説明

生鳥篭

【課題】 生鳥を取り出す際に生鳥が損傷するおそれの無い、且つ内部の汚れを充分に除去できる生鳥篭を提供する。
【解決手段】 格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体11と、篭本体11の開放された上端を覆う略長方形の蓋12とを備え、蓋12は一辺を軸にした揺動による片開き可能に、又は対向する二辺の何れをも軸にした揺動による片開き可能に、篭本体に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養鶏場から食鳥処理工場への生鳥の運搬に際して、生鳥を入れる生鳥篭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
養鶏場から食鳥処理工場への生鳥の運搬に際して、生鳥を入れる生鳥篭が使用されている。
図1に示すように、生鳥篭100は一般に、格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体101と、篭本体101の開放された上端を覆う略長方形の格子構造の蓋102とを備えている。蓋102の二つの長辺は篭本体101の上端の二つの長辺に図示しない係止爪を介して係止している。蓋102は、開口102aと、開口102aを開閉する引き戸102bとを有している。
従来、生鳥篭100への生鳥の出し入れは開口102aを介して行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
食鳥処理工場において、開口102aを介して生鳥篭100から生鳥を取り出す際に、生鳥が開口102aの縁と干渉して損傷する事故が多発していた。また人の力では篭本体上端の二つの長辺に係止された蓋102を係止状態から開放するのが困難であることに鑑み、使用済みの生鳥篭100を蓋102を取り付けたまま洗浄していたので、生鳥篭内部の汚れを十分に除去できかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、生鳥を取り出す際に生鳥が損傷するおそれの無い、且つ内部の汚れを充分に除去できる生鳥篭を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体と、篭本体の開放された上端を覆う略長方形の蓋とを備え、蓋は一辺を軸にした揺動による片開き可能に、又は対向する二辺の何れをも軸にした揺動による片開き可能に、篭本体に取り付けられていることを特徴とする生鳥篭を提供する。
本発明においては、格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体と、篭本体の開放された上端を覆う略長方形の蓋とを備え、蓋は水平移動による開閉可能に篭本体に取り付けられていることを特徴とする生鳥篭を提供する。
本発明の好ましい態様においては、蓋は、引き戸又は開き戸により開閉される開口を有している。
本発明に係る生鳥篭においては、片開き可能な蓋を揺動させて開き、或いは水平移動可能な蓋を水平移動させて開いて、生鳥を篭に出し入れする。篭本体の上端が形成する開口は大きいので、生鳥を出し入れする際に生鳥が損傷するおそれは無い。蓋は人の力で容易に開くことができるので、蓋を開いた状態で生鳥篭を洗浄することが可能であり、生鳥篭内部の汚れを充分に除去することが可能である。
引き戸又は開き戸により開閉される開口を蓋に設けると、蓋を閉じ、引き戸又は開き戸を開いて、比較的小さな開口を介して生鳥を篭に入れることができ、篭詰めの際に生鳥が篭から逃げ出すのを防止できる。
【0005】
本発明においては、格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体と、篭本体の開放された上端を覆う二枚の略矩形の蓋とを備え、前記二枚の蓋は両開き可能に篭本体に取り付けられていることを特徴とする生鳥篭を提供する。
本発明の好ましい態様においては、一方の蓋は、引き戸又は開き戸により開閉される開口を有している。
本発明に係る生鳥篭においては、両開き可能な二枚の蓋を揺動させて開き、生鳥を篭に出し入れする。篭本体の上端が形成する開口は大きいので、生鳥を出し入れする際に生鳥が損傷するおそれは無い。蓋は人の力で容易に開くことができるので、蓋を開いた状態で生鳥篭を洗浄することが可能であり、生鳥篭内部の汚れを充分に除去することが可能である。
引き戸又は開き戸により開閉される開口を一方の蓋に設けると、二枚の蓋を閉じ、引き戸又は開き戸を開いて、比較的小さな開口を介して生鳥を篭に入れることができ、篭詰めの際に生鳥が篭から逃げ出すのを防止できる。
【0006】
本発明においては、格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体と、引き戸又は開き戸により開閉される開口を有し篭本体の開放された上端を覆う略長方形の蓋とを備え、蓋は前記開口と引き戸又は開き戸とを内包する片開き可能な扉と、扉により開閉される開口とを有しており、扉は一辺を軸にした揺動による片開き可能に又は対向する二辺の何れをも軸にした揺動による片開き可能に蓋に取り付けられていることを特徴とする生鳥篭を提供する。
本発明に係る生鳥篭においては、蓋が有する片開き可能な扉を閉じ、扉が内包する引き戸又は開き戸を開いて、比較的小さな開口を介して生鳥を篭に入れる。これにより、篭詰めの際に生鳥が篭から逃げ出すのを防止できる。生鳥を篭から取り出す際には、蓋が有する片開き可能な扉を揺動して開き、扉が開いて形成された引き戸又は開き戸の開口よりも大きな開口を介して生鳥を篭から取り出す。これにより、篭から生鳥を取り出す際に生鳥が損傷するのを防止できる。蓋が有する扉は人の力で容易に開くことができるので、扉を開いた状態で生鳥篭を洗浄することが可能であり、生鳥篭内部の汚れを充分に除去することが可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る生鳥篭においては、篭から生鳥を取り出す際に生鳥が損傷するおそれが無く、また、生鳥篭内部の汚れを充分に除去することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例に係る生鳥篭を説明する。
