環境試料採取物品及び方法
本発明は、表面から試料を回収するための物品、この試料の微生物分析のための物品、及びこの物品を使用する方法に関する。この物品は、試料回収具と、所望によるバリア層を有する試料ハウジングと、微生物を増殖させ検出するために親水性の作用剤を含む試料準備の整った試薬ストリップと、を含む。本開示は、表面試料中の微生物を回収、検出及び定量するための方法、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願第60/989,356号(2007年11月20日出願)の利益を請求するものであり、この開示内容全体が本明細書に参照により組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
表面が、細菌、真菌、酵母、ウイルス又は他の微小な生物、すなわち、「微生物」、で汚染されてしまうと、病気(罹患)、時には死(死亡)に至ることがある。これは特に、食品加工工場及び保健医療施設(病院)における表面が微生物で汚染されてしまうときに当てはまる。
【0003】
食品加工工場では、表面(例えば、固体表面、装置表面、保護衣など)が汚染されることがある。このような汚染は、肉若しくは他の食品により生じることがあり、又はこれらに移されることがある。保健医療施設では、微生物は、感染した個人から、ないしは別の方法で、表面(例えば、固体表面、装置表面、衣類など)上に放出されることがある。いったん表面が微生物で汚染されるようになると、汚染された表面との接触により、微生物は、別の表面、個人、装置、食品又はこれらに類するものなどの他の場所に容易にかつ直ちに移動することがある。
【0004】
周知のように、特定の環境における微生物汚染及び微生物の移動は、有意な健康上の危険を呈することがある。例えば、汚染された食品加工工場から出た食品は、引き続いて食され、病気、及び場合によっては死亡を引き起こすことがある。リステリア・モノサイトゲネス、サルモネラ・エンテリディティス及び大腸菌O157:H7などの微生物には、特に関心が向けられている。
【0005】
微生物汚染は、保健医療施設において関心が向けられているが、それはこのような施設の一部の患者が、多くの場合、病原性微生物による感染症に苦しみ、それゆえに病原性微生物をこのような施設に持ち込むからである。更に、このような施設にいるもの(例えば、患者)の多くは病気であり、免疫学的に危険にさらされ得る。これらの個人は、それゆえに、汚染性微生物による感染から病気になる危険が高い。
【0006】
微生物汚染の潜在的危険、特に、微生物が特定の環境において移動させられ得る容易さ、及び特定の環境の汚染に伴う健康被害の点で、このような汚染を検出して即時に対処できるように、種々の技術が開発及び採用されてきている。
【0007】
従来、環境微生物試験は、表面から試料を獲得する工程を含む。これは、典型的には、スワブ又はスポンジなどの滅菌試料採取器具と表面を接触させる(例えば、拭く、拭い取るなど)ことにより行われる。この方法で試験される表面は、通常、きわめて清浄である。それゆえに、試料採取器具により捕捉される微生物の数は典型的には非常に少ない。微生物の数が少ないことにより、典型的には(例えば、試料採取器具に捕捉されて)試料採取器具上にいる任意の微生物が、更なる分析のための十分な数の生物を準備するために、再生産、すなわち、「増殖」又は「培養」され得る。したがって、試料の少なくとも一部は、次に、典型的には中和され、所望により、安定化され、修復され又は集積され、次に、対象の微生物が増殖するのを助ける栄養素を含む適切な増殖培地(例えば、寒天(ゼラチン又はゼラチン状物質)、ブロス(液体)など)に適用(例えば、移植、スワイプ、浸漬及び撹拌など)される。増殖培地は選択的であってもよく、すなわち、増殖培地は、一部の微生物が他の微生物よりも大きな速度で増殖するようにする成分を含むか、又は増殖培地は少なくとも一部の所望されない微生物の増殖を防止する成分を含み得る。増殖培地は、所定の期間、典型的には約24〜約48時間にわたって、若しくは微生物の増殖が視覚的に顕著になるまで、特定の温度で、インキュベート又は保持される。
【0008】
いったん試料が、増殖するために十分な機会を有したならば、次に、増殖した細菌の量(例えば、寒天プレート上のコロニーの数)を評価(例えば、個人により、又は自動化装置を用いて)して、試料を取る時点−通常は1日又は2日前−において表面の特定の面積上に存在した微生物の数及び種類に関する何らかの指標を提供することができる。免疫学的又は他の試験もまた、試料中に存在した任意の対象微生物が何であるかを判定又は確認するために実行され得る。
【0009】
例えば、細菌のうちサルモネラ種について試験するとき、サルモネラ種を潜在的に含む試料が、選択的増殖培地に適用され得る。次に、選択的増殖培地は、約24〜約48時間の期間にわたって、サルモネラ微生物の増殖が可視になるまで、インキュベートされ得る。いったんサルモネラコロニーが選択的増殖培地上に可視的に存在したならば、コロニーを評価して、これらが何であるか確認し、所望により、数えて、試験されている表面の特定の面積上に存在するサルモネラ微生物の数を概算することができる。代わりに又は追加的に、培養した微生物をイムノアッセイ又は核酸アッセイにかけて、これらが何であるかより直接的に確認してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
環境生物に対してより簡潔で迅速、正確な試験が必要とされている。本発明は、このような試験のための器具及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの態様では、本発明は、表面の微生物を試料採取及び検出するための物品を含む。この物品は、親水性の作用剤が実質的にない試料回収具と、それに取り付けられた試薬ストリップと、を含むことができる。この試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は水不透過性であり、少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含む。試薬ストリップは、上方及び下方主表面を有する自立型基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、バッファ、指示薬、及び上記の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている。所望により、この物品は、バリア層を更に含んでもよい。
【0012】
別の態様では、本発明は、微生物を検出又は計数するための物品を含む。この物品は、底部材と、それに取り付けられたカバーシートと、を含むことができる。底部材は、上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含むことができ、上方主表面は取り付け構造を含む。カバーシートは、上方及び下方主表面を含むことができ、カバーシートの下方主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む、冷水に可溶な粉末でコーティングされている。底部材の上方主表面は、カバーシートの下方主表面に面する。
【0013】
別の態様では、本発明は、環境表面試料を回収するための試料回収具を含む。試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は水不透過性であり、少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含み、試料回収具は、親水性の作用剤が実質的にない。
【0014】
別の態様では、本発明は、底部材、スペーサ、カバーシート及び耐水性バリア層を含む試料ハウジングを含む。底部材は、上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含むことができる。スペーサは、開口を含むことができ、底部材の上方表面に接着される。カバーシートは、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている。耐水性バリア層は、カバーシートとスペーサとの間に配置され、これにより、カバーシートのコーティングされた表面は、バリア層に面する。
【0015】
別の態様では、本発明は、微生物の検出のための試薬ストリップを含む。試薬ストリップは、上方及び下方主表面と、両方の主表面の少なくとも一部上の乾燥コーティングと、を有する自立型基材を含む。コーティングは、微生物を増殖させるための栄養素と指示薬とを含む親水性の作用剤、及び冷水に可溶なゲル化剤を含むことができる。
【0016】
別の態様では、本発明は、表面の微生物を試料採取及び検出するためのキットを含む。このキットは、試料回収具及び試薬ストリップを含むことができる。試料回収具は、親水性の作用剤が実質的になく、上方及び下方主表面を有する水不透過性基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含む。試薬ストリップは、上方及び下方主表面を有する自立型基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、バッファ、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている。
【0017】
別の態様では、本発明は、微生物を試料採取及び計数するためのキットを含む。このキットは、試料回収具、試料ハウジング、及び所望により試薬ストリップを含むことができる。この試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は水不透過性である。試料ハウジングは、底部材及びカバーシートを含むことができる。底部材は、上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含むことができる。カバーシートは、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている。
【0018】
別の態様では、本発明は、微生物を試料採取及び計数するためのキットを含む。このキットは、試料回収具、カバーシート及び底部材を含むことができる。この試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材から本質的になり、少なくとも1つの主表面は水不透過性である。カバーシートは、上方表面及び下方主表面を有する基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている。底部材は、上方及び下方表面を有する自立型水不透過性基材、並びに取り付け構造を含むことができる。
【0019】
別の態様では、本発明は、環境表面上の微生物を検出するための方法を含む。この方法は、液体試料懸濁培地、試料回収具、試料ハウジング及び試薬ストリップを提供する工程を含むことができる。この試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は水不透過性である。試料ハウジングは、底部材と、上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートと、を含むことができ、カバーシートの1つの主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている。試薬ストリップは、上方及び下方主表面を有する自立型基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、バッファ、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている。この方法は、試料回収具の少なくとも1つの主表面上に試料を獲得する工程、試料を含む少なくとも1つの主表面をカバーシートに向けて試料ハウジングの中に試料回収具を配置することにより組立体を形成する工程、試料を含む試料回収具主表面に試料懸濁培地を適用する工程、水和ゲルを形成するために試料懸濁培地にカバーシートの下方表面を接触させる工程、試薬ストリップのコーティングされた表面を水和ゲルに接触させて配置する工程、ある期間にわたって組立体をインキュベートする工程、及び微生物増殖の指示薬を観察する工程を更に含むことができる。
【0020】
別の態様では、本発明は、環境表面上の微生物を検出するための方法を含む。この方法は、バリア層、試料懸濁培地、試料回収具、試料ハウジング及び試薬ストリップを提供する工程を含むことができる。この試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は水不透過性である。試料ハウジングは、上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含む底部材と、上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートと、を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている。この方法は、試料回収具の少なくとも1つの主表面上に試料を獲得する工程、試料を含む少なくとも1つの主表面をカバーシートに向けて、試料ハウジングの中に試料回収具を配置することにより組立体を形成する工程、試料を含む試料回収具主表面に試料懸濁培地を適用する工程、ある期間にわたって試料ハウジングをインキュベートする工程、試料ハウジングから少なくとも一部のバリア層を取り外す工程、水和ゲルを形成するために試料懸濁培地にカバーシートの下方表面を接触させる工程、試薬ストリップのコーティングされた表面を水和ゲルに接触させて配置する工程、ある期間にわたって組立体をインキュベートする工程、及び微生物増殖の指示薬を観察する工程を更に含むことができる。
【0021】
別の態様では、本発明は、環境試料中のリステリア種を検出する方法を提供する。この方法は、表面を有する試料回収具、試料懸濁培地及び試薬ストリップを提供する工程、試料回収具の表面上に試料を獲得する工程、試料又は試薬ストリップを水和する工程、並びに試薬ストリップと試料とを接触させる工程を含むことができる。試薬ストリップは、微生物を増殖させるための栄養素及び指示薬を含む親水性の作用剤と、冷水に可溶なゲル化剤と、を含むことができる乾燥コーティングを含む。
【0022】
別の態様では、本発明は、環境試料中のリステリア種を検出する方法を提供する。この方法は、表面を有する試料回収具、試料懸濁培地、試料ハウジング及び試薬ストリップを提供する工程、試料回収具の表面上に試料を獲得する工程、試料ハウジングの中に試料回収具を配置する工程、試料又は試薬ストリップを水和する工程、並びに試薬ストリップと試料とを接触させる工程を含むことができる。試薬ストリップは、微生物を増殖させるための栄養素及び指示薬を含む親水性の作用剤と、冷水に可溶なゲル化剤と、を含むことができる乾燥コーティングを含む。
【0023】
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下において、他の実施形態もまた好ましい可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0024】
用語「含む」及びこの変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲中に現れる場合、制限する意味を有しない。
【0025】
本明細書で使用するとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。それゆえに、例えば、「1つの(a)」バリア層を含む試料ハウジングは、試料ハウジングが「1つ以上の」バリア層を含むことができることを意味すると解釈することができる。
【0026】
用語「及び/又は」は、列記されている要素の1つ若しくは全て、又は列記されている要素の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0027】
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等)が包含される。
【0028】
本発明の上記の「課題を解決するための手段」は、本発明が開示する各実施形態又は全ての実施例を説明することを意図したものではない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本明細書にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例は様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの事例において、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ役目を果たすのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明は、以下に列挙される図面を参照して更に説明され、類似構造は、いくつかの図にわたって、類似番号によって参照される。
【図1】本発明による試料回収具の例示的な実施形態の斜視図。
【図2A】本発明による非平滑な試料回収具の例示的な実施形態の上面斜視図。
【図2B】本発明による多孔質材料を含む試料回収具の例示的な実施形態の斜視図。
【図3A】本発明によるスペーサを含む試料ハウジングの例示的な実施形態の断面概略図。
【図3B】図3Aの試料ハウジングの平面図。
【図4】微生物の試料回収及び計数のための物品の1つの実施形態の断面概略図。
【図5】本発明による試薬ストリップの1つの実施形態の斜視概略図。
【図6】微生物の試料回収及び計数のための物品の代替的な実施形態の断面概略図。
【図7】微生物の試料回収及び計数のための物品の代替的な実施形態の断面概略図。
【図8】微生物の試料回収及び計数のための物品の代替的な実施形態の断面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、表面を試料採取する、試料を一時的に保存する、並びに試料中に存在する微生物を増殖させ、検出するための物品及び方法を提供する。下記に詳細に説明するように、本発明の器具は、試料回収具、試料ハウジング、試薬ストリップ、バリア層の個々の要素、上記要素の2つ以上の組み合わせ、及びこのような器具の使用方法を包含する。本開示はまた、表面を表面採取する、及び微生物を検出するためのキット、並びにこのようなキットの使用方法を包含する。いくつかの従来の表面微生物試料採取手順は、集積培養手順を伴い、その後、集積培養物の一部は、生化学的、免疫学的又は遺伝学的試験手順を使用して標的微生物について試験される。他の従来の表面微生物試料採取手順は、湿らせたスポンジ又はスワブを使用して、表面を拭く。スポンジは、引き続いて、中和バッファで抽出され、スポンジ又はスワブから抽出できる標的微生物の部分は、標的微生物の存在について試験される。対照的に、本開示の器具及び方法は、元々の試料回収具全体を試験するための手段を提供し、これにより、表面上の非常に少数の微生物の存在を検出するより強い傾向を有する。更に、本開示の器具及び方法は、表面試料中の生物を検出するための従来の方法よりも簡便である。
【0031】
本開示の器具は、標準的な寒天プレート法及び他の微生物試験に基づく先行技術の器具及び手法に比べ、著しい向上を提供する。本発明の器具上でコーティングされた培地は、細菌コロニーを可視化及び単離できるその能力に逆効果をもたらすマトリックスを含有しない。この方法及び器具により提供される培地が、器具中で増殖する細菌コロニーの計数を可能にするだけではなく、このコロニーは、ペトリ皿内における従来の寒天培地上で増殖する細菌コロニーと同様に更なる試験のために容易に単離することができる。この器具は、ペトリ皿よりもはるかにコンパクトで軽量であるという更なる特徴を有し、実験室内のスペースをあまり取らない。更に、この器具は、完全に使い捨てであり、使用後のより安全かつより迅速な清浄化を可能にする。
【0032】
試料回収具
図1は、環境表面又は患者表面を試料採取するための比較的平滑な基材112を有する試料回収具110の1つの実施形態を示す。基材112は、上方主表面114及び下方主表面116を有する。基材112の主表面の少なくとも1つは、水不透過性であり、並びに/又は、水不透過性コーティングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、試料回収具110は、比較的可撓性であり、不均一表面にぴったり一致し、そのまま接触を維持することができる。試料回収具110の主表面の少なくとも1つは、試料領域と接触させられると、試料領域から試料回収具110への、液体、固体、準固体、又はこれらの組み合わせなどの物質の移動をもたらす。試料回収具110は、分析されるべき食品接触表面又は表在性創傷などの試料領域から物質を回収するために、使用されてもよい。
【0033】
試料回収具110の基材112は、様々な材料から作製され得る。好適な材料の非限定的な例には、ポリエチレン、ポリプロピレン若しくはポリエステルなどのプラスチックフィルム、少なくとも1つの主表面を水不透過性にするコーティング若しくは組成物を含む、紙若しくは厚紙などのセルロース系材料、ポリエチレン若しくはポリスチレン発泡体などの発泡体、又は、水不透過性である少なくとも1つの主表面を有する布地が挙げられる。
【0034】
いくつかの実施形態では、試料回収具110の少なくとも1つの主表面は、非平滑化されている。本明細書で使用するとき、用語「非平滑化」は、試料物質を回収するために使用される表面の特性を指す。例えば、試料回収具110の主表面の質感は、図1に示されるように、比較的平滑であってもよい。あるいは、試料回収具110の主表面の質感は、比較的粗くてもよい。図2Aは、比較的粗い質感を有する主表面214を含む試料回収具210の1つの実施形態を示す。この実施形態では、基材212は、凸構造218及び凹構造220の組み合わせを含み得る。あるいは、基材212は、凸構造218又は凹構造220を含み得る。凸構造218は、様々なサイズで存在してもよく、瘤、釘、隆起線及びこれらに類するもの、又はこれらの組み合わせなどの様々な形状で存在してもよい。凸構造218は、基材212の表面にわたってランダムに配分されてもよく、又は別の方法として、均一に間隔をあけてもよい。凹構造220は、様々な寸法で存在してもよく、穴、窩、谷、トラフ、溝及びこれらに類するもの、又はこれらの組み合わせなどの様々な形状で存在してもよい。凸構造218又は凹構造220は、試料回収具210を作る基材212の材料の一体部分であってもよい。あるいは、これらの構造は、基材212に接合されてもよい。理論に束縛されるものではないが、凸構造218又は凹構造220のいずれかを含む試料回収具210は、試料物質を捕捉すること並びに/又は試料採取される表面から物質を擦過及び回収することができる構造を提供することにより、環境表面又は患者表面から試料物質を回収することにおいて利点を提供できると考えられている。試料を回収している間に試料回収具210を保持するために便利な領域を提供する所望によるタブ228もまた図2Aに示されている。
