説明

球帯状シール体

【課題】600℃を超える高温での使用においても酸化消耗を低減させ、酸化消耗に起因する重量減少を低減させると共にシール特性を向上させた球帯状シール体を提供すること。
【解決手段】球帯状シール体34は、円筒内面28、部分凸球面状面29及び環状端面30、31により規定される球帯状基体32と、部分凸球面状面29に一体的に形成された外層33とを備えており、球帯状基体32は、金網4からなる補強材5と、補強材5と混在一体化されている膨張黒鉛及び燐酸塩を含む耐熱材6とを具備しており、外層は、膨張黒鉛及び燐酸塩を含む耐熱材6と耐熱材6と混在一体化された金網4からなる補強材5とを有しており、耐熱材6中の膨張黒鉛は、灰分の含有量が0.1質量%以下で、黒鉛の含有量が99.7質量%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車排気管の球面継手に使用されて好適な球帯状シール体に関する。
【背景技術】
【0002】
図15は、自動車エンジンの排気通路の一例を示すもので、エンジンの各気筒(図示せず)で発生した排気ガスは、排気マニホールド触媒コンバータ600にまとめられ、排気管601及び排気管602を通じてサブマフラ603に送られる。このサブマフラ603を通過した排気ガスは、更に排気管604及び排気管605を介してマフラ(消音器)606へと送られ、このマフラ606を通じて大気中に放出される。
【0003】
これら排気管601及び602並びに604及び605や、サブマフラ603及びマフラ606等の排気系部材にあっては、エンジンのロール挙動及び振動などにより繰返し応力を受ける。とくに高速回転で高出力エンジンの場合は、排気系部材に加わる応力はかなり大きなものとなる。したがって、排気系部材は疲労破壊を招く虞があり、またエンジン振動が排気系部材を共振させ、室内静粛性を悪化させる場合もある。このような問題を解決するために、排気マニホールド触媒コンバータ600と排気管601との連結部607及び排気管604と排気管605との連結部608を排気管球面継手又は蛇腹式継手等の振動吸収機構によって可動連結することにより、自動車エンジンのロール挙動及び振動などにより排気系部材に繰返し受ける応力が吸収され、当該排気系部材の疲労破壊等が防止されると共にエンジンの振動が排気系部材を共振させ車室内の静粛性を悪化させるという問題も解決されるという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭58−21144号公報
【特許文献2】特開2001−99325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した振動吸収機構の一例として、特許文献1に記載された排気管継手が挙げられる。この排気管継手は、蛇腹式継手と比較して製造コストの低減を図り得て、しかも耐久性に優れているという利点を有するが、この排気管継手に用いられるシール体は、膨張黒鉛からなる耐熱材と金網からなる補強材とを圧縮して補強材の網目に耐熱材を充填し、当該耐熱材と補強材とを混在一体化してなるものである。このシール体に使用されている膨張黒鉛シートは、通常、天然鱗片状黒鉛やキッシュ黒鉛等の粉末を陽極酸化又は濃硫酸に、例えば硝酸等を加えた混酸に浸漬して酸化処理し、これを水洗、乾燥後、加熱膨張処理を施して膨張黒鉛化となし、ここに得られた膨張黒鉛粉末をプレス又はロールで圧縮成形して製造される。この膨張黒鉛シートは、黒鉛の特長である耐薬品性、耐熱性、断熱性及び電気伝導性に優れているばかりでなく、可撓性及び圧縮復元性が大きく、各種パッキン材や高温断熱材として広く使用されている。
【0006】
しかしながら、この膨張黒鉛シートは、出発原料が天然の鱗片状黒鉛やキッシュ黒鉛であるため、珪素(Si)を始め鉄(Fe)、アルミニウム(Al)等の金属不純物や灰分等の不純物が多量に含まれている。また膨張黒鉛シートは、濃硫酸をベースにした混酸(硫酸:硝酸=9:1)の浸漬を経て製造されるため、硫黄化合物、とくに硫黄(S)が多量に残留するという欠点がある。これら硫黄化合物や灰分を多量に含有した膨張黒鉛シートにおいては、耐腐食性に悪影響を及ぼし、また耐熱性や耐久性を低下させるという問題に繋がる虞がある。
【0007】
とくに、近年の自動車エンジンの性能向上に起因する排気ガス温度の上昇により、また自動車のNVH(車輌音響振動特性)の向上を目的として、前記排気ガスマニホールド触媒コンバータの近傍に球面管継手を配置する場合、球面管継手がエンジン側により近づくことに起因する排気ガス温度の上昇により、これまでのシール体では耐熱性の点で使用条件を満足し得ず、シール体自体の耐熱性の向上を余儀なくされており、上記観点から耐熱材の更なる耐熱性の向上が求められている。
【0008】
上記要求に対し本出願人は、600℃を超える高温下においても、耐熱性(耐酸化消耗性)を有し、シール性に優れるシール体を提案した(特許文献2参照)。この特許文献2には、中央部に貫通孔を規定する円筒内面を備え、外面が部分凸球面状に形成され、この外面の大径側に環状の端面を備えた、とくに排気管球面継手に使用される球帯状シール体であって、該円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部は、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された、膨張黒鉛、五酸化燐及び燐酸塩を含む耐熱材とを具備し、部分凸球面状の外面は、膨張黒鉛、五酸化燐及び燐酸塩を含む耐熱材の外面層と、この外面層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した平滑な面に形成されている球帯状シール体が開示されている。
【0009】
上記球帯状シール体は、円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部は、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された膨張黒鉛、五酸化燐及び燐酸塩を含む耐熱材を具備しているため、耐熱材の主体をなす膨張黒鉛の高温での酸化消耗は、五酸化燐及び燐酸塩の酸化抑制作用により600℃を超える高温においても低減され、結果として球帯状シール体の耐熱性が向上するというものである。
【0010】
この特許文献2に記載された球帯状シール体においては、耐熱材に含有されている五酸化燐及び燐酸塩の酸化抑制作用により特許文献1に記載されたシール体よりも耐熱性(耐酸化消耗性)が向上され、該耐熱材中の膨張黒鉛の酸化消耗に起因するシール体の重量減少量が大幅に改善されるものであったが、特許文献2に記載されたシール体においても、前記したNVHの向上等に対する膨張黒鉛を含む耐熱材の耐熱性は充分とは言い難く、更なる耐熱性の向上が要求されている。
【0011】
本発明者らは、上記要求を満足させるべく鋭意検討した結果、前記特許文献2に記載された五酸化燐及び燐酸塩の膨張黒鉛に対する酸化抑制作用を有効に利用すると共に、耐熱材の主成分をなす膨張黒鉛に着目し、膨張黒鉛に含有される金属不純物及び灰分の含有量並びに硫黄分の含有量を低減させると共に黒鉛含有量(黒鉛純度)を増大させることにより、耐熱材自体の耐熱性をさらに向上し得、結果として600℃を超える高温での使用においても球帯状シール体の酸化消耗に起因する重量減少を低減することができることを見出した。
