説明

生体組織正常化装置、及び、治療装置

【課題】微弱電流及び温熱を加えて生体または生体組織の正常化機構を蛋白質を介して活性化する方法において、最も効果的な電圧値及び立ち上げ時間で蛋白質を活性化する生体組織正常化装置等を提供する。
【解決手段】直流電圧を所定の間隔で間歇的に印加することにより生じる微弱な直流電流を生体又は生体組織に通電し、当該生体又は生体組織に温熱を加えて、当該生体又は生体組織における正常化機構を蛋白質を介して活性化させる生体組織正常化装置において、印加される入力電圧のパルス波形が矩形波であり、当該パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間が0.05ミリ秒以上0.2ミリ秒以下であり、当該ピーク値が3.0V以上20.0V以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体又は生体組織を活性化させる生体組織正常化装置に関し、特に生体又は生体組織の正常化機構を活性化させる生体組織正常化装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、あらゆる細胞に存在するユビキチン(Ubiquitin)は、その機能が解明され、不要となった蛋白質に結合してその目印となる役目を有する。このユビキチンが結合した不要な蛋白質(ユビキチン化蛋白質)は、このユビキチンを目印として酵素プロテアソームに取り込まれて分解される。このような不要な蛋白質を分解する生体正常化機構は、ユビキチン・プロテアソームシステムとして働き、細胞の分裂、DNAの修復、蛋白質の品質管理、免疫等の多く組織の正常化に関与している。
【0003】
また、生体正常化機構は、電気温熱式治療器により、生体の所定部位を加熱して熱ショック蛋白質(Heat Shock Protein;以下「HSP」という。)を発現誘導して活性化される。
【0004】
前記HSPは、ストレス蛋白質とも呼ばれる分子量が数万から約15万の一群の蛋白質を指し、分子量によりいくつかのファミリーに分類されている。HSPは、新生蛋白質、変性蛋白質及び異常蛋白質の疎水部分に非共有結合して、蛋白質の折り畳み、細胞内小器官への輸送、変性蛋白質の再折り畳みや分解を介助して、細胞内蛋白質の品質管理を行い、細胞内に異常蛋白質や変性蛋白質が蓄積するのを防いでいる。これらの機能は分子シャペロンと総称されており、HSPは熱ショックをはじめさまざまな物理的・化学的な傷害因子により誘導される。HSPを多く発現した細胞は、さまざまな傷害因子に対して強い抵抗力を獲得することは既に確立された事実である。
【0005】
HSP70ファミリーに属する分子量72キロダルトンのHSP70は、ストレスにより初めて誘導される蛋白質であり、最も研究が進んでいる。細胞を熱ショックなどの非致死的なストレスに曝すことによりHSP70を予め過剰発現させておくと、致死的な傷害因子に対しても強い抵抗性を示し、細胞は生き延びることができる。
【0006】
この抵抗性は、分子シャペロンの機能を介して細胞内に異常蛋白質や変性蛋白質が蓄積するのを防ぐことに加えて、ストレスを受けた細胞のミトコンドリアなどの細胞内小器官の機能を保全し、細胞壊死を抑制して炎症反応を抑え、アポトーシスを抑制して細胞損失を抑えることが示されている(Samali,A.et ai.,Cell Stress & Chaperones 3:228,1998)。
【0007】
さまざまな病的状態では、細胞は物理的・化学的ストレスに曝される。実験動物を用いた多くの疾患モデルにおいて、HSP70を何らかの方法で過剰に発現させると、傷害が軽減されることが明らかにされており、HSP70の臨床応用についての期待が高まっている(Minowada,G.et al.,J.Clin.Invest.,95:2,1995とその引用文献を参照)。
【0008】
ヒトの疾患との関連で、細胞が遭遇するさまざまなストレスについて言及すると、まず、代表的なストレスとして虚血があげられる。予め実験動物に全身の熱ショック負荷を行いHSP70を過剰発現させておくと、脳動脈や冠状動脈を結紮した場合でも、脳(Kitagawa,K.et al.,J.Cereb. Blood Flow Metab.,11:449,1991)や心臓(Donnelly,T.J.et al.,Circulation 85:1048,1992)の梗塞部位が縮小することが示されている。また、HSP70の遺伝子導入を行ったマウスでも、心筋梗塞の抑制効果が示されている(Maber,M.S.et al.,J.Clin.Invest.,95:1446,1995)。HSP70の虚血による細胞障害の抑制効果は、脳と心臓に限らず総ての臓器についても適応される。
【0009】
活性酸素・フリーラジカルは、感染、炎症、変性疾患、自己免疫疾患、動脈硬化、老化にともない産生量が増加して細胞障害を引き起こす。HSP70は、これらの活性酸素・フリーラジカルによる細胞障害を抑制することが示されている(Polla B.S.et al.,Proc.Natl.Acad Sci.USA,93:6458,1996)。
【0010】
