説明

用紙後処理装置及び用紙後処理方法

【課題】 穿孔手段の作動時の影響を補正して用紙の所定位置に正確に穿孔を行うことができる用紙後処理装置を提供する。
【解決手段】 用紙を搬送方向に搬送し用紙に穿孔する用紙後処理装置において、前記用紙に穿孔する穿孔手段と、前記穿孔手段を載置し前記搬送方向と直交方向の用紙の所定位置に前記穿孔手段を移動する移動手段と、前記穿孔手段の作動時の影響による前記移動手段の位置ずれを補正して穿孔するよう制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする用紙後処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙後処理装置及び用紙後処理方法に関し、詳しくは、画像形成装置により画像が記録形成されて排出される用紙等に、ファイルに綴じ込むためのパンチ孔を穿孔する用紙後処理装置及び用紙後処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置により画像が記録形成されて排出される用紙等に、ファイルに綴じ込むためのパンチ孔を穿孔する用紙後処理装置において、用紙の搬送方向と直交方向に穿孔手段を移動する移動手段を設け、用紙の所定位置に穿孔する用紙後処理装置が知られいる。また、用紙の搬送方向と直交方向に直線的に移動するスライドカムを用いて穿孔する装置も知られている(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2003−206068号公報
【特許文献2】特開2002−193493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、移動手段に載置されている穿孔手段が作動時に作動部材の動きによる影響により、移動手段が位置ずれを起こすことがあり用紙に正確に穿孔できないという問題がある。
【0004】
本発明は上記の課題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、穿孔手段の作動時の影響を補正して用紙の所定位置に正確に穿孔できる用紙後処理装置及び用紙後処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は下記の手段のいずれかにより達成される。
【0006】
(1)用紙を搬送方向に搬送し用紙に穿孔する用紙後処理装置において、前記用紙に穿孔する穿孔手段と、前記穿孔手段を載置し前記搬送方向と直交方向の用紙の所定位置に前記穿孔手段を移動する移動手段と、前記穿孔手段の作動時の影響による前記移動手段の位置ずれを補正して穿孔するよう制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする用紙後処理装置。
【0007】
(2)前記穿孔手段は前記移動手段の移動方向と同方向に直進往復動する機構により穿孔することを特徴とする(1)に記載の用紙後処理装置。
【0008】
(3)前記搬送方向と直交方向の用紙位置は前記用紙の側端部により検知することを特徴とする(1)または(2)に記載の用紙後処理装置。
【0009】
(4)前記穿孔手段は直進往復動する機構の往工程、復工程の両工程でそれぞれ穿孔することを特徴とする(1)、(2)、または(3)に記載の用紙後処理装置。
【0010】
(5)穿孔手段が前記往工程、前記復工程の両工程で穿孔する場合、前記移動手段の位置ずれの補正を少なくとも前記往工程または前記復工程の一方で行うことを特徴とする(2)、(3)または(4)に記載の用紙後処理装置。
【0011】
(6)用紙を搬送方向に搬送し、前記搬送方向と直交方向に移動する移動手段に載置された用紙に穿孔する穿孔手段により穿孔する用紙後処理方法において、
前記穿孔手段の作動時の影響による前記移動手段の位置ずれを補正して穿孔することを特徴とする用紙後処理方法。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成したので下記のような効果を奏する。
【0013】
請求項1、6に記載の発明によれば、穿孔手段の作動時の影響による移動手段の位置ずれを補正するので、用紙の所定位置に正確に穿孔を行うことができるようになった。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、穿孔手段は移動手段の移動方向と同方向に往復動するので、複数の孔を簡易な構造で穿孔できるようになった。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、用紙位置は用紙の側端部により検知するので、用紙搬送方向と直交する方向の用紙位置を簡単な方法で検出できるようになった。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、穿孔手段は往復動機構の往工程、復工程の両工程でそれぞれ穿孔するので、効率よく穿孔できるようになった。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、移動手段の補正が効率よく行われるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施の形態に係わる用紙後処理装置及び用紙後処理方法について図面を参照して説明する。なお、用紙後処理装置を正面より見て左右方向をX方向、上下をY方向、及び前後方法をZ方向とすることにする。
【0019】
(画像形成装置)
