産業車両用排気処理装置の管継手構造
【課題】産業車両用排気処理装置において、管継手部分に外気導入用の隙間を形成しつつ、外力を吸収でき、隙間の微調整を容易に行える管継手構造を提供する。
【解決手段】ディーゼル・パティキュレート・フィルター(排気処理装置)に排気管5を設け、排気管5のテーパー状の先端部5aをテールパイプ4の開口部4aに挿入して、排気管5の先端部5aとテールパイプ4の開口部4aとの間に断面テーパー状の隙間を形成する。排気管5が第1のブラケット部材11、11’を有し、テールパイプ4が第2のブラケット部材12を有しており、第1、第2のブラケット部材に取付ボルト13、13’が挿通している。第1、第2のブラケット部材間において取付ボルト13、13’の外周には、コイルスプリング15、15’が介装されている。この構成により、排気管5の先端部5aがテールパイプ4の開口部4aに対して管長手方向に弾性支持されている。
【解決手段】ディーゼル・パティキュレート・フィルター(排気処理装置)に排気管5を設け、排気管5のテーパー状の先端部5aをテールパイプ4の開口部4aに挿入して、排気管5の先端部5aとテールパイプ4の開口部4aとの間に断面テーパー状の隙間を形成する。排気管5が第1のブラケット部材11、11’を有し、テールパイプ4が第2のブラケット部材12を有しており、第1、第2のブラケット部材に取付ボルト13、13’が挿通している。第1、第2のブラケット部材間において取付ボルト13、13’の外周には、コイルスプリング15、15’が介装されている。この構成により、排気管5の先端部5aがテールパイプ4の開口部4aに対して管長手方向に弾性支持されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両用排気処理装置の管継手構造に関し、詳細には、管継手部分に外気導入用の隙間を形成しつつ、外力を吸収でき、隙間の微調整を容易に行えるようにするための構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両の排気装置においては、マフラーの吐出側先端と当該先端が挿入されるテールパイプとの間に隙間を形成することにより、ベンチュリ効果を利用して、マフラーからの排ガスの排出時に当該隙間からテールパイプ内に外気を吸引して導入できるようにした構造が知られている(実開平4−83826号公報の第1図、特開2000−34742号公報の図4参照)。
【0003】
その一方、第4次排出ガス規制に適合させる必要から、産業車両メーカーとしては、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集してこれを排気ガス中から除去するためのディーゼル・パティキュレート・フィルター(Diesel Particulate Filter)等の排気処理装置をエンジンの排気系に設置することが要求されている。
【0004】
ディーゼル・パティキュレート・フィルターで捕集された粒子状物質は、当該ディーゼル・パティキュレート・フィルターに導入される高温の排気ガスを用いて燃焼させることが可能であるが、このとき、排ガス温度が非常に高温(約600℃)となる。そこで、従来の排気装置において利用されてきたベンチュリ効果による外気導入構造をこのディーゼル・パティキュレート・フィルターの排気部分にも適用することで、排ガス温度を低減させることが考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、近年、メンテナンス性の便宜を図る観点から、テールパイプをエンジンの上方に向けて配設するとともに、エンジンルームを上方から覆う開閉可能なカバーを設け、テールパイプの下端を当該カバーに取り付けることが行われている。この場合、カバーの開閉作業がしづらいという問題がある。そこで、テールパイプを車両本体側の部材(例えばヘッドガード等)に固定するようにして、カバーの開閉作業を容易にすることも考えられるが、この場合には、エンジンルーム内のディーゼル・パティキュレート・フィルター側と車両本体側とでは振動系が異なるために、とくにディーゼル・パティキュレート・フィルターの排気管がテールパイプに溶接等で固定されていると、振動により接続個所が破損する恐れがある。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、排ガス温度を低減できるとともに、管継手部分に隙間を形成しつつ外力を吸収でき、しかも隙間の微調整を容易に行える産業車両用排気処理装置の管継手構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る産業車両用排気処理装置の管継手構造は、排気処理装置に排気管を設け、排気管の先端部をテールパイプの開口部に挿入するとともに、テールパイプの開口部との間で断面テーパー状の隙間を形成するように、排気管をテールパイプに対して管長手方向に弾性支持している(請求項1参照)。
【0008】
本発明によれば、排気処理装置の排気管の先端部がテールパイプの開口部に挿入されており、排気管の先端部とテールパイプの開口部との間に隙間が形成されているので、排気処理装置から排気管へ排気される際には、ベンチュリ効果により、外気がテールパイプ内に導入され、これにより、排ガス温度を低減できる。しかも、この場合には、排気管の先端部がテールパイプの開口部に対して管長手方向に弾性支持されているので、管継手部分に隙間を形成しつつ、管継手部分に作用する外力を吸収できる。その結果、排気管側とテールパイプ側とが異なる振動系を有している場合でも、排気管の先端部およびテールパイプの開口部が振動により破損するのを回避できる。
【0009】
さらに、本発明によれば、排気管がテールパイプに対して管長手方向に弾性支持されていることで、排気管先端部とテールパイプ開口部とのオーバラップ量を可変にすることができ、これにより、排気管先端部とテールパイプ開口部との間に形成される隙間が断面テーパー状であることと相俟って、排気管先端部とテールパイプ開口部との間の隙間を容易に調整でき、テールパイプ内に導入される外気の量を容易に調整できるようになる。
【0010】