【0035】
図2Bは、代替的な非平滑化構造を有する試料回収具210を示す。試料回収具210は、接着層222により基材212の主表面に接着された、不織布などの接合された材料224を含むことができる。接着層222は、非水溶性であってもよく、微生物の増殖に対して非阻害性であるべきであり、無菌化プロセスに耐えることができるべきである。好ましくは、接着層222及び接合された材料224は、接着層222でコーティングされた基材212を通して細菌コロニーを見ることができるように、濡れたときに十分に透明である。いくつかの実施形態では、接着層222は感圧性接着剤を含む。基材212に接着された、接合された材料224の代表的な実施形態には、粘着付与高感圧性イソオクチルアクリレート/アクリル酸コポリマー接着剤(96重量%のイソオクチルアクリレート及び4重量%のアクリル酸)などの感圧性接着層222により、白色ポリエステル(厚さ0.13mm(5mil))などのプラスチック基材212に接着された、Gehring Textiles,Inc.(Garden City,NY)から入手される編目(knitted loop)不織布などの不織布材料又はガラス繊維フィルターが挙げられる。あるいは、接合された材料224は、発泡体(例えば、ポリウレタン発泡体)、布地又はセルロース系材料(例えば、濾紙)などの他の非平滑化材料を含んでもよい。穿孔226により試料回収具210から便利に着脱可能であるタブ228は、図1Cにも示される。
【0036】
試料ハウジング
試料ハウジングを、その中に試料回収具を試料回収具上に位置する試料物質と共に配置することができ、所望によりある期間にわたって保存することができる物品である。試料ハウジングは更に、中に溶液及び/又は試薬を加えて微生物の増殖、検出又は計数を促進し得る物品として使用してもよい。ある実施形態では、試料ハウジングは、中で試料が試薬ストリップ及び/又は試薬と共にインキュベートされて微生物の増殖、検出又は計数を促進する物品として使用されてもよい。
【0037】
図3Aは、例示的な試料ハウジング360を示す。試料ハウジング360は、底部材350、バリア層370及びカバーシート330を含む。
【0038】
底部材350は、上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材352を含む。底部材350は、好ましくは、水を吸収しない、ないしは別の方法で水により影響されない、ポリエステル、ポリプロピレン又はポリスチレンフィルムなどの比較的硬い材料である。例えば、厚さ約0.1〜0.2mm(0.004〜0.007インチ)のポリエステルフィルム、厚さ約0.1〜0.2mm(0.004〜0.008インチ)のポリプロピレンフィルム及び厚さ約0.38mm(0.015インチ)のポリスチレンフィルムは、良好に機能する。他の好適な基材には、ポリエチレン又は他の耐水性コーティングを有する紙が挙げられる。底部材350は、底部材350を通して細菌コロニーを見たいかどうかに依存して透明又は不透明のいずれかであり得る。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,565,783号に記載されるように、細菌コロニーの数え上げを促進するために、底部材350は、その上に正方形の格子パターンが印刷されてもよい。底部材350を作製するために使用される材料は、微生物に対して比較的不活性であるべきであり、無菌化プロセスと適合性を有するべきである。
【0039】
この実施形態では、底部材350は、基材352の上方表面上に位置する接着層354及びスペーサ356を更に含む。接着層354は、スペーサ356と基材352との間の取り付けを形成する。接着層354は、上記の試料回収具210の接着層222についてのガイドラインに従って選択されるべきである。開口357を含むスペーサ356は、非水溶性材料から作製されるべきである。開口357の壁は、所定のサイズ及び形状の穴を提供して、試料ハウジング360に加えられる液体媒体の容量を制限する。所望の容量、例えば、1ミリリットル、2ミリリットル、3ミリリットル又は5ミリリットル、の穴を形成するために、スペーサ356は十分に厚く、開口357は十分に大きくあるべきである。独立気泡ポリエチレン発泡体又はポリスチレン発泡体は、スペーサ356に好適な材料であるが、疎水性(非濡れ性)であり、微生物に対して不活性であり、好ましくは無菌化プロセスに耐えることができる任意の材料が使用され得る。図3Aに示されるように、開口357により形成される穴の底は、接着層354を含み得、これは試料回収具(図3Aに示されず)を固定するために使用することができる。あるいは、開口357により形成される穴の底は、取り付け構造(下記に記載)を含んでもよく、又は非接着層354若しくは取り付け構造を含まなくてもよい。
【0040】
バリア層370は、スペーサ356の上方表面に取り付けられる。この実施形態では、スペーサ356及びバリア層370は、両面接着テープ340により一緒に接合される。バリア層370は、耐水性であるべきである。バリア層370は、好ましくは、バリア層370の下に位置する物体の観察を可能にするために透明であり、細菌、水及び水蒸気に対して実質的に不透過性である。概して、バリア層370は、底部材350と同一の特性を有することができるが、同様に硬い必要はない。バリア層370について代表的な材料には、例えば、ポリプロピレンフィルム(例えば、0.6マイクロメートル(1.6mil)の二軸延伸ポリプロピレン(BOPP))又はポリエチレンフィルムが挙げられる。図3Aを再び参照すると、バリア層370が所望による穿孔372と共に示されており、これは、試料ハウジング360からバリア層の少なくとも一部を取り外し可能にするために容易に裂くことができる。バリア層370はまた、所望による伸長又はタブ374と共に示されており、これは、穿孔372を裂くためにバリア層370を容易に掴むのを可能にする。
【0041】
カバーシート330は、バリア層370の上方表面に取り付けられる。バリア層370及びカバーシート330は、両面接着テープ340により一緒に接合される。試料ハウジング360の端部の近くで試料ハウジングスペーサ356をバリア層370及びカバーシート330に取り付けることは、便宜的に蝶番領域345を形成し、バリア層370及び/又はカバーシート330が持ち上げられるようにし、それゆえに構成要素部分の位置合わせを維持したまま、試料ハウジング360の内側部分を露出する。米国特許第5,118,750号に記載されているものなどの特定の低粘着性接着剤混合物を両面接着テープ340の少なくとも1つの側に使用して、要素(例えば、カバーシート、バリア層及び底部材)間に着脱可能な取り付けを形成してもよい。あるいは、カバーシート330及びバリア層370は、例えば、超音波溶接、クランプ又はかすがいといった他の手段により、底部材350に接合されてもよい。
【0042】
カバーシート330は、上方及び下方主表面を有する基材332を含む。接着層334は、下方主表面(バリア層370に面している)の少なくとも一部分上にコーティングされる。少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末336は、接着層334に接着される。あるいは、カバーシート330の少なくとも一部、例えば、蝶番領域345は、接着剤のみでコーティングされてもよく、又はどの種類のコーティングも実質的になくてもよい。
【0043】
接着層334は、好ましくは粉末状ゲル化剤及び/又は栄養素の粒子の直径よりも小さい厚さで、カバーシート330上にコーティングされるべきである。この目的は、基材に粒子を接着するために、接着層334の中に十分な、しかしながら粒子が接着剤の中に完全に埋没してしまわない程度の、接着剤を適用することである。粉末336の均一な単層は、水和のために露出される十分な表面積を有することが所望される。概して、0.005〜0.012mm(0.0002〜0.0005インチ)の範囲の厚さの接着層334が好適である。接着層334で使用される代表的な粘着剤は、イソオクチルアクリレート/アクリルアミド(94/6のモル比で)のコポリマーである。使用されてもよい他の感圧性接着剤には、イソオクチルアクリレート/アクリル酸(95/5又は94/6のモル比で)及びシリコ−ンゴムが挙げられる。水への露出時に乳化する接着剤は、あまり好ましくないが、不透明な基材と共に、又はコロニー可視化が必要とされない場合に、使用されてもよい。
【0044】
冷水に可溶な粉末336の単層は、接着層334に均一に接着される。粉末336は、ゲル化剤又はゲル化剤の混合物を含んでもよい。本明細書及び特許請求の範囲で使用するとき、用語「粉末」は、400マイクロメートル未満の平均直径を有する超微粒子状物質を指す。本明細書及び特許請求の範囲で使用するとき、用語「冷水に可溶」は、室温において水中で溶液を形成する物質を指す。粉末336中に含むのに好適なゲル化剤には、室温において水中で溶液を形成する天然及び合成の両方のゲル化剤が挙げられる。ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ローカストビーンガム及びアルギンなどのゲル化剤は、室温において水中で溶液を形成し、「冷水に可溶」である粉末を準備するために好適なゲル化剤である。粉末336について好ましいゲル化剤は、グアーガム及びキサンタンガムであり、これらのゲル化剤は個別でも又はお互いに組み合わせても有用である。
【0045】
ゲル化剤は、好ましくは、少なくとも1500cpsのBrookfield粘度を有する実質的に透明なゲルを形成するのに十分な量で存在する。十分な量のゲル化剤は、試料ハウジング360内に配置された所定の量、例えば、1〜3ミリリットル、の水又は水性試料が、25℃においてBrookfield Model LVF粘度計を用いて60rpmで測定されるときに約1500cps以上の粘度を有するゲルを形成するように、カバーシート330に接着されるべきである。この粘度のゲルは、便利な操作及び積層を可能にし、明確なコロニー同定を提供する。ほとんどの場合、5.07cm2(3.14インチ2)の表面領域上に0.025〜0.050グラムのグアーガムが、1〜3ミリリットルの水性試料で水和されるときに、十分な粘性ゲルを提供する。単位面積当たりのコーティング重量を制御するために、粉末336の粒子のサイズを使用してもよい。例えば、約100メッシュのグアーガムは、重量約0.05グラム/直径5.1cm(2インチ)のディスクに対してコーティングし、400メッシュのグアーガムは、重量0.025グラム/直径5.1cm(2インチ)のディスクに対してコーティングする。
【0046】
カバーシート330は、試料の保存及び/又はインキュベーション時における汚染を防止すべく、試料ハウジング360を覆うための手段を提供する。カバーシート330は、底部材350の1つの端部に蝶番領域状方式で直接又は間接的に取り付けられた耐水性シートであることができる。カバーシート330は、好ましくは、細菌コロニーの数え上げを促進するために透明であり、細菌及び水蒸気に対して実質的に不透過性である。本明細書で使用するとき、「細菌及び水蒸気に対して実質的に不透過性」は、器具の運送、保管及び使用時に試料ハウジング360の所望されない汚染を防止する、並びにインキュベーション期間の間に微生物の増殖を助ける環境を提供する、カバーシート330を指す。概して、カバーシート330は、底部材350と同一の特性を有することができるが、同様に硬い必要はない。カバーシート330は、増殖することが所望される微生物の種類に必要な酸素透過量を提供するように、選択することができる。例えば、ポリエステルフィルムは、低い酸素透過性(厚さ0.025mm(0.001インチ)当たり5g/645cm2(100インチ2)/24時間未満)を有し、嫌気性細菌を増殖させるのに好適である。一方で、ポリエチレンは、非常に高い酸素透過性(厚さ0.025mm(0.001インチ)当たり約500g/645cm2(100インチ2)/24時間)を有し、好気性細菌を増殖させるのに好適である。カバーシート330に好ましい材料は、40.6マイクロメートル(1.6mil)の二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。
【0047】
カバーシート330は簡単に持ち上げることができ、液体試料懸濁培地は基材上に配置することができ、次いで、カバーシート330はその元の位置に戻し、それによりゲル化培地の中に固着することができる。カバーシート330は、好ましくは、細菌コロニーを見るのを可能にするように、透明である。カバーシート330を形成するために使用される材料は、酸素などの気体について所望の透過性を得るように便宜的に選択され得る。
【0048】
図3Bは、図3Aの試料ハウジング360の平面図を示す。蝶番領域345は、試料ハウジング360の上端に沿って位置する。所望による穿孔372は、蝶番領域345に近接する。スペーサ356内の円形開口357は、試料ハウジング360の中央領域内に位置する。蝶番領域345と反対側の試料ハウジング360の端部に、カバーシート330の端部を越えて広がるバリア層370のタブ374を見ることができる。
【0049】
図4は、試料ハウジング460の代替的な実施形態を示す。試料ハウジング460は、カバーシート430、バリア層170及び底部材450の要素を含み、例えば、両面接着テープ440により蝶番領域445において固定されている。この実施形態では、底部材450は、基材452及び所望による取り付け構造458を含む。取り付け構造458は、適所に試料回収具を保持するために使用できる、接着剤、フック・アンド・ループ取り付け手段の構成要素、米国特許出願公開第2003/0088946A号に記載のものなどのステムウェブ構造、又はこれらに類するものを含んでもよい。バリア層470は、穿孔472及び/又はタブ474を含んでもよく、上記のように作製することができる。ある実施形態では、バリア層470の下方主表面は、取り付け構造458に接着するのを防止するために、剥離材を含んでもよい。剥離コーティングは当該技術分野において既知であり、接着剤とプラスチックフィルムとの間の接着を低減するために、日常的に使用される。カバーシート430は、基材432、接着層434及び粉末436を含み、上記のように作製することができる。
【0050】
試薬ストリップ
図5は、本発明による試薬ストリップ580の1つの実施形態を示す。試薬ストリップ580は、上方及び下方主表面を有する基材582を含む。この実施形態では、基材582の両方の主表面の少なくとも一部は、所望による接着剤584及び親水性作用剤586でコーティングされる。いくつかの実施形態では、表面582の1つの主表面の少なくとも一部は、所望による接着剤584及び/又は親水性の作用剤586でコーティングされる。いくつかの実施形態では、試薬ストリップ580は、所望によるタブ588を含む。タブは、所望による穿孔589を含んでもよく、これはタブ588が試薬ストリップ580から分離されるようにする。
【0051】
試料中の微生物の検出は、多くの場合、親水性作用剤などの試薬の使用を伴って、特定の微生物の、増殖の促進、増殖の抑制、及び/又は、代謝活性の検出を行う。本明細書で使用するとき、「親水性の作用剤」には、特定の微生物の増殖を促進するために使用され得る濃度での栄養素(例えば、タンパク質、ペプチド、炭水化物、ビタミン)、特定の微生物の増殖を選択的に抑制するために使用され得る濃度での塩(例えば、NaCl、LiCl、亜テルル酸カリウム)又は阻害剤(例えば、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アズトレオナム、他の抗生物質、染料)、酵素活性又は発酵プロセスなどの代謝活性を検出するために使用され得る非抑制濃度での染料又は指示薬(例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロリド、クロロフェノールレッド、ブロモチモールブルー(bromthymol blue)、o−ニトロフェニルホスフェート、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−グルコピラノシド)、及びゲル化剤(例えば、寒天、キサンタンガム、グアーガム)が挙げられる。
【0052】
接着剤584は、粉末などの特定の親水性の作用剤586を上記のように基材582上にコーティングするときに必要とされ得る。いくつかの実施形態では、親水性の作用剤586は、ゲルを形成するために水和されるときに基材582上に直接コーティングされ得るゲル化剤を含む。基材582は、底部材、バリア層及びカバーシートの作製のための上記材料などの多数の材料から選択され得る。ある実施形態では、試薬ストリップ580の基材582は自立している。ある実施形態では、試薬ストリップ580の基材582は、水に対して実質的に不透過性である。代替的な実施形態では、試薬ストリップ580の基材582は、濾紙又は親水性発泡体のように、吸水性であってもよい。ある実施形態では、試薬ストリップ580は、ポリエチレンでコーティングされた紙から作製されてもよく、微生物のコロニーの数え上げを促進するために、所望による印刷された格子(図示されず)を含んでもよい。
【0053】
試薬ストリップ580上に含まれる親水性の作用剤586の中に染料を組み込むことが望ましくあり得る。染料は、基材582上にコーティングされたゲル又は粉末混合物の中に組み込まれてもよい。あるいは、染料は、接着剤584の中に組み込まれてもよい。好適な染料は、微生物を増殖させることにより代謝され、より容易な可視化のために着色されるコロニーを生じるものである。このような染料の例には、トリフェニルテトラゾリウムクロリド、p−トリルテトラゾリウムレッド、テトラゾリウムバイオレット、ベラトリルテトラゾリウムブルー及び関連する染料が挙げられる。他の好適な染料は、ニュートラルレッド又はクロロフェノールレッドなどの、pH変化に対して感応性のものである。
【0054】
試薬ストリップ580上の親水性の作用剤586に採用される材料は、冷水で戻すことができる。本明細書で使用するとき、「冷水で戻すことができる」は、室温において水中で溶液、ゾル又はゲルを形成する物質を指す。この実施形態のコーティングの中に含むのに好適なゲル化剤(これらがコーティング中に含有されるならば)には、室温において水中で溶液を形成する、グアーガム及びローカストビーンガムなどの上記ゲル化剤が挙げられる。
【0055】
試薬ストリップは、リステリア属のメンバーなどの特定の生物の増殖について選択するために使用され得る。これらの実施形態では、親水性の作用剤は、栄養素と、表面試料中に存在し得る他の微生物よりもリステリア種の増殖を好む選択的阻害剤を含んでもよい。例えば、試薬ストリップには、リステリア種の増殖の補助及び/又は非リステリア種の増殖の抑制を行うのに有効である濃度での、カゼインの膵臓消化物、プロテオースペプトン#3などのプロテオースペプトン、酵母抽出物、リン酸二ナトリウム及びリン酸一カリウムなどの緩衝系、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム並びにポリミキシンB硫酸塩を挙げてもよい。試薬ストリップは、試料中のリステリア種の存在を検出するのに有効である濃度で、発色酵素基質(例えば、6−クロロ−3−インドキシル−α−D−マンノピラノシド)などの指示薬系、及び所望により、対応する酵素誘導剤(例えば、1−O−メチル−α−D−マンノピラノシド)を更に含んでもよい。
【0056】
微生物検出又は計数物品
本発明は、表面試料中の微生物を検出及び/又は計数するために使用される物品を含む。上記試料ハウジングを含むこのような物品は、上記要素(例えば、カバーシート、試料回収具、バリア層、底部材)の様々な組み合わせを含む。
【0057】
図6は、試料回収及び微生物計数のための物品600の1つの実施形態を示す。物品600は、上記のように作製された、試料回収具610及び試薬ストリップ680を含む。試料回収具610は、水不透過性基材612及び接合された基材624を含む。接合された基材624は、接着剤622により基材612の下方主表面に取り付けられる。この実施形態では、試薬ストリップ680は、上方及び下方表面を有する自立型基材682を含み、1つの主表面の少なくとも一部は親水性の作用剤686でコーティングされている。所望による接着剤684は、図6にも示される。試料回収具610及び試薬ストリップ680は、この実施形態では、蝶番領域645において両面接着テープ640により取り付けられる。米国特許第5,118,750号に記載されているものなどの特定の低粘着性接着剤混合物を両面接着テープ640の少なくとも1つの側に使用して、試料回収具610と試薬ストリップ680との間に着脱可能(及び再取り付け可能)な取り付けを形成してもよい。
【0058】
好ましくは、試料回収具610及び試薬ストリップ680は、物品600の1つの端部の近くに取り付けられ、蝶番領域645を形成する。当業者であれば、接着剤、熱接合、超音波溶接、及びこれらに類するものなどの、蝶番領域645を形成するための他の好適な方法も認識するであろう。試料回収具610及び試薬ストリップ680が水不透過性材料の一体成形物から形成され得、蝶番領域645が材料をそれ自体の裏に折り畳むことにより形成される(図示されず)こともまた想到される。
【0059】
図7は、試料回収及び微生物計数のための物品700の代替的な実施形態を示す。物品700は、試料回収具710、カバーシート730及び底部材750の要素を含み、この要素は上記のように作製される。カバーシート730は、基材732、接着層734及び粉末736を含む。試料回収具710は、両面接着テープ740を介してカバーシート730に取り付けられることができる。試料回収具710は、例えば、試料回収のために、接着層722により基材712に取り付けられ接合された材料724を含む。この実施形態では、試料回収具710は、物品700から試料回収具710を取り外しやすくするために、蝶番領域745の近くに穿孔726を含む。試料回収具はまた、操作時に試料回収具710を掴むためにタブ728を含む。底部材750は、両面接着テープ740を介して試料回収具710に取り付けられる。底部材750は、基材752と、試料回収具710を固定できる所望による取り付け構造758を含む。取り付け構造758は、適所に試料回収具710を保持するために使用できる、接着剤、フック・アンド・ループ取り付け手段の構成要素又はこれらに類するものを含んでもよい。ある実施形態では、取り付け構造758に面する試料回収具710主表面は、この取り付け構造758が接着剤を含むとき、試料回収具710の、取り付け構造758への接着を制御するために、剥離材を含んでもよい。剥離コーティングは当該技術分野において既知であり、接着剤とプラスチックフィルムとの間の接着を低減するために、日常的に使用される。
【0060】
