用紙処理装置
【課題】搬送部が複雑化することを抑制しつつ、用紙の折り目の折り高さを比較的低くすることができる用紙処理装置を提供する。
【解決手段】用紙処理装置は、用紙Aを折り曲げて用紙Aに折り目Cを形成する折り部材と、折り目Cが形成された用紙Aを一方向に搬送する搬送機構と、折り目Cに対して傾斜して延在し折り目Cの一部を挟み込む挟み部Gを構成し、搬送機構の用紙搬送方向下流で相対向して配置された一対のプレス部材502と、プレス部材502を駆動して挟み部Gによる折り目Cの挟み込み位置を移動させながら一対のプレス部材502に折り目Cを押圧させるプレス駆動機構と、を備える。
【解決手段】用紙処理装置は、用紙Aを折り曲げて用紙Aに折り目Cを形成する折り部材と、折り目Cが形成された用紙Aを一方向に搬送する搬送機構と、折り目Cに対して傾斜して延在し折り目Cの一部を挟み込む挟み部Gを構成し、搬送機構の用紙搬送方向下流で相対向して配置された一対のプレス部材502と、プレス部材502を駆動して挟み部Gによる折り目Cの挟み込み位置を移動させながら一対のプレス部材502に折り目Cを押圧させるプレス駆動機構と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置から排出された複数枚の用紙をステイプルトレイ上にスタックするとともに整合し、整合した用紙束の搬送方向における中間位置をステイプルユニットで綴じる処理(中綴じ)を行った後、中綴じした用紙束をその中綴じ位置で折り畳んで製本し、冊子として排出する用紙後処理装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像形成装置からの用紙搬送方向と直交する方向を挟持方向とする第1折りローラ対と、この第1折りローラ対の下流側に配置され、用紙搬送方向と平行な方向を挟持方向とする第2折りローラ対と、を備える用紙後処理装置が開示されている。この用紙後処理装置は、第1折りローラ対により用紙束に第1次的な折り目を形成し、折り目を形成した用紙束を第2折りローラ対の挟持位置へ向けて搬送し、第2折りローラ対により折り目を加圧強化し、折り目を加圧強化した用紙束を排出する。この用紙後処理装置では、第1折りローラ対による用紙搬送方向に対して第2折りローラ対による用紙搬送方向が直角に設定されており、これらの間で用紙搬送方向が90度切り替えて用紙束を搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−239420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された用紙後処理装置では、折りローラ対を複数構成するとともに用紙束の搬送方向を90度切り替えなければならないため、搬送部の構造が複雑化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送部が複雑化することを抑制しつつ、用紙の折り目の折り高さを比較的低くすることができる用紙処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の用紙処理装置は、用紙を折り曲げて前記用紙に折り目を形成する折り部材と、前記折り目が形成された前記用紙を一方向に搬送する搬送機構と、前記折り目に対して傾斜して延在し前記折り目の一部を挟み込む挟み部を構成し、前記搬送機構の用紙搬送方向下流で相対向して配置された一対のプレス部材と、前記プレス部材を駆動して前記挟み部による前記折り目の挟み込み位置を移動させながら前記一対のプレス部材に前記折り目を押圧させるプレス駆動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送機構が、折り目が形成された用紙を一方向に搬送するので、搬送方向の切り替えをする構造に比べて、搬送機構の構造の複雑化を抑制することができる。また、本発明によれば、一対のプレス部材の挟み部が用紙の折り目に対して傾斜していて、プレス駆動機構が、プレス部材を駆動して挟み部による折り目の挟み込み位置を移動させながら一対のプレス部材に折り目を押圧させることにより、プレス部材による用紙の折り目への押圧力を集中させることができるので、用紙の折り目の折り高さを比較的に低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態の用紙処理装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】図2は、用紙束搬送部を示す斜視図である。
【図3】図3は、折り部を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3のF4矢視図である。
【図5】図5は、図3の状態から支持部の側板等が取り外された状態の折り部を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5のF6矢視図である。
【図7】図7は、図5の状態からプレス機構の側板等が取り外された状態の折り部を示す斜視図である。
【図8】図8は、図7のF8で示す部分の側面図である。
【図9】図9は、プレス機構の内部構造を示す斜視図である。
【図10】図10は、プレス機構に用紙束が搬送された状態を図9のF10方向で見て示す図である。
【図11】図11は、プレス板およびプレス駆動機構を図9の矢印F11方向で見て示す図である。
【図12】図12は、プレス機構の動作を説明するための図である。
【図13】図13は、プレス板および用紙束を示す平面図である。
【図14】図14は、図13のF14矢視図である。
【図15】図15は、プレス板およびガイドローラを示す斜視図である。
【図16】図16は、プレス板およびプレスガイドローラを示す平面図である。
【図17】図17は、第1の比較例のプレス板および用紙束を示す平面図である。
【図18】図18は、図17のF18矢視図である。
【図19】図19は、本発明の第2の実施形態のプレス板ユニットおよび取付部を示す平面図である。
【図20】図20は、プレス板および用紙束を示す平面図である。
【図21】図21は、第2の比較例のプレス板ユニットおよび取付部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる用紙処理装置の実施形態を詳細に説明する。以下の各実施形態の用紙処理装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に連設され、画像形成装置から排出された用紙に処理(後処理)を施すものである。なお、図中のZは、用紙処理装置の上下方向を示し、Xは、用紙処理装置の上下方向と直交する第1幅方向を示し、Yは、用紙処理装置の上下方向および第1幅方向と直交する第2幅方向を示している。
【0011】
[第1の実施形態]
まずは、第1の実施形態を図1ないし図18を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、用紙処理装置1は、概略直方体状の筐体50と、画像形成装置(図示せず)から排出された四角形状の用紙Aを用紙導入口101から筐体50内へ導入する用紙導入部100と、筐体50内に導入された用紙Aを第1の排紙トレイ140に排出する排出部150と、筐体50内に導入された用紙Aに整合処理や中綴じ処理、折り処理等の処理を施す用紙処理部200と、用紙処理部200によって処理された用紙Aが排出される第2および第3の排紙トレイ180,700と、を備えている。
【0013】
また、用紙処理装置1には、搬送路10が設けられている。搬送路10は、用紙導入口101から筐体50の内部へ延出した導入搬送路10aと、導入搬送路10aに接続した第1の接続搬送路10bと、導入搬送路10aに接続した第2の接続搬送路10cと、を含んでおり、用紙処理装置1は、搬送路10に沿って用紙Aを搬送する。
【0014】
また、用紙処理装置1は、制御部900を備えている。制御部900は、CPU、記憶部、通信インターフェース等を有するコンピュータによって構成されている。制御部900の記憶部は、ROM、RAM等によって構成されており、CPUが実行するプログラム等を格納している。制御部900には、用紙処理装置1に設けられた後述する各種のセンサやモータ、ソレノイド等の電装系が接続されており、制御部900(CPU)は、記憶部に記憶されているプログラムに従って用紙処理装置1の各部を駆動制御し、用紙処理装置1の各部に各種の動作を実行させる。制御部900は、画像形成装置の制御部とデータ通信可能に接続されており、画像形成装置からの指令を受信可能となっている。ここで、用紙処理装置1は、動作モードとして排出モードやシフトモード、端部綴じモード、中綴じモード等を有している。そして、制御部900は、画像形成装置からの指令に応じて複数の動作モードのうちのいずれか一つを選択的に設定し、設定した各モードに応じて用紙処理装置1の各部を制御する。
【0015】
次に、用紙処理装置1の各部を詳細に説明する。
【0016】
用紙導入部100は、用紙導入口101を形成するガイド板102,103と、導入搬送路10aに沿って用紙Aを搬送する第1および第2の搬送ローラ対111,112と、を備えている。
【0017】
ガイド板102,103は、導入搬送路10aにおける用紙搬送方向の最上流部に配置されている。用紙導入口101は、画像形成装置から排出された用紙Aを受け入れる。用紙導入口101における用紙搬送方向下流側には、導入搬送路10a中の用紙Aを検出する入口センサ106が設けられている。
【0018】
第1および第2の搬送ローラ対111,112は、導入搬送路10aに沿って配置されている。第1の搬送ローラ対111は、入口センサ106の用紙搬送方向下流側に配置されている。第2の搬送ローラ対112は、第1の搬送ローラ対111の下流側に配置されている。
【0019】
第1および第2の搬送ローラ対111,112は、それぞれ駆動ローラ114と従動ローラ115とを有している。駆動ローラ114は、モータ(図示せず)の回転駆動力によって回転する。従動ローラ115は、駆動ローラ114に対して接離可能に設けられているとともに、付勢部材(図示せず)によって駆動ローラ114に向けて付勢されている。かかる構成の第1および第2の搬送ローラ対111,112では、回転する駆動ローラ114と駆動ローラ114に連れ回りする従動ローラ115とが、用紙Aを挟持しながら搬送する。
【0020】
また、用紙導入部100には、第1の搬送ローラ対111と第2の搬送ローラ対112との間に、パンチユニット116が設けられている。パンチユニット116は、制御部900の制御を受けて、用紙Aに孔を形成する。パンチユニット116は、筐体50に対して着脱可能に設けられている。
【0021】
また、用紙導入部100には、第2の搬送ローラ対112の下流側に分岐爪117が設けられている。分岐爪117は、導入搬送路10aから退避した退避位置(図1)と、導入搬送路10aに進出した進出位置(図示せず)との間で回動となっている。分岐爪117が退避位置に位置している場合には、用紙Aは、導入搬送路10aから第2の接続搬送路10cへ搬送される。一方、分岐爪117が進出位置に位置している場合には、用紙Aは、分岐爪117によって案内されて、導入搬送路10aから第1の接続搬送路10bへ搬送される。
【0022】
上記構成の用紙導入部100では、排出モードの場合には、分岐爪117が進出位置に位置し、第1および第2の搬送ローラ対111,112が用紙Aを排出部150に搬送する。一方、排出モード以外の他のモードの場合には、分岐爪117が退避位置に位置し、用紙Aを用紙処理部200へ搬送する。また、用紙導入部100は、制御部900の制御を受けて、パンチユニット116によって用紙Aに孔を形成する。
【0023】
排出部150は、第3の搬送ローラ対151を有している。第3の搬送ローラ対151は、駆動ローラ152と従動ローラ153とを有している。駆動ローラ152は、モータ(図示せず)の回転駆動力によって回転する。従動ローラ153は、付勢部材(図示せず)によって駆動ローラ152に向けて付勢されている。かかる構成の第3の搬送ローラ対151では、回転する駆動ローラ152と、駆動ローラ152に連れ回りする従動ローラ153とが、用紙Aを挟持しながら搬送して第1の排紙トレイ140に排出する。
【0024】
用紙処理部200は、第4の搬送ローラ対210と、排紙ローラ220と、従動ローラ230と、整合部240と、綴じ部250と、クランプ束搬送部260と、折り部300と、を有する。
【0025】
第4の搬送ローラ対210は、駆動ローラ211と従動ローラ212とを有している。駆動ローラ211は、モータ(図示せず)の回転駆動力によって回転する。従動ローラ212は、駆動ローラ211に対して接離可能に設けられているとともに、付勢部材(図示せず)によって駆動ローラ211に向けて付勢されている。かかる構成の第4の搬送ローラ対210では、回転する駆動ローラ211と駆動ローラ211に連れ回りする従動ローラ212とが、用紙Aを挟持しながら搬送する。また、第4の搬送ローラ対210は、用紙搬送方向と直交する方向、詳しくは、駆動ローラ211の軸心方向と直交する方向(図1の紙面と垂直な方向)に沿って往復動可能となっており、ソレノイド等の駆動源に駆動されて用紙搬送方向と直交する方向に変位する。
【0026】
従動ローラ230は、アーム231に支持されている。従動ローラ230は、駆動源(図示せず)によって回動駆動されたアーム231と一体となって回動することで、振り子運動を行う。従動ローラ230は、振り子運動によって排紙ローラ220に対して接離可能に設けられており、排紙ローラ220に連れ回りする。
【0027】