【0012】
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その目的とするところは、600℃を超える高温での使用においても酸化消耗を低減させ、当該酸化消耗に起因する重量減少を低減させると共にシール特性を向上させた球帯状シール体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の球帯状シール体は、円筒内面、部分凸球面状面並びに部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面により規定される球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えた、排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、球帯状基体は、金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されていると共に圧縮された膨張黒鉛及び少なくとも燐酸塩を含む耐熱材とを具備しており、外層は、膨張黒鉛及び少なくとも燐酸塩を含む耐熱材とこの耐熱材と混在一体化された金網からなる補強材とを有しており、該耐熱材中の膨張黒鉛は、灰分の含有量が0.1質量%以下で、黒鉛の含有量が99.7質量%以上であることを特徴とする。
【0014】
本発明において、灰分とは、鉄、カルシウム、珪素、アルミニウム等の金属不純物と膨張黒鉛を高温(1000℃前後)の空気中で加熱して、炭素分を完全に燃焼させて得られる残留分(金属不純物の酸化物で酸化珪素、酸化鉄、アルミナなど)とを総称して言うものとする。
【0015】
本発明の球帯状シール体によれば、耐熱材の主成分をなす膨張黒鉛は、灰分の含有量が0.1質量%以下であって、黒鉛の含有量が99.7質量%以上と極めて高純度であるので、膨張黒鉛自体の耐熱性が向上し、これに含有される少なくとも燐酸塩の酸化抑制作用が加わることによって600℃を超える高温領域での酸化消耗が抑制される結果、酸化消耗に起因する耐熱材の重量減少が抑制され、シール特性を向上させることができる。
【0016】
本発明において、該耐熱材中の膨張黒鉛は、灰分の含有量が0.1質量%以下で、黒鉛の含有量が99.8質量%以上であってもよい。
【0017】
本発明の球帯状シール体において、耐熱材中の膨張黒鉛は、灰分の含有量が好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下である。
【0018】
耐熱材中の膨張黒鉛に含有される灰分は、膨張黒鉛に対しては不純物であるので、その含有量は少なければ少ないほど膨張黒鉛自体が具有する耐熱性や可撓性等の性質を向上させるもので、本来であれば含有量は0(零)であることが好ましいが、含有量を零とするには高価な処理費用を要することから、球帯状シール体として要求される、とくに耐熱性の条件(酸化消耗性の抑制)をクリアするという観点からその含有量は、0.1質量%以下であり、最も好ましくは、0.01質量%以下である。
【0019】
本発明の球帯状シール体において、耐熱材中の膨張黒鉛に硫黄が1700質量ppm以下、好ましくは1000質量ppm以下、より好ましくは500質量ppm以下、さらに好ましくは100質量ppm以下、よりさらに好ましくは50質量ppm以下の割合で含有されていてもよい。
【0020】
硫黄は、膨張黒鉛の製造過程において残留硫黄として含有されるものである。ここで、膨張黒鉛の製造方法を説明する。
【0021】
濃度98%の濃硫酸を攪拌しながら、酸化剤として過酸化水素の60%水溶液を加え、これを反応液とし、この反応液を冷却して10℃の温度に保持し、粒度30〜80メッシュの天然鱗片状黒鉛粉末を添加し、数十分間反応させた後、吸引濾過して酸処理黒鉛を分離し、該酸処理黒鉛を水で数十分間攪拌して吸引濾過するという洗浄作業を2回繰り返し、酸処理黒鉛から硫酸分を十分除去する。次いで、硫酸分を十分除去した酸処理黒鉛を110℃の温度に保持した乾燥炉で数時間乾燥し、これを酸処理黒鉛原料とした。この酸処理黒鉛原料を炉にて1000℃の温度で5秒間処理して分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して膨張させた黒鉛粒子(膨張倍率240倍)を製造し、この膨張黒鉛粒子を圧縮成形又はロール成形して所望の厚さの膨張黒鉛シートを作製する、というものである。
【0022】
上記した製造工程において、酸処理黒鉛を作製する際に、硫酸、硝酸、硫酸と硝酸の混酸などの酸化溶媒体が使用されるが、この酸化溶媒体として硝酸を使用した場合は、膨張黒鉛中に残留硫黄は生成されないが、酸処理黒鉛原料の生産性が悪く、現状では硫酸又は硫酸と硝酸との混酸を使用することが必要であり、得られた酸処理黒鉛中には残留硫黄の含有が余儀なくされる。
【0023】
この残留硫黄を含む膨張黒鉛を、例えば密封部材(シール、パッキン等)や滑り部材(ベアリング等)に供した場合、耐熱性への影響はないが、残留硫黄によって誘発される腐食の問題がある。この残留硫黄による腐食の度合いは、残留硫黄の含有量の多寡によって異なり、本発明者らの実験によれば、含有量が1700質量ppm以下(0.17質量%以下)であれば、また、含有量が1000質量ppm以下であればなおさら、腐食による不具合を生じさせないことを確認している。この硫黄もまた上記灰分と同様、膨張黒鉛に対しては不純物であるので、含有量は少なければ少ないほど膨張黒鉛自体が具有する前記性質を向上させるもので、本来であれば含有量は0(零)であることが好ましいが、残留硫黄を零とするのは工業的に難しいため、球帯状シール体として要求される、とくに耐熱性の観点からその含有量は、1700質量ppm以下、好ましくは、1000質量ppm以下、より好ましくは、500質量ppm以下、より更に好ましくは、100質量ppm以下、最も好ましくは、50質量ppm以下である。
【0024】
本発明の球帯状シール体において、耐熱材は、少なくとも燐酸塩を0.1〜16質量%、好ましくは0.5〜8質量%含有している。
【0025】
耐熱材中の膨張黒鉛に含有される燐酸塩は、膨張黒鉛の高温における酸化消耗を抑制する作用を発揮する。燐酸塩は、第一燐酸リチウム(LiHPO)、第二燐酸リチウム(LiHPO)、第一燐酸カルシウム〔Ca(HPO〕、第二燐酸カルシウム(CaHPO)、第一燐酸アルミニウム〔Al(HPO〕、第二燐酸アルミニウム〔Al(HPO〕から選択されるとよい。
【0026】
耐熱材は、さらに前記燐酸塩と相俟って膨張黒鉛の高温における酸化消耗を抑制する作用を発揮する五酸化燐を0.05〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%含有してもよい。五酸化燐は、オルト燐酸(HPO)、メタ燐酸(HPO)、ポリ燐酸、具体的にはピロ燐酸(H)、トリポリ燐酸(H10)等の鎖状縮合燐酸、ポリメタ燐酸、具体的にはトリメタ燐酸、テトラメタ燐酸等の環状縮合燐酸から選択され、通常水溶液の形態で上記膨張黒鉛の製造工程において酸処理黒鉛粉末と共に使用されるもので、これらの燐酸は、燐酸の脱水反応によって五酸化燐(P)の形態で膨張黒鉛中に含有される。
【0027】
本発明の球帯状シール体において、球帯状シール体の部分凸球面状面に一体に形成された外層の外表面は、膨張黒鉛と燐酸塩又は燐酸塩及び五酸化燐とを含む耐熱材の平滑な面に形成されていてもよく、また外層の外表面は、補強材からなる面と膨張黒鉛並びに燐酸塩又は燐酸塩及び五酸化燐を含む耐熱材の面とが混在した平滑な面に形成されていてもよい。