また、本発明では、排気処理装置の排気管が第1のブラケット部材を有するとともに、テールパイプが第2のブラケット部材を有しており、第1、第2のブラケット部材に取付ボルトが挿通するとともに、第1、第2のブラケット部材間において取付ボルトの外周に第1の弾性部材が介装されている(請求項2参照)。この場合には、第1、第2のブラケット部材間で第1の弾性部材が挟持されることで、排気管の先端部がテールパイプの開口部に対して管長手方向に弾性支持されている。なお、第1の弾性部材は、例えばコイルスプリングから構成されている(請求項3参照)。
【0011】
本発明では、取付ボルトの頭部が第1のブラケット部材との間に間隔を隔てて配置されるとともに、頭部および第1のブラケット部材間において取付ボルトの外周に第2の弾性部材が装着されている(請求項4参照)。この場合には、第1の弾性部材に加えて第2の弾性部材を設けることで、排気管およびテールパイプ間の弾性支持における支持剛性を高めることができるとともに、排気管をテールパイプに対して管長手方向の前方および後方の双方向に対して弾性支持させることができ、これにより、外力に対するフレキシビリティをさらに向上できる。なお、第2の弾性部材は、例えばコイルスプリングから構成されている(請求項5参照)。また、第1、第2のブラケット部材は、半径方向に張り出す部材である(請求項6参照)。
【0012】
本発明では、第1のブラケット部材が、排気管の円周上の全周にわたってではなくその一部に設けられているので(請求項7参照)、テールパイプへの外気の導入時に、第1のブラケット部材が外気の流れを妨げるのを防止できる。
【0013】
本発明では、取付ボルトが、第1、第2のブラケット部材の円周上の全周囲にではなくそのうちの2個所の位置に設けられているので(請求項8参照)、管継手部分に外力が作用した際に、テールパイプに対する排気管の軸線の倒れ(つまり角変位)を鉛直面内および水平面内のみならず、多数の面内で許容できる。
【0014】
本発明では、排気管の先端部が、先端に向かうにしたがい徐々に小径となるテーパー状に形成されていることにより(請求項9参照)、排気管の先端部とテールパイプの開口部との間にテーパー状の隙間が形成されている。
【0015】
本発明では、テールパイプが車体側に固定されている(請求項10参照)。この場合であっても、排気管の先端部がテールパイプの開口部に対して管長手方向に弾性支持されていることにより、管継手部分に作用する外力を吸収でき、排気管の先端部およびテールパイプの開口部が振動により破損するのを防止できる。
【0016】
本発明では、排気処理装置がディーゼル・パティキュレート・フィルターである(請求項11参照)。ディーゼル・パティキュレート・フィルターの場合、捕集した粒子状物質は、当該ディーゼル・パティキュレート・フィルターに導入した高温の排気ガスを用いて燃焼処理されるが、このとき、排ガス温度が非常に高温(約600℃)となるため、本発明のように、ディーゼル・パティキュレート・フィルターの排気管先端部とテールパイプ開口部との間に隙間を形成することにより、排気管への排気時に外気をテールパイプ内に導入でき、これにより、排ガス温度を効果的に低減できる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、排気処理装置の排気管の先端部をテールパイプの開口部に挿入し、排気管の先端部とテールパイプの開口部との間に隙間を形成するようにしたので、排気処理装置から排気管への排気の際に、ベンチュリ効果を利用して、外気をテールパイプ内に導入でき、これにより、排ガス温度を低減できる。しかも、排気管の先端部をテールパイプの開口部に対して管長手方向に弾性支持させるようにしたので、管継手部分の隙間を維持しつつ、管継手部分に作用する外力を吸収できる。その結果、排気管側とテールパイプ側とが異なる振動系を有している場合でも、排気管の先端部およびテールパイプの開口部が振動により破損するのを回避できる。
【0018】
さらに、排気管がテールパイプに対して管長手方向に弾性支持されていることで、排気管先端部とテールパイプ開口部とのオーバラップ量を可変にすることができ、これにより、排気管先端部とテールパイプ開口部との間に形成される隙間が断面テーパー状であることと相俟って、排気管先端部とテールパイプ開口部との間の隙間を容易に調整でき、テールパイプ内に導入される外気の量を容易に調整できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例による管継手構造が採用された産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルターおよびその周辺部分の側面概略図である。
【図2】前記管継手構造(図1)の斜視拡大図である。
【図3】前記管継手構造(図1)の側面拡大図である。
【図4】図3の縦断面図である。
【図5】前記管継手構造が上下方向にオフセットした状態を示す側面概略図である。
【図6】前記管継手構造が横方向にオフセットした状態を示す平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例による管継手構造が適用されたフォークリフト用ディーゼル・パティキュレート・フィルターを示している。同図に示すように、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(Diesel Particulate Filter)1は、架台2を介してエンジンルーム内に取り付けられている。ディーゼル・パティキュレート・フィルター1は、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集してこれを排気ガス中から除去するための装置である。ディーゼル・パティキュレート・フィルター1の排気ガス導入側には、エンジンから排出された排気ガスが導入される排気管3が接続されており、排気ガス導出側には、テールパイプ4に向かって延びる排気管5が接続されている。テールパイプ4は、上方に向かって延設されている。排気管5とテールパイプ4との間に、本実施例による管継手構造10が設けられている。
【0021】
図2ないし図4に示すように、ディーゼル・パティキュレート・フィルター1の排気管5の先端部5aは、テールパイプ4の開口部4a内に挿入されている。これにより、排気管5の先端部5aは、テールパイプ4の開口部4aとの間で横断面テーパー状の隙間を形成している(図4参照)。