排紙ローラ220は、モータ(図示せず)に駆動されて回転する。排紙ローラ220は、用紙Aを従動ローラ230とによって挟持搬送して、第2の排紙トレイ180に排出する。
【0028】
用紙処理部200では、ソートモードにおいては、第4の搬送ローラ対210が、用紙Aを挟持搬送中に駆動源に駆動されて駆動ローラ211の軸心方向と直交する方向に一定量移動して、所定の枚数毎に用紙Aをシフトさせるようになっている。そして、シフトが完了した用紙Aを排紙ローラ220と従動ローラ230とが挟持搬送して第2の排紙トレイ180に排出する。このソートモード時における用紙Aを排紙ローラ220と従動ローラ230とによる用紙排出動作は、排紙センサ235が用紙Aを検出すると実行されるようになっている。
【0029】
ここで、第2の排紙トレイ180は、駆動機構に駆動されて上下動するようになっている。この第2の排紙トレイ180の近傍には、第2の排紙トレイ180に積層された用紙Aを押さえるフィラー190が設けられている。フィラー190の先端部は、用紙Aの上面に接する。フィラー190の根本付近には、フィラー190の先端の高さ位置を検知する上面検知センサが設けられている。上面検知センサは、第2の排紙トレイ180に積層された用紙Aの上面の高さが規定の高さに達したか否かを検知する。第2の排紙トレイ180上の用紙Aの積層枚数の増大によって最上位置の用紙Aの上面が上昇してその上面の高さが規定の高さに達したことを上面検知センサが検知すると、制御部900は、駆動機構を制御して第2の排紙トレイ180を下降させる。上面検知センサが、第2の排紙トレイ180に積層された用紙Aの上面の高さが規定の高さより低くなったことを検知すると、制御部900は、第2の排紙トレイ180の下降を停止させる。制御部900は、この制御を繰り返して、第2の排紙トレイ180が規定のトレイ満杯位置に移動した場合には、画像形成装置に停止信号を出し、画像形成装置に画像形成動作を停止させる。
【0030】
整合部240は、第2の接続搬送路10cの一部を形成する積載トレイ241と、一対のジョガーフェンス242(図1では一方のみを図示している)と、基準フェンス243と、叩きローラ244と、を有している。整合部240は、積載トレイ241に積層された用紙束を一対のジョガーフェンス242と、基準フェンス243と、叩きローラ244と、を用いて整合する。
【0031】
整合部240には、ステイプルモードや折りモードにおいて用紙Aが搬送される。これらのモードでは、従動ローラ230が退避位置に位置しており、第4の搬送ローラ対210によって搬送された用紙Aが、積載トレイ241上に順次積層される。これにより積載トレイ241上で、用紙導入部100から順次搬入された複数の用紙Aが積層され、それらの複数の用紙Aによって用紙束が形成される。
【0032】
一対のジョガーフェンス242は、相互の間隔を調整可能に積載トレイ241上で相対向して配置されている。これらの一対のジョガーフェンス242は、駆動機構によって駆動されて、相互に接離方向に移動する。一対のジョガーフェンス242は、積載トレイ241上の用紙束における横幅方向(用紙搬送方向と直交する用紙幅方向)の両端部に当接可能となっている。一対のジョガーフェンス242は、駆動機構に駆動されて、用紙束を挟んで、用紙束の横幅方向の整合を行う。
【0033】
基準フェンス243は、第2の接続搬送路10cに対して進退可能に設けられており、駆動機構に駆動されて、第2の接続搬送路10cに対して進退する。
【0034】
叩きローラ244は、アーム245に支持されている。叩きローラ244は、駆動源(図示せず)によって回動駆動されたアーム245と一体となって回動することで、振り子運動を行う。従動ローラ230は、第2の接続搬送路10cに位置した基準フェンス243と協働して、積載トレイ241上に積層された用紙束の縦幅方向(用紙搬送方向に沿った用紙幅方向)の整合を行う。詳細には、揺動する叩きローラ244が、用紙Aを押してその用紙Aをスイッチバックさせて、その用紙Aの用紙搬送方向の端部を基準フェンス243に突き当てる。これにより、用紙束の縦幅方向の整合が行われる。
【0035】
綴じ部250は、整合された用紙束に対し綴じ処理を施すものである。綴じ部250は、綴じ針を打ち出すドライバ部251と、ドライバ部251によって用紙束に打込まれた綴じ針の先端部を曲げるクリンチャ部252と、を有している。ドライバ部251とクリンチャ部252とは、別体に構成されて相対向しており、ドライバ部251とクリンチャ部252との間に用紙束が進入可能となっている。ドライバ部251およびクリンチャ部252は、用紙搬送方向と直交する方向に移動可能となっている。ドライバ部251およびクリンチャ部252は、駆動機構によって用紙搬送方向と直交する方向に相互に同期して移動される。
【0036】
綴じ部250は、端綴じモードのときに、用紙束の縦幅方向の端部を綴じ針によって綴じる。このとき、用紙束は、基準フェンス243によって用紙搬送方向の位置決めがなされている。このようにして端部が綴じられた用紙束は、排紙ローラ220と従動ローラ230とによって、第2の排紙トレイ180に排出される。また、綴じ部250は、中綴じモードのときに、用紙束の縦幅方向の中央部を綴じ針によって綴じる。この際、基準フェンス243は、第2の接続搬送路10cから退避し、用紙束はクランプ束搬送部260のクランプ部261に支持される。
【0037】
クランプ束搬送部260は、図2に示すように、用紙束を挟持するクランプ部261と、クランプを移動させるクランプ駆動機構262と、を有し、用紙束を挟持したクランプ部261をクランプ駆動機構262によって移動させることで、用紙束を搬送する。なお、図2中の矢印D1は、クランプ束搬送部260の用紙搬送方向を示している。
【0038】
クランプ部261は、一対のクランプ部品263を有している。これらのクランプ部品263は、それぞれ一対の挟み部材を有している。一方の挟み部材は、他方の挟み部材にばねの付勢力によって付勢されており、これにより、一対の挟み部材の間の用紙束を一対の挟み部材で挟持する。このクランプ部261は、下側解除機構264を含む解除機構によって一対の挟み部材の間が開かれることで、用紙束の受け入れおよび用紙束の挟持の解除が可能となっている。
【0039】
クランプ駆動機構262は、クランプ移動モータ265の回転運動を、駆動ベルト266、プーリ267,268を介して一対の上下搬送ベルト269に伝達し、上下搬送ベルト269のそれぞれに連結された一対の上下移動部品270の上下運動に変換する。
【0040】
各上下移動部品270は、それぞれ軸271によって上下方向に案内される。上下移動部品270には、それぞれ横移動部品275が取り付けられている。横移動部品275は、用紙処理装置1の第1幅方向Xに移動可能に上下移動部品270に取り付けられている。横移動部品275は、側板272に設けられたレール273に沿って移動する。レール273は、第2の接続搬送路10cに沿って形成されている。横移動部品275には、クランプステー274を介してクランプ部261が取り付けられている。したがって、クランプ部261が、上下搬送ベルト269と連動して、側板272のレール273に沿って移動する。
【0041】
また、クランプ束搬送部260には、複数の搬送ガイド板281〜288が設けられており、これらの搬送ガイド板281〜288は、第2の接続搬送路10cの一部を形成している。また、クランプ束搬送部260には、中綴じ位置検知センサ289および折り位置検知センサ290が用紙搬送方向に沿って順に設けられている。
【0042】
クランプ束搬送部260は、中綴じモードのときには、中綴じ位置検知センサ289の検知信号に応じて、用紙束を挟持したクランプ部261をレール273に沿って所定距離だけ移動させて停止する。そして、この停止状態の用紙束に対して綴じ部250による中綴じがなされる。その後、クランプ束搬送部260は、中綴じされた用紙束を折り部300へ搬送する。この際、クランプ束搬送部260は、折り位置検知センサ290の検知信号を用いて、用紙束を所定の位置へ搬送し、クランプ部261による用紙束の挟持を下側解除機構264によって解除する。これにより、折り部300による用紙束の中折りが可能となる。
【0043】
折り部300は、図1に示すように、用紙Aを折り曲げる折り曲げ機構400と、折り曲げ機構400によって折り曲げられた用紙Aの折り目C(図12参照)を押圧して折り目Cを強化するプレス機構500と、を有している。この折り部300は、筐体50に対して着脱可能に設けられている。なお、折り部300の折り曲げ対象は、一枚の用紙Aであっても良いし、積層された複数枚の用紙A、即ち用紙束B(図12参照)であっても良いが、以下では用紙束Bの例を説明する。
【0044】
折り曲げ機構400は、図1、図3〜図7に示すように、折り部材である折りブレード401と、折りブレード401を直線往復動させるブレード駆動機構402と、を有している。折り曲げ機構400は、ブレード駆動機構402によって駆動した折りブレード401によって用紙束Bを2つ折りにする。
【0045】
折りブレード401は、その先端部で用紙束Bを折り曲げて用紙束Bに折り目Cを形成するものである。折りブレード401は、板状に形成されており、その先端部は先細り状に形成されている。折りブレード401は、第2の接続搬送路10cに対して進退可能、且つ、ガイド板281,282,283とガイド板286,287,288との間に形成された導入口403(図2参照)に対して進退可能にブレード駆動機構402によって支持されている。ここで、ガイド板281,282,283とガイド板286,287,288とにおける導入口403を形成する縁部は、用紙束Bをガイドするために湾曲形状に形成されている。ここで、本実施形態では、ガイド板281,282,283とガイド板286,287,288は、折り曲げ機構400の一部を構成している。折りブレード401は、非稼働時は待機位置に位置している。この待機位置は、第2の接続搬送路10cから退避した位置である。
【0046】
ブレード駆動機構402は、円板状に形成された一対の円板カム405の正逆回転運動を、折りブレード401の基端部に取り付けられた支持棒406の直線往復運動に変換して、折りブレード401を直線往復動させるものである。ブレード駆動機構402は、一対の側板407を有しており、これらの側板407に支持棒406が掛け渡されている。支持棒406の軸方向の端部は、用紙処理装置1の第1幅方向Xに沿って一対の側板407に形成されたガイド孔407aに挿入されており、支持棒406は、用紙処理装置1の第1幅方向Xに沿って往復動可能となっている。
【0047】
一対の円板カム405は、支持棒406の軸方向の端部に連結されている。円板カム405は、側板407に回転可能に連結されている。円板カム405には、概略螺旋状のカム溝405aが形成されている。このカム溝405aに支持棒406が係合している。また、円板カム405は、歯車としても構成されており、歯車408と噛み合う。歯車408は、円板カム405毎に設けられており、これらの歯車408は、一対の側板407間に掛け渡された軸部材409によって連結されている。一対の歯車408の一方は、モータ(図示せず)に連結されている。
【0048】
上記構造の折り曲げ機構400では、モータの回転駆動力が一対の歯車408を介して一対の円板カム405に伝達されて、円板カム405が回転し、円板カム405の回転によって支持棒406とともに折りブレード401が移動する。折りブレード401は、モータの正回転により、待機位置から第2の接続搬送路10cへ向けて移動(前進)して第2の接続搬送路10c中の用紙束Bの縦幅方向(用紙搬送方向に沿った用紙幅方向)の中央部を押圧しながら、用紙束Bを導入口403に押し込んで用紙束Bを折り曲げ、折り曲げた用紙束Bをプレス機構500内に押し込む。その後、モータの逆回転により、折りブレード401は、後進して第2の接続搬送路10cから退避し待機位置に戻る。なお、図中の矢印D2は、折りブレード401の前進方向を示している。
【0049】
プレス機構500は、図1および図3に示すように、搬送機構501と、一対のプレス部材である一対のプレス板502,503と、一対のプレス板502,503を駆動するプレス駆動機構504と、を有している。プレス機構500は、折り曲げられた用紙束Bを搬送機構501によって一対のプレス板502,503間へ搬送し、一対のプレス板502,503間で用紙束Bの搬送を停止し、停止状態の用紙束Bを、プレス駆動機構504によって駆動した一対のプレス板502,503で押圧する。ここで、一対のプレス板502,503およびプレス駆動機構504は、プレス部材ユニットとしてのプレス板ユニット550を構成しており、このプレス板ユニット550には搬送機構501は含まれない。
【0050】
搬送機構501は、折りブレード401と一対のプレス板502,503との間に配置されている。詳しくは、搬送機構501は、一対の搬送ローラ511を有している。一対の搬送ローラ511は、待機位置に位置した折りブレード401の用紙搬送方向(用紙押し込み方向)下流であって、一対のプレス板502,503の上流に配置されている。
【0051】