【0028】
この球帯状シール体の部分凸球面状面に一体に形成された外層の外表面は、球面管継手の相手材との摺接面になると共にシール面にもなる部位であり、とくに相手材との摺接において、相手材表面に耐熱材の過剰な被膜の形成を抑制し、相手材表面との円滑な摺接を行なわせるという観点からは、後者の補強材からなる面と耐熱材からなる面とが混在した平滑な面に形成されている方が好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、球帯状シール体は、円筒内面、部分凸球面状面並びに部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面により規定される球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えており、球帯状基体は、金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されていると共に圧縮された膨張黒鉛並びに燐酸塩又は燐酸塩及び五酸化燐を含む耐熱材とを具備しており、外層は、膨張黒鉛並びに燐酸塩又は燐酸塩及び五酸化燐を含む耐熱材とこの耐熱材に混在一体化された金網からなる補強材とを有しており、該耐熱材中の膨張黒鉛は、灰分の含有量が0.1質量%以下であって、黒鉛の含有量が99.7質量%以上あり、他の態様では、黒鉛の含有量が99.8質量%以上あり、而して、耐熱材中の膨張黒鉛の黒鉛純度が高められているので、膨張黒鉛自体の耐熱性が向上せしめられていると共に、これに燐酸塩又は燐酸塩及び五酸化燐による酸化抑制作用が付加されて耐熱材の高温における酸化消耗が低減される結果、酸化消耗に起因する耐熱材の重量減少が低減され、シール特性を向上させることができる球帯状シール体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態の一例で製造された球帯状シール体の縦断面図である。
【図2】図1に示す球帯状シール体の一部拡大断面図である。
【図3】本発明の球帯状シール体の製造工程における補強材の形成方法の説明図である。
【図4】本発明の球帯状シール体の製造工程における耐熱材の斜視図である。
【図5】補強材の金網の網目を示す平面図である。
【図6】本発明の球帯状シール体の製造工程における重合体の斜視図である。
【図7】本発明の球帯状シール体の製造工程における筒状母材の平面図である。
【図8】図7に示す筒状母材の縦断面図である。
【図9】本発明の球帯状シール体の製造工程における外層形成部材の形成方法の説明図である。
【図10】本発明の球帯状シール体の製造工程における外層形成部材の形成方法の説明図である。
【図11】本発明の球帯状シール体の製造工程における外層形成部材の断面図である。
【図12】本発明の球帯状シール体の製造工程における予備円筒成形体の平面図である。
【図13】本発明の球帯状シール体の製造工程における金型中に予備円筒成形体を挿入した状態を示す縦断面図である。
【図14】本発明の球帯状シール体を組込んだ排気管球面継手の縦断面図である。
【図15】自動車エンジンの排気系の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に何等限定されない。
【0032】
本発明の球帯状シール体について、その製造工程に基づき説明する。
【0033】
(第一工程)図3に示すように、線径0.28〜0.32mmの金属細線を円筒状に編んで形成した網目の目幅が縦4〜6mm程度、横3〜5mm程度(図5参照)の円筒状編組金網1をローラ2及び3間に通して所定の幅Dの帯状金網4を作製し、帯状金網4を所定の長さLに切断した補強材5を準備する。
【0034】
(第二工程)図4に示すように、補強材5の幅Dに対して(1.10〜2.10)×Dの幅dを有すると共に、補強材5の長さLに対して(1.30〜2.70)×Lの長さlを有し、密度が1.0〜1.15Mg/m程度で、厚さが0.30〜0.60mm程度の耐熱材6を準備する。耐熱材6は、膨張黒鉛と所定量の燐酸塩又は所定量の燐酸塩及び五酸化燐とを含有している。
【0035】
(第三工程)後述する球帯状シール体34(図1参照)において、部分凸球面状面29の大径側の環状端面30に全体的に耐熱材6が露出するようにすべく、図6に示すように、部分凸球面状面29の大径側の環状端面30となる補強材5の幅方向の一方の端縁7から最大で(0.10〜0.80)×Dだけ耐熱材6が幅方向にはみ出すと共に端縁7から耐熱材6の幅方向のはみ出し量δ1が部分凸球面状面29の小径側の環状端面31となる補強材5の幅方向の他方の端縁8からのはみ出し量δ2よりも多くなるようにし、耐熱材6が補強材5の長さ方向の一方の端縁9から最大で(0.30〜1.70)×Lだけ長さ方向にはみ出し、そして、補強材5の長さ方向の他方の端縁10と当該端縁10に対応する耐熱材6の長さ方向の端縁11を合致させて当該耐熱材6と補強材5とを互いに重ね合わせた重合体12を得る。
【0036】
(第四工程)重合体12を図7に示すように、耐熱材6を内側にしてうず巻き状であって耐熱材6が1回多くなるように捲回して、内周側及び外周側の両方に耐熱材6が露出した筒状母材13を形成する。耐熱材6としては、筒状母材13における耐熱材6の巻き回数が補強材5の巻き回数よりも多くなるように、補強材5の長さLに対して1.30×Lから2.70×Lの長さlを有したものが予め準備される。筒状母材13において、図8に示すように、耐熱材6は、幅方向の一方の端縁側において補強材5の一方の端縁7から幅方向にδ1だけはみ出しており、また耐熱材6の幅方向の他方の端縁側において、補強材5の他方の端縁8から幅方向にδ2だけはみ出している。
【0037】
(第五工程)線径が0.15〜0.28mmの金属細線を編み機(図示せず)で連続的に編んで形成される円筒状編組金網1からなる外層用の補強材5の内部に、図4に示す耐熱材6と同様の耐熱材6を連続的に挿入(図9参照)し、該耐熱材6を挿入した補強材5をその挿入開始端側から平滑な円筒状の外周面を有する一対の円筒ローラ14及び15の間の隙間Δ1に供給し、該耐熱材6の厚さ方向に加圧(図10参照)して一体化させ、外層用の補強材5の金網の網目に耐熱材6を充填して、表面に外層用の補強材5からなる面16と耐熱材6からなる面17とが混在して露出した扁平状の外層形成部材18(図11参照)を作製する。
【0038】
(第六工程)このようにして得た外層形成部材18を前記筒状母材13の外周面に巻付け、図12に示すような予備円筒成形体19を作製する。
【0039】
(第七工程)内面に円筒壁面20と円筒壁面20に連なる部分凹球面状壁面21と部分凹球面状壁面21に連なる貫通孔22とを備え、貫通孔22に段付きコア23を嵌挿することによって内部に中空円筒部24と該中空円筒部24に連なる球帯状中空部25とが形成された図13に示すような金型26を準備し、該金型26の段付きコア23の外周面に予備円筒成形体19を挿入する。
【0040】
金型26の中空円筒部24及び球帯状中空部25に配された予備円筒成形体19をコア軸方向に98〜294N/mm(1〜3トン/cm)の圧力で圧縮成形し、図1及び図2に示すような、中央部に貫通孔27を有すると共に円筒内面28と部分凸球面状面29と部分凸球面状面29の大径側及び小径側の環状端面30及び31とにより規定された球帯状基体32と、球帯状基体32の部分凸球面状面29に一体に形成された外層33とを備えた球帯状シール体34を作製する。
