用紙加工装置
【課題】
縮小又は拡大した用紙に対して適切な位置で加工を施すことを、簡単な操作によって実現でき、且つ、簡単な構成で安価に実現できる、用紙加工装置、を提供すること。
【解決手段】
装置本体10、搬送手段2、給紙手段11、搬送駆動手段、種々の加工装置部4A〜4D及び5、加工駆動手段、用紙の既定値を基準とした加工位置を設定する加工位置設定手段、及び、設定された用紙の加工位置において加工を施すよう、搬送駆動手段及び加工駆動手段を制御する、作動制御手段、を備えた、用紙加工装置1において、用紙の印刷後の実寸法を入力する実寸法入力手段と、既定値を基準とした上記加工位置を、入力された実寸法を基準とした加工位置に、補正する、補正手段と、が設けられていることを特徴とするものである。
縮小又は拡大した用紙に対して適切な位置で加工を施すことを、簡単な操作によって実現でき、且つ、簡単な構成で安価に実現できる、用紙加工装置、を提供すること。
【解決手段】
装置本体10、搬送手段2、給紙手段11、搬送駆動手段、種々の加工装置部4A〜4D及び5、加工駆動手段、用紙の既定値を基準とした加工位置を設定する加工位置設定手段、及び、設定された用紙の加工位置において加工を施すよう、搬送駆動手段及び加工駆動手段を制御する、作動制御手段、を備えた、用紙加工装置1において、用紙の印刷後の実寸法を入力する実寸法入力手段と、既定値を基準とした上記加工位置を、入力された実寸法を基準とした加工位置に、補正する、補正手段と、が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を搬送しながら用紙に加工を施す用紙加工装置に関するものであり、特に、印刷によって縮小又は拡大した用紙に加工を施す場合に適したものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙を搬送しながら用紙に加工を施す用紙加工装置が開示されている。この用紙加工装置は、用紙をどのように加工するかについての加工情報を入力する加工情報入力手段を備えており、その加工情報に基づいて用紙に加工を施すようになっている。
【0003】
特許文献2には、用紙を搬送しながら裁断する裁断装置が開示されている。この裁断装置では、搬送される用紙の通過が検出され、その検出結果に基づいて用紙の長さが求められ、その長さに基づいて裁断位置が決定されるようになっている。
【0004】
特許文献3には、用紙を搬送しながら裁断する裁断システムが開示されている。この裁断システムでは、用紙の所定位置における、既定の基準寸法と実際の測定寸法との誤差が、求められ、その誤差に基づいて裁断位置が決定されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−232700号公報
【特許文献2】特開平7−328988号公報
【特許文献3】特開2002−346984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した加工装置等で加工される用紙には、通常、加工前に何らかの印刷が施されている。そして、帯電像を用いる電子写真法による印刷機で印刷された用紙は、その印刷過程における加熱及び冷却によって、印刷前よりも縮小した寸法となることが多い。また、ある印刷機では、加熱動作に対応するために加湿器を備えており、印刷後の用紙が拡大した寸法となることがあった。更に、印刷機の周囲環境例えば湿度状況によっても、印刷後の用紙が拡大することがあった。それ故、そのような縮小又は拡大した用紙に対して、既定の寸法の用紙の場合と同じ加工位置で加工を施すと、適切な位置に加工を施すことができない恐れがあった。
【0006】
そこで、特許文献1の用紙加工装置では、縮小又は拡大した用紙の実寸法を測定し、加工情報中の加工位置を修正するための入力を行うことがあった。しかし、それでは、手間がかかるという不具合があった。
【0007】
特許文献2の裁断装置では、実際の用紙の長さに基づいて裁断位置が決定されるので、縮小又は拡大した用紙であっても適切な位置で裁断される。しかしながら、適切な位置での裁断は、搬送方向の位置だけに限られ、その他の方向の位置に関しては保障されていない。
【0008】
特許文献3の裁断システムでは、ラインセンサカメラによってトンボマークを撮影することにより、実際の測定寸法を求めているので、縮小又は拡大した用紙であっても正確な位置で裁断される。しかしながら、トンボマークを正確に印刷しておく必要があるため、用紙の印刷精度が良好でない場合には、正確な位置での裁断ができない恐れがあった。また、カメラで撮影する必要があるため、装置が複雑で高価であるという問題があった。
【0009】
本発明は、縮小又は拡大した用紙に対して適切な位置で加工を施すことを、簡単な操作によって実現でき、且つ、簡単な構成で安価に実現できる、用紙加工装置、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、用紙を搬送しながら用紙に加工を施す用紙加工装置であって、装置本体と、用紙を1枚ずつ搬送する搬送手段と、搬送手段に用紙を供給する給紙手段と、搬送手段を駆動する搬送駆動手段と、搬送手段で構成された搬送経路の途中に設けられ、用紙に加工を施す、加工装置部と、加工装置部を駆動する加工駆動手段と、用紙の既定値を基準とした加工位置を設定する加工位置設定手段と、設定された用紙の加工位置において加工を施すよう、搬送駆動手段及び加工駆動手段を制御する、作動制御手段と、を備えた、用紙加工装置において、用紙の印刷後の実寸法を入力する実寸法入力手段と、既定値を基準とした上記加工位置を、入力された実寸法を基準とした加工位置に、補正する、補正手段と、が設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、実寸法入力手段が、測定した実寸法を操作者が入力する入力キーであるものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、実寸法入力手段が、用紙寸法検知手段であり、用紙寸法検知手段が、給紙手段の用紙載置台上に設けた用紙ガイドを用紙の縦辺及び横辺に当接させることによって自動的に寸法を検知するようになっているものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、加工装置部が、用紙の搬送方向に用紙を裁断する裁断装置部、又は、用紙の搬送方向に用紙にミシン目を形成するミシン目形成装置部、又は、用紙の搬送方向に用紙に折り型を形成する折り型形成装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙を裁断する裁断装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙にミシン目を形成するミシン目形成装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙に折り型を形成する折り型形成装置部であるものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、作動制御手段が、用紙に印刷されている加工情報を読み取って、その読み取り情報に基づいて加工装置部における加工内容及び加工位置を制御するようになっているものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、既定値に基づいて設定された加工位置を、加工される用紙の実寸法に基づいて補正し、補正後の加工位置に基づいて加工を施すことができるので、印刷によって縮小又は拡大した用紙に対しても、適切な位置で加工を施すことができる。
【0016】
しかも、上記効果を得るための操作は、用紙の実寸法を測定し、その測定値を実寸法入力手段によって入力するだけであるので、簡単に行うことができる。
【0017】
更に、上記効果は、実寸法を測定するための手段、操作パネル等で実現できる実寸法入力手段、及び、簡単な演算を行う補正手段等によって実現できるので、簡単な構成で安価に実現できる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、操作者が入力するという簡単な操作によって、実寸法入力手段を実現できる。したがって、請求項1記載の発明による効果を、簡単な操作で得ることができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、操作者が用紙ガイドを操作するだけという極めて簡単な操作によって、実寸法入力手段を実現できる。したがって、請求項1記載の発明による効果を、極めて簡単な操作で得ることができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、種々の加工を施す際においても、請求項1記載の発明による効果を得ることができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、加工情報の入力設定を不要にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明の一実施形態による用紙加工装置の全体を示す模式縦断面図である。用紙加工装置1は、装置本体10の両端に、用紙載置台を備えた給紙手段11と、排紙トレイからなる排紙手段12と、を備えている。給紙手段11から排紙手段12へは、多数個の対のローラ21からなる搬送手段2によって搬送経路20が構成されている。搬送手段2には、搬送駆動手段(図示せず)が連結している。そして、搬送経路20上には、給紙手段11側から、搬送補正手段803、情報読取手段804、リジェクト手段806、第1裁断装置部4A、第2裁断装置部4B、第3裁断装置部4C、切屑落し手段807、第4裁断装置部4D、及び、折り型形成装置部5が設けられている。これらは全て装置本体10に支持されている。また、これらの手段には、加工駆動手段(図示せず)が連結している。なお、第1裁断装置部4A、第2裁断装置部4B、第3裁断装置部4C、第4裁断装置部4D、及び、折り型形成装置部5は、加工装置部に相当する。
