説明

産業廃棄物管理票用のファイルシート及びファイル

【課題】産業廃棄物管理票(いわゆるマニュフェスト)の伝票等を1件ごとに納め区別ができやすく、幅が狭くならず、書類が入れやすく、重くならず、材料が無駄にならず、汚しにくい産業廃棄物管理票用のファイルシート及びファイルを提供する。
【解決手段】産業廃棄物管理票を構成する複数枚の伝票等13に対応して、これらの伝票等13を入れる複数の透明なポケット5を重ね上下にずらしてベースシート1に設け、このベースシート1をファイル3へ綴じる。ポケット5は、透明なポケット用シート7Aの左右辺及び下辺11が、前記ベースシート1に貼り付けられ、同様に2枚目のポケット用シート7Bが上辺12Bを、1枚目の前記ポケット用シート7Aの上辺12Aから所定寸法ずらして貼り付けられ、同様にずらしながら順次N枚目のポケット用シート7までを貼り付ける。複数のポケット5の少なくとも一つには、上辺付近に、入れられた伝票等13へ捺印又は記入をするための窓15が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、いわゆるマニュフェストと呼ばれる産業廃棄物管理票を構成する複数枚の伝票等を入れるファイルシート及びファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるマニュフェストと呼ばれる産業廃棄物管理票は、産業廃棄物の処理を確認するために用いられる。すなわち、産業廃棄物管理票は、複数枚複写の伝票等からなり、産業廃棄物が、例えば排出業者、収集運搬業者、中間処分業者、2次収集運搬業者、最終処分業者と流れて処分される際に、下流側の業者が処分をするたびに上流側の業者に伝票等を渡し、各段階の業者は渡された伝票等を保管することで、流れの各段階の処分を確認することを容易にしようとするものです。
【0003】
以下詳しく説明する。
産業廃棄物は例えば、排出業者から排出されて、収集運搬業者が収集して運搬し、中間処分業者が焼却などの中間処分を行い、2次収集運搬業者が収集して運搬し、最終処分業者が埋め立てなどの最終処分を行う。
【0004】
この産業廃棄物の流れにおける各段階の処分を確認するため、二つのマニュフェスト(産業廃棄物管理票)が使用される。一つは排出業者が使用するもので、1次マニュフェストと呼ばれ、7枚複写の伝票A,B1,B2,C1,C2,D,Eからなります。二つめは、中間業者が使用するもので、2次マニュフェストと呼ばれ、やはり7枚複写の2次伝票A,B1,B2,C1,C2,D,Eからなります。
【0005】
(1次マニュフェスト)
排出業者は、7枚複写の伝票A,B1,B2,C1,C2,D,Eへ必要事項を記入して、全てを収集運搬業者に渡す。収集運搬業者は、必要箇所にサインして、伝票Aを排出業者へ控えとして渡し、伝票B1,B2,C1,C2,D,Eに必要事項を記入してを廃棄物とともに中間処分業者に渡す。中間処分業者は、必要箇所にサインして、伝票B1,B2を収集運搬業者へ控えとして渡す。収集運搬業者は、伝票B1を自らの控えとして残し,伝票B2を排出業者に送付する。
【0006】
中間処分業者は、廃棄物の中間処分を終えた後に、伝票C1,C2,D,Eに必要事項を記入して、伝票C1を自らの控えとして残し、伝票C2を収集運搬業者へ送付し,伝票Dを排出業者へ送付する。また、伝票Eを一時保管する。
【0007】
(2次マニュフェスト)
中間処分業者は、前記排出業者と同様に、2次伝票A,B1,B2,C1,C2,D,Eに必要事項を記入して、全てを2次収集運搬業者に渡す。2次収集運搬業者は、必要箇所にサインして、2次伝票Aを中間処分業者へ控えとして渡し、2次伝票B1,B2,C1,C2,D,Eに必要事項を記入してを廃棄物とともに最終処分業者に渡す。最終処分業者は、必要箇所にサインして、2次伝票B1,B2を2次収集運搬業者へ控えとして渡す。2次収集運搬業者は、2次伝票B1を自らの控えとして残し,2次伝票B2を排出業者に送付する。
【0008】
最終処分業者は、廃棄物の最終処分を終えた後に、2次伝票C1,C2,D,Eに必要事項を記入して、2次伝票C1を自らの控えとして残し、2次伝票C2を2次収集運搬業者へ送付し,2次伝票D、Eを中間処分業者へ送付する。
【0009】
(最終処分の確認)