【0041】
この圧縮成形により、球帯状基体32は、耐熱材6と補強材5とが互いに圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されており、外層33は、耐熱材6と金網からなる補強材5とが圧縮されて補強材5の金網の網目に耐熱材6が充填されて当該耐熱材6と補強材5とが混在一体化されてなり、該外層33の外表面35は、補強材5からなる面36と耐熱材6からなる面37とが混在した平滑な面38に形成されている。
【0042】
作製された球帯状シール体34の球帯状基体32及び外層33には、金網からなる補強材5が40〜65質量%の割合で含有されていると共に耐熱材6が35〜60質量%の割合で含有されており、球帯状基体32及び外層33における耐熱材6が1.20〜2.00Mg/mの密度を有している。
【0043】
また、外層33のみに着目すると、外層33には、金網からなる補強材5が60〜75質量%、耐熱材6が25〜40質量%の割合で含有されている。
【0044】
前記第五工程において、耐熱材6と前記帯状金網4を所定の長さLに切断した補強材5とを重ね合わせると共に両者を厚さ方向に圧縮成形することにより、耐熱材6と補強材5とが圧縮されて補強材5の金網の網目に耐熱材6が充填され、一方の面に耐熱材6のみが露出し、他方の面に補強材5のみが露出して形成されるシート材を扁平状の外層形成部材18として使用してもよい。この場合、前記第六工程において、このシート材を耐熱材6のみが露出した面を外側にして筒状母材13の外周面に巻付け、前記第七工程における圧縮成形により、球帯状基体32では、耐熱材6と補強材5とが互いに圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されており、外層33では、耐熱材6と補強材5とが圧縮されて補強材5の金網の網目に耐熱材6が充填され、該外層33の外表面35は、耐熱材6からなる平滑な面に形成されている球帯状シール体34を作製してもよい。
【0045】
このように作製された球帯状シール体34において、耐熱材6は、主成分をなす膨張黒鉛と燐酸塩又は燐酸塩及び五酸化燐とを含んでいる。
【0046】
主成分をなす膨張黒鉛は、その黒鉛含有量(黒鉛純度)が99.7質量%以上、好ましくは99.8質量%以上である。そして、膨張黒鉛は、灰分を0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下の割合で含有している。
【0047】
膨張黒鉛は、硫黄を1700質量ppm以下、好ましくは1000質量ppm以下、より好ましくは500質量ppm以下、さらに好ましくは100質量ppm以下、よりさらに好ましくは50質量ppm以下の割合で含有している。
【0048】
膨張黒鉛における黒鉛含有量の多寡は、黒鉛純度の高低に関係し、純度が高ければ高いほど膨張黒鉛としての特性が高められる。膨張黒鉛における黒鉛含有量が99.7質量%以上、好ましくは99.8質量%以上であるので、球帯状シール体に要求される耐熱性、シール性及び耐摩耗性の観点から充分である。
【0049】
耐熱材6に含有される燐酸塩又は燐酸塩及び五酸化燐は、前記膨張黒鉛に対する酸化抑制作用を発揮するもので、燐酸塩は耐熱材6中に0.1〜16質量%、好ましくは0.5〜8質量%の割合で含有されており、また五酸化燐は耐熱材6中に0.05〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%の割合で含有されている。
【0050】
燐酸塩としては、第一燐酸リチウム(LiHPO)、第二燐酸リチウム(LiHPO)、第一燐酸カルシウム〔Ca(HPO〕、第二燐酸カルシウム(CaHPO)、第一燐酸アルミニウム〔Al(HPO〕、第二燐酸アルミニウム〔Al(HPO〕から選択される。また、五酸化燐は、オルト燐酸(HPO)、メタ燐酸(HPO)、ポリ燐酸、具体的にはピロ燐酸(H)、トリポリ燐酸(H10)等の鎖状縮合燐酸、ポリメタ燐酸、具体的にはトリメタ燐酸、テトラメタ燐酸等の環状縮合燐酸から選択され、通常水溶液の形態で膨張黒鉛の製造工程における酸処理黒鉛粉末と共に使用されるもので、これらの燐酸は、燐酸の脱水反応によって五酸化燐(P)の形態で膨張黒鉛中に含有される。
【0051】
耐熱材6中に含有される燐酸塩の含有量が0.1質量%未満では、膨張黒鉛に対する酸化抑制作用が充分発揮されず、また16質量%を超えて含有しても酸化抑制作用のそれ以上の効果が好ましく発揮されない。また、五酸化燐の含有量が0.05質量%未満では、前記燐酸塩と同様、耐熱材6中の膨張黒鉛に対する酸化抑制作用が充分発揮されず、また5質量%を超えて含有しても膨張黒鉛に対する酸化抑制作用のそれ以上の効果が好ましく発揮されない。
【0052】
このように球帯状シール体34を形成する耐熱材6は、灰分の含有量が0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下であって、黒鉛含有量が99.7質量%以上、好ましくは99.8質量%以上の膨張黒鉛と、0.1〜16質量%の燐酸塩又は0.1〜16質量%の燐酸塩及び0.05〜5質量%の五酸化燐とを含んでおり、該耐熱材6中の膨張黒鉛は灰分の含有量が極めて少なく、かつ黒鉛純度が極めて高く、膨張黒鉛自体の耐熱性等の性質が高められており、加えて耐熱材6中の燐酸塩又は燐酸塩及び五酸化燐の膨張黒鉛に対する酸化抑制作用により、耐熱材6としての耐熱性等が高められている。
【0053】
補強材5は、鉄系としてオーステナイト系のSUS304、SUS310S、SUS316、フェライト系のSUS430などのステンレス鋼線又は鉄線(JISG3532)もしくは亜鉛メッキ鉄線(JIS3547)、また銅系として銅−ニッケル合金(白銅)、銅−ニッケル−亜鉛合金(洋白)、黄銅、ベリリウム銅からなる細線材を1本又は2本以上使用して織ったり、編んだりして形成される金網が使用される。該金網を形成する金属細線の線径は0.15〜0.32mm程度のものが使用され、該金網の網目は3〜6mm程度のものが使用されて好適である。
【0054】
補強材5としては、上述した金網の他に、ステンレス鋼薄板又は燐青銅薄板に切込みを入れると同時に該切込みを拡開して規則正しい網目列が形成された、所謂エキスパンドメタルを使用することもできる。ステンレス鋼薄板及び燐青銅薄板の厚さは0.3〜0.5mm程度のものが使用されて好適である。
【0055】
前記第四工程において、耐熱材6を内側にしてうず巻き状に捲回して筒状母材13を形成する代わりに、帯状金網4からなる補強材5を内側にしてうず巻き状に捲回して筒状母材13を形成すると、球帯状基体32の円筒内面28において金網からなる補強材5が露出する球帯状シール体34を作製することができる。
【0056】
