生体情報取得方法及び生体情報取得装置
【課題】複数のセンサから最適な生体情報を取得可能なセンサをリアルタイムで選択できる。
【解決手段】生体が発する振動を検出して振動に対応した信号を出力する複数のセンサ19a〜19c、20a〜20cと、信号から取得目的とする生体情報の周波数成分のみを抽出して抽出信号を出力するフィルタ処理部12と、抽出信号において全振幅値が所定範囲外の信号をノイズと判断し、ノイズに対応したパルス信号を出力する検出状態判定部14と、センサの前回の評価値に所定の定数を乗じた値にパルス信号を加えることによりセンサの新たな評価値を出力し、新たな評価値に基づいて生体情報を取得するセンサを選択するセンサ評価・選択部15と、を備えた生体情報取得装置。
【解決手段】生体が発する振動を検出して振動に対応した信号を出力する複数のセンサ19a〜19c、20a〜20cと、信号から取得目的とする生体情報の周波数成分のみを抽出して抽出信号を出力するフィルタ処理部12と、抽出信号において全振幅値が所定範囲外の信号をノイズと判断し、ノイズに対応したパルス信号を出力する検出状態判定部14と、センサの前回の評価値に所定の定数を乗じた値にパルス信号を加えることによりセンサの新たな評価値を出力し、新たな評価値に基づいて生体情報を取得するセンサを選択するセンサ評価・選択部15と、を備えた生体情報取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサから生体情報を取得する生体情報取得方法および生体情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活リズムが夜型になり不眠や眠りが浅いなど睡眠に関する問題を抱える人が多くなってきている。質の高い良好な睡眠が取れていないと昼間に眠気に襲われるなど、日常生活に支障をきたしてしまう。そこで人の睡眠状態に合わせて覚醒光や振動枕を適切に制御して質の高い良好な睡眠を提供する装置が提供されている。このような装置では、心拍数や呼吸数、体動などの生体情報をセンサにより検出し、検出結果に基づいて睡眠状態を判断している。
【0003】
通常、センサは人の睡眠を妨げないように寝具等に複数取り付けられている。複数のセンサの中から人の生体情報を最も正確に検出しているセンサ(最適センサ)を選択し、そのセンサの信号をそのときの生体情報として取得するが、人は睡眠中に寝返りなどの体動が起こるため、最適センサは睡眠中に変化する。
【0004】
特許文献1には、次の発明が開示されている。人体の呼吸音を複数のセンサにより検出し、センサごとに呼吸音の信号を周波数変換した周波数スペクトルを得る。当該スペクトルから呼吸に同期して変化する呼吸同期成分を抽出し、各センサの呼吸同期成分の周波数分布を比較して最適センサを選択し、最適センサの呼吸同期成分から人体の呼吸状態を推定する。
【0005】
特許文献2には、次の発明が開示されている。人体の呼吸や心拍数を複数の圧力センサにより検出し、各センサからの圧力変化の信号をSQI(Signal Quality Index)による評価を行ってSQIの最も高い信号のセンサを最適センサとして選択する。当該センサの信号をウェーブレット変換した後、呼吸数検出用信号と心拍数検出用信号に分離して呼吸数と心拍数を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−14501号公報
【特許文献2】特開2007−61587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術はいずれも最適センサの選択過程において、センサによる検出信号から周波数スペクトルを算出している。周波数スペクトルを算出するには所定の時間領域内の検出信号を一度に変換する必要があるため、算出前には所定の時間領域内の時系列点数分の信号を収集するための時間(例えば10秒)と、当該信号を記憶する大容量のメモリが必要になってしまう。このため複数のセンサによる検出信号の出力から最適センサの選択までには時間の遅れ(タイムラグ)が生じてしまい、リアルタイムで最適センサを選択できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑み、複数のセンサから最適な生体情報を取得可能なセンサをリアルタイムで選択する方法および装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る生体情報取得方法の特徴は、生体が発する振動を複数のセンサで検出するステップと、前記センサの出力信号から取得目的とする生体情報の周波数成分の信号のみを抽出するステップと、前記抽出された信号において全振幅値が所定範囲外の信号をノイズと判断し、前記ノイズに対応したパルス信号を生成するステップと、前記センサの新たな評価値を、前記センサの前回の評価値に所定の定数を乗じた値に前記パルス信号を加えることにより算出するステップと、前記新たな評価値に基づいて前記生体情報を取得するセンサを選択するステップと、を含む点にある。
【0010】
上記方法では、複数のセンサから最適センサを選択するために周波数スペクトルを用いない。このため周波数スペクトルの算出が不要になり、算出に必要なセンサ検出信号を記憶するためのメモリが不要になる。さらに複数のセンサによる検出信号の出力から最適センサの選択までのタイムラグもなくなり、リアルタイムで最適センサを選択して生体情報を取得することが可能になる。
【0011】
また本発明に係る生体情報取得方法は、前記生体情報を取得するセンサを選択するステップにおいて、前記新たな評価値が最も小さいセンサを選択すると好適である。この方法によると、複数のセンサからノイズ成分の少ないセンサを最適センサとして常に選択するので、正確な生体情報の取得が可能になる。
【0012】
また本発明に係る生体情報取得方法は、前記センサで振動を検出する時間間隔よりも前記新たな評価値を算出する時間間隔の方が長いと好適である。睡眠中に一度体動が治まってから次の体動が起こるまでの時間は通常数秒以上はあり頻繁に最適センサが変更になる可能性は低い。そこで、前記センサで振動を検出する時間間隔(0.01秒から0.1秒程度)に対して前記評価値を算出して最適センサを選択する処理を実行する時間間隔を長くすることにより、電力消費を抑制することができると共に、安価なマイコンを使用することができる。
【0013】
本発明に係る生体情報取得方法は、前記センサで振動を検出する時間間隔と前記新たな評価値を算出する時間間隔は変更可能であると好適である。この方法によると、睡眠状態に応じて最適なセンサを選択する時間間隔を設定することが可能になる。例えば熟睡時など体動が頻繁に発生しないときには最適センサが短時間変更になる可能性は低いので、前記評価値を算出して最適センサを選択する処理を実行する時間間隔を長くして計算負荷を低減させることができる。
【0014】
本発明に係る生体情報取得装置の特徴構成は、生体が発する振動を検出して前記振動に対応した信号を出力する複数のセンサと、前記信号から取得目的とする生体情報の周波数成分のみを抽出して抽出信号を出力するフィルタ処理部と、前記抽出信号において全振幅値が所定範囲外の信号をノイズと判断し、前記ノイズに対応したパルス信号を出力する検出状態判定部と、前記センサの新たな評価値を前記センサの前回の評価値に所定の定数を乗じた値に前記パルス信号の積分値を加えることにより出力し、前記新たな評価値に基づいて前記生体情報を取得するセンサを選択するセンサ評価・選択部と、を備えた点にある。
【0015】
上記構成では、周波数スペクトルを算出する手段を有しておらず、周波数スペクトルを算出することなく複数のセンサから最適センサを選択することができる。また周波数スペクトルの算出に必要なセンサ検出信号を記憶するためのメモリが不要になり、安価なマイコンにも実装可能となる。さらに複数のセンサによる検出信号の出力から最適センサの選択までのタイムラグもなくなり、リアルタイムで最適センサを選択して生体情報を取得することが可能になる。
【0016】
本発明に係る生体情報取得装置は、前記フィルタ処理部は、カットオフ周波数が異なる複数のローパスフィルタ処理部を並列に備えていると好適である。
この構成によれば、フィルタ処理部が、各センサ毎に、生体情報の周波数成分をローパスフィルタ処理部毎の異なるカットオフ周波数で抽出した複数の抽出信号を出力することにより、生体の生理特性に応じた最適センサの選択が可能になる。
【0017】
本発明に係る生体情報取得装置は、前記フィルタ処理部は、バンドパスフィルタ処理部とそのバンドパスフィルタ処理部から出力された信号を処理するローパスフィルタ処理部との組み合わせの複数を並列に備え、前記各組み合わせに含まれるバンドパスフィルタ処理部夫々のカットオフ周波数を異ならせると共に、前記ローパスフィルタ処理部夫々のカットオフ周波数を異ならせてあると好適である。
この構成によれば、フィルタ処理部が、各センサ毎に、生体情報の周波数成分を、バンドパスフィルタ処理部毎の異なるカットオフ周波数及びローパスフィルタ処理部毎の異なるカットオフ周波数で抽出した複数の抽出信号を出力することにより、生体の生理特性に応じた最適センサの選択が可能になる。
【0018】
本発明に係る生体情報取得装置は、前記センサ評価・選択部は、前記新たな評価値が最も小さいセンサを選択すると好適である。この構成では、複数のセンサからノイズ成分の少ないセンサを最適センサとして常に選択するので、正確な生体情報の取得が可能になる。
【0019】
本発明に係る生体情報取得装置は、前記センサで信号を出力する時間間隔よりも前記センサ評価・選択部で前記新たな評価値を出力する時間間隔の方が長いと好適である。睡眠中に一度体動が治まってから次の体動が起こるまでの時間は通常数秒以上はあり頻繁に最適センサが変更になる可能性は低い。そこで、前記センサで振動を検出する時間間隔(0.01秒から0.1秒程度)に対して前記新たな評価値を算出して最適センサを選択する処理を実行する時間間隔を長くすることにより、電力消費を抑制することができる。
【0020】
本発明に係る生体情報取得装置は、前記センサで信号を出力する時間間隔と前記センサ評価・選択部で前記新たな評価値を出力する時間間隔は変更可能であると好適である。この構成では、睡眠状態に応じて最適なセンサを選択する時間間隔を設定することが可能になる。例えば、熟睡時など体動がほとんど発生しないときには最適センサが短時間に何度も変更になる可能性は低いので、前記新たな評価値を算出して最適センサを選択する処理を実行する時間間隔を長くして計算負荷を低減させることができる。