各搬送ローラ511は、図9等に示すように、軸部511aとこの軸部511aに固定された複数のローラ部511bとを有している。軸部511aは、複数のローラ部511bを貫通している。ローラ部511bは、軸部511aの軸方向に沿って相互に間隔をあけて配置されている。各搬送ローラ511は、相互の間隔を変更可能に、アーム512(図8)に支持されている。各搬送ローラ511は、相互に近接する方向に、コイルばね等の付勢部材(図示せず)によってそれぞれ付勢されている。そして、各搬送ローラ511は、相互が当接した待機位置で、図示しないストッパ部材によって位置決めされている。一対の搬送ローラ511間には、折りブレード401によって、折り曲げられた用紙束Bが折り曲げ部を先頭にして押し込み搬送される。一対の搬送ローラ511は、駆動源に駆動されて相互に逆方向に回転し、用紙束Bを搬送する。なお、一対の搬送ローラ511による用紙束Bに対する挟持力(押圧力)は、一対のプレス板502,503による用紙束にB対する押圧力に比べて大幅に小さく設定されており、用紙束Bの折り目Cを強化しない大きさである。
【0052】
この搬送機構501では、制御部900の制御を受けて、一対の搬送ローラ511が、後述するプレス駆動機構504のカム機構520によって相互に離間された状態の一対のプレス板502,503間に折り曲げ状態の用紙束Bを搬送し、用紙束Bの折り目Cが一対のプレス板502,503間に位置した状態で用紙束Bを停止させる。この際、搬送機構501は、折り目Cが形成された用紙束Bを一方向に搬送する。上記一方向は、本実施形態では、折りブレード401から一対のプレス板502,503間に直線的に向かう方向である。
【0053】
一対のプレス板502,503は、搬送機構501による用紙搬送方向で搬送機構501の下流側に配置されている。一対のプレス板502,503は、上下に間隔をあけて相対向して配置されており、それぞれ揺動可能となっている。具体的には、図8等に示すように、各プレス板502,503に一体に設けられた複数のガイド軸590が、後述する支持部518の支持板580に設けられた揺動ガイド孔580aに係合しており、これにより、一対のプレス板502,503が揺動可能となっている。なお、以下では、説明の便宜上、一方(上側)のプレス板502を第1のプレス板、他方(下側)のプレス板503を第2のプレス板ともいう。一対のプレス板502,503は、プレス駆動機構504に駆動されて、揺動しながら用紙束Bを挟んで押圧する。なお、図中の矢印D3は、第1のプレス板502の用紙押圧のための移動方向、図中の矢印D4は、第2のプレス板503の用紙押圧のための移動方向を示している。
【0054】
各プレス板502,503は、図12等に示すように、湾曲状に形成されており、各プレス板502,503は、湾曲プレス面502a,503aを有している。各プレス板502,503の湾曲プレス面502a,503aは、当該プレス板502,503に対向する他のプレス板(第1のプレス板502の場合は第2のプレス板503、第2のプレス板503の場合には、第1のプレス板502)に向けて凸状の湾曲形状に形成され、用紙束Bを押圧する。プレス板502,503における湾曲プレス面502a,503aの裏面は、凹状に形成されており、この裏面には用紙搬送方向に細長いガイド凸部502b,503bが複数条設けられている。プレス板502,503は、金属や剛性樹脂等によって形成されている。
【0055】
各プレス板502,503には、それぞれローラ513が回転可能に連結されている。ローラ513は、各プレス板502,503における用紙搬送方向と直交する方向の両端縁部において、用紙搬送方向に沿って2つずつ設けられている。つまり、ローラ513は、各プレス板502,503に、4つずつ設けられている。第1のプレス板502は、当該第1のプレス板502に配設されたローラ513とによって第1のプレスユニット514を構成し、第2のプレス板503は、当該第2のプレス板503に配設されたローラ513とによって第2のプレスユニット515を構成している。一対のプレス板502,503は、プレス駆動機構504に連結されている。
【0056】
プレス駆動機構504は、揺動可能なプレス板502,503(本実施形態では両方のプレス板502,503)を用紙束Bを押圧する方向に付勢している付勢部材としての複数のコイルばね516(図11)と、一対のプレス板502,503をコイルばね516の付勢力に抗して変位させる移動機構517(図3)と、これらの各部を支持した支持部518(図3)と、を有している。プレス駆動機構504は、一対のプレス板502,503間で用紙束Bが停止状態にある場合、コイルばね516と移動機構517とによって一対のプレス部材502,503を駆動して、一対のプレス板502,503に用紙束Bの折り目Cを押圧させる。このような動作を、プレス駆動機構504は、制御部900の制御を受けて行う。この際、制御部900は、折り位置検知センサ290の検知信号を受信してから、折りブレード401および搬送機構501の制御をしてこれらの制御を終了した場合、一対のプレス板502,503間で用紙束Bが停止状態となっているので、プレス駆動機構504を制御する。
【0057】
支持部518は、相互に連結された一対の側板519を有している。この支持部518は、筐体50に取り付けられている。
【0058】
コイルばね516は、引っ張りばねであり、支持部518と第1のプレス板502との間に介在したものと、支持部518と第2のプレス板503との間に介在したものとがある。これらのコイルばね516の取付構造について図11を参照して具体的に説明する。各側板519(図11では一方の側板519が示されている)の上部には、用紙搬送方向に沿って2箇所に第1のフック部519a(図11では1箇所が示されている)が設けられている。各側板519(図11では一方の側板519が示されている)の下部には、用紙搬送方向に沿って2箇所に第2のフック部519b(図11では1箇所が示されている)が設けられている。第1のプレス板502には、第1のフック部519aに対応して、その四隅部に1箇所ずつ計4箇所に第3のフック部502cが設けられ、第2のプレス板503には、第2のフック部519bに対応して、その四隅に1箇所ずつ計4箇所に第4のフック部503cが設けられている。そして、第1のフック部519aと第3のフック部502cとの間に、コイルばね516が掛け渡されている。つまり、コイルばね516は、第1のプレス板502の四隅部に配設されている。そして、これらのコイルばね516が、第1のプレス板502を第2のプレス板503に向けて付勢している。また、第2のフック部519bと第4のフック部503cとの間に、コイルばね516が掛け渡されている。つまり、コイルばね516は、第2のプレス板503の四隅部に配設されている。そして、これらのコイルばね516が、第2のプレス板503を第1のプレス板502に向けて付勢している。
【0059】
移動機構517は、図12等に示すように、一対のプレス板502,503間の間隔をコイルばね516の付勢力に抗して広げるカム機構520と、一対のプレス板502,503を揺動させる揺動機構540と、を有している。
【0060】
カム機構520は、一対のプレス板502,503に設けられたローラ513と、ローラ513に当接するカム521とを有している。カム機構520では、付勢部材であるコイルばね516の付勢力に抗してカム521がローラ513を押し動かすことで一対のプレス板502,503間の間隔を広げる。本実施形態では、ローラ513が当接部に相当する。
【0061】
カム521は、プレス板502,503の両側方において搬送機構501による用紙搬送方向に沿って2個ずつ設けられており、計4個設けられている。カム521は、上下一対の平面521aと、この平面521aから用紙搬送方向上流に向かって延出した一対の傾斜面521bと、を有する。一対の傾斜面521bは、一対の平面521aから用紙搬送方向上流へ向かうにつれて相互に近接するように平面521aに対して傾斜している。このカム521は、上下一対のローラ513間に進退可能となっている。カム521は、上下一対のローラ513間に入り込むことで、一対のプレス板502,503の間隔をコイルばね516の付勢力に抗して押し広げる。即ち、本実施形態では、カム521が、一対のプレス板502,503に連結された解除部材に相当しており、カム521には、付勢部材であるコイルばね516によって付勢されたプレス部材502,503を介してコイルばね516の付勢力が伝達され、カム521は、コイルばね516の付勢力に抗して移動することで一対のプレス板502,503間の間隔を広げる。
【0062】
カム521は、側板522(図5,図11)に取り付けられており、側板522とともに移動ユニット523を構成している。移動ユニット523は、支持部518に対して、用紙搬送方向に沿って往復動可能に支持されている。具体的には、移動ユニット523は、円板カム525(図4)に連結されている。円板カム525は、支持部518の一対の側板519の外側に配置されてその側板519に回転可能に連結されている。円板カム525には、概略螺旋状のカム溝525aが形成されている。このカム溝525aに、移動ユニット523に設けられた軸部523a(図5)が摺動可能に係合している。円板カム525は歯車としても構成されており、歯車527と噛み合う。歯車527は、一対設けられており、これらの歯車527は、軸部材528によって連結されている。一対の歯車527のうち一方は、モータ(図示せず)に連結されている。円板カム525がモータによって駆動されて正逆回転することでカム521に係合している軸部523aが直線往復動し、移動ユニット523が直線往復動する。
【0063】
揺動機構540は、図12に示すように、揺動可能なプレス板502,503に設けられたガイド面502d,503dと、移動ユニット523に設けられた係合部材であるガイドローラ530と、を有している。揺動機構540は、ガイドローラ530がガイド面502d,503dを転動することでプレス板502,503を揺動させる。
【0064】
ガイド面502d,503dは、プレス板502,503のガイド凸部502b,503bの頂面に形成されている。ガイド面502d,503dは、湾曲ガイド面502e,503eと、平ガイド面502f,503fと、を有する。湾曲ガイド面502e,503eは、当該湾曲ガイド面502e,503eが設けられたプレス板502,503が有する湾曲プレス面502a,503aの湾曲形状に沿った湾曲状に形成されている。平ガイド面502f,503fは、湾曲ガイド面502e,503eに接続して設けられている。平ガイド面502f,503fは、係合部材であるガイドローラ530に係合し、揺動可能なプレス板502,503の揺動を規制した状態でガイドローラ530の移動を許容するものである。
【0065】
ガイドローラ530は、プレス板502,503のガイド面502d,503dに対して移動可能に係合する。ガイドローラ530は、移動ユニット523の一対の側板522に連結されて一対の側板522に対して回転可能となっている。ガイドローラ530は、湾曲ガイド面502e,503eを押しながら湾曲ガイド面502e,503e上を転動(移動)することによって揺動可能なプレス板502,503を揺動させる。本実施形態では、ガイドローラ530がカム521とともに移動ユニット523に設けられているので、移動ユニット523が直線移動することで、ガイドローラ530とカム521とが連動して直線移動する(図12の(c),(d))。
【0066】
以上の構成のプレス機構500の動作を図12を参照しながら説明する。初期状態では、上下のローラ513間にカム521が介在しており、一対のプレス板502,503は、相互に離間している(図12の(a))。このときは、カム521の平面521aがローラ513と当接している。この状態で、折り曲げられた用紙束Bが搬送機構501によって折り目Cを先頭にして一対のプレス板502,503間に搬送されて、折り目Cが一対のプレス板502,503間に位置した状態で用紙束Bの搬送が停止される。
【0067】
この状態から、円板カム525の正回転によって、カム521およびガイドローラ530を含む移動ユニット523が一方向(具体的には用紙搬送方向)に沿って移動すると、ガイドローラ530に対するカム521の当接部位が平面521aから傾斜面521bに移り、コイルばね516の付勢力によって一対のプレス板502,503間の距離が徐々に狭くなり、用紙束Bを挟んで押圧する一対のプレス板502,503の動作が開始される。この際、一対のプレス板502,503は、用紙束Bの外面に対して略垂直な方向から用紙束Bの外面に当接する。さらに、移動ユニット523が一方向に沿って移動すると、カム521とガイドローラ530との係合が解除され、これによりコイルばね516に対するカム521の抵抗が解除され、プレス板502,503による押圧力が増大し、用紙束Bの折り目Cが十分に強化される。
【0068】
上記のとおりに移動ユニット523が移動すると、移動ユニット523に含まれるガイドローラ530もプレス板502,503のガイド面502d,503dを押しながらガイド面502d,503d上を一方向に転動する。移動ユニット523の一方向への移動が開始されてから、カム521とガイドローラ530との係合が解除され、さらに移動ユニット523が移動してカム521が規定の位置まで至る間は、ガイドローラ530は、平ガイド面502f,503f上を移動する(図12の(a)〜(c))。この間は、ガイドローラ530から一対のプレス板502,503には、主に上下方向の荷重しか作用しないので、一対のプレス板502,503を揺動させるのに十分なモーメントが作用しない。これにより、プレス板502,503は揺動しない。
【0069】