球帯状シール体34は、図14に示す排気管球面継手に組込まれて使用される。すなわち、図14に示す排気管球面継手において、エンジン側に連結された上流側排気管100の外周面には、管端部101を残してフランジ200が立設されており、管端部101には、球帯状シール体34が貫通孔27を規定する円筒内面28において嵌合固定されていると共に、大径側の環状端面30において球帯状シール体34がフランジ200に当接されて着座せしめられており、上流側排気管100と対峙して配されていると共にマフラ側に連結された下流側排気管300には、凹球面部302と凹球面部302に連接されたフランジ部303とを一体に備えた径拡大部301が固着されており、凹球面部302の内面304が球帯状シール体34の外層33の外表面35における補強材5からなる面36と耐熱材6からなる面37とが混在した平滑な面38又は球帯状シール体34の外層33の外表面35における耐熱材6からなる平滑な面37に摺接されている。
【0057】
図14に示す排気管球面継手において、一端がフランジ200に固定され、他端が径拡大部301のフランジ部303を挿通して配された一対のボルト400とボルト400の膨大頭部及びフランジ部303の間に配された一対のコイルバネ500とにより、下流側排気管300には、常時、上流側排気管100方向にバネ力が付勢されている。そして、排気管球面継手は、上、下流側排気管100、300に生じる相対角変位に対しては、球帯状シール体34の外層33の滑り面としての平滑な面38又は平滑な面37と下流側排気管300の端部に形成された径拡大部301の凹球面部302の内面304との摺接でこれを許容するように構成されている。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を各実施例により詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
実施例1〜6
金属細線として線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して網目の目幅が縦4mm、横5mmの円筒状編組金網を作製し、これを一対のローラ間にとおして帯状金網とし、これを球帯状基体用の補強材とした。
【0060】
耐熱材として、灰分含有量が0.01質量%、黒鉛含有量が99.99質量%の膨張黒鉛に、燐酸塩として第一燐酸アルミニウムを0.5〜12.0質量%含有した密度1.12Mg/mで厚さ0.38mmの膨張黒鉛シートを使用した。耐熱材をうず巻き状に一周分捲回したのち、該耐熱材を内側にして補強材を重ね合わせ、うず巻き状に捲回して最外周に耐熱材を配した筒状母材を作製した。この筒状母材においては、耐熱材の幅方向の両端部はそれぞれ補強材の幅方向の両端部より突出(はみ出し)している。
【0061】
上記した金属細線と同様の金属細線を一本使用して、網目の目幅が縦3.5mm、横2.5mmの円筒状編組金網からなる外層用の補強材の内部に前記耐熱材と同様の耐熱材を連続的に挿入し、該耐熱材を挿入した補強材をその挿入開始端から平滑な円筒状の外周面を有する一対の円筒ローラ間の隙間に供給し、該耐熱材の厚さ方向に加圧して一体化させると共に、これを所望の長さに切断し、外層用の補強材の金網の網目に耐熱材を充填して、表面に外層用の補強材からなる面と耐熱材からなる面とが混在して露出した扁平状の外層形成部材を作製した。
【0062】
前記筒状母材の外周面に前記外層形成部材を捲回し、予備円筒成形体を作製した。この予備円筒成形体を金型の段付きコアの外周面に挿入し、該予備円筒成形体を金型の中空部に配置した。
【0063】
金型の中空部に配した予備円筒成形体をコア軸方向に294N/mm(3トン/cm)の圧力で圧縮成形し、中央部に貫通孔を有すると共に円筒内面と部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えた実施例1ないし実施例6からなる球帯状シール体を得た。
【0064】
この圧縮成形により、球帯状基体は、耐熱材と金網からなる球帯状基体用の補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、圧縮された金網からなる球帯状基体用の補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された灰分含有量0.01質量%で黒鉛含有量99.99質量%の膨張黒鉛及び第一燐酸アルミニウムからなる耐熱材とを有しており、外層は、灰分含有量0.01質量%で黒鉛含有量99.99質量%の耐熱材と金網からなる外層用の補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に該膨張黒鉛と第一燐酸アルミニウムとからなる耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、補強材からなる面と耐熱材からなる面とが混在した平滑な面に形成されている。
【0065】
作製された実施例1ないし実施例6からなる球帯状基体及び外層には、金網からなる補強材が57.8〜58.1質量%の割合で、膨張黒鉛と第一燐酸アルミニウムとからなる耐熱材が41.9〜42.2質量%の割合で夫々含まれており、球帯状基体及び外層における耐熱材の密度は1.62Mg/mであって、球帯状シール体の重量は40.3〜41.0gであった。
【0066】
実施例7〜9
補強材として、前記実施例1と同様の球帯状基体用の補強材及び外層用の補強材を使用した。
【0067】
耐熱材として、灰分の含有量が0.1質量%、黒鉛含有量が99.9質量%の膨張黒鉛に、燐酸塩として第一燐酸アルミニウムを1.0〜8.0質量%、五酸化燐を0.5質量%夫々含有した密度1.12Mg/mで厚さ0.38mmの膨張黒鉛シートを使用した。以下、前記実施例1と同様の方法で、球帯状基体は、耐熱材と金網からなる球帯状基体用の補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、圧縮された金網からなる球帯状基体用の補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化された圧縮された灰分含有量0.1質量%で黒鉛含有量99.9質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材とを有しており、外層は、灰分含有量0.1質量%で黒鉛含有量99.9質量%の膨張黒鉛と第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材と金網からなる外層用の補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、補強材からなる面と耐熱材からなる面とが混在した平滑な面に形成されている球帯状シール体を作製した。
【0068】
作製された実施例7ないし実施例9からなる球帯状基体及び外層には、金網からなる補強材が57.5〜58.1質量%の割合で、膨張黒鉛と五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムとからなる耐熱材が41.9〜42.5質量%の割合で夫々含まれており、球帯状基体及び外層における耐熱材の密度は1.63Mg/mであって、球帯状シール体の重量は40.3〜41.4gであった。
【0069】
実施例10〜12
補強材として、前記実施例1と同様の球帯状基体用の補強材及び外層用の補強材を使用した。
【0070】
