説明

用紙後処理装置

【課題】コストアップを招くことなく、用紙束に傷や皺を発生させずに適切に折り加工を施すことができる用紙後処理装置を提供する。
【解決手段】ステイプルトレイ上で整合されてステイプルユニットにより中綴じされた用紙束Sに対して、折り刃を作用させることで中綴じ位置に折り目を付け、折り目を付けた中綴じ位置が先頭となるように、用紙束Sを2つ折りの状態で搬送ローラ38によりプレスユニットまで搬送する。そして、プレスユニットの一対の折りプレート20a,20bにより用紙束Sの中綴じ位置を挟み込んだ状態で、加圧機構21が一方の折りプレート20aを他方の折りプレート20b側に加圧することで、中綴じされた用紙束Sに対して折り加工を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタなどの画像形成装置から排出された用紙をスタックし、スタックした用紙束を中綴じして中綴じ位置に折り加工を施す用紙後処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタなどの画像形成装置から排出された複数枚の用紙をステイプルトレイ上にスタックするとともに整合し、整合された用紙束の搬送方向における中間位置をステイプルユニットで綴じる処理(中綴じ)を行った後、中綴じされた用紙束をその中綴じ位置で折り畳んで製本し、冊子として排出する用紙後処理装置が知られている。この種の用紙後処理装置では、用紙束を構成する用紙の枚数が多い場合であっても製本した冊子に膨らみが生じないように適切な折り加工を施し、良好な仕上がり状態が得られるようにすることが求められており、用紙束の中綴じ位置に折り加工を適切に施すための技術が種々検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、プッシュブレードにより用紙束の中綴じ位置をストッパプレートに突き当たるまで押し込んだ後、プッシュブレードの両側に斜めに配置された一対のプレスブレードを下降させて、これら一対のプレスブレードの先端により用紙束の中綴じ位置の両側を挟み込んで下方へしごきつつプレスすることで、冊子に膨らみが生じないように折り加工を施す技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、用紙束の中綴じ位置に折り刃を作用させて折り目をつけた後、一対のローラ(プレプレスローラ)により折り目を付けた中綴じ位置を先頭に用紙束を引き込んで仮折りし、さらに、仮折りされた用紙束を一対のローラ(プレスローラ)により挟み込みながら搬送することで、冊子に膨らみが生じないように折り加工を施す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−210436号公報
【特許文献2】特開2000−143081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にて開示される技術では、プレスブレードの先端で用紙束をしごきながらプレスするため、用紙束の表面に傷などのダメージを与えてしまうことがある。また、用紙束の中綴じ位置近くに皺が発生して良好な仕上がり状態が得られなくなるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2にて開示される技術では、仮折りした用紙束を一対のローラにより挟み込みながら搬送することで折り加工を施すようにしているので傷や皺の発生は抑制される。しかし、このような折り加工を施すローラ(プレスローラ)は高価な部品であるためコストアップを招くといった問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コストアップを招くことなく、用紙束に傷や皺を発生させずに適切に折り加工を施すことができる用紙後処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる用紙後処理装置は、画像形成装置から排出された用紙を複数枚スタックして整合する整合トレイと、前記整合トレイで整合された用紙束に対して中綴じ処理を施す綴じ手段と、前記綴じ手段により中綴じされた前記用紙束の中綴じ位置に折り目をつける折り刃と、前記折り刃により折り目がつけられた中綴じ位置を先頭として前記用紙束を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された前記用紙束の中綴じ位置を挟み込む一対の折りプレートと、前記一対の折りプレートの一方を他方側に加圧する加圧手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品として安価な一対の折りプレートにより用紙束の中綴じ位置を挟み込み、加圧手段により一方の折りプレートを他方側に加圧することで用紙束に折り加工を施すようにしているので、コストアップを招くことなく、また、用紙束に傷や皺を発生させることなく適切に折り加工を施すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、用紙後処理装置の概略構成図である。