【0021】
本発明に係る生体情報取得装置は、寝具に備えられていると好適である。寝具に前記生体情報取得装置が備えられることにより、生体情報に基づく人の睡眠状態を正確に推定することが可能になる。その結果、推定に基づいて照明や温度、湿度等の寝室の環境を制御して、人に質の高い良好な睡眠を提供することができる。
【0022】
本発明に係る生体情報取得装置は、車両用座席に備えられていると好適である。例えば車両用座席の背もたれ部に前記生体情報取得装置が備えられることにより、生体情報に基づく運転者の身体の状態を正確に推定することが可能になる。その結果、例えば運転者が強い眠気を生じているという推定に基づいて運転者に刺激を与えるなど、覚醒を促す報知をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る生体情報取得機能付きベッドを示す斜視図である。
【図2】生体センサアセンブリの構造を示す図である。
【図3】生体情報取得装置を含むシステム全体のブロック図である。
【図4】最適圧電センサを選択するための処理フローを示す図である。
【図5】高心拍数被験者に対応するカットオフ周波数の説明図である。
【図6】低心拍数被験者に対応するカットオフ周波数の説明図である。
【図7】フィルタ処理部のブロック図である。
【図8a】圧電センサの出力信号波形を示す図である。
【図8b】包絡線信号の波形を示す図である。
【図8c】包絡線信号の夫々について計測したR−R間隔を時系列で表したグラフである。
【図8d】異常フラグによるパルス出力の時間推移を示すグラフである。
【図9】心拍波形の包絡線信号を拡大した図である。
【図10a】高心拍数被験者に対応する圧電センサの出力信号波形を示す図である。
【図10b】高心拍数被験者に対応する包絡線信号の波形を示す図である。
【図11a】低心拍数被験者に対応する圧電センサの出力信号波形を示す図である。
【図11b】低心拍数被験者に対応する包絡線信号の波形を示す図である。
【図12】検出状態判定のフローを示す図である。
【図13】不完全積分器の動作を示す図である。
【図14】圧電センサの評価および最適圧電センサの選択のフローを示す図である。
【図15】各圧電センサの評価値の時間推移と選択された圧電センサを示す図である。
【図16】被験者別の検出率を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係るフィルタ処理部のブロック図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る車両用座席を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態について、図に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る生体情報取得装置付きベッド1を示す斜視図である。生体情報取得装置付きベッド1は、生体情報取得装置10、マットレス28、照明付きヘッドボード29を有している。マットレス28は、生体情報取得装置付きベッド1のベッドフレームの上に載置されており、生体情報取得装置10は、マットレス28の底面とベッドフレームの上面の間に設置されている生体センサアセンブリ18と、生体センサアセンブリ18から出力された信号を処理する信号処理部11からなる。生体センサアセンブリ18は2枚のセンサアセンブリシート19、20から構成されている。センサアセンブリシート19、20は、その長手方向がマットレス28の短手方向と平行かつ生体情報取得装置付きベッド1に横たわっている人(被験者)の肩甲骨と臀部の周辺にくるように設置されている。
【0025】
図2は生体センサアセンブリ18の拡大図である。図2に示すように、センサアセンブリシート19、20は同じ大きさで、長手方向の長さが約600ミリメートル、短手方向の長さが約150ミリメートルの長方形状である。センサアセンブリシート19の内部には3個の圧電センサ19a、19b、19cが内蔵され、センサアセンブリシート20の内部には3個の圧電センサ20a、20b、20cが内蔵されている。これらの圧電センサ19a、19b、19c、20a、20b、20c(以下6個の圧電センサを一括して表現するときは、圧電センサ19a〜19c、20a〜20cと記載することもある)は被験者の振動を検出して振動の大きさに応じた検出信号を出力する。圧電センサ19a〜19c、20a〜20cは本発明におけるセンサの一例である。
【0026】
圧電センサ19a〜19c、20a〜20cから出力された検出信号の処理について、図3から図11を用いて説明する。図3は本実施形態に係る生体情報取得装置10を含むシステム全体のブロック図である。生体情報取得装置10は、被験者が発する振動を圧電センサ19a〜19c、20a〜20cで検出し、そこから被験者の心拍などの生体情報を計測して睡眠深度を推定する装置である。生体情報取得装置10の信号処理部11は、フィルタ処理部12、生体情報計測部13、検出状態判定部14、センサ評価・選択部15、生体情報出力部16、睡眠深度推定部17により構成されている。以下本システムにおいて被験者の心拍を最も正確に検出している圧電センサ(以下最適圧電センサという)を選択するための処理フローおよび本システムを構成する各ブロックについて詳細な説明を行う。
【0027】
図4は本実施形態に係る生体情報取得装置10において最適圧電センサを選択するための処理フローである。このフローで示すように、各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cで振動を検出してその検出信号を出力し(S41)、検出信号から被験者の心拍などの生体情報に相当する周波数成分を抽出するフィルタ処理を行う(S42)。その後、生体情報計測により被験者の心拍間隔を計測し(S43)、それと並行して検出信号に心拍以外の信号が含まれているか否かを判定する検出状態判定を行う(S44)。次に検出状態判定の結果に基づいて各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの評価を行い、最適圧電センサを選択する(S45)。最後に、選択された最適圧電センサの心拍間隔の信号(生体情報)を出力し(S46)、被験者の睡眠深度を推定する(S47)。図4には不図示であるが、その後推定結果に基づいて外部コントローラ23が照明24やエアコン25、カーテン26、振動枕27などを制御し、被験者に質の高い良好な睡眠を提供する。
【0028】
図3に示されているフィルタ処理部12は、圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの検出信号を0.01秒の動作周期で取得してフィルタ処理を行い、被験者の心拍などの生体情報に相当する周波数成分を抽出して心拍波形の包絡線信号を出力する。
フィルタ処理部12では、バンドパスフィルタ処理を行うバンドパスフィルタ処理部
(以下、BPF処理部という)50で心拍の拍動周波数を抽出し、整流処理を行う整流処理部51及びローパスフィルタ処理を行うローパスフィルタ処理部(以下、LPF処理部という)52で心拍波形の包絡線信号を取得する。包絡線信号の一周期が心拍の一拍に相当する。
【0029】
図5に例示するように、例えば睡眠時の心拍数(生体情報の一例)が高い(多い)高心拍数被験者に対して低いカットオフ周波数fLでローパスフィルタ処理を行うと基本成分まで遮断してしまい、検出漏れが生じ易い。
逆に、図6に例示するように、睡眠時の心拍数が低い(少ない)低心拍数被験者に対して高いカットオフ周波数fHでローパスフィルタ処理を行うと高調波の影響を打ち消すことができず、この場合も検出漏れが生じ易い。
したがって、心拍数の検出には被験者の生理特性(心拍数の高低)に応じた適切なカットオフ周波数を設定する必要があるが、心拍数は個人差によって大きくばらつくために、一つのローパスフィルタで対処するには限界がある。
【0030】
このため、図7に示すように、本実施形態におけるフィルタ処理部12には、カットオフ周波数が互いに異なる複数(本実施形態では二つ)のLPF処理部52、つまり、心拍数が高い高域の検出に特化したカットオフ周波数が高い高域LPF処理部52Hと、カットオフ周波数が高域LPF処理部52Hよりも低い、心拍数が低い低域の検出に特化した低域LPF処理部52Lとを互いに並列に備えている。
【0031】
そして、各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの検出信号の夫々について、同じカットオフ周波数によるバンドパスフィルタ処理及び整流処理を行った後、カットオフ周波数が互いに異なる高域LPF処理部52Hと低域LPF処理部52Lとによるローパスフィルタ処理を行う。
【0032】
図8aは、圧電センサ19a〜19c、20a〜20cから出力された検出信号の時間推移を表すグラフである。横軸が時間で縦軸が振動の大きさを表している。
図8bは、図8aの各検出信号についてフィルタ処理部12で処理を行った後の心拍波形の包絡線信号を示し、一つの圧電センサ毎に、高域LPF処理部52Hと低域LPF処理部52Lとでローパスフィルタ処理された二つの包絡線信号19aH,19aL〜19cH,19cL、20aH,20aL〜20cH,20cLが得られる。
【0033】
尚、19aH〜19cH,20aH〜20cHで示す信号は、対応する圧電センサから出力された検出信号を高域LPF処理部52Hで処理した包絡線信号に対応し、19aL〜19cL,20aL〜20cLで示す信号は、対応する圧電センサから出力された検出信号を低域LPF処理部52Lで処理した包絡線信号に対応している。
【0034】
図10aは、高心拍数被験者に対応して圧電センサの一つから出力された検出信号(センサ波形)を例示する。図10bは、高心拍数被験者に対応して出力された検出信号を高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号Hと、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号Lとを例示する。
【0035】