耐熱材として、灰分の含有量が0.05質量%、黒鉛含有量が99.95質量%の膨張黒鉛に、燐酸塩として第一燐酸アルミニウムを1.0〜8.0質量%、五酸化燐を1.0質量%夫々含有した密度1.12Mg/mで厚さ0.38mmの膨張黒鉛シートを使用した。以下、前記実施例1と同様の方法で、球帯状基体は、耐熱材と金網からなる球帯状基体用の補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、圧縮された金網からなる球帯状基体用の補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化された圧縮された灰分含有量0.05質量%で黒鉛含有量99.95質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材とを有しており、外層は、灰分含有量0.05質量%で黒鉛含有量99.95質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材と金網からなる外層用の補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、補強材からなる面と耐熱材からなる面とが混在した平滑な面に形成されている球帯状シール体を作製した。
【0071】
作製された実施例10ないし実施例12からなる球帯状基体及び外層には、金網からなる補強材が57.9〜58.2質量%の割合で、膨張黒鉛と五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムとからなる耐熱材が41.8〜42.1質量%の割合で夫々含まれており、球帯状基体及び外層における耐熱材の密度は1.62Mg/mであって、球帯状シール体の重量は40.2〜40.9gであった。
【0072】
実施例13〜15
補強材として、前記実施例1と同様の球帯状基体用の補強材及び外層用の補強材を使用した。
【0073】
耐熱材として、灰分の含有量が0.01質量%、黒鉛含有量が99.99質量%の膨張黒鉛に、燐酸塩として第一燐酸アルミニウムを1.0〜8.0質量%、五酸化燐を1.0質量%夫々含有した密度1.12Mg/mで厚さ0.38mmの膨張黒鉛シートを使用した。以下、前記実施例1と同様の方法で、球帯状基体は、耐熱材と金網からなる球帯状基体用の補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、圧縮された金網からなる球帯状基体用の補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化された圧縮された灰分含有量0.01質量%で黒鉛含有量が99.99質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材とを有しており、外層は、灰分含有量0.01質量%で黒鉛含有量が99.99質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材と金網からなる外層用の補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、補強材からなる面と耐熱材からなる面とが混在した平滑な面に形成されている球帯状シール体を作製した。
【0074】
作製された実施例13ないし実施例15からなる球帯状基体及び外層には、金網からなる補強材が56.6〜58.4質量%の割合で、膨張黒鉛と五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムとからなる耐熱材が41.6〜43.3質量%の割合で夫々含まれており、球帯状基体及び外層における耐熱材の密度は1.61Mg/mであって、球帯状シール体の重量は40.9〜41.3gであった。
【0075】
実施例16〜18
補強材として、前記実施例1と同様の球帯状基体用の補強材及び外層用の補強材を使用した。
【0076】
耐熱材として、灰分の含有量が0.1質量%、硫黄の含有量が1000質量ppm(0.1質量%)、黒鉛含有量が99.8質量%の膨張黒鉛に、燐酸塩として第一燐酸アルミニウムを1.0〜8.0質量%、五酸化燐を1.0質量%夫々含有した密度1.12Mg/mで厚さ0.38mmの膨張黒鉛シートを使用した。以下、前記実施例1と同様の方法で、球帯状基体は、耐熱材と金網からなる球帯状基体用の補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、圧縮された金網からなる球帯状基体用の補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化された圧縮された灰分含有量0.1質量%、硫黄含有量1000質量ppmで黒鉛含有量が99.8質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材とを有しており、外層は、灰分含有量0.1質量%、硫黄含有量1000質量ppmで黒鉛含有量が99.8質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材と金網からなる外層用の補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、補強材からなる面と耐熱材からなる面とが混在した平滑な面に形成されている球帯状シール体を作製した。
【0077】
作製された実施例16ないし実施例18からなる球帯状基体及び外層には、金網からなる補強材が57.5〜58.1質量%の割合で、膨張黒鉛と五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムとからなる耐熱材が41.9〜42.5質量%の割合で夫々含まれており、球帯状基体及び外層における耐熱材の密度は1.62Mg/mであって、球帯状シール体の重量は40.3〜40.9gであった。
【0078】
実施例19〜21
補強材として、前記実施例1と同様の球帯状基体用の補強材及び外層用の補強材を使用した。
【0079】
耐熱材として、灰分の含有量が0.01質量%、硫黄の含有量が200質量ppm(0.02質量%)、黒鉛含有量が99.97質量%の膨張黒鉛に、燐酸塩として第一燐酸アルミニウムを1.0〜8.0質量%、五酸化燐を1.0質量%夫々含有した密度1.12Mg/mで厚さ0.38mmの膨張黒鉛シートを使用した。以下、前記実施例1と同様の方法で、球帯状基体は、耐熱材と金網からなる球帯状基体用の補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、圧縮された金網からなる球帯状基体用の補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化された圧縮された灰分含有量0.01質量%、硫黄含有量200質量ppmで黒鉛含有量が99.97質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材とを有しており、外層は、灰分含有量0.01質量%、硫黄含有量200質量ppmで黒鉛含有量が99.97質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材と金網からなる外層用の補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、補強材からなる面と耐熱材からなる面とが混在した平滑な面に形成されている球帯状シール体を作製した。
【0080】
作製された実施例19ないし実施例21からなる球帯状基体及び外層には、金網からなる補強材が57.4〜58.1質量%の割合で、膨張黒鉛と五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムとからなる耐熱材が41.9〜42.6質量%の割合で夫々含まれており、球帯状基体及び外層における耐熱材の密度は1.62Mg/mであって、球帯状シール体の重量は40.3〜40.8gであった。