【0023】
また、用紙加工装置1は、装置全体の作動等を制御する制御手段800を装置本体10内に備えている。制御手段800は、操作パネル(図示せず)に接続したCPUを有している。図2のブロック図に示すように、制御手段800は、例えば、後述する位置制御手段851及び加工制御手段852として機能する作動制御手段850を含んでいる。更に、制御手段800は、用紙の既定値を基準とした加工位置を設定する加工位置設定手段860を含んでいる。また、用紙加工装置1は、用紙の裁断加工によって発生する切屑を収容するためのゴミ箱801を、装置本体10内の底部に有している。
【0024】
そして、更に、用紙加工装置1は、図2に示すように、用紙の印刷後の実寸法を入力する実寸法入力手段871と、既定値を基準とした上記加工位置を、入力された実寸法を基準とした加工位置に、補正する、補正手段880と、を備えている。
【0025】
更に、用紙加工装置1では、図3に示すように、給紙手段11の用紙載置台111上に、用紙の縦寸法を測定するためのスケール112及び横寸法を測定するためのスケール113が設けられている。
【0026】
次に、用紙加工装置1の作動について、下記(1)〜(5)に、説明する。
【0027】
(1)まず、用紙に対する一連の加工内容である加工情報を設定する。この設定は、例えば、使用者が操作パネル(図示せず)から入力して行う。これにより、加工内容が設定されるとともに、加工位置設定手段860が作動して、用紙の既定値の寸法、例えばA4サイズの用紙であれば297mm×211mm、を基準とした加工位置が、設定される。
【0028】
なお、加工情報は、本装置の製造段階で登録設定しておいてもよい。それによれば、入力の手間を省略できる。
【0029】
(2)次に、実施する加工情報を指定する。
図4〜図6は、実施する加工情報の一例を示している。加工する用紙100には、図4に示すように、主印刷部101と共に、位置マーク(トンボマーク)102及びバーコード103が、印刷されている。この場合には、バーコード103によって、自動的に加工情報が指定されるので、ここで指定する必要はない。バーコード103を使用しない場合には、ここで、操作者が操作パネルから入力することによって、加工情報を指定する。この加工情報は、図5に示すように、用紙100に対して、まず、第1裁断装置部4Aによって実線A1、A2に沿った裁断処理を施し、次に、第2裁断装置部4Bによって実線B1、B2に沿った裁断処理を施し、次に、第3裁断装置部4Cによって実線C1、C2に沿った裁断処理を施し、次に、第4裁断装置部4Dによって実線D1、D2、D3に沿った裁断処理をこの順に施し、次に、折り型形成装置部5によって一点鎖線E1、E2に沿った折り型形成処理をこの順に施して、図6に示すような折り型210の付いた用紙200を8枚得ること、である。ここで、裁断処理を施す実線A1、B1、C1、C2、B2、A2の位置、すなわち加工位置は、用紙100の一方の縦辺からの距離W1、W2、W3、W4、W5、W6で示されており、裁断処理を施す実線D1、D2、D3の位置、すなわち加工位置は、前側の横辺からの距離L1、L3、L5で示されており、折り型形成処理を施す一点鎖線E1、E2の位置、すなわち加工位置は、前側の横辺からの距離L2、L4で示されており、更に、用紙の全幅は距離W7で示されており、用紙の全長は距離L6で示されている。これらの距離は、用紙100が、既定値の寸法を有していることを前提として、決定されている。
【0030】
(3)しかしながら、実際には、用紙100は、印刷を経ていることに起因して、既定値の寸法に比して縮小又は拡大した寸法を有している場合がある。その場合を、図7に示す。図7におけるW1’等及びL1’等は、図5におけるW1等及びL1等に対応するが、それらに比して小さく又は大きくなっている。
【0031】
そこで、用紙100を給紙手段11の用紙載置台111上に載せ、スケール112、113によって用紙100の実際の全長L6’及び全幅W7’を測定する。そして、その測定された実寸法を、実寸法入力手段871、例えば操作パネルのテンキー、によって入力する。これらは、操作者が行う。
【0032】
(4)実寸法が入力されると、補正手段880が作動する。すなわち、まず、以下の演算が行われてL1’〜L5’及びW1’〜W6’が求められる。そして、加工位置設定手段860によって設定されているL1〜L5及びW1〜W6が、L1’〜L5’及びW1’〜W6’に置き換えられる。すなわち、L1〜L5及びW1〜W6が、L1’〜L5’及びW1’〜W6’に、補正される。
L1’=L1×(L6’/L6)
L2’=L2×(L6’/L6)
L3’=L3×(L6’/L6)
L4’=L4×(L6’/L6)
L5’=L5×(L6’/L6)
W1’=W1×(W7’/W7)
W2’=W2×(W7’/W7)
W3’=W3×(W7’/W7)
W4’=W4×(W7’/W7)
W5’=W5×(W7’/W7)
W6’=W6×(W7’/W7)
【0033】
(5)そして、補正された距離L1’〜L5’及びW1’〜W6’で示される加工位置D1、E1、D2、E2、D3及び加工位置A1、B1、C1、C2、B2、A2において、以下の(5-1)〜(5-7)に示すように加工が施される。
【0034】
(5-1)まず、給紙手段11に載置された用紙100の束から、用紙100が一枚ずつ搬送経路20に送り出され、搬送補正手段803に入る。搬送補正手段803は、送られて来た用紙100が斜めになっていれば、それを真っ直ぐにする。また、搬送補正手段803は、送られて来た用紙100が2枚以上重畳していれば、それを検知して、用紙100の搬送を停止させる。用紙100は、真っ直ぐで1枚であれば、次へ搬送される。
【0035】
(5-2)次へ搬送された用紙100は、用紙先端センサー201によって先端が検出された後、情報読取手段804へ入る。情報読取手段804は、CCDセンサー805によって、用紙100の位置マーク102及びバーコード103を読む。この読取情報は、制御手段800に送られる。制御手段800は、この読取情報を記憶し、それに基づいて、後続の各手段を制御する。なお、情報読取手段804にて情報を読み取れなかった用紙100は、印刷不鮮明なものであると判断されて、次のリジェクト手段806によって、下方の廃棄トレイ802へ落とされる。
【0036】
(5-3)リジェクト手段806を通過した用紙100は、用紙先端センサー202によって先端が検出された後、第1裁断装置部4Aへ入る。第1裁断装置部4Aは、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御されるとともに、制御手段800の位置制御手段851によって、2つの実線A1、A2の位置、すなわち距離W1’、W6’(図7)に、2個の裁断用カッターがそれぞれ位置するよう制御される。したがって、用紙100は、第1裁断装置部4Aにより、実線A1、A2に沿って、すなわち、搬送方向に、裁断される。これにより、用紙100は、図8(a)の形態となって、次の第2裁断装置部4Bへ搬送される。なお、不要部X1はゴミ箱801へ落とされる。
【0037】
(5-4)第2裁断装置部4Bは、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御されるともに、制御手段800の位置制御手段851によって、2つの実線B1、B2の位置、すなわち距離W2’、W5’(図7)に、2個の裁断用カッターがそれぞれ位置するよう制御される。したがって、図8(a)の用紙100は、第2裁断装置部4Bにより、実線B1、B2に沿って、すなわち、搬送方向に、裁断される。これにより、用紙100は、図8(b)の形態となって、次の第3裁断装置部4Cへ搬送される。
【0038】