図10a,10bに示すように、高心拍数被験者では、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号Lが大きく減衰されるために、高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号Hを使用することにより、高心拍数被験者の生理特性に応じた適切な心拍数(生体情報)の取得が可能になる。
【0036】
図11aは、低心拍数被験者に対応して圧電センサの一つから出力された検出信号(センサ波形)を例示する。図11bは、低心拍数被験者に対応して出力された検出信号を高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号Hと、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号Lとを例示する。
【0037】
図11a,11bに示すように、低心拍数被験者では、高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号Hに高調波成分が残っているために、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号Lを使用することにより、低心拍数被験者の生理特性に応じた適切な心拍数(生体情報)の取得が可能になる。
【0038】
生体情報計測部13では、各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの心拍波形について、高域LPF処理部52Hと低域LPF処理部52Lの夫々から出力された包絡線信号19aH,19aL〜19cH,19cL、20aH,20aL〜20cH,20cLを検波して心拍パルス状脈波を作り、そのパルス間隔の時間を計測して出力する。
このパルス間隔時間をR−R間隔といい、被験者の心拍間隔のことである。心拍数はR−R間隔の逆数である。図8cは、包絡線信号19aH,19aL〜19cH,19cL、20aH,20aL〜20cH,20cLの夫々について計測したR−R間隔を時系列で表したグラフである。
横軸が時間で縦軸がR−R間隔である。縦軸の値が安定しているほど心拍数が一定であり、縦軸の値が変動しているのは心拍数が変化していることを示している。例えば、圧電センサ19cから検出された心拍数は安定しており、圧電センサ20cから検出された心拍数は変動していることを示している。
【0039】
検出状態判定部14では、図8bの心拍波形の包絡線信号の周期ごとの全振幅値(Peak-to-Peakの値)である波高値を求め、波高値の大きさから当該周期の信号が心拍か否かを判断して、心拍でなければ異常フラグとし、パルスを出力する。図8dは各検出信号(包絡線信号)について異常フラグによるパルス出力の時間推移を示すグラフである。このグラフにおいて、HIパルスの箇所が心拍ではないと判定された箇所である。
【0040】
表1は波高値の大きさ、検出状態、異常フラグのオン、オフの関係を示すものである。
【表1】
これより、波高値が所定の範囲内の大きさであれば心拍であると判断され異常フラグのパルスは出力されず、その範囲以外の大きさであれば心拍ではないと判断され異常フラグのパルスが出力される。図9に図8bの一部を拡大したグラフを示す。これより、波高値の大きさによって検出状態の判断が異なることがわかる。
【0041】
図12に検出状態判定部14における検出状態判定のフローを示す。これは図4のS44を詳細に記したものである。判定は6個の圧電センサ19a〜19c、20a〜20cのそれぞれについて行う。まず状態を判定する圧電センサ(CH=1)を選択し(S71)、当該圧電センサの二つの包絡線信号の夫々について頂点のタイミングを検出し(S72)、波高値を算出する(S73)。
つまり、圧電センサ(CH=1〜6)毎に、高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号H(S71a)についてS72〜S76の動作を実行した後、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号L(S71b)についてS72〜S76の動作を実行する。
【0042】
次に、二つの包絡線信号の夫々について、当該波高値が所定範囲内にあるかどうかを判定し(S74)、所定範囲内にあれば異常フラグを立てずに(S75)、圧電センサの検出状態判定は終了する。当該波高値が所定範囲内になかった場合には異常フラグを立てて(S76)、圧電センサの検出状態判定は終了する。
【0043】
次に6個の圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの全てに対して検出状態判定を行ったかどうかを確認し(S77)、検出状態判定を行っていない圧電センサがあればCHNoに1を加算し(S78)、次の圧電センサの検出状態判定を開始する。6個全ての圧電センサの検出状態判定が行われていれば、検出状態判定のフローは終了する。
【0044】
センサ評価・選択部15では、検出状態判定部14で行われた判定に基づくパルス出力を用いて各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの評価値を算出し、被験者の心拍を最も正確に検出している圧電センサを選択する。まず、圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの評価値算出方法について説明する。
【0045】
圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの評価値は図13に示す不完全積分器21により算出される。この不完全積分器21は、過去の情報を一定割合で忘却していくように動作する積分器である。これは、生体情報取得装置付きベッド1上の被験者の寝位置や寝姿勢によって検出状態が変化することから、この変化に対応するためである。
【0046】
図13はこの不完全積分器21の動作を示す模式図である。左側のグラフは図8dに示す各検出信号(包絡線信号)について異常フラグによるパルス出力の時間推移を示すグラフと同じである。このパルス信号を不完全積分器21に入力すると、伝達関数により変換され、右側のグラフに示す出力信号が得られる。この右側のグラフは圧電センサの評価値の時間推移を示すものである。
尚、図13及び後述する図15の圧電センサの評価値のグラフは、図の見易さを考慮して6個の検出信号を例示しているが、実際には12個の包絡線信号で圧電センサを評価する。
各時間において、出力信号が最も小さい、すなわち評価値が最も小さい圧電センサを最適圧電センサとして選択する。出力信号の値が最も小さい圧電センサは、算出対象時間の入力信号においてHIパルスが発生した時間が最も短いセンサであることを示しており、これは被験者の心拍を検出した時間が最も長いセンサである。被験者の心拍を検出した時間の長いセンサほど被験者の心拍を正確に検出しているセンサであることは、出願人の知見により明らかになっており、これについては後述する。
【0047】
この不完全積分器21の伝達関数は、入力をU(z)、出力をY(z)とすると
【数1】
で表される。αは帰還率であり、不完全積分器21の設定パラメータである。αの値によって、過去情報を忘却する割合が定まる。帰還率100%すなわちα=1のときが通常の積分器である。
【0048】
上記(1)式を差分方程式で書き表すと、
【数2】
となる。これより今回の評価値y(k)は、前回の評価値y(k−1)に帰還率αを乗じて一定割合忘却させて今回の入力値u(k)を加算した値になることがわかる。このように帰還率αと前回の評価値y(k−1)から今回の評価値y(k)が求められるので、周波数スペクトルを算出するときのような大容量のメモリは不要となる。
【0049】
次に帰還率αを以下のように求める。この不完全積分器21において、現在の入力の影響が1/e(=36.8%)に減少するのに要する時間はこの不完全積分器21の時定数Tcに等しい。また、この不完全積分器21の入力信号のサンプリング周期をTpとすると、以下の関係が成立する。
【数3】
これを解くと、
【数4】
となる。本発明の実施の形態でTc=10秒、Tp=0.01秒と設定すると、(4)式よりα=0.999を得る。
【0050】
図14に、センサ評価・選択部15における最適圧電センサの選択のフローを示す。これは図4のS45を詳細に記したものである。判定は6個の圧電センサ19a〜19c、20a〜20cから出力された検出信号を高域LPF処理部52Hと低域LPF処理部52Lとで処理した二つの包絡線信号のそれぞれについて行う。まず状態を判定する圧電センサを選択し(CH=1)、最適圧電センサのCHNo(BestCh)を0に設定、最適圧電センサの評価値(J_min)を下限値(inf)に設定する(S91)。
つまり、圧電センサ(CH=1〜6)毎に、高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号H(S91a)についてS92〜S94の動作を実行した後、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号L(S91b)についてS92〜S94の動作を実行する。
【0051】
次に選択された圧電センサの評価値(J)を上述したように算出し(S92)、当該評価値(J)と最適圧電センサの評価値(J_min)を比較する(S93)。J≧J_minであれば、BestChやJ_minを変更しない。J<J_minであれば、BestChを当該圧電センサのCHNoに変更し、J_minを当該評価値に変更する(S94)。次に6個の圧電センサ全てに対して評価値算出と評価を行ったかどうかを確認し(S95)、まだ評価値算出と評価を行っていない圧電センサがあればCHNoに1を加算し(S96)、次の圧電センサの評価値算出と評価を開始する。6個全ての圧電センサの評価値算出と評価が行われていれば、最適圧電センサ選択のフローは終了し、最適圧電センサのCHNoを出力する。
【0052】
本発明の実施の形態における圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの検出信号の出力から最適圧電センサのCHNoの出力までに要する時間は約0.2秒である。これより、本発明の実施の形態は、周波数スペクトルを算出して最適圧電センサを選択する方法と比べて、タイムラグがなく、リアルタイムで最適圧電センサを選択できる方法であることがわかる。