【0022】
排気管5の外周面上において先端部5aの近傍位置には、第1のブラケット部材11、11’が取り付けられている。第1のブラケット11、11’はいずれもその一部が半径方向外方に張り出すL字状の取付金具であって、この例では、円周上に180度離れた2個所の位置に配置されている。
【0023】
一方、テールパイプ4の外周面上において開口部4aの近傍位置には、第2のブラケット部材12が取り付けられている。第2のブラケット部材12は、この例では、テールパイプ4の外周面の全周に沿って延設されており、第1のブラケット部材11、11’と対向する位置に、半径方向外方に張り出す張出部12A、12A’をそれぞれ有している。
【0024】
第1のブラケット部材11および張出部12A、ならびに第1のブラケット部材11’および張出部12A’には、取付ボルト13、13’がそれぞれ挿通している。各取付ボルト13、13’はいずれも段付ボルトであって、その大径部分13A、13A’が、第1のブラケット部材11、11’にそれぞれ形成された貫通孔を挿通しており、また小径部分13B、13B’が、張出部12A、12A’にそれぞれ形成された貫通孔を挿通している。各小径部分13B、13B’にはネジ部が螺設されており、これらのネジ部にそれぞれナット14、14’が螺合している。また、取付ボルト13、13’の各頭部13H、13H’は、それぞれ第1のブラケット部材11、11’から離れて配置されている。
【0025】
第1のブラケット部材11および張出部12A間において、取付ボルト13の大径部分13Aの外周には、第1のコイルスプリング15が装着されており、同様に、第1のブラケット部材11’および張出部12A’間において、取付ボルト13’の大径部分13A’の外周には、第1のコイルスプリング15’が装着されている。
【0026】
また、取付ボルト13の頭部13Hおよび第1のブラケット部材11間において、取付ボルト13の大径部分13Aの外周には、第2のコイルスプリング16が装着されており、同様に、取付ボルト13’の頭部13H’および第1のブラケット部材11’間において、取付ボルト13’の大径部分13A’の外周には、第2のコイルスプリング16’が装着されている。
【0027】
なお、第1のブラケット部材11の前後方向(図3左右方向)両側において、取付ボルト13の大径部分13Aの外周には、ワッシャー17、18が装着されており、取付ボルト13の頭部13Hには、ワッシャー19が装着されている。同様に、第1のブラケット部材11’の前後方向(図3左右方向)両側において、取付ボルト13’の大径部分13’Aの外周には、ワッシャー17’、18’が装着されており、取付ボルト13’の頭部13H’には、ワッシャー19’が装着されている。
【0028】
第1のコイルスプリング15の一端は張出部12Aに圧接しかつ他端はワッシャー17に圧接しており、同様に、第1のコイルスプリング15’の一端は張出部12A’に圧接しかつ他端はワッシャー17’に圧接している。また、第2のコイルスプリング16の一端はワッシャー18に圧接しかつ他端はワッシャー19に圧接しており、同様に、第2のコイルスプリング16’の一端はワッシャー18’に圧接しかつ他端はワッシャー19’に圧接している。
【0029】
上記構成により、排気管5は、テールパイプ4の開口部4aに対して、管長手方向に弾性支持されている。
【0030】
このように本実施例によれば、ディーゼル・パティキュレート・フィルター1の排気管5の先端部5aがテールパイプ4の開口部4aに挿入されて、排気管5の先端部5aとテールパイプ4の開口部4aとの間に隙間が形成されているので(図4参照)、ディーゼル・パティキュレート・フィルター1の排気管5からテールパイプ4に排気される際には、ベンチュリ効果により、外気がテールパイプ4内に導入され(同図矢印参照)、これにより、排ガス温度を低減できる。
【0031】
ディーゼル・パティキュレート・フィルターの場合、捕集した粒子状物質は、当該ディーゼル・パティキュレート・フィルターに導入した高温の排気ガスを用いて燃焼処理されるが、このとき、排ガス温度が非常に高温(約600℃)となるため、本実施例のように、ディーゼル・パティキュレート・フィルター1の排気管先端部5aとテールパイプ開口部4aとの間に隙間を形成することにより、排気管5からテールパイプ4への排気時に外気をテールパイプ4内に導入でき、これにより、排ガス温度を効果的に低減できるようになる。
【0032】
また、この場合、排気管5の先端部5aが先端に向かうにしたがい徐々に小径となるテーパー状(つまりノズル状)に形成されていることにより、排気管5からの排気時に管継手部分の負圧を高めることができ、これにより、テールパイプ4内への外気の導入量を増加させることができる。
【0033】
さらに、この場合、排気管5の外周面に取り付けられた第1のブラケット部材11、11’が排気管5の円周上の全周にわたってではなくその一部に設けられているので、排気管先端部5aとテールパイプ開口部4aとの間の隙間が第1のブラケット部材11、11’により塞がれないようにして(図2参照)、テールパイプ開口部4aへの外気の流れを確保している。
【0034】
しかも、この場合には、排気管5の先端部5aがテールパイプ4の開口部4aに対して管長手方向に弾性支持されているので、管継手部分に隙間を形成しつつ、管継手部分に作用する外力を吸収できる。これを図5、図6を用いて説明する。
【0035】
図5は管継手構造10を横から見た側面概略図であり、図6は管継手構造10を上から見た平面概略図である。図5では、外力の作用により、排気管5の軸線5Cがテールパイプ4の軸線4Cに対して上下方向に倒れてオフセットした状態が示されており、図6では、外力の作用により、排気管5の軸線5Cがテールパイプ4の軸線4Cに対して横方向に倒れてオフセット(つまり角変位)した状態が示されている。
【0036】
排気管5に取り付けられた第1のブラケット部材11、11’は、取付ボルト13、13’上で第1、第2のコイルスプリング15、16;15’、16’の弾性反発力により弾性支持されているので、図5、図6に示すように、排気管5の軸線5Cがテールパイプ4の軸線4Cに対して上下方向および横方向の何れの方向に変位した場合でも、このような変位を各スプリングの伸縮により吸収できる。その結果、テールパイプ4が車両本体側に固定されていることで排気管5側とテールパイプ4側とが異なる振動系を有している場合でも、排気管5の先端部5aおよびテールパイプ4の開口部4aが振動により破損するのを回避できる。
