説明

現像装置

【目的】 静電潜像担持体へ一成分現像剤を供給して該担持体上の静電潜像を現像する現像剤搬送体及び該搬送体へ現像剤を供給する現像剤ホッパを備えた現像装置によって、たとえ定まったパターンの画像を何枚も得るために同じパターンの静電潜像を何度も現像する事態が生じても、現像剤の局部的な劣化、現像剤飛散等を抑制し、良質の画像を形成する。
【構成】 感光体ドラム1へトナーを供給して該ドラム上の静電潜像を現像する現像スリーブ15及び該スリーブへトナーを供給する現像剤ホッパ11を備え、さらに、現像スリーブ15とホッパ11の間にバッファ室13を有し、該バッファ室内に、現像スリーブ15の幅方向にトナーを移動させつつ攪拌できる攪拌部材19を設けてある現像装置。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に採用される現像装置、特に静電潜像担持体へ一成分現像剤を供給して該担持体上の静電潜像を現像する現像剤搬送体及び該搬送体へ現像剤を供給する現像剤ホッパを備えた現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の現像装置によると、現像剤搬送体上の現像剤が静電潜像の現像に供されて消費されると、それを補給するために現像剤ホッパから新たな現像剤が補給される。しかし、現像剤搬送体にて現像領域へ搬送される現像剤の全てが現像に供されるわけではなく、静電潜像のうちトナー消費が多い部分には、それに対応する現像剤搬送体部分上の現像剤が多く供給され、トナー消費が少ないか、無い部分では、それに対応する現像剤搬送体部分上の現像剤は、少なく供給されるか、又は供給されないでそのまま現像領域を通過する。
【0003】このように現像領域を通過した現像剤の一部はそのまま再び現像領域へ搬送され、残部は現像剤搬送体に臨む現像剤規制部材、すなわち現像剤の帯電量や搬送体上への付着量を規制する規制部材によって搬送体上から剥がし落とされる。このように剥がし落とされた現像剤も再び搬送体上に供給され、現像領域へ搬送される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、例えば、定まったパターンの画像を何枚も得るために、同じパターンの静電潜像を何度も現像すると、現像剤搬送体上の1部分又はそれ以上の部分において、そこに保持された現像剤が消費されることなく、現像剤規制部材の規制を受けつつ何度も搬送体による搬送を受ける。
【0005】そのため、かかる現像剤が次第に劣化し、現像剤搬送体や静電潜像担持体等に悪影響を及ぼすとともに、帯電不良等のために画像形成装置内において飛散するといった問題がある。特に、同じ現像剤が規制部材により何度も圧接され、そのため粉砕されて微粉化したり、現像剤表面における流動化剤や荷電制御剤等が現像剤中に埋め込まれたりして流動性が悪くなり、ついには現像剤のブロッキングが発生して、現像剤搬送体への現像剤供給がうまく行えなくなったり、かかる現像剤が搬送体表面に付着して現像剤の帯電不良が発生し、画像パターンに応じた縞模様の如き画像不良を発生するという問題がある。
【0006】そこで本発明は、静電潜像担持体へ一成分現像剤を供給して該担持体上の静電潜像を現像する現像剤搬送体及び該搬送体へ現像剤を供給する現像剤ホッパを備えた現像装置において、たとえ定まったパターンの画像を何枚も得るために同じパターンの静電潜像を何度も現像する事態が生じても、現像剤の局部的な劣化、現像剤飛散等を抑制し、良質の画像を形成することができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記目的を達成するため研究の結果、現像領域において消費されずにそのまま通過してきて現像剤搬送体から落下した現像剤が再び該搬送体上の同じ位置に供給されることを防止するように、かかる現像剤を搬送体幅方向(回転搬送体の場合はその回転軸線方向)に移動させるとともに、現像剤ホッパから供給される新たな現像剤も搬送体幅方向に移動させつつ、これら両現像剤を混合攪拌すれば現像領域で消費されなかった現像剤も搬送体上の他の部分へ供給されて消費されるようになるとともに、現像剤消費が少ないか又は無い部分には新しい現像剤が供給され、その結果、現像剤の劣化等が抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち本発明は、静電潜像担持体へ一成分現像剤を供給して該担持体上の静電潜像を現像する現像剤搬送体及び該搬送体へ現像剤を供給する現像剤ホッパを備えた現像装置において、前記現像剤搬送体及びホッパの間に、該搬送体に臨み、前記ホッパから供給される現像剤を滞留させるバッファ室を設けるとともに、該バッファ室内に、前記現像剤搬送体の幅方向に現像剤を移動させつつ攪拌できる攪拌部材を設けたことを特徴とする現像装置を提供するものである。