虚血・再灌流傷害は、再灌流時の活性酸素の産生亢進が主要な病因の一つとして確率されており、HSPが脳、心臓、肝、小腸などにおいて軽減されることが知られている。このHSPによる保護作用は、総ての臓器に適応される。また、臓器移植は、虚血再灌流傷害の典型例の一つである。事実、HSP70を過剰発現させておくと、皮膚の移植片の生着率が改善することが示されており(Koenig,W.J.et al.,Plast Recontsr.Surg.,90:659,1992)、肝移植の際にも、移植肝がHSP70を多く発現するほど急性拒絶反応が軽減することも報告されている(Flohe,S.et al.,Traspl.lnt.,11:89,1998)。また、紫外線、放射線、重金属、アルコール、抗癌剤やパラコートは、主に活性酸素・フリーラジカルによる傷害を引き起こす。HSP70は、紫外線、放射線による皮膚、粘膜、目のレンズや網膜の傷害の予防と治療、さらにアルコール性臓器傷害、重金属や薬物中毒の治療効果も期待できる。
【0011】
また、癌細胞は、HSP70を細胞表面に発現し、このHSP70がNK細胞を活性化することから(kurosawa,S.et al.,Eur.J.lmmunol.,23:1029,1993)、このHSP70の発現を介して癌免疫を賦活化させることもできる。また、微生物の侵入に対しても、宿主マクロファージのHSPの発現が強いほど感染抵抗性が増すことも示されており(Denagel,D.C.et al.,Crit.Rev.lmmunol.,13:71,1993)、免疫賦活−生体防御能の増強効果も期待できる。
【0012】
HSP70による細胞内蛋白質の品質管理の働きに注目して、細胞内に異常蛋白質が蓄積する疾患、例えば、βアミロイドの沈着によるアルツハイマー病、異常プリオン蛋白質の沈着するクロイツフェルド・ヤコブ病、さらにアミロイドーシス、ウィルソン病、パーキンソン病などの変性疾患の予防と治療にも効果が期待できる。
【0013】
また、外科手術、外傷などの生体侵襲などの身体的ストレスに対する耐性効果が期待されるばかりでなく、精神的ストレスによるアレルギー疾患、ストレス潰瘍、慢性炎症性疾患などの発症や増悪を抑制する効果も期待できる。HSP70は、敗血症による多臓器不全・ショックの軽減(Hauser,G.J.et al.,Am.J.Physiol.,271:H2529,1996)や、成人呼吸窮迫症候群(adult respiratory distress syndrome)の予後を改善することも報告されており(Villar,J.et al.,Am.Rev.Respir.Dis.,147:177,1993)、これらの重度の生体侵襲時の治療薬としてもその効果が期待される。
【0014】
HSPは、細胞内(生体内)物質であるため、その誘導にともない副作用が発生する可能性は少ない。またHSP70の過剰発現が原因となる疾患も報告されていない。動物実験では、全身の熱ショック、一過性の阻血操作、HSP70の遺伝子導入などが行われているが、実際の臨床に応用することは困難である。このため、組織や細胞に害を与えず、しかも選択的にHSPを誘導する機器は臨床的にも優れた治療装置といえる。
【0015】
転写因子は外界からのシグナル伝達系の最下位に位置するため、それを標的にすることで副作用を最小限にとどめることができると考えられる。NF−κBは転写因子の一つであり、細胞質内では阻害蛋白質であるIκBと結合して不活性化されている。細胞が種々の刺激を受けるとIκBがリン酸化を受け、それに引き続きユビキチン化を受けてプロテアソームにより分解される。遊離状態となったNF−κBは核へ移行し、さまざまな遺伝子を特異的に活性化する。NF−κBの制御下にある遺伝子には、免疫系の細胞で重要な働きをするサイトカイン(TNF−α,β,IL−2,6,8等)等があげられる。これらの遺伝子は、細胞が刺激を受けた際に発現誘導されるため、免疫応答にNF−κBが深く関わっていることが分かる。しかし、その炎症応答が過剰になってしまうと、さまざまな疾患を引き起こすことが知られている。例えば、リウマチや喘息、皮膚炎等さまざまな炎症性の疾患、自己免疫疾患、ウィルス性疾患、動脈硬化症等などの疾患にNF−κBが関与していることから、NF−κBを制御することの意義は臨床的にも極めて大きいものである(Anning Lin.Cancer Biology,2003,Aggarwal BB et al.Indian J Exp Biol,2004,Alok C.Bharti et al.Biochemical Pharmacology,2002)。
【0016】
しかし、前記ユビキチン・プロテアソームシステムに基づく生体正常化機構は、生体組織の正常(健康)時においてはあらゆる細胞に存在するユビキチンの量が十分でなく、不要となった蛋白質を迅速且つ確実に分解して排除できないという課題を有していた。また、生体組織の異常(疾患)時においては、ユビキチンが結合した不要となった蛋白質を分解して排除することから、細胞内のユビキチンも減少することとなり、この異常(疾患)の細胞が計画的な細胞死に至らず、腫瘍等の異常な細胞が減少せず異常(疾患)を改善できないという課題を有していた。
【0017】
他方、電気温熱式治療器等によるHSPに基づく生体正常化機構は、生体に対して極めて高い温度(例えば、42℃)を1時間以上加熱しなければHSPが十分に発現誘導せず活性化されないことから、加熱による生体組織の損傷等を伴い、迅速且つ正確な生体の正常化ができないという課題を有していた。また、NF−κBの活性を制御するIκBの量及びリン酸化状態に影響することにより生体を正常化する方法はなかった。