最初に、用紙後処理装置を備えた画像形成装置につて説明する。図1は用紙後処理装置を備えた画像形成装置の構成を示す正面図、図2は用紙後処理装置の構成を示す正面図である。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置は画像形成装置本体A、画像読取装置B、及び用紙後処理装置Cより構成されている。画像形成装置本体Aは回転する像担持体としての感光体1、帯電手段2、像露光手段3、現像手段4、転写手段5A、除電手段5B、分離爪5C、およびクリーニング手段6、用紙収納手段7A、中間搬送部7Bさらに定着手段8等より構成されている。
【0021】
帯電手段2によって感光体1の表面に一様帯電を行った後に、像露光手段3のレーザービームによって原稿から読み取られた画像データに基づくレーザービーム走査を行うことによって潜像を現像手段4によって反転現像して感光体1の表面にトナー像を形成する。
【0022】
一方、用紙収納手段7Aから給紙された用紙Sは転写位置へと送られ、転写位置において転写手段5Aによりトナー像が用紙S上に転写される。その後、用紙Sは除電手段5Bにより裏面の電荷が消去され、分離爪5Cにより感光体1から分離され、中間搬送部7Bにより搬送され、引き続き定着手段8により加熱定着され、排紙ローラ7Cにより排出されるようになっている。
【0023】
画像形成装置本体Aの上部には、原稿移動露光型の自動原稿送り装置を備えた画像読取装置Bが設置されている。
【0024】
(用紙後処理装置C)
用紙後処理装置Cは、図1及び図2に示すように、画像形成装置本体Aの排紙ローラ7Cによって排出された用紙Sを受け入れ、用紙の搬送方向の後端側にファイルに綴じ込むためのパンチ孔を穿孔するための穿孔部10、穿孔部10を経た用紙を短い距離で搬送排出する第1の搬送路20、及び長い距離で搬送排出する第2の搬送路30とを有し、これら第1の搬送路20と第2の搬送路を切替案内板40の操作により選択的に切り替え可能となっている。
【0025】
用紙Sは用紙後処理装置Cに送り込まれると、用紙Sの先端部の通過が後述する用紙位置検知手段19の最も内側のセンサS5により検知され(図6a参照)、パンチ孔が形成された用紙はサイドレジストローラ対60の回転開始により搬送され、用紙処理装置Cから排出されるようになっている。
【0026】
(穿孔部10)
穿孔部10について説明する。図3は穿孔部10の構成を示す平面図、図4は穿孔部10の構成を示す側面図、図5は穿孔部10の構成を示すAA断面図である。図6は穿孔部の穿孔動作を示す説明図であり、詳しくは図6(a)は用紙後端の検知時の説明図、図6(b)は用紙側端の検知時の説明図、図6(c)は用紙の中央と穿孔の中央が一致した時の説明図である。
【0027】
穿孔部10は、図3、図4及び図5に示すように、移動手段10A、移動手段に載置された穿孔手段10B等より構成されている。
【0028】
移動手段10Aの動作は、移動モータM1が回転すると、歯車列131を介してラック132がZ方向に移動し、ラック132と一体のスライド軸受15aがガイド軸14に沿って移動し、スライド軸受15aと一体の載置台15が移動する。なお、ラック132にはホームポジションを検知するポジションセンサHP1が設けられている。さらに載置台15に載置された穿孔手段10Bが移動するようになっている。
【0029】
用紙位置検知手段19は、載置台15に反射型の光センサS1からS5が設けられ、穿孔処理される用紙幅に対応するように取り付けられている。各センサは各種サイズの用紙の片寄りのない位置での一方側端部の内側5mmの位置に来るように設定されている。
【0030】
用紙位置の検出は、用紙のサイズに応じたセンサ(ここではセンサS1)により用紙の側端部が検知されると、移動モータM1を逆方向に回転させ、再度センサS1が用紙Sの側端部を検知するまで、センサS1が用紙の外側から内側に向けて移動するように穿孔手段10Bの全体を移動させ、用紙の側端部位置を検出するようになっている。
【0031】
穿孔手段10Bは、載置台15に載置されている。動作は載置台15に固定された穿孔モータM2が回転すると、歯車列161を介してピン162が回転する。スライドカム17にはV字溝状のカム17bがあり、V字溝状のカムはパンチをダイ孔に進入させるV状の谷部とパンチをダイ孔から離れた位置に待機させる両端部とで形成されており、スライドカム17に設けた溝17aにピン162が嵌合しており、ピン162が回転するとスライドカム17がZ方向に作動する。スライドカム17が作動すると、V字溝状のカムが移動し、ピン17cを介して2つのパンチ刃18aが作動して穿孔する。なお、スライドカム17にはホームポジションを検知する2つのポジションセンサHP2a、HP2bが設けられている。
【0032】
用紙への穿孔のタイミングは、用紙Sの後端が検知すべく備えられたセンサS5が用紙の後端を検知した後に、用紙の所定距離搬送後に、レジストローラ対60の回転を停止させた後に、所定のタイミングでスライドカム17を下動させ、用紙Sの所定位置に穿孔を行う。
【0033】
(制御関係ブロック)
ここで用紙後処理装置Cの制御系について説明する。図7は用紙後処理装置Cの制御系のブロック図である。70は制御手段、M1は移動手段を駆動する移動モータ、M2は穿孔手段を駆動する穿孔モータ、HP1は移動手段の位置を検知するポジションセンサ、HP2a、HP2bは穿孔手段の位置を検知するポジションセンサ、S1からS5は用紙位置を検出するセンサである。
【0034】
前記制御手段70は、CPU、ROM、RAM、I/Oで構成され各ブロックを制御し、さらに、穿孔手段10Bの作動時の影響により移動手段10Aが位置ずれを起こすのを補正するよう制御する。この位置ずれの補正量は、穿孔手段10Aに形成したスライドカム17の往工程と復工程で実験的に求め、メモリに記憶しておき必要なときに補正量を呼び出すようになっている。この位置ずれの要因として、例えば、歯車列のバックラッシュ等が考えられる。
