用紙折り装置
【課題】 装置を大型化させることなく、用紙及び用紙束5に確実に折りを形成できる用紙折り装置を提供する。
【解決手段】 ニップ32Nを形成する折りローラ対32と、用紙束5の一方の主面を押し込んで屈曲させ、さらにその屈曲部分51を先頭にしてニップ32Nに押し込む折り板31と、ニップ32Nの用紙進入側においてニップ32Nを覆うよう配置されるシート材33と、を備える。シート材33は、ニップ32Nと対向する中間位置に硬質部33Kを有する。折り板31によりニップに向けて押し込まれる用紙束5は、屈曲部分51がシート材33の硬質部33Kに当接し、そこからさらに折り板31によって押し込まれると、その当接状態を保持したまま硬質部33Kごとニップ32Nに押し込まれ、折りが施される。
【解決手段】 ニップ32Nを形成する折りローラ対32と、用紙束5の一方の主面を押し込んで屈曲させ、さらにその屈曲部分51を先頭にしてニップ32Nに押し込む折り板31と、ニップ32Nの用紙進入側においてニップ32Nを覆うよう配置されるシート材33と、を備える。シート材33は、ニップ32Nと対向する中間位置に硬質部33Kを有する。折り板31によりニップに向けて押し込まれる用紙束5は、屈曲部分51がシート材33の硬質部33Kに当接し、そこからさらに折り板31によって押し込まれると、その当接状態を保持したまま硬質部33Kごとニップ32Nに押し込まれ、折りが施される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に対して折り処理を行う用紙折り装置に関する
【背景技術】
【0002】
用紙に画像を形成して出力する複写機、プリンタ、印刷機等の画像形成装置には、出力される用紙(記録媒体)に対し、中綴じ、中折り等の後処理を行う後処理装置を後段に配置して使用する場合がある(特許文献1)。こうした後処理装置のうち、中折りを施すものについては、例えば次のような中折り機構を備えるものが存在する。即ち、まずは用紙束に対して垂直な方向から折り板を突き当てて屈曲させ、その下流側に位置する折りローラ対のニップにその用紙束の屈曲部分を押し入れて折りローラ対のニップ搬送させることにより中折りし、機外のトレイに排出・積載するという機構である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3824985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記中折り機構による中折り処理においては、用紙枚数や紙厚等によっては十分に折り込めず(折りが甘くなる等)、用紙束の背の部分がふくらんだ状態で機外に排出される場合があり、この場合、仕上がり品質やトレイ上の積載性が低下するという課題が残る。
【0005】
この課題を解決する技術として、例えば、折りローラ対のニップでの折り動作を複数回実施して用紙束のふくらみを軽減するという技術や、中綴じの背の部分をローラによって押しつぶして、背の部分(折り部分)を「コの字状」にするような技術が存在する。しかしながら、前者の技術については実際のところふくらみ軽減の効果が少ないという事実があり、また後者の技術についてはコの字状に折るための機構を設けることで装置の大型化・コストアップが避けられないという問題を生ずる。
【0006】
本発明の課題は、装置を大型化させることなく、用紙及び用紙束に確実に折りを形成できる用紙折り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の用紙折り装置は、
互いに圧接する第一折りローラと第二折りローラとによりニップを形成している折りローラ対と、
所定位置に搬送された用紙又は用紙束の一方の主面に対し直線状に当接する形で押し込んで屈曲させ、さらにその屈曲部分を先頭にしてニップに送り込むよう押込み動作をする折り板と、
ニップの用紙進入側においてニップを覆うよう配置される曲げ変形可能なシート材と、
