説明

球状食品製造方法及びその装置

【課題】見映えがよい球状に成型された、たこ焼きなどの球形食品を効率よく製造可能な球状食品製造方法及びその装置の提供。
【解決手段】断面略U形の凹所を有する開放焼型2に、食品原料を充填する生地充填工程5と、次いで前記開放焼型を下方から加熱して半焼け状態の食品を形成する焼成工程と、次いで前記開放焼型を下方から加熱しつつ、前記開放焼型内の食品を反転8させるとともに前記開放焼型内に曲面状の凹部を有する押圧部材を降下させて該凹部で食品を押圧して該食品を球状に丸める丸め工程とを有し、前記丸め工程は、押圧部材を降下させて凹部で食品を押圧する押圧工程を複数段9,10,11で行い、最初に食品を押圧する第1押圧工程の押圧力を最小とし、それ以後の押圧工程を第1押圧工程での押圧力よりも強くして丸め工程を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦粉等を主材料とした焼成加工食品、例えばたこ焼き等の球状食品製造方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小麦粉、野菜、天ぷらかすなど比重の異なる多種類を混合して水、だし汁等を加え混練した流動性を有する液状生地を用いる焼成食品、例えばたこ焼きは、上部が開放した下型を用いて焼かれている。近年、家庭で手軽に美味しいたこ焼きを味わうために、焼成したたこ焼きを凍結した製品が提供されている。
従来、たこ焼き等の食品を製造するための食品焼成装置としては、例えば、特許文献1に開示された技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、断面略U形の凹所を有する開放焼型を複数個使用して、球形の食品を焼成する方法であって、循環移動中の前記焼型凹所内で半焼け状態の食品を、移送方向の前側に180度回転させて夫々前側の空の焼型凹所内に移し替え、前転されて空になった焼型をさらに逆方向(後方)に復帰反転させ、前側の焼型内に移し替えられた食品を、所要時間経過後に空気抜き手段を備えた食品押さえ型により上から押さえて形を整えて焼き上げる食品焼成方法が開示されている。
また特許文献1には、ループ状に形成された無端移送路と、該移送路上を循環移送される断面略U形の凹所を有する開放焼型と、前記移送路の途中で焼型と共にこれに注入された液状生地を加熱し焼成加工する上下火加熱形トンネルオーブンと、生地供給前に焼型に油を塗り付ける自動塗油手段と、定量の液状生地を予熱された焼型の凹所に注入する自動生地供給手段を備えた食品焼成装置において、前記開放焼型は夫々180度前転及び反転復帰可能とされ、前記オーブン内に焼型前転・反転手段を備え、前記オーブン内の焼型前転・反転手段の下手側に焼型の上方に空気抜き手段を設けた略倒立椀形の型本体を有する食品押さえ型を上下動可能に備えた食品焼成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2807158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された食品焼成装置において、半焼け状態の食品を開放焼型内で球状に丸める場合、開放焼型を180度前転及び反転復帰可能とし、開放焼型を加熱移送中に反転させ、開放焼型の凹所底の球面形状に沿わせて丸めると共に、開放焼型の開口から、半球状(転倒椀形)の食品押さえ部材を降下させて半焼け状態の食品を押圧し、略球状に丸めている。
しかしながら、前記従来技術における丸め工程では、見映えのよい球状食品を得ることが困難であった。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、見映えがよい球状に成型された、たこ焼きなどの球形食品を効率よく製造可能な球状食品製造方法及びその装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するため、本発明は、断面略U形の凹所を有する開放焼型に、食品原料を充填する生地充填工程と、次いで前記開放焼型を下方から加熱して半焼け状態の食品を形成する焼成工程と、次いで前記開放焼型を下方から加熱しつつ、前記開放焼型内の食品を反転させるとともに前記開放焼型内に曲面状の凹部を有する押圧部材を降下させて該凹部で食品を押圧して該食品を球状に丸める丸め工程とを有する球状食品製造方法において、前記丸め工程は、前記押圧部材を降下させて凹部で食品を押圧する押圧工程を複数段で行い、最初に食品を押圧する第1押圧工程の押圧力を最小とし、それ以後の押圧工程を前記第1押圧工程での押圧力よりも強くして丸め工程を行うことを特徴とする球状食品製造方法を提供する。