【0018】
これらの課題を解決すべく、発明者らは特許文献16に生体又は生体組織を迅速且つ正確に正常化できる生体組織正常化方法を提案している。特許文献16に示す技術は、微弱な直流電流を所定の間隔で間歇的に生体又は生体組織に通電し、さらに温熱を加えることで、当該生体又は生体組織における正常化機構を、蛋白質を介して活性化させる技術である。活性化させる蛋白質は、主にユビキチン化蛋白質、熱ショック蛋白質、IκB蛋白質等である。また、望ましくは印加する電圧(テスタ電圧値)を0.3V、周波数を50Hzないし60Hzの範囲、温熱の温度を38度以上45度以下に設定することが示されている。特許文献16では、ヒトの培養細胞系における評価、マウスの生体における評価、変異蛋白質(ΔF508CFTR)を安定高発現させた培養細胞系における評価を行っている。いずれの場合においても微弱電流と温熱を併用した場合にHSPの誘導、ユビキチン化の促進、IκB及びIκB−αリン酸化体の増加が顕著に行われていることが実験で示されている。つまり、特許文献16に示す治療装置は、極めて優れたHSP誘導能を有し、且つ、プロテアソームを阻害することによる抗腫瘍効果を有することで各種疾患に有効であることが明らかである。また、IκBの量を増加させることでIκBのリン酸化を適度に抑制するため、NF−κBによる過剰な免疫応答の結果として引き起こされる種々の病体を改善することが期待される。さらに、安全性の面からも臨床上極めて優れた有用性が期待できる。
【非特許文献1】Samali,A.et ai.,Cell Stress & Chaperones 3:228,1998
【非特許文献2】Minowada,G.et al.,J.Clin.Invest.,95:2,1995とその引用文献
【非特許文献3】Kitagawa,K.et al.,J.Cereb.Blood Flow Metab.,11:449,1991
【非特許文献4】Donnelly,T.J.et al.,Circulation 85 :1048,1992
【非特許文献5】Maber,M.S.et al.,J.Clin.Invest.,95:1446,1995
【非特許文献6】Polla B.S.et al.,Proc.Natl.Acad Sci.USA,93:6458,1996
【非特許文献7】Koenig,W.J.et al.,Plast Recontsr.Surg.,90:659,1992
【非特許文献8】Flohe,S.et al.,Traspl.lnt.,11:89,1998
【非特許文献9】kurosawa,S.et al.,Eur.J.lmmunol.,23:1029,1993
【非特許文献10】Denagel,D.C.et al.,Crit.Rev.lmmunol.,13:71,1993
【非特許文献11】Hauser,G.J.et al.,Am.J.Physiol.,271:H2529,1996
【非特許文献12】Villar,J.et al.,Am.Rev.Respir.Dis.,147:177,1993
【非特許文献13】Anning Lin.Cancer Biology,2003
【非特許文献14】Aggarwal BB et al.Indian J Exp Biol,2004
【非特許文献15】Alok C.Bharti et al.Biochemical Pharmacology,2002
【特許文献16】特開2006−263456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、特許文献16の技術における電圧値の値は、テスタ電圧の値を示しており、実際に入力された電圧値とは異なる値である。つまり、テスタの値が、実際に効果が見られると思われる0.01V以上0.4V以下になるように電圧を印加しているため、
実際の入力電圧値が明確にはなっていない。
また、電圧の立ち上がりに時間が掛かっている場合には、防御機能により十分な効果が得られていない可能性があるという課題を有する。
【0020】
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、微弱電流及び温熱を加えて生体または生体組織の正常化機構を蛋白質を介して活性化する方法において、最も効果的な電圧値及び立ち上げ時間で蛋白質を活性化する生体組織正常化方法、及び、治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(1.生体組織正常化装置)
本発明に係る生体組織正常化装置は、直流電圧を所定の間隔で間歇的に印加することにより生じる微弱な直流電流を生体又は生体組織に通電し、当該生体又は生体組織に温熱を加えて、当該生体又は生体組織における正常化機構を蛋白質を介して活性化させる生体組織正常化装置において、印加される入力電圧のパルス波形が矩形波であり、当該パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間が0.05ミリ秒以上0.2ミリ秒以下であり、当該ピーク値が3.0V以上20.0V以下であるものである。
【0022】