を備えるとともに、シート材には、ニップと対向する中間位置に残余部よりも硬い所定幅の硬質部が設けられており、折り板による押込み動作によりニップに向けて押し込まれる用紙又は用紙束は、その屈曲部分が当該硬質部に当接し、さらに折り板により押し込まれることで、その当接状態を保持したまま当該硬質部ごとニップに押し込まれ、当該硬質部を先頭にして折りローラ対にてニップ搬送されることを特徴とする。
【0008】
上記本発明の構成によれば、用紙又は用紙束の背となる部分(屈曲頂点部)に硬質の部材を当接させた状態で折りローラ対によりニップ搬送されるため、その部分に折が施されたときには、その背の部分が平坦となる略「コ」の字状の折り形状が形成される。このため、用紙枚数が多い場合や、紙厚が厚い場合であっても、折りが甘くなることがなく、背の部分がふくらんだ状態にはならない。また、硬質部を設けたシート材を用いるだけで「コ」の字形状を形成できるため、機構・装置が大型化する心配もない。
【0009】
また、本発明では、ニップを覆うよう配置されたシート材において中間位置を挟む両端側をそれぞれ第一側及び第二側とすると、用紙又は用紙束は、折り板によりニップに押し込まれる際に、屈曲部分の屈曲頂点部がシート材の硬質部に当接する一方で、その屈曲頂点部を先頭にして後に続く屈曲先端側部分が、シート材における硬質部近傍の第一側と第二側とにより挟まれた略コの字状の収容状態となり、その後さらに折り板によりニップに向けてさらに押し込まれると、当該コの字状収容状態のまま、硬質部を先頭に、折りローラ対にてニップ搬送されるように構成できる。これにより、シート材が、硬質部とその近傍のシート領域とで略「コ」の字の形状を作り、その「コ」の字形状に、用紙又は用紙束の屈曲部分が収容された状態で、ニップ搬送により折りが形成される。これにより、「コ」の字状の折り形状を形成することができる。
【0010】
本発明の硬質部は、折り板による屈曲前の用紙又は用紙束の主面に対し平行な硬質面を有し、該硬質面に対し用紙又は用紙束の屈曲頂点部が垂直に突き当たり、当該屈曲頂点部が略コの字状に折り込まれるものとすることができる。これにより、用紙又は用紙束の背となる部分(屈曲頂点部)が硬質面と面接触するため、きれいな平坦面を形成できるため、略「コ」の字状のきれいな折り形状を形成できる。
【0011】
本発明の硬質面には、屈曲頂点部が突き当たる直線状の領域に溝が形成されていてもよい。これにより、用紙又は用紙束の屈曲頂点部が、シート材の硬質部と確実に重なった状態で折りローラ対のニップに搬送することができる。また、用紙又は用紙束の屈曲頂点部がステープル処理されている場合には、そのステープル部分のわずかな突起を溝が捉えることができるので、用紙又は用紙束のステープル部分(屈曲頂点部)が、シート材の硬質部とずれずに確実に重なった状態で折りローラ対のニップに搬送することができる。
【0012】
上記本発明の硬質部は、直方体状部材としてシート材上の中間位置に固定設置することができる。これにより、シート材上に直方体状の硬質な別部材を接着固定するだけで、シート材上に簡易に硬質部を設けることができる。また、この場合、少なくとも、屈曲頂点部が突き当たる側とは逆側の面と、それに隣接する第一折りローラ側及び第二折りローラ側の面との境界となる辺(エッジ部分)にアールを形成してもよい。折りローラ対のニップにシート材上の直方体状の硬質部が当接する場合、最初に接触するのは、直方体状の硬質部のエッジ部分(「角」の部分)になるため、この硬質部のエッジ部が、折りローラ対の各ローラと接触し、ローラが削れやすい。そもそもニップを形成するためのローラは、一般的にゴム材等の比較的柔らかい削られやすい材質であることが多いため、こうした劣化を防ぐために、上記のようなアールを形成しておくことは有効である。なお、直方体状の硬質部のエッジ部分に対し選択的に、もしくはすべてにアールを形成してもよい。
【0013】
上記本発明のシート材は、第一折りローラの外周面に一方の端部を固定し、他方の端部を非固定とすることができる。この場合、シート材は、2以上の締結部材により、第一折りローラの外周面に一方の端部を固定することができるため、比較的容易に固定することができる。