【図2】図2は、折り刃を移動させる機構を示す斜視図である。
【図3】図3は、第1の実施形態で例示するプレスユニットの構成を示す模式図である。
【図4】図4は、折りプレート移動クランク板を回転駆動する機構を示す斜視図である。
【図5】図5は、第1の実施形態で例示するプレスユニットの構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、第2の実施形態で例示するプレスユニットの構成を示す模式図である。
【図7】図7は、第2の実施形態で例示するプレスユニットの構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、第3の実施形態で例示するプレスユニットの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる用紙後処理装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一適用例を例示的に示したものであり、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施形態の構成要素は、当業者が容易に置換可能なもの或いは実質的に同一のものに適宜変更することができる。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる用紙後処理装置FRの概略構成図である。この用紙後処理装置FRは、複写機やプリンタなどの画像形成装置PRから排出される記録済みの用紙に対して後処理を施すものであり、画像形成装置PRに隣接して配設されている。
【0014】
用紙後処理装置FRの内部には、入口搬送路A、上搬送路B、中間搬送路C、下搬送路Dの各搬送路が設けられている。入口搬送路Aは、画像形成装置PRから排出された用紙を受け入れる搬送路である。上搬送路Bは、入口搬送路Aを通過した用紙をプルーフトレイ18へと導く搬送路である。中間搬送路Cは、入口搬送路Aを通過した用紙を搬送方向に垂直な方向に一定量動かした後に排紙トレイ17へと導く搬送路である。下搬送路Dは、入口搬送路Aを通過した用紙をステイプルトレイ(整合トレイ)10へと導く搬送路である。入口搬送路Aから上搬送路B、中間搬送路C、下搬送路Dへの用紙の振り分けは、分岐爪24とターンガイド36、および分岐爪25とターンガイド37の動作により行われる。
【0015】
上搬送路B、中間搬送路C、下搬送路Dの各搬送路の上流に位置する入口搬送路Aには、画像形成装置PRから受け入れる用紙を検出する入口センサ301が設けられ、入口センサ301の下流側にパンチユニット3、搬送ローラ31、分岐爪24およびターンガイド36が順次配置されている。また、分岐爪24およびターンガイド36のさらに下流側には、搬送ローラ32、分岐爪25およびターンガイド37が順次配置されている。
【0016】
画像形成装置PRから用紙後処理装置FRの入口搬送路Aに受け入れられた用紙は、必要に応じてパンチユニット3により所定箇所に穿孔され、搬送ローラ31により下流側へと搬送される。分岐爪24は図示しないバネにより図1中の実線の位置に保持されており、図示しないソレノイドをONすることにより、図1中の一点鎖線の位置へと回動する。ソレノイドがOFFで分岐爪24が図1中の実線の位置にあるとき、用紙は上搬送路Bへと導かれる。一方、ソレノイドがONして分岐爪24が図1中の一点鎖線の位置へと回動すると、用紙は中間搬送路Cおよび下搬送路D側へと導かれ、搬送ローラ32によりさらに下流側へと搬送される。
【0017】
また、分岐爪25は、図示しないバネにより図1中の実線の位置に保持されており、図示しないソレノイドをONすることにより、図1中の一点鎖線の位置へと回動する。ソレノイドがOFFで分岐爪25が図1中の実線の位置にあるとき、用紙は下搬送路Dへと導かれる。一方、ソレノイドがONして分岐爪25が図1中の一点鎖線の位置へと回動すると、用紙は中間搬送路Cへと導かれる。
【0018】
上搬送路Bには、プルーフ排紙ローラ7が配置されている。入口搬送路Aから上搬送路Bに導かれた用紙は、プルーフ排紙ローラ7によってプルーフトレイ18に排紙され、プルーフトレイ18上に積載される。
【0019】
中間搬送路Cには、シフトコロ9と放出ローラ15とが順次配置されている。入口搬送路Aから搬送ローラ32およびターンガイド37を経て中間搬送路Cに導かれた用紙は、シフトコロ9の作用により搬送方向に対して垂直な方向に一定量だけ移動し、その状態のまま放出ローラ15により排紙トレイ17に排紙され、排紙トレイ17上に積載される。なお、シフトコロ9が用紙を移動させるタイミングは、入口センサ301による用紙検知情報および用紙のサイズ情報等に基づいて決定される。
【0020】