(5-5)第3裁断装置部4Cは、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御されるとともに、制御手段800の位置制御手段851によって、2つの実線C1、C2の位置、すなわち距離W3’、W4’(図7)に、2個の裁断用カッターがそれぞれ位置するよう制御される。したがって、図8(b)の用紙100は、第3裁断装置部4Cにより、実線C1、C2に沿って、すなわち、搬送方向に、裁断される。これにより、用紙100は、図8(c)の形態となって、第4裁断装置部4Dへ搬送される。なお、不要部X2は、次段の切屑落し手段807によってゴミ箱801へ落とされる。
【0039】
なお、図8(c)の用紙100は、第4裁断装置部4Dへ入る前に、用紙先端センサー203によって先端が検出される。
【0040】
(5-6)第4裁断装置部4Dは、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御される。第4裁断装置部4Dにおいて、図8(c)の用紙100は、カット位置センサー204によってカット位置が検知されるたびに、3つの実線D1、D2、D3で示すカット位置、すなわち距離L1’、L3’、L5’(図7)にて、停止する。そして、用紙100は、停止するたびに、一対の裁断用カッター41によって、実線D1等に沿って、すなわち、搬送方向に対する直交方向に、裁断される。これにより、用紙100は、図8(d)の形態となって、折り型形成装置部5へ搬送される。なお、不要部X3はゴミ箱801へ落ちる。
【0041】
(5-7)折り型形成装置部5は、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御されている。折り型形成装置部5において、図8(d)の用紙100は、折り位置センサー205によって折り位置が検知されるたびに、2つの一点鎖線E1、E2で示す折り位置、すなわち距離L2’、L4’(図7)にて、停止する。そして、用紙100は、停止するたびに、一対の折り型形成用押圧型51によって、一点鎖線E1等に沿って、すなわち、搬送方向に対する直交方向に、折り型201が形成される。これにより、用紙100は、図8(e)の形態となって、排紙手段12へ送り出される。
【0042】
以上のように、本実施形態の用紙加工装置1では、既定値に基づいて設定された加工位置が、加工される用紙、ここでは印刷によって縮小又は拡大した用紙、の実寸法に基づいて補正され、補正後の加工位置に基づいて加工が施される。したがって、本実施形態の用紙加工装置1によれば、印刷によって縮小又は拡大した用紙に対しても、適切な位置で加工を施すことができる。
【0043】
しかも、上記作用効果を得るための操作は、スケール112、113によって実寸法を測定し、その測定値を実寸法入力手段871によって入力するだけであるので、簡単に行うことができる。
【0044】
更に、上記作用効果は、実寸法を測定するためのスケール112、113、操作パネルで実現できる実寸法入力手段871、及び、簡単な演算を行う補正手段880等によって実現できるので、簡単な構成で安価に実現できる。
【0045】
なお、用紙加工装置1においては、図9に示す給紙手段11を用いてもよい。この給紙手段11は、公知の用紙寸法検知手段114を有している。用紙寸法検知手段114は、用紙載置台111上に設けられた後ガイド板115及び側ガイド板116(用紙ガイド)を有し、用紙載置台111上に載せた用紙100の、後縁に後ガイド板115を、側縁に側ガイド板116を、それぞれスライドさせて当接させることにより、用紙の全長及び全幅を自動的に検知するようになっている。したがって、用紙寸法検知手段114は、実寸法入力手段871としても機能する。
【0046】
また、電子写真法による印刷機で印刷する場合においては、縮小印刷や拡大印刷が行われることが多いが、その際に、印刷機によっては、用紙の特定区域が微小ながらも他とは異なった縮小寸法又は拡大寸法となってしまうことがある。これは、印刷機の「癖」と称されている。そこで、このような「癖」に対応するために、上述した補正手段880に加え、更に、用紙面領域を区分化して特定区分に対する加工位置の補正条件を設定する手段を採用してもよい。これにより、上記特定区域における上記異なった縮小又は拡大に対応した加工位置の補正を行うことができる。
【0047】
また、本実施形態においては、第1〜第3裁断装置部4A〜4Cが、装置本体10に対して着脱自在に設けられている。以下に、第1裁断装置部4Aを例として具体的に説明する。
【0048】
第1裁断装置部4Aは、裁断ユニット70Xとユニット受容部9とからなっている。裁断ユニット70Xは、裁断を行うユニットとして構成されている。ユニット受容部9は、装置本体10に設けられており、裁断ユニット70Xを着脱自在に受容できる。
【0049】
図10は裁断ユニット70Xの正面図、図11は図10の斜視部分図である。図11中のY方向は搬送方向を示す。ユニット70Xは、ケース部700と2個の裁断用カッター72、74とを備えている。ケース部700は、頂板701と、2枚の側板702、703と、底フレーム704とで、構成されている。2個の裁断用カッター72、74は、ケース部700内に支持されている。頂板701上には2個の取っ手7011が付いている。2枚の側板702、703は、頂板701の両側から鉛直下方に向けて設けられている。両側板702、703間には、2本のねじ軸705、719と、2本の上ガイド軸706、707と、2本の下ガイド軸708、709と、2本の回転軸710、711と、が渡設されている。これらの軸は、全て平行である。2本の回転軸710、711は、上と下にそれぞれ配置されている。
【0050】
裁断用カッター72は、2つの回転刃を上下から擦り合わせて裁断を行うものであり、上の回転刃を保有する上体714と、下の回転刃を保有する下体715と、からなっている。そして、上体714は、螺合部7050を通るねじ軸705の回転に伴って、2本の上ガイド軸706、707に沿って移動できるようになっている。また、上体714の回転刃は、上の回転軸710の回転によって回転するようになっている。下体715は上体714と共に2本の下ガイド軸708、709に沿って移動できるようになっている。また、下体715の回転刃は、下の回転軸711の回転によって回転するようになっている。
【0051】
裁断用カッター74は、裁断用カッター72と同じ構成を有しているが、裁断用カッター72に対して対称的に設けられている。裁断用カッター74は、ねじ軸719の回転に伴って、2本の上ガイド軸706、707に沿って移動できるようになっている。ねじ軸719は、螺合部7190を通っている。また、上体714の回転刃は、上の回転軸710の回転によって回転するようになっている。下体715は上体714と共に2本の下ガイド軸708、709に沿って移動できるようになっている。また、下体715の回転刃は、下の回転軸711の回転によって回転するようになっている。
【0052】
また、ユニット70Xは、通過する用紙100を下方から支持するピン718を、備えている。ピン718は、用紙100の幅方向の中央と両側との3箇所に、設けられている。ピン718は、搬送方向に向けて延びており、基端7181を支点として水平面上を揺動可能となっており、外力が加わっていない時は搬送方向に向いた状態を維持するようになっている。したがって、ピン718は、裁断用カッター72、74に当接すると、裁断用カッター72、74を避けるようになっている。
【0053】
更に、ねじ軸705の側板702から外側に突出した端部には、ギヤ7051が設けられている。また、ねじ軸719の側板703から外側に突出した端部には、ギヤ7191が設けられている。また、2本の回転軸710、711の側板702から外側に突出した端部には、ギヤ7101、7111がそれぞれ設けられている。両ギヤ7101、7111は連結しており、したがって、2本の回転軸710、711は同時に逆回転するようになっている。
【0054】
一方、ユニット受容部9は、図12に示すように、枠体90に、第1駆動部94、第2駆動部95、及び、第3駆動部96を設けて構成されている。枠対90は、2つの側板91、92と、下フレーム93とで、構成されている。
【0055】
第1駆動部94は、側板91の上部に設けられており、ギヤ941と、ギヤ941を回転駆動するためのモータ942と、からなっている。ギヤ941は、側板91の内側に位置している。モータ942は、側板91の外側に位置している。
【0056】
第2駆動部95は、側板92の上部に設けられており、ギヤ951と、ギヤ951を回転駆動するためのモータ952と、からなっている。ギヤ951は、側板92の内側に位置している。モータ952は、側板92の外側に位置している。なお、第1駆動部94と第2駆動部95とは、対称的に設けられている。
【0057】
第3駆動部96は、側板91の下部に設けられており、ギヤ961と、モータ962と、ギヤ963、964、965、966と、プーリー967、968と、からなっている。ギヤ961は、側板91の内側に且つ下フレーム93の上方に位置している。モータ962は、側板91の内側に且つ下フレーム93の下方に位置している。ギヤ963、964、965、966及びプーリー967、968は、側板91の外側に位置しており、モータ962の駆動力をギヤ961に伝達する。