このように、本発明においては、印加される入力電圧のパルス波形が矩形波であり、当該パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間が0.05ミリ秒以上0.2ミリ秒以下であり、当該ピーク値が3.0V以上20.0V以下であるため、印加する電圧の入力値が明確になり、生体又は生体組織の正常化を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0023】
なお、パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間は、好ましくは0.05ミリ秒以上0.2ミリ秒以下であり、より好ましくは0.05ミリ秒以上0.15ミリ秒以下であり、さらに好ましくは0.1ミリ秒である。
また、パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値は、好ましくは3.0V以上20.0V以下であり、より好ましくは3.0V以上16.8V以下であり、さらに好ましくは動物レベルでは12.0V、細胞レベルでは3.0V以上7.0V以下である。
【0024】
(2.立ち上がり時間)
本発明に係る生体組織正常化装置は、前記パルス波の立ち上がり時間が18ナノ秒以上5000ナノ秒以下であるものである。
【0025】
このように、本発明においては、パルス波の立ち上がり時間が18ナノ秒以上5000ナノ秒以下という極めて短時間であるため、生体又は生体組織への刺激が明確となり、防御機能の働きを抑制して生体又は生体組織の正常化を極めて効果的に行うことができるという効果を奏する。
なお、パルス波の立ち上がり時間は、好ましくは18ナノ秒以上5000ナノ秒以下であり、より好ましくは18ナノ秒以上1000ナノ秒以下であり、さらに好ましくは18ナノ秒である。
【0026】
(3.ピーク値とピーク時間の関係)
本発明に係る生体組織正常化装置は、前記パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間及びピーク値が反比例の関係であるものである。
このように、本発明においては、パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間及びピーク値が反比例の関係であるため、電流刺激と温熱刺激とを適度にバランスをとることができるため、生体又は生体組織の正常化を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0027】
(4.熱ショック蛋白質とユビキチン蛋白質)
本発明に係る生体組織正常化装置は、前記蛋白質が熱ショック蛋白質又はユビキチン化蛋白質であるものである。
このように、本発明においては、蛋白質が熱ショック蛋白質又はユビキチン化蛋白質であるため、各種疾患に有効性を示すことができると共に、プロテアソームを阻害することにより抗腫瘍効果を奏する。
【0028】
(5.直流電流の通電間隔)
本発明に係る生体組織正常化装置は、前記直流電圧の間歇的な間隔が、30ppsないし100ppsであるものである。
このように、本発明においては、直流電圧の間歇的な間隔が、30ppsないし100ppsであるため、電流刺激を適度に与えることで、生体又は生体組織の正常化を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0029】
(6.温熱の温度)
本発明に係る生体組織正常化装置は、前記温熱が38℃以上45℃以下であるものである。
このように、本発明においては、温熱が38℃以上45℃以下であるため、温熱刺激を適度に与えることで、生体又は生体組織の正常化を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0030】
(7.治療装置)
本発明に係る治療装置は、1対のパッド素子が生体又は生体組織の異なる部位の表面に付着する導電性のシート体からなる導電層と、当該導電層の背面側に配設され、伝熱特性を有し且つ絶縁性のシート体からなる絶縁層と、当該絶縁層の背面側に配設され、両端部分に1対の電極が配設され、当該1対の電極間に抵抗が配設される発熱層とを備え、前記パッド素子間に電流を生じさせるための電圧を印加する電圧制御手段が、前記1対のパッドにおける各導電層間に微弱な直流電流を生じさせるために、入力電圧を所定の間隔で間歇的に供給制御すると共に、前記1対のパッド素子の各発熱層における各1対の電極間に電流を生じさせるための入力電圧を供給制御し、前記直流電流を生じさせるための入力電圧が、矩形波のパルス波形であり、当該パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間が0.05ミリ秒以上0.2ミリ秒以下であり、当該ピーク値が細胞レベルで3.0V以上20.0V以下であるものである。
【0031】
このように、本発明においては、印加される入力電圧のパルス波形が矩形波であり、当該パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間が0.05ミリ秒以上0.2ミリ秒以下であり、当該ピーク値が細胞レベルで3.0V以上20.0V以下であるため、印加する電圧の入力値が明確になり、生体又は生体組織の正常化を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0032】
なお、電圧の入力にはファンクションジェネレータを用いてもよい。そうすることで、入力電圧を正確に印加することが可能となり、且つ、回路を簡潔にすることができる。