【0008】
本発明の球状食品製造方法において、前記丸め工程は、最初に食品を押圧する第1押圧工程と、前記第1押圧工程での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第2押圧工程とを有し、前記第1押圧工程での食品に対する押圧力が1〜100g/cmの範囲内であり、前記第2押圧工程での食品に対する押圧力が5〜200g/cmの範囲内であることが好ましい。
【0009】
本発明の球状食品製造方法において、前記丸め工程は、最初に食品を押圧する第1押圧工程と、前記第1押圧工程での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第2押圧工程と、前記第2押圧工程の後で前記第2押圧工程での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第3押圧工程とを有し、前記第1押圧工程での食品に対する押圧力が1〜100g/cmの範囲内であり、前記第2押圧工程での食品に対する押圧力が5〜150g/cmの範囲内であり、前記第3押圧工程での食品に対する押圧力が10〜200g/cmの範囲内であることが好ましい。
【0010】
また本発明は、移送路と、該移送路を移送可能に設けられ、断面略U形の凹所を有する開放焼型と、前記移送路にある開放焼型の凹所内に食品原料を充填する充填機と、食品原料が充填された開放焼型を加熱する焼成装置と、開放焼型の凹所内にある半焼け状態の食品を反転させる反転機と、開放焼型内に曲面状の凹部を有する押圧部材を降下させて該凹部で食品を押圧する押圧部とを有する球状食品製造装置において、前記押圧部が複数段に設けられ、最初に食品を押圧する第1押圧部の押圧力を最小とし、それ以後の押圧部を前記第1押圧部での押圧力よりも強く設定したことを特徴とする球状食品製造装置を提供する。
【0011】
本発明の球状食品製造装置において、前記押圧部は、最初に食品を押圧する第1押圧部と、前記第1押圧部での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第2押圧部とを有し、前記第1押圧部での食品に対する押圧力が1〜100g/cmの範囲内であり、前記第2押圧部での食品に対する押圧力が5〜200g/cmの範囲内であることが好ましい。
【0012】
本発明の球状食品製造装置において、前記押圧部は、最初に食品を押圧する第1押圧部と、前記第1押圧部での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第2押圧部と、前記第2押圧部の後で前記第2押圧部での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第3押圧部とを有し、前記第1押圧部での食品に対する押圧力が1〜100g/cmの範囲内であり、前記第2押圧部での食品に対する押圧力が5〜150g/cmの範囲内であり、前記第3押圧部での食品に対する押圧力が10〜200g/cmの範囲内であることが好ましい。
【0013】
本発明の球状食品製造装置において、前記押圧部は、昇降基部からバネ、支柱及びバネ又は支柱のいずれかを介して、曲面状の凹部を有する押圧部材が取り付けられた構造であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の球状食品製造方法は、半焼け状態の食品を球状にする丸め工程を、前記押圧部材を降下させて凹部で食品を押圧する押圧工程を複数段で行い、最初に食品を押圧する第1押圧工程の押圧力を最小とし、それ以後の押圧工程を第1押圧工程での押圧力よりも強くして丸め工程を行うようにしたので、見映えのよい球状の食品を簡単に製造することができる。
【0015】
本発明の球状食品製造装置は、半焼け状態の食品を球状にするために押圧部を複数段として、最初に食品を押圧する第1押圧部の押圧力を最小とし、それ以後の押圧部を前記第1押圧部での押圧力よりも強く設定した構成としたので、見映えのよい球状の食品を簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の球状食品製造装置の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】本発明の球状食品製造装置に用いられる開放焼型を例示する断面図である。