【0009】
【作用】本発明現像装置によると、現像剤搬送体上に供給され、現像領域へ運ばれた現像剤のうち、現像に供されずにそのまま該領域を通過してバッファ室へ戻された現像剤は、該バッファ室にある現像剤、或いはそれと現像剤ホッパから供給されてきた新しい現像剤と混合攪拌されつつ搬送体幅方向に移動せしめられ、搬送体各部に再び供給されて現像に供される。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は一実施例現像装置を含むイメージングカートリッジの断面を示している。図1に示す現像装置10は、図示しない駆動手段により図中反時計方向に回転駆動される駆動ローラ16、該駆動ローラに外嵌された現像スリーブ15、現像スリーブ15の背後に設けたバッファ室13及び該バッファ室の背後に設けた現像剤ホッパ11を備えている。
【0011】現像スリーブ15は駆動ローラ16の外径より若干大きい内径を有し、図示しないガイド部材によりバッファ室13側から駆動ローラ16に押し当てられ、反対側にできたたるみ部分150が感光体ドラム1に接触する可撓性の円筒形状のものである。バッファ室13内では現像スリーブ15にトナー規制部材17が圧接されており、該現像スリーブにトナー供給ローラ18が臨んでいる。また規制部材17の背後にトナー攪拌部材19が設けられている。これら供給ローラ18及び攪拌部材19は図示しない駆動手段により回転駆動される。
【0012】攪拌部材19は、図2に示すように、その軸191上に一定方向に向けた多数の羽根192及び、該方向とは反対方向に向けた多数の羽根193を立設し、これら羽根の上端に細幅部材194を固定したものである。現像剤ホッパ11中には一成分現像剤であるトナー4が収容され、このトナーを攪拌しつつバッファ室13へ供給する回転部材12を設けてある。
【0013】感光体ドラム1の上方には帯電チャージャ2が設けてあり、該チャージャの上流側には感光体ドラム1上に残留するトナーを除去するクリーナ6が設けてある。このイメージングカートリッジ10は図示しないプリンタ本体に組み込まれ、感光体ドラム1が図中時計方向に回転駆動され、そのドラム表面にチャージャ2によって電荷が付与され、該帯電域に光学系3から画像露光され、静電潜像が形成される。この静電潜像は本発明に係る現像装置10によって現像されてトナー像となり、このトナー像が図示しない転写紙供給手段から送られてくる転写紙に転写され、図示しない定着器により定着されたのち、プリンタ外へ排出される。ドラム1表面に残留するトナーはクリーナ6によって除去される。
【0014】本発明に係る現像装置10では、現像スリーブ15が駆動ローラ16との摩擦力でローラ16と同方向に回転駆動され、バッファ室13における供給ローラ18の回転により現像スリーブ15上にトナーが供給される。供給されたトナーは規制部材17によって帯電量及びスリーブへの付着量を規制されて感光体ドラム1に臨む現像領域へ運ばれ、ここで静電潜像の現像に供される。現像に供されなかった現像剤はそのままスリーブの回転とともに再びバッファ室13へ戻り、そのうち一部は規制部材17を潜り抜けて現像領域へ再搬送されるが、残部は規制部材17によりスリーブから剥がされてバッファ室13へ落下する。このようにスリーブ15から剥がされてバッファ室13へ落下したトナー、もともとバッファ室13にあったトナー、さらにはトナー消費に応じて現像剤ホッパ11からホッパ開口110を介して新たに供給されたトナー4は、回転攪拌部材19によって混合攪拌されつつ現像スリーブ15の幅方向、すなわち回転軸線方向に移動し、再び現像スリーブ15に供給される。