【0037】
また、この場合、第1のコイルスプリング15、15’に加えて第2のコイルスプリング16、16’を設けたことにより、排気管5およびテールパイプ4間の弾性支持における支持剛性を高めることができるとともに、排気管5をテールパイプ4に対して管長手方向の前方および後方の双方向に対して弾性支持させることができ、これにより、外力に対するフレキシビリティをさらに向上できる。
【0038】
さらに、本実施例によれば、第1のコイルスプリング15、15’および第2のコイルスプリング16、16’のそれぞれの弾性反発力が釣り合った位置で、排気管5がテールパイプ4に対して管長手方向に弾性支持されている。したがって、第1、第2のコイルスプリング15、16;15’、16’の各バネ力を適宜選択することで、排気管先端部5aとテールパイプ開口部4aとのオーバラップ量を可変にすることができ、これにより、排気管先端部5aとテールパイプ開口部4aとの間に形成される隙間が断面テーパー状であることと相俟って、排気管先端部5aとテールパイプ開口部4aとの間の隙間を容易に調整でき、テールパイプ4内に導入される外気の量を容易に調整できるようになる。
【0039】
ところで、特開2000−291862号公報および特開2002−267062号公報には、第1、第2の導管を接続する管継手において、第1、第2の導管の合わせ面に環状シールリングを介在させるとともに、コイルスプリングのバネ力により、第1の導管を第2の導管の側に付勢して、環状シールリングを各導管の合わせ面に圧着させるようにした構造が記載されているが(各公報の図2参照)、これらの場合は、環状シールリングを介して第1、第2の導管の合わせ面を気密状態で密着させることにより、合わせ面から流体が漏れないようにすることを主眼としており、本願発明のように、一方の管を他方の管に対して管長手方向に弾性支持させることにより、接続される各管の間に調整可能な外気導入用の隙間を形成しつつ、管継手部分への外力を吸収できるようにしたものとは、その目的および構成が全く異なっている。
【0040】
なお、本発明による管継手構造が適用される排気処理装置としては、上述したディーゼル・パティキュレート・フィルターに限らず、その他の処理装置でもよい。
【0041】
また、本発明による管継手構造は、フォークリフト以外の他の産業車両にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明は、ディーゼル・パティキュレート・フィルター等の産業車両用排気処理装置に有用であり、とくに、管継手部分に隙間を形成しつつ外力の吸収を要求されるものに適している。
【符号の説明】
【0043】
1: ディーゼル・パティキュレート・フィルター(排気処理装置)
4: テールパイプ
4a: 開口部
5: 排気管
5a: 先端部
10: 管継手構造
11、11’: 第1のブラケット部材
12: 第2のブラケット部材
13、13’: 取付ボルト
13H、 13H’: 頭部
15、15’: 第1のコイルスプリング
16、16’: 第2のコイルスプリング
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】実開平4−83826号公報(第1図参照)
【特許文献2】特開2000−34742号公報(図4参照)
【特許文献3】特開2000−291862号公報(図2参照)
【特許文献4】特開2002−267062号公報(図2参照)
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両用排気処理装置の管継手構造に関し、詳細には、管継手部分に外気導入用の隙間を形成しつつ、外力を吸収でき、隙間の微調整を容易に行えるようにするための構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両の排気装置においては、マフラーの吐出側先端と当該先端が挿入されるテールパイプとの間に隙間を形成することにより、ベンチュリ効果を利用して、マフラーからの排ガスの排出時に当該隙間からテールパイプ内に外気を吸引して導入できるようにした構造が知られている(実開平4−83826号公報の第1図、特開2000−34742号公報の図4参照)。
【0003】
その一方、第4次排出ガス規制に適合させる必要から、産業車両メーカーとしては、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集してこれを排気ガス中から除去するためのディーゼル・パティキュレート・フィルター(Diesel Particulate Filter)等の排気処理装置をエンジンの排気系に設置することが要求されている。
【0004】
ディーゼル・パティキュレート・フィルターで捕集された粒子状物質は、当該ディーゼル・パティキュレート・フィルターに導入される高温の排気ガスを用いて燃焼させることが可能であるが、このとき、排ガス温度が非常に高温(約600℃)となる。そこで、従来の排気装置において利用されてきたベンチュリ効果による外気導入構造をこのディーゼル・パティキュレート・フィルターの排気部分にも適用することで、排ガス温度を低減させることが考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、近年、メンテナンス性の便宜を図る観点から、テールパイプをエンジンの上方に向けて配設するとともに、エンジンルームを上方から覆う開閉可能なカバーを設け、テールパイプの下端を当該カバーに取り付けることが行われている。この場合、カバーの開閉作業がしづらいという問題がある。そこで、テールパイプを車両本体側の部材(例えばヘッドガード等)に固定するようにして、カバーの開閉作業を容易にすることも考えられるが、この場合には、エンジンルーム内のディーゼル・パティキュレート・フィルター側と車両本体側とでは振動系が異なるために、とくにディーゼル・パティキュレート・フィルターの排気管がテールパイプに溶接等で固定されていると、振動により接続個所が破損する恐れがある。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、排ガス温度を低減できるとともに、管継手部分に隙間を形成しつつ外力を吸収でき、しかも隙間の微調整を容易に行える産業車両用排気処理装置の管継手構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る産業車両用排気処理装置の管継手構造は、排気処理装置に排気管を設け、排気管の先端部をテールパイプの開口部に挿入するとともに、テールパイプの開口部との間で断面テーパー状の隙間を形成するように、排気管をテールパイプに対して管長手方向に弾性支持している(請求項1参照)。