図8は、試料回収及び微生物計数のための物品800の代替的な実施形態を示す。物品800は、カバーシート830、バリア層870、試料回収具810及び底部材850の要素を含み、これらの要素は上記のように作製される。カバーシート830は、基材832、接着層834及び粉末836を含む。試料回収具810は、両面接着テープ840を介してカバーシート830に取り付けることができる。試料回収具810は、試料回収のために、接着層822により基材812に取り付けられた接合された材料824を含む。この実施形態では、試料回収具810は、物品800から試料回収具810を取り外しやすくするために、蝶番領域845の近くに穿孔826を含む。試料回収具はまた、操作時に試料回収具810を掴むためにタブ828を含む。バリア層870は、両面接着テープ840を介して試料回収具810に取り付けられる。バリア層870はまた、蝶番領域845の近くの穿孔872と、操作時にバリア層870を掴むためのタブ874と、を含む。底部材850は、両面接着テープ840を介してバリア層870に取り付けられる。底部材850は、基材852と、試料回収具810が固定できる試料による取り付け構造858と、を含む。取り付け構造858は、適所に試料回収具810を保持するために使用できる、接着剤、フック・アンド・ループ取り付け手段の構成要素又はこれらに類するものを含んでもよい。ある実施形態では、取り付け構造858に面するバリア層870主表面は、この取り付け構造858が接着剤を含むとき、試料回収具810の、取り付け構造858への接着を制御するために、剥離材を含んでもよい。剥離コーティングは当該技術分野において既知であり、接着剤とプラスチックフィルムとの間の接着を低減するために、日常的に使用される。
【0061】
試料及び微生物
本発明の1つの態様は、非常に様々な表面上に存在する生物を検出するのに使用してもよいものである。本発明の器具及び方法は、種々の用途のために使用してもよく、食品表面(例えば、牛屠殺体、農産物外表面)、食品加工表面、水又は水膜表面、患者表面、患者処理表面、病院環境表面、診療所環境表面及び法医学的環境表面が挙げられるが、これらに限定されない表面上に存在する生物を試験するために望ましい。試料は、固体、半固体、ゼラチン状又は液体の材料から、単独又は種々の組み合わせで、実質的になる。本発明の器具及びシステム、並びに本発明の方法は、対象の1つ以上の微生物の存在を質的又は量的に判定するために、使用され得る。
【0062】
検出する対象の代表的な医療検体は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)である。黄色ブドウ球菌は、小さな皮下膿瘍及び創傷感染等の表面型病変、心内膜炎、肺炎及び敗血症などの全身性でかつ生命に脅威を及ぼす状態、並びに食中毒及び中毒性ショック症候群などの中毒症を含めた広範な感染症を引き起こす病原菌である。いくつかの菌株(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌すなわちMRSA)は、わずかに選ばれた抗生物質の他は全てに耐性がある。
【0063】
対象を食品加工領域内で検出するための代表的な検体は、リステリア属のメンバーである。リステリアは、グラム陽性棹状菌として分類され、リステリア・モノサイトゲネス、L.イノキュア、L.ウェルシメリ(L. welshimeri)、L.シーリゲリー(L. seeligeri)、L.イバノビイ(L. ivanovii)及びL.グライイ(L. grayi)の種からなる。これらの中で、L.モノサイトゲネスは、ヒトリステリア症の症例の多くに対して原因となっており、免疫不全症者及び妊娠女性、高齢者及び新生児は、感染の感受性が高い。リステリア症の最も一般的な症状は、敗血症、髄膜炎及び流産である。
【0064】
分析目的のために特に対象となる他の微生物には、原核及び真核生物、特にグラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌、マイコプラズマ及び酵母が挙げられる。特に関連性のある生物には、腸内細菌科若しくは球菌科、又はブドウ球菌属の種、連鎖球菌種、シュードモナス種、腸球菌種、サルモネラ種、レジオネラ種、赤痢菌種、エルニシア種、エンテロバクター種、エシェリキア種、バチルス種、ビブリオ種、クロストリジウム種、コリネバクテリア種、並びにアスペルギルス種、フサリウム種及びカンジダ種のメンバーが挙げられる。特に悪性の生物には、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの耐性菌株を包含する)、表皮ブドウ球菌、肺炎球菌、ストレプトコッカス・アガラクチア、化膿レンサ球菌、エンテロコッカス・フィカリス、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、バンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、炭疽菌、緑膿菌、大腸菌、クロコウジカビ、アスペルギルス・フミガータス、アスペルギルス・クラバタス、フザリウム・ソラニ、フザリウム・オキシスポラム、フザリウム・クラミドスポラム(F. chlamydosporum)、コレラ菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ・コレラスイス、チフス菌、ネズミチフス菌、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、エンテロバクター・サカザキ、大腸菌O157、ESBL含有微生物、及び多剤耐性グラム陰性桿菌(MDR)が挙げられる。
【0065】
製造物品
本発明の試料ハウジング及び/又は物品は、梱包材料と組み合わせて、表面上の微生物を試料採取及び検出するためのキットとして販売することができる。例えば、キットは、一緒に梱包された2つ以上の構成要素(例えば、底部材、スペーサ、バリア層、カバーシート及び/又は試薬ストリップ、上記のような構成要素)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の構成要素(例えば、底部材、バリア層及びカバーシート)は、例示された実施形態で示されるように、互いに取り付けられて、好ましくは蝶番領域を形成して、提供されてもよい。これらの実施形態では、特定の構成要素(例えば、試料回収具、試薬ストリップ及び/又はバリア層)は着脱可能であってもよい。他の実施形態では、構成要素は別々に提供されてもよく、使用時に組み立てることができる。キットは、試料懸濁培地、ピペット、標識、試料キャリア又は手袋などの、試料採取及び試験付属品を更に含んでもよい。
【0066】
環境試料採取及び検出方法
本開示は、環境表面上で微生物を検出するための方法を含む。この方法は、標的微生物の微生物的増殖の指示薬を観察することにより、標的微生物の存在又は不在を検出するために使用され得る。この方法は、更に、試料中の微生物を計数するために使用され得る。これらの方法に使用される要素(例えば、試料回収具、カバーシート、バリア層など)は、別々に提供されてもよく、又は上記試料ハウジングのように、組立体の部品であってもよい。更に、個々の要素及び/又は組立体は、上記のように、キットで提供されてもよい。実施形態は本明細書に記載される。
【0067】
1つの実施形態では、本方法は、液体試料懸濁培地、試料回収具210(図2B)などの試料回収具、底部材450とカバーシート430とを含む試料ハウジング460(図4)などの試料ハウジング、及び試薬ストリップ580(図5)などの試薬ストリップを提供する工程を含む。本方法は、試料回収具210の、接合された材料224などの、主表面の1つを、試験される表面又は物質と、接触させる工程を更に含む。典型的には、操作者は、無菌鉗子又はこれに類するものを使用してもよく、試料が回収される間、手袋をした手を使用して試料回収具を保持してもよい。試料回収具210は、既知の寸法の領域における生物の数を概算するために、5cm×5cm、10cm×10cm又は25cm×25cmなどの指定された表面領域と物理的に接触する(例えば、触れる、拭く又は擦る)ようにされる。この実施形態では、バリア層470は底部材450から持ち上げられ、試料回収具210は、試料がバリア層470に向けて、取り付け構造458に接触して配置される。本方法は、試料を含む試料回収具210の接合された材料に試料懸濁培地を適用する工程を更に含む。試料懸濁培地は、ピペットを使用して、又は他の好適な手段により、適用してもよい。試料懸濁培地を加えた後で、バリア層470を下げてもよい。所望により、試料は、損傷した微生物を回復させるために、標的微生物に依存して、少なくとも30分、少なくとも60分、又は少なくとも120分などのある期間にわたってインキュベートされ得る。インキュベーション温度は、標的微生物により選択され得る。所望によるインキュベーション期間の後、カバーシート430は持ち上げられ、バリア層470は、例えば、穿孔472においてバリア層470を分離することにより取り外される。本方法は、水和ゲルを形成するために、試料懸濁培地にカバーシート430の下方表面を接触させる工程を更に含む。これは、例えば、一方の手でカバーシート430を掴み、もう一方の手で底部材450を掴み、カバーシート430を持ち上げることにより、達成され得る。水和ゲルは数秒のうちに形成されるが、水和ゲルを露出する器具を開く前に、ゲルが少なくとも5〜10分にわたって形成されるようにすることが好ましく、より好ましくは少なくとも10〜30分にわたってである。ゲルは、カバーシート430に取り付けられたままであってもよく、ゲルは試料回収具210に取り付けられたままであってもよく、ゲルの別々の部分がカバーシート430に及び試料回収具210に取り付けられたままであってもよい。所望により、本方法は、試薬ストリップ580のコーティングされた表面を水和ゲルに接触させて配置する工程を更に含む。カバーシート430が持ち上げられている間、試薬ストリップ580は、試薬ストリップ580の親水性の作用剤586をゲルに向けて、試料ハウジング460の中に挿入されてもよい。試料ハウジング460は、試料中に存在する微生物の数を増加させるために、及び/又は、微生物の代謝活性に指示薬の検出可能な変化を生じさせるために、一定期間にわたってインキュベートされる。器具は、典型的には25〜45℃、好ましくは25〜37℃、の温度でインキュベートされる。ある実施形態では、微生物は、水和ゲル中に分離性コロニーを形成する。元々の試料中の微生物の数は、コロニーを数えることにより、計数することができる。
【0068】
別の実施形態では、本方法は、液体試料懸濁培地、任意の試料回収具(例えば、図1、図2A〜Bを参照されたい)、底部材350とバリア層370とカバーシート330とを含む試料ハウジング360(図3A)などの試料ハウジング、及び試薬ストリップ580(図5)などの試薬ストリップを含む。本方法は、試料回収具の基材又は接合された材料の主表面の1つを、上記のように試験される表面又は物質と、接触させる工程を更に含む。試料回収具は、試料をバリア層370に向けて、試料ハウジング360の中に配置することができる。この実施形態では、バリア層370は持ち上げることができ、試料回収具は、試料を上方に(バリア層370に向かって)向けて、穿孔357により形成された穴の中に配置することができる。いくつかの実施形態では、試料回収具は、穿孔357により形成された穴の内側に完全に嵌合するようなサイズ又は形状にされてもよい。本方法は、試料回収具を含有する穴の中に試料懸濁培地を分配する工程を更に含む。試料懸濁培地は、ピペットを使用して、又は他の好適な手段により、分配してもよい。試料懸濁培地を加えた後で、バリア層370を下げてもよい。所望により、試料は、損傷した微生物を回復させるために、標的微生物に依存して、少なくとも30分、少なくとも60分、又は少なくとも120分などのある期間にわたってインキュベートされ得る。所望によるインキュベーション期間の後、カバーシート330は持ち上げられ、バリア層370は、例えば、穿孔372においてバリア層370を分離することにより取り外される。本方法は、上記のように、水和ゲルを形成するために、試料懸濁培地にカバーシート330の下方表面を接触させることを更に含む。水和ゲルは数秒のうちに形成されるが、水和ゲルを露出する器具を開く前に、ゲルが、好ましくは少なくとも5〜10分にわたって、より好ましくは少なくとも10〜30分にわたって、形成されるようにすることが好ましい。所望により、本方法は、試薬ストリップ580のコーティングされた表面を水和ゲルに接触させて配置する工程を更に含む。このプロセスでは、カバーシート330は、水和ゲルを露出するために持ち上げられ、試薬ストリップ580は、試料ハウジング360内の開口357の中及び/又は近くに配置され、カバーシート330は、試薬ストリップを水和ゲルと接触させるようにするために下げられる。次に、試料ハウジング360は、一定期間にわたってインキュベートされ、その後、器具は微生物増殖の指示薬について観察される。器具は、典型的には20〜45℃、好ましくは25〜37℃、の温度でインキュベートされる。器具は、試料中に存在する微生物の数を増加させるために、及び/又は、微生物の代謝活性に指示薬の検出可能な変化を生じさせるために、一定期間(標的微生物の増殖率及び指示薬系に依存して、例えば、18〜48時間)にわたってインキュベートされる。ある実施形態では、微生物は、水和ゲル中に分離性コロニーを形成する。元々の試料中の微生物の数は、コロニーを数えることにより、計数することができる。
【実施例】
【0069】
(実施例1)
表面からのリステリア・イノキュアの検出及び計数
試薬ストリップの調製
表1に挙げた処方により、リステリア種の増殖及び検出のための液体増殖培地を作製した。酵素誘導剤(1−O−メチル−α−D−マンノピラノシド)及び発色酵素基質(6−クロロ−3−インドキシル−α−D−マンノピラノシド)をBiosynth International(Naperville,IL)から入手した。M150のエタノールで洗浄したグアーをDanisco(Kreutzlingen,Switzerland)から入手した。
【表1】
【0070】
試薬ストリップをコーティングするために使用された基材は、幅21.5cm(8.5”)、厚さ0.07mm(2.91mil)の透明なポリエステルフィルムであった。0.18mm(7mil)の間隙を有するナイフコーターを使用して、液体培地を基材の第1の側上にコーティングし、引き続いて、コーティングされた基材をおよそ110℃(230°F)に設定した乾燥炉に通した。炉での乾燥時間は、およそ2分半であった。コーティング及び乾燥手順を基材の反対側上でも繰り返し、同一の増殖培地で両側をコーティングされたプラスチックフィルムを得た。コーティングされたフィルムの各側のおおよそのコーティング重量は、0.230g/155cm2(0.230g/24インチ2)であった。二重コーティングされた基材を円形にダイカットし、各円は直径2.875インチ(7.30cm)を有した。
【0071】
試料ハウジング器具の調製
以下の構成要素を1つのユニットに組み立てることにより、試料ハウジング器具を作製した:底部材、発泡体スペーサ、バリア層及びカバーシート。下記のように底部材上にコーティングした接着剤により、発泡体スペーサを底部材に取り付けた。幅3/8インチ(9.5mm)の両面接着テープを使用して、バリア層を発泡体スペーサの1つの端部に沿って取り付けた。両面接着テープを使用して、カバーフィルムをバリア層に(同一の端部に沿って)取り付けた。この構成体の図は、図3A及び3Bに見ることができる。
【0072】
底部材は、厚さ0.16mm(6.3mil)のポリコーティングされた紙(Wausau−Moisinee Paper Corp.,Rhinelander,WIから入手される83 pound HD RHI−Lease FA 34 Yellow Grid,Grade 406−83010)から構成された。黄色格子(全領域にわたって1cm間隔で離れた垂直な直線)を紙の非シリコーン処理(「底」)側上に印刷した。イソオクチルアクリレート/アクリルアミドコポリマー接着剤(3M Company,St.Paul,MNから入手される96重量%のイソオクチルアクリレート及び4重量%のアクリルアミド、約145〜200mg/200cm2のコーティング重量)で紙のシリコーン処理(「上」)側をコーティングした。
【0073】
スペーサは、ポリスチレン発泡体材料(CL3V Capliner,White、幅21.6cm(8.5インチ)、厚さ0.51mm(20mil)、American Fuji Seal,Bardstown,KYから入手)から構成された。7.30cm(2.875インチ)の円をダイカットし、スペーサ材料から取り外した。次に、底部材とダイカットしたスペーサとをニップローラーを通して動かすことにより、底部材の接着コーティングされた側にスペーサ材料を積層した。図3Aに示すように、スペーサ材料から切り出された円は、円形の窪み又は「穴」を形成し、底部材は、積層体の穴の底表面を形成した。
【0074】
バリアフィルムは、ポリエステル(CPFilms Inc.,Martinsville,VAから入手される200ゲージのポリエステルフィルム、Color K399 Light Blue)から構成された。バリアフィルムの1つの側面上に剥離材をコーティングした。バリアフィルムの、剥離材がコーティングされた側が底部材に面するように、両面接着テープを使用して、バリアフィルムを発泡体スペーサの1つの端部に沿って取り付けた。
【0075】
イソオクチルアクリレート/アクリルアミドコポリマー接着剤(96重量%のイソオクチルアクリレート及び4重量%のアクリルアミド、165〜260mg/200cm2のコーティング重量)で予めコーティングされた厚さ0.04mm(1.6mil)の2軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムからカバーシートを作製した。BOPPフィルムの接着剤がコーティングされた側を、引き続いて、M150の非エタノールで洗浄されたグアーガム粉末(Daniscoから入手、約0.30〜0.60g/155cm2(0.30〜0.60g/24インチ2)の粉末コーティング重量))でコーティングした。上記のように、両面接着テープでカバーシートをバリア層に積層した。
【0076】
試料回収具の調製
2つのタイプの試料回収具を作製した。透明な76マイクロメートル(3mil)のポリエステルフィルムを使用して、タイプI試料回収具を作製した。このフィルムを直径7.3cm(2.875インチ)の円形にダイカットした。不織布材料をプラスチック基材に積層することにより、タイプII試料回収具を作製した。タイプII試料回収具のために、粘着付与高感圧性イソオクチルアクリレート/アクリル酸コポリマー接着剤(96重量%のイソオクチルアクリレート及び4重量%のアクリル酸、品番AZ−1229、3M Company,St.Paul,MN、コーティング厚さはおよそ0.05mm(2mil)であった)を厚さ0.13mm(5mil)の白色ポリエステルフィルム(226Melinex、DuPont Teijin Films,Hopewell,VAから入手)に積層し、引き続いて、吸収性材料(図2に示す)をこの接着剤上に積層した。積層体を作製した後に、タイプII試料回収具を直径7.24cm(2.875インチ)の円形にダイカットした。表2にこれらの実験で使用した試料回収具を挙げる。
【表2】
【0077】
接種表面の調製
0.6%の酵母抽出物を有するトリプティックソイブロス中で大豆リステリア・イノキュア(ATCC#33091)を35℃で一晩増殖した。75マイクロリットルの一晩培養物を0.6%の酵母抽出物を有する50mLのトリプティックソイブロスに希釈した。懸濁液を振盪し、無菌Dacronポリエステルチップを取り付けたアプリケータを使用して、2つの0.5mL試料を平らな無菌ステンレス鋼の10×10cm(4×4インチ)区域上に広げた。ステンレス鋼表面を室温で乾燥させた。鋼表面が乾燥した後で、上記器具を使用して、ステンレス鋼の表面上の微生物を回収及び定量した。
【0078】
表面試験手順
標準的な方法と比較して下記実験手順を評価した。標準的な方法は以下から構成された:i)中和バッファで予め湿らせたスポンジ(Nasco,18−oz.Whirl−Pak Hydrated Speci−Sponge Bag、製品ID−BO1422WA、Hardy Diagnostics,Santa Maria,CAから)を10cm(4インチ)×10cm(4インチ)(103cm2)の接種領域上に擦り付け、それを取り出した元の袋の中に配置した、ii)5ミリリットルの緩衝化ペプトン水をこのスポンジを含有する袋に加え、この袋をおよそ30秒にわたって手で揉んで、スポンジから細菌を放出させた、iii)このスポンジを含有する袋と緩衝化ペプトン水を1〜1.5時間にわたって室温で放置した、iv)ピペットを使用して、3ミリリットルの懸濁液をこの袋から取り出し、Petrifilm(商標)Environmental Listeria plate(3M Company,St.Paul,MN)に分配した、並びにv)このPetrifilmプレートをインキュベートし、任意の細菌コロニーの出現を製造者の取り扱い説明に従って解釈した。
【0079】
実験手順では、接種された、乾燥ステンレス鋼表面の10cm(4インチ)×10cm(4インチ)(103cm2)区域上に試料回収具を30〜60秒間にわたって擦り付けた。場合によっては、試料回収具を乾燥させた。他の場合には、スプレーボトルを使用して、試料回収具に軽エアゾール(およそ0.5〜1.0ミリリットルの緩衝化ペプトン水)を適用することにより、試料回収具を予め湿らせておいた。
【0080】
試料側を上方(ポリエステルバリア層方向)に向けながら、試料回収具を試料ハウジングの中、発泡体スペーサにより形成された「穴」の中、に配置した。引き続いて、試料ハウジングを約25分にわたって室温で保持した。カバーフィルム及びバリアフィルムを発泡体スペーサから持ち上げ、バリアフィルムを取り外し、3mLの緩衝化ペプトン水を試料回収具上に滴下した。両面接着テープでカバーフィルムを発泡体スペーサに再び取り付け、引き続いて、カバーフィルムを発泡体スペーサ上に下げ、粉末グアーガムを緩衝化ペプトン水と接触させて、ゲルを形成させた。試料ハウジングを約60分にわたって平らな表面上に置いておき、微生物をある程度増殖させた。その後、カバーフィルムを持ち上げ、試薬ストリップの一方の側が試料回収具に接触し、もう一方の側がカバーフィルムの水和部分に接触するように、二重コーティングされた試薬ストリップを試料ハウジングの中に挿入した。次に、試料ハウジングを26時間にわたって35℃においてインキュベータの中に配置した。細菌コロニー(典型的には様々なサイズの小さな点として出現し、赤みを帯びた異なる色調を有する)の存在について試薬ストリップを検査した。この試験の結果を表3及び表4に示す。
【表3】
【表4】
【0081】
(実施例2)
表面からの黄色ブドウ球菌の検出及び計数
試料ハウジング器具の調製