下搬送路Dには、ステイプルトレイ排紙センサ302が設けられている。このステイプルトレイ排紙センサ302による用紙検知情報は、下搬送路D中の用紙を確認してステイプルトレイ10に用紙を排出し整合動作を行う際のトリガとして用いられる。また、下搬送路Dには、搬送ローラ33,34,35が順次配置されている。入口搬送路Aから搬送ローラ32およびターンガイド37を経て下搬送路Dに導かれた用紙は、搬送ローラ33,34,35によって順次下流側へと搬送され、ステイプルトレイ10上に積載される。ステイプルトレイ10は、複数枚の用紙をスタックして整合する。
【0021】
ステイプルトレイ10上に積載された用紙は、ステイプルトレイ10上でジョガーフェンス12により搬送方向に対して垂直な方向に整合され、搬送方向は叩きコロ8の作用により、用紙突き当て部材である後端フェンス27を基準に整合される。その後、ステイプルトレイ10上で整合された用紙束に対して、ステイプルユニット5による綴じ処理が行われる。ここで、端綴じを行う場合は、ステイプルトレイ10上に積載された状態の用紙束に対して、ステイプルユニット5により綴じ処理が行われる。そして、端綴じされた用紙束は、放出ベルト14に取り付けられた放出爪11により上方に搬送され、放出ローラ15によって排紙トレイ17に排紙され積載される。なお、排紙トレイ17への出口には排紙トレイ17に積載された用紙の紙面高さを検知する紙面検知センサ303が設けられており、排紙トレイ17に積載された用紙の紙面高さに合わせて排紙トレイ17の高さ位置が調整可能とされている。
【0022】
一方、中綴じを行う場合には、束搬送ローラ13a,13bのうちの一方のローラ13bが図1中の実線の位置から一点鎖線の位置へと移動して用紙束に圧力を加えることで、ステイプルトレイ10上で整合された用紙束を束搬送ローラ13a,13bにより挟持して、搬送可能な状態とする。その後、後端フェンス27が退避し、用紙束を未綴じの状態で束搬送ローラ13a,13bにより下方へと搬送する。そして、用紙束の搬送方向における中間位置がステイプルユニット5の綴じ位置に到達したところで、束搬送ローラ13a,13bによる用紙束の搬送が停止し、ステイプルユニット5によって用紙束に綴じ針が打ち込まれる(中綴じ処理)。
【0023】
ステイプルユニット(綴じ手段)5は、綴じ針を打ち出すドライバ部5aと、用紙束に打込まれた綴じ針の先端部を曲げるクリンチャ部5bから構成されている。本実施形態におけるステイプルユニット5では、これらドライバ部5aとクリンチャ部5bとが別体に構成され、ステイプラ移動ガイド6によって用紙束搬送方向に垂直方向へ移動可能となっており、ドライバ部5aとクリンチャ部5bは、図示しない相対的位置決め機構と移動機構を備えている。
【0024】
ステイプルユニット5による中綴じ処理が終了すると、束搬送ローラ26a,26bのうちの一方のローラ26bが図1中の実線の位置から一点鎖線の位置へと移動して用紙束に圧力を加えることで、中綴じされた用紙束を束搬送ローラ26a,26bにより挟持して、搬送可能な状態とする。その後、束搬送ローラ13a,13bのうちの一方のローラ13bが図1中の実線の位置へと移動することで束搬送ローラ13a,13bによる用紙束の挟持が解除され、中綴じされた用紙束が束搬送ローラ26a,26bにより下方へと搬送される。そして、用紙束の搬送方向における中間位置(中綴じ位置)が折り刃19による折り目付け位置に到達したところで、束搬送ローラ26a,26bによる用紙束の搬送が停止し、折り刃19による中綴じ位置への折り目付け処理が行われる。
【0025】
折り刃19は、図2に示すように、先端側が先細り形状とされているとともに基端側に軸が設けられており、この折り刃19の軸の両端が、用紙後処理装置FR内部に固定して設けられた折り刃ガイド121を介して、折り刃移動クランクロッド122に連結されている。また、折り刃移動クランクロッド122は、折り刃クランク軸123の両端の折り刃移動クランク板126およびクランク軸駆動大ギヤ124を介して、折り刃クランク駆動モータ125に連結されている。
【0026】
上記の構成において、折り刃クランク駆動モータ125は、中綴じされた用紙束が束搬送ローラ26a,26bにより折り目付け位置まで搬送されたときに、折り刃移動クランク板126の1周分だけ回転駆動される。折り刃クランク駆動モータ125が回転すると、この折り刃クランク駆動モータ125の回転が折り刃移動クランク板126に伝達されて、折り刃移動クランク板126の回転が折り刃移動クランクロッド122の直線運動に変換される。そして、折り刃移動クランクロッド122が直線運動すると、この折り刃移動クランクロッド122に連結された折り刃19が、折り刃ガイド121によって移動方向を規制されつつ直線運動し、先細り形状の先端側を用紙束の中綴じ位置に突き当てて折り目を付け、その後、用紙束から退避するように駆動される。
【0027】
折り刃19により中綴じ位置に折り目が付けられた用紙束は、中綴じ位置が先頭となるように2つ折りされた状態で、搬送ローラ38によりプレスユニットへと搬送される。