【0008】
本発明によれば、排気処理装置の排気管の先端部がテールパイプの開口部に挿入されており、排気管の先端部とテールパイプの開口部との間に隙間が形成されているので、排気処理装置から排気管へ排気される際には、ベンチュリ効果により、外気がテールパイプ内に導入され、これにより、排ガス温度を低減できる。しかも、この場合には、排気管の先端部がテールパイプの開口部に対して管長手方向に弾性支持されているので、管継手部分に隙間を形成しつつ、管継手部分に作用する外力を吸収できる。その結果、排気管側とテールパイプ側とが異なる振動系を有している場合でも、排気管の先端部およびテールパイプの開口部が振動により破損するのを回避できる。
【0009】
さらに、本発明によれば、排気管がテールパイプに対して管長手方向に弾性支持されていることで、排気管先端部とテールパイプ開口部とのオーバラップ量を可変にすることができ、これにより、排気管先端部とテールパイプ開口部との間に形成される隙間が断面テーパー状であることと相俟って、排気管先端部とテールパイプ開口部との間の隙間を容易に調整でき、テールパイプ内に導入される外気の量を容易に調整できるようになる。
【0010】
また、本発明では、排気処理装置の排気管が第1のブラケット部材を有するとともに、テールパイプが第2のブラケット部材を有しており、第1、第2のブラケット部材に取付ボルトが挿通するとともに、第1、第2のブラケット部材間において取付ボルトの外周に第1の弾性部材が介装されている(請求項2参照)。この場合には、第1、第2のブラケット部材間で第1の弾性部材が挟持されることで、排気管の先端部がテールパイプの開口部に対して管長手方向に弾性支持されている。なお、第1の弾性部材は、例えばコイルスプリングから構成されている(請求項3参照)。
【0011】
本発明では、取付ボルトの頭部が第1のブラケット部材との間に間隔を隔てて配置されるとともに、頭部および第1のブラケット部材間において取付ボルトの外周に第2の弾性部材が装着されている(請求項4参照)。この場合には、第1の弾性部材に加えて第2の弾性部材を設けることで、排気管およびテールパイプ間の弾性支持における支持剛性を高めることができるとともに、排気管をテールパイプに対して管長手方向の前方および後方の双方向に対して弾性支持させることができ、これにより、外力に対するフレキシビリティをさらに向上できる。なお、第2の弾性部材は、例えばコイルスプリングから構成されている(請求項5参照)。また、第1、第2のブラケット部材は、半径方向に張り出す部材である(請求項6参照)。
【0012】
本発明では、第1のブラケット部材が、排気管の円周上の全周にわたってではなくその一部に設けられているので(請求項7参照)、テールパイプへの外気の導入時に、第1のブラケット部材が外気の流れを妨げるのを防止できる。
【0013】
本発明では、取付ボルトが、第1、第2のブラケット部材の円周上の全周囲にではなくそのうちの2個所の位置に設けられているので(請求項8参照)、管継手部分に外力が作用した際に、テールパイプに対する排気管の軸線の倒れ(つまり角変位)を鉛直面内および水平面内のみならず、多数の面内で許容できる。
【0014】
本発明では、排気管の先端部が、先端に向かうにしたがい徐々に小径となるテーパー状に形成されていることにより(請求項9参照)、排気管の先端部とテールパイプの開口部との間にテーパー状の隙間が形成されている。
【0015】
本発明では、テールパイプが車体側に固定されている(請求項10参照)。この場合であっても、排気管の先端部がテールパイプの開口部に対して管長手方向に弾性支持されていることにより、管継手部分に作用する外力を吸収でき、排気管の先端部およびテールパイプの開口部が振動により破損するのを防止できる。
【0016】
本発明では、排気処理装置がディーゼル・パティキュレート・フィルターである(請求項11参照)。ディーゼル・パティキュレート・フィルターの場合、捕集した粒子状物質は、当該ディーゼル・パティキュレート・フィルターに導入した高温の排気ガスを用いて燃焼処理されるが、このとき、排ガス温度が非常に高温(約600℃)となるため、本発明のように、ディーゼル・パティキュレート・フィルターの排気管先端部とテールパイプ開口部との間に隙間を形成することにより、排気管への排気時に外気をテールパイプ内に導入でき、これにより、排ガス温度を効果的に低減できる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、排気処理装置の排気管の先端部をテールパイプの開口部に挿入し、排気管の先端部とテールパイプの開口部との間に隙間を形成するようにしたので、排気処理装置から排気管への排気の際に、ベンチュリ効果を利用して、外気をテールパイプ内に導入でき、これにより、排ガス温度を低減できる。しかも、排気管の先端部をテールパイプの開口部に対して管長手方向に弾性支持させるようにしたので、管継手部分の隙間を維持しつつ、管継手部分に作用する外力を吸収できる。その結果、排気管側とテールパイプ側とが異なる振動系を有している場合でも、排気管の先端部およびテールパイプの開口部が振動により破損するのを回避できる。
【0018】