【0058】
第3駆動部96のギヤ961は、第1駆動部94のギヤ941よりも、側板91の内側に突出している。
【0059】
そして、第1裁断装置部4Aにおいては、ユニット70Xがユニット受容部9に受容されると、図12に示すように、ギヤ7051がギヤ941に連結し、ギヤ7111がギヤ961に連結し、ギヤ7191がギヤ951に連結する。なお、ユニット受容部9に受容したユニット70Xは、位置決めした後に、ビス991、992により、側板91、92に留める。
【0060】
ユニット70Xがユニット受容部9に受容されると、第1裁断装置部4Aは次のように作動する。すなわち、ユニット70Xは、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御されるとともに、制御手段800の位置制御手段851によって、裁断する位置に2個の裁断用カッター72、74が位置するよう制御される。すなわち、位置制御手段851によって、第1駆動部94のモータ942が所定時間だけ作動されて、裁断用カッター72が裁断する位置に移動されるとともに、第2駆動部95のモータ952が所定時間だけ作動されて、裁断用カッター74が裁断する位置に移動される。また、加工制御手段852によって、第3駆動部96のモータ962が作動されて、裁断用カッター72、74の回転刃が回転し、裁断用カッター72、74の位置で用紙100が搬送方向に裁断される。
【0061】
第2裁断装置部4B、4Cも、第1裁断装置部4Aと同じ構成を有しており、同じように作動する。そして、第1、第2、第3裁断装置部4A、4B、4Cは、それぞれ、平面略図である図13に示すような位置に、裁断用カッター72、74を制御することによって、上述した裁断を行うようになっている。
【0062】
以上のように、上記構成の用紙加工装置1においては、第1、第2、第3裁断装置部4A、4B、4Cにおける加工を行う裁断ユニットを、それぞれ、装置本体10に対して着脱自在に設けているので、次のような効果を発揮できる。すなわち、いずれかの裁断装置部、例えば第1裁断ユニット4Aの、裁断用カッターが摩耗などのために交換が必要となった場合でも、裁断ユニット70Xを装置本体10のユニット受容部9から取り外して、予備的に用意している新たな裁断ユニット70Xをユニット受容部9に受容させるだけで、交換を行うことができる。したがって、交換作業に要する時間や手間を低減できる。
【0063】
しかも、上記構成の用紙加工装置1においては、例えば第1裁断装置部4Aを裁断ユニット70Xとして構成しても、ユニット70Xにおいては裁断用カッター72、74の位置を移動制御できるので、多種類の裁断位置に対応でき、用紙100の印刷位置にずれがある場合でも適切な裁断を行うことができる。
【0064】
また、用紙加工装置1に、搬送方向の折り型を形成する折り型形成装置部を設けてもよい。更に、その折り型形成装置部を装置本体10に対して着脱自在に設けてもよい。その場合には、折り型形成装置部を、折り型形成ユニットとユニット受容部9とで構成する。折り型形成ユニットは、裁断ユニット70Xにおける裁断用カッターを折り型形成器に代えて構成される。折り型形成器は、図14及び図14のXV矢視図である図15に示すように、回転刃781の凸部7811を、用紙と共に、受刃782の凹部7821に嵌入させることにより、用紙を押圧して、用紙に折り型を形成する。回転刃781は、上体714に保持されており、回転軸710の回転によって回転するようになっている。受刃782は、下体715に保持されており、回転軸711の回転によって回転するようになっている。なお、受刃782の高さは、偏心軸を応用して変えることができ、これにより、凹部7821に対する凸部7811の嵌入深さを変えて、折り型の深さを調整することができる。
【0065】
また、用紙加工装置1に、搬送方向のミシン目を形成するミシン目形成装置部を設けてもよい。更に、そのミシン目形成装置部を装置本体10に対して着脱自在に設けてもよい。その場合には、ミシン目形成装置部を、ミシン目形成ユニットとユニット受容部9とで構成する。ミシン目形成ユニットは、裁断ユニット70Xにおける裁断用カッターをミシン目形成器に代えて構成される。ミシン目形成器は、図16及び図16のXVII矢視図である図17に示すように、歯車刃712の鋭角先端部7121を、用紙と共に、受刃713の凹部7131の壁に摺接させることにより、用紙にミシン目を形成する。歯車刃712は、上体714に保持されており、回転軸710の回転によって回転するようになっている。受刃713は、下体715に保持されており、回転軸711の回転によって回転するようになっている。なお、受刃713の高さは、偏心軸を応用して変えることができ、これにより、凹部7131に対する鋭角先端部7121の嵌入深さを変えて、ミシン目幅の大きさを調整することができる。
【0066】
更に、用紙加工装置1に、用紙の搬送方向に対する直交方向にミシン目を形成するミシン目形成装置部を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の用紙加工装置は、印刷によって縮小又は拡大した用紙に対して適切な位置で加工を施すことを、簡単な操作によって実現でき、且つ、簡単な構成で安価に実現できるので、産業上の利用価値が大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態の用紙加工装置の全体を示す模式縦断面図である。
【図2】本実施形態の用紙加工装置の制御手段のブロック図である。
【図3】本実施形態の用紙加工装置の給紙手段の平面図である。
【図4】本実施形態の用紙加工装置によって加工される用紙の一例を示す平面図である。
【図5】上記加工内容を説明する平面図である。
【図6】上記加工により得られる用紙を示す平面図である。
【図7】本実施形態の用紙加工装置によって実際に加工される用紙の図5に相当する平面図である。
【図8】(a)は本実施形態の第1裁断装置部後の用紙を示す平面図、(b)は第2裁断装置部後の用紙を示す平面図、(c)は第3裁断装置部後の用紙を示す平面図、(d)は第4裁断装置部後の用紙を示す平面図、(e)は折り型形成装置部後の用紙を示す平面図である。
【図9】給紙手段の別の例を示す平面図である。
【図10】裁断ユニットを示す正面図である。
【図11】図10の斜視部分図である。
【図12】裁断ユニットをユニット受容部に受容した状態を示す正面図である。
【図13】第1〜第3裁断装置部の平面模式図である。
【図14】折り型形成ユニットの刃を示す図である。
【図15】図14のXV矢視図である。
【図16】ミシン目形成ユニットの刃を示す図である。
【図17】図16のXVII矢視図である。
【符号の説明】
【0069】
1 用紙加工装置 10 装置本体 11 給紙手段 100 用紙 111 用紙載置台 114 用紙寸法検知手段 115 後ガイド板 116 左ガイド板 117 右ガイド板 2 搬送手段 20 搬送経路 4A 第1裁断装置部 4B 第2裁断装置部 4C 第3裁断装置部 4D 第4裁断装置部 5 折り型形成装置部 850 作動制御手段 860 加工位置設定手段 871 実寸法入力手段 880 補正手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を搬送しながら用紙に加工を施す用紙加工装置に関するものであり、特に、印刷によって縮小又は拡大した用紙に加工を施す場合に適したものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙を搬送しながら用紙に加工を施す用紙加工装置が開示されている。この用紙加工装置は、用紙をどのように加工するかについての加工情報を入力する加工情報入力手段を備えており、その加工情報に基づいて用紙に加工を施すようになっている。
【0003】
特許文献2には、用紙を搬送しながら裁断する裁断装置が開示されている。この裁断装置では、搬送される用紙の通過が検出され、その検出結果に基づいて用紙の長さが求められ、その長さに基づいて裁断位置が決定されるようになっている。
【0004】
特許文献3には、用紙を搬送しながら裁断する裁断システムが開示されている。この裁断システムでは、用紙の所定位置における、既定の基準寸法と実際の測定寸法との誤差が、求められ、その誤差に基づいて裁断位置が決定されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−232700号公報
【特許文献2】特開平7−328988号公報