また、パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間は、好ましくは0.05ミリ秒以上0.2ミリ秒以下であり、より好ましくは0.05ミリ秒以上0.15ミリ秒以下であり、さらに好ましくは0.1ミリ秒である。
さらに、パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値は、好ましくは3.0V以上20.0V以下であり、より好ましくは3.0V以上16.8V以下であり、さらに好ましくは動物レベルでは12.0V、細胞レベルでは3.0V以上7.0V以下である。
【0033】
(8.立ち上がり時間)
本発明に係る治療装置は、前記パルス波の立ち上がり時間が18ナノ秒以上5000ナノ秒以下であることを特徴とする。
このように、本発明においては、パルス波の立ち上がり時間が18ナノ秒以上5000ナノ秒以下という極めて短時間であるため、生体又は生体組織への刺激が明確となり、防御機能の働きを抑制して治療を極めて効果的に行うことができるという効果を奏する。
なお、パルス波の立ち上がり時間は、好ましくは18ナノ秒以上5000ナノ秒以下であり、より好ましくは18ナノ秒以上1000ナノ秒以下であり、さらに好ましくは18ナノ秒である。
【0034】
(9.ピーク値とピーク時間の関係)
本発明に係る治療装置は、前記パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間及びピーク値が反比例の関係であることを特徴とする。
このように、本発明においては、パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間及びピーク値が反比例の関係であるため、電流刺激と温熱刺激とを適度にバランスをとることができるため、治療を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0035】
(10.カーボン繊維による抵抗の形成)
本発明に係る治療装置は、前記パッド素子の発熱層が、1対の電極が各々短冊状に形成され、当該電極間の抵抗が短冊状の電極に平行な方向に配向性を有するカーボン繊維で形成されることを特徴とする。
このように、本発明においては、パッド素子の発熱層が、1対の電極が各々短冊状に形成され、当該電極間の抵抗が短冊状の電極に平行な方向に配向性を有するカーボン繊維で形成されるため、電極間がカーボン繊維により短絡されることなく、この各平行なカーボン繊維相互間の適度な抵抗値により発熱できることとなり、治療を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0036】
(11.直流電流の通電間隔)
本発明に係る治療装置は、前記各導電層に供給される直流電圧が、50ppsないし60ppsの周期で間歇的に供給制御されることを特徴とする。
このように、本発明においては、直流電圧の間歇的な間隔が、50ppsないし60ppsであるため、電流刺激を適度に与えることで、治療を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0037】
(12.温熱の温度)
本発明に係る治療装置は、前記1対のパッド素子の各発熱層が、38℃以上45℃以下に加熱することを特徴とする。
このように、本発明においては、温熱が38℃以上45℃以下であるため、温熱刺激を適度に与えることで、治療を効果的に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る生体組織正常化装置を用いた治療装置を図1ないし図4に基づいて説明する。この図1は本実施形態に係る治療装置の全体概略構成図、図2は図1に記載の治療装置におけるパッド素子の平面図、図3は図2に記載のパッド素子のA−A線断面図、図4は図3に記載のパット素子のB−B線断面図を示す。
【0039】
前記各図において本実施形態に係る治療装置は、生体100の異なる部位に1対のパッド素子1、2を付着し、この1対のパッド素子1、2間に電流を生じさせるために電源から供給される入力電圧を電圧制御手段3により制御して前記生体100を治療する治療装置において、前記パッド素子1、2が、生体100表面に付着する導電性のシート体からなる導電層11、21と、この導電層11、21の背面側に配設され、伝熱特性を有し且つ絶縁性のシート体からなる絶縁層12、22と、この絶縁層12、22の背面側に配設され、両端部分に1対の電極13a・13b、23a・23bが配設され、この1対の電極13a・13b、23a・23b間に抵抗13c、23cが配設される発熱層13、23と、この発熱層13、23の背面最外側に配設され、断熱特性を有し且つ絶縁性のシート体からなる被覆層14、24とを備え、電圧制御手段3が、前記1対のパッド素子1、2における各導電層11、21間に微弱な直流電流を生じさせるために入力電圧を所定の間隔で間歇的に供給制御すると共に、前記1対のパッド素子1、2の各発熱層13、23における各1対の電極13a・13b、23a・23b間に直流電流を生じさせるために入力電圧を供給制御する構成である。
【0040】
前記発熱層13、23は、1対の電極13a・13b、23a・23bが各々短冊状に形成され、この電極13a・13b、23a・23b間の抵抗13c、23cが短冊状の電極13a・13b、23a・23bに平行な方向に配向性を有するカーボン繊維16で形成され、加熱温度42℃に加熱される構成である。