さらに、排気管がテールパイプに対して管長手方向に弾性支持されていることで、排気管先端部とテールパイプ開口部とのオーバラップ量を可変にすることができ、これにより、排気管先端部とテールパイプ開口部との間に形成される隙間が断面テーパー状であることと相俟って、排気管先端部とテールパイプ開口部との間の隙間を容易に調整でき、テールパイプ内に導入される外気の量を容易に調整できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例による管継手構造が採用された産業車両用ディーゼル・パティキュレート・フィルターおよびその周辺部分の側面概略図である。
【図2】前記管継手構造(図1)の斜視拡大図である。
【図3】前記管継手構造(図1)の側面拡大図である。
【図4】図3の縦断面図である。
【図5】前記管継手構造が上下方向にオフセットした状態を示す側面概略図である。
【図6】前記管継手構造が横方向にオフセットした状態を示す平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例による管継手構造が適用されたフォークリフト用ディーゼル・パティキュレート・フィルターを示している。同図に示すように、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(Diesel Particulate Filter)1は、架台2を介してエンジンルーム内に取り付けられている。ディーゼル・パティキュレート・フィルター1は、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集してこれを排気ガス中から除去するための装置である。ディーゼル・パティキュレート・フィルター1の排気ガス導入側には、エンジンから排出された排気ガスが導入される排気管3が接続されており、排気ガス導出側には、テールパイプ4に向かって延びる排気管5が接続されている。テールパイプ4は、上方に向かって延設されている。排気管5とテールパイプ4との間に、本実施例による管継手構造10が設けられている。
【0021】
図2ないし図4に示すように、ディーゼル・パティキュレート・フィルター1の排気管5の先端部5aは、テールパイプ4の開口部4a内に挿入されている。これにより、排気管5の先端部5aは、テールパイプ4の開口部4aとの間で横断面テーパー状の隙間を形成している(図4参照)。
【0022】
排気管5の外周面上において先端部5aの近傍位置には、第1のブラケット部材11、11’が取り付けられている。第1のブラケット11、11’はいずれもその一部が半径方向外方に張り出すL字状の取付金具であって、この例では、円周上に180度離れた2個所の位置に配置されている。
【0023】
一方、テールパイプ4の外周面上において開口部4aの近傍位置には、第2のブラケット部材12が取り付けられている。第2のブラケット部材12は、この例では、テールパイプ4の外周面の全周に沿って延設されており、第1のブラケット部材11、11’と対向する位置に、半径方向外方に張り出す張出部12A、12A’をそれぞれ有している。
【0024】
第1のブラケット部材11および張出部12A、ならびに第1のブラケット部材11’および張出部12A’には、取付ボルト13、13’がそれぞれ挿通している。各取付ボルト13、13’はいずれも段付ボルトであって、その大径部分13A、13A’が、第1のブラケット部材11、11’にそれぞれ形成された貫通孔を挿通しており、また小径部分13B、13B’が、張出部12A、12A’にそれぞれ形成された貫通孔を挿通している。各小径部分13B、13B’にはネジ部が螺設されており、これらのネジ部にそれぞれナット14、14’が螺合している。また、取付ボルト13、13’の各頭部13H、13H’は、それぞれ第1のブラケット部材11、11’から離れて配置されている。
【0025】
第1のブラケット部材11および張出部12A間において、取付ボルト13の大径部分13Aの外周には、第1のコイルスプリング15が装着されており、同様に、第1のブラケット部材11’および張出部12A’間において、取付ボルト13’の大径部分13A’の外周には、第1のコイルスプリング15’が装着されている。
【0026】
また、取付ボルト13の頭部13Hおよび第1のブラケット部材11間において、取付ボルト13の大径部分13Aの外周には、第2のコイルスプリング16が装着されており、同様に、取付ボルト13’の頭部13H’および第1のブラケット部材11’間において、取付ボルト13’の大径部分13A’の外周には、第2のコイルスプリング16’が装着されている。
【0027】
なお、第1のブラケット部材11の前後方向(図3左右方向)両側において、取付ボルト13の大径部分13Aの外周には、ワッシャー17、18が装着されており、取付ボルト13の頭部13Hには、ワッシャー19が装着されている。同様に、第1のブラケット部材11’の前後方向(図3左右方向)両側において、取付ボルト13’の大径部分13’Aの外周には、ワッシャー17’、18’が装着されており、取付ボルト13’の頭部13H’には、ワッシャー19’が装着されている。
【0028】
第1のコイルスプリング15の一端は張出部12Aに圧接しかつ他端はワッシャー17に圧接しており、同様に、第1のコイルスプリング15’の一端は張出部12A’に圧接しかつ他端はワッシャー17’に圧接している。また、第2のコイルスプリング16の一端はワッシャー18に圧接しかつ他端はワッシャー19に圧接しており、同様に、第2のコイルスプリング16’の一端はワッシャー18’に圧接しかつ他端はワッシャー19’に圧接している。
【0029】
上記構成により、排気管5は、テールパイプ4の開口部4aに対して、管長手方向に弾性支持されている。
【0030】
このように本実施例によれば、ディーゼル・パティキュレート・フィルター1の排気管5の先端部5aがテールパイプ4の開口部4aに挿入されて、排気管5の先端部5aとテールパイプ4の開口部4aとの間に隙間が形成されているので(図4参照)、ディーゼル・パティキュレート・フィルター1の排気管5からテールパイプ4に排気される際には、ベンチュリ効果により、外気がテールパイプ4内に導入され(同図矢印参照)、これにより、排ガス温度を低減できる。
【0031】
ディーゼル・パティキュレート・フィルターの場合、捕集した粒子状物質は、当該ディーゼル・パティキュレート・フィルターに導入した高温の排気ガスを用いて燃焼処理されるが、このとき、排ガス温度が非常に高温(約600℃)となるため、本実施例のように、ディーゼル・パティキュレート・フィルター1の排気管先端部5aとテールパイプ開口部4aとの間に隙間を形成することにより、排気管5からテールパイプ4への排気時に外気をテールパイプ4内に導入でき、これにより、排ガス温度を効果的に低減できるようになる。