【特許文献3】特開2002−346984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した加工装置等で加工される用紙には、通常、加工前に何らかの印刷が施されている。そして、帯電像を用いる電子写真法による印刷機で印刷された用紙は、その印刷過程における加熱及び冷却によって、印刷前よりも縮小した寸法となることが多い。また、ある印刷機では、加熱動作に対応するために加湿器を備えており、印刷後の用紙が拡大した寸法となることがあった。更に、印刷機の周囲環境例えば湿度状況によっても、印刷後の用紙が拡大することがあった。それ故、そのような縮小又は拡大した用紙に対して、既定の寸法の用紙の場合と同じ加工位置で加工を施すと、適切な位置に加工を施すことができない恐れがあった。
【0006】
そこで、特許文献1の用紙加工装置では、縮小又は拡大した用紙の実寸法を測定し、加工情報中の加工位置を修正するための入力を行うことがあった。しかし、それでは、手間がかかるという不具合があった。
【0007】
特許文献2の裁断装置では、実際の用紙の長さに基づいて裁断位置が決定されるので、縮小又は拡大した用紙であっても適切な位置で裁断される。しかしながら、適切な位置での裁断は、搬送方向の位置だけに限られ、その他の方向の位置に関しては保障されていない。
【0008】
特許文献3の裁断システムでは、ラインセンサカメラによってトンボマークを撮影することにより、実際の測定寸法を求めているので、縮小又は拡大した用紙であっても正確な位置で裁断される。しかしながら、トンボマークを正確に印刷しておく必要があるため、用紙の印刷精度が良好でない場合には、正確な位置での裁断ができない恐れがあった。また、カメラで撮影する必要があるため、装置が複雑で高価であるという問題があった。
【0009】
本発明は、縮小又は拡大した用紙に対して適切な位置で加工を施すことを、簡単な操作によって実現でき、且つ、簡単な構成で安価に実現できる、用紙加工装置、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、用紙を搬送しながら用紙に加工を施す用紙加工装置であって、装置本体と、用紙を1枚ずつ搬送する搬送手段と、搬送手段に用紙を供給する給紙手段と、搬送手段を駆動する搬送駆動手段と、搬送手段で構成された搬送経路の途中に設けられ、用紙に加工を施す、加工装置部と、加工装置部を駆動する加工駆動手段と、用紙の既定値を基準とした加工位置を設定する加工位置設定手段と、設定された用紙の加工位置において加工を施すよう、搬送駆動手段及び加工駆動手段を制御する、作動制御手段と、を備えた、用紙加工装置において、用紙の印刷後の実寸法を入力する実寸法入力手段と、既定値を基準とした上記加工位置を、入力された実寸法を基準とした加工位置に、補正する、補正手段と、が設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、実寸法入力手段が、測定した実寸法を操作者が入力する入力キーであるものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、実寸法入力手段が、用紙寸法検知手段であり、用紙寸法検知手段が、給紙手段の用紙載置台上に設けた用紙ガイドを用紙の縦辺及び横辺に当接させることによって自動的に寸法を検知するようになっているものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、加工装置部が、用紙の搬送方向に用紙を裁断する裁断装置部、又は、用紙の搬送方向に用紙にミシン目を形成するミシン目形成装置部、又は、用紙の搬送方向に用紙に折り型を形成する折り型形成装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙を裁断する裁断装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙にミシン目を形成するミシン目形成装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙に折り型を形成する折り型形成装置部であるものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、作動制御手段が、用紙に印刷されている加工情報を読み取って、その読み取り情報に基づいて加工装置部における加工内容及び加工位置を制御するようになっているものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、既定値に基づいて設定された加工位置を、加工される用紙の実寸法に基づいて補正し、補正後の加工位置に基づいて加工を施すことができるので、印刷によって縮小又は拡大した用紙に対しても、適切な位置で加工を施すことができる。
【0016】
しかも、上記効果を得るための操作は、用紙の実寸法を測定し、その測定値を実寸法入力手段によって入力するだけであるので、簡単に行うことができる。
【0017】
更に、上記効果は、実寸法を測定するための手段、操作パネル等で実現できる実寸法入力手段、及び、簡単な演算を行う補正手段等によって実現できるので、簡単な構成で安価に実現できる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、操作者が入力するという簡単な操作によって、実寸法入力手段を実現できる。したがって、請求項1記載の発明による効果を、簡単な操作で得ることができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、操作者が用紙ガイドを操作するだけという極めて簡単な操作によって、実寸法入力手段を実現できる。したがって、請求項1記載の発明による効果を、極めて簡単な操作で得ることができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、種々の加工を施す際においても、請求項1記載の発明による効果を得ることができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、加工情報の入力設定を不要にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明の一実施形態による用紙加工装置の全体を示す模式縦断面図である。用紙加工装置1は、装置本体10の両端に、用紙載置台を備えた給紙手段11と、排紙トレイからなる排紙手段12と、を備えている。給紙手段11から排紙手段12へは、多数個の対のローラ21からなる搬送手段2によって搬送経路20が構成されている。搬送手段2には、搬送駆動手段(図示せず)が連結している。そして、搬送経路20上には、給紙手段11側から、搬送補正手段803、情報読取手段804、リジェクト手段806、第1裁断装置部4A、第2裁断装置部4B、第3裁断装置部4C、切屑落し手段807、第4裁断装置部4D、及び、折り型形成装置部5が設けられている。これらは全て装置本体10に支持されている。また、これらの手段には、加工駆動手段(図示せず)が連結している。なお、第1裁断装置部4A、第2裁断装置部4B、第3裁断装置部4C、第4裁断装置部4D、及び、折り型形成装置部5は、加工装置部に相当する。
【0023】
また、用紙加工装置1は、装置全体の作動等を制御する制御手段800を装置本体10内に備えている。制御手段800は、操作パネル(図示せず)に接続したCPUを有している。図2のブロック図に示すように、制御手段800は、例えば、後述する位置制御手段851及び加工制御手段852として機能する作動制御手段850を含んでいる。更に、制御手段800は、用紙の既定値を基準とした加工位置を設定する加工位置設定手段860を含んでいる。また、用紙加工装置1は、用紙の裁断加工によって発生する切屑を収容するためのゴミ箱801を、装置本体10内の底部に有している。
【0024】
そして、更に、用紙加工装置1は、図2に示すように、用紙の印刷後の実寸法を入力する実寸法入力手段871と、既定値を基準とした上記加工位置を、入力された実寸法を基準とした加工位置に、補正する、補正手段880と、を備えている。
【0025】
更に、用紙加工装置1では、図3に示すように、給紙手段11の用紙載置台111上に、用紙の縦寸法を測定するためのスケール112及び横寸法を測定するためのスケール113が設けられている。
【0026】
次に、用紙加工装置1の作動について、下記(1)〜(5)に、説明する。
【0027】
(1)まず、用紙に対する一連の加工内容である加工情報を設定する。この設定は、例えば、使用者が操作パネル(図示せず)から入力して行う。これにより、加工内容が設定されるとともに、加工位置設定手段860が作動して、用紙の既定値の寸法、例えばA4サイズの用紙であれば297mm×211mm、を基準とした加工位置が、設定される。
【0028】
なお、加工情報は、本装置の製造段階で登録設定しておいてもよい。それによれば、入力の手間を省略できる。
【0029】
(2)次に、実施する加工情報を指定する。