【0053】
図15は圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの評価値の時間推移を示している。これは図13においてY(Z)の関数として示されているグラフと同じである。図15において太線で示されているのが、選択された圧電センサである。このように、常に評価値が最低である圧電センサが選択される。
【0054】
生体情報出力部16では、センサ評価・選択部15で選択された最適圧電センサの情報と、生体情報計測部13で計測された各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cのR−R間隔の信号が入力され、最適圧電センサのR−R間隔の信号だけが出力される。このように、6個全ての圧電センサ19a〜19c、20a〜20cのR−R間隔信号が生体情報出力部16に入力されるので、センサ評価・選択部15で選択された最適圧電センサが変わってもすぐに新たな最適圧電センサのR−R間隔信号を出力することが可能になり、被験者の状態の変化(寝返りなど)を直ちに検出してその生体情報を取得することができる。
【0055】
評価値が最も小さい圧電センサで検出された心拍が被験者の心拍を正確に検出していることは上述したとおりである。以下、これを実験により証明した結果について述べる。図16において、横軸のアルファベットは被験者を表し、縦軸は生体情報取得装置10により取得された心拍の検出率を示すものである。検出率とは、各被験者について生体情報取得装置10による心拍の取得と同時に心電計によって実際の心拍数も計測し、両者の心拍数の差が1拍以内のとき生体情報取得装置10は正しく心拍を検出できたとの定義に基づき、正しく検出できた割合のことである。
【0056】
この検出率が高いほど生体情報取得装置10で正確に心拍を検出できていることを示している。被験者で同じアルファベットがあるのは同じ被験者に対し、異なる日で実験したことを示している。図16より、各被験者の検出率は高いことがわかる。よって、生体情報取得装置10による心拍の取得は実際の心拍数を反映したものになっているといえる。
【0057】
睡眠深度推定部17で被験者の心拍などの生体情報が入力され、それに基づいて、被験者の睡眠深度を推定する。睡眠深度は例えば覚醒状態、レム睡眠、浅いノンレム睡眠、深いノンレム睡眠のように4段階で推定することができる。そして睡眠深度の推定結果に応じた信号が例えば外部コントローラ23や推定結果表示部22に出力される。
【0058】
外部コントローラ23は、睡眠深度の推定結果に応じてより快適な質の高い睡眠環境を提供するために、照明24、エアコン25、カーテン26、振動枕27などをその睡眠深度に応じて最適な状態になるように制御する。
【0059】
このように、本発明の実施の形態に係る生体情報取得装置付きベッド1では、生体情報取得装置10が被験者の状態の変化にもすばやく対応して常に被験者の正確な生体情報を出力するので、被験者に対しより快適な質の高い睡眠環境を提供することが可能になる。
【0060】
本実施形態では、圧電センサ19a〜19c、20a〜20cのサンプリング周期とセンサ評価・選択部15での評価値算出周期を共に0.01秒としたが、睡眠時の被験者の体の動きはそれほどすばやくないので、サンプリング周期を例えば0.1秒にしてもよい。また、圧電センサのサンプリング周期と評価値算出周期とは必ずしも同じ周期にする必要はなく、評価値算出周期だけ0.1秒周期にしてもよい。深いノンレム睡眠と推定されたときは被験者の体の動きはさらに少なくなると考えられるので、評価値算出周期をさらに長くするなど、睡眠深度に応じてサンプリング周期や評価値算出周期を変えてもよい。
【0061】
また、センサ評価・選択部15では評価値の最も小さい圧電センサを選択したが、最も評価値の大きい圧電センサ以外の5個の圧電センサの情報を出力し、それらの圧電センサのR−R間隔信号を平均した信号を被験者の心拍として生体情報出力部16から出力するようにしてもよい。
尚、本実施形態における生体情報取得装置10のフィルタ処理部12は、検出領域が異なる、或いは一部が重複する三つ以上のLPF処理部を備えていてもよい。
【0062】
[第2実施形態]
図17は、本発明の第2の実施の形態を示す。
本実施形態では、フィルタ処理部12は、BPF処理部50と、そのBPF処理部50から出力された信号を処理する整流処理部51及びLPF処理部52との組み合わせの複数(本実施形態では二つ)を互いに並列に備えている。
そして、各組み合わせに含まれるBPF処理部50夫々のカットオフ周波数を互いに異ならせると共に、LPF処理部52夫々のカットオフ周波数を互いに異ならせてある。
【0063】
つまり、カットオフ周波数が高い高域BPF処理部50H、その高域BPF処理部50Hから出力された信号を処理する高域整流処理部51H及び高域LPF処理部52Hの組み合わせと、カットオフ周波数が低い低域BPF処理部50L、その低域BPF処理部50Lから出力された信号を処理する低域整流処理部51L及び低域LPF処理部52Lの組み合わせとを並列に備えている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
尚、本実施形態における生体情報取得装置10のフィルタ処理部12は、検出領域が異なる、或いは一部が重複する三つ以上のBPF処理部とLPF処理部との組み合わせを備えていてもよい。
【0064】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図18は第3の実施の形態を示す車両用座席2の模式図である。この車両は生体情報取得装置30を搭載している。その信号処理部31はECU39上に実装されており、生体センサアセンブリ38は車両用座席2の背もたれ部に内蔵されている。
【0065】
この生体情報取得装置30の構成、動作は第1又は第2の実施の形態と同じなので詳細な説明は省略する。ただし、本実施形態では、生体情報取得装置30は車両に搭載されており、その目的は居眠り運転の防止である。従って、最終的な出力信号は睡眠深度の推定結果に応じた信号ではなく、例えば覚醒状態、弱い眠気、強い眠気、睡眠状態を推定する信号(以下、覚醒程度の推定信号という)が出力される。
【0066】
生体情報取得装置30の信号処理部31から出力される覚醒程度の推定信号を受けると、ECU39上にあるコントローラ40は、運転者に覚醒を促すように各種デバイスを制御する。例えば、運転者に何らかの刺激を与える睡眠覚醒デバイス41を動作させる。また、エアコンの風を運転者の顔に吹き付けたり、車内音響機器のボリュームを上げるなど、他の方法で運転者に覚醒を促すようにしてもよい。
【0067】
本発明によれば、複数のセンサから検出した生体情報のうち、最も正しく生体情報を取得可能なセンサをリアルタイムで選択できるので、正しく取得できた生体情報を用いて各種制御を行う機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1:生体情報取得装置付きベッド
2:車両用座席
10,30:生体情報取得装置
11,31:信号処理部
12:フィルタ処理部
13:生体情報計測部
14:検出情報判定部
15:センサ評価・判定部
16:生体情報出力部
19a,19b,19c:圧電センサ
20a,20b,20c:圧電センサ
50H,50L:バンドパスフィルタ処理部
52H,52L:ローパスフィルタ処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサから生体情報を取得する生体情報取得方法および生体情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活リズムが夜型になり不眠や眠りが浅いなど睡眠に関する問題を抱える人が多くなってきている。質の高い良好な睡眠が取れていないと昼間に眠気に襲われるなど、日常生活に支障をきたしてしまう。そこで人の睡眠状態に合わせて覚醒光や振動枕を適切に制御して質の高い良好な睡眠を提供する装置が提供されている。このような装置では、心拍数や呼吸数、体動などの生体情報をセンサにより検出し、検出結果に基づいて睡眠状態を判断している。
【0003】
通常、センサは人の睡眠を妨げないように寝具等に複数取り付けられている。複数のセンサの中から人の生体情報を最も正確に検出しているセンサ(最適センサ)を選択し、そのセンサの信号をそのときの生体情報として取得するが、人は睡眠中に寝返りなどの体動が起こるため、最適センサは睡眠中に変化する。
【0004】
特許文献1には、次の発明が開示されている。人体の呼吸音を複数のセンサにより検出し、センサごとに呼吸音の信号を周波数変換した周波数スペクトルを得る。当該スペクトルから呼吸に同期して変化する呼吸同期成分を抽出し、各センサの呼吸同期成分の周波数分布を比較して最適センサを選択し、最適センサの呼吸同期成分から人体の呼吸状態を推定する。
【0005】
特許文献2には、次の発明が開示されている。人体の呼吸や心拍数を複数の圧力センサにより検出し、各センサからの圧力変化の信号をSQI(Signal Quality Index)による評価を行ってSQIの最も高い信号のセンサを最適センサとして選択する。当該センサの信号をウェーブレット変換した後、呼吸数検出用信号と心拍数検出用信号に分離して呼吸数と心拍数を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−14501号公報
【特許文献2】特開2007−61587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術はいずれも最適センサの選択過程において、センサによる検出信号から周波数スペクトルを算出している。周波数スペクトルを算出するには所定の時間領域内の検出信号を一度に変換する必要があるため、算出前には所定の時間領域内の時系列点数分の信号を収集するための時間(例えば10秒)と、当該信号を記憶する大容量のメモリが必要になってしまう。このため複数のセンサによる検出信号の出力から最適センサの選択までには時間の遅れ(タイムラグ)が生じてしまい、リアルタイムで最適センサを選択できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑み、複数のセンサから最適な生体情報を取得可能なセンサをリアルタイムで選択する方法および装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る生体情報取得方法の特徴は、生体が発する振動を複数のセンサで検出するステップと、前記センサの出力信号から取得目的とする生体情報の周波数成分の信号のみを抽出するステップと、前記抽出された信号において全振幅値が所定範囲外の信号をノイズと判断し、前記ノイズに対応したパルス信号を生成するステップと、前記センサの新たな評価値を、前記センサの前回の評価値に所定の定数を乗じた値に前記パルス信号を加えることにより算出するステップと、前記新たな評価値に基づいて前記生体情報を取得するセンサを選択するステップと、を含む点にある。