そして、さらに移動ユニット523が一方向へ移動して、ガイドローラ530が湾曲ガイド面502e,503eへ到達すると、ガイドローラ530が、湾曲ガイド面502e,503eを押しながら一方向へ転動(移動)することで、プレス板502,503を揺動させる。このように、本実施形態では、プレス機構500(プレス駆動機構504)が、湾曲プレス面502a,503aを有するプレス板502,503を揺動させることで一対のプレス板502,503における用紙束Bの押圧位置を移動させる。また、この際、一対のプレス板502,503における用紙束Bの押圧位置は、用紙束Bにおける折り目Cから離れた位置から折り目Cに向けて移動する。次に、円板カム525の逆回転によって、移動ユニット523が他方(用紙搬送方向と逆方向)に移動することで、一対のプレス板502,503における用紙束Bの押圧位置が、用紙束Bにおける折り目Cの部分から離れた位置へ戻る。つまり、一対のプレス板502,503による用紙束Bの押圧位置は、往復動する。このように、揺動機構540は、一対のプレス板502,503間で用紙束Bが停止状態にある場合にコイルばね516の付勢力に対するカム521の抵抗が解除されて一対のプレス板502,503がコイルばね516の付勢力によって用紙束Bを挟んで押圧した状態で、ガイドローラ530の移動運動をプレス板502,503の揺動に変換することで一対のプレス板502,503における用紙束Bの押圧位置を移動させ、搬送機構501に保持されて停止状態にある用紙束Bにおける折り目Cを含む部位を一対のプレス板502,503に押圧させる。
【0070】
そして、さらに移動ユニット523が他方に移動することで、カム521の傾斜面521bがローラ513を押し動かして、カム521が、コイルばね516の付勢力に抗して一対のプレス板502,503の間隔を広げて、一対のプレス板502,503を初期位置に戻す。
【0071】
次に、以上説明したプレス機構500のプレス板502,503およびガイドローラ530について、図13ないし図16を参照してさらに詳細に説明する。なお、図13,14,15,16では、説明の便宜上、プレス板502,503の裏面の全域に湾曲ガイド面502e,503eが形成された例を示してある。
【0072】
図13に示すように、一対のプレス板502,503は、相互の対峙部(最接近部)502g,503gによって、用紙束Bの折り目Cを挟み込む挟み部Gを構成している。したがって、挟み部Gは、プレス板502,503の揺動によってその位置が変化する。即ち、一対のプレス板502,503は、用紙束Bに対する挟み部Gの位置が可変となっている。
【0073】
図14に示すように、挟み部Gは、用紙束Bの折り目Cに対して傾斜して延在した線状に形成されている。図14では、挟み部Gを直線で示してあり、平面視での折り目Cに対する挟み部Gの角度をθで示してある。また、本実施形態では、用紙束Bの折り目Cは、搬送機構501による用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)と直交する方向に延在している。したがって、上述した構成のプレス駆動機構504は、プレス板502,503を駆動して挟み部Gによる用紙束Bの折り目Cの挟み込み位置Hを折り目Cの延在方向に沿って移動させながら一対のプレス部材502,503に折り目Cを押圧させる。この際、プレス駆動機構504は、規定の範囲、具体的には図14の線Iと線Jとの間の範囲で挟み部Gを往復動させて、折り目Cの全域を繰り返し押圧させる。このとき、挟み部Gが線Iから線Jへ移動すると、挟み部Gによる折り目Cの挟み込み位置Hが用紙束Bの一端M1から他端M2に移動する。逆に、挟み部Gが線Jから線Iへ移動すると、挟み部Gによる折り目Cの挟み込み位置Hが用紙束Bの一端M2から他端M1に移動する。したがって、挟み部Gによる用紙束Bの挟み領域を比較的に小さい領域として、一対のプレス板502,503による押圧力を折り目Cの一部に集中して作用させることができる。
【0074】
ここで、図17および図18は、比較例の一対のプレス板のうちの一方のプレス板1502を示してある。これらのプレス板1502の対峙部(一方のプレス板の対峙部1502gのみを図示している)による挟み部G1は、折り目Cと平行に延在した線状に形成されている。この比較例のプレス板1502では、押圧力が分散してしまう。
【0075】
また、図15および図16に示すように、本実施形態では、ガイドローラ530は、複数設けられている。複数のガイドローラ530は、その軸方向が搬送機構501の用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)および一対のプレス板502,503の対向方向(図16の紙面に垂直な方向)に対して直交している。これらの複数のガイドローラ530は、用紙束Bの折り目Cに対して傾斜して延在した直線L上に相互に間隔をあけて配置されている。ガイドローラ530は、保持部材531によって保持されている。この保持部材531は、ガイドローラ530を回転可能に支持している本体部532と、この本体部532の両端部に設けられた軸部533と、を有している。軸部533の軸心方向は、搬送機構501の用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)と直交する。
【0076】
以上のようにしてプレス機構500によって折り加工が施された用紙束B(つまり、製本された用紙束B)は、搬送機構501により中折り排紙ローラ600(図1)まで搬送される。そして、中折り排紙ローラ600によって第3の排紙トレイ700に排紙されて、第3の排紙トレイ700上に積載される。第3の排紙トレイ700に積層された用紙束Bは、用紙押さえ710に設けられた押さえコロ711によって押さえられる。これにより、中折りされた用紙束Bが膨らんで次の用紙束Bの排出において邪魔にならないようになっている。
【0077】
以上説明したとおり、本実施形態では、搬送機構501が、折り目Cが形成された用紙Aを一方向に搬送するので、搬送方向の切り替えをする構造に比べて、搬送機構501の構造の複雑化を抑制することができる。また、本実施形態では、一対のプレス板502,503の挟み部Gが用紙Aの折り目Cに対して傾斜していて、プレス駆動機構504が、プレス板502,503を駆動して挟み部Gによる折り目Cの挟み込み位置Hを移動させながら一対のプレス板502,503に折り目Cを押圧させる。したがって、プレス板502,503による用紙Aの折り目Cへの押圧力を集中させることができるので、用紙の折り目Cの折り高さ(折った状態の用紙Aの厚さ)を比較的に低くすることができる。したがって、本実施形態にかかる用紙処理装置1によれば、安価な構成によって折り目Cの折り高さを低くし、中綴じ、中折りの品質を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態にかかる用紙処理装置1は、停止状態の用紙A(用紙束B)の折り目Cを、一対のプレス板502,503で挟んで押圧することで用紙Aに折り加工を施すようにしているので、用紙Aに傷や皺が発生するのを抑制して適切に折り加工を施すことができる。
【0079】
また、本実施形態では、ガイドローラ530は、その軸方向が搬送機構501の用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)および一対のプレス板502,503の対向方向(図16の紙面に垂直な方向)に対して直交している。したがって、用紙Aの折り目Cに一対のプレス板502,503の押圧力を作用させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、このパンチユニット116および折り部300が、筐体50に対して着脱可能であるので、使用者のニーズに応じて用紙処理装置1の構成を容易に変更することが可能となっている。
【0081】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を図19ないし図21を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分には同一符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0082】
本実施形態は、基本構成は第1の実施形態と同じであるが、図19および図20に示すように、プレス板ユニット550が第1の実施形態に対して異なる。本実施形態では、プレス板ユニット550は、概略的には、搬送機構501による用紙搬送方向に対して傾斜した姿勢で配置されている。詳細には、ガイドローラ530の軸方向(図中の軸530aの方向)が、一対のプレス板502,503の対向方向に対して直交し且つ搬送機構501の用紙搬送方向に対して傾斜していている。つまり、平面視で、ガイドローラ530の軸530aが、Y方向の軸Nに対して所定角度θ2だけ傾斜している。そして、プレス板ユニット550の側板519および側板522(図19,図20には図示せず)の板面方向がガイドローラ530の軸方向と直交している。つまり、側板519および側板522の板面方向が、用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)と交差している。このプレス板ユニット550は、筐体50(図1)に設けられた一対の保持板部51に取り付けられている。保持板部51は、搬送機構501の用紙搬送方向に沿って設けられている。別の言い方をすると、保持板部51は、第1の搬送ローラ対111による用紙搬送方向に沿って設けられている。保持板部51は取付部を構成している。
【0083】
そして、本実施形態では、上記のようにプレス板ユニット550を傾斜して配置することによって、一対のプレス板502,503の挟み部Gを、用紙Aの折り目Cに対して傾斜させている。ここで、図21は、比較例のプレス板ユニット2550を示してある。このプレス板ユニット2550は、本実施形態のプレス板ユニット550と同様の構成を有するが、その配置が本実施の形態のプレス板ユニット550に対して異なる。この比較例のプレス板ユニット2550は、その側板519の板面方向が、用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)に沿っている。この比較例では、挟み部が折り目Cと平行に延在してしまう。したがって、この比較例のプレス板ユニット2550では、用紙Aへの押圧力が分散してしまう。
【0084】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、ガイドローラ530の軸方向(図中の軸530aの方向)が、一対のプレス板502,503の対向方向に対して直交し且つ搬送機構501の用紙搬送方向に対して傾斜している。したがって、プレス板ユニット550を比較的に簡素化することができる。よって、より安価な構成によって折り目Cの折り高さを低くし、中綴じ、中折りの品質を向上させることができる。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、用紙処理装置1は、画像形成装置に一体に設けられていても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、付勢部材であるコイルばね516を、一対のプレス板502,503の両方に設けた例を説明したが、これに限ることなく、コイルばね516は、一対のプレス板502,503のうちの一方のプレス板502または503だけに設けるだけでも良い。即ち、付勢部材は、一対のプレス板のうちの少なくとも一方に設ければ良い。
【0087】
また、上記実施形態では、プレス部材として、プレス板502,503の例を説明したが、これに限ることなく、プレス部材としては、直方体状等のブロック状のものであっても良い。
【符号の説明】
【0088】
1…用紙処理装置
401…折りブレード(折り部材)
501…搬送機構
502,503…プレス板(プレス部材)
502a,503a…湾曲プレス面
502e,503e…湾曲ガイド面
504…プレス駆動機構
530…ガイドローラ(係合部材)
A…用紙
B…用紙束
C…折り目
G…挟み部