【0041】
前記電圧制御手段3は、導電層11、21に対して55ppsの周期で間歇的にON状態となるように10分以上30分以下の間だけ電圧を供給し、印加する入力電圧を制御する構成である。
【0042】
前記電圧制御手段3が生体又は生体組織に印加する入力電圧及び間歇的な印加の周波数についてヒトを対象とした試験結果に基づいて説明する。このヒト対象の試験はヒトの両足の印加部位に7.2[V]から26.4[V]、好ましくは7.2[V]から16.8[V]、さらに好ましくは12.0[V]の入力電圧が前記電圧制御手段3により供給制御される。
【0043】
このヒト対象の試験において、被試験者におけるヒトの両足に印加電圧12.0[V]を印加し、周波数を35[pps]から150[pps]で変化させて被試験者の感覚(快適感〜不快適感)を次の通り検出した。
【0044】
まず、35ppsでは、まだ違和感があり、長時間の処理で気持ちが悪くなることが解った。45ppsでは、しびれ感が強く、気持ちが悪く(不快)感じ、長時間の処理が無理であることが解った。50ppsでは、快適感の許容範囲であることが解った。55ppsでは、極めて快適であることが解った。60ppsでは、快適感の許容範囲であることが解った。
【0045】
また、65ppsでは、少し刺激が感じられなくなり、入力電圧を14.4[V]に上げると55pps時に近いような刺激を感じることができるものの、ただ、最適ではないことが解った。70ppsでは、ほとんど刺激を感じられないことが解った。75ppsでは、ほとんど刺激を感じられず、入力電圧を16.8[V]に上げると少し刺激を感じることが解った。100ppsでは、全く刺激を感じられず、入力電圧を19.2[V]に上げると少し刺激を感じることが解った。150ppsでは、全く刺激を感じられず、入力電圧を26.4[V]にまで上げたが感じないことが解った。
【0046】
また、入力電圧を9.6[V]、12.0[V]、及び16.8[V]とした場合におけるこの直流電圧を間歇的に印加する周波数の最適周波数を試験にて求めた。この入力電圧が9.6[V]の場合に周波数を35<pps<50で変化させると、35[pps]以下はしびれ感が強く気持ちが悪く感じ、50[pps]以上では感じない。また、入力電圧が12.0[V]の場合に周波数を45<pps<60で変化させると、45[pps]以下はしびれ感が強く気持ちが悪く感じ、75[pps]以上では感じない。また、入力電圧が16.8[V]の場合に周波数を65<pps<75で変化させると、75[pps]以下は強く筋肉の収縮が現れるか、気持ちが悪く感じ、75[pps]以上では感じない。
【0047】
以上の試験結果より、動物レベルでは入力電圧が12.0[V]で周波数55(±1)[pps]が最適周波数であり、50[pps]ないし60[pps]の範囲で電圧制御手段3が制御することが望ましいことが解る。
【0048】
また、生体又は生体組織に対する電気信号の機能から、前記電圧制御手段3は次の通り入力電圧を制御することできる。即ち、生体又は生体組織の非興奮性細胞に生体電流に相当する微弱電流が通電するように強制的に電圧を印加して、体内のタンパク質を介して活性化するものである。このように非興奮性細胞にのみ生体電流に相当する微弱電流を通電し、筋肉性細胞等の興奮性細胞に生体電流に相当する外部からの電流を通電しないので収縮等の刺激を与えることがない。
従って、電圧制御手段3は、興奮性細胞が、例えば筋肉性細胞を不快に収縮させない電流レベルの微弱電流を通電するように印加する入力電圧を制御する。
【実施例】
【0049】
以下に、本実施形態における治療装置の動作により発現する蛋白質の誘導効果をヒトの培養細胞系について実験した結果に基づいて具体的に説明する。
(1.検討項目)
ヒトの培養細胞系(ヒト肺ガン細胞のA549細胞)における評価を以下のi)、ii)の2点について行った。
(1−1)HSP72の誘導
(1−2)ユビキチン化の促進
【0050】
(2.実施方法)
ファンクションジェネレータ(以下、FGとする)で印加する入力電圧を5.0[V]、立ち上がり時間を18nsecに設定し、そのピーク値を示す時間を様々に変更して以下のそれぞれの検証を行った。また、加える温熱の温度を42℃に設定して検証を行った。
(2−1 HSP72の誘導)
HSP70の測定はマウス抗HSP70モノクローナル抗体を用いたイムノブロットを行い、結合した抗体を増感化学発光法(Enhanced chemiluminescence;ECL)ウエスタンブロット検出キット(アマシャム社製)で検出し測定した。ローディングコントロールとしてカルネキシン(CNX)を検出した。
(2−2 ユビキチン化の促進)
ユビキチン化蛋白質の測定は、マウス抗ユビキチン化蛋白質モノクローナル抗体を用いたイムノブロットを行い、結合した抗体を増感化学発光法(Enhanced chemiluminescence;ECL)ウエスタンブロット検出キット(アマシャム社製)で検出し測定した。
【0051】
(3.実施結果)
(3−1 HSP72の誘導)(図5を参照)
図5は、温熱+FG電圧(ピーク時間0.05msec)、温熱+FG電圧(ピーク時間0.1msec)、温熱+FG電圧(ピーク時間0.15msec)、温熱+FG電圧(ピーク時間0.2msec)、温熱+FG電圧(ピーク時間1msec)のそれぞれの場合におけるHSP72の発現量を示す。