この実験で使用される試料ハウジング器具は、3M Company(St.Paul,MN)から入手される3M PETRIFILM Staph Express(STX)Count Systemプレートであった。各プレート内の乾燥している培地を1ミリリットルのButterfieldのリン酸塩希釈剤で水和し、この実験におけるプレートの使用に先立って、ゲル化させておいた。
【0082】
試料回収具の調製
実施例1に記載しているように、透明な76マイクロメートル(3mil)のポリエステルフィルムを使用することにより、タイプI試料回収具を作製した。感圧性アクリル系接着剤を使用して、指定の接合された材料(例えば、チーズクロス)を透明な76マイクロメートル(3mil)のポリエチレンフィルムに積層することにより、タイプII試料回収具を作製した。CEREX G192988不織布材料は、CEREX Advanced Fabrics(Cantonment,FL)から入手した。Hanes Wetlaid Hydroguard 150 HEM PET/セルロースは、Hanes Industries(Conover,NC)から入手した。Hanes材料をSPAN 20(Uniquema,Stanford,FLから入手)で前処理して、親水性にした。前処理は、SPAN−20の溶液(97.5%(重量/体積)のイソプロピルアルコール中、2.5%(重量/体積)のSPAN−20−ソルビタンモノラウレート)で布地材料を、布地が溶液で飽和するまで拭くことから構成された。この布地を室温で空気乾燥させた。数滴の水を布地の表面上に移して布地の中に水が吸収される(逃がれる)のを観察することにより、この処理された布地の一部を試験した。
【0083】
接種表面の調製
35℃において18時間にわたってトリプティックソイブロス中で黄色ブドウ球菌ATCC 25923を増殖させた。20マイクロリットルの一晩培養物を99mLのButterfieldのリン酸塩希釈剤に希釈し、得られた混合物を振盪して、懸濁液中で細菌を均一に分布させた。1ミリリットルの緩衝化細菌懸濁液をButterfieldのリン酸塩希釈剤の第2の瓶(99mL)に移した。希釈した懸濁液を振盪し、無菌ガラススプレッダーを使用して3つの0.5mL試料を別々の平たい無菌ステンレス鋼試片の10×10cm(4×4インチ)区域上に広げた。層流フードの中で30〜60分にわたって室温においてステンレス鋼表面を乾燥させた。この手順で各ステンレス鋼試片を黄色ブドウ球菌細胞の約60のコロニー形成単位(CFU)で接種したと推定した。鋼表面が乾燥した後で、上記試料回収具を使用して、ステンレス鋼の表面上の微生物を回収及び定量した。
【0084】
表面試験手順
スプレーボトルを使用して、試料回収具にButterfieldのリン酸塩希釈剤の軽エアゾール(約0.5〜1.0mL)を塗布することにより、試料回収具を湿らせた。接種し、乾燥させたステンレス鋼表面の10cm(4インチ)×10cm(4インチ)(103cm2)区域上に試料回収具の表面を激しく擦り付けることにより、試料を回収した。表面を1つの方向で側方に擦り付け、次に表面を最初に擦り付けた方向と垂直である方向で側方に擦り付けた。
【0085】
予め水和したPETRIFILM STXプレートのカバーシートを持ち上げ、発泡体スペーサの中央の穴を露出させた(すなわち、脱水された培地により形成されたゲルは、カバーシートに取り付けられたままであった)。試料側を上方(カバーシート方向)に向けて、試料回収具を試料ハウジングの中(発泡体スペーサ中の開口により形成された穴の中)に配置した。カバーシートを下げ、水和ゲルを試料回収具上の試料と接触させた。試料ハウジングを35℃で約18時間にわたってインキュベーターの中に配置し、小さな赤い点として出現したコロニーを数えた。各プレート内のコロニーの数を表5に示す。回収具としてのポリエチレンフィルム試料での実験におけるコロニー形成単位の不在は、実験の経過中に試験表面上に接種された細菌の生存能の欠失に起因し得る。
【表5】
【0086】
ここで、本発明は、可能な記述が実施可能な発明者によって予測される、いくつかの特定の実施形態を参照して記載されている。現在予測されていない修正を含む、本発明の実体の無い修正は、それでもなお、それらと同等であると定めることができる。したがって、本発明の範囲は、本明細書において説明した詳細及び構造に限定されるべきではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲、及びそれらと同等の物によって単に限定されるべきである。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願第60/989,356号(2007年11月20日出願)の利益を請求するものであり、この開示内容全体が本明細書に参照により組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
表面が、細菌、真菌、酵母、ウイルス又は他の微小な生物、すなわち、「微生物」、で汚染されてしまうと、病気(罹患)、時には死(死亡)に至ることがある。これは特に、食品加工工場及び保健医療施設(病院)における表面が微生物で汚染されてしまうときに当てはまる。
【0003】
食品加工工場では、表面(例えば、固体表面、装置表面、保護衣など)が汚染されることがある。このような汚染は、肉若しくは他の食品により生じることがあり、又はこれらに移されることがある。保健医療施設では、微生物は、感染した個人から、ないしは別の方法で、表面(例えば、固体表面、装置表面、衣類など)上に放出されることがある。いったん表面が微生物で汚染されるようになると、汚染された表面との接触により、微生物は、別の表面、個人、装置、食品又はこれらに類するものなどの他の場所に容易にかつ直ちに移動することがある。
【0004】
周知のように、特定の環境における微生物汚染及び微生物の移動は、有意な健康上の危険を呈することがある。例えば、汚染された食品加工工場から出た食品は、引き続いて食され、病気、及び場合によっては死亡を引き起こすことがある。リステリア・モノサイトゲネス、サルモネラ・エンテリディティス及び大腸菌O157:H7などの微生物には、特に関心が向けられている。
【0005】
微生物汚染は、保健医療施設において関心が向けられているが、それはこのような施設の一部の患者が、多くの場合、病原性微生物による感染症に苦しみ、それゆえに病原性微生物をこのような施設に持ち込むからである。更に、このような施設にいるもの(例えば、患者)の多くは病気であり、免疫学的に危険にさらされ得る。これらの個人は、それゆえに、汚染性微生物による感染から病気になる危険が高い。
【0006】
微生物汚染の潜在的危険、特に、微生物が特定の環境において移動させられ得る容易さ、及び特定の環境の汚染に伴う健康被害の点で、このような汚染を検出して即時に対処できるように、種々の技術が開発及び採用されてきている。
【0007】
従来、環境微生物試験は、表面から試料を獲得する工程を含む。これは、典型的には、スワブ又はスポンジなどの滅菌試料採取器具と表面を接触させる(例えば、拭く、拭い取るなど)ことにより行われる。この方法で試験される表面は、通常、きわめて清浄である。それゆえに、試料採取器具により捕捉される微生物の数は典型的には非常に少ない。微生物の数が少ないことにより、典型的には(例えば、試料採取器具に捕捉されて)試料採取器具上にいる任意の微生物が、更なる分析のための十分な数の生物を準備するために、再生産、すなわち、「増殖」又は「培養」され得る。したがって、試料の少なくとも一部は、次に、典型的には中和され、所望により、安定化され、修復され又は集積され、次に、対象の微生物が増殖するのを助ける栄養素を含む適切な増殖培地(例えば、寒天(ゼラチン又はゼラチン状物質)、ブロス(液体)など)に適用(例えば、移植、スワイプ、浸漬及び撹拌など)される。増殖培地は選択的であってもよく、すなわち、増殖培地は、一部の微生物が他の微生物よりも大きな速度で増殖するようにする成分を含むか、又は増殖培地は少なくとも一部の所望されない微生物の増殖を防止する成分を含み得る。増殖培地は、所定の期間、典型的には約24〜約48時間にわたって、若しくは微生物の増殖が視覚的に顕著になるまで、特定の温度で、インキュベート又は保持される。
【0008】
いったん試料が、増殖するために十分な機会を有したならば、次に、増殖した細菌の量(例えば、寒天プレート上のコロニーの数)を評価(例えば、個人により、又は自動化装置を用いて)して、試料を取る時点−通常は1日又は2日前−において表面の特定の面積上に存在した微生物の数及び種類に関する何らかの指標を提供することができる。免疫学的又は他の試験もまた、試料中に存在した任意の対象微生物が何であるかを判定又は確認するために実行され得る。
【0009】
例えば、細菌のうちサルモネラ種について試験するとき、サルモネラ種を潜在的に含む試料が、選択的増殖培地に適用され得る。次に、選択的増殖培地は、約24〜約48時間の期間にわたって、サルモネラ微生物の増殖が可視になるまで、インキュベートされ得る。いったんサルモネラコロニーが選択的増殖培地上に可視的に存在したならば、コロニーを評価して、これらが何であるか確認し、所望により、数えて、試験されている表面の特定の面積上に存在するサルモネラ微生物の数を概算することができる。代わりに又は追加的に、培養した微生物をイムノアッセイ又は核酸アッセイにかけて、これらが何であるかより直接的に確認してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
環境生物に対してより簡潔で迅速、正確な試験が必要とされている。本発明は、このような試験のための器具及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの態様では、本発明は、表面の微生物を試料採取及び検出するための物品を含む。この物品は、親水性の作用剤が実質的にない試料回収具と、それに取り付けられた試薬ストリップと、を含むことができる。この試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は水不透過性であり、少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含む。試薬ストリップは、上方及び下方主表面を有する自立型基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、バッファ、指示薬、及び上記の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている。所望により、この物品は、バリア層を更に含んでもよい。
【0012】
別の態様では、本発明は、微生物を検出又は計数するための物品を含む。この物品は、底部材と、それに取り付けられたカバーシートと、を含むことができる。底部材は、上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含むことができ、上方主表面は取り付け構造を含む。カバーシートは、上方及び下方主表面を含むことができ、カバーシートの下方主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む、冷水に可溶な粉末でコーティングされている。底部材の上方主表面は、カバーシートの下方主表面に面する。
【0013】
別の態様では、本発明は、環境表面試料を回収するための試料回収具を含む。試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は水不透過性であり、少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含み、試料回収具は、親水性の作用剤が実質的にない。
【0014】
別の態様では、本発明は、底部材、スペーサ、カバーシート及び耐水性バリア層を含む試料ハウジングを含む。底部材は、上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含むことができる。スペーサは、開口を含むことができ、底部材の上方表面に接着される。カバーシートは、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている。耐水性バリア層は、カバーシートとスペーサとの間に配置され、これにより、カバーシートのコーティングされた表面は、バリア層に面する。
【0015】
別の態様では、本発明は、微生物の検出のための試薬ストリップを含む。試薬ストリップは、上方及び下方主表面と、両方の主表面の少なくとも一部上の乾燥コーティングと、を有する自立型基材を含む。コーティングは、微生物を増殖させるための栄養素と指示薬とを含む親水性の作用剤、及び冷水に可溶なゲル化剤を含むことができる。
【0016】
別の態様では、本発明は、表面の微生物を試料採取及び検出するためのキットを含む。このキットは、試料回収具及び試薬ストリップを含むことができる。試料回収具は、親水性の作用剤が実質的になく、上方及び下方主表面を有する水不透過性基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含む。試薬ストリップは、上方及び下方主表面を有する自立型基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、バッファ、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている。
【0017】
別の態様では、本発明は、微生物を試料採取及び計数するためのキットを含む。このキットは、試料回収具、試料ハウジング、及び所望により試薬ストリップを含むことができる。この試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は水不透過性である。試料ハウジングは、底部材及びカバーシートを含むことができる。底部材は、上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含むことができる。カバーシートは、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている。
【0018】
別の態様では、本発明は、微生物を試料採取及び計数するためのキットを含む。このキットは、試料回収具、カバーシート及び底部材を含むことができる。この試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材から本質的になり、少なくとも1つの主表面は水不透過性である。カバーシートは、上方表面及び下方主表面を有する基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている。底部材は、上方及び下方表面を有する自立型水不透過性基材、並びに取り付け構造を含むことができる。
【0019】
別の態様では、本発明は、環境表面上の微生物を検出するための方法を含む。この方法は、液体試料懸濁培地、試料回収具、試料ハウジング及び試薬ストリップを提供する工程を含むことができる。この試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は水不透過性である。試料ハウジングは、底部材と、上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートと、を含むことができ、カバーシートの1つの主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている。試薬ストリップは、上方及び下方主表面を有する自立型基材を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、バッファ、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている。この方法は、試料回収具の少なくとも1つの主表面上に試料を獲得する工程、試料を含む少なくとも1つの主表面をカバーシートに向けて試料ハウジングの中に試料回収具を配置することにより組立体を形成する工程、試料を含む試料回収具主表面に試料懸濁培地を適用する工程、水和ゲルを形成するために試料懸濁培地にカバーシートの下方表面を接触させる工程、試薬ストリップのコーティングされた表面を水和ゲルに接触させて配置する工程、ある期間にわたって組立体をインキュベートする工程、及び微生物増殖の指示薬を観察する工程を更に含むことができる。
【0020】
別の態様では、本発明は、環境表面上の微生物を検出するための方法を含む。この方法は、バリア層、試料懸濁培地、試料回収具、試料ハウジング及び試薬ストリップを提供する工程を含むことができる。この試料回収具は、上方及び下方主表面を有する基材を含むことができ、少なくとも1つの主表面は水不透過性である。試料ハウジングは、上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含む底部材と、上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートと、を含むことができ、1つの主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている。この方法は、試料回収具の少なくとも1つの主表面上に試料を獲得する工程、試料を含む少なくとも1つの主表面をカバーシートに向けて、試料ハウジングの中に試料回収具を配置することにより組立体を形成する工程、試料を含む試料回収具主表面に試料懸濁培地を適用する工程、ある期間にわたって試料ハウジングをインキュベートする工程、試料ハウジングから少なくとも一部のバリア層を取り外す工程、水和ゲルを形成するために試料懸濁培地にカバーシートの下方表面を接触させる工程、試薬ストリップのコーティングされた表面を水和ゲルに接触させて配置する工程、ある期間にわたって組立体をインキュベートする工程、及び微生物増殖の指示薬を観察する工程を更に含むことができる。
【0021】
別の態様では、本発明は、環境試料中のリステリア種を検出する方法を提供する。この方法は、表面を有する試料回収具、試料懸濁培地及び試薬ストリップを提供する工程、試料回収具の表面上に試料を獲得する工程、試料又は試薬ストリップを水和する工程、並びに試薬ストリップと試料とを接触させる工程を含むことができる。試薬ストリップは、微生物を増殖させるための栄養素及び指示薬を含む親水性の作用剤と、冷水に可溶なゲル化剤と、を含むことができる乾燥コーティングを含む。
【0022】
別の態様では、本発明は、環境試料中のリステリア種を検出する方法を提供する。この方法は、表面を有する試料回収具、試料懸濁培地、試料ハウジング及び試薬ストリップを提供する工程、試料回収具の表面上に試料を獲得する工程、試料ハウジングの中に試料回収具を配置する工程、試料又は試薬ストリップを水和する工程、並びに試薬ストリップと試料とを接触させる工程を含むことができる。試薬ストリップは、微生物を増殖させるための栄養素及び指示薬を含む親水性の作用剤と、冷水に可溶なゲル化剤と、を含むことができる乾燥コーティングを含む。
【0023】
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下において、他の実施形態もまた好ましい可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0024】
用語「含む」及びこの変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲中に現れる場合、制限する意味を有しない。
【0025】
本明細書で使用するとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。それゆえに、例えば、「1つの(a)」バリア層を含む試料ハウジングは、試料ハウジングが「1つ以上の」バリア層を含むことができることを意味すると解釈することができる。
【0026】
用語「及び/又は」は、列記されている要素の1つ若しくは全て、又は列記されている要素の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0027】
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等)が包含される。
【0028】
本発明の上記の「課題を解決するための手段」は、本発明が開示する各実施形態又は全ての実施例を説明することを意図したものではない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本明細書にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例は様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの事例において、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ役目を果たすのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明は、以下に列挙される図面を参照して更に説明され、類似構造は、いくつかの図にわたって、類似番号によって参照される。
【図1】本発明による試料回収具の例示的な実施形態の斜視図。
【図2A】本発明による非平滑な試料回収具の例示的な実施形態の上面斜視図。
【図2B】本発明による多孔質材料を含む試料回収具の例示的な実施形態の斜視図。
【図3A】本発明によるスペーサを含む試料ハウジングの例示的な実施形態の断面概略図。
【図3B】図3Aの試料ハウジングの平面図。
【図4】微生物の試料回収及び計数のための物品の1つの実施形態の断面概略図。
【図5】本発明による試薬ストリップの1つの実施形態の斜視概略図。
【図6】微生物の試料回収及び計数のための物品の代替的な実施形態の断面概略図。
【図7】微生物の試料回収及び計数のための物品の代替的な実施形態の断面概略図。
【図8】微生物の試料回収及び計数のための物品の代替的な実施形態の断面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、表面を試料採取する、試料を一時的に保存する、並びに試料中に存在する微生物を増殖させ、検出するための物品及び方法を提供する。下記に詳細に説明するように、本発明の器具は、試料回収具、試料ハウジング、試薬ストリップ、バリア層の個々の要素、上記要素の2つ以上の組み合わせ、及びこのような器具の使用方法を包含する。本開示はまた、表面を表面採取する、及び微生物を検出するためのキット、並びにこのようなキットの使用方法を包含する。いくつかの従来の表面微生物試料採取手順は、集積培養手順を伴い、その後、集積培養物の一部は、生化学的、免疫学的又は遺伝学的試験手順を使用して標的微生物について試験される。他の従来の表面微生物試料採取手順は、湿らせたスポンジ又はスワブを使用して、表面を拭く。スポンジは、引き続いて、中和バッファで抽出され、スポンジ又はスワブから抽出できる標的微生物の部分は、標的微生物の存在について試験される。対照的に、本開示の器具及び方法は、元々の試料回収具全体を試験するための手段を提供し、これにより、表面上の非常に少数の微生物の存在を検出するより強い傾向を有する。更に、本開示の器具及び方法は、表面試料中の生物を検出するための従来の方法よりも簡便である。