【実施例1】
【0009】
図2に示すように、生鳥篭10は、格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体11と、引き戸12bにより開閉される開口12aを有し篭本体11の開放された上端を覆う略長方形の蓋12とを備えている。蓋12は一方の長辺を軸にした揺動による片開き可能に篭本体11に取り付けられている。蓋12の他方の長辺には、蓋12が閉じた際に蓋12を篭本体11の上端に係止するための図示しない係止爪が形成されている。
生鳥篭10においては、生鳥を生鳥篭10に入れる際には、蓋12を閉じて篭本体11の上端に係止させ、引き戸12bを開き、開口12aを介して生鳥を生鳥篭10に入れる。
生鳥を生鳥篭10から取り出す際には、蓋12の篭本体11上端への係止状態を解除し、片開き可能な蓋12を揺動させて開き、篭本体11の上端が形成する開口を介して生鳥を生鳥篭10から取り出す。開口12aよりも大きな篭本体11の上端が形成する開口を介して生鳥を生鳥篭10から取り出すので、生鳥篭10から生鳥を取り出す際に生鳥が損傷するおそれは無い。
蓋12の二つの長辺のうちの一つのみが篭本体11の上端に係止している状態は、蓋12の二つの長辺が篭本体11の上端の二つの長辺に係止している状態に比べて、係止の解除が容易であり、人の力でも容易に解除することができる。前記係止状態が一旦解除されると、蓋12は人の力で容易に揺動させて開くことができる。従って、生鳥篭10は、蓋12を開いた状態で洗浄することが可能であり、生鳥篭10内部の汚れを充分に除去することが可能である。
【実施例2】
【0010】
図3に示すように、生鳥篭20は、格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体21と、引き戸22bにより開閉される開口22aを有し篭本体21の開放された上端を覆う略長方形の蓋22とを備えている。蓋22は二つの長辺の何れをも軸にした揺動による片開き可能に、篭本体21に取り付けられている。
生鳥篭20においては、生鳥を生鳥篭20に入れる際には、蓋22を閉じ、引き戸22bを開き、開口22aを介して生鳥を生鳥篭20に入れる。
生鳥を生鳥篭20から取り出す際には、蓋22の一方の長辺の篭本体上端への軸着状態を解除し、蓋22を他方の長辺側へ揺動させて開き、篭本体21の上端が形成する開口を介して生鳥を生鳥篭20から取り出す。開口22aよりも大きな篭本体21の上端が形成する開口を介して生鳥を生鳥篭20から取り出すので、生鳥篭20から生鳥を取り出す際に生鳥が損傷するおそれは無い。
蓋22の一方の長辺の篭本体上端への軸着状態は人の力でも容易に解除することができる。前記軸着状態が一旦解除されると、蓋22は人の力で容易に揺動させて開くことができる。従って、生鳥篭20は、蓋22を開いた状態で洗浄することが可能であり、生鳥篭20内部の汚れを充分に除去することが可能である。
【実施例3】
【0011】
図4に示すように、生鳥篭30は、格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体31と、篭本体31の開放された上端を覆う略長方形の2枚の蓋32とを備えている。一方の蓋32は、引き戸32bにより開閉される開口32aを有している。2枚の蓋32は、両開き可能に篭本体31に取り付けられている。閉じた状態の2枚の蓋32を互いに係止させる図示しない係止爪が、一方の蓋32に取り付けられている。
生鳥篭30においては、生鳥を生鳥篭30に入れる際には、2枚の蓋32を閉じて互いに係止させ、引き戸32bを開き、開口32aを介して生鳥を生鳥篭30に入れる。
生鳥を生鳥篭30から取り出す際には、2枚の蓋32の相互係止状態を解除し、蓋32を両開きし、篭本体31の上端が形成する開口を介して生鳥を生鳥篭30から取り出す。開口32aよりも大きな篭本体31の上端が形成する開口を介して生鳥を生鳥篭30から取り出すので、生鳥篭30から生鳥を取り出す際に生鳥が損傷するおそれは無い。
2枚の蓋32の相互係止状態は人の力でも容易に解除することができる。前記相互係止状態が一旦解除されると、蓋32は人の力で容易に両開きさせることができる。従って、生鳥篭30は、蓋32を開いた状態で洗浄することが可能であり、生鳥篭30内部の汚れを充分に除去することが可能である。
【実施例4】
【0012】
図5に示すように、生鳥篭40は、格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体41と、篭本体41の開放された上端を覆う略長方形の蓋42とを備えている。蓋42は、引き戸状に短手方向へ水平移動可能に篭本体41に取り付けられている。閉じた状態の蓋42の水平移動を規制する図示しない水平移動規制部材が蓋42に取り付けられている。
生鳥篭40においては、生鳥を生鳥篭40に入れる際には、蓋42を閉じて蓋42の水平移動を規制し、引き戸42bを開き、開口42aを介して生鳥を生鳥篭40に入れる。
生鳥を生鳥篭40から取り出す際には、蓋42の水平移動規制を解除し、蓋42を水平移動させて開き、篭本体41の上端が形成する開口を介して生鳥を生鳥篭40から取り出す。開口42aよりも大きな篭本体41の上端が形成する開口を介して生鳥を生鳥篭40から取り出すので、生鳥篭40から生鳥を取り出す際に生鳥が損傷するおそれは無い。
蓋42の水平移動規制は人の力でも容易に解除することができる。前記規制が一旦解除されると、蓋42は人の力で容易に水平移動させて開くことができる。従って、生鳥篭40は、蓋42を開いた状態で洗浄することが可能であり、生鳥篭40内部の汚れを充分に除去することが可能である。