【0010】
上記方法では、複数のセンサから最適センサを選択するために周波数スペクトルを用いない。このため周波数スペクトルの算出が不要になり、算出に必要なセンサ検出信号を記憶するためのメモリが不要になる。さらに複数のセンサによる検出信号の出力から最適センサの選択までのタイムラグもなくなり、リアルタイムで最適センサを選択して生体情報を取得することが可能になる。
【0011】
また本発明に係る生体情報取得方法は、前記生体情報を取得するセンサを選択するステップにおいて、前記新たな評価値が最も小さいセンサを選択すると好適である。この方法によると、複数のセンサからノイズ成分の少ないセンサを最適センサとして常に選択するので、正確な生体情報の取得が可能になる。
【0012】
また本発明に係る生体情報取得方法は、前記センサで振動を検出する時間間隔よりも前記新たな評価値を算出する時間間隔の方が長いと好適である。睡眠中に一度体動が治まってから次の体動が起こるまでの時間は通常数秒以上はあり頻繁に最適センサが変更になる可能性は低い。そこで、前記センサで振動を検出する時間間隔(0.01秒から0.1秒程度)に対して前記評価値を算出して最適センサを選択する処理を実行する時間間隔を長くすることにより、電力消費を抑制することができると共に、安価なマイコンを使用することができる。
【0013】
本発明に係る生体情報取得方法は、前記センサで振動を検出する時間間隔と前記新たな評価値を算出する時間間隔は変更可能であると好適である。この方法によると、睡眠状態に応じて最適なセンサを選択する時間間隔を設定することが可能になる。例えば熟睡時など体動が頻繁に発生しないときには最適センサが短時間変更になる可能性は低いので、前記評価値を算出して最適センサを選択する処理を実行する時間間隔を長くして計算負荷を低減させることができる。
【0014】
本発明に係る生体情報取得装置の特徴構成は、生体が発する振動を検出して前記振動に対応した信号を出力する複数のセンサと、前記信号から取得目的とする生体情報の周波数成分のみを抽出して抽出信号を出力するフィルタ処理部と、前記抽出信号において全振幅値が所定範囲外の信号をノイズと判断し、前記ノイズに対応したパルス信号を出力する検出状態判定部と、前記センサの新たな評価値を前記センサの前回の評価値に所定の定数を乗じた値に前記パルス信号の積分値を加えることにより出力し、前記新たな評価値に基づいて前記生体情報を取得するセンサを選択するセンサ評価・選択部と、を備えた点にある。
【0015】
上記構成では、周波数スペクトルを算出する手段を有しておらず、周波数スペクトルを算出することなく複数のセンサから最適センサを選択することができる。また周波数スペクトルの算出に必要なセンサ検出信号を記憶するためのメモリが不要になり、安価なマイコンにも実装可能となる。さらに複数のセンサによる検出信号の出力から最適センサの選択までのタイムラグもなくなり、リアルタイムで最適センサを選択して生体情報を取得することが可能になる。
【0016】
本発明に係る生体情報取得装置は、前記フィルタ処理部は、カットオフ周波数が異なる複数のローパスフィルタ処理部を並列に備えていると好適である。
この構成によれば、フィルタ処理部が、各センサ毎に、生体情報の周波数成分をローパスフィルタ処理部毎の異なるカットオフ周波数で抽出した複数の抽出信号を出力することにより、生体の生理特性に応じた最適センサの選択が可能になる。
【0017】
本発明に係る生体情報取得装置は、前記フィルタ処理部は、バンドパスフィルタ処理部とそのバンドパスフィルタ処理部から出力された信号を処理するローパスフィルタ処理部との組み合わせの複数を並列に備え、前記各組み合わせに含まれるバンドパスフィルタ処理部夫々のカットオフ周波数を異ならせると共に、前記ローパスフィルタ処理部夫々のカットオフ周波数を異ならせてあると好適である。
この構成によれば、フィルタ処理部が、各センサ毎に、生体情報の周波数成分を、バンドパスフィルタ処理部毎の異なるカットオフ周波数及びローパスフィルタ処理部毎の異なるカットオフ周波数で抽出した複数の抽出信号を出力することにより、生体の生理特性に応じた最適センサの選択が可能になる。
【0018】
本発明に係る生体情報取得装置は、前記センサ評価・選択部は、前記新たな評価値が最も小さいセンサを選択すると好適である。この構成では、複数のセンサからノイズ成分の少ないセンサを最適センサとして常に選択するので、正確な生体情報の取得が可能になる。
【0019】
本発明に係る生体情報取得装置は、前記センサで信号を出力する時間間隔よりも前記センサ評価・選択部で前記新たな評価値を出力する時間間隔の方が長いと好適である。睡眠中に一度体動が治まってから次の体動が起こるまでの時間は通常数秒以上はあり頻繁に最適センサが変更になる可能性は低い。そこで、前記センサで振動を検出する時間間隔(0.01秒から0.1秒程度)に対して前記新たな評価値を算出して最適センサを選択する処理を実行する時間間隔を長くすることにより、電力消費を抑制することができる。
【0020】
本発明に係る生体情報取得装置は、前記センサで信号を出力する時間間隔と前記センサ評価・選択部で前記新たな評価値を出力する時間間隔は変更可能であると好適である。この構成では、睡眠状態に応じて最適なセンサを選択する時間間隔を設定することが可能になる。例えば、熟睡時など体動がほとんど発生しないときには最適センサが短時間に何度も変更になる可能性は低いので、前記新たな評価値を算出して最適センサを選択する処理を実行する時間間隔を長くして計算負荷を低減させることができる。
【0021】
本発明に係る生体情報取得装置は、寝具に備えられていると好適である。寝具に前記生体情報取得装置が備えられることにより、生体情報に基づく人の睡眠状態を正確に推定することが可能になる。その結果、推定に基づいて照明や温度、湿度等の寝室の環境を制御して、人に質の高い良好な睡眠を提供することができる。
【0022】
本発明に係る生体情報取得装置は、車両用座席に備えられていると好適である。例えば車両用座席の背もたれ部に前記生体情報取得装置が備えられることにより、生体情報に基づく運転者の身体の状態を正確に推定することが可能になる。その結果、例えば運転者が強い眠気を生じているという推定に基づいて運転者に刺激を与えるなど、覚醒を促す報知をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る生体情報取得機能付きベッドを示す斜視図である。
【図2】生体センサアセンブリの構造を示す図である。
【図3】生体情報取得装置を含むシステム全体のブロック図である。
【図4】最適圧電センサを選択するための処理フローを示す図である。
【図5】高心拍数被験者に対応するカットオフ周波数の説明図である。
【図6】低心拍数被験者に対応するカットオフ周波数の説明図である。
【図7】フィルタ処理部のブロック図である。
【図8a】圧電センサの出力信号波形を示す図である。
【図8b】包絡線信号の波形を示す図である。
【図8c】包絡線信号の夫々について計測したR−R間隔を時系列で表したグラフである。
【図8d】異常フラグによるパルス出力の時間推移を示すグラフである。
【図9】心拍波形の包絡線信号を拡大した図である。
【図10a】高心拍数被験者に対応する圧電センサの出力信号波形を示す図である。
【図10b】高心拍数被験者に対応する包絡線信号の波形を示す図である。
【図11a】低心拍数被験者に対応する圧電センサの出力信号波形を示す図である。
【図11b】低心拍数被験者に対応する包絡線信号の波形を示す図である。
【図12】検出状態判定のフローを示す図である。
【図13】不完全積分器の動作を示す図である。
【図14】圧電センサの評価および最適圧電センサの選択のフローを示す図である。
【図15】各圧電センサの評価値の時間推移と選択された圧電センサを示す図である。
【図16】被験者別の検出率を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係るフィルタ処理部のブロック図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る車両用座席を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態について、図に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る生体情報取得装置付きベッド1を示す斜視図である。生体情報取得装置付きベッド1は、生体情報取得装置10、マットレス28、照明付きヘッドボード29を有している。マットレス28は、生体情報取得装置付きベッド1のベッドフレームの上に載置されており、生体情報取得装置10は、マットレス28の底面とベッドフレームの上面の間に設置されている生体センサアセンブリ18と、生体センサアセンブリ18から出力された信号を処理する信号処理部11からなる。生体センサアセンブリ18は2枚のセンサアセンブリシート19、20から構成されている。センサアセンブリシート19、20は、その長手方向がマットレス28の短手方向と平行かつ生体情報取得装置付きベッド1に横たわっている人(被験者)の肩甲骨と臀部の周辺にくるように設置されている。
【0025】
図2は生体センサアセンブリ18の拡大図である。図2に示すように、センサアセンブリシート19、20は同じ大きさで、長手方向の長さが約600ミリメートル、短手方向の長さが約150ミリメートルの長方形状である。センサアセンブリシート19の内部には3個の圧電センサ19a、19b、19cが内蔵され、センサアセンブリシート20の内部には3個の圧電センサ20a、20b、20cが内蔵されている。これらの圧電センサ19a、19b、19c、20a、20b、20c(以下6個の圧電センサを一括して表現するときは、圧電センサ19a〜19c、20a〜20cと記載することもある)は被験者の振動を検出して振動の大きさに応じた検出信号を出力する。圧電センサ19a〜19c、20a〜20cは本発明におけるセンサの一例である。