【0031】
本開示の器具は、標準的な寒天プレート法及び他の微生物試験に基づく先行技術の器具及び手法に比べ、著しい向上を提供する。本発明の器具上でコーティングされた培地は、細菌コロニーを可視化及び単離できるその能力に逆効果をもたらすマトリックスを含有しない。この方法及び器具により提供される培地が、器具中で増殖する細菌コロニーの計数を可能にするだけではなく、このコロニーは、ペトリ皿内における従来の寒天培地上で増殖する細菌コロニーと同様に更なる試験のために容易に単離することができる。この器具は、ペトリ皿よりもはるかにコンパクトで軽量であるという更なる特徴を有し、実験室内のスペースをあまり取らない。更に、この器具は、完全に使い捨てであり、使用後のより安全かつより迅速な清浄化を可能にする。
【0032】
試料回収具
図1は、環境表面又は患者表面を試料採取するための比較的平滑な基材112を有する試料回収具110の1つの実施形態を示す。基材112は、上方主表面114及び下方主表面116を有する。基材112の主表面の少なくとも1つは、水不透過性であり、並びに/又は、水不透過性コーティングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、試料回収具110は、比較的可撓性であり、不均一表面にぴったり一致し、そのまま接触を維持することができる。試料回収具110の主表面の少なくとも1つは、試料領域と接触させられると、試料領域から試料回収具110への、液体、固体、準固体、又はこれらの組み合わせなどの物質の移動をもたらす。試料回収具110は、分析されるべき食品接触表面又は表在性創傷などの試料領域から物質を回収するために、使用されてもよい。
【0033】
試料回収具110の基材112は、様々な材料から作製され得る。好適な材料の非限定的な例には、ポリエチレン、ポリプロピレン若しくはポリエステルなどのプラスチックフィルム、少なくとも1つの主表面を水不透過性にするコーティング若しくは組成物を含む、紙若しくは厚紙などのセルロース系材料、ポリエチレン若しくはポリスチレン発泡体などの発泡体、又は、水不透過性である少なくとも1つの主表面を有する布地が挙げられる。
【0034】
いくつかの実施形態では、試料回収具110の少なくとも1つの主表面は、非平滑化されている。本明細書で使用するとき、用語「非平滑化」は、試料物質を回収するために使用される表面の特性を指す。例えば、試料回収具110の主表面の質感は、図1に示されるように、比較的平滑であってもよい。あるいは、試料回収具110の主表面の質感は、比較的粗くてもよい。図2Aは、比較的粗い質感を有する主表面214を含む試料回収具210の1つの実施形態を示す。この実施形態では、基材212は、凸構造218及び凹構造220の組み合わせを含み得る。あるいは、基材212は、凸構造218又は凹構造220を含み得る。凸構造218は、様々なサイズで存在してもよく、瘤、釘、隆起線及びこれらに類するもの、又はこれらの組み合わせなどの様々な形状で存在してもよい。凸構造218は、基材212の表面にわたってランダムに配分されてもよく、又は別の方法として、均一に間隔をあけてもよい。凹構造220は、様々な寸法で存在してもよく、穴、窩、谷、トラフ、溝及びこれらに類するもの、又はこれらの組み合わせなどの様々な形状で存在してもよい。凸構造218又は凹構造220は、試料回収具210を作る基材212の材料の一体部分であってもよい。あるいは、これらの構造は、基材212に接合されてもよい。理論に束縛されるものではないが、凸構造218又は凹構造220のいずれかを含む試料回収具210は、試料物質を捕捉すること並びに/又は試料採取される表面から物質を擦過及び回収することができる構造を提供することにより、環境表面又は患者表面から試料物質を回収することにおいて利点を提供できると考えられている。試料を回収している間に試料回収具210を保持するために便利な領域を提供する所望によるタブ228もまた図2Aに示されている。
【0035】
図2Bは、代替的な非平滑化構造を有する試料回収具210を示す。試料回収具210は、接着層222により基材212の主表面に接着された、不織布などの接合された材料224を含むことができる。接着層222は、非水溶性であってもよく、微生物の増殖に対して非阻害性であるべきであり、無菌化プロセスに耐えることができるべきである。好ましくは、接着層222及び接合された材料224は、接着層222でコーティングされた基材212を通して細菌コロニーを見ることができるように、濡れたときに十分に透明である。いくつかの実施形態では、接着層222は感圧性接着剤を含む。基材212に接着された、接合された材料224の代表的な実施形態には、粘着付与高感圧性イソオクチルアクリレート/アクリル酸コポリマー接着剤(96重量%のイソオクチルアクリレート及び4重量%のアクリル酸)などの感圧性接着層222により、白色ポリエステル(厚さ0.13mm(5mil))などのプラスチック基材212に接着された、Gehring Textiles,Inc.(Garden City,NY)から入手される編目(knitted loop)不織布などの不織布材料又はガラス繊維フィルターが挙げられる。あるいは、接合された材料224は、発泡体(例えば、ポリウレタン発泡体)、布地又はセルロース系材料(例えば、濾紙)などの他の非平滑化材料を含んでもよい。穿孔226により試料回収具210から便利に着脱可能であるタブ228は、図1Cにも示される。
【0036】
試料ハウジング
試料ハウジングを、その中に試料回収具を試料回収具上に位置する試料物質と共に配置することができ、所望によりある期間にわたって保存することができる物品である。試料ハウジングは更に、中に溶液及び/又は試薬を加えて微生物の増殖、検出又は計数を促進し得る物品として使用してもよい。ある実施形態では、試料ハウジングは、中で試料が試薬ストリップ及び/又は試薬と共にインキュベートされて微生物の増殖、検出又は計数を促進する物品として使用されてもよい。
【0037】
図3Aは、例示的な試料ハウジング360を示す。試料ハウジング360は、底部材350、バリア層370及びカバーシート330を含む。
【0038】
底部材350は、上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材352を含む。底部材350は、好ましくは、水を吸収しない、ないしは別の方法で水により影響されない、ポリエステル、ポリプロピレン又はポリスチレンフィルムなどの比較的硬い材料である。例えば、厚さ約0.1〜0.2mm(0.004〜0.007インチ)のポリエステルフィルム、厚さ約0.1〜0.2mm(0.004〜0.008インチ)のポリプロピレンフィルム及び厚さ約0.38mm(0.015インチ)のポリスチレンフィルムは、良好に機能する。他の好適な基材には、ポリエチレン又は他の耐水性コーティングを有する紙が挙げられる。底部材350は、底部材350を通して細菌コロニーを見たいかどうかに依存して透明又は不透明のいずれかであり得る。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,565,783号に記載されるように、細菌コロニーの数え上げを促進するために、底部材350は、その上に正方形の格子パターンが印刷されてもよい。底部材350を作製するために使用される材料は、微生物に対して比較的不活性であるべきであり、無菌化プロセスと適合性を有するべきである。
【0039】
この実施形態では、底部材350は、基材352の上方表面上に位置する接着層354及びスペーサ356を更に含む。接着層354は、スペーサ356と基材352との間の取り付けを形成する。接着層354は、上記の試料回収具210の接着層222についてのガイドラインに従って選択されるべきである。開口357を含むスペーサ356は、非水溶性材料から作製されるべきである。開口357の壁は、所定のサイズ及び形状の穴を提供して、試料ハウジング360に加えられる液体媒体の容量を制限する。所望の容量、例えば、1ミリリットル、2ミリリットル、3ミリリットル又は5ミリリットル、の穴を形成するために、スペーサ356は十分に厚く、開口357は十分に大きくあるべきである。独立気泡ポリエチレン発泡体又はポリスチレン発泡体は、スペーサ356に好適な材料であるが、疎水性(非濡れ性)であり、微生物に対して不活性であり、好ましくは無菌化プロセスに耐えることができる任意の材料が使用され得る。図3Aに示されるように、開口357により形成される穴の底は、接着層354を含み得、これは試料回収具(図3Aに示されず)を固定するために使用することができる。あるいは、開口357により形成される穴の底は、取り付け構造(下記に記載)を含んでもよく、又は非接着層354若しくは取り付け構造を含まなくてもよい。
【0040】
バリア層370は、スペーサ356の上方表面に取り付けられる。この実施形態では、スペーサ356及びバリア層370は、両面接着テープ340により一緒に接合される。バリア層370は、耐水性であるべきである。バリア層370は、好ましくは、バリア層370の下に位置する物体の観察を可能にするために透明であり、細菌、水及び水蒸気に対して実質的に不透過性である。概して、バリア層370は、底部材350と同一の特性を有することができるが、同様に硬い必要はない。バリア層370について代表的な材料には、例えば、ポリプロピレンフィルム(例えば、0.6マイクロメートル(1.6mil)の二軸延伸ポリプロピレン(BOPP))又はポリエチレンフィルムが挙げられる。図3Aを再び参照すると、バリア層370が所望による穿孔372と共に示されており、これは、試料ハウジング360からバリア層の少なくとも一部を取り外し可能にするために容易に裂くことができる。バリア層370はまた、所望による伸長又はタブ374と共に示されており、これは、穿孔372を裂くためにバリア層370を容易に掴むのを可能にする。
【0041】
カバーシート330は、バリア層370の上方表面に取り付けられる。バリア層370及びカバーシート330は、両面接着テープ340により一緒に接合される。試料ハウジング360の端部の近くで試料ハウジングスペーサ356をバリア層370及びカバーシート330に取り付けることは、便宜的に蝶番領域345を形成し、バリア層370及び/又はカバーシート330が持ち上げられるようにし、それゆえに構成要素部分の位置合わせを維持したまま、試料ハウジング360の内側部分を露出する。米国特許第5,118,750号に記載されているものなどの特定の低粘着性接着剤混合物を両面接着テープ340の少なくとも1つの側に使用して、要素(例えば、カバーシート、バリア層及び底部材)間に着脱可能な取り付けを形成してもよい。あるいは、カバーシート330及びバリア層370は、例えば、超音波溶接、クランプ又はかすがいといった他の手段により、底部材350に接合されてもよい。
【0042】
カバーシート330は、上方及び下方主表面を有する基材332を含む。接着層334は、下方主表面(バリア層370に面している)の少なくとも一部分上にコーティングされる。少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末336は、接着層334に接着される。あるいは、カバーシート330の少なくとも一部、例えば、蝶番領域345は、接着剤のみでコーティングされてもよく、又はどの種類のコーティングも実質的になくてもよい。
【0043】
接着層334は、好ましくは粉末状ゲル化剤及び/又は栄養素の粒子の直径よりも小さい厚さで、カバーシート330上にコーティングされるべきである。この目的は、基材に粒子を接着するために、接着層334の中に十分な、しかしながら粒子が接着剤の中に完全に埋没してしまわない程度の、接着剤を適用することである。粉末336の均一な単層は、水和のために露出される十分な表面積を有することが所望される。概して、0.005〜0.012mm(0.0002〜0.0005インチ)の範囲の厚さの接着層334が好適である。接着層334で使用される代表的な粘着剤は、イソオクチルアクリレート/アクリルアミド(94/6のモル比で)のコポリマーである。使用されてもよい他の感圧性接着剤には、イソオクチルアクリレート/アクリル酸(95/5又は94/6のモル比で)及びシリコ−ンゴムが挙げられる。水への露出時に乳化する接着剤は、あまり好ましくないが、不透明な基材と共に、又はコロニー可視化が必要とされない場合に、使用されてもよい。
【0044】
冷水に可溶な粉末336の単層は、接着層334に均一に接着される。粉末336は、ゲル化剤又はゲル化剤の混合物を含んでもよい。本明細書及び特許請求の範囲で使用するとき、用語「粉末」は、400マイクロメートル未満の平均直径を有する超微粒子状物質を指す。本明細書及び特許請求の範囲で使用するとき、用語「冷水に可溶」は、室温において水中で溶液を形成する物質を指す。粉末336中に含むのに好適なゲル化剤には、室温において水中で溶液を形成する天然及び合成の両方のゲル化剤が挙げられる。ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ローカストビーンガム及びアルギンなどのゲル化剤は、室温において水中で溶液を形成し、「冷水に可溶」である粉末を準備するために好適なゲル化剤である。粉末336について好ましいゲル化剤は、グアーガム及びキサンタンガムであり、これらのゲル化剤は個別でも又はお互いに組み合わせても有用である。
【0045】
ゲル化剤は、好ましくは、少なくとも1500cpsのBrookfield粘度を有する実質的に透明なゲルを形成するのに十分な量で存在する。十分な量のゲル化剤は、試料ハウジング360内に配置された所定の量、例えば、1〜3ミリリットル、の水又は水性試料が、25℃においてBrookfield Model LVF粘度計を用いて60rpmで測定されるときに約1500cps以上の粘度を有するゲルを形成するように、カバーシート330に接着されるべきである。この粘度のゲルは、便利な操作及び積層を可能にし、明確なコロニー同定を提供する。ほとんどの場合、5.07cm2(3.14インチ2)の表面領域上に0.025〜0.050グラムのグアーガムが、1〜3ミリリットルの水性試料で水和されるときに、十分な粘性ゲルを提供する。単位面積当たりのコーティング重量を制御するために、粉末336の粒子のサイズを使用してもよい。例えば、約100メッシュのグアーガムは、重量約0.05グラム/直径5.1cm(2インチ)のディスクに対してコーティングし、400メッシュのグアーガムは、重量0.025グラム/直径5.1cm(2インチ)のディスクに対してコーティングする。
【0046】
カバーシート330は、試料の保存及び/又はインキュベーション時における汚染を防止すべく、試料ハウジング360を覆うための手段を提供する。カバーシート330は、底部材350の1つの端部に蝶番領域状方式で直接又は間接的に取り付けられた耐水性シートであることができる。カバーシート330は、好ましくは、細菌コロニーの数え上げを促進するために透明であり、細菌及び水蒸気に対して実質的に不透過性である。本明細書で使用するとき、「細菌及び水蒸気に対して実質的に不透過性」は、器具の運送、保管及び使用時に試料ハウジング360の所望されない汚染を防止する、並びにインキュベーション期間の間に微生物の増殖を助ける環境を提供する、カバーシート330を指す。概して、カバーシート330は、底部材350と同一の特性を有することができるが、同様に硬い必要はない。カバーシート330は、増殖することが所望される微生物の種類に必要な酸素透過量を提供するように、選択することができる。例えば、ポリエステルフィルムは、低い酸素透過性(厚さ0.025mm(0.001インチ)当たり5g/645cm2(100インチ2)/24時間未満)を有し、嫌気性細菌を増殖させるのに好適である。一方で、ポリエチレンは、非常に高い酸素透過性(厚さ0.025mm(0.001インチ)当たり約500g/645cm2(100インチ2)/24時間)を有し、好気性細菌を増殖させるのに好適である。カバーシート330に好ましい材料は、40.6マイクロメートル(1.6mil)の二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。
【0047】
カバーシート330は簡単に持ち上げることができ、液体試料懸濁培地は基材上に配置することができ、次いで、カバーシート330はその元の位置に戻し、それによりゲル化培地の中に固着することができる。カバーシート330は、好ましくは、細菌コロニーを見るのを可能にするように、透明である。カバーシート330を形成するために使用される材料は、酸素などの気体について所望の透過性を得るように便宜的に選択され得る。
【0048】
図3Bは、図3Aの試料ハウジング360の平面図を示す。蝶番領域345は、試料ハウジング360の上端に沿って位置する。所望による穿孔372は、蝶番領域345に近接する。スペーサ356内の円形開口357は、試料ハウジング360の中央領域内に位置する。蝶番領域345と反対側の試料ハウジング360の端部に、カバーシート330の端部を越えて広がるバリア層370のタブ374を見ることができる。
【0049】
図4は、試料ハウジング460の代替的な実施形態を示す。試料ハウジング460は、カバーシート430、バリア層170及び底部材450の要素を含み、例えば、両面接着テープ440により蝶番領域445において固定されている。この実施形態では、底部材450は、基材452及び所望による取り付け構造458を含む。取り付け構造458は、適所に試料回収具を保持するために使用できる、接着剤、フック・アンド・ループ取り付け手段の構成要素、米国特許出願公開第2003/0088946A号に記載のものなどのステムウェブ構造、又はこれらに類するものを含んでもよい。バリア層470は、穿孔472及び/又はタブ474を含んでもよく、上記のように作製することができる。ある実施形態では、バリア層470の下方主表面は、取り付け構造458に接着するのを防止するために、剥離材を含んでもよい。剥離コーティングは当該技術分野において既知であり、接着剤とプラスチックフィルムとの間の接着を低減するために、日常的に使用される。カバーシート430は、基材432、接着層434及び粉末436を含み、上記のように作製することができる。
【0050】
試薬ストリップ
図5は、本発明による試薬ストリップ580の1つの実施形態を示す。試薬ストリップ580は、上方及び下方主表面を有する基材582を含む。この実施形態では、基材582の両方の主表面の少なくとも一部は、所望による接着剤584及び親水性作用剤586でコーティングされる。いくつかの実施形態では、表面582の1つの主表面の少なくとも一部は、所望による接着剤584及び/又は親水性の作用剤586でコーティングされる。いくつかの実施形態では、試薬ストリップ580は、所望によるタブ588を含む。タブは、所望による穿孔589を含んでもよく、これはタブ588が試薬ストリップ580から分離されるようにする。
【0051】
試料中の微生物の検出は、多くの場合、親水性作用剤などの試薬の使用を伴って、特定の微生物の、増殖の促進、増殖の抑制、及び/又は、代謝活性の検出を行う。本明細書で使用するとき、「親水性の作用剤」には、特定の微生物の増殖を促進するために使用され得る濃度での栄養素(例えば、タンパク質、ペプチド、炭水化物、ビタミン)、特定の微生物の増殖を選択的に抑制するために使用され得る濃度での塩(例えば、NaCl、LiCl、亜テルル酸カリウム)又は阻害剤(例えば、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アズトレオナム、他の抗生物質、染料)、酵素活性又は発酵プロセスなどの代謝活性を検出するために使用され得る非抑制濃度での染料又は指示薬(例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロリド、クロロフェノールレッド、ブロモチモールブルー(bromthymol blue)、o−ニトロフェニルホスフェート、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−グルコピラノシド)、及びゲル化剤(例えば、寒天、キサンタンガム、グアーガム)が挙げられる。
【0052】
接着剤584は、粉末などの特定の親水性の作用剤586を上記のように基材582上にコーティングするときに必要とされ得る。いくつかの実施形態では、親水性の作用剤586は、ゲルを形成するために水和されるときに基材582上に直接コーティングされ得るゲル化剤を含む。基材582は、底部材、バリア層及びカバーシートの作製のための上記材料などの多数の材料から選択され得る。ある実施形態では、試薬ストリップ580の基材582は自立している。ある実施形態では、試薬ストリップ580の基材582は、水に対して実質的に不透過性である。代替的な実施形態では、試薬ストリップ580の基材582は、濾紙又は親水性発泡体のように、吸水性であってもよい。ある実施形態では、試薬ストリップ580は、ポリエチレンでコーティングされた紙から作製されてもよく、微生物のコロニーの数え上げを促進するために、所望による印刷された格子(図示されず)を含んでもよい。
【0053】
試薬ストリップ580上に含まれる親水性の作用剤586の中に染料を組み込むことが望ましくあり得る。染料は、基材582上にコーティングされたゲル又は粉末混合物の中に組み込まれてもよい。あるいは、染料は、接着剤584の中に組み込まれてもよい。好適な染料は、微生物を増殖させることにより代謝され、より容易な可視化のために着色されるコロニーを生じるものである。このような染料の例には、トリフェニルテトラゾリウムクロリド、p−トリルテトラゾリウムレッド、テトラゾリウムバイオレット、ベラトリルテトラゾリウムブルー及び関連する染料が挙げられる。他の好適な染料は、ニュートラルレッド又はクロロフェノールレッドなどの、pH変化に対して感応性のものである。
【0054】
試薬ストリップ580上の親水性の作用剤586に採用される材料は、冷水で戻すことができる。本明細書で使用するとき、「冷水で戻すことができる」は、室温において水中で溶液、ゾル又はゲルを形成する物質を指す。この実施形態のコーティングの中に含むのに好適なゲル化剤(これらがコーティング中に含有されるならば)には、室温において水中で溶液を形成する、グアーガム及びローカストビーンガムなどの上記ゲル化剤が挙げられる。
【0055】
試薬ストリップは、リステリア属のメンバーなどの特定の生物の増殖について選択するために使用され得る。これらの実施形態では、親水性の作用剤は、栄養素と、表面試料中に存在し得る他の微生物よりもリステリア種の増殖を好む選択的阻害剤を含んでもよい。例えば、試薬ストリップには、リステリア種の増殖の補助及び/又は非リステリア種の増殖の抑制を行うのに有効である濃度での、カゼインの膵臓消化物、プロテオースペプトン#3などのプロテオースペプトン、酵母抽出物、リン酸二ナトリウム及びリン酸一カリウムなどの緩衝系、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム並びにポリミキシンB硫酸塩を挙げてもよい。試薬ストリップは、試料中のリステリア種の存在を検出するのに有効である濃度で、発色酵素基質(例えば、6−クロロ−3−インドキシル−α−D−マンノピラノシド)などの指示薬系、及び所望により、対応する酵素誘導剤(例えば、1−O−メチル−α−D−マンノピラノシド)を更に含んでもよい。