【0081】
実施例22〜24
補強材として、前記実施例1と同様の球帯状基体用の補強材及び外層用の補強材を使用した。
【0082】
耐熱材として、灰分の含有量が0.01質量%、硫黄の含有量が50質量ppm(0.005質量%)、黒鉛含有量が99.985質量%の膨張黒鉛に、燐酸塩として第一燐酸アルミニウムを1.0〜8.0質量%、五酸化燐を1.0質量%夫々含有した密度1.12Mg/mで厚さ0.38mmの膨張黒鉛シートを使用した。以下、前記実施例1と同様の方法で、球帯状基体は、耐熱材と金網からなる球帯状基体用の補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、圧縮された金網からなる球帯状基体用の補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化された圧縮された灰分含有量0.01質量%、硫黄含有量50質量ppm(0.005質量%)、黒鉛含有量99.985質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材とを有しており、外層は、灰分含有量0.01質量%、硫黄含有量50質量ppm(0.005質量%)、黒鉛含有量99.985質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材と金網からなる外層用の補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、補強材からなる面と耐熱材からなる面とが混在した平滑な面に形成されている球帯状シール体を作製した。
【0083】
作製された実施例22ないし実施例24からなる球帯状基体及び外層には、金網からなる補強材が57.1〜58.1質量%の割合で、膨張黒鉛と五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムとからなる耐熱材が41.9〜42.9質量%の割合で夫々含まれており、球帯状基体及び外層における耐熱材の密度は1.62Mg/mであって、球帯状シール体の重量は40.3〜41.0gであった。
【0084】
比較例1〜3
補強材として、前記実施例1と同様の球帯状基体用の補強材及び外層用の補強材を使用した。
【0085】
耐熱材として、灰分の含有量が2.80質量%、硫黄の含有量が1200質量ppm(0.12質量%)、黒鉛含有量が97.08質量%の膨張黒鉛に、燐酸塩として第一燐酸アルミニウムを1.0〜8.0質量%、五酸化燐を1.0質量%夫々含有した密度1.12Mg/mで厚さ0.38mmの膨張黒鉛シートを使用した。以下、前記実施例1と同様の方法で、球帯状基体は、耐熱材と金網からなる球帯状基体用の補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、圧縮された金網からなる球帯状基体用の補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化された圧縮された灰分含有量2.80質量%、硫黄含有量1200質量ppm、黒鉛含有量97.08質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材とを有しており、外層は、灰分含有量2.8質量%、硫黄含有量1200質量ppm、黒鉛含有量97.08質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材と金網からなる外層用の補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、補強材からなる面と耐熱材からなる面とが混在した平滑な面に形成されている球帯状シール体を作製した。
【0086】
作製された比較例1ないし比較例3からなる球帯状基体及び外層には、金網からなる補強材が57.9〜58.1質量%の割合で、膨張黒鉛と五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムとからなる耐熱材が41.9〜42.1質量%の割合で夫々含まれており、球帯状基体及び外層における耐熱材の密度は1.62Mg/mであって、球帯状シール体の重量は40.3〜40.8gであった。
【0087】
比較例4〜6
補強材として、前記実施例1と同様の球帯状基体用の補強材及び外層用の補強材を使用した。
【0088】
耐熱材として、灰分の含有量が1.0質量%、硫黄の含有量が1000質量ppm(0.1質量%)、黒鉛含有量が98.9質量%の膨張黒鉛に、燐酸塩として第一燐酸アルミニウム1.0〜8.0質量%と五酸化燐1.0質量%とを含有した密度1.12Mg/mで厚さ0.38mmの膨張黒鉛シートを使用した。以下、前記実施例1と同様の方法で、球帯状基体は、耐熱材と金網からなる球帯状基体用の補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、圧縮された金網からなる球帯状基体用の補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化された圧縮された灰分含有量1.0質量%、硫黄含有量1000質量ppm、黒鉛含有量98.9質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材とを有しており、外層は、灰分含有量1.0質量%、硫黄含有量1000質量ppm、黒鉛含有量98.9質量%の膨張黒鉛並びに第一燐酸アルミニウム及び五酸化燐からなる耐熱材と金網からなる外層用の補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、補強材からなる面と耐熱材からなる面とが混在した平滑な面に形成されている球帯状シール体を作製した。
【0089】
作製された比較例4ないし比較例6からなる球帯状基体及び外層には、金網からなる補強材が58.1質量%の割合で、膨張黒鉛と五酸化燐及び第一燐酸アルミニウムとからなる耐熱材が41.9質量%の割合で夫々含まれており、球帯状基体及び外層における耐熱材の密度は1.62Mg/mであって、球帯状シール体の重量は40.3〜41.0gであった。
【0090】
次に、上述した実施例及び比較例で得た球帯状シール体を図14に示す排気管球面継手に組み込み、球帯状シール体の酸化減量(重量減少量)及びガス漏れ量(l/min)について試験した結果を説明する。
【0091】
<ガス漏れ量の試験条件>
コイルバネの押圧力(スプリングセットフォース):980N
揺動角度:±2.5°
加振周波数(揺動速度):5ヘルツ(Hz)
温度(図14に示す凹球面部302の外表面温度):室温(25℃)〜700℃
揺動回数:100万回
相手材(図14に示す径拡大部301の材質):SUS304
【0092】
<試験方法>
室温(25℃)において5Hzの加振周波数で±2.5°の揺動運動を継続しながら700℃の温度まで昇温し、その温度を保持した状態で揺動運動を継続し、揺動回数が100万回に到達した時点でのガス漏れ量を測定する。
【0093】
<ガス漏れ量の測定方法>