【実施例5】
【0013】
図6に示すように、生鳥篭50は、格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体51と、篭本体51の開放された上端を覆う略長方形の蓋52とを備えている。蓋52の二つの長辺は図示しない係止爪により篭本体51の上端の二つの長辺に係止されている。蓋52は、引き戸52bにより開閉される開口52aを有すると共に、開口52aと引き戸52bとを内包する片開き可能な扉52′と、扉52′により開閉される開口52″とを有している。扉52′の軸着されていな側の長辺には、扉52′が閉じた際に扉52′を蓋52に係止するための図示しない係止爪が形成されている。
生鳥篭50においては、生鳥を生鳥篭50に入れる際には、扉52′を閉じて蓋52に係止させ、引き戸52bを開き、開口52aを介して生鳥を生鳥篭50に入れる。
生鳥を生鳥篭50から取り出す際には、扉52′の蓋52への係止を解除し、片開き可能な扉52′を揺動させて開き、扉52′が開くことにより形成された開口52″を介して生鳥を生鳥篭50から取り出す。扉52′が開くことにより形成された、開口52aよりも大きな開口52″を介して生鳥を生鳥篭50から取り出すので、生鳥篭50から生鳥を取り出す際に生鳥が損傷するおそれは無い。
扉52′の蓋52への係止は人の力でも容易に解除することができる。前記係止が一旦解除されると、扉52′は人の力で容易に揺動させて開くことができる。従って、生鳥篭50は、扉52′を開いた状態で洗浄することが可能であり、生鳥篭50内部の汚れを充分に除去することが可能である。
【実施例6】
【0014】
実施例1〜5において、蓋が備える引き戸を揺動開閉される開き戸に置き換えても良い。
実施例1〜5において、引き戸と引き戸により開閉される開口を扉から除去しても良い。この場合は、蓋又は蓋に形成した扉を開いて、生鳥を篭に入れることになる。
実施例5において、扉52′を対向する二つの長辺の何れをも軸にした揺動による片開き可能な扉としても良い。この場合、扉52′が閉じた状態では、扉52′の二つの長辺は共に蓋52に軸着される。従って、扉52′が閉じた際に扉52′を蓋52に係止するための図示しない係止爪は不要である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、生鳥篭に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来構造の生鳥篭の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1に係る生鳥篭の斜視図である。
【図3】本発明の実施例2に係る生鳥篭の斜視図である。
【図4】本発明の実施例3に係る生鳥篭の斜視図である。
【図5】本発明の実施例4に係る生鳥篭の斜視図である。
【図6】本発明の実施例5に係る生鳥篭の斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
100、10、20、30、40、50 生鳥篭
101、11、21、31、41、51 篭本体
102、12、22、32、42、52 蓋
102a、12a、22a、32a、42a、52a 開口
102b、12b、22b、32b、42b、52b ひき戸
52′ 扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体と、篭本体の開放された上端を覆う略長方形の蓋とを備え、蓋は一辺を軸にした揺動による片開き可能に、又は対向する二辺の何れをも軸にした揺動による片開き可能に、篭本体に取り付けられていることを特徴とする生鳥篭。
【請求項2】
格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体と、篭本体の開放された上端を覆う略長方形の蓋とを備え、蓋は水平移動による開閉可能に篭本体に取り付けられていることを特徴とする生鳥篭。
【請求項3】
蓋は、引き戸又は開き戸により開閉される開口を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の生鳥篭。
【請求項4】
格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体と、篭本体の開放された上端を覆う二枚の略矩形の蓋とを備え、前記二枚の蓋は両開き可能に篭本体に取り付けられていることを特徴とする生鳥篭。
【請求項5】
一方の蓋は、引き戸又は開き戸により開閉される開口を有していることを特徴とする請求項4に記載の生鳥篭。
【請求項6】
格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された略直方体の篭本体と、引き戸又は開き戸により開閉される開口を有し篭本体の開放された上端を覆う略長方形の蓋とを備え、蓋は前記開口と引き戸又は開き戸とを内包する片開き可能な扉と扉により開閉される開口とを有しており、扉は一辺を軸にした揺動による片開き可能に又は対向する二辺の何れをも軸にした揺動による片開き可能に蓋に取り付けられていることを特徴とする生鳥篭。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−6135(P2006−6135A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184754(P2004−184754)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(391021879)ゴーデックス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】