【0056】
微生物検出又は計数物品
本発明は、表面試料中の微生物を検出及び/又は計数するために使用される物品を含む。上記試料ハウジングを含むこのような物品は、上記要素(例えば、カバーシート、試料回収具、バリア層、底部材)の様々な組み合わせを含む。
【0057】
図6は、試料回収及び微生物計数のための物品600の1つの実施形態を示す。物品600は、上記のように作製された、試料回収具610及び試薬ストリップ680を含む。試料回収具610は、水不透過性基材612及び接合された基材624を含む。接合された基材624は、接着剤622により基材612の下方主表面に取り付けられる。この実施形態では、試薬ストリップ680は、上方及び下方表面を有する自立型基材682を含み、1つの主表面の少なくとも一部は親水性の作用剤686でコーティングされている。所望による接着剤684は、図6にも示される。試料回収具610及び試薬ストリップ680は、この実施形態では、蝶番領域645において両面接着テープ640により取り付けられる。米国特許第5,118,750号に記載されているものなどの特定の低粘着性接着剤混合物を両面接着テープ640の少なくとも1つの側に使用して、試料回収具610と試薬ストリップ680との間に着脱可能(及び再取り付け可能)な取り付けを形成してもよい。
【0058】
好ましくは、試料回収具610及び試薬ストリップ680は、物品600の1つの端部の近くに取り付けられ、蝶番領域645を形成する。当業者であれば、接着剤、熱接合、超音波溶接、及びこれらに類するものなどの、蝶番領域645を形成するための他の好適な方法も認識するであろう。試料回収具610及び試薬ストリップ680が水不透過性材料の一体成形物から形成され得、蝶番領域645が材料をそれ自体の裏に折り畳むことにより形成される(図示されず)こともまた想到される。
【0059】
図7は、試料回収及び微生物計数のための物品700の代替的な実施形態を示す。物品700は、試料回収具710、カバーシート730及び底部材750の要素を含み、この要素は上記のように作製される。カバーシート730は、基材732、接着層734及び粉末736を含む。試料回収具710は、両面接着テープ740を介してカバーシート730に取り付けられることができる。試料回収具710は、例えば、試料回収のために、接着層722により基材712に取り付けられ接合された材料724を含む。この実施形態では、試料回収具710は、物品700から試料回収具710を取り外しやすくするために、蝶番領域745の近くに穿孔726を含む。試料回収具はまた、操作時に試料回収具710を掴むためにタブ728を含む。底部材750は、両面接着テープ740を介して試料回収具710に取り付けられる。底部材750は、基材752と、試料回収具710を固定できる所望による取り付け構造758を含む。取り付け構造758は、適所に試料回収具710を保持するために使用できる、接着剤、フック・アンド・ループ取り付け手段の構成要素又はこれらに類するものを含んでもよい。ある実施形態では、取り付け構造758に面する試料回収具710主表面は、この取り付け構造758が接着剤を含むとき、試料回収具710の、取り付け構造758への接着を制御するために、剥離材を含んでもよい。剥離コーティングは当該技術分野において既知であり、接着剤とプラスチックフィルムとの間の接着を低減するために、日常的に使用される。
【0060】
図8は、試料回収及び微生物計数のための物品800の代替的な実施形態を示す。物品800は、カバーシート830、バリア層870、試料回収具810及び底部材850の要素を含み、これらの要素は上記のように作製される。カバーシート830は、基材832、接着層834及び粉末836を含む。試料回収具810は、両面接着テープ840を介してカバーシート830に取り付けることができる。試料回収具810は、試料回収のために、接着層822により基材812に取り付けられた接合された材料824を含む。この実施形態では、試料回収具810は、物品800から試料回収具810を取り外しやすくするために、蝶番領域845の近くに穿孔826を含む。試料回収具はまた、操作時に試料回収具810を掴むためにタブ828を含む。バリア層870は、両面接着テープ840を介して試料回収具810に取り付けられる。バリア層870はまた、蝶番領域845の近くの穿孔872と、操作時にバリア層870を掴むためのタブ874と、を含む。底部材850は、両面接着テープ840を介してバリア層870に取り付けられる。底部材850は、基材852と、試料回収具810が固定できる試料による取り付け構造858と、を含む。取り付け構造858は、適所に試料回収具810を保持するために使用できる、接着剤、フック・アンド・ループ取り付け手段の構成要素又はこれらに類するものを含んでもよい。ある実施形態では、取り付け構造858に面するバリア層870主表面は、この取り付け構造858が接着剤を含むとき、試料回収具810の、取り付け構造858への接着を制御するために、剥離材を含んでもよい。剥離コーティングは当該技術分野において既知であり、接着剤とプラスチックフィルムとの間の接着を低減するために、日常的に使用される。
【0061】
試料及び微生物
本発明の1つの態様は、非常に様々な表面上に存在する生物を検出するのに使用してもよいものである。本発明の器具及び方法は、種々の用途のために使用してもよく、食品表面(例えば、牛屠殺体、農産物外表面)、食品加工表面、水又は水膜表面、患者表面、患者処理表面、病院環境表面、診療所環境表面及び法医学的環境表面が挙げられるが、これらに限定されない表面上に存在する生物を試験するために望ましい。試料は、固体、半固体、ゼラチン状又は液体の材料から、単独又は種々の組み合わせで、実質的になる。本発明の器具及びシステム、並びに本発明の方法は、対象の1つ以上の微生物の存在を質的又は量的に判定するために、使用され得る。
【0062】
検出する対象の代表的な医療検体は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)である。黄色ブドウ球菌は、小さな皮下膿瘍及び創傷感染等の表面型病変、心内膜炎、肺炎及び敗血症などの全身性でかつ生命に脅威を及ぼす状態、並びに食中毒及び中毒性ショック症候群などの中毒症を含めた広範な感染症を引き起こす病原菌である。いくつかの菌株(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌すなわちMRSA)は、わずかに選ばれた抗生物質の他は全てに耐性がある。
【0063】
対象を食品加工領域内で検出するための代表的な検体は、リステリア属のメンバーである。リステリアは、グラム陽性棹状菌として分類され、リステリア・モノサイトゲネス、L.イノキュア、L.ウェルシメリ(L. welshimeri)、L.シーリゲリー(L. seeligeri)、L.イバノビイ(L. ivanovii)及びL.グライイ(L. grayi)の種からなる。これらの中で、L.モノサイトゲネスは、ヒトリステリア症の症例の多くに対して原因となっており、免疫不全症者及び妊娠女性、高齢者及び新生児は、感染の感受性が高い。リステリア症の最も一般的な症状は、敗血症、髄膜炎及び流産である。
【0064】
分析目的のために特に対象となる他の微生物には、原核及び真核生物、特にグラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌、マイコプラズマ及び酵母が挙げられる。特に関連性のある生物には、腸内細菌科若しくは球菌科、又はブドウ球菌属の種、連鎖球菌種、シュードモナス種、腸球菌種、サルモネラ種、レジオネラ種、赤痢菌種、エルニシア種、エンテロバクター種、エシェリキア種、バチルス種、ビブリオ種、クロストリジウム種、コリネバクテリア種、並びにアスペルギルス種、フサリウム種及びカンジダ種のメンバーが挙げられる。特に悪性の生物には、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの耐性菌株を包含する)、表皮ブドウ球菌、肺炎球菌、ストレプトコッカス・アガラクチア、化膿レンサ球菌、エンテロコッカス・フィカリス、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、バンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、炭疽菌、緑膿菌、大腸菌、クロコウジカビ、アスペルギルス・フミガータス、アスペルギルス・クラバタス、フザリウム・ソラニ、フザリウム・オキシスポラム、フザリウム・クラミドスポラム(F. chlamydosporum)、コレラ菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ・コレラスイス、チフス菌、ネズミチフス菌、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、エンテロバクター・サカザキ、大腸菌O157、ESBL含有微生物、及び多剤耐性グラム陰性桿菌(MDR)が挙げられる。
【0065】
製造物品
本発明の試料ハウジング及び/又は物品は、梱包材料と組み合わせて、表面上の微生物を試料採取及び検出するためのキットとして販売することができる。例えば、キットは、一緒に梱包された2つ以上の構成要素(例えば、底部材、スペーサ、バリア層、カバーシート及び/又は試薬ストリップ、上記のような構成要素)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の構成要素(例えば、底部材、バリア層及びカバーシート)は、例示された実施形態で示されるように、互いに取り付けられて、好ましくは蝶番領域を形成して、提供されてもよい。これらの実施形態では、特定の構成要素(例えば、試料回収具、試薬ストリップ及び/又はバリア層)は着脱可能であってもよい。他の実施形態では、構成要素は別々に提供されてもよく、使用時に組み立てることができる。キットは、試料懸濁培地、ピペット、標識、試料キャリア又は手袋などの、試料採取及び試験付属品を更に含んでもよい。
【0066】
環境試料採取及び検出方法
本開示は、環境表面上で微生物を検出するための方法を含む。この方法は、標的微生物の微生物的増殖の指示薬を観察することにより、標的微生物の存在又は不在を検出するために使用され得る。この方法は、更に、試料中の微生物を計数するために使用され得る。これらの方法に使用される要素(例えば、試料回収具、カバーシート、バリア層など)は、別々に提供されてもよく、又は上記試料ハウジングのように、組立体の部品であってもよい。更に、個々の要素及び/又は組立体は、上記のように、キットで提供されてもよい。実施形態は本明細書に記載される。
【0067】
1つの実施形態では、本方法は、液体試料懸濁培地、試料回収具210(図2B)などの試料回収具、底部材450とカバーシート430とを含む試料ハウジング460(図4)などの試料ハウジング、及び試薬ストリップ580(図5)などの試薬ストリップを提供する工程を含む。本方法は、試料回収具210の、接合された材料224などの、主表面の1つを、試験される表面又は物質と、接触させる工程を更に含む。典型的には、操作者は、無菌鉗子又はこれに類するものを使用してもよく、試料が回収される間、手袋をした手を使用して試料回収具を保持してもよい。試料回収具210は、既知の寸法の領域における生物の数を概算するために、5cm×5cm、10cm×10cm又は25cm×25cmなどの指定された表面領域と物理的に接触する(例えば、触れる、拭く又は擦る)ようにされる。この実施形態では、バリア層470は底部材450から持ち上げられ、試料回収具210は、試料がバリア層470に向けて、取り付け構造458に接触して配置される。本方法は、試料を含む試料回収具210の接合された材料に試料懸濁培地を適用する工程を更に含む。試料懸濁培地は、ピペットを使用して、又は他の好適な手段により、適用してもよい。試料懸濁培地を加えた後で、バリア層470を下げてもよい。所望により、試料は、損傷した微生物を回復させるために、標的微生物に依存して、少なくとも30分、少なくとも60分、又は少なくとも120分などのある期間にわたってインキュベートされ得る。インキュベーション温度は、標的微生物により選択され得る。所望によるインキュベーション期間の後、カバーシート430は持ち上げられ、バリア層470は、例えば、穿孔472においてバリア層470を分離することにより取り外される。本方法は、水和ゲルを形成するために、試料懸濁培地にカバーシート430の下方表面を接触させる工程を更に含む。これは、例えば、一方の手でカバーシート430を掴み、もう一方の手で底部材450を掴み、カバーシート430を持ち上げることにより、達成され得る。水和ゲルは数秒のうちに形成されるが、水和ゲルを露出する器具を開く前に、ゲルが少なくとも5〜10分にわたって形成されるようにすることが好ましく、より好ましくは少なくとも10〜30分にわたってである。ゲルは、カバーシート430に取り付けられたままであってもよく、ゲルは試料回収具210に取り付けられたままであってもよく、ゲルの別々の部分がカバーシート430に及び試料回収具210に取り付けられたままであってもよい。所望により、本方法は、試薬ストリップ580のコーティングされた表面を水和ゲルに接触させて配置する工程を更に含む。カバーシート430が持ち上げられている間、試薬ストリップ580は、試薬ストリップ580の親水性の作用剤586をゲルに向けて、試料ハウジング460の中に挿入されてもよい。試料ハウジング460は、試料中に存在する微生物の数を増加させるために、及び/又は、微生物の代謝活性に指示薬の検出可能な変化を生じさせるために、一定期間にわたってインキュベートされる。器具は、典型的には25〜45℃、好ましくは25〜37℃、の温度でインキュベートされる。ある実施形態では、微生物は、水和ゲル中に分離性コロニーを形成する。元々の試料中の微生物の数は、コロニーを数えることにより、計数することができる。
【0068】
別の実施形態では、本方法は、液体試料懸濁培地、任意の試料回収具(例えば、図1、図2A〜Bを参照されたい)、底部材350とバリア層370とカバーシート330とを含む試料ハウジング360(図3A)などの試料ハウジング、及び試薬ストリップ580(図5)などの試薬ストリップを含む。本方法は、試料回収具の基材又は接合された材料の主表面の1つを、上記のように試験される表面又は物質と、接触させる工程を更に含む。試料回収具は、試料をバリア層370に向けて、試料ハウジング360の中に配置することができる。この実施形態では、バリア層370は持ち上げることができ、試料回収具は、試料を上方に(バリア層370に向かって)向けて、穿孔357により形成された穴の中に配置することができる。いくつかの実施形態では、試料回収具は、穿孔357により形成された穴の内側に完全に嵌合するようなサイズ又は形状にされてもよい。本方法は、試料回収具を含有する穴の中に試料懸濁培地を分配する工程を更に含む。試料懸濁培地は、ピペットを使用して、又は他の好適な手段により、分配してもよい。試料懸濁培地を加えた後で、バリア層370を下げてもよい。所望により、試料は、損傷した微生物を回復させるために、標的微生物に依存して、少なくとも30分、少なくとも60分、又は少なくとも120分などのある期間にわたってインキュベートされ得る。所望によるインキュベーション期間の後、カバーシート330は持ち上げられ、バリア層370は、例えば、穿孔372においてバリア層370を分離することにより取り外される。本方法は、上記のように、水和ゲルを形成するために、試料懸濁培地にカバーシート330の下方表面を接触させることを更に含む。水和ゲルは数秒のうちに形成されるが、水和ゲルを露出する器具を開く前に、ゲルが、好ましくは少なくとも5〜10分にわたって、より好ましくは少なくとも10〜30分にわたって、形成されるようにすることが好ましい。所望により、本方法は、試薬ストリップ580のコーティングされた表面を水和ゲルに接触させて配置する工程を更に含む。このプロセスでは、カバーシート330は、水和ゲルを露出するために持ち上げられ、試薬ストリップ580は、試料ハウジング360内の開口357の中及び/又は近くに配置され、カバーシート330は、試薬ストリップを水和ゲルと接触させるようにするために下げられる。次に、試料ハウジング360は、一定期間にわたってインキュベートされ、その後、器具は微生物増殖の指示薬について観察される。器具は、典型的には20〜45℃、好ましくは25〜37℃、の温度でインキュベートされる。器具は、試料中に存在する微生物の数を増加させるために、及び/又は、微生物の代謝活性に指示薬の検出可能な変化を生じさせるために、一定期間(標的微生物の増殖率及び指示薬系に依存して、例えば、18〜48時間)にわたってインキュベートされる。ある実施形態では、微生物は、水和ゲル中に分離性コロニーを形成する。元々の試料中の微生物の数は、コロニーを数えることにより、計数することができる。
【実施例】
【0069】
(実施例1)
表面からのリステリア・イノキュアの検出及び計数
試薬ストリップの調製
表1に挙げた処方により、リステリア種の増殖及び検出のための液体増殖培地を作製した。酵素誘導剤(1−O−メチル−α−D−マンノピラノシド)及び発色酵素基質(6−クロロ−3−インドキシル−α−D−マンノピラノシド)をBiosynth International(Naperville,IL)から入手した。M150のエタノールで洗浄したグアーをDanisco(Kreutzlingen,Switzerland)から入手した。
【表1】
【0070】
試薬ストリップをコーティングするために使用された基材は、幅21.5cm(8.5”)、厚さ0.07mm(2.91mil)の透明なポリエステルフィルムであった。0.18mm(7mil)の間隙を有するナイフコーターを使用して、液体培地を基材の第1の側上にコーティングし、引き続いて、コーティングされた基材をおよそ110℃(230°F)に設定した乾燥炉に通した。炉での乾燥時間は、およそ2分半であった。コーティング及び乾燥手順を基材の反対側上でも繰り返し、同一の増殖培地で両側をコーティングされたプラスチックフィルムを得た。コーティングされたフィルムの各側のおおよそのコーティング重量は、0.230g/155cm2(0.230g/24インチ2)であった。二重コーティングされた基材を円形にダイカットし、各円は直径2.875インチ(7.30cm)を有した。
【0071】
試料ハウジング器具の調製
以下の構成要素を1つのユニットに組み立てることにより、試料ハウジング器具を作製した:底部材、発泡体スペーサ、バリア層及びカバーシート。下記のように底部材上にコーティングした接着剤により、発泡体スペーサを底部材に取り付けた。幅3/8インチ(9.5mm)の両面接着テープを使用して、バリア層を発泡体スペーサの1つの端部に沿って取り付けた。両面接着テープを使用して、カバーフィルムをバリア層に(同一の端部に沿って)取り付けた。この構成体の図は、図3A及び3Bに見ることができる。
【0072】
底部材は、厚さ0.16mm(6.3mil)のポリコーティングされた紙(Wausau−Moisinee Paper Corp.,Rhinelander,WIから入手される83 pound HD RHI−Lease FA 34 Yellow Grid,Grade 406−83010)から構成された。黄色格子(全領域にわたって1cm間隔で離れた垂直な直線)を紙の非シリコーン処理(「底」)側上に印刷した。イソオクチルアクリレート/アクリルアミドコポリマー接着剤(3M Company,St.Paul,MNから入手される96重量%のイソオクチルアクリレート及び4重量%のアクリルアミド、約145〜200mg/200cm2のコーティング重量)で紙のシリコーン処理(「上」)側をコーティングした。
【0073】
スペーサは、ポリスチレン発泡体材料(CL3V Capliner,White、幅21.6cm(8.5インチ)、厚さ0.51mm(20mil)、American Fuji Seal,Bardstown,KYから入手)から構成された。7.30cm(2.875インチ)の円をダイカットし、スペーサ材料から取り外した。次に、底部材とダイカットしたスペーサとをニップローラーを通して動かすことにより、底部材の接着コーティングされた側にスペーサ材料を積層した。図3Aに示すように、スペーサ材料から切り出された円は、円形の窪み又は「穴」を形成し、底部材は、積層体の穴の底表面を形成した。
【0074】
バリアフィルムは、ポリエステル(CPFilms Inc.,Martinsville,VAから入手される200ゲージのポリエステルフィルム、Color K399 Light Blue)から構成された。バリアフィルムの1つの側面上に剥離材をコーティングした。バリアフィルムの、剥離材がコーティングされた側が底部材に面するように、両面接着テープを使用して、バリアフィルムを発泡体スペーサの1つの端部に沿って取り付けた。
【0075】
イソオクチルアクリレート/アクリルアミドコポリマー接着剤(96重量%のイソオクチルアクリレート及び4重量%のアクリルアミド、165〜260mg/200cm2のコーティング重量)で予めコーティングされた厚さ0.04mm(1.6mil)の2軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムからカバーシートを作製した。BOPPフィルムの接着剤がコーティングされた側を、引き続いて、M150の非エタノールで洗浄されたグアーガム粉末(Daniscoから入手、約0.30〜0.60g/155cm2(0.30〜0.60g/24インチ2)の粉末コーティング重量))でコーティングした。上記のように、両面接着テープでカバーシートをバリア層に積層した。
【0076】
試料回収具の調製
2つのタイプの試料回収具を作製した。透明な76マイクロメートル(3mil)のポリエステルフィルムを使用して、タイプI試料回収具を作製した。このフィルムを直径7.3cm(2.875インチ)の円形にダイカットした。不織布材料をプラスチック基材に積層することにより、タイプII試料回収具を作製した。タイプII試料回収具のために、粘着付与高感圧性イソオクチルアクリレート/アクリル酸コポリマー接着剤(96重量%のイソオクチルアクリレート及び4重量%のアクリル酸、品番AZ−1229、3M Company,St.Paul,MN、コーティング厚さはおよそ0.05mm(2mil)であった)を厚さ0.13mm(5mil)の白色ポリエステルフィルム(226Melinex、DuPont Teijin Films,Hopewell,VAから入手)に積層し、引き続いて、吸収性材料(図2に示す)をこの接着剤上に積層した。積層体を作製した後に、タイプII試料回収具を直径7.24cm(2.875インチ)の円形にダイカットした。表2にこれらの実験で使用した試料回収具を挙げる。