【0026】
圧電センサ19a〜19c、20a〜20cから出力された検出信号の処理について、図3から図11を用いて説明する。図3は本実施形態に係る生体情報取得装置10を含むシステム全体のブロック図である。生体情報取得装置10は、被験者が発する振動を圧電センサ19a〜19c、20a〜20cで検出し、そこから被験者の心拍などの生体情報を計測して睡眠深度を推定する装置である。生体情報取得装置10の信号処理部11は、フィルタ処理部12、生体情報計測部13、検出状態判定部14、センサ評価・選択部15、生体情報出力部16、睡眠深度推定部17により構成されている。以下本システムにおいて被験者の心拍を最も正確に検出している圧電センサ(以下最適圧電センサという)を選択するための処理フローおよび本システムを構成する各ブロックについて詳細な説明を行う。
【0027】
図4は本実施形態に係る生体情報取得装置10において最適圧電センサを選択するための処理フローである。このフローで示すように、各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cで振動を検出してその検出信号を出力し(S41)、検出信号から被験者の心拍などの生体情報に相当する周波数成分を抽出するフィルタ処理を行う(S42)。その後、生体情報計測により被験者の心拍間隔を計測し(S43)、それと並行して検出信号に心拍以外の信号が含まれているか否かを判定する検出状態判定を行う(S44)。次に検出状態判定の結果に基づいて各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの評価を行い、最適圧電センサを選択する(S45)。最後に、選択された最適圧電センサの心拍間隔の信号(生体情報)を出力し(S46)、被験者の睡眠深度を推定する(S47)。図4には不図示であるが、その後推定結果に基づいて外部コントローラ23が照明24やエアコン25、カーテン26、振動枕27などを制御し、被験者に質の高い良好な睡眠を提供する。
【0028】
図3に示されているフィルタ処理部12は、圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの検出信号を0.01秒の動作周期で取得してフィルタ処理を行い、被験者の心拍などの生体情報に相当する周波数成分を抽出して心拍波形の包絡線信号を出力する。
フィルタ処理部12では、バンドパスフィルタ処理を行うバンドパスフィルタ処理部
(以下、BPF処理部という)50で心拍の拍動周波数を抽出し、整流処理を行う整流処理部51及びローパスフィルタ処理を行うローパスフィルタ処理部(以下、LPF処理部という)52で心拍波形の包絡線信号を取得する。包絡線信号の一周期が心拍の一拍に相当する。
【0029】
図5に例示するように、例えば睡眠時の心拍数(生体情報の一例)が高い(多い)高心拍数被験者に対して低いカットオフ周波数fLでローパスフィルタ処理を行うと基本成分まで遮断してしまい、検出漏れが生じ易い。
逆に、図6に例示するように、睡眠時の心拍数が低い(少ない)低心拍数被験者に対して高いカットオフ周波数fHでローパスフィルタ処理を行うと高調波の影響を打ち消すことができず、この場合も検出漏れが生じ易い。
したがって、心拍数の検出には被験者の生理特性(心拍数の高低)に応じた適切なカットオフ周波数を設定する必要があるが、心拍数は個人差によって大きくばらつくために、一つのローパスフィルタで対処するには限界がある。
【0030】
このため、図7に示すように、本実施形態におけるフィルタ処理部12には、カットオフ周波数が互いに異なる複数(本実施形態では二つ)のLPF処理部52、つまり、心拍数が高い高域の検出に特化したカットオフ周波数が高い高域LPF処理部52Hと、カットオフ周波数が高域LPF処理部52Hよりも低い、心拍数が低い低域の検出に特化した低域LPF処理部52Lとを互いに並列に備えている。
【0031】
そして、各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの検出信号の夫々について、同じカットオフ周波数によるバンドパスフィルタ処理及び整流処理を行った後、カットオフ周波数が互いに異なる高域LPF処理部52Hと低域LPF処理部52Lとによるローパスフィルタ処理を行う。
【0032】
図8aは、圧電センサ19a〜19c、20a〜20cから出力された検出信号の時間推移を表すグラフである。横軸が時間で縦軸が振動の大きさを表している。
図8bは、図8aの各検出信号についてフィルタ処理部12で処理を行った後の心拍波形の包絡線信号を示し、一つの圧電センサ毎に、高域LPF処理部52Hと低域LPF処理部52Lとでローパスフィルタ処理された二つの包絡線信号19aH,19aL〜19cH,19cL、20aH,20aL〜20cH,20cLが得られる。
【0033】
尚、19aH〜19cH,20aH〜20cHで示す信号は、対応する圧電センサから出力された検出信号を高域LPF処理部52Hで処理した包絡線信号に対応し、19aL〜19cL,20aL〜20cLで示す信号は、対応する圧電センサから出力された検出信号を低域LPF処理部52Lで処理した包絡線信号に対応している。
【0034】
図10aは、高心拍数被験者に対応して圧電センサの一つから出力された検出信号(センサ波形)を例示する。図10bは、高心拍数被験者に対応して出力された検出信号を高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号Hと、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号Lとを例示する。
【0035】
図10a,10bに示すように、高心拍数被験者では、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号Lが大きく減衰されるために、高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号Hを使用することにより、高心拍数被験者の生理特性に応じた適切な心拍数(生体情報)の取得が可能になる。
【0036】
図11aは、低心拍数被験者に対応して圧電センサの一つから出力された検出信号(センサ波形)を例示する。図11bは、低心拍数被験者に対応して出力された検出信号を高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号Hと、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号Lとを例示する。
【0037】
図11a,11bに示すように、低心拍数被験者では、高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号Hに高調波成分が残っているために、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号Lを使用することにより、低心拍数被験者の生理特性に応じた適切な心拍数(生体情報)の取得が可能になる。
【0038】
生体情報計測部13では、各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの心拍波形について、高域LPF処理部52Hと低域LPF処理部52Lの夫々から出力された包絡線信号19aH,19aL〜19cH,19cL、20aH,20aL〜20cH,20cLを検波して心拍パルス状脈波を作り、そのパルス間隔の時間を計測して出力する。
このパルス間隔時間をR−R間隔といい、被験者の心拍間隔のことである。心拍数はR−R間隔の逆数である。図8cは、包絡線信号19aH,19aL〜19cH,19cL、20aH,20aL〜20cH,20cLの夫々について計測したR−R間隔を時系列で表したグラフである。
横軸が時間で縦軸がR−R間隔である。縦軸の値が安定しているほど心拍数が一定であり、縦軸の値が変動しているのは心拍数が変化していることを示している。例えば、圧電センサ19cから検出された心拍数は安定しており、圧電センサ20cから検出された心拍数は変動していることを示している。
【0039】
検出状態判定部14では、図8bの心拍波形の包絡線信号の周期ごとの全振幅値(Peak-to-Peakの値)である波高値を求め、波高値の大きさから当該周期の信号が心拍か否かを判断して、心拍でなければ異常フラグとし、パルスを出力する。図8dは各検出信号(包絡線信号)について異常フラグによるパルス出力の時間推移を示すグラフである。このグラフにおいて、HIパルスの箇所が心拍ではないと判定された箇所である。
【0040】
表1は波高値の大きさ、検出状態、異常フラグのオン、オフの関係を示すものである。
【表1】
これより、波高値が所定の範囲内の大きさであれば心拍であると判断され異常フラグのパルスは出力されず、その範囲以外の大きさであれば心拍ではないと判断され異常フラグのパルスが出力される。図9に図8bの一部を拡大したグラフを示す。これより、波高値の大きさによって検出状態の判断が異なることがわかる。
【0041】
図12に検出状態判定部14における検出状態判定のフローを示す。これは図4のS44を詳細に記したものである。判定は6個の圧電センサ19a〜19c、20a〜20cのそれぞれについて行う。まず状態を判定する圧電センサ(CH=1)を選択し(S71)、当該圧電センサの二つの包絡線信号の夫々について頂点のタイミングを検出し(S72)、波高値を算出する(S73)。
つまり、圧電センサ(CH=1〜6)毎に、高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号H(S71a)についてS72〜S76の動作を実行した後、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号L(S71b)についてS72〜S76の動作を実行する。
【0042】
次に、二つの包絡線信号の夫々について、当該波高値が所定範囲内にあるかどうかを判定し(S74)、所定範囲内にあれば異常フラグを立てずに(S75)、圧電センサの検出状態判定は終了する。当該波高値が所定範囲内になかった場合には異常フラグを立てて(S76)、圧電センサの検出状態判定は終了する。