【0032】
また、この場合、排気管5の先端部5aが先端に向かうにしたがい徐々に小径となるテーパー状(つまりノズル状)に形成されていることにより、排気管5からの排気時に管継手部分の負圧を高めることができ、これにより、テールパイプ4内への外気の導入量を増加させることができる。
【0033】
さらに、この場合、排気管5の外周面に取り付けられた第1のブラケット部材11、11’が排気管5の円周上の全周にわたってではなくその一部に設けられているので、排気管先端部5aとテールパイプ開口部4aとの間の隙間が第1のブラケット部材11、11’により塞がれないようにして(図2参照)、テールパイプ開口部4aへの外気の流れを確保している。
【0034】
しかも、この場合には、排気管5の先端部5aがテールパイプ4の開口部4aに対して管長手方向に弾性支持されているので、管継手部分に隙間を形成しつつ、管継手部分に作用する外力を吸収できる。これを図5、図6を用いて説明する。
【0035】
図5は管継手構造10を横から見た側面概略図であり、図6は管継手構造10を上から見た平面概略図である。図5では、外力の作用により、排気管5の軸線5Cがテールパイプ4の軸線4Cに対して上下方向に倒れてオフセットした状態が示されており、図6では、外力の作用により、排気管5の軸線5Cがテールパイプ4の軸線4Cに対して横方向に倒れてオフセット(つまり角変位)した状態が示されている。
【0036】
排気管5に取り付けられた第1のブラケット部材11、11’は、取付ボルト13、13’上で第1、第2のコイルスプリング15、16;15’、16’の弾性反発力により弾性支持されているので、図5、図6に示すように、排気管5の軸線5Cがテールパイプ4の軸線4Cに対して上下方向および横方向の何れの方向に変位した場合でも、このような変位を各スプリングの伸縮により吸収できる。その結果、テールパイプ4が車両本体側に固定されていることで排気管5側とテールパイプ4側とが異なる振動系を有している場合でも、排気管5の先端部5aおよびテールパイプ4の開口部4aが振動により破損するのを回避できる。
【0037】
また、この場合、第1のコイルスプリング15、15’に加えて第2のコイルスプリング16、16’を設けたことにより、排気管5およびテールパイプ4間の弾性支持における支持剛性を高めることができるとともに、排気管5をテールパイプ4に対して管長手方向の前方および後方の双方向に対して弾性支持させることができ、これにより、外力に対するフレキシビリティをさらに向上できる。
【0038】
さらに、本実施例によれば、第1のコイルスプリング15、15’および第2のコイルスプリング16、16’のそれぞれの弾性反発力が釣り合った位置で、排気管5がテールパイプ4に対して管長手方向に弾性支持されている。したがって、第1、第2のコイルスプリング15、16;15’、16’の各バネ力を適宜選択することで、排気管先端部5aとテールパイプ開口部4aとのオーバラップ量を可変にすることができ、これにより、排気管先端部5aとテールパイプ開口部4aとの間に形成される隙間が断面テーパー状であることと相俟って、排気管先端部5aとテールパイプ開口部4aとの間の隙間を容易に調整でき、テールパイプ4内に導入される外気の量を容易に調整できるようになる。
【0039】
ところで、特開2000−291862号公報および特開2002−267062号公報には、第1、第2の導管を接続する管継手において、第1、第2の導管の合わせ面に環状シールリングを介在させるとともに、コイルスプリングのバネ力により、第1の導管を第2の導管の側に付勢して、環状シールリングを各導管の合わせ面に圧着させるようにした構造が記載されているが(各公報の図2参照)、これらの場合は、環状シールリングを介して第1、第2の導管の合わせ面を気密状態で密着させることにより、合わせ面から流体が漏れないようにすることを主眼としており、本願発明のように、一方の管を他方の管に対して管長手方向に弾性支持させることにより、接続される各管の間に調整可能な外気導入用の隙間を形成しつつ、管継手部分への外力を吸収できるようにしたものとは、その目的および構成が全く異なっている。
【0040】
なお、本発明による管継手構造が適用される排気処理装置としては、上述したディーゼル・パティキュレート・フィルターに限らず、その他の処理装置でもよい。
【0041】
また、本発明による管継手構造は、フォークリフト以外の他の産業車両にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明は、ディーゼル・パティキュレート・フィルター等の産業車両用排気処理装置に有用であり、とくに、管継手部分に隙間を形成しつつ外力の吸収を要求されるものに適している。
【符号の説明】
【0043】
1: ディーゼル・パティキュレート・フィルター(排気処理装置)
4: テールパイプ
4a: 開口部
5: 排気管
5a: 先端部
10: 管継手構造
11、11’: 第1のブラケット部材
12: 第2のブラケット部材
13、13’: 取付ボルト
13H、 13H’: 頭部
15、15’: 第1のコイルスプリング
16、16’: 第2のコイルスプリング
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】実開平4−83826号公報(第1図参照)
【特許文献2】特開2000−34742号公報(図4参照)
【特許文献3】特開2000−291862号公報(図2参照)
【特許文献4】特開2002−267062号公報(図2参照)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両用排気処理装置の管継手構造において、
前記排気処理装置に排気管が設けられ、前記排気管の先端部がテールパイプの開口部に挿入されるとともに、