【表2】
【0077】
接種表面の調製
0.6%の酵母抽出物を有するトリプティックソイブロス中で大豆リステリア・イノキュア(ATCC#33091)を35℃で一晩増殖した。75マイクロリットルの一晩培養物を0.6%の酵母抽出物を有する50mLのトリプティックソイブロスに希釈した。懸濁液を振盪し、無菌Dacronポリエステルチップを取り付けたアプリケータを使用して、2つの0.5mL試料を平らな無菌ステンレス鋼の10×10cm(4×4インチ)区域上に広げた。ステンレス鋼表面を室温で乾燥させた。鋼表面が乾燥した後で、上記器具を使用して、ステンレス鋼の表面上の微生物を回収及び定量した。
【0078】
表面試験手順
標準的な方法と比較して下記実験手順を評価した。標準的な方法は以下から構成された:i)中和バッファで予め湿らせたスポンジ(Nasco,18−oz.Whirl−Pak Hydrated Speci−Sponge Bag、製品ID−BO1422WA、Hardy Diagnostics,Santa Maria,CAから)を10cm(4インチ)×10cm(4インチ)(103cm2)の接種領域上に擦り付け、それを取り出した元の袋の中に配置した、ii)5ミリリットルの緩衝化ペプトン水をこのスポンジを含有する袋に加え、この袋をおよそ30秒にわたって手で揉んで、スポンジから細菌を放出させた、iii)このスポンジを含有する袋と緩衝化ペプトン水を1〜1.5時間にわたって室温で放置した、iv)ピペットを使用して、3ミリリットルの懸濁液をこの袋から取り出し、Petrifilm(商標)Environmental Listeria plate(3M Company,St.Paul,MN)に分配した、並びにv)このPetrifilmプレートをインキュベートし、任意の細菌コロニーの出現を製造者の取り扱い説明に従って解釈した。
【0079】
実験手順では、接種された、乾燥ステンレス鋼表面の10cm(4インチ)×10cm(4インチ)(103cm2)区域上に試料回収具を30〜60秒間にわたって擦り付けた。場合によっては、試料回収具を乾燥させた。他の場合には、スプレーボトルを使用して、試料回収具に軽エアゾール(およそ0.5〜1.0ミリリットルの緩衝化ペプトン水)を適用することにより、試料回収具を予め湿らせておいた。
【0080】
試料側を上方(ポリエステルバリア層方向)に向けながら、試料回収具を試料ハウジングの中、発泡体スペーサにより形成された「穴」の中、に配置した。引き続いて、試料ハウジングを約25分にわたって室温で保持した。カバーフィルム及びバリアフィルムを発泡体スペーサから持ち上げ、バリアフィルムを取り外し、3mLの緩衝化ペプトン水を試料回収具上に滴下した。両面接着テープでカバーフィルムを発泡体スペーサに再び取り付け、引き続いて、カバーフィルムを発泡体スペーサ上に下げ、粉末グアーガムを緩衝化ペプトン水と接触させて、ゲルを形成させた。試料ハウジングを約60分にわたって平らな表面上に置いておき、微生物をある程度増殖させた。その後、カバーフィルムを持ち上げ、試薬ストリップの一方の側が試料回収具に接触し、もう一方の側がカバーフィルムの水和部分に接触するように、二重コーティングされた試薬ストリップを試料ハウジングの中に挿入した。次に、試料ハウジングを26時間にわたって35℃においてインキュベータの中に配置した。細菌コロニー(典型的には様々なサイズの小さな点として出現し、赤みを帯びた異なる色調を有する)の存在について試薬ストリップを検査した。この試験の結果を表3及び表4に示す。
【表3】
【表4】
【0081】
(実施例2)
表面からの黄色ブドウ球菌の検出及び計数
試料ハウジング器具の調製
この実験で使用される試料ハウジング器具は、3M Company(St.Paul,MN)から入手される3M PETRIFILM Staph Express(STX)Count Systemプレートであった。各プレート内の乾燥している培地を1ミリリットルのButterfieldのリン酸塩希釈剤で水和し、この実験におけるプレートの使用に先立って、ゲル化させておいた。
【0082】
試料回収具の調製
実施例1に記載しているように、透明な76マイクロメートル(3mil)のポリエステルフィルムを使用することにより、タイプI試料回収具を作製した。感圧性アクリル系接着剤を使用して、指定の接合された材料(例えば、チーズクロス)を透明な76マイクロメートル(3mil)のポリエチレンフィルムに積層することにより、タイプII試料回収具を作製した。CEREX G192988不織布材料は、CEREX Advanced Fabrics(Cantonment,FL)から入手した。Hanes Wetlaid Hydroguard 150 HEM PET/セルロースは、Hanes Industries(Conover,NC)から入手した。Hanes材料をSPAN 20(Uniquema,Stanford,FLから入手)で前処理して、親水性にした。前処理は、SPAN−20の溶液(97.5%(重量/体積)のイソプロピルアルコール中、2.5%(重量/体積)のSPAN−20−ソルビタンモノラウレート)で布地材料を、布地が溶液で飽和するまで拭くことから構成された。この布地を室温で空気乾燥させた。数滴の水を布地の表面上に移して布地の中に水が吸収される(逃がれる)のを観察することにより、この処理された布地の一部を試験した。
【0083】
接種表面の調製
35℃において18時間にわたってトリプティックソイブロス中で黄色ブドウ球菌ATCC 25923を増殖させた。20マイクロリットルの一晩培養物を99mLのButterfieldのリン酸塩希釈剤に希釈し、得られた混合物を振盪して、懸濁液中で細菌を均一に分布させた。1ミリリットルの緩衝化細菌懸濁液をButterfieldのリン酸塩希釈剤の第2の瓶(99mL)に移した。希釈した懸濁液を振盪し、無菌ガラススプレッダーを使用して3つの0.5mL試料を別々の平たい無菌ステンレス鋼試片の10×10cm(4×4インチ)区域上に広げた。層流フードの中で30〜60分にわたって室温においてステンレス鋼表面を乾燥させた。この手順で各ステンレス鋼試片を黄色ブドウ球菌細胞の約60のコロニー形成単位(CFU)で接種したと推定した。鋼表面が乾燥した後で、上記試料回収具を使用して、ステンレス鋼の表面上の微生物を回収及び定量した。
【0084】
表面試験手順
スプレーボトルを使用して、試料回収具にButterfieldのリン酸塩希釈剤の軽エアゾール(約0.5〜1.0mL)を塗布することにより、試料回収具を湿らせた。接種し、乾燥させたステンレス鋼表面の10cm(4インチ)×10cm(4インチ)(103cm2)区域上に試料回収具の表面を激しく擦り付けることにより、試料を回収した。表面を1つの方向で側方に擦り付け、次に表面を最初に擦り付けた方向と垂直である方向で側方に擦り付けた。
【0085】
予め水和したPETRIFILM STXプレートのカバーシートを持ち上げ、発泡体スペーサの中央の穴を露出させた(すなわち、脱水された培地により形成されたゲルは、カバーシートに取り付けられたままであった)。試料側を上方(カバーシート方向)に向けて、試料回収具を試料ハウジングの中(発泡体スペーサ中の開口により形成された穴の中)に配置した。カバーシートを下げ、水和ゲルを試料回収具上の試料と接触させた。試料ハウジングを35℃で約18時間にわたってインキュベーターの中に配置し、小さな赤い点として出現したコロニーを数えた。各プレート内のコロニーの数を表5に示す。回収具としてのポリエチレンフィルム試料での実験におけるコロニー形成単位の不在は、実験の経過中に試験表面上に接種された細菌の生存能の欠失に起因し得る。
【表5】
【0086】
ここで、本発明は、可能な記述が実施可能な発明者によって予測される、いくつかの特定の実施形態を参照して記載されている。現在予測されていない修正を含む、本発明の実体の無い修正は、それでもなお、それらと同等であると定めることができる。したがって、本発明の範囲は、本明細書において説明した詳細及び構造に限定されるべきではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲、及びそれらと同等の物によって単に限定されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面微生物を試料採取及び検出するための物品において、前記物品は、
親水性の作用剤が実質的にない上方及び下方主表面を有する試料回収具であって、
少なくとも1つの主表面は水不透過性であり、
少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含む、試料回収具と、
前記試料回収具に取り付けられた試薬ストリップであって、
前記試薬ストリップは、上方及び下方主表面を有する自立型基材を含み、
1つの主表面の少なくとも一部分は、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、バッファ、指示薬、及び上記の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている、試薬ストリップと、
を含む、物品。
【請求項2】
バリア層を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記試料回収具及び前記試薬ストリップが水不透過性基材の一体成形物から形成される、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
微生物を検出及び計数するための物品において、前記物品は、
上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含む底部材であって、上方主表面が取り付け構造を含む底部材と、
前記底部材に取り付けられたカバーシートであって、
前記カバーシートは上方及び下方主表面を含み、
前記カバーシートの前記下方主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、カバーシートと、
を含み、前記底部材の前記上方主表面は、前記カバーシートの前記下方主表面に面する、物品。
【請求項5】
前記物品に着脱可能に取り付けられる試料回収具を更に含む、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記底部材と前記カバーシートとの間に配置されたバリア層を更に含み、前記バリア層の少なくとも一部が前記物品に着脱可能に取り付けられる、請求項4に記載の物品。
【請求項7】
環境表面試料を回収するための試料回収具において、前記試料回収具は上方及び下方主表面を有する基材を含み、
少なくとも1つの主表面は水不透過性であり、
少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含み、
前記試料回収具は親水性の作用剤が実質的にない、試料回収具。
【請求項8】
前記基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、紙又は厚紙を含む、請求項7に記載の試料回収具。
【請求項9】
接合された材料を更に含む、請求項7に記載の試料回収具。
【請求項10】
前記接合された材料が、不織布材料、ガラス繊維材料、発泡体、布地及びセルロース系材料からなる群から選択される、請求項9に記載の試料回収具。
【請求項11】
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む底部材と、
開口を含むスペーサであって、前記スペーサが前記底部材の前記上方主表面に接着されている、スペーサと、
上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、カバーシートと、
前記カバーシートと前記スペーサとの間に配置された耐水性バリア層であって、カバーシートのコーティングされた表面が前記バリア層に面する、耐水性バリア層と、
を含む、試料ハウジング。
【請求項12】
底部材、スペーサ、カバーシート及びバリア層からなる群からの任意の組み合わせが、互いに取り付けられる、請求項11に記載の試料ハウジング。
【請求項13】
前記底部材が取り付け構造を更に含む、請求項11に記載の試料ハウジング。
【請求項14】
前記底部材又は前記カバーシートが、コロニーの数え上げを促進するために格子を更に含む、請求項11に記載の試料ハウジング。
【請求項15】
前記耐水性バリア層がタブを更に含む、請求項11に記載の試料ハウジング。
【請求項16】
微生物を検出するための試薬ストリップにおいて、前記試薬ストリップは、
上方及び下方主表面を有する自立型基材、及び
微生物を増殖させるための栄養素及び指示薬を含む親水性の作用剤と、冷水に可溶なゲル化剤と、を含む乾燥コーティング
を含み、前記基材は、両方の主表面の少なくとも一部上にコーティングされている、試薬ストリップ。
【請求項17】
コロニーの数え上げを促進するために格子を更に含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項18】
少なくとも1つの選択的阻害剤を更に含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項19】
前記選択的阻害剤が、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム、ポリミキシンB硫酸塩及び上記の任意の2つ以上からなる群から選択される、請求項18に記載の試薬ストリップ。
【請求項20】
前記選択的阻害剤が、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム及びポリミキシンB硫酸塩からなる、請求項19に記載の試薬ストリップ。
【請求項21】
バッファ系を更に含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項22】
有効量のペプトン、バッファ系、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム及びポリミキシンB硫酸塩を含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項23】
前記指示薬が酵素基質を含む、請求項22に記載の試薬ストリップ。
【請求項24】
前記酵素基質がα−D−マンノシダーゼ基質である、請求項23に記載の試薬ストリップ。
【請求項25】
酵素誘導剤を更に含む、請求項23に記載の試薬ストリップ。
【請求項26】
前記酵素基質が6−クロロ−3−インドキシル−α−D−マンノピラノシドである、請求項25に記載の試薬ストリップ。
【請求項27】
前記酵素誘導剤が1−O−メチル−α−D−マンノピラノシドである、請求項25又は26に記載の試薬ストリップ。
【請求項28】
タブを更に含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項29】
前記タブが着脱可能である、請求項28に記載の試薬ストリップ。
【請求項30】
表面微生物を試料採取及び検出するためのキットにおいて、前記キットは、
上方及び下方主表面を有する水不透過性基材を含む、親水性の作用剤が実質的にない試料回収具であって、少なくとも1つの主表面が多孔質材料を含む、試料回収具、並びに
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む試薬ストリップであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、バッファ、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている、試薬ストリップを含む、キット。
【請求項31】
微生物を試料採取及び計数するためのキットにおいて、前記キットは、
親水性の作用剤が実質的にない上方及び下方主表面を有する試料回収具であって、
少なくとも1つの主表面は水不透過性であり、
少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含む、試料回収具、並びに
試料ハウジングであって、
上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含む底部材と、
上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、カバーシートと、を含む試料ハウジング、
を含む、キット。
【請求項32】
前記カバーシートが前記底部材に取り付けられ、前記カバーシートのコーティングされた表面が前記底部材の上方主表面に面する、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む試薬ストリップであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている、試薬ストリップを更に含む、請求項31に記載のキット。
【請求項34】
前記試料ハウジングがバリア層を更に含む、請求項31に記載のキット。
【請求項35】
前記バリア層が前記カバーシートと前記底部材との間に配置される、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
前記バリア層が前記試料ハウジングに着脱可能に取り付けられる、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
試料回収具の少なくとも1つの主表面が、多孔質材料を更に含む、請求項31に記載のキット。
【請求項38】
前記試料ハウジングが開口を含有するスペーサを更に含み、前記スペーサが前記底部材の前記上方表面に接着されている、請求項31に記載のキット。
【請求項39】
前記試料回収具がタブを更に含む、請求項31に記載のキット。
【請求項40】
前記タブが着脱可能である、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
微生物を試料採取及び計数するためのキットにおいて、前記キットは、
上方及び下方主表面を有する基材から本質的になる試料回収具であって、少なくとも1つの主表面が水不透過性である、試料回収具と、
上方表面及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、カバーシートと、
上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材、並びに取り付け構造を含む底部材と、
を含む、キット。
【請求項42】
前記試料回収具が、基材及び多孔質材料から本質的になる、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
前記試料回収具基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、紙又は厚紙からなる群から選択される、請求項41に記載のキット。
【請求項44】
前記試料回収具が、前記カバーシートに取り付けられる、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
環境表面上の微生物を検出するための方法において、
液体試料懸濁培地、
上方及び下方主表面を有する基材を含む試料回収具であって、少なくとも1つの主表面が水不透過性である、試料回収具、
底部材と、上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートと、を含む試料ハウジングであって、前記カバーシートの1つの主表面の少なくとも一部分が、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、試料ハウジング、並びに
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む試薬ストリップであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている、試薬ストリップ
を提供する工程、
前記試料回収具の少なくとも1つの主表面上に試料を獲得する工程、
前記試料を含む前記少なくとも1つの主表面を前記カバーシートに向けて前記試料ハウジングの中に前記試料回収具を配置することにより組立体を形成する工程、
前記試料を含む前記試料回収具主表面に試料懸濁培地を適用する工程、
水和ゲルを形成するために、前記試料懸濁培地に前記カバーシートの前記下方主表面を接触させる工程、
前記試薬ストリップのコーティングされた表面を前記水和ゲルに接触させて配置する工程、
ある期間にわたって前記組立体をインキュベートする工程、並びに
微生物増殖の指示薬を観察する工程、
を含む、方法。
【請求項46】
環境表面上の微生物を検出するための方法において、前記方法は、
バリア層、
試料懸濁培地、
上方及び下方主表面を有する基材を含む試料回収具であって、少なくとも1つの主表面が水不透過性である、試料回収具、
試料ハウジングであって、
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む底部材と、
上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、カバーシートと、
を含む、試料ハウジング、並びに
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む試薬ストリップであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている、試薬ストリップ
を提供する工程、
前記試料回収具の少なくとも1つの主表面上に試料を獲得する工程、
前記試料を含む前記少なくとも1つの主表面を前記カバーシートに向けて前記試料ハウジングの中に前記試料回収具を配置することにより組立体を形成する工程、
前記試料を含む前記試料回収具主表面に試料懸濁培地を適用する工程、
前記試料回収具と前記カバーシートとの間に前記耐水性バリア層を挿入し、これにより、前記試料懸濁培地が前記カバーシートの少なくとも一部と接触するのを防止する工程、
ある期間にわたって前記組立体をインキュベートする工程、
前記試料ハウジングから少なくとも一部の前記バリア層を取り外す工程、
水和ゲルを形成するために、前記試料懸濁培地に前記カバーシートの前記下方主表面を接触させる工程、
前記試薬ストリップのコーティングされた表面を前記水和ゲルに接触させて配置する工程、
ある期間にわたって前記試料ハウジングをインキュベートする工程、並びに
微生物増殖の指示薬を観察する工程、
を含む、方法。
【請求項47】