2次伝票D、Eの送付を受けた中間処分業者は、2次伝票D,Eを保管し、2次伝票Eから最終処分を確認し、その内容を伝票Eに記入し、排出業者へ送付する。伝票Eの送付を受けた排出業者は、最終処分を確認する伝票Eを保管する。
【0010】
(控え、または保管伝票)
以上により、流れの各段階に位置する各業者は、以下のように、控え、または伝票を保管することになる。
排出業者:伝票A、B2、D、E
収集運搬業者:伝票B1、C2
中間処分業者:伝票C1、2次伝票A、B2、D、E
2次収集運搬業者:2次伝票B1、C2
最終処分業者:2次伝票C1
【0011】
(伝票の性質と保管の効果)
控え、または保管伝票は、廃棄物の送り状、または各段階での処分終了の報告書となる。そして、これらの保管が例えば5年間なされることで、流れの各段階の処分を確認することが容易になり、不法投棄などを無くそうとするものである。
【0012】
(保管)
以上説明したように、産業廃棄物管理票を構成し、長期間保管しなければならない控えや伝票は、多いときには5枚にもなる。また、産業廃棄物管理票は、産業廃棄物の排出の件ごとに行わなければならず、更に枚数は増える。しかも、混乱して、どの控えや伝票は、どの件に関するのかの区別が不明になりやすい。
【0013】
また、控えや伝票は、産業廃棄物の処理の現場で扱われることが多く、塵埃などによる汚れから守られなければならない。透明な袋状のシートを多数有するファイルも販売されているが、控えや伝票1枚ごと透明な袋に入れても、前記区別が不明になりやすい。
【0014】
このような控えや伝票などの書類の保管に役立ちそうな従来技術として、下記特許文献1には、透明な袋を3つ、背の高さを違えて、多重に入れて、複数のポケットを形成し、書類を収納するものが開示される。
また、特許文献2には、大きな書類をファイルの内側の両面にまたがって収納するポケットを備える技術が開示される。
【特許文献1】実用新案登録3019762号公報における図5、図8(b)
【特許文献2】特開2003-276374号公報における図4、図11
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1の技術では、複数の透明な袋を、背の高さを違えて、多重に入れなければならない。そして、書類の枚数に応じてポケットの数を増やすためには、袋の数を増やさなければならず、増やした袋が、入れた内部で多重になり、厚みが大きくなり、その分が無駄が生じてしまう。例えば、排出業者が保管すべき伝票A、B2、D、Eの4枚の書類を入れるには、4つの袋が必要になり、重なりは8重になり、重くなってしまう。また袋である材料が無駄である。さらに、袋を多重に入れるために、下側すなわち外側の袋の幅に対し、内側すなわち上側の袋の幅は狭くなり、結局、収納できる書類の幅が狭くなる。また、一番上のポケットには書類が入れにくい。
【0016】
また、特許文献2の技術では、収納した書類の中央部分など広い部分が露出してしまう。このために、廃棄物の処理現場などで扱うことが多い産業廃棄物管理票の控えや伝票(以下単に伝票等という)は、すぐに汚れてしまう。また、多数件に関係する多数枚の伝票等は、収納できにくい。
【0017】
この発明は、以上の問題点を解決するために、産業廃棄物管理票の伝票等を1件ごとに納め区別ができやすく、幅が狭くならず、書類が入れやすく、重くならず、材料が無駄にならず、産業廃棄物管理票の伝票等を汚しにくい産業廃棄物管理票用のファイルシート及びファイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以上の課題を解決するために、第一発明は、産業廃棄物管理票を構成する複数枚の伝票等に対応して、これらの伝票等を入れる複数の透明なポケットと、伝票等の上端部が前記ポケットの透明な材質を通して見えるように、これらのポケットを重ね上下にずらして設けたベースシートと、このベースシートの上辺、下辺、または側辺に形成されたファイルへの綴じ代と、を有することを特徴とする産業廃棄物管理票用のファイルシートである。 第二発明は、さらに、前記複数のポケットは、透明なポケット用シートの左右辺及び下辺が、前記ベースシートに貼り付けられ、同様に2枚目のポケット用シートが上辺を、1枚目の前記ポケット用シートの上辺から所定寸法ずらして貼り付けられ、同様にずらしながら順次N枚目のポケット用シートまでを貼り付けることで設けたことを特徴とする産業廃棄物管理票用のファイルシートである。
【0019】