H…折り目の挟み込み位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置から排出された複数枚の用紙をステイプルトレイ上にスタックするとともに整合し、整合した用紙束の搬送方向における中間位置をステイプルユニットで綴じる処理(中綴じ)を行った後、中綴じした用紙束をその中綴じ位置で折り畳んで製本し、冊子として排出する用紙後処理装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像形成装置からの用紙搬送方向と直交する方向を挟持方向とする第1折りローラ対と、この第1折りローラ対の下流側に配置され、用紙搬送方向と平行な方向を挟持方向とする第2折りローラ対と、を備える用紙後処理装置が開示されている。この用紙後処理装置は、第1折りローラ対により用紙束に第1次的な折り目を形成し、折り目を形成した用紙束を第2折りローラ対の挟持位置へ向けて搬送し、第2折りローラ対により折り目を加圧強化し、折り目を加圧強化した用紙束を排出する。この用紙後処理装置では、第1折りローラ対による用紙搬送方向に対して第2折りローラ対による用紙搬送方向が直角に設定されており、これらの間で用紙搬送方向が90度切り替えて用紙束を搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−239420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された用紙後処理装置では、折りローラ対を複数構成するとともに用紙束の搬送方向を90度切り替えなければならないため、搬送部の構造が複雑化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送部が複雑化することを抑制しつつ、用紙の折り目の折り高さを比較的低くすることができる用紙処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の用紙処理装置は、用紙を折り曲げて前記用紙に折り目を形成する折り部材と、前記折り目が形成された前記用紙を一方向に搬送する搬送機構と、前記折り目に対して傾斜して延在し前記折り目の一部を挟み込む挟み部を構成し、前記搬送機構の用紙搬送方向下流で相対向して配置された一対のプレス部材と、前記プレス部材を駆動して前記挟み部による前記折り目の挟み込み位置を移動させながら前記一対のプレス部材に前記折り目を押圧させるプレス駆動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送機構が、折り目が形成された用紙を一方向に搬送するので、搬送方向の切り替えをする構造に比べて、搬送機構の構造の複雑化を抑制することができる。また、本発明によれば、一対のプレス部材の挟み部が用紙の折り目に対して傾斜していて、プレス駆動機構が、プレス部材を駆動して挟み部による折り目の挟み込み位置を移動させながら一対のプレス部材に折り目を押圧させることにより、プレス部材による用紙の折り目への押圧力を集中させることができるので、用紙の折り目の折り高さを比較的に低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態の用紙処理装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】図2は、用紙束搬送部を示す斜視図である。
【図3】図3は、折り部を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3のF4矢視図である。
【図5】図5は、図3の状態から支持部の側板等が取り外された状態の折り部を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5のF6矢視図である。
【図7】図7は、図5の状態からプレス機構の側板等が取り外された状態の折り部を示す斜視図である。
【図8】図8は、図7のF8で示す部分の側面図である。
【図9】図9は、プレス機構の内部構造を示す斜視図である。
【図10】図10は、プレス機構に用紙束が搬送された状態を図9のF10方向で見て示す図である。
【図11】図11は、プレス板およびプレス駆動機構を図9の矢印F11方向で見て示す図である。
【図12】図12は、プレス機構の動作を説明するための図である。
【図13】図13は、プレス板および用紙束を示す平面図である。
【図14】図14は、図13のF14矢視図である。
【図15】図15は、プレス板およびガイドローラを示す斜視図である。
【図16】図16は、プレス板およびプレスガイドローラを示す平面図である。
【図17】図17は、第1の比較例のプレス板および用紙束を示す平面図である。
【図18】図18は、図17のF18矢視図である。
【図19】図19は、本発明の第2の実施形態のプレス板ユニットおよび取付部を示す平面図である。
【図20】図20は、プレス板および用紙束を示す平面図である。
【図21】図21は、第2の比較例のプレス板ユニットおよび取付部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる用紙処理装置の実施形態を詳細に説明する。以下の各実施形態の用紙処理装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に連設され、画像形成装置から排出された用紙に処理(後処理)を施すものである。なお、図中のZは、用紙処理装置の上下方向を示し、Xは、用紙処理装置の上下方向と直交する第1幅方向を示し、Yは、用紙処理装置の上下方向および第1幅方向と直交する第2幅方向を示している。
【0011】
[第1の実施形態]
まずは、第1の実施形態を図1ないし図18を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、用紙処理装置1は、概略直方体状の筐体50と、画像形成装置(図示せず)から排出された四角形状の用紙Aを用紙導入口101から筐体50内へ導入する用紙導入部100と、筐体50内に導入された用紙Aを第1の排紙トレイ140に排出する排出部150と、筐体50内に導入された用紙Aに整合処理や中綴じ処理、折り処理等の処理を施す用紙処理部200と、用紙処理部200によって処理された用紙Aが排出される第2および第3の排紙トレイ180,700と、を備えている。
【0013】
また、用紙処理装置1には、搬送路10が設けられている。搬送路10は、用紙導入口101から筐体50の内部へ延出した導入搬送路10aと、導入搬送路10aに接続した第1の接続搬送路10bと、導入搬送路10aに接続した第2の接続搬送路10cと、を含んでおり、用紙処理装置1は、搬送路10に沿って用紙Aを搬送する。
【0014】
また、用紙処理装置1は、制御部900を備えている。制御部900は、CPU、記憶部、通信インターフェース等を有するコンピュータによって構成されている。制御部900の記憶部は、ROM、RAM等によって構成されており、CPUが実行するプログラム等を格納している。制御部900には、用紙処理装置1に設けられた後述する各種のセンサやモータ、ソレノイド等の電装系が接続されており、制御部900(CPU)は、記憶部に記憶されているプログラムに従って用紙処理装置1の各部を駆動制御し、用紙処理装置1の各部に各種の動作を実行させる。制御部900は、画像形成装置の制御部とデータ通信可能に接続されており、画像形成装置からの指令を受信可能となっている。ここで、用紙処理装置1は、動作モードとして排出モードやシフトモード、端部綴じモード、中綴じモード等を有している。そして、制御部900は、画像形成装置からの指令に応じて複数の動作モードのうちのいずれか一つを選択的に設定し、設定した各モードに応じて用紙処理装置1の各部を制御する。
【0015】
次に、用紙処理装置1の各部を詳細に説明する。
【0016】
用紙導入部100は、用紙導入口101を形成するガイド板102,103と、導入搬送路10aに沿って用紙Aを搬送する第1および第2の搬送ローラ対111,112と、を備えている。
【0017】
ガイド板102,103は、導入搬送路10aにおける用紙搬送方向の最上流部に配置されている。用紙導入口101は、画像形成装置から排出された用紙Aを受け入れる。用紙導入口101における用紙搬送方向下流側には、導入搬送路10a中の用紙Aを検出する入口センサ106が設けられている。
【0018】
第1および第2の搬送ローラ対111,112は、導入搬送路10aに沿って配置されている。第1の搬送ローラ対111は、入口センサ106の用紙搬送方向下流側に配置されている。第2の搬送ローラ対112は、第1の搬送ローラ対111の下流側に配置されている。
【0019】
第1および第2の搬送ローラ対111,112は、それぞれ駆動ローラ114と従動ローラ115とを有している。駆動ローラ114は、モータ(図示せず)の回転駆動力によって回転する。従動ローラ115は、駆動ローラ114に対して接離可能に設けられているとともに、付勢部材(図示せず)によって駆動ローラ114に向けて付勢されている。かかる構成の第1および第2の搬送ローラ対111,112では、回転する駆動ローラ114と駆動ローラ114に連れ回りする従動ローラ115とが、用紙Aを挟持しながら搬送する。
【0020】
また、用紙導入部100には、第1の搬送ローラ対111と第2の搬送ローラ対112との間に、パンチユニット116が設けられている。パンチユニット116は、制御部900の制御を受けて、用紙Aに孔を形成する。パンチユニット116は、筐体50に対して着脱可能に設けられている。
【0021】
また、用紙導入部100には、第2の搬送ローラ対112の下流側に分岐爪117が設けられている。分岐爪117は、導入搬送路10aから退避した退避位置(図1)と、導入搬送路10aに進出した進出位置(図示せず)との間で回動となっている。分岐爪117が退避位置に位置している場合には、用紙Aは、導入搬送路10aから第2の接続搬送路10cへ搬送される。一方、分岐爪117が進出位置に位置している場合には、用紙Aは、分岐爪117によって案内されて、導入搬送路10aから第1の接続搬送路10bへ搬送される。
【0022】
上記構成の用紙導入部100では、排出モードの場合には、分岐爪117が進出位置に位置し、第1および第2の搬送ローラ対111,112が用紙Aを排出部150に搬送する。一方、排出モード以外の他のモードの場合には、分岐爪117が退避位置に位置し、用紙Aを用紙処理部200へ搬送する。また、用紙導入部100は、制御部900の制御を受けて、パンチユニット116によって用紙Aに孔を形成する。
【0023】
排出部150は、第3の搬送ローラ対151を有している。第3の搬送ローラ対151は、駆動ローラ152と従動ローラ153とを有している。駆動ローラ152は、モータ(図示せず)の回転駆動力によって回転する。従動ローラ153は、付勢部材(図示せず)によって駆動ローラ152に向けて付勢されている。かかる構成の第3の搬送ローラ対151では、回転する駆動ローラ152と、駆動ローラ152に連れ回りする従動ローラ153とが、用紙Aを挟持しながら搬送して第1の排紙トレイ140に排出する。
【0024】
用紙処理部200は、第4の搬送ローラ対210と、排紙ローラ220と、従動ローラ230と、整合部240と、綴じ部250と、クランプ束搬送部260と、折り部300と、を有する。
【0025】
第4の搬送ローラ対210は、駆動ローラ211と従動ローラ212とを有している。駆動ローラ211は、モータ(図示せず)の回転駆動力によって回転する。従動ローラ212は、駆動ローラ211に対して接離可能に設けられているとともに、付勢部材(図示せず)によって駆動ローラ211に向けて付勢されている。かかる構成の第4の搬送ローラ対210では、回転する駆動ローラ211と駆動ローラ211に連れ回りする従動ローラ212とが、用紙Aを挟持しながら搬送する。また、第4の搬送ローラ対210は、用紙搬送方向と直交する方向、詳しくは、駆動ローラ211の軸心方向と直交する方向(図1の紙面と垂直な方向)に沿って往復動可能となっており、ソレノイド等の駆動源に駆動されて用紙搬送方向と直交する方向に変位する。
【0026】
従動ローラ230は、アーム231に支持されている。従動ローラ230は、駆動源(図示せず)によって回動駆動されたアーム231と一体となって回動することで、振り子運動を行う。従動ローラ230は、振り子運動によって排紙ローラ220に対して接離可能に設けられており、排紙ローラ220に連れ回りする。
【0027】
排紙ローラ220は、モータ(図示せず)に駆動されて回転する。排紙ローラ220は、用紙Aを従動ローラ230とによって挟持搬送して、第2の排紙トレイ180に排出する。
【0028】
用紙処理部200では、ソートモードにおいては、第4の搬送ローラ対210が、用紙Aを挟持搬送中に駆動源に駆動されて駆動ローラ211の軸心方向と直交する方向に一定量移動して、所定の枚数毎に用紙Aをシフトさせるようになっている。そして、シフトが完了した用紙Aを排紙ローラ220と従動ローラ230とが挟持搬送して第2の排紙トレイ180に排出する。このソートモード時における用紙Aを排紙ローラ220と従動ローラ230とによる用紙排出動作は、排紙センサ235が用紙Aを検出すると実行されるようになっている。
【0029】
ここで、第2の排紙トレイ180は、駆動機構に駆動されて上下動するようになっている。この第2の排紙トレイ180の近傍には、第2の排紙トレイ180に積層された用紙Aを押さえるフィラー190が設けられている。フィラー190の先端部は、用紙Aの上面に接する。フィラー190の根本付近には、フィラー190の先端の高さ位置を検知する上面検知センサが設けられている。上面検知センサは、第2の排紙トレイ180に積層された用紙Aの上面の高さが規定の高さに達したか否かを検知する。第2の排紙トレイ180上の用紙Aの積層枚数の増大によって最上位置の用紙Aの上面が上昇してその上面の高さが規定の高さに達したことを上面検知センサが検知すると、制御部900は、駆動機構を制御して第2の排紙トレイ180を下降させる。上面検知センサが、第2の排紙トレイ180に積層された用紙Aの上面の高さが規定の高さより低くなったことを検知すると、制御部900は、第2の排紙トレイ180の下降を停止させる。制御部900は、この制御を繰り返して、第2の排紙トレイ180が規定のトレイ満杯位置に移動した場合には、画像形成装置に停止信号を出し、画像形成装置に画像形成動作を停止させる。
【0030】
整合部240は、第2の接続搬送路10cの一部を形成する積載トレイ241と、一対のジョガーフェンス242(図1では一方のみを図示している)と、基準フェンス243と、叩きローラ244と、を有している。整合部240は、積載トレイ241に積層された用紙束を一対のジョガーフェンス242と、基準フェンス243と、叩きローラ244と、を用いて整合する。
【0031】
整合部240には、ステイプルモードや折りモードにおいて用紙Aが搬送される。これらのモードでは、従動ローラ230が退避位置に位置しており、第4の搬送ローラ対210によって搬送された用紙Aが、積載トレイ241上に順次積層される。これにより積載トレイ241上で、用紙導入部100から順次搬入された複数の用紙Aが積層され、それらの複数の用紙Aによって用紙束が形成される。
【0032】