【0028】
プレスユニットは、搬送ローラ38により搬送された用紙束の中綴じ位置を上下一対の折りプレート20a,20bによって挟み込み、この状態で、加圧機構(加圧手段)21により一方の折りプレート20aを他方の折りプレート20b側へと加圧することによって、用紙束に対して折り加工を施すものである。
【0029】
プレスユニットの具体的な一例を図3乃至図5に示す。本実施形態で例示するプレスユニットは、所定の剛性を有する金属板あるいは合成樹脂板などからなる平板状の一対の折りプレート20a,20bを有する。これら一対の折りプレート20a,20bは、図3に示すように、主面部同士を所定の間隔を存して付き合わせるように対向配置されている。これら一対の折りプレート20a,20bのうち、一方の折りプレート20aは加圧機構21に連結され、他方の折りプレート20bは用紙後処理装置FR内部に固定されている。なお、これら一対の折りプレート20a,20bの相対向する主面部には、用紙束Sとの間の摩擦を低減させるための表面処理加工が施されていることが望ましい。
【0030】
折りプレート20aに連結された加圧機構21は、折りプレート移動クランク板134の回転を折りプレート移動クランクロッド135の直線運動に変換し、折りプレート移動クランクロッド135に連結されたプレス軸133aを折りプレートガイド136に沿って折りプレート20a側に下降させる。そして、プレス軸133aの下降によりプレス軸133aに連結された圧縮ばねなどのプレス加圧部材133bに付勢力を作用させて、折りプレート20aを折りプレート20b側に加圧する構成である。
【0031】
折りプレート移動クランク板134は、図4に示すように、折りプレートクランク軸137の両端に設けられ、クランク軸駆動大ギヤ138を介して、折りプレートクランク駆動モータ139に連結されている。また、折りプレートガイド136は、図5に示すように、用紙後処理装置FR内部に固定して設けられた側板151に接合されている。
【0032】
上記の構成において、折りプレートクランク駆動モータ139は、折り刃19により折り目が付けられた用紙束Sが搬送ローラ38によって中綴じ位置が先頭となるように2つ折りされた状態で搬送されて一対の折プレート20a,20bの間に到達したときに、折りプレート移動クランク板134の1周分だけ回転駆動される。折りプレートクランク駆動モータ139が回転すると、この折りプレートクランク駆動モータ139の回転が折りプレート移動クランク板134に伝達されて、折りプレート移動クランク板134の回転が折りプレート移動クランクロッド135の直線運動に変換される。そして、折りプレート移動クランクロッド135が直線運動すると、この折りプレート移動クランクロッド135に連結されたプレス軸133aが、折りプレートガイド136によって移動方向を規制されつつ直線運動する。このプレス軸133aの直線運動により、プレス軸133aに連結されたプレス加圧部材133bが、折りプレート20aを折りプレート20b側へと加圧して、折りプレート20a,20b間に挟み込まれた用紙束Sに折り加工を施し、その後、折りプレート20aを折りプレート20bから離間させるように駆動される。
【0033】
なお、以上の例では、折りプレート移動クランク板134を1周だけ回転させて、プレス加圧部材133bが折りプレート20aを折りプレート20b側へと1回だけ加圧するようにしているが、折りプレート移動クランク板134をさらに回転させることでプレス加圧部材133bによる加圧の回数を増やすことも可能である。例えば、用紙束を構成する用紙の枚数に応じて、枚数が多くなるほど加圧の回数を増やすようにしてもよい。
【0034】
プレスユニットにより折り加工が施された用紙束は、搬送ローラ38により中折り排紙ローラ22まで搬送される。そして、中折り排紙ローラ22によって中折り排紙トレイ23に排紙されて、中折り排紙トレイ23上に積載される。
【0035】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態にかかる用紙後処理装置は、用紙束を中綴じ製本する場合に、ステイプルトレイ10上で整合されてステイプルユニット5により中綴じされた用紙束に対して、折り刃19を作用させることで中綴じ位置に折り目を付け、折り目を付けた中綴じ位置が先頭となるように、用紙束を2つ折りの状態で搬送ローラ38によりプレスユニットまで搬送するようにしている。そして、プレスユニットの一対の折りプレート20a,20bにより用紙束の中綴じ位置を挟み込んだ状態で、加圧機構21が一方の折りプレート20aを他方の折りプレート20b側に加圧することで、中綴じされた用紙束に対して折り加工を施すようにしている。このように、本実施形態にかかる用紙後処理装置FRは、部品として安価な折りプレート20a,20bを用い、これら折りプレート20a,20bにより用紙束を挟み込んで加圧することで用紙束に折り加工を施す構成である。このため、コストアップを招くことなく、また、用紙束に傷や皺を発生させることなく適切に折り加工を施すことができ、仕上がり状態が良好な冊子を排出することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる用紙後処理装置について説明する。本実施形態は、中綴じされた用紙束に対して折り加工を施すプレスユニットの構成が上述した第1の実施形態とは異なるものである。なお、用紙後処理装置のプレスユニット以外の構成は第1の実施形態と共通しているため、以下では、第1の実施形態と共通の部分については同一の符号を付して重複した説明を省略し、本実施形態に特徴的なプレスユニットの構成についてのみ説明する。