【図3】図1の球状食品製造装置における第1押圧部の構造を例示する側面図である。
【図4】図1の球状食品製造装置における第2押圧部の構造を例示する側面図である。
【図5】図1の球状食品製造装置における第3押圧部の構造を例示する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の球状食品製造装置の第1実施形態を示し、この球状食品製造装置は、移送路1と、該移送路1を移送可能に設けられ、断面略U形の凹所3を有する開放焼型2と、前記移送路にある開放焼型2の凹所3内にたこ焼きの生地を充填する生地充填機5と、開放焼型2の凹所3内にタコ切り身を充填するタコ充填機6と、開放焼型2の凹所3内のタコ切り身の浮きを抑える抑え部7と、生地及びタコ切り身からなる食品原料が充填された開放焼型を下方から加熱する焼成装置Aと、開放焼型2の凹所3内にある半焼け状態の食品を反転させるとともに、開放焼型内に曲面状の凹部を有する押圧部材を降下させて該凹部で食品を押圧して食品を球状に成形する丸め工程部Bと、丸められた食品の上面を焼成する上面焼成機14と、焼成されたたこ焼きを冷却工程に移送するためのコンベア17とを備えて構成されている。
【0018】
前記丸め工程部Bは、開放焼型2の凹所3内にある半焼け状態の食品を反転させる複数の反転機8,12,15と、開放焼型2内に曲面状の凹部を有する押圧部材を降下させて該凹部で食品を押圧する第1〜第5押圧部9,10,11,13,16とを備えている。
【0019】
図2は、この球状食品製造装置に用いられている開放焼型2を示す。この開放焼型2は、断面略U形の凹所3が縦横に複数個設けられた金属製の焼型であり、各凹所3の上方側が開口4になっている。この開口4から凹所3内に生地やタコ切り身を充填し、下方から焼成することで、凹所3内でたこ焼きを調製するようになっている。凹所3内には、焼き付きを防ぐために食用油が塗布されている。
この開放焼型2は、移送路1に多数並べて配置され、コンベア等の移送手段によって移送路1を順次移送されるようになっている。
【0020】
前記生地充填機5は、小麦粉、野菜、天ぷらかすなどを混合して水、だし汁等を加え混練した流動性を有する液状生地を、開放焼型2の各凹所3内に一定量注入するためのものであり、食品製造分野等で周知の液体用自動充填装置などを採用することができる。
【0021】
前記タコ充填機6は、ほぼ一定の大きさにカットされたタコ切り身を、開放焼型2の各凹所3内に入れるためのものである。この充填機としては食品製造分野等で周知の自動充填装置などを採用することができる。
【0022】
前記抑え部7は、前記液状生地とタコ切り身とを充填した開放焼型2の各凹所3内に抑え部材を入れ、液状生地から浮上したタコ切り身を抑えるためのものである。この抑え部7は、昇降する抑え棒によってタコ切り身を押し下げる構造の機器、開放焼型2に振動を加えてタコ切り身を沈める構造の機器などを採用することができる。
【0023】
前記焼成装置Aは、前記液状生地とタコ切り身とを充填した開放焼型2を移送路1に沿って移送しながら、ガス炎、電熱加熱、誘導加熱などのいずれかの加熱手段によって開放焼型2を加熱し、半焼け状態の食品を焼成するためのものである。この焼成装置Aの構造や加熱方法、加熱速度などは特に限定されず、製造する食品に応じて周知の各種装置の中から適宜選択して使用することができる。
【0024】
前記反転機8,12,15は、前記焼成装置Aにおいて半焼け状態に焼成された食品を反転させて、未だ軟らかい食品上部を凹所3の底部側に向けて焼成を進行させるためのものである。この反転機8,12,15は、半焼け状態の食品を反転することができればよく、その機構や装置構成は特に限定されず、例えば、半焼け状態の食品が入った開放焼型2の開口4に、別の開放焼型2の開口を合わせて重ね、下側の開放焼型2を上方側に反転させ、半焼け状態の食品を別の開放焼型2の凹所3内に移して反転させる構造の装置が好ましい。
【0025】
前記第1〜第5押圧部9,10,11,13,16は、移送路1流れ方向に沿って複数段に設けられ、最初に食品を押圧する第1押圧部9の押圧力を最小とし、それ以後の押圧部10,11,13,16を前記第1押圧部9での押圧力よりも強く設定している。
【0026】