【0043】
次に6個の圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの全てに対して検出状態判定を行ったかどうかを確認し(S77)、検出状態判定を行っていない圧電センサがあればCHNoに1を加算し(S78)、次の圧電センサの検出状態判定を開始する。6個全ての圧電センサの検出状態判定が行われていれば、検出状態判定のフローは終了する。
【0044】
センサ評価・選択部15では、検出状態判定部14で行われた判定に基づくパルス出力を用いて各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの評価値を算出し、被験者の心拍を最も正確に検出している圧電センサを選択する。まず、圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの評価値算出方法について説明する。
【0045】
圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの評価値は図13に示す不完全積分器21により算出される。この不完全積分器21は、過去の情報を一定割合で忘却していくように動作する積分器である。これは、生体情報取得装置付きベッド1上の被験者の寝位置や寝姿勢によって検出状態が変化することから、この変化に対応するためである。
【0046】
図13はこの不完全積分器21の動作を示す模式図である。左側のグラフは図8dに示す各検出信号(包絡線信号)について異常フラグによるパルス出力の時間推移を示すグラフと同じである。このパルス信号を不完全積分器21に入力すると、伝達関数により変換され、右側のグラフに示す出力信号が得られる。この右側のグラフは圧電センサの評価値の時間推移を示すものである。
尚、図13及び後述する図15の圧電センサの評価値のグラフは、図の見易さを考慮して6個の検出信号を例示しているが、実際には12個の包絡線信号で圧電センサを評価する。
各時間において、出力信号が最も小さい、すなわち評価値が最も小さい圧電センサを最適圧電センサとして選択する。出力信号の値が最も小さい圧電センサは、算出対象時間の入力信号においてHIパルスが発生した時間が最も短いセンサであることを示しており、これは被験者の心拍を検出した時間が最も長いセンサである。被験者の心拍を検出した時間の長いセンサほど被験者の心拍を正確に検出しているセンサであることは、出願人の知見により明らかになっており、これについては後述する。
【0047】
この不完全積分器21の伝達関数は、入力をU(z)、出力をY(z)とすると
【数1】
で表される。αは帰還率であり、不完全積分器21の設定パラメータである。αの値によって、過去情報を忘却する割合が定まる。帰還率100%すなわちα=1のときが通常の積分器である。
【0048】
上記(1)式を差分方程式で書き表すと、
【数2】
となる。これより今回の評価値y(k)は、前回の評価値y(k−1)に帰還率αを乗じて一定割合忘却させて今回の入力値u(k)を加算した値になることがわかる。このように帰還率αと前回の評価値y(k−1)から今回の評価値y(k)が求められるので、周波数スペクトルを算出するときのような大容量のメモリは不要となる。
【0049】
次に帰還率αを以下のように求める。この不完全積分器21において、現在の入力の影響が1/e(=36.8%)に減少するのに要する時間はこの不完全積分器21の時定数Tcに等しい。また、この不完全積分器21の入力信号のサンプリング周期をTpとすると、以下の関係が成立する。
【数3】
これを解くと、
【数4】
となる。本発明の実施の形態でTc=10秒、Tp=0.01秒と設定すると、(4)式よりα=0.999を得る。
【0050】
図14に、センサ評価・選択部15における最適圧電センサの選択のフローを示す。これは図4のS45を詳細に記したものである。判定は6個の圧電センサ19a〜19c、20a〜20cから出力された検出信号を高域LPF処理部52Hと低域LPF処理部52Lとで処理した二つの包絡線信号のそれぞれについて行う。まず状態を判定する圧電センサを選択し(CH=1)、最適圧電センサのCHNo(BestCh)を0に設定、最適圧電センサの評価値(J_min)を下限値(inf)に設定する(S91)。
つまり、圧電センサ(CH=1〜6)毎に、高域LPF処理部52Hで処理して得られた包絡線信号H(S91a)についてS92〜S94の動作を実行した後、低域LPF処理部52Lで処理して得られた包絡線信号L(S91b)についてS92〜S94の動作を実行する。
【0051】
次に選択された圧電センサの評価値(J)を上述したように算出し(S92)、当該評価値(J)と最適圧電センサの評価値(J_min)を比較する(S93)。J≧J_minであれば、BestChやJ_minを変更しない。J<J_minであれば、BestChを当該圧電センサのCHNoに変更し、J_minを当該評価値に変更する(S94)。次に6個の圧電センサ全てに対して評価値算出と評価を行ったかどうかを確認し(S95)、まだ評価値算出と評価を行っていない圧電センサがあればCHNoに1を加算し(S96)、次の圧電センサの評価値算出と評価を開始する。6個全ての圧電センサの評価値算出と評価が行われていれば、最適圧電センサ選択のフローは終了し、最適圧電センサのCHNoを出力する。
【0052】
本発明の実施の形態における圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの検出信号の出力から最適圧電センサのCHNoの出力までに要する時間は約0.2秒である。これより、本発明の実施の形態は、周波数スペクトルを算出して最適圧電センサを選択する方法と比べて、タイムラグがなく、リアルタイムで最適圧電センサを選択できる方法であることがわかる。
【0053】
図15は圧電センサ19a〜19c、20a〜20cの評価値の時間推移を示している。これは図13においてY(Z)の関数として示されているグラフと同じである。図15において太線で示されているのが、選択された圧電センサである。このように、常に評価値が最低である圧電センサが選択される。
【0054】
生体情報出力部16では、センサ評価・選択部15で選択された最適圧電センサの情報と、生体情報計測部13で計測された各圧電センサ19a〜19c、20a〜20cのR−R間隔の信号が入力され、最適圧電センサのR−R間隔の信号だけが出力される。このように、6個全ての圧電センサ19a〜19c、20a〜20cのR−R間隔信号が生体情報出力部16に入力されるので、センサ評価・選択部15で選択された最適圧電センサが変わってもすぐに新たな最適圧電センサのR−R間隔信号を出力することが可能になり、被験者の状態の変化(寝返りなど)を直ちに検出してその生体情報を取得することができる。
【0055】
評価値が最も小さい圧電センサで検出された心拍が被験者の心拍を正確に検出していることは上述したとおりである。以下、これを実験により証明した結果について述べる。図16において、横軸のアルファベットは被験者を表し、縦軸は生体情報取得装置10により取得された心拍の検出率を示すものである。検出率とは、各被験者について生体情報取得装置10による心拍の取得と同時に心電計によって実際の心拍数も計測し、両者の心拍数の差が1拍以内のとき生体情報取得装置10は正しく心拍を検出できたとの定義に基づき、正しく検出できた割合のことである。
【0056】
この検出率が高いほど生体情報取得装置10で正確に心拍を検出できていることを示している。被験者で同じアルファベットがあるのは同じ被験者に対し、異なる日で実験したことを示している。図16より、各被験者の検出率は高いことがわかる。よって、生体情報取得装置10による心拍の取得は実際の心拍数を反映したものになっているといえる。
【0057】
睡眠深度推定部17で被験者の心拍などの生体情報が入力され、それに基づいて、被験者の睡眠深度を推定する。睡眠深度は例えば覚醒状態、レム睡眠、浅いノンレム睡眠、深いノンレム睡眠のように4段階で推定することができる。そして睡眠深度の推定結果に応じた信号が例えば外部コントローラ23や推定結果表示部22に出力される。
【0058】
外部コントローラ23は、睡眠深度の推定結果に応じてより快適な質の高い睡眠環境を提供するために、照明24、エアコン25、カーテン26、振動枕27などをその睡眠深度に応じて最適な状態になるように制御する。
【0059】
このように、本発明の実施の形態に係る生体情報取得装置付きベッド1では、生体情報取得装置10が被験者の状態の変化にもすばやく対応して常に被験者の正確な生体情報を出力するので、被験者に対しより快適な質の高い睡眠環境を提供することが可能になる。
【0060】
本実施形態では、圧電センサ19a〜19c、20a〜20cのサンプリング周期とセンサ評価・選択部15での評価値算出周期を共に0.01秒としたが、睡眠時の被験者の体の動きはそれほどすばやくないので、サンプリング周期を例えば0.1秒にしてもよい。また、圧電センサのサンプリング周期と評価値算出周期とは必ずしも同じ周期にする必要はなく、評価値算出周期だけ0.1秒周期にしてもよい。深いノンレム睡眠と推定されたときは被験者の体の動きはさらに少なくなると考えられるので、評価値算出周期をさらに長くするなど、睡眠深度に応じてサンプリング周期や評価値算出周期を変えてもよい。
【0061】
また、センサ評価・選択部15では評価値の最も小さい圧電センサを選択したが、最も評価値の大きい圧電センサ以外の5個の圧電センサの情報を出力し、それらの圧電センサのR−R間隔信号を平均した信号を被験者の心拍として生体情報出力部16から出力するようにしてもよい。
尚、本実施形態における生体情報取得装置10のフィルタ処理部12は、検出領域が異なる、或いは一部が重複する三つ以上のLPF処理部を備えていてもよい。
【0062】
[第2実施形態]
図17は、本発明の第2の実施の形態を示す。
本実施形態では、フィルタ処理部12は、BPF処理部50と、そのBPF処理部50から出力された信号を処理する整流処理部51及びLPF処理部52との組み合わせの複数(本実施形態では二つ)を互いに並列に備えている。
そして、各組み合わせに含まれるBPF処理部50夫々のカットオフ周波数を互いに異ならせると共に、LPF処理部52夫々のカットオフ周波数を互いに異ならせてある。