一対のジョガーフェンス242は、相互の間隔を調整可能に積載トレイ241上で相対向して配置されている。これらの一対のジョガーフェンス242は、駆動機構によって駆動されて、相互に接離方向に移動する。一対のジョガーフェンス242は、積載トレイ241上の用紙束における横幅方向(用紙搬送方向と直交する用紙幅方向)の両端部に当接可能となっている。一対のジョガーフェンス242は、駆動機構に駆動されて、用紙束を挟んで、用紙束の横幅方向の整合を行う。
【0033】
基準フェンス243は、第2の接続搬送路10cに対して進退可能に設けられており、駆動機構に駆動されて、第2の接続搬送路10cに対して進退する。
【0034】
叩きローラ244は、アーム245に支持されている。叩きローラ244は、駆動源(図示せず)によって回動駆動されたアーム245と一体となって回動することで、振り子運動を行う。従動ローラ230は、第2の接続搬送路10cに位置した基準フェンス243と協働して、積載トレイ241上に積層された用紙束の縦幅方向(用紙搬送方向に沿った用紙幅方向)の整合を行う。詳細には、揺動する叩きローラ244が、用紙Aを押してその用紙Aをスイッチバックさせて、その用紙Aの用紙搬送方向の端部を基準フェンス243に突き当てる。これにより、用紙束の縦幅方向の整合が行われる。
【0035】
綴じ部250は、整合された用紙束に対し綴じ処理を施すものである。綴じ部250は、綴じ針を打ち出すドライバ部251と、ドライバ部251によって用紙束に打込まれた綴じ針の先端部を曲げるクリンチャ部252と、を有している。ドライバ部251とクリンチャ部252とは、別体に構成されて相対向しており、ドライバ部251とクリンチャ部252との間に用紙束が進入可能となっている。ドライバ部251およびクリンチャ部252は、用紙搬送方向と直交する方向に移動可能となっている。ドライバ部251およびクリンチャ部252は、駆動機構によって用紙搬送方向と直交する方向に相互に同期して移動される。
【0036】
綴じ部250は、端綴じモードのときに、用紙束の縦幅方向の端部を綴じ針によって綴じる。このとき、用紙束は、基準フェンス243によって用紙搬送方向の位置決めがなされている。このようにして端部が綴じられた用紙束は、排紙ローラ220と従動ローラ230とによって、第2の排紙トレイ180に排出される。また、綴じ部250は、中綴じモードのときに、用紙束の縦幅方向の中央部を綴じ針によって綴じる。この際、基準フェンス243は、第2の接続搬送路10cから退避し、用紙束はクランプ束搬送部260のクランプ部261に支持される。
【0037】
クランプ束搬送部260は、図2に示すように、用紙束を挟持するクランプ部261と、クランプを移動させるクランプ駆動機構262と、を有し、用紙束を挟持したクランプ部261をクランプ駆動機構262によって移動させることで、用紙束を搬送する。なお、図2中の矢印D1は、クランプ束搬送部260の用紙搬送方向を示している。
【0038】
クランプ部261は、一対のクランプ部品263を有している。これらのクランプ部品263は、それぞれ一対の挟み部材を有している。一方の挟み部材は、他方の挟み部材にばねの付勢力によって付勢されており、これにより、一対の挟み部材の間の用紙束を一対の挟み部材で挟持する。このクランプ部261は、下側解除機構264を含む解除機構によって一対の挟み部材の間が開かれることで、用紙束の受け入れおよび用紙束の挟持の解除が可能となっている。
【0039】
クランプ駆動機構262は、クランプ移動モータ265の回転運動を、駆動ベルト266、プーリ267,268を介して一対の上下搬送ベルト269に伝達し、上下搬送ベルト269のそれぞれに連結された一対の上下移動部品270の上下運動に変換する。
【0040】
各上下移動部品270は、それぞれ軸271によって上下方向に案内される。上下移動部品270には、それぞれ横移動部品275が取り付けられている。横移動部品275は、用紙処理装置1の第1幅方向Xに移動可能に上下移動部品270に取り付けられている。横移動部品275は、側板272に設けられたレール273に沿って移動する。レール273は、第2の接続搬送路10cに沿って形成されている。横移動部品275には、クランプステー274を介してクランプ部261が取り付けられている。したがって、クランプ部261が、上下搬送ベルト269と連動して、側板272のレール273に沿って移動する。
【0041】
また、クランプ束搬送部260には、複数の搬送ガイド板281〜288が設けられており、これらの搬送ガイド板281〜288は、第2の接続搬送路10cの一部を形成している。また、クランプ束搬送部260には、中綴じ位置検知センサ289および折り位置検知センサ290が用紙搬送方向に沿って順に設けられている。
【0042】
クランプ束搬送部260は、中綴じモードのときには、中綴じ位置検知センサ289の検知信号に応じて、用紙束を挟持したクランプ部261をレール273に沿って所定距離だけ移動させて停止する。そして、この停止状態の用紙束に対して綴じ部250による中綴じがなされる。その後、クランプ束搬送部260は、中綴じされた用紙束を折り部300へ搬送する。この際、クランプ束搬送部260は、折り位置検知センサ290の検知信号を用いて、用紙束を所定の位置へ搬送し、クランプ部261による用紙束の挟持を下側解除機構264によって解除する。これにより、折り部300による用紙束の中折りが可能となる。
【0043】
折り部300は、図1に示すように、用紙Aを折り曲げる折り曲げ機構400と、折り曲げ機構400によって折り曲げられた用紙Aの折り目C(図12参照)を押圧して折り目Cを強化するプレス機構500と、を有している。この折り部300は、筐体50に対して着脱可能に設けられている。なお、折り部300の折り曲げ対象は、一枚の用紙Aであっても良いし、積層された複数枚の用紙A、即ち用紙束B(図12参照)であっても良いが、以下では用紙束Bの例を説明する。
【0044】
折り曲げ機構400は、図1、図3〜図7に示すように、折り部材である折りブレード401と、折りブレード401を直線往復動させるブレード駆動機構402と、を有している。折り曲げ機構400は、ブレード駆動機構402によって駆動した折りブレード401によって用紙束Bを2つ折りにする。
【0045】
折りブレード401は、その先端部で用紙束Bを折り曲げて用紙束Bに折り目Cを形成するものである。折りブレード401は、板状に形成されており、その先端部は先細り状に形成されている。折りブレード401は、第2の接続搬送路10cに対して進退可能、且つ、ガイド板281,282,283とガイド板286,287,288との間に形成された導入口403(図2参照)に対して進退可能にブレード駆動機構402によって支持されている。ここで、ガイド板281,282,283とガイド板286,287,288とにおける導入口403を形成する縁部は、用紙束Bをガイドするために湾曲形状に形成されている。ここで、本実施形態では、ガイド板281,282,283とガイド板286,287,288は、折り曲げ機構400の一部を構成している。折りブレード401は、非稼働時は待機位置に位置している。この待機位置は、第2の接続搬送路10cから退避した位置である。
【0046】
ブレード駆動機構402は、円板状に形成された一対の円板カム405の正逆回転運動を、折りブレード401の基端部に取り付けられた支持棒406の直線往復運動に変換して、折りブレード401を直線往復動させるものである。ブレード駆動機構402は、一対の側板407を有しており、これらの側板407に支持棒406が掛け渡されている。支持棒406の軸方向の端部は、用紙処理装置1の第1幅方向Xに沿って一対の側板407に形成されたガイド孔407aに挿入されており、支持棒406は、用紙処理装置1の第1幅方向Xに沿って往復動可能となっている。
【0047】
一対の円板カム405は、支持棒406の軸方向の端部に連結されている。円板カム405は、側板407に回転可能に連結されている。円板カム405には、概略螺旋状のカム溝405aが形成されている。このカム溝405aに支持棒406が係合している。また、円板カム405は、歯車としても構成されており、歯車408と噛み合う。歯車408は、円板カム405毎に設けられており、これらの歯車408は、一対の側板407間に掛け渡された軸部材409によって連結されている。一対の歯車408の一方は、モータ(図示せず)に連結されている。
【0048】
上記構造の折り曲げ機構400では、モータの回転駆動力が一対の歯車408を介して一対の円板カム405に伝達されて、円板カム405が回転し、円板カム405の回転によって支持棒406とともに折りブレード401が移動する。折りブレード401は、モータの正回転により、待機位置から第2の接続搬送路10cへ向けて移動(前進)して第2の接続搬送路10c中の用紙束Bの縦幅方向(用紙搬送方向に沿った用紙幅方向)の中央部を押圧しながら、用紙束Bを導入口403に押し込んで用紙束Bを折り曲げ、折り曲げた用紙束Bをプレス機構500内に押し込む。その後、モータの逆回転により、折りブレード401は、後進して第2の接続搬送路10cから退避し待機位置に戻る。なお、図中の矢印D2は、折りブレード401の前進方向を示している。
【0049】
プレス機構500は、図1および図3に示すように、搬送機構501と、一対のプレス部材である一対のプレス板502,503と、一対のプレス板502,503を駆動するプレス駆動機構504と、を有している。プレス機構500は、折り曲げられた用紙束Bを搬送機構501によって一対のプレス板502,503間へ搬送し、一対のプレス板502,503間で用紙束Bの搬送を停止し、停止状態の用紙束Bを、プレス駆動機構504によって駆動した一対のプレス板502,503で押圧する。ここで、一対のプレス板502,503およびプレス駆動機構504は、プレス部材ユニットとしてのプレス板ユニット550を構成しており、このプレス板ユニット550には搬送機構501は含まれない。
【0050】
搬送機構501は、折りブレード401と一対のプレス板502,503との間に配置されている。詳しくは、搬送機構501は、一対の搬送ローラ511を有している。一対の搬送ローラ511は、待機位置に位置した折りブレード401の用紙搬送方向(用紙押し込み方向)下流であって、一対のプレス板502,503の上流に配置されている。
【0051】
各搬送ローラ511は、図9等に示すように、軸部511aとこの軸部511aに固定された複数のローラ部511bとを有している。軸部511aは、複数のローラ部511bを貫通している。ローラ部511bは、軸部511aの軸方向に沿って相互に間隔をあけて配置されている。各搬送ローラ511は、相互の間隔を変更可能に、アーム512(図8)に支持されている。各搬送ローラ511は、相互に近接する方向に、コイルばね等の付勢部材(図示せず)によってそれぞれ付勢されている。そして、各搬送ローラ511は、相互が当接した待機位置で、図示しないストッパ部材によって位置決めされている。一対の搬送ローラ511間には、折りブレード401によって、折り曲げられた用紙束Bが折り曲げ部を先頭にして押し込み搬送される。一対の搬送ローラ511は、駆動源に駆動されて相互に逆方向に回転し、用紙束Bを搬送する。なお、一対の搬送ローラ511による用紙束Bに対する挟持力(押圧力)は、一対のプレス板502,503による用紙束にB対する押圧力に比べて大幅に小さく設定されており、用紙束Bの折り目Cを強化しない大きさである。
【0052】
この搬送機構501では、制御部900の制御を受けて、一対の搬送ローラ511が、後述するプレス駆動機構504のカム機構520によって相互に離間された状態の一対のプレス板502,503間に折り曲げ状態の用紙束Bを搬送し、用紙束Bの折り目Cが一対のプレス板502,503間に位置した状態で用紙束Bを停止させる。この際、搬送機構501は、折り目Cが形成された用紙束Bを一方向に搬送する。上記一方向は、本実施形態では、折りブレード401から一対のプレス板502,503間に直線的に向かう方向である。
【0053】
一対のプレス板502,503は、搬送機構501による用紙搬送方向で搬送機構501の下流側に配置されている。一対のプレス板502,503は、上下に間隔をあけて相対向して配置されており、それぞれ揺動可能となっている。具体的には、図8等に示すように、各プレス板502,503に一体に設けられた複数のガイド軸590が、後述する支持部518の支持板580に設けられた揺動ガイド孔580aに係合しており、これにより、一対のプレス板502,503が揺動可能となっている。なお、以下では、説明の便宜上、一方(上側)のプレス板502を第1のプレス板、他方(下側)のプレス板503を第2のプレス板ともいう。一対のプレス板502,503は、プレス駆動機構504に駆動されて、揺動しながら用紙束Bを挟んで押圧する。なお、図中の矢印D3は、第1のプレス板502の用紙押圧のための移動方向、図中の矢印D4は、第2のプレス板503の用紙押圧のための移動方向を示している。
【0054】
各プレス板502,503は、図12等に示すように、湾曲状に形成されており、各プレス板502,503は、湾曲プレス面502a,503aを有している。各プレス板502,503の湾曲プレス面502a,503aは、当該プレス板502,503に対向する他のプレス板(第1のプレス板502の場合は第2のプレス板503、第2のプレス板503の場合には、第1のプレス板502)に向けて凸状の湾曲形状に形成され、用紙束Bを押圧する。プレス板502,503における湾曲プレス面502a,503aの裏面は、凹状に形成されており、この裏面には用紙搬送方向に細長いガイド凸部502b,503bが複数条設けられている。プレス板502,503は、金属や剛性樹脂等によって形成されている。