図4〜図6は、実施する加工情報の一例を示している。加工する用紙100には、図4に示すように、主印刷部101と共に、位置マーク(トンボマーク)102及びバーコード103が、印刷されている。この場合には、バーコード103によって、自動的に加工情報が指定されるので、ここで指定する必要はない。バーコード103を使用しない場合には、ここで、操作者が操作パネルから入力することによって、加工情報を指定する。この加工情報は、図5に示すように、用紙100に対して、まず、第1裁断装置部4Aによって実線A1、A2に沿った裁断処理を施し、次に、第2裁断装置部4Bによって実線B1、B2に沿った裁断処理を施し、次に、第3裁断装置部4Cによって実線C1、C2に沿った裁断処理を施し、次に、第4裁断装置部4Dによって実線D1、D2、D3に沿った裁断処理をこの順に施し、次に、折り型形成装置部5によって一点鎖線E1、E2に沿った折り型形成処理をこの順に施して、図6に示すような折り型210の付いた用紙200を8枚得ること、である。ここで、裁断処理を施す実線A1、B1、C1、C2、B2、A2の位置、すなわち加工位置は、用紙100の一方の縦辺からの距離W1、W2、W3、W4、W5、W6で示されており、裁断処理を施す実線D1、D2、D3の位置、すなわち加工位置は、前側の横辺からの距離L1、L3、L5で示されており、折り型形成処理を施す一点鎖線E1、E2の位置、すなわち加工位置は、前側の横辺からの距離L2、L4で示されており、更に、用紙の全幅は距離W7で示されており、用紙の全長は距離L6で示されている。これらの距離は、用紙100が、既定値の寸法を有していることを前提として、決定されている。
【0030】
(3)しかしながら、実際には、用紙100は、印刷を経ていることに起因して、既定値の寸法に比して縮小又は拡大した寸法を有している場合がある。その場合を、図7に示す。図7におけるW1’等及びL1’等は、図5におけるW1等及びL1等に対応するが、それらに比して小さく又は大きくなっている。
【0031】
そこで、用紙100を給紙手段11の用紙載置台111上に載せ、スケール112、113によって用紙100の実際の全長L6’及び全幅W7’を測定する。そして、その測定された実寸法を、実寸法入力手段871、例えば操作パネルのテンキー、によって入力する。これらは、操作者が行う。
【0032】
(4)実寸法が入力されると、補正手段880が作動する。すなわち、まず、以下の演算が行われてL1’〜L5’及びW1’〜W6’が求められる。そして、加工位置設定手段860によって設定されているL1〜L5及びW1〜W6が、L1’〜L5’及びW1’〜W6’に置き換えられる。すなわち、L1〜L5及びW1〜W6が、L1’〜L5’及びW1’〜W6’に、補正される。
L1’=L1×(L6’/L6)
L2’=L2×(L6’/L6)
L3’=L3×(L6’/L6)
L4’=L4×(L6’/L6)
L5’=L5×(L6’/L6)
W1’=W1×(W7’/W7)
W2’=W2×(W7’/W7)
W3’=W3×(W7’/W7)
W4’=W4×(W7’/W7)
W5’=W5×(W7’/W7)
W6’=W6×(W7’/W7)
【0033】
(5)そして、補正された距離L1’〜L5’及びW1’〜W6’で示される加工位置D1、E1、D2、E2、D3及び加工位置A1、B1、C1、C2、B2、A2において、以下の(5-1)〜(5-7)に示すように加工が施される。
【0034】
(5-1)まず、給紙手段11に載置された用紙100の束から、用紙100が一枚ずつ搬送経路20に送り出され、搬送補正手段803に入る。搬送補正手段803は、送られて来た用紙100が斜めになっていれば、それを真っ直ぐにする。また、搬送補正手段803は、送られて来た用紙100が2枚以上重畳していれば、それを検知して、用紙100の搬送を停止させる。用紙100は、真っ直ぐで1枚であれば、次へ搬送される。
【0035】
(5-2)次へ搬送された用紙100は、用紙先端センサー201によって先端が検出された後、情報読取手段804へ入る。情報読取手段804は、CCDセンサー805によって、用紙100の位置マーク102及びバーコード103を読む。この読取情報は、制御手段800に送られる。制御手段800は、この読取情報を記憶し、それに基づいて、後続の各手段を制御する。なお、情報読取手段804にて情報を読み取れなかった用紙100は、印刷不鮮明なものであると判断されて、次のリジェクト手段806によって、下方の廃棄トレイ802へ落とされる。
【0036】
(5-3)リジェクト手段806を通過した用紙100は、用紙先端センサー202によって先端が検出された後、第1裁断装置部4Aへ入る。第1裁断装置部4Aは、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御されるとともに、制御手段800の位置制御手段851によって、2つの実線A1、A2の位置、すなわち距離W1’、W6’(図7)に、2個の裁断用カッターがそれぞれ位置するよう制御される。したがって、用紙100は、第1裁断装置部4Aにより、実線A1、A2に沿って、すなわち、搬送方向に、裁断される。これにより、用紙100は、図8(a)の形態となって、次の第2裁断装置部4Bへ搬送される。なお、不要部X1はゴミ箱801へ落とされる。
【0037】
(5-4)第2裁断装置部4Bは、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御されるともに、制御手段800の位置制御手段851によって、2つの実線B1、B2の位置、すなわち距離W2’、W5’(図7)に、2個の裁断用カッターがそれぞれ位置するよう制御される。したがって、図8(a)の用紙100は、第2裁断装置部4Bにより、実線B1、B2に沿って、すなわち、搬送方向に、裁断される。これにより、用紙100は、図8(b)の形態となって、次の第3裁断装置部4Cへ搬送される。
【0038】
(5-5)第3裁断装置部4Cは、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御されるとともに、制御手段800の位置制御手段851によって、2つの実線C1、C2の位置、すなわち距離W3’、W4’(図7)に、2個の裁断用カッターがそれぞれ位置するよう制御される。したがって、図8(b)の用紙100は、第3裁断装置部4Cにより、実線C1、C2に沿って、すなわち、搬送方向に、裁断される。これにより、用紙100は、図8(c)の形態となって、第4裁断装置部4Dへ搬送される。なお、不要部X2は、次段の切屑落し手段807によってゴミ箱801へ落とされる。
【0039】
なお、図8(c)の用紙100は、第4裁断装置部4Dへ入る前に、用紙先端センサー203によって先端が検出される。
【0040】
(5-6)第4裁断装置部4Dは、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御される。第4裁断装置部4Dにおいて、図8(c)の用紙100は、カット位置センサー204によってカット位置が検知されるたびに、3つの実線D1、D2、D3で示すカット位置、すなわち距離L1’、L3’、L5’(図7)にて、停止する。そして、用紙100は、停止するたびに、一対の裁断用カッター41によって、実線D1等に沿って、すなわち、搬送方向に対する直交方向に、裁断される。これにより、用紙100は、図8(d)の形態となって、折り型形成装置部5へ搬送される。なお、不要部X3はゴミ箱801へ落ちる。
【0041】
(5-7)折り型形成装置部5は、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御されている。折り型形成装置部5において、図8(d)の用紙100は、折り位置センサー205によって折り位置が検知されるたびに、2つの一点鎖線E1、E2で示す折り位置、すなわち距離L2’、L4’(図7)にて、停止する。そして、用紙100は、停止するたびに、一対の折り型形成用押圧型51によって、一点鎖線E1等に沿って、すなわち、搬送方向に対する直交方向に、折り型201が形成される。これにより、用紙100は、図8(e)の形態となって、排紙手段12へ送り出される。
【0042】
以上のように、本実施形態の用紙加工装置1では、既定値に基づいて設定された加工位置が、加工される用紙、ここでは印刷によって縮小又は拡大した用紙、の実寸法に基づいて補正され、補正後の加工位置に基づいて加工が施される。したがって、本実施形態の用紙加工装置1によれば、印刷によって縮小又は拡大した用紙に対しても、適切な位置で加工を施すことができる。
【0043】
しかも、上記作用効果を得るための操作は、スケール112、113によって実寸法を測定し、その測定値を実寸法入力手段871によって入力するだけであるので、簡単に行うことができる。
【0044】
更に、上記作用効果は、実寸法を測定するためのスケール112、113、操作パネルで実現できる実寸法入力手段871、及び、簡単な演算を行う補正手段880等によって実現できるので、簡単な構成で安価に実現できる。
【0045】