【0052】
図5に示すグラフから、ピーク時間が0.1msecの場合にHSP72の発現量が最も多くなっていることがわかる。また、ピーク時間が0.05msec、0.15msecの場合にはHSP72の発現量が0.1msecの場合に比べると少ないが、発現量は増えている。つまり、好ましくはピーク時間を0.05msec〜0.2msec、より好ましくは0.05msec〜0.15msec、さらに好ましくは0.1msecに設定するのが良いということが言える。
また、印加する入力電圧は細胞レベルで3.0[V]〜7.0[V]、好ましくは5.0[V]に設定するのが良い。
さらに、電圧の立ち上がり時間は18nsec〜5000nsec、好ましくは18nsecに設定するのが良い。そうすることで、生体組織や細胞への刺激が明確となり、防御機能の働きを抑制して生体組織の正常化を極めて効果的に行うことができる
【0053】
(3−2 ユビキチン化の促進)(図6を参照)
HSは温熱の有無を示しており、温熱を加えた場合を+、温熱を加えていない場合を−で示す。また、ピーク値を示す時間を0.05msec、0.1msec、0.15msec、0.2msec、1msecとし、それぞれの場合におけるユビキチン化蛋白質をウエスタンブロット法により検出した。ここでも、ピーク時間が0.05msec〜0.15msecにかけてユビキチン化が促進されていることがわかる。特に、0.1msecの場合が最もユビキチン化の促進を確認することができる。
【0054】
以上のように本発明に係る生体組織正常化装置及び生体組織正常化装置を用いた治療装置は、極めて優れたHSP誘導能を有し、各種疾患に有効であることが明らかである。また、本発明に係る生体組織正常化装置及び生体組織正常化装置を用いた治療装置は、その安全性の高さから考えても、臨床上極めて優れた有用性が期待できる。前記各種疾患の具体例としては、脳神経疾患、心脈管系疾患、消化器系疾患、代謝性疾患、自己免疫疾患、変性疾患、虚血性神経細胞障害、虚血・再灌流傷害、嚢胞性繊維症、悪性腫瘍、感染症、肝不全、腎不全、薬物中毒、重金属中毒、放射線傷害、紫外線傷害、生体侵襲、又は老化等がある。脳神経疾患には、脳卒中、脳卒中後遺症、遅発性神経細胞死、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症又はクロイツフェルド・ヤコブ病等がある。
【0055】
また、本発明に係る生体組織正常化装置及び生体組織正常化装置を用いた治療装置は、エビキチン化蛋白質を介して生体又は生体組織における正常化機構を活性化されるものであり、細胞内の約80%の蛋白質がユビキチン化された後にプロテアソームで分解される。しかし、プロテアソームの働きが阻害されると、細胞内に分解されないユビキチン化蛋白質が増加するため、細胞は計画的な細胞死の道を選択する。この原理を利用して、プロテアソーム阻害剤が現在、抗癌剤として注目されている(Julian A.Cancer Cell,2003,Angelika M.B et al.European Journalof Cancer,2004)。
【0056】
プロテアソーム阻害剤は、蛋白質の合成や分解が盛んな増殖期に作用しやすい。正常細胞と比較して、腫瘍細胞内では細胞増殖に関連する蛋白質の調節異常が生じているため、細胞の増殖率が非常に速い。そのため腫瘍組織は、増殖期の細胞に作用するプロテアソーム阻害剤の影響を受けやすい。本発明に係る生体組織正常化装置及び生体組織正常化装置を用いた治療装置は、ユビキチン化を促進するため、細胞内のユビキチン化蛋白質が非常に増加する。そのためプロテアソームが飽和状態となり、プロテアソームの働きが阻害された時と同様な状態になる。
【0057】
すなわち、本発明に係る生体組織正常化装置及び生体組織正常化装置を用いた治療装置は、プロテアソームを阻害することによる抗腫瘍効果も有している。また、その効果は、これらの原理に基づき、腫瘍細胞特異的に発揮されることも期待できる。このようにユビキチン化蛋白質を介したユビキチン・プロテアソームシステムの正常化機構成により改善される疾患としては、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ミオクロニーてんかん等)、癌疾患(例えば、家族性乳がん、卵巣がん等)、色素性乾皮症等がある。
【0058】
なお、本発明は、前記実施の形態においてヒトの培養細胞系の動物の組織細胞を対象として説明したが、植物の組織細胞に対しても適用することができ、同様の作用・効果が奏し得られる。
【0059】
また、細胞レベルでのファンクションジェネレータによる入力電圧を3.0[V]〜7.0[V]、好ましくは5.0[V]に設定して説明したが、動物レベルでは7.2[V]以上16.8[V]以下、好ましくは12.0[V]を入力電圧としてFGの設定を行うことで、上記で説明した効果と同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1の実施形態に係る治療装置の全体概略構成図である。
【図2】図1に記載の治療装置におけるパッド素子の平面図である。
【図3】図2に記載のパッド素子のA−A線断面図である。
【図4】図3に記載のパット素子のB−B線断面図である。
【図5】HSP72の誘導の評価結果である。