【0055】
各プレス板502,503には、それぞれローラ513が回転可能に連結されている。ローラ513は、各プレス板502,503における用紙搬送方向と直交する方向の両端縁部において、用紙搬送方向に沿って2つずつ設けられている。つまり、ローラ513は、各プレス板502,503に、4つずつ設けられている。第1のプレス板502は、当該第1のプレス板502に配設されたローラ513とによって第1のプレスユニット514を構成し、第2のプレス板503は、当該第2のプレス板503に配設されたローラ513とによって第2のプレスユニット515を構成している。一対のプレス板502,503は、プレス駆動機構504に連結されている。
【0056】
プレス駆動機構504は、揺動可能なプレス板502,503(本実施形態では両方のプレス板502,503)を用紙束Bを押圧する方向に付勢している付勢部材としての複数のコイルばね516(図11)と、一対のプレス板502,503をコイルばね516の付勢力に抗して変位させる移動機構517(図3)と、これらの各部を支持した支持部518(図3)と、を有している。プレス駆動機構504は、一対のプレス板502,503間で用紙束Bが停止状態にある場合、コイルばね516と移動機構517とによって一対のプレス部材502,503を駆動して、一対のプレス板502,503に用紙束Bの折り目Cを押圧させる。このような動作を、プレス駆動機構504は、制御部900の制御を受けて行う。この際、制御部900は、折り位置検知センサ290の検知信号を受信してから、折りブレード401および搬送機構501の制御をしてこれらの制御を終了した場合、一対のプレス板502,503間で用紙束Bが停止状態となっているので、プレス駆動機構504を制御する。
【0057】
支持部518は、相互に連結された一対の側板519を有している。この支持部518は、筐体50に取り付けられている。
【0058】
コイルばね516は、引っ張りばねであり、支持部518と第1のプレス板502との間に介在したものと、支持部518と第2のプレス板503との間に介在したものとがある。これらのコイルばね516の取付構造について図11を参照して具体的に説明する。各側板519(図11では一方の側板519が示されている)の上部には、用紙搬送方向に沿って2箇所に第1のフック部519a(図11では1箇所が示されている)が設けられている。各側板519(図11では一方の側板519が示されている)の下部には、用紙搬送方向に沿って2箇所に第2のフック部519b(図11では1箇所が示されている)が設けられている。第1のプレス板502には、第1のフック部519aに対応して、その四隅部に1箇所ずつ計4箇所に第3のフック部502cが設けられ、第2のプレス板503には、第2のフック部519bに対応して、その四隅に1箇所ずつ計4箇所に第4のフック部503cが設けられている。そして、第1のフック部519aと第3のフック部502cとの間に、コイルばね516が掛け渡されている。つまり、コイルばね516は、第1のプレス板502の四隅部に配設されている。そして、これらのコイルばね516が、第1のプレス板502を第2のプレス板503に向けて付勢している。また、第2のフック部519bと第4のフック部503cとの間に、コイルばね516が掛け渡されている。つまり、コイルばね516は、第2のプレス板503の四隅部に配設されている。そして、これらのコイルばね516が、第2のプレス板503を第1のプレス板502に向けて付勢している。
【0059】
移動機構517は、図12等に示すように、一対のプレス板502,503間の間隔をコイルばね516の付勢力に抗して広げるカム機構520と、一対のプレス板502,503を揺動させる揺動機構540と、を有している。
【0060】
カム機構520は、一対のプレス板502,503に設けられたローラ513と、ローラ513に当接するカム521とを有している。カム機構520では、付勢部材であるコイルばね516の付勢力に抗してカム521がローラ513を押し動かすことで一対のプレス板502,503間の間隔を広げる。本実施形態では、ローラ513が当接部に相当する。
【0061】
カム521は、プレス板502,503の両側方において搬送機構501による用紙搬送方向に沿って2個ずつ設けられており、計4個設けられている。カム521は、上下一対の平面521aと、この平面521aから用紙搬送方向上流に向かって延出した一対の傾斜面521bと、を有する。一対の傾斜面521bは、一対の平面521aから用紙搬送方向上流へ向かうにつれて相互に近接するように平面521aに対して傾斜している。このカム521は、上下一対のローラ513間に進退可能となっている。カム521は、上下一対のローラ513間に入り込むことで、一対のプレス板502,503の間隔をコイルばね516の付勢力に抗して押し広げる。即ち、本実施形態では、カム521が、一対のプレス板502,503に連結された解除部材に相当しており、カム521には、付勢部材であるコイルばね516によって付勢されたプレス部材502,503を介してコイルばね516の付勢力が伝達され、カム521は、コイルばね516の付勢力に抗して移動することで一対のプレス板502,503間の間隔を広げる。
【0062】
カム521は、側板522(図5,図11)に取り付けられており、側板522とともに移動ユニット523を構成している。移動ユニット523は、支持部518に対して、用紙搬送方向に沿って往復動可能に支持されている。具体的には、移動ユニット523は、円板カム525(図4)に連結されている。円板カム525は、支持部518の一対の側板519の外側に配置されてその側板519に回転可能に連結されている。円板カム525には、概略螺旋状のカム溝525aが形成されている。このカム溝525aに、移動ユニット523に設けられた軸部523a(図5)が摺動可能に係合している。円板カム525は歯車としても構成されており、歯車527と噛み合う。歯車527は、一対設けられており、これらの歯車527は、軸部材528によって連結されている。一対の歯車527のうち一方は、モータ(図示せず)に連結されている。円板カム525がモータによって駆動されて正逆回転することでカム521に係合している軸部523aが直線往復動し、移動ユニット523が直線往復動する。
【0063】
揺動機構540は、図12に示すように、揺動可能なプレス板502,503に設けられたガイド面502d,503dと、移動ユニット523に設けられた係合部材であるガイドローラ530と、を有している。揺動機構540は、ガイドローラ530がガイド面502d,503dを転動することでプレス板502,503を揺動させる。
【0064】
ガイド面502d,503dは、プレス板502,503のガイド凸部502b,503bの頂面に形成されている。ガイド面502d,503dは、湾曲ガイド面502e,503eと、平ガイド面502f,503fと、を有する。湾曲ガイド面502e,503eは、当該湾曲ガイド面502e,503eが設けられたプレス板502,503が有する湾曲プレス面502a,503aの湾曲形状に沿った湾曲状に形成されている。平ガイド面502f,503fは、湾曲ガイド面502e,503eに接続して設けられている。平ガイド面502f,503fは、係合部材であるガイドローラ530に係合し、揺動可能なプレス板502,503の揺動を規制した状態でガイドローラ530の移動を許容するものである。
【0065】
ガイドローラ530は、プレス板502,503のガイド面502d,503dに対して移動可能に係合する。ガイドローラ530は、移動ユニット523の一対の側板522に連結されて一対の側板522に対して回転可能となっている。ガイドローラ530は、湾曲ガイド面502e,503eを押しながら湾曲ガイド面502e,503e上を転動(移動)することによって揺動可能なプレス板502,503を揺動させる。本実施形態では、ガイドローラ530がカム521とともに移動ユニット523に設けられているので、移動ユニット523が直線移動することで、ガイドローラ530とカム521とが連動して直線移動する(図12の(c),(d))。
【0066】
以上の構成のプレス機構500の動作を図12を参照しながら説明する。初期状態では、上下のローラ513間にカム521が介在しており、一対のプレス板502,503は、相互に離間している(図12の(a))。このときは、カム521の平面521aがローラ513と当接している。この状態で、折り曲げられた用紙束Bが搬送機構501によって折り目Cを先頭にして一対のプレス板502,503間に搬送されて、折り目Cが一対のプレス板502,503間に位置した状態で用紙束Bの搬送が停止される。
【0067】
この状態から、円板カム525の正回転によって、カム521およびガイドローラ530を含む移動ユニット523が一方向(具体的には用紙搬送方向)に沿って移動すると、ガイドローラ530に対するカム521の当接部位が平面521aから傾斜面521bに移り、コイルばね516の付勢力によって一対のプレス板502,503間の距離が徐々に狭くなり、用紙束Bを挟んで押圧する一対のプレス板502,503の動作が開始される。この際、一対のプレス板502,503は、用紙束Bの外面に対して略垂直な方向から用紙束Bの外面に当接する。さらに、移動ユニット523が一方向に沿って移動すると、カム521とガイドローラ530との係合が解除され、これによりコイルばね516に対するカム521の抵抗が解除され、プレス板502,503による押圧力が増大し、用紙束Bの折り目Cが十分に強化される。
【0068】
上記のとおりに移動ユニット523が移動すると、移動ユニット523に含まれるガイドローラ530もプレス板502,503のガイド面502d,503dを押しながらガイド面502d,503d上を一方向に転動する。移動ユニット523の一方向への移動が開始されてから、カム521とガイドローラ530との係合が解除され、さらに移動ユニット523が移動してカム521が規定の位置まで至る間は、ガイドローラ530は、平ガイド面502f,503f上を移動する(図12の(a)〜(c))。この間は、ガイドローラ530から一対のプレス板502,503には、主に上下方向の荷重しか作用しないので、一対のプレス板502,503を揺動させるのに十分なモーメントが作用しない。これにより、プレス板502,503は揺動しない。
【0069】
そして、さらに移動ユニット523が一方向へ移動して、ガイドローラ530が湾曲ガイド面502e,503eへ到達すると、ガイドローラ530が、湾曲ガイド面502e,503eを押しながら一方向へ転動(移動)することで、プレス板502,503を揺動させる。このように、本実施形態では、プレス機構500(プレス駆動機構504)が、湾曲プレス面502a,503aを有するプレス板502,503を揺動させることで一対のプレス板502,503における用紙束Bの押圧位置を移動させる。また、この際、一対のプレス板502,503における用紙束Bの押圧位置は、用紙束Bにおける折り目Cから離れた位置から折り目Cに向けて移動する。次に、円板カム525の逆回転によって、移動ユニット523が他方(用紙搬送方向と逆方向)に移動することで、一対のプレス板502,503における用紙束Bの押圧位置が、用紙束Bにおける折り目Cの部分から離れた位置へ戻る。つまり、一対のプレス板502,503による用紙束Bの押圧位置は、往復動する。このように、揺動機構540は、一対のプレス板502,503間で用紙束Bが停止状態にある場合にコイルばね516の付勢力に対するカム521の抵抗が解除されて一対のプレス板502,503がコイルばね516の付勢力によって用紙束Bを挟んで押圧した状態で、ガイドローラ530の移動運動をプレス板502,503の揺動に変換することで一対のプレス板502,503における用紙束Bの押圧位置を移動させ、搬送機構501に保持されて停止状態にある用紙束Bにおける折り目Cを含む部位を一対のプレス板502,503に押圧させる。
【0070】
そして、さらに移動ユニット523が他方に移動することで、カム521の傾斜面521bがローラ513を押し動かして、カム521が、コイルばね516の付勢力に抗して一対のプレス板502,503の間隔を広げて、一対のプレス板502,503を初期位置に戻す。
【0071】
次に、以上説明したプレス機構500のプレス板502,503およびガイドローラ530について、図13ないし図16を参照してさらに詳細に説明する。なお、図13,14,15,16では、説明の便宜上、プレス板502,503の裏面の全域に湾曲ガイド面502e,503eが形成された例を示してある。
【0072】
図13に示すように、一対のプレス板502,503は、相互の対峙部(最接近部)502g,503gによって、用紙束Bの折り目Cを挟み込む挟み部Gを構成している。したがって、挟み部Gは、プレス板502,503の揺動によってその位置が変化する。即ち、一対のプレス板502,503は、用紙束Bに対する挟み部Gの位置が可変となっている。
【0073】
