現像ブレードを構成するブレード部材の25%モジュラスは、0.6MPaであった。
上記のように作製した5種の現像ブレード(試料9〜13)について、反り量を実施例1と同様の方法で測定して、結果を下記の表2に示した。
【0032】
【表2】

【0033】
表2に示されるように、弾性係数が1.9×104kg/mm2であり、断面2次モーメント(Iz)が1.5E−03であって、厚さ(0.1mm)に対し長さ(240mm)が2400倍の非常に薄いSUS301板材を支持部材として使用し、この支持部材とは線膨張係数が1桁違うブレード部材を形成しながらも、断面2次モーメント(Iz)が8E−02〜1.2E+01の範囲であり、25%モジュラスが0.85MPa以下(0.60MPa)であるブレード部材を備えた試料9〜12は、いずれも反り量が10mm以下であった。
これに対して、断面2次モーメント(Iz)が1.2E+01を超えるブレード部材を備えた現像ブレード(試料13)は、反り量が10mmを超え、実用に供し得ないものであった。
【0034】
[実施例4]
支持部材として、幅18mm、長さ240mmで弾性係数の異なる5種のSUS301板材(支持部材A〜E)を準備した。これらの各支持部材A〜Eの弾性係数を実施例1と同様の方法で測定し、結果を下記の表3に示した。尚、各支持部材A〜Eの断面2次モーメント(Iz)は1.5E−03であった。
【0035】
次に、実施例1で使用したのと同じ液状シリコーンゴムと硬化剤の混合物Bを準備し、実施例1と同様に射出成形によって5種の現像ブレード(試料14〜18)を作製した。各現像ブレードを構成するブレード部材の25%モジュラスは、0.6MPaであった。また、各現像ブレードを構成するブレード部材の断面2次モーメントは7E−01であった。
上記のように作製した5種の現像ブレード(試料14〜18)について、反り量を実施例1と同様の方法で測定して、結果を下記の表3に示した。
【0036】
【表3】

【0037】
表3に示されるように、弾性係数が0.5×104〜4.0×104kg/mm2の範囲であり、かつ、断面2次モーメント(Iz)が1.5E−03である支持部材B,C,Dを使用し、断面2次モーメントが8E−02〜1.2E+01の範囲(7E−01)で、25%モジュラスが0.85MPa以下(0.60MPa)であるブレード部材を備えた現像ブレード(試料15,16,17)は、いずれも反り量が10mm以下であった。
これに対して、弾性係数が小さい支持部材Aを用いた現像ブレード(試料14)は、反り量が15mmであった。一方、弾性係数が大きい支持部材Eを用いた現像ブレード(試料18)は、反り量が0.1mmであり小さいものであったが、弾性係数が大きいため、支持部材が変形しにくくなり、現像ブレードの機能発現が損なわれたり、製造コストの増大を来たすおそれのあるものであった。
【0038】
[実施例5]
支持部材として、幅18mm、長さ240mmで厚さの異なる5種のSUS301板材(支持部材F〜J)を準備した。これらの各支持部材F〜Jの断面2次モーメントを実施例1と同様の方法で算出し、結果を下記の表4に示した。尚、各支持部材A〜Eの弾性係数は1.9×104kg/mm2であった。
【0039】
次に、実施例1で使用したのと同じ液状シリコーンゴムと硬化剤の混合物Bを準備し、実施例1と同様に射出成形によって5種の現像ブレード(試料19〜23)を作製した。各現像ブレードを構成するブレード部材の25%モジュラスは、0.6MPaであった。また、各現像ブレードを構成するブレード部材の断面2次モーメントは7E−01であった。
上記のように作製した5種の現像ブレード(試料19〜23)について、反り量を実施例1と同様の方法で測定して、結果を下記の表4に示した。
【0040】
【表4】

【0041】
表4に示されるように、断面2次モーメントが6.5E−04〜1.2E−02の範囲で、弾性係数が1.9×104kg/mm2である支持部材G,H,Iを使用し、断面2次モーメントが8E−02〜1.2E+01の範囲(7E−01)で、25%モジュラスが0.85MPa以下(0.60MPa)であるブレード部材を備えた現像ブレード(試料20,21,22)は、いずれも反り量が10mm以下であった。
これに対して、断面2次モーメントが1.2E−02を超える支持部材Fを用いた現像ブレード(試料19)は、反り量は0mmであるが、支持部材のバネ性が低下して、現像装置における現像ブレードの機能発現が損なわれるものであった。一方、断面2次モーメントが6.5E−04未満である支持部材Jを用いた現像ブレード(試料23)は、反り量が10mmを超え、実用に供し得ないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
電子写真画像形成装置の現像装置に用いられる現像ブレードに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の現像ブレードの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示される現像ブレードの断面図であって、(A)はA−A線矢視断面図、(B)はB−B線矢視断面図である。
【図3】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す平面図である。
【図4】反り量の測定方法を説明するための図である。
【図5】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す図2(A)相当の断面図である。
【図7】本発明の現像ブレードの製造に使用する金型を説明するための図である。
【図8】本発明の現像ブレードの製造に使用する金型を説明するための図である。
【図9】現像装置の構造の一例を示す図である。
【図10】従来の現像ブレードの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1,11,21…現像ブレード
2,12,22…支持部材
2A,12A,22A…端側部
4,14,24…ブレード部材
5,15,25…ブレード本体
31…金型
32…上金型
33…下金型
34…キャビティ
35…ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、該支持部材の1つの端側部に沿って片面に配設されたブレード部材とを備え、前記支持部材は弾性係数が0.5×104〜4.0×104kg/mm2の範囲であり、かつ、断面2次モーメント(Iz)が6.5E−04〜1.2E−02の範囲であり、前記ブレード部材は25%モジュラスが0.85MPa以下のゴム材料からなるとともに、断面2次モーメント(Iz)が8E−02〜1.2E+01の範囲であり、前記ブレード部材の長手方向における反りが10mm以下であることを特徴とする現像ブレード。
【請求項2】
前記支持部材は、ステンレス鋼からなり、厚みが0.07〜0.2mm、幅が12〜30mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の現像ブレード。
【請求項3】
前記支持部材は、リン青銅からなり、厚みが0.2〜0.4mm、幅が12〜30mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の現像ブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−271950(P2007−271950A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97799(P2006−97799)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000005175)藤倉ゴム工業株式会社 (120)
【Fターム(参考)】