【0037】
本実施形態にかかる用紙後処理装置が備えるプレスユニットを図6および図7に示す。本実施形態で例示するプレスユニットは、一方の折りプレート20aを他方の折りプレート20b側に加圧している状態の加圧機構21を用紙束Sの搬送方向に移動させる移動機構(移動手段)200を付加したものである。
【0038】
上述した第1の実施形態で例示したプレスユニットでは、折りプレート移動クランクロッド135にプレス軸133aが連結されていたが、本実施形態で例示するプレスユニットでは、加圧機構21のプレス軸133aが用紙束Sの搬送方向に移動可能に可動支持フレーム201に支持されている。そして、この可動支持フレーム201が、連結軸202を介して折りプレート移動クランクロッド135に連結されている。可動支持フレーム201は、例えば金属板などが折り曲げ加工されてなるものであり、用紙束Sの搬送方向に沿って立ち上げ形成されたフランジ部に、プレス軸133aの移動をガイドするガイドレール203が取り付けられている。
【0039】
可動支持フレーム201に対して移動可能に支持されるプレス軸133aには、第1の実施形態と同様に圧縮ばねなどのプレス加圧部材133bが連結されている。ただし、本実施形態ではさらに、プレス加圧部材133bの先端に、プレスローラ133cが回転自在に取り付けられている。本実施形態の加圧機構21は、この回転自在のプレスローラ133cを折りプレート20aに押しつけることで、折りプレート20aを折りプレート20b側に加圧する構成となっている。なお、プレス軸133aを用紙Sの搬送方向に移動可能に支持する可動フレーム201を上下動させる機構は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0040】
プレス軸133a(つまり、加圧機構21)を用紙束Sの搬送方向に移動させる移動機構200としては、例えば、ラック204とピニオン205による直線移動機構が用いられる。この場合、プレス軸133aの端部をガイドレール203を介してラック204に連結し、ラック204に噛み合うピニオン205にはピニオン駆動モータ206を連結する。これにより、ピニオン駆動モータ206の駆動によるピニオン205の回転をラック204の直線運動に変換し、ラック204に連結されたプレス軸133aをガイドレール203に沿って、用紙束Sの搬送方向に移動させることができる。
【0041】
以上のように構成される本実施形態の加圧機構21では、折り刃19により折り目が付けられた用紙束Sが搬送ローラ38によって中綴じ位置が先頭となるように2つ折りされた状態で搬送されて一対の折プレート20a,20bの間に到達すると、折りプレートクランク駆動モータ139が回転を開始する。そして、折りプレート移動クランク板134の回転が折りプレート移動クランクロッド135の直線運動に変換されて、可動支持フレーム201が折りプレートガイド136に沿って下降する。可動フレーム201が下降すると、可動フレーム201に支持されたプレス軸133aによってプレス加圧部材133bに付勢力が付与され、プレス加圧部材133bの先端に設けられたプレスローラ133cが、折りプレート20aを折りプレート20b側へと加圧する。そして、この状態で、折りプレートクランク駆動モータ139の回転が停止され、プレスローラ133cが折りプレート20aを加圧している状態が維持される。
【0042】
その後、ピニオン駆動モータ206が回転を開始し、ピニオン駆動モータ206の回転がピニオン205に伝達されて、ラック204の直線運動に変換される。そして、ラック204が直線運動すると、このラック204に連結されたプレス軸133aがガイドレール203に沿って用紙束Sの搬送方向に移動する。このプレス軸133aの移動に伴い、プレス軸133aに連結されたプレス加圧部材133bおよびプレスローラ133cが用紙束Sの搬送方向に移動し(図6中の一点鎖線で示す位置)、プレスローラ133cが折りプレート20a上を転動しながら折りプレート20aを加圧する。