なお、用紙加工装置1においては、図9に示す給紙手段11を用いてもよい。この給紙手段11は、公知の用紙寸法検知手段114を有している。用紙寸法検知手段114は、用紙載置台111上に設けられた後ガイド板115及び側ガイド板116(用紙ガイド)を有し、用紙載置台111上に載せた用紙100の、後縁に後ガイド板115を、側縁に側ガイド板116を、それぞれスライドさせて当接させることにより、用紙の全長及び全幅を自動的に検知するようになっている。したがって、用紙寸法検知手段114は、実寸法入力手段871としても機能する。
【0046】
また、電子写真法による印刷機で印刷する場合においては、縮小印刷や拡大印刷が行われることが多いが、その際に、印刷機によっては、用紙の特定区域が微小ながらも他とは異なった縮小寸法又は拡大寸法となってしまうことがある。これは、印刷機の「癖」と称されている。そこで、このような「癖」に対応するために、上述した補正手段880に加え、更に、用紙面領域を区分化して特定区分に対する加工位置の補正条件を設定する手段を採用してもよい。これにより、上記特定区域における上記異なった縮小又は拡大に対応した加工位置の補正を行うことができる。
【0047】
また、本実施形態においては、第1〜第3裁断装置部4A〜4Cが、装置本体10に対して着脱自在に設けられている。以下に、第1裁断装置部4Aを例として具体的に説明する。
【0048】
第1裁断装置部4Aは、裁断ユニット70Xとユニット受容部9とからなっている。裁断ユニット70Xは、裁断を行うユニットとして構成されている。ユニット受容部9は、装置本体10に設けられており、裁断ユニット70Xを着脱自在に受容できる。
【0049】
図10は裁断ユニット70Xの正面図、図11は図10の斜視部分図である。図11中のY方向は搬送方向を示す。ユニット70Xは、ケース部700と2個の裁断用カッター72、74とを備えている。ケース部700は、頂板701と、2枚の側板702、703と、底フレーム704とで、構成されている。2個の裁断用カッター72、74は、ケース部700内に支持されている。頂板701上には2個の取っ手7011が付いている。2枚の側板702、703は、頂板701の両側から鉛直下方に向けて設けられている。両側板702、703間には、2本のねじ軸705、719と、2本の上ガイド軸706、707と、2本の下ガイド軸708、709と、2本の回転軸710、711と、が渡設されている。これらの軸は、全て平行である。2本の回転軸710、711は、上と下にそれぞれ配置されている。
【0050】
裁断用カッター72は、2つの回転刃を上下から擦り合わせて裁断を行うものであり、上の回転刃を保有する上体714と、下の回転刃を保有する下体715と、からなっている。そして、上体714は、螺合部7050を通るねじ軸705の回転に伴って、2本の上ガイド軸706、707に沿って移動できるようになっている。また、上体714の回転刃は、上の回転軸710の回転によって回転するようになっている。下体715は上体714と共に2本の下ガイド軸708、709に沿って移動できるようになっている。また、下体715の回転刃は、下の回転軸711の回転によって回転するようになっている。
【0051】
裁断用カッター74は、裁断用カッター72と同じ構成を有しているが、裁断用カッター72に対して対称的に設けられている。裁断用カッター74は、ねじ軸719の回転に伴って、2本の上ガイド軸706、707に沿って移動できるようになっている。ねじ軸719は、螺合部7190を通っている。また、上体714の回転刃は、上の回転軸710の回転によって回転するようになっている。下体715は上体714と共に2本の下ガイド軸708、709に沿って移動できるようになっている。また、下体715の回転刃は、下の回転軸711の回転によって回転するようになっている。
【0052】
また、ユニット70Xは、通過する用紙100を下方から支持するピン718を、備えている。ピン718は、用紙100の幅方向の中央と両側との3箇所に、設けられている。ピン718は、搬送方向に向けて延びており、基端7181を支点として水平面上を揺動可能となっており、外力が加わっていない時は搬送方向に向いた状態を維持するようになっている。したがって、ピン718は、裁断用カッター72、74に当接すると、裁断用カッター72、74を避けるようになっている。
【0053】
更に、ねじ軸705の側板702から外側に突出した端部には、ギヤ7051が設けられている。また、ねじ軸719の側板703から外側に突出した端部には、ギヤ7191が設けられている。また、2本の回転軸710、711の側板702から外側に突出した端部には、ギヤ7101、7111がそれぞれ設けられている。両ギヤ7101、7111は連結しており、したがって、2本の回転軸710、711は同時に逆回転するようになっている。
【0054】
一方、ユニット受容部9は、図12に示すように、枠体90に、第1駆動部94、第2駆動部95、及び、第3駆動部96を設けて構成されている。枠対90は、2つの側板91、92と、下フレーム93とで、構成されている。
【0055】
第1駆動部94は、側板91の上部に設けられており、ギヤ941と、ギヤ941を回転駆動するためのモータ942と、からなっている。ギヤ941は、側板91の内側に位置している。モータ942は、側板91の外側に位置している。
【0056】
第2駆動部95は、側板92の上部に設けられており、ギヤ951と、ギヤ951を回転駆動するためのモータ952と、からなっている。ギヤ951は、側板92の内側に位置している。モータ952は、側板92の外側に位置している。なお、第1駆動部94と第2駆動部95とは、対称的に設けられている。
【0057】
第3駆動部96は、側板91の下部に設けられており、ギヤ961と、モータ962と、ギヤ963、964、965、966と、プーリー967、968と、からなっている。ギヤ961は、側板91の内側に且つ下フレーム93の上方に位置している。モータ962は、側板91の内側に且つ下フレーム93の下方に位置している。ギヤ963、964、965、966及びプーリー967、968は、側板91の外側に位置しており、モータ962の駆動力をギヤ961に伝達する。
【0058】
第3駆動部96のギヤ961は、第1駆動部94のギヤ941よりも、側板91の内側に突出している。
【0059】
そして、第1裁断装置部4Aにおいては、ユニット70Xがユニット受容部9に受容されると、図12に示すように、ギヤ7051がギヤ941に連結し、ギヤ7111がギヤ961に連結し、ギヤ7191がギヤ951に連結する。なお、ユニット受容部9に受容したユニット70Xは、位置決めした後に、ビス991、992により、側板91、92に留める。
【0060】
ユニット70Xがユニット受容部9に受容されると、第1裁断装置部4Aは次のように作動する。すなわち、ユニット70Xは、制御手段800の加工制御手段852によって、オン制御されるとともに、制御手段800の位置制御手段851によって、裁断する位置に2個の裁断用カッター72、74が位置するよう制御される。すなわち、位置制御手段851によって、第1駆動部94のモータ942が所定時間だけ作動されて、裁断用カッター72が裁断する位置に移動されるとともに、第2駆動部95のモータ952が所定時間だけ作動されて、裁断用カッター74が裁断する位置に移動される。また、加工制御手段852によって、第3駆動部96のモータ962が作動されて、裁断用カッター72、74の回転刃が回転し、裁断用カッター72、74の位置で用紙100が搬送方向に裁断される。
【0061】
第2裁断装置部4B、4Cも、第1裁断装置部4Aと同じ構成を有しており、同じように作動する。そして、第1、第2、第3裁断装置部4A、4B、4Cは、それぞれ、平面略図である図13に示すような位置に、裁断用カッター72、74を制御することによって、上述した裁断を行うようになっている。
【0062】
以上のように、上記構成の用紙加工装置1においては、第1、第2、第3裁断装置部4A、4B、4Cにおける加工を行う裁断ユニットを、それぞれ、装置本体10に対して着脱自在に設けているので、次のような効果を発揮できる。すなわち、いずれかの裁断装置部、例えば第1裁断ユニット4Aの、裁断用カッターが摩耗などのために交換が必要となった場合でも、裁断ユニット70Xを装置本体10のユニット受容部9から取り外して、予備的に用意している新たな裁断ユニット70Xをユニット受容部9に受容させるだけで、交換を行うことができる。したがって、交換作業に要する時間や手間を低減できる。
【0063】
しかも、上記構成の用紙加工装置1においては、例えば第1裁断装置部4Aを裁断ユニット70Xとして構成しても、ユニット70Xにおいては裁断用カッター72、74の位置を移動制御できるので、多種類の裁断位置に対応でき、用紙100の印刷位置にずれがある場合でも適切な裁断を行うことができる。
【0064】