第三発明は、さらに、前記の複数のポケットの少なくとも一つには、上辺付近に、入れられた伝票等へ捺印又は記入をするための窓が形成されていることを特徴とする産業廃棄物管理票用のファイルシートである。
第四発明は、さらに、前記第一、第二、第三、又は第四発明のファイルシートを1枚又は複数枚を綴じたことを特徴とする産業廃棄物管理票用のファイルである。
【発明の効果】
【0020】
第一、第二、第三、又は第四発明によれば、ポケットを重ね上下にずらして設けることで、産業廃棄物管理票の伝票等を少しずつずらして納められ、よって伝票等の上端部がポケットの透明な材質を通して見えるので、各伝票等の区別ができやすく、このため1枚のファイルシートごとに必要な書類が揃っているかが一目で確認できやすい。
【0021】
また、特許文献1のように透明な袋を多重に入れて構成するのではないので、幅が狭くならない。また、ベースシートにポケットが設けられるので、伝票等がベースシートの面部にガイドされてポケットの上辺へ導かれ、伝票等が入れやすい。さらに、伝票等は透明なポケットに入れられるので汚れにくい。
【0022】
第二、第三、又は第四発明によれば、さらに、ベースシートに透明なポケット用シートを貼り付けてポケットを設けるので、透明な袋を用いた特許文献1のようには重くならず、材料が無駄にならない。
第三、又は第四発明によれば、さらに、ポケットに伝票等へ捺印又は記入をするための窓が形成されていることで、伝票等をポケットから取り出さずに捺印又は記入をすることができ、産業廃棄物の塵埃などで伝票等が汚れるを抑止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明の実施形態を、図1〜図3に示す。
ベースシート1は透明な材質からなり、定型の、例えばA3のファイル3に閉じれるように、定型の、例えばA3の大きさを有する。このベースシート1を縦置きとして、例えば4つのポケット5を上から順に設けるために4枚の透明なポケット用シート7が貼り付けられる。 すなわち、1番上の1枚目のポケット用シート7Aの左右辺9及び下辺11が、ベースシート1の上へ貼り付けられる。
【0024】
同様に2枚目のポケット用シート7Bの左右辺9及び下辺11が、1枚目のポケット用シート7Aの上、及びベースシート1の上へ貼り付けられる。このとき、2枚目のポケット用シート7Bの上辺12Bは、1枚目の前記ポケット用シート7Aの上辺12Aから所定寸法だけ下へずらした状態で、貼り付けがなされる。
【0025】
同様に3枚目のポケット用シート7Cの左右辺及び下辺11が、2枚目のポケット用シート7Bの上、及びベースシート1の上へ貼り付けられる。このとき、3枚目のポケット用シート7Cの上辺12Cは、2枚目の前記ポケット用シート7Bの上辺12Bから所定寸法だけ下へずらした状態で、貼り付けがなされる。
【0026】
同様にずらしながら順次4枚目のポケット用シート7Dまでを、下へずらしながら貼り付けることで、4つのポケット5が重なった状態で、少しずつずれながら設けられる。
各ポケット5には、産業廃棄物管理票を構成する4枚の伝票等13、例えば伝票A、B2、D、Eがそれぞれ納められる。伝票等13とポケット5の大きさはほぼ同じとする。各ポケット5はずれているので、各伝票等13の上端部が、ポケット5の透明な材質を通して見える。
また、一枚目のポケットシート7Aには、右上辺付近に、収納された伝票等13へ捺印又は記入をするための窓15が形成されている。この一枚目のポケット5には、はじめの伝票Aが入れられ、後の伝票B2、D、Eが送付されてくるたびに、伝票Aの右上辺付近の欄A1に、送付を確認する捺印又は記入を行う。
【0027】
このベースシート1の上辺には、一定幅の綴じ代17が形成され、綴じ孔19が開けられ、綴じ金具21によりファイル3へ閉じられる。
このようにして構成されたファイルシートSは、1件が1枚とされ、例えば10件の産業廃棄物の排出を行うと、10枚のファイルシートSを使うことになる。この10枚のファイルシートSは、一つの産業廃棄物管理票用ファイル3に綴じることができる。
なお、透明なシートの材質は、ビニールやセロファンなどの通常、文房具などに用いられる材質を使用しうる。