【図6】ユビキチン化の促進の評価結果である。
【符号の説明】
【0061】
1、2 パッド素子
3 電圧制御手段
11、21 導電層
12、22 絶縁層
13、23 発熱層
13a・13b、23a・23b 電極
16 カーボン繊維
14、24 被覆層
100 生体
200 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を所定の間隔で間歇的に印加することにより生じる微弱な直流電流を生体又は生体組織に通電し、当該生体又は生体組織に温熱を加えて、当該生体又は生体組織における正常化機構を蛋白質を介して活性化させる生体組織正常化装置において、
印加される入力電圧のパルス波形が矩形波であり、当該パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間が0.05ミリ秒以上0.2ミリ秒以下であり、当該ピーク値が3.0V以上20.0V以下であることを特徴とする生体組織正常化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生体組織正常化装置において、
前記パルス波の立ち上がり時間が18ナノ秒以上5000ナノ秒以下であることを特徴とする生体組織正常化装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の生体組織正常化装置において、
前記パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間及びピーク値が反比例の関係であることを特徴とする生体組織正常化装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の生体組織正常化装置において、
前記蛋白質が熱ショック蛋白質又はユビキチン化蛋白質であることを特徴とする生体組織正常化装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の生体組織正常化装置において、
前記直流電圧の間歇的な間隔が、30ppsないし100ppsであることを特徴とする生体組織正常化装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の生体組織正常化装置において、
前記温熱が38℃以上45℃以下であることを特徴とする生体組織正常化装置。
【請求項7】
請求項1に記載の生体組織正常化装置を用いた治療装置であって、
1対のパッド素子が生体又は生体組織の異なる部位の表面に付着する導電性のシート体からなる導電層と、当該導電層の背面側に配設され、伝熱特性を有し且つ絶縁性のシート体からなる絶縁層と、当該絶縁層の背面側に配設され、両端部分に1対の電極が配設され、当該1対の電極間に抵抗が配設される発熱層とを備え、
前記パッド素子間に電流を生じさせるための電圧を印加する電圧制御手段が、前記1対のパッドにおける各導電層間に微弱な直流電流を生じさせるために、入力電圧を所定の間隔で間歇的に供給制御すると共に、前記1対のパッド素子の各発熱層における各1対の電極間に電流を生じさせるための入力電圧を供給制御し、
前記直流電流を生じさせるための入力電圧が、矩形波のパルス波形であり、当該パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間が0.05ミリ秒以上0.2ミリ秒以下であり、当該ピーク値が3.0V以上20.0V以下であることを特徴とする治療装置。
【請求項8】
請求項7に記載の治療装置において、
前記パルス波の立ち上がり時間が18ナノ秒以上5000ナノ秒以下であることを特徴とする治療装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の治療装置において、
前記パルス波の1周期における立ち上がりのピーク値を示す時間及びピーク値が反比例の関係であることを特徴とする治療装置。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載の治療装置において、
前記パッド素子の発熱層が、1対の電極が各々短冊状に形成され、当該電極間の抵抗が短冊状の電極に平行な方向に配向性を有するカーボン繊維で形成されることを特徴とする治療装置。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれかに記載の治療装置において、
前記各導電層に供給される直流電圧が、50ppsないし60ppsの周期で間歇的に供給制御されることを特徴とする治療装置。
【請求項12】
請求項7ないし11のいずれかに記載の治療装置において、
前記1対のパッド素子の各発熱層が、38℃以上45℃以下に加熱することを特徴とする治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−125549(P2009−125549A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307364(P2007−307364)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000100399)つちやゴム株式会社 (10)
【出願人】(504159235)国立大学法人 熊本大学 (314)
【Fターム(参考)】