前記キットがバリア層を更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記バリア層が前記底部材と前記カバーシートとの間に配置され、前記試料を獲得した後で前記試料回収具が前記底部材と前記バリア層との間の前記試料ハウジングの中に配置される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記耐水性バリア層が着脱可能に前記試料ハウジングに取り付けられる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記方法が、前記試料中の微生物を計数する工程を更に含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項51】
微生物増殖の指示薬を観察する工程が、リステリア種、サルモネラ種、腸内細菌科の種、クロストリジウム種、腸球菌種、エルニシア種、バチルス種、大腸菌、ブドウ球菌種及びESBL含有微生物からなる群から選択される微生物の増殖の指示薬を観察することを含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項52】
環境試料中のリステリア種を検出する方法において、前記方法は、
表面を有する試料回収具、試料懸濁培地及び試薬ストリップを提供する工程であって、
前記試薬ストリップが、微生物を増殖させるための栄養素及び指示薬を含む親水性の作用剤と、冷水に可溶なゲル化剤と、を含む乾燥コーティングを含む、提供する工程、
前記試料回収具の前記表面上に試料を獲得する工程、
前記試料又は前記試薬ストリップを水和する工程、並びに
前記試薬ストリップと前記試料とを接触させる工程、
を含む、方法。
【請求項53】
少なくとも1つの選択的阻害剤を更に含む、請求項52に記載の試薬ストリップ。
【請求項54】
前記選択的阻害剤が、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム、ポリミキシンB硫酸塩及び上記の任意の2つ以上からなる群から選択される、請求項53に記載の試薬ストリップ。
【請求項55】
前記選択的阻害剤が、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム及びポリミキシンB硫酸塩からなる、請求項54に記載の試薬ストリップ。
【請求項56】
バッファ系を更に含む、請求項52に記載の試薬ストリップ。
【請求項57】
有効量のペプトン、バッファ系、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム及びポリミキシンB硫酸塩を含む、請求項52に記載の試薬ストリップ。
【請求項58】
前記指示薬が酵素基質を含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項59】
前記酵素基質がα−D−マンノシダーゼ基質である、請求項58に記載の試薬ストリップ。
【請求項60】
酵素誘導剤を更に含む、請求項58に記載の試薬ストリップ。
【請求項61】
前記酵素基質が6−クロロ−3−インドキシル−α−D−マンノピラノシドである、請求項60に記載の試薬ストリップ。
【請求項62】
前記酵素誘導剤が1−O−メチル−α−D−マンノピラノシドである、請求項58又は59に記載の試薬ストリップ。
【請求項63】
環境試料中のリステリア種を検出する方法において、前記方法は、
表面を有する試料回収具、試料懸濁培地、試料ハウジング及び試薬ストリップを提供する工程であって、
前記試薬ストリップが、微生物を増殖させるための栄養素及び指示薬を含む親水性の作用剤と、冷水に可溶なゲル化剤と、を含む乾燥コーティングを含む、提供する工程、
前記試料回収具の前記表面上に試料を獲得する工程、
前記試料ハウジングの中に前記試料回収具を配置する工程、
前記試料又は前記試薬ストリップを水和する工程、並びに
前記試薬ストリップと前記試料とを接触させる工程、
を含む、方法。
【請求項1】
表面微生物を試料採取及び検出するための物品において、前記物品は、
親水性の作用剤が実質的にない上方及び下方主表面を有する試料回収具であって、
少なくとも1つの主表面は水不透過性であり、
少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含む、試料回収具と、
前記試料回収具に取り付けられた試薬ストリップであって、
前記試薬ストリップは、上方及び下方主表面を有する自立型基材を含み、
1つの主表面の少なくとも一部分は、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、バッファ、指示薬、及び上記の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている、試薬ストリップと、
を含む、物品。
【請求項2】
バリア層を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記試料回収具及び前記試薬ストリップが水不透過性基材の一体成形物から形成される、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
微生物を検出及び計数するための物品において、前記物品は、
上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含む底部材であって、上方主表面が取り付け構造を含む底部材と、
前記底部材に取り付けられたカバーシートであって、
前記カバーシートは上方及び下方主表面を含み、
前記カバーシートの前記下方主表面の少なくとも一部分は、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、カバーシートと、
を含み、前記底部材の前記上方主表面は、前記カバーシートの前記下方主表面に面する、物品。
【請求項5】
前記物品に着脱可能に取り付けられる試料回収具を更に含む、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記底部材と前記カバーシートとの間に配置されたバリア層を更に含み、前記バリア層の少なくとも一部が前記物品に着脱可能に取り付けられる、請求項4に記載の物品。
【請求項7】
環境表面試料を回収するための試料回収具において、前記試料回収具は上方及び下方主表面を有する基材を含み、
少なくとも1つの主表面は水不透過性であり、
少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含み、
前記試料回収具は親水性の作用剤が実質的にない、試料回収具。
【請求項8】
前記基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、紙又は厚紙を含む、請求項7に記載の試料回収具。
【請求項9】
接合された材料を更に含む、請求項7に記載の試料回収具。
【請求項10】
前記接合された材料が、不織布材料、ガラス繊維材料、発泡体、布地及びセルロース系材料からなる群から選択される、請求項9に記載の試料回収具。
【請求項11】
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む底部材と、
開口を含むスペーサであって、前記スペーサが前記底部材の前記上方主表面に接着されている、スペーサと、
上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、カバーシートと、
前記カバーシートと前記スペーサとの間に配置された耐水性バリア層であって、カバーシートのコーティングされた表面が前記バリア層に面する、耐水性バリア層と、
を含む、試料ハウジング。
【請求項12】
底部材、スペーサ、カバーシート及びバリア層からなる群からの任意の組み合わせが、互いに取り付けられる、請求項11に記載の試料ハウジング。
【請求項13】
前記底部材が取り付け構造を更に含む、請求項11に記載の試料ハウジング。
【請求項14】
前記底部材又は前記カバーシートが、コロニーの数え上げを促進するために格子を更に含む、請求項11に記載の試料ハウジング。
【請求項15】
前記耐水性バリア層がタブを更に含む、請求項11に記載の試料ハウジング。
【請求項16】
微生物を検出するための試薬ストリップにおいて、前記試薬ストリップは、
上方及び下方主表面を有する自立型基材、及び
微生物を増殖させるための栄養素及び指示薬を含む親水性の作用剤と、冷水に可溶なゲル化剤と、を含む乾燥コーティング
を含み、前記基材は、両方の主表面の少なくとも一部上にコーティングされている、試薬ストリップ。
【請求項17】
コロニーの数え上げを促進するために格子を更に含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項18】
少なくとも1つの選択的阻害剤を更に含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項19】
前記選択的阻害剤が、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム、ポリミキシンB硫酸塩及び上記の任意の2つ以上からなる群から選択される、請求項18に記載の試薬ストリップ。
【請求項20】
前記選択的阻害剤が、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム及びポリミキシンB硫酸塩からなる、請求項19に記載の試薬ストリップ。
【請求項21】
バッファ系を更に含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項22】
有効量のペプトン、バッファ系、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム及びポリミキシンB硫酸塩を含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項23】
前記指示薬が酵素基質を含む、請求項22に記載の試薬ストリップ。
【請求項24】
前記酵素基質がα−D−マンノシダーゼ基質である、請求項23に記載の試薬ストリップ。
【請求項25】
酵素誘導剤を更に含む、請求項23に記載の試薬ストリップ。
【請求項26】
前記酵素基質が6−クロロ−3−インドキシル−α−D−マンノピラノシドである、請求項25に記載の試薬ストリップ。
【請求項27】
前記酵素誘導剤が1−O−メチル−α−D−マンノピラノシドである、請求項25又は26に記載の試薬ストリップ。
【請求項28】
タブを更に含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項29】
前記タブが着脱可能である、請求項28に記載の試薬ストリップ。
【請求項30】
表面微生物を試料採取及び検出するためのキットにおいて、前記キットは、
上方及び下方主表面を有する水不透過性基材を含む、親水性の作用剤が実質的にない試料回収具であって、少なくとも1つの主表面が多孔質材料を含む、試料回収具、並びに
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む試薬ストリップであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、バッファ、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている、試薬ストリップを含む、キット。
【請求項31】
微生物を試料採取及び計数するためのキットにおいて、前記キットは、
親水性の作用剤が実質的にない上方及び下方主表面を有する試料回収具であって、
少なくとも1つの主表面は水不透過性であり、
少なくとも1つの主表面は多孔質材料を含む、試料回収具、並びに
試料ハウジングであって、
上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材を含む底部材と、
上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、カバーシートと、を含む試料ハウジング、
を含む、キット。
【請求項32】
前記カバーシートが前記底部材に取り付けられ、前記カバーシートのコーティングされた表面が前記底部材の上方主表面に面する、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む試薬ストリップであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている、試薬ストリップを更に含む、請求項31に記載のキット。
【請求項34】
前記試料ハウジングがバリア層を更に含む、請求項31に記載のキット。
【請求項35】
前記バリア層が前記カバーシートと前記底部材との間に配置される、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
前記バリア層が前記試料ハウジングに着脱可能に取り付けられる、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
試料回収具の少なくとも1つの主表面が、多孔質材料を更に含む、請求項31に記載のキット。
【請求項38】
前記試料ハウジングが開口を含有するスペーサを更に含み、前記スペーサが前記底部材の前記上方表面に接着されている、請求項31に記載のキット。
【請求項39】
前記試料回収具がタブを更に含む、請求項31に記載のキット。
【請求項40】
前記タブが着脱可能である、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
微生物を試料採取及び計数するためのキットにおいて、前記キットは、
上方及び下方主表面を有する基材から本質的になる試料回収具であって、少なくとも1つの主表面が水不透過性である、試料回収具と、
上方表面及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、カバーシートと、
上方及び下方主表面を有する自立型水不透過性基材、並びに取り付け構造を含む底部材と、
を含む、キット。
【請求項42】
前記試料回収具が、基材及び多孔質材料から本質的になる、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
前記試料回収具基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、紙又は厚紙からなる群から選択される、請求項41に記載のキット。
【請求項44】
前記試料回収具が、前記カバーシートに取り付けられる、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
環境表面上の微生物を検出するための方法において、
液体試料懸濁培地、
上方及び下方主表面を有する基材を含む試料回収具であって、少なくとも1つの主表面が水不透過性である、試料回収具、
底部材と、上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートと、を含む試料ハウジングであって、前記カバーシートの1つの主表面の少なくとも一部分が、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、試料ハウジング、並びに
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む試薬ストリップであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている、試薬ストリップ
を提供する工程、
前記試料回収具の少なくとも1つの主表面上に試料を獲得する工程、
前記試料を含む前記少なくとも1つの主表面を前記カバーシートに向けて前記試料ハウジングの中に前記試料回収具を配置することにより組立体を形成する工程、
前記試料を含む前記試料回収具主表面に試料懸濁培地を適用する工程、
水和ゲルを形成するために、前記試料懸濁培地に前記カバーシートの前記下方主表面を接触させる工程、
前記試薬ストリップのコーティングされた表面を前記水和ゲルに接触させて配置する工程、
ある期間にわたって前記組立体をインキュベートする工程、並びに
微生物増殖の指示薬を観察する工程、
を含む、方法。
【請求項46】
環境表面上の微生物を検出するための方法において、前記方法は、
バリア層、
試料懸濁培地、
上方及び下方主表面を有する基材を含む試料回収具であって、少なくとも1つの主表面が水不透過性である、試料回収具、
試料ハウジングであって、
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む底部材と、
上方及び下方主表面を有する基材を含むカバーシートであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、少なくとも1つのゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末でコーティングされている、カバーシートと、
を含む、試料ハウジング、並びに
上方及び下方主表面を有する自立型基材を含む試薬ストリップであって、1つの主表面の少なくとも一部分が、冷水に可溶なゲル化剤と、微生物を増殖させるための栄養素、選択的作用剤、指示薬、及び上記の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される親水性の作用剤と、でコーティングされている、試薬ストリップ
を提供する工程、
前記試料回収具の少なくとも1つの主表面上に試料を獲得する工程、
前記試料を含む前記少なくとも1つの主表面を前記カバーシートに向けて前記試料ハウジングの中に前記試料回収具を配置することにより組立体を形成する工程、
前記試料を含む前記試料回収具主表面に試料懸濁培地を適用する工程、
前記試料回収具と前記カバーシートとの間に前記耐水性バリア層を挿入し、これにより、前記試料懸濁培地が前記カバーシートの少なくとも一部と接触するのを防止する工程、
ある期間にわたって前記組立体をインキュベートする工程、
前記試料ハウジングから少なくとも一部の前記バリア層を取り外す工程、
水和ゲルを形成するために、前記試料懸濁培地に前記カバーシートの前記下方主表面を接触させる工程、
前記試薬ストリップのコーティングされた表面を前記水和ゲルに接触させて配置する工程、
ある期間にわたって前記試料ハウジングをインキュベートする工程、並びに
微生物増殖の指示薬を観察する工程、
を含む、方法。
【請求項47】
前記キットがバリア層を更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記バリア層が前記底部材と前記カバーシートとの間に配置され、前記試料を獲得した後で前記試料回収具が前記底部材と前記バリア層との間の前記試料ハウジングの中に配置される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記耐水性バリア層が着脱可能に前記試料ハウジングに取り付けられる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記方法が、前記試料中の微生物を計数する工程を更に含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項51】
微生物増殖の指示薬を観察する工程が、リステリア種、サルモネラ種、腸内細菌科の種、クロストリジウム種、腸球菌種、エルニシア種、バチルス種、大腸菌、ブドウ球菌種及びESBL含有微生物からなる群から選択される微生物の増殖の指示薬を観察することを含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項52】
環境試料中のリステリア種を検出する方法において、前記方法は、
表面を有する試料回収具、試料懸濁培地及び試薬ストリップを提供する工程であって、
前記試薬ストリップが、微生物を増殖させるための栄養素及び指示薬を含む親水性の作用剤と、冷水に可溶なゲル化剤と、を含む乾燥コーティングを含む、提供する工程、
前記試料回収具の前記表面上に試料を獲得する工程、
前記試料又は前記試薬ストリップを水和する工程、並びに
前記試薬ストリップと前記試料とを接触させる工程、
を含む、方法。
【請求項53】
少なくとも1つの選択的阻害剤を更に含む、請求項52に記載の試薬ストリップ。
【請求項54】
前記選択的阻害剤が、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム、ポリミキシンB硫酸塩及び上記の任意の2つ以上からなる群から選択される、請求項53に記載の試薬ストリップ。
【請求項55】
前記選択的阻害剤が、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム及びポリミキシンB硫酸塩からなる、請求項54に記載の試薬ストリップ。
【請求項56】
バッファ系を更に含む、請求項52に記載の試薬ストリップ。
【請求項57】
有効量のペプトン、バッファ系、塩化ナトリウム、塩化リチウム、ナリジキシン酸(naladixic acid)、アクリフラビン、モキサラクタム及びポリミキシンB硫酸塩を含む、請求項52に記載の試薬ストリップ。
【請求項58】
前記指示薬が酵素基質を含む、請求項16に記載の試薬ストリップ。
【請求項59】
前記酵素基質がα−D−マンノシダーゼ基質である、請求項58に記載の試薬ストリップ。
【請求項60】
酵素誘導剤を更に含む、請求項58に記載の試薬ストリップ。
【請求項61】
前記酵素基質が6−クロロ−3−インドキシル−α−D−マンノピラノシドである、請求項60に記載の試薬ストリップ。
【請求項62】
前記酵素誘導剤が1−O−メチル−α−D−マンノピラノシドである、請求項58又は59に記載の試薬ストリップ。
【請求項63】
環境試料中のリステリア種を検出する方法において、前記方法は、
表面を有する試料回収具、試料懸濁培地、試料ハウジング及び試薬ストリップを提供する工程であって、
前記試薬ストリップが、微生物を増殖させるための栄養素及び指示薬を含む親水性の作用剤と、冷水に可溶なゲル化剤と、を含む乾燥コーティングを含む、提供する工程、
前記試料回収具の前記表面上に試料を獲得する工程、
前記試料ハウジングの中に前記試料回収具を配置する工程、
前記試料又は前記試薬ストリップを水和する工程、並びに
前記試薬ストリップと前記試料とを接触させる工程、
を含む、方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2011−502546(P2011−502546A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535050(P2010−535050)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/084109
【国際公開番号】WO2009/108229
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/084109
【国際公開番号】WO2009/108229
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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