【0015】このようにバッファ室13における部材19の回転により、現像領域において現像に供されずにそのままバッファ室へ戻ってきて規制部材17により剥がし落とされたトナー、バッファ室13にもともとあったトナー、ホッパ11から新たに供給されてきたトナーの3者が、混合攪拌されつつ、現像スリーブ15の軸線方向に移動せしめられ、再び現像スリーブ15へ供給されるので、トナーのブロッキングが防止されるとともに、たとえ、定まったパターンの画像を得るために、トナー消費が多い部分、少ない部分、或いはトナー消費が無い部分が定まった同じパターンの静電潜像を何度も現像する場合においても、同じトナーがトナー消費が少ないか又は無い現像スリーブ上の同じ位置に何度も供給されて規制部材17による圧接を何回も受けるということは抑制され、現像領域において消費されなかったトナーも現像を繰り返すうちに次第に消費されていき、現像スリーブ15には次々と万遍なく新しいトナーが供給される。このように、同じトナーが何度も規制部材による圧接を受けつつ現像領域へ搬送されるという事態が避けられるので、それだけ規制部材圧接によるトナーの微粉化、トナー表面に付着させた流動化剤や荷電制御剤等のトナー中への埋め込みが抑制され、延いてはトナーの帯電不良、それに伴うトナー飛散、トナーの現像スリーブ上の融着等が防止され、良好な画像が提供される。
【0016】また、通常、現像剤はトナー粒径の小さなものの方が規制部材17を通過しやすく、粒径の小さなトナーから消費されることになり、残トナーの平均粒径が大きくなるといった粒径選別が起こり、そのため、トナーの消費がすすむにつれ、画質が荒れてくるといった問題を生じるが、現像部近傍に小容器のバッファ室13を設けてあるので、この中である程度、粒径選別を起こしても、ホッパ11より一定の粒径分布を持つトナー4が補給されることで、平均粒径が大きくなるのを抑制することができる。
【0017】攪拌部材19は前記のものに限定されることはなく、例えば図3に示すように、軸191に向きの異なる螺旋羽根195、196を設けたもの、図4に示すように、軸191に外嵌した向きの異なる螺旋羽根197、198を脚部材199で軸191に連結したもの等でもよい。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、静電潜像担持体へ一成分現像剤を供給して該担持体上の静電潜像を現像する現像剤搬送体及び該搬送体へ現像剤を供給する現像剤ホッパを備えた現像装置において、たとえ定まったパターンの画像を何枚も得るために同じパターンの静電潜像を何度も現像する事態が生じても、現像剤の局部的な劣化、現像剤飛散等を抑制し、良質の画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を備えたイメージングカートリッジの断面図である。
【図2】図(A)は回転攪拌部材の斜視図であり、図(B)は図(A)のX−X線に沿う断面図である。
【図3】回転攪拌部材の他の例の正面図である。
【図4】回転攪拌部材のさらに他の例の正面図である。
【符号の説明】
10 現像装置
11 現像剤ホッパ
12 攪拌部材
13 バッファ室
15 現像スリーブ
16 駆動ローラ
17 トナー規制部材
18 トナー供給ローラ
19 トナー攪拌部材
4 トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 静電潜像担持体へ一成分現像剤を供給して該担持体上の静電潜像を現像する現像剤搬送体及び該搬送体へ現像剤を供給する現像剤ホッパを備えた現像装置において、前記現像剤搬送体及びホッパの間に、該搬送体に臨み、前記ホッパから供給される現像剤を滞留させるバッファ室を設けるとともに、該バッファ室内に、前記現像剤搬送体の幅方向に現像剤を移動させつつ攪拌できる攪拌部材を設けたことを特徴とする現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平5−19622
【公開日】平成5年(1993)1月29日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−168438
【出願日】平成3年(1991)7月9日
【出願人】(000006079)ミノルタカメラ株式会社 (155)