本実施形態の球状食品製造装置にあっては、最初に食品を押圧する第1押圧部9と、第1押圧部9での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第2押圧部10と、前記第2押圧部10の後で前記第2押圧部10での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第3〜第5押圧部11,13,16とを有し、前記第1押圧部9での食品に対する押圧力が1〜100g/cmの範囲内であり、前記第2押圧部10での食品に対する押圧力が5〜150g/cmの範囲内であり、前記第3〜第5押圧部11、13,16での食品に対する押圧力が10〜200g/cmの範囲内に設定されている。
【0027】
図3は、第1押圧部9を例示する図であり、本例の第1押圧部9は、昇降基部21からバネ22を介して、曲面状の凹部19を有する押圧部材20が取り付けられた構造になっている。この第1押圧部9の押圧力は、昇降基部21降下時に生じるバネ22の反発力(弾性力)に起因する構造になっている。開放焼型2の凹所3内にある半焼け状態の食品18は、第1押圧部9による押圧によって、未だ軟らかい上部を半球状の凹部19に沿って押圧されることで、丸められる。
【0028】
図4は、第2押圧部10を例示する図であり、本例の第2押圧部10は、昇降基部21から支柱23とバネ22を介して、曲面状の凹部19を有する押圧部材20が取り付けられた構造になっている。この第2押圧部10の押圧力は、昇降基部21降下時に生じるバネ22の反発力(弾性力)と支柱23の圧力に起因する構造になっている。
【0029】
図4は、第3押圧部11(第4、第5押圧部13,16も同様の構成である)を例示する図であり、本例の第3押圧部11は、昇降基部21から支柱23を介して、曲面状の凹部19を有する押圧部材20が取り付けられた構造になっている。この第2押圧部10の押圧力は、昇降基部21降下時に支柱23を介して伝えられる圧力に起因する構造になっている。
【0030】
本実施形態の球状食品製造装置は、半焼け状態の食品18を球状にするために、複数段の第1〜第5押圧部9,10,11,13,16を設け、最初に食品18を押圧する第1押圧部9の押圧力を最小とし、それ以後の押圧部を前記第1押圧部9での押圧力よりも強く設定した構成としたので、見映えのよい球状の食品を簡単に製造することができる。
さらに、最初に食品を押圧する第1押圧部9と、第1押圧部9での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第2押圧部10と、前記第2押圧部10の後で前記第2押圧部10での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第3〜第5押圧部11,13,16とを有し、前記第1押圧部9での食品に対する押圧力が1〜100g/cmの範囲内であり、前記第2押圧部10での食品に対する押圧力が5〜150g/cmの範囲内であり、前記第3〜第5押圧部11、13,16での食品に対する押圧力が10〜200g/cmの範囲内に設定したことで、より見映えのよい球状の食品を簡単に製造することができる。
【0031】
前記上面焼成機14は、丸められ、ほぼ焼成を終えた食品に対し、開放焼型2の開口4側からガス炎や赤外線で加熱し、見映えのよい焦げを付けるためのものである。この上面焼成機14は、食品に見映えのよい焦げを付けることができればよく、加熱手段や装置構成は特に限定されず、周知の焼成装置等を用いることができる。
【0032】
コンベア17は、焼成を終えた食品をバラのまま、或いはケースに収納した状態で、トンネル冷凍機などの凍結設備に搬送するためのものである。食品をケースに収納した状態で搬送する場合には、移送路1の終端部に食品をケースに詰めるための装置を設置すればよい。移送路1の終端部に達した空の開放焼型2は、移送路1の上流側に移送される。
【0033】
次に、本発明の球状食品製造方法の実施形態を説明する。
本実施形態は、図1に示す前記球状食品製造装置を用いてたこ焼きを製造する場合を説明するが、製造する食品はこれに限定されない。
【0034】
たこ焼き製造用の原料として、タコ切り身と液状生地を用意する。
液状生地は、小麦粉、野菜、天ぷらかすなどを混合して水、だし汁等を加え混練して調製され、使用する材料は特に限定されないが、例えば、小麦粉、加工澱粉、デキストリン、卵、キャベツ、葱、食用油、グルタミン酸塩、かつおだし、いりこだし、調味料、食塩、砂糖、やまいも、ベーキングパウダー、天かす、だし調味料、粉末かつおぶし、糖アルコール、増粘剤、紅ショウガ、水などが挙げられる。