図14に示すように、挟み部Gは、用紙束Bの折り目Cに対して傾斜して延在した線状に形成されている。図14では、挟み部Gを直線で示してあり、平面視での折り目Cに対する挟み部Gの角度をθで示してある。また、本実施形態では、用紙束Bの折り目Cは、搬送機構501による用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)と直交する方向に延在している。したがって、上述した構成のプレス駆動機構504は、プレス板502,503を駆動して挟み部Gによる用紙束Bの折り目Cの挟み込み位置Hを折り目Cの延在方向に沿って移動させながら一対のプレス部材502,503に折り目Cを押圧させる。この際、プレス駆動機構504は、規定の範囲、具体的には図14の線Iと線Jとの間の範囲で挟み部Gを往復動させて、折り目Cの全域を繰り返し押圧させる。このとき、挟み部Gが線Iから線Jへ移動すると、挟み部Gによる折り目Cの挟み込み位置Hが用紙束Bの一端M1から他端M2に移動する。逆に、挟み部Gが線Jから線Iへ移動すると、挟み部Gによる折り目Cの挟み込み位置Hが用紙束Bの一端M2から他端M1に移動する。したがって、挟み部Gによる用紙束Bの挟み領域を比較的に小さい領域として、一対のプレス板502,503による押圧力を折り目Cの一部に集中して作用させることができる。
【0074】
ここで、図17および図18は、比較例の一対のプレス板のうちの一方のプレス板1502を示してある。これらのプレス板1502の対峙部(一方のプレス板の対峙部1502gのみを図示している)による挟み部G1は、折り目Cと平行に延在した線状に形成されている。この比較例のプレス板1502では、押圧力が分散してしまう。
【0075】
また、図15および図16に示すように、本実施形態では、ガイドローラ530は、複数設けられている。複数のガイドローラ530は、その軸方向が搬送機構501の用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)および一対のプレス板502,503の対向方向(図16の紙面に垂直な方向)に対して直交している。これらの複数のガイドローラ530は、用紙束Bの折り目Cに対して傾斜して延在した直線L上に相互に間隔をあけて配置されている。ガイドローラ530は、保持部材531によって保持されている。この保持部材531は、ガイドローラ530を回転可能に支持している本体部532と、この本体部532の両端部に設けられた軸部533と、を有している。軸部533の軸心方向は、搬送機構501の用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)と直交する。
【0076】
以上のようにしてプレス機構500によって折り加工が施された用紙束B(つまり、製本された用紙束B)は、搬送機構501により中折り排紙ローラ600(図1)まで搬送される。そして、中折り排紙ローラ600によって第3の排紙トレイ700に排紙されて、第3の排紙トレイ700上に積載される。第3の排紙トレイ700に積層された用紙束Bは、用紙押さえ710に設けられた押さえコロ711によって押さえられる。これにより、中折りされた用紙束Bが膨らんで次の用紙束Bの排出において邪魔にならないようになっている。
【0077】
以上説明したとおり、本実施形態では、搬送機構501が、折り目Cが形成された用紙Aを一方向に搬送するので、搬送方向の切り替えをする構造に比べて、搬送機構501の構造の複雑化を抑制することができる。また、本実施形態では、一対のプレス板502,503の挟み部Gが用紙Aの折り目Cに対して傾斜していて、プレス駆動機構504が、プレス板502,503を駆動して挟み部Gによる折り目Cの挟み込み位置Hを移動させながら一対のプレス板502,503に折り目Cを押圧させる。したがって、プレス板502,503による用紙Aの折り目Cへの押圧力を集中させることができるので、用紙の折り目Cの折り高さ(折った状態の用紙Aの厚さ)を比較的に低くすることができる。したがって、本実施形態にかかる用紙処理装置1によれば、安価な構成によって折り目Cの折り高さを低くし、中綴じ、中折りの品質を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態にかかる用紙処理装置1は、停止状態の用紙A(用紙束B)の折り目Cを、一対のプレス板502,503で挟んで押圧することで用紙Aに折り加工を施すようにしているので、用紙Aに傷や皺が発生するのを抑制して適切に折り加工を施すことができる。
【0079】
また、本実施形態では、ガイドローラ530は、その軸方向が搬送機構501の用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)および一対のプレス板502,503の対向方向(図16の紙面に垂直な方向)に対して直交している。したがって、用紙Aの折り目Cに一対のプレス板502,503の押圧力を作用させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、このパンチユニット116および折り部300が、筐体50に対して着脱可能であるので、使用者のニーズに応じて用紙処理装置1の構成を容易に変更することが可能となっている。
【0081】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を図19ないし図21を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分には同一符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0082】
本実施形態は、基本構成は第1の実施形態と同じであるが、図19および図20に示すように、プレス板ユニット550が第1の実施形態に対して異なる。本実施形態では、プレス板ユニット550は、概略的には、搬送機構501による用紙搬送方向に対して傾斜した姿勢で配置されている。詳細には、ガイドローラ530の軸方向(図中の軸530aの方向)が、一対のプレス板502,503の対向方向に対して直交し且つ搬送機構501の用紙搬送方向に対して傾斜していている。つまり、平面視で、ガイドローラ530の軸530aが、Y方向の軸Nに対して所定角度θ2だけ傾斜している。そして、プレス板ユニット550の側板519および側板522(図19,図20には図示せず)の板面方向がガイドローラ530の軸方向と直交している。つまり、側板519および側板522の板面方向が、用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)と交差している。このプレス板ユニット550は、筐体50(図1)に設けられた一対の保持板部51に取り付けられている。保持板部51は、搬送機構501の用紙搬送方向に沿って設けられている。別の言い方をすると、保持板部51は、第1の搬送ローラ対111による用紙搬送方向に沿って設けられている。保持板部51は取付部を構成している。
【0083】
そして、本実施形態では、上記のようにプレス板ユニット550を傾斜して配置することによって、一対のプレス板502,503の挟み部Gを、用紙Aの折り目Cに対して傾斜させている。ここで、図21は、比較例のプレス板ユニット2550を示してある。このプレス板ユニット2550は、本実施形態のプレス板ユニット550と同様の構成を有するが、その配置が本実施の形態のプレス板ユニット550に対して異なる。この比較例のプレス板ユニット2550は、その側板519の板面方向が、用紙搬送方向(図中の矢印Mに沿った方向)に沿っている。この比較例では、挟み部が折り目Cと平行に延在してしまう。したがって、この比較例のプレス板ユニット2550では、用紙Aへの押圧力が分散してしまう。
【0084】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、ガイドローラ530の軸方向(図中の軸530aの方向)が、一対のプレス板502,503の対向方向に対して直交し且つ搬送機構501の用紙搬送方向に対して傾斜している。したがって、プレス板ユニット550を比較的に簡素化することができる。よって、より安価な構成によって折り目Cの折り高さを低くし、中綴じ、中折りの品質を向上させることができる。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、用紙処理装置1は、画像形成装置に一体に設けられていても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、付勢部材であるコイルばね516を、一対のプレス板502,503の両方に設けた例を説明したが、これに限ることなく、コイルばね516は、一対のプレス板502,503のうちの一方のプレス板502または503だけに設けるだけでも良い。即ち、付勢部材は、一対のプレス板のうちの少なくとも一方に設ければ良い。
【0087】
また、上記実施形態では、プレス部材として、プレス板502,503の例を説明したが、これに限ることなく、プレス部材としては、直方体状等のブロック状のものであっても良い。
【符号の説明】
【0088】
1…用紙処理装置
401…折りブレード(折り部材)
501…搬送機構
502,503…プレス板(プレス部材)
502a,503a…湾曲プレス面
502e,503e…湾曲ガイド面
504…プレス駆動機構
530…ガイドローラ(係合部材)
A…用紙
B…用紙束
C…折り目
G…挟み部
H…折り目の挟み込み位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を折り曲げて前記用紙に折り目を形成する折り部材と、
前記折り目が形成された前記用紙を一方向に搬送する搬送機構と、
前記折り目に対して傾斜して延在し前記折り目を挟み込む挟み部を構成し、前記搬送機構の用紙搬送方向下流で相対向して配置された一対のプレス部材と、
前記プレス部材を駆動して前記挟み部による前記折り目の挟み込み位置を移動させながら前記一対のプレス部材に前記折り目を押圧させるプレス駆動機構と、
を備える用紙処理装置。
【請求項2】
前記一対のプレス部材のうちの少なくとも一つのプレス部材は、当該プレス部材に対向する前記プレス部材に向けて凸状の湾曲形状に形成され前記用紙を押圧する湾曲プレス面を有して揺動可能に設けられ、
前記プレス駆動機構は、
前記揺動可能なプレス部材に設けられ前記湾曲プレス面の湾曲形状に沿った湾曲状に形成された湾曲ガイド面と、
軸方向が前記搬送機構の用紙搬送方向および前記一対のプレス部材の対向方向に対して直交し、前記湾曲ガイド面を押しながら前記湾曲ガイド面上を移動することによって前記揺動可能なプレス部材を揺動させる複数のガイドローラと、
を有し、
前記複数のガイドローラは、前記折り目に対して傾斜して延在した直線上に配置されている請求項1に記載の用紙処理装置。
【請求項3】
前記折り目は、前記搬送機構による用紙搬送方向と直交する方向に延在し、
前記一対のプレス部材のうちの少なくとも一つのプレス部材は、当該プレス部材に対向する前記プレス部材に向けて凸状の湾曲形状に形成され前記用紙を押圧する湾曲プレス面を有して揺動可能に設けられ、
前記プレス駆動機構は、
前記揺動可能なプレス部材に設けられ前記湾曲プレス面の湾曲形状に沿った湾曲状に形成された湾曲ガイド面と、
軸方向が前記一対のプレス部材の対向方向に対して直交し且つ前記搬送機構の用紙搬送方向に対して傾斜していて、前記湾曲ガイド面を押しながら前記湾曲ガイド面上を移動することによって前記揺動可能なプレス部材を揺動させるガイドローラと、
を有する請求項1に記載の用紙処理装置。
【請求項1】
用紙を折り曲げて前記用紙に折り目を形成する折り部材と、
前記折り目が形成された前記用紙を一方向に搬送する搬送機構と、
前記折り目に対して傾斜して延在し前記折り目を挟み込む挟み部を構成し、前記搬送機構の用紙搬送方向下流で相対向して配置された一対のプレス部材と、
前記プレス部材を駆動して前記挟み部による前記折り目の挟み込み位置を移動させながら前記一対のプレス部材に前記折り目を押圧させるプレス駆動機構と、
を備える用紙処理装置。
【請求項2】
前記一対のプレス部材のうちの少なくとも一つのプレス部材は、当該プレス部材に対向する前記プレス部材に向けて凸状の湾曲形状に形成され前記用紙を押圧する湾曲プレス面を有して揺動可能に設けられ、
前記プレス駆動機構は、
前記揺動可能なプレス部材に設けられ前記湾曲プレス面の湾曲形状に沿った湾曲状に形成された湾曲ガイド面と、
軸方向が前記搬送機構の用紙搬送方向および前記一対のプレス部材の対向方向に対して直交し、前記湾曲ガイド面を押しながら前記湾曲ガイド面上を移動することによって前記揺動可能なプレス部材を揺動させる複数のガイドローラと、
を有し、
前記複数のガイドローラは、前記折り目に対して傾斜して延在した直線上に配置されている請求項1に記載の用紙処理装置。
【請求項3】
前記折り目は、前記搬送機構による用紙搬送方向と直交する方向に延在し、
前記一対のプレス部材のうちの少なくとも一つのプレス部材は、当該プレス部材に対向する前記プレス部材に向けて凸状の湾曲形状に形成され前記用紙を押圧する湾曲プレス面を有して揺動可能に設けられ、
前記プレス駆動機構は、
前記揺動可能なプレス部材に設けられ前記湾曲プレス面の湾曲形状に沿った湾曲状に形成された湾曲ガイド面と、
軸方向が前記一対のプレス部材の対向方向に対して直交し且つ前記搬送機構の用紙搬送方向に対して傾斜していて、前記湾曲ガイド面を押しながら前記湾曲ガイド面上を移動することによって前記揺動可能なプレス部材を揺動させるガイドローラと、
を有する請求項1に記載の用紙処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−106850(P2012−106850A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258059(P2010−258059)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]