また、用紙加工装置1に、搬送方向の折り型を形成する折り型形成装置部を設けてもよい。更に、その折り型形成装置部を装置本体10に対して着脱自在に設けてもよい。その場合には、折り型形成装置部を、折り型形成ユニットとユニット受容部9とで構成する。折り型形成ユニットは、裁断ユニット70Xにおける裁断用カッターを折り型形成器に代えて構成される。折り型形成器は、図14及び図14のXV矢視図である図15に示すように、回転刃781の凸部7811を、用紙と共に、受刃782の凹部7821に嵌入させることにより、用紙を押圧して、用紙に折り型を形成する。回転刃781は、上体714に保持されており、回転軸710の回転によって回転するようになっている。受刃782は、下体715に保持されており、回転軸711の回転によって回転するようになっている。なお、受刃782の高さは、偏心軸を応用して変えることができ、これにより、凹部7821に対する凸部7811の嵌入深さを変えて、折り型の深さを調整することができる。
【0065】
また、用紙加工装置1に、搬送方向のミシン目を形成するミシン目形成装置部を設けてもよい。更に、そのミシン目形成装置部を装置本体10に対して着脱自在に設けてもよい。その場合には、ミシン目形成装置部を、ミシン目形成ユニットとユニット受容部9とで構成する。ミシン目形成ユニットは、裁断ユニット70Xにおける裁断用カッターをミシン目形成器に代えて構成される。ミシン目形成器は、図16及び図16のXVII矢視図である図17に示すように、歯車刃712の鋭角先端部7121を、用紙と共に、受刃713の凹部7131の壁に摺接させることにより、用紙にミシン目を形成する。歯車刃712は、上体714に保持されており、回転軸710の回転によって回転するようになっている。受刃713は、下体715に保持されており、回転軸711の回転によって回転するようになっている。なお、受刃713の高さは、偏心軸を応用して変えることができ、これにより、凹部7131に対する鋭角先端部7121の嵌入深さを変えて、ミシン目幅の大きさを調整することができる。
【0066】
更に、用紙加工装置1に、用紙の搬送方向に対する直交方向にミシン目を形成するミシン目形成装置部を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の用紙加工装置は、印刷によって縮小又は拡大した用紙に対して適切な位置で加工を施すことを、簡単な操作によって実現でき、且つ、簡単な構成で安価に実現できるので、産業上の利用価値が大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態の用紙加工装置の全体を示す模式縦断面図である。
【図2】本実施形態の用紙加工装置の制御手段のブロック図である。
【図3】本実施形態の用紙加工装置の給紙手段の平面図である。
【図4】本実施形態の用紙加工装置によって加工される用紙の一例を示す平面図である。
【図5】上記加工内容を説明する平面図である。
【図6】上記加工により得られる用紙を示す平面図である。
【図7】本実施形態の用紙加工装置によって実際に加工される用紙の図5に相当する平面図である。
【図8】(a)は本実施形態の第1裁断装置部後の用紙を示す平面図、(b)は第2裁断装置部後の用紙を示す平面図、(c)は第3裁断装置部後の用紙を示す平面図、(d)は第4裁断装置部後の用紙を示す平面図、(e)は折り型形成装置部後の用紙を示す平面図である。
【図9】給紙手段の別の例を示す平面図である。
【図10】裁断ユニットを示す正面図である。
【図11】図10の斜視部分図である。
【図12】裁断ユニットをユニット受容部に受容した状態を示す正面図である。
【図13】第1〜第3裁断装置部の平面模式図である。
【図14】折り型形成ユニットの刃を示す図である。
【図15】図14のXV矢視図である。
【図16】ミシン目形成ユニットの刃を示す図である。
【図17】図16のXVII矢視図である。
【符号の説明】
【0069】
1 用紙加工装置 10 装置本体 11 給紙手段 100 用紙 111 用紙載置台 114 用紙寸法検知手段 115 後ガイド板 116 左ガイド板 117 右ガイド板 2 搬送手段 20 搬送経路 4A 第1裁断装置部 4B 第2裁断装置部 4C 第3裁断装置部 4D 第4裁断装置部 5 折り型形成装置部 850 作動制御手段 860 加工位置設定手段 871 実寸法入力手段 880 補正手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送しながら用紙に加工を施す用紙加工装置であって、
装置本体と、
用紙を1枚ずつ搬送する搬送手段と、
搬送手段に用紙を供給する給紙手段と、
搬送手段を駆動する搬送駆動手段と、
搬送手段で構成された搬送経路の途中に設けられ、用紙に加工を施す、加工装置部と、
加工装置部を駆動する加工駆動手段と、
用紙の既定値を基準とした加工位置を設定する加工位置設定手段と、
設定された用紙の加工位置において加工を施すよう、搬送駆動手段及び加工駆動手段を制御する、作動制御手段と、を備えた、用紙加工装置において、
用紙の印刷後の実寸法を入力する実寸法入力手段と、
既定値を基準とした上記加工位置を、入力された実寸法を基準とした加工位置に、補正する、補正手段と、が設けられていることを特徴とする用紙加工装置。
【請求項2】
実寸法入力手段が、測定した実寸法を操作者が入力する入力キーである、請求項1記載の用紙加工装置。
【請求項3】
実寸法入力手段が、用紙寸法検知手段であり、
用紙寸法検知手段が、給紙手段の用紙載置台上に設けた用紙ガイドを用紙の縦辺及び横辺に当接させることによって自動的に寸法を検知するようになっている、請求項1記載の用紙加工装置。
【請求項4】
加工装置部が、用紙の搬送方向に用紙を裁断する裁断装置部、又は、用紙の搬送方向に用紙にミシン目を形成するミシン目形成装置部、又は、用紙の搬送方向に用紙に折り型を形成する折り型形成装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙を裁断する裁断装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙にミシン目を形成するミシン目形成装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙に折り型を形成する折り型形成装置部である、請求項1記載の用紙加工装置。
【請求項5】
作動制御手段が、用紙に印刷されている加工情報を読み取って、その読み取り情報に基づいて加工装置部における加工内容及び加工位置を制御するようになっている、請求項1記載の用紙加工装置。
【請求項1】
用紙を搬送しながら用紙に加工を施す用紙加工装置であって、
装置本体と、
用紙を1枚ずつ搬送する搬送手段と、
搬送手段に用紙を供給する給紙手段と、
搬送手段を駆動する搬送駆動手段と、
搬送手段で構成された搬送経路の途中に設けられ、用紙に加工を施す、加工装置部と、
加工装置部を駆動する加工駆動手段と、
用紙の既定値を基準とした加工位置を設定する加工位置設定手段と、
設定された用紙の加工位置において加工を施すよう、搬送駆動手段及び加工駆動手段を制御する、作動制御手段と、を備えた、用紙加工装置において、
用紙の印刷後の実寸法を入力する実寸法入力手段と、
既定値を基準とした上記加工位置を、入力された実寸法を基準とした加工位置に、補正する、補正手段と、が設けられていることを特徴とする用紙加工装置。
【請求項2】
実寸法入力手段が、測定した実寸法を操作者が入力する入力キーである、請求項1記載の用紙加工装置。
【請求項3】
実寸法入力手段が、用紙寸法検知手段であり、
用紙寸法検知手段が、給紙手段の用紙載置台上に設けた用紙ガイドを用紙の縦辺及び横辺に当接させることによって自動的に寸法を検知するようになっている、請求項1記載の用紙加工装置。
【請求項4】
加工装置部が、用紙の搬送方向に用紙を裁断する裁断装置部、又は、用紙の搬送方向に用紙にミシン目を形成するミシン目形成装置部、又は、用紙の搬送方向に用紙に折り型を形成する折り型形成装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙を裁断する裁断装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙にミシン目を形成するミシン目形成装置部、又は、用紙の搬送方向に対する直交方向に用紙に折り型を形成する折り型形成装置部である、請求項1記載の用紙加工装置。
【請求項5】
作動制御手段が、用紙に印刷されている加工情報を読み取って、その読み取り情報に基づいて加工装置部における加工内容及び加工位置を制御するようになっている、請求項1記載の用紙加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−321000(P2006−321000A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145665(P2005−145665)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
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