【0043】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態にかかる用紙後処理装置は、折りプレート20aを折りプレート20b側に加圧している状態の加圧機構21を用紙束の搬送方向に移動させる移動機構200を備え、加圧機構21のプレスローラ133cが折りプレート20a上を転動しながら折りプレート20aを加圧するようにしているので、用紙束の中綴じ位置に確実に折り加工を施すことができ、冊子の仕上がり状態をさらに良好なものとすることができる。
【0044】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかる用紙後処理装置について説明する。本実施形態は、上述した第2の実施形態の変形例であり、加圧機構21によって加圧される折りプレート20aを用紙束の搬送方向に沿って湾曲した形状とし、加圧機構21が用紙束の搬送方向に移動することに伴って折りプレート20aが揺動するようにしたものである。なお、加圧機構21および移動機構200の構成は第2の実施形態と共通しているため、以下では、第2の実施形態と共通の部分については同一の符号を付して重複した説明を省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
【0045】
本実施形態にかかる用紙後処理装置が備えるプレスユニットを図8に示す。本実施形態で例示するプレスユニットでは、一対の折りプレート20a,20bのうちの一方の折りプレート20aが、用紙束Sの搬送方向に沿って湾曲した形状とされている。具体的には、折りプレート20aは、折りプレート20bに対向する面が凸曲面とされ、折りプレート20bとは逆側の面が凹曲面とされており、この凹曲面上を加圧機構21のプレスローラ133cが転動するようになっている。
【0046】
以上のように湾曲した折りプレート20aが折りプレート20b側に加圧されている状態でプレスローラ133cが用紙束Sの搬送方向に転動すると、折りプレート20aに対するプレスローラ133cの押圧作用点が移動することにより、折りプレート20aが図8中の一点鎖線で示すように揺動する。そして、折りプレート20aがこのように揺動することによって、折りプレート20aと折りプレート20bとの間に挟み込まれた用紙束Sの中綴じ位置に対して、圧力を分散させずに確実に折り加工を施すことができる。
【0047】
以上のように、本実施形態にかかる用紙後処理装置は、用紙束の中綴じ位置を挟み込む一対の折りプレート20a,20bのうちの一方の折りプレート20aを、用紙束の搬送方向に沿って湾曲した形状とし、加圧機構21がこの湾曲した形状の折りプレート20aを揺動させながら他方の折りプレート20b側へと加圧するようにしている。これにより、圧力を分散させることなく用紙束の中綴じ位置に折り加工を施すことができ、冊子の仕上がり状態をさらに良好なものとすることができる。また、折りプレート20aを揺動させながら用紙束に集中的に圧力を加えるものの、用紙束に接触するのは折りプレート20a,20bの面となるため、用紙束に傷や皺などのダメージを生じさせることもない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明は、画像形成装置から排出された複数枚の用紙を中綴じ製本する際に、冊子に膨らみが生じないように中綴じ位置に適切に折り加工を施す技術として有用である。
【符号の説明】
【0049】
5 ステイプルユニット
10 ステイプルトレイ
19 折り刃
20a,20b 折りプレート
21 加圧機構
38 搬送ローラ
200 移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置から排出された用紙を複数枚スタックして整合する整合トレイと、
前記整合トレイで整合された用紙束に対して中綴じ処理を施す綴じ手段と、
前記綴じ手段により中綴じされた前記用紙束の中綴じ位置に折り目をつける折り刃と、
前記折り刃により折り目がつけられた中綴じ位置を先頭として前記用紙束を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された前記用紙束の中綴じ位置を挟み込む一対の折りプレートと、
前記一対の折りプレートの一方を他方側に加圧する加圧手段と、を備えることを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項2】
前記一対の折りプレートの一方を他方側に加圧している状態の前記加圧手段を前記用紙束の搬送方向に移動させる移動手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項3】
前記一対の折りプレートの一方は、他方側に対向する面が前記用紙束の搬送方向に沿って湾曲した形状を有し、
前記加圧手段の移動に伴って前記一対の折りプレートの一方が揺動しながら前記用紙束の中綴じ位置に折り加工を施すことを特徴とする請求項2に記載の用紙後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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