【0063】
つまり、カットオフ周波数が高い高域BPF処理部50H、その高域BPF処理部50Hから出力された信号を処理する高域整流処理部51H及び高域LPF処理部52Hの組み合わせと、カットオフ周波数が低い低域BPF処理部50L、その低域BPF処理部50Lから出力された信号を処理する低域整流処理部51L及び低域LPF処理部52Lの組み合わせとを並列に備えている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
尚、本実施形態における生体情報取得装置10のフィルタ処理部12は、検出領域が異なる、或いは一部が重複する三つ以上のBPF処理部とLPF処理部との組み合わせを備えていてもよい。
【0064】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図18は第3の実施の形態を示す車両用座席2の模式図である。この車両は生体情報取得装置30を搭載している。その信号処理部31はECU39上に実装されており、生体センサアセンブリ38は車両用座席2の背もたれ部に内蔵されている。
【0065】
この生体情報取得装置30の構成、動作は第1又は第2の実施の形態と同じなので詳細な説明は省略する。ただし、本実施形態では、生体情報取得装置30は車両に搭載されており、その目的は居眠り運転の防止である。従って、最終的な出力信号は睡眠深度の推定結果に応じた信号ではなく、例えば覚醒状態、弱い眠気、強い眠気、睡眠状態を推定する信号(以下、覚醒程度の推定信号という)が出力される。
【0066】
生体情報取得装置30の信号処理部31から出力される覚醒程度の推定信号を受けると、ECU39上にあるコントローラ40は、運転者に覚醒を促すように各種デバイスを制御する。例えば、運転者に何らかの刺激を与える睡眠覚醒デバイス41を動作させる。また、エアコンの風を運転者の顔に吹き付けたり、車内音響機器のボリュームを上げるなど、他の方法で運転者に覚醒を促すようにしてもよい。
【0067】
本発明によれば、複数のセンサから検出した生体情報のうち、最も正しく生体情報を取得可能なセンサをリアルタイムで選択できるので、正しく取得できた生体情報を用いて各種制御を行う機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1:生体情報取得装置付きベッド
2:車両用座席
10,30:生体情報取得装置
11,31:信号処理部
12:フィルタ処理部
13:生体情報計測部
14:検出情報判定部
15:センサ評価・判定部
16:生体情報出力部
19a,19b,19c:圧電センサ
20a,20b,20c:圧電センサ
50H,50L:バンドパスフィルタ処理部
52H,52L:ローパスフィルタ処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体が発する振動を複数のセンサで検出するステップと、
前記センサの出力信号から取得目的とする生体情報の周波数成分の信号のみを抽出するステップと、
前記抽出された信号において全振幅値が所定範囲外の信号をノイズと判断し、前記ノイズに対応したパルス信号を生成するステップと、
前記センサの新たな評価値を、前記センサの前回の評価値に所定の定数を乗じた値に前記パルス信号を加えることにより算出するステップと、
前記新たな評価値に基づいて前記生体情報を取得するセンサを選択するステップと、を含む生体情報取得方法。
【請求項2】
前記生体情報を取得するセンサを選択するステップにおいて、前記新たな評価値が最も小さいセンサを選択することを特徴とする請求項1に記載の生体情報取得方法。
【請求項3】
前記センサで振動を検出する時間間隔よりも前記新たな評価値を算出する時間間隔の方が長いことを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報取得方法。
【請求項4】
前記センサで振動を検出する時間間隔と前記新たな評価値を算出する時間間隔は変更可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報取得方法。
【請求項5】
生体が発する振動を検出して前記振動に対応した信号を出力する複数のセンサと、
前記信号から取得目的とする生体情報の周波数成分のみを抽出して抽出信号を出力するフィルタ処理部と、
前記抽出信号において全振幅値が所定範囲外の信号をノイズと判断し、前記ノイズに対応したパルス信号を出力する検出状態判定部と、
前記センサの新たな評価値を前記センサの前回の評価値に所定の定数を乗じた値に前記パルス信号を加えることにより出力し、前記新たな評価値に基づいて前記生体情報を取得するセンサを選択するセンサ評価・選択部と、を備えた生体情報取得装置。
【請求項6】
前記フィルタ処理部は、カットオフ周波数が異なる複数のローパスフィルタ処理部を並列に備えていることを特徴とする請求項5に記載の生体情報取得装置。
【請求項7】
前記フィルタ処理部は、バンドパスフィルタ処理部とそのバンドパスフィルタ処理部から出力された信号を処理するローパスフィルタ処理部との組み合わせの複数を並列に備え、前記各組み合わせに含まれるバンドパスフィルタ処理部夫々のカットオフ周波数を異ならせると共に、前記ローパスフィルタ処理部夫々のカットオフ周波数を異ならせてあることを特徴とする請求項5に記載の生体情報取得装置。
【請求項8】
前記センサ評価・選択部は、前記新たな評価値が最も小さいセンサを選択することを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の生体情報取得装置。
【請求項9】
前記センサで信号を出力する時間間隔よりも前記センサ評価・選択部で前記新たな評価値を出力する時間間隔の方が長いことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の生体情報取得装置。
【請求項10】
前記センサで信号を出力する時間間隔と前記センサ評価・選択部で前記新たな評価値を出力する時間間隔は変更可能であることを特徴とする請求項5から9のいずれか一項に記載の生体情報取得装置。
【請求項11】
請求項5から10のいずれか一項に記載の前記生体情報取得装置を備えた寝具。
【請求項12】
請求項5から10のいずれか一項に記載の前記生体情報取得装置を備えた車両用座席。
【請求項1】
生体が発する振動を複数のセンサで検出するステップと、
前記センサの出力信号から取得目的とする生体情報の周波数成分の信号のみを抽出するステップと、
前記抽出された信号において全振幅値が所定範囲外の信号をノイズと判断し、前記ノイズに対応したパルス信号を生成するステップと、
前記センサの新たな評価値を、前記センサの前回の評価値に所定の定数を乗じた値に前記パルス信号を加えることにより算出するステップと、
前記新たな評価値に基づいて前記生体情報を取得するセンサを選択するステップと、を含む生体情報取得方法。
【請求項2】
前記生体情報を取得するセンサを選択するステップにおいて、前記新たな評価値が最も小さいセンサを選択することを特徴とする請求項1に記載の生体情報取得方法。
【請求項3】
前記センサで振動を検出する時間間隔よりも前記新たな評価値を算出する時間間隔の方が長いことを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報取得方法。
【請求項4】
前記センサで振動を検出する時間間隔と前記新たな評価値を算出する時間間隔は変更可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報取得方法。
【請求項5】
生体が発する振動を検出して前記振動に対応した信号を出力する複数のセンサと、
前記信号から取得目的とする生体情報の周波数成分のみを抽出して抽出信号を出力するフィルタ処理部と、
前記抽出信号において全振幅値が所定範囲外の信号をノイズと判断し、前記ノイズに対応したパルス信号を出力する検出状態判定部と、
前記センサの新たな評価値を前記センサの前回の評価値に所定の定数を乗じた値に前記パルス信号を加えることにより出力し、前記新たな評価値に基づいて前記生体情報を取得するセンサを選択するセンサ評価・選択部と、を備えた生体情報取得装置。
【請求項6】
前記フィルタ処理部は、カットオフ周波数が異なる複数のローパスフィルタ処理部を並列に備えていることを特徴とする請求項5に記載の生体情報取得装置。
【請求項7】
前記フィルタ処理部は、バンドパスフィルタ処理部とそのバンドパスフィルタ処理部から出力された信号を処理するローパスフィルタ処理部との組み合わせの複数を並列に備え、前記各組み合わせに含まれるバンドパスフィルタ処理部夫々のカットオフ周波数を異ならせると共に、前記ローパスフィルタ処理部夫々のカットオフ周波数を異ならせてあることを特徴とする請求項5に記載の生体情報取得装置。
【請求項8】
前記センサ評価・選択部は、前記新たな評価値が最も小さいセンサを選択することを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の生体情報取得装置。
【請求項9】
前記センサで信号を出力する時間間隔よりも前記センサ評価・選択部で前記新たな評価値を出力する時間間隔の方が長いことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の生体情報取得装置。
【請求項10】
前記センサで信号を出力する時間間隔と前記センサ評価・選択部で前記新たな評価値を出力する時間間隔は変更可能であることを特徴とする請求項5から9のいずれか一項に記載の生体情報取得装置。
【請求項11】
請求項5から10のいずれか一項に記載の前記生体情報取得装置を備えた寝具。
【請求項12】
請求項5から10のいずれか一項に記載の前記生体情報取得装置を備えた車両用座席。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−99528(P2013−99528A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232222(P2012−232222)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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