前記排気管の前記先端部が前記テールパイプの前記開口部との間で断面テーパー状の隙間を形成しつつ前記テールパイプの前記開口部に対して管長手方向に弾性支持されている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記排気管が第1のブラケット部材を有しかつ前記テールパイプが第2のブラケット部材を有しており、前記第1、第2のブラケット部材に取付ボルトが挿通するとともに、前記第1、第2のブラケット部材間において前記取付ボルトの外周に第1の弾性部材が介装されている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の弾性部材がコイルスプリングである、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項4】
請求項2において、
前記取付ボルトの頭部が前記第1のブラケット部材との間に間隔を隔てて配置されるとともに、前記頭部および前記第1のブラケット部材間において前記取付ボルトの外周には第2の弾性部材が介装されている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項5】
請求項4において、
前記第2の弾性部材がコイルスプリングである、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項6】
請求項2において、
前記第1、第2のブラケット部材が半径方向に張り出している、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1のブラケット部材が前記排気管の円周上の一部に設けられている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造
【請求項8】
請求項2において、
前記取付ボルトが前記第1、第2のブラケット部材の円周上の2個所に設けられている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項9】
請求項1において、
前記排気管の前記先端部が、先端に向かうにしたがい徐々に小径となるテーパー状に形成されている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項10】
請求項1において、
前記テールパイプが車体側に固定されている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項11】
請求項1において、
前記排気処理装置がディーゼル・パティキュレート・フィルターである、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項1】
産業車両用排気処理装置の管継手構造において、
前記排気処理装置に排気管が設けられ、前記排気管の先端部がテールパイプの開口部に挿入されるとともに、
前記排気管の前記先端部が前記テールパイプの前記開口部との間で断面テーパー状の隙間を形成しつつ前記テールパイプの前記開口部に対して管長手方向に弾性支持されている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記排気管が第1のブラケット部材を有しかつ前記テールパイプが第2のブラケット部材を有しており、前記第1、第2のブラケット部材に取付ボルトが挿通するとともに、前記第1、第2のブラケット部材間において前記取付ボルトの外周に第1の弾性部材が介装されている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の弾性部材がコイルスプリングである、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項4】
請求項2において、
前記取付ボルトの頭部が前記第1のブラケット部材との間に間隔を隔てて配置されるとともに、前記頭部および前記第1のブラケット部材間において前記取付ボルトの外周には第2の弾性部材が介装されている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項5】
請求項4において、
前記第2の弾性部材がコイルスプリングである、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項6】
請求項2において、
前記第1、第2のブラケット部材が半径方向に張り出している、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1のブラケット部材が前記排気管の円周上の一部に設けられている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造
【請求項8】
請求項2において、
前記取付ボルトが前記第1、第2のブラケット部材の円周上の2個所に設けられている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項9】
請求項1において、
前記排気管の前記先端部が、先端に向かうにしたがい徐々に小径となるテーパー状に形成されている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項10】
請求項1において、
前記テールパイプが車体側に固定されている、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【請求項11】
請求項1において、
前記排気処理装置がディーゼル・パティキュレート・フィルターである、
ことを特徴とする産業車両用排気処理装置の管継手構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−19291(P2013−19291A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152390(P2011−152390)
【出願日】平成23年7月9日(2011.7.9)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月9日(2011.7.9)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
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