【0028】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)従来の透明な袋状のシートを多数有するファイル3へ、控えや伝票1枚ごと透明な袋に入れる場合に比べ、少しずつずれながら設けられるポケット5により、伝票等13が少しずつずれながら収納され、よって、各伝票等13の上端部が、ポケット5の透明な材質を通して見えるので、各伝票などが、どの件に関するのかが人目で明瞭に区別できる。
【0029】
(2)特許文献1の技術に比べ、ポケット5はそれぞれ一重のポケットシート7により形成されるので、例えば、ポケット5をずらす量を最少にし、ポケットシート7が重なる枚数を最大にしても、排出業者が保管すべき伝票A、B2、D、Eの4枚の書類を入れるのに、重なりは4重で済む。その分、材料が無駄にならない。
【0030】
(3)特許文献1の技術に比べ、袋を用いるのではないので、収納できる書類の幅が狭くなということはない。
(4)特許文献1の技術に比べ、ベースシート1にポケット5が設けられるので、伝票等13がベースシート1の面部にガイドされてポケット5の上辺へ導かれ、伝票等13が入れやすい。このため、一番上のポケット5であっても書類が入れにくいということを避けられる。
【0031】
(5)また、特許文献2の技術2比べ、伝票等13はポケット5に収納されるので、汚れにくくできる。
(6)また、特許文献2の技術2比べ、ポケット5の数は容易に増やせるので、多数件に関係する多数枚の伝票等13も収納しやすい。
【0032】
「他の実施形態」
以上の実施形態では、排出業者が保管すべき伝票等13を例としてポケット5の数を4つとしたが、他の実施形態では、3つ、あるいは5つ以上などでもよい。
【0033】
以上の実施形態では、伝票等13は直接にポケット5へ収納するものであったが、この伝票等13は腰が弱くポケット5の材質などにより収納がしにくいことがあるので、他の実施形態では、一度別の腰の強い2枚折りの透明な簡易ファイルに入れ、その後、簡易ファイルに入れた状態の伝票等13を産業廃棄物管理票用ファイルのポケット5に入れてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の一実施形態を示す、ファイルシートを綴じたファイルを開いた状態の全体正面図である。
【図2】図1のファイルシートを示す正面図である。
【図3】図2のファイルシートを分解して示す正面図である。
【符号の説明】
【0035】
1…ベースシート、3…ファイル、5…ポケット、7…ポケット用シート、9…左右辺、11…下辺、13…伝票等、15…窓。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業廃棄物管理票を構成する複数枚の伝票等に対応して、これらの伝票等を入れる複数の透明なポケットと、伝票等の上端部が前記ポケットの透明な材質を通して見えるように、これらのポケットを重ね上下にずらして設けたベースシートと、このベースシートの上辺、下辺、または側辺に形成されたファイルへの綴じ代と、を有することを特徴とする産業廃棄物管理票用のファイルシート。
【請求項2】
前記複数のポケットは、透明なポケット用シートの左右辺及び下辺が、前記ベースシートに貼り付けられ、同様に2枚目のポケット用シートが上辺を、1枚目の前記ポケット用シートの上辺から所定寸法ずらして貼り付けられ、同様にずらしながら順次N枚目のポケット用シートまでを貼り付けることで設けたことを特徴とする請求項1に記載の産業廃棄物管理票用のファイルシート。
【請求項3】
前記の複数のポケットの少なくとも一つには、上辺付近に、入れられた伝票等へ捺印又は記入をするための窓が形成されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の産業廃棄物管理票用のファイルシート。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載のファイルシートを1枚又は複数枚を綴じたことを特徴とする産業廃棄物管理票用のファイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−130861(P2006−130861A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324621(P2004−324621)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(504415599)
【Fターム(参考)】