図14に示す排気管球面継手の一方の排気管100の開口部を閉塞し、他方の排気管300側から、0.049MPa(0.5kgf/cm)の圧力で乾燥空気を流入し、継手部分(球帯状シール体34の外表面35と径拡大部301との摺接部、球帯状シール体34の円筒内面28と排気管100の管端部101との嵌合部及び大径側の環状端面30と排気管100に立設されたフランジ200との当接部)からのガス漏れ量を流量計にて、(1)試験初期、(2)揺動回数25万回後、(3)揺動回数50万回後及び(4)揺動回数100万回後の4回測定する。
【0094】
球帯状シール体の酸化減量は、上記の試験開始前の球帯状シール体の重量と試験後(揺動回数100万回終了後)の球帯状シール体の重量を測定し、重量減少率で評価した。
【0095】
表1ないし表4は、実施例1ないし実施例24の球帯状シール体の試験結果を示し、表5は比較例1ないし比較例6の球帯状シール体の試験結果を示す。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
【表5】

【0101】
表1ないし表4に示す実施例1ないし実施例24に球帯状シール体は、試験温度700℃の高温条件下においても、酸化消耗による球帯状シール体の重量減少率が6.0%以下であり、とくに灰分含有量0.01質量%で黒鉛含有量99.9質量%以上の膨張黒鉛又は灰分含有量0.01質量%、硫黄含有量0.005質量%(50質量ppm)、黒鉛含有量99.9質量%以上の膨張黒鉛にそれぞれ燐酸塩1〜8質量%及び五酸化燐1質量%含有した耐熱材を使用した実施例13ないし実施例15又は実施例22ないし実施例24の球帯状シール体においては、試験温度700℃の高温条件下においても、酸化消耗による球帯状シール体の重量減少率が4.0%以下と極めて低い値を示した。また、重量減少に起因する球帯状シール体のガス漏れ量(シール性)においても、実施例1ないし実施例24の球帯状シール体は、比較例の球帯状シール体のガス漏れ量の1/2ないしそれ以下の値を示し、比較例の球帯状シール体よりも優れている結果であった。
【0102】
以上の試験結果から、耐熱材中の膨張黒鉛に含有される灰分の含有量の多寡によって膨張黒鉛自体の耐熱性の良否が決定され、膨張黒鉛中に含有される灰分の含有量が0.1質量%以下、最も好ましくは0.01質量%以下(零を含む)で最も耐熱性に対する効果が高められることが分かった。
【0103】
以上説明したように、本発明の球帯状シール体は、高温領域での使用においても酸化消耗に起因する重量減少量を低減させることができ、球帯状シール体の重量減少に基因する球帯状シール体の外層の外表面と排気管の径拡大部の凹球面部の内面との摺接部及び球帯状シール体の大径側の環状端面と排気管に立設されたフランジとの当接部に生じる密封度合を向上させ、当該部位からのガス漏れ量を減少させることができる。
【符号の説明】
【0104】
4 帯状金網
5 補強材
6 耐熱材
12 重合体
13 筒状母材
18 外層形成部材
19 予備円筒成形体
26 金型
28 円筒内面
29 部分凸球面状面
30 大径側の環状端面
31 小径側の環状端面
32 球帯状基体
33 外層
34 球帯状シール体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒内面、部分凸球面状面並びに部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面により規定される球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えた、排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、球帯状基体は、金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されていると共に圧縮された膨張黒鉛及び少なくとも燐酸塩を含む耐熱材とを具備しており、外層は、膨張黒鉛及び少なくとも燐酸塩を含む耐熱材とこの耐熱材に混在一体化された金網からなる補強材とを有しており、該耐熱材中の膨張黒鉛は、灰分の含有量が0.1質量%以下であって黒鉛の含有量が99.7質量%以上であることを特徴とする球帯状シール体。
【請求項2】
該耐熱材中の膨張黒鉛は、灰分の含有量が0.1質量%以下であって黒鉛の含有量が99.8質量%以上である請求項1に記載の球帯状シール体。
【請求項3】
耐熱材中の膨張黒鉛は、灰分の含有量が0.05質量%以下である請求項1又は2に記載の球帯状シール体。
【請求項4】
耐熱材中の膨張黒鉛は、灰分の含有量が0.01質量%以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項5】
耐熱材中の膨張黒鉛は、硫黄を0.17質量%以下(1700質量ppm以下)の割合で含有する請求項1から4のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項6】
耐熱材中の膨張黒鉛は、硫黄を0.1質量%以下(1000質量ppm以下)の割合で含有する請求項1から5のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項7】
耐熱材中の膨張黒鉛は、硫黄を0.01質量%以下(100質量ppm以下)の割合で含有する請求項1から6のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項8】
耐熱材中の膨張黒鉛は、硫黄を0.005質量%以下(50質量ppm以下)の割合で含有する請求項1から7のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項9】
耐熱材は、燐酸塩を0.1〜16質量%の割合で含有する請求項1から8のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項10】
耐熱材は、五酸化燐を0.05〜5質量%及び燐酸塩を0.1〜16質量%の割合で含有する請求項1から9のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項11】
外層の外表面は、膨張黒鉛と燐酸塩とを含む耐熱材の平滑な面に形成されている請求項1から10のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項12】
外層の外表面は、膨張黒鉛と燐酸塩及び五酸化燐とを含む耐熱材の平滑な面に形成されている請求項1から10のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項13】
外層の外表面は、補強材からなる面と膨張黒鉛及び燐酸塩を含む耐熱材の面とが混在した平滑な面に形成されている請求項1から10のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項14】
外層の外表面は、補強材からなる面と膨張黒鉛、燐酸塩及び五酸化燐を含む耐熱材の面とが混在した平滑な面に形成されている請求項1から10のいずれか一項に記載の球帯状シール体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−63005(P2012−63005A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223824(P2010−223824)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】