【0035】
移動手段10Aの移動量は、用紙の側端部位置の検出後、穿孔手段10Bのパンチ刃18aの中央が用紙Sの中央にくるようにするため、用紙の側端部位置からの移動量と位置ずれによる補正量を加え算出して求める。移動手段10Aの移動量が決まると、パルスモータである移動モータM1のパルス数が決まり穿孔手段10Bを所定位置に移動させ、パンチ刃18aの中央が用紙の中央に来るように制御する(図6c参照)。
【0036】
(穿孔方法の説明)
本発明の用紙後処理方法について実施の形態の用紙後処理装置により説明する。用紙後処理方法は、用紙を搬送し、用紙を搬送するX方向と直交するZ方向に移動する移動手段10Aに載置された穿孔手段10Bにより穿孔する。このとき、穿孔手段10Bの作動時の影響による移動手段10Aの位置ずれを補正するようになっている。詳しくは、例えば、穿孔手段10Bのスライドカムの往復駆動により振動や衝撃等が生じて移動手段10Aを動かそうとする力が作用し、移動手段10Aが位置ずれを起こすのを補正する。
【0037】
ここで、穿孔方法の一例として、A3判の用紙2枚を穿孔する例について説明する。用紙2枚(A3判)に2孔を穿孔する設定を図示しない操作パネルより入力し、スタート釦を押すと、第1原稿を読み取りトナー画像を形成する。1枚目の用紙を用紙後処理装置Cへ搬送し、用紙の位置を検知し、移動手段10Aの移動量を位置ずれ誤差を含め求め、移動手段10Aを所定位置に移動する。用紙の後端位置検出後に用紙を搬送し、スライドカム17の往工程で穿孔して後に用紙Sを外部に排出する。同様にして、第2原稿につても第2原稿を読み取り、トナー画像を形成する。2枚目の用紙を用紙後処理装置Cへ搬送し、用紙位置を検知し、移動手段10Aの移動量を位置ずれ誤差を見込み求める。移動手段10Aを所定位置に移動し、用紙の後端位置検出後に用紙を搬送し、スライドカム17の復工程で穿孔し、後用紙Sを外部に排出する。
【0038】
以上のように、穿孔手段の作動時の移動手段への影響を補正して、正しく穿孔手段を移動させるので、用紙に正確に穿孔を行うことができるようになる。
【0039】
なお、実施の形態では、移動手段10Aの位置ずれの補正として、穿孔手段10Bの往工程、復工程の各々について補正したが、例えば、移動手段の構造が往工程のみに位置ずれが発生する場合は、往工程のみ移動手段の位置ずれの補正を行うようにしても良い。また、実施の形態では、スライドカムの往工程と復工程の両方で穿孔するようにしたが、一方でのみ穿孔するようにしても良い。さらに、実施の形態では用紙の中央に2孔を穿孔する例について説明したが、4孔、6孔でも同様である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】用紙後処理装置を備えた画像形成装置の構成を示す正面図である。
【図2】用紙後処理装置の構成を示す正面図である。
【図3】穿孔部の構成を示す平面図である。
【図4】穿孔部の構成を示す側面図である。
【図5】穿孔部の構成を示すAA断面図である。
【図6】穿孔部の穿孔動作を示す説明図である。
【図7】用紙後処理装置の制御関係ブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
C 用紙後処理装置
10 穿孔部
10A 移動手段
10B 穿孔手段
17 スライドカム
18a パンチ刃
70 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送方向に搬送し用紙に穿孔する用紙後処理装置において、
前記用紙に穿孔する穿孔手段と、
前記穿孔手段を載置し前記搬送方向と直交方向の用紙の所定位置に前記穿孔手段を移動する移動手段と、
前記穿孔手段の作動時の影響による前記移動手段の位置ずれを補正して穿孔するよう制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項2】
前記穿孔手段は前記移動手段の移動方向と同方向に直進往復動する機構により穿孔することを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項3】
前記搬送方向と直交方向の用紙位置は前記用紙の側端部により検知することを特徴とする請求項1または2に記載の用紙後処理装置。
【請求項4】
前記穿孔手段は直進往復動する機構の往工程、復工程の両工程でそれぞれ穿孔することを特徴とする請求項1、2、または3に記載の用紙後処理装置。
【請求項5】
穿孔手段が前記往工程、前記復工程の両工程で穿孔する場合、前記移動手段の位置ずれの補正を少なくとも前記往工程または前記復工程の一方で行うことを特徴とする請求項2、3または4に記載の用紙後処理装置。
【請求項6】
用紙を搬送方向に搬送し、前記搬送方向と直交方向に移動する移動手段に載置された用紙に穿孔する穿孔手段により穿孔する用紙後処理方法において、
前記穿孔手段の作動時の影響による前記移動手段の位置ずれを補正して穿孔することを特徴とする用紙後処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−142444(P2006−142444A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337226(P2004−337226)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】