用意したタコ切り身はタコ充填機6のホッパーに入れ、調製した液状生地は生地充填機5のホッパーに入れる。
【0035】
開放焼型2は、移送路1の上流端から下流側に順次移送される。開放焼型2の凹所3内面には、食用油を付着させておく(油添加工程)。
開放焼型2が生地充填機5の設置位置に到達した時点で、生地充填機5から凹所3内に液状生地が計量充填される(生地充填工程)。
さらに、液状生地を充填した開放焼型2がタコ充填機6の設置位置に到達した時点で、凹所3内にタコ切り身が投入される(タコ入れ工程)。
【0036】
次に、開放焼型2が抑え部7に到達した時点で、浮上しているタコ切り身を液状生地内に沈める(抑え工程)。
次に、焼成装置Aの加熱範囲上流側に開放焼型2が到達した時点で、下方から加熱が開始される(焼成工程)。この焼成装置Aによる焼成工程は、丸め工程部Bの途中まで継続される。
焼成が進行すると、凹所3内の液状生地の下部が固まり始める。凹所3の底部は曲面上になっているため、半焼け食品18の下部は丸く形成される。一方、半焼け状態の食品18の上部は未だ流動性を保持している。
【0037】
次に、開放焼型2が丸め工程部Bに到達し時点で、複数回の反転及び複数回の押圧によって丸められ、球状のたこ焼きが形成される。
開放焼型2が最初の反転機8に到達した段階で、半焼け食品18を反転させる。反転した半焼け食品18は、上部が比較的焼成が進んでおり固く、下部が流動性を保っており、容易に凹所3底部の曲面に沿って流動し、焼型内面に触れて更に焼成される。
【0038】
次に、開放焼型2が第1押圧部9に到達した時点で、図3に示すように、バネ22を介して取り付けられた押圧部材20が凹所3内に降下し、半焼け状態の食品18の上部を押圧する。押圧部材の下面側には、半球状の凹部19が設けられており、半焼け状態の食品18の上部がこの凹部19に沿って丸められるとともに、半焼け状態の食品18を凹所3底部側に押圧し、半焼け状態の食品18を全体的に球状に成形する(丸め1工程)。
その後、開放焼型2が図4に示す第2押圧部10に到達した時点、及び図5に示す第3押圧11に到達した時点で、それぞれ半焼け状態の食品18に対して押圧動作を繰り返し行う(丸め2工程,丸め3工程)。
【0039】
この丸め1工程〜丸め3工程における押圧力は、第1押圧部9での食品に対する押圧力が1〜100g/cmの範囲内であり、第2押圧部10での食品に対する押圧力が5〜150g/cmの範囲内であり、前記第3押圧工程での食品に対する押圧力が10〜200g/cmの範囲内であることが好ましい。
このように、押圧部材20を降下させて凹部19で半焼け状態の食品18を押圧する丸め工程を複数段で行い、最初に食品を押圧する第1押圧部9の押圧力を最小とし、それ以後の押圧部10,11を第1押圧部9での押圧力よりも強くして丸め工程を行うようにすることで、見映えのよい球状の食品を簡単に製造することができる。
【0040】
その後、第2の反転機12による反転動作及び第4押圧部13による押圧動作を経て、さらに丸め(丸め4工程)た後、上面焼成機14によって軽く焦げが生じるように焼成する。
【0041】
次に、第3の反転機15による反転動作及び第5押圧部16による押圧動作を経て、球状に焼成されたたこ焼きが得られる。
このようにして得られたたこ焼きは、コンベア17によって凍結設備に搬送され、短時間で凍結し、さらに包装して製品とする。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、小麦粉等を主材料とした焼成加工食品、例えばたこ焼き等の球状食品製造方法及びその装置に関する。
【符号の説明】
【0043】
1…移送路、2…開放焼型、3…凹所、4…開口、5…生地充填機、6…タコ充填機、7…抑え部、8…反転機、9…第1押圧部、10…第2押圧部、11…第3押圧部、12…反転機、13…第4押圧部、14…上面焼成機、15…反転機、16…第5押圧部、17…コンベア、18…半焼け状態の食品、19…凹部、20…押圧部材、21…昇降基部、22…バネ、23…支柱、A…焼成装置、B…丸め工程部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面略U形の凹所を有する開放焼型に、食品原料を充填する生地充填工程と、次いで前記開放焼型を下方から加熱して半焼け状態の食品を形成する焼成工程と、次いで前記開放焼型を下方から加熱しつつ、前記開放焼型内の食品を反転させるとともに前記開放焼型内に曲面状の凹部を有する押圧部材を降下させて該凹部で食品を押圧して該食品を球状に丸める丸め工程とを有する球状食品製造方法において、
前記丸め工程は、前記押圧部材を降下させて凹部で食品を押圧する押圧工程を複数段で行い、最初に食品を押圧する第1押圧工程の押圧力を最小とし、それ以後の押圧工程を前記第1押圧工程での押圧力よりも強くして丸め工程を行うことを特徴とする球状食品製造方法。
【請求項2】
前記丸め工程は、最初に食品を押圧する第1押圧工程と、前記第1押圧工程での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第2押圧工程とを有し、前記第1押圧工程での食品に対する押圧力が1〜100g/cmの範囲内であり、前記第2押圧工程での食品に対する押圧力が5〜200g/cmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の球状食品製造方法。
【請求項3】
前記丸め工程は、最初に食品を押圧する第1押圧工程と、前記第1押圧工程での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第2押圧工程と、前記第2押圧工程の後で前記第2押圧工程での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第3押圧工程とを有し、前記第1押圧工程での食品に対する押圧力が1〜100g/cmの範囲内であり、前記第2押圧工程での食品に対する押圧力が5〜150g/cmの範囲内であり、前記第3押圧工程での食品に対する押圧力が10〜200g/cmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の球状食品製造方法。
【請求項4】
移送路と、該移送路を移送可能に設けられ、断面略U形の凹所を有する開放焼型と、前記移送路にある開放焼型の凹所内に食品原料を充填する充填機と、食品原料が充填された開放焼型を加熱する焼成装置と、開放焼型の凹所内にある半焼け状態の食品を反転させる反転機と、開放焼型内に曲面状の凹部を有する押圧部材を降下させて該凹部で食品を押圧する押圧部とを有する球状食品製造装置において、
前記押圧部が複数段に設けられ、最初に食品を押圧する第1押圧部の押圧力を最小とし、それ以後の押圧部を前記第1押圧部での押圧力よりも強く設定したことを特徴とする球状食品製造装置。
【請求項5】
前記押圧部は、最初に食品を押圧する第1押圧部と、前記第1押圧部での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第2押圧部とを有し、前記第1押圧部での食品に対する押圧力が1〜100g/cmの範囲内であり、前記第2押圧部での食品に対する押圧力が5〜200g/cmの範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の球状食品製造装置。
【請求項6】
前記押圧部は、最初に食品を押圧する第1押圧部と、前記第1押圧部での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第2押圧部と、前記第2押圧部の後で前記第2押圧部での押圧力よりも強い圧力で食品を押圧する第3押圧部とを有し、前記第1押圧部での食品に対する押圧力が1〜100g/cmの範囲内であり、前記第2押圧部での食品に対する押圧力が5〜150g/cmの範囲内であり、前記第3押圧部での食品に対する押圧力が10〜200g/cmの範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の球状食品製造装置。
【請求項7】
前記押圧部は、昇降基部からバネ、支柱及びバネ又は支柱のいずれかを介して、曲面状の凹部を有する押圧部材が取り付けられた構造であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の球状食品製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−42730(P2013−42730A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184570(P2011−184570)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000140650)テーブルマーク株式会社 (55)
【Fターム(参考)】