【0014】
また、上記本発明のシート材は、第一折りローラと第二折りローラとは、重力方向において該第一折りローラが上に位置する形で互いが圧接するように配置されるように構成できる。この場合、シート材の他方の端部が該シート材の自重によって第二折りローラ側に延出した状態となることが可能となる。これにより、シート材の中間位置がニップに対向する回転開始状態を、第一折りローラからシート材を第二折りローラに向けて垂らすだけで容易に形成できる。
【0015】
上記本発明において、折りローラ対のニップ搬送により折りが施された用紙又は用紙束は、全体が折りローラ対に対しニップ搬送方向側に送り出されるとともに、シート材全体も、折りローラ対によりニップ搬送されて当該ニップ搬送方向側に送り出されるように構成できる。この構成によれば、用紙又は用紙束全体がニップを確実に通過することになるので、全体をきれいに折ることができる。
【0016】
上記本発明において、少なくとも第一折りローラは、折り板による押込み動作によりニップに向けて用紙又は用紙束が押し込まれる際に、シート材の固定位置がニップに接近する方向に向かう回転駆動状態となっているように構成できる。これにより、回転駆動力によりニップ搬送がなされるので、やや幅広の硬質部ごとニップ搬送する場合でも確実に搬送することができ、用紙又は用紙束に「コ」の字状の折りを確実に形成できる。
【0017】
上記本発明において、シート材は、第一折りローラの外周面に一方の端部が固定され、他方の端部が非固定とされ、なおかつ用紙又は用紙束とシート材とが、折りローラ対に対しニップ搬送方向側に送り出される構成を有する場合、折りローラ対のうち少なくとも第一折りローラを回転駆動する折りローラ駆動手段と、ローラ駆動手段の駆動制御を司る折りローラ駆動制御手段と、を備えて構成することができる。そして、第一折りローラには、自身の周方向(回転方向)における回転開始角度位置として、シート材の硬質部がニップに対向した回転開始状態となる所定の回転角度位置を定め、折りローラ駆動制御手段が、用紙束が折りローラ対に対し当該ニップ搬送方向側に送り出される前に、シート材が回転開始状態となるよう第一折りローラを回転開始角度位置に到達させる駆動制御を、折りローラ駆動手段に対し実行するように構成できる。第一折りローラの外周面にシート材を固定する構成では、折り処理を繰り返すためには初期位置(回転開始角度位置)への復帰するための回転駆動が必須となり、その駆動を駆動手段に実行させることで、繰り返しの折り処理がスムーズに実行できる。
【0018】
また、この場合、第一折りローラには、自身の周方向(回転方向)における回転停止角度位置として、シート材が硬質部ごと折りローラ対によりニップ搬送されてニップ搬送方向側に送り出された状態となる所定の回転角度位置が定められており、ローラ駆動制御手段は、第一折りローラが回転停止角度位置に到達するに伴い、第一折りローラをニップ搬送時とは逆に回転駆動させ、回転開始角度位置に復帰するよう折りローラ駆動手段を駆動させるものとできる。この構成によれば、回転完了後の逆回転により初期位置(回転開始角度位置)に復帰する構成となる。第一折りローラの外周面にシート材の一端のみが固定されている場合、一回転させて初期位置に復帰させようとすると、シート材が遠心力で大きく回転する等、シート材の挙動が大きくなる傾向があり、他の機構と干渉する恐れがあるが、逆回転とすることで、シート材はニップを通過して初期位置に戻るのみであるから、シート材の挙動はそれほど大きくならず、安定する。
【0019】
本発明においては、用紙又は用紙束の厚みを反映した厚み反映情報を取得する厚み反映情報取得手段を備えて構成できる。この場合、第一折りローラに、その外周面の周方向の異なる位置に、各硬質部の所定幅が互いに異なる複数のシート材を固定し、それら各シート材ごとに回転角度位置が定めた上で、折ローラ駆動制御手段が、取得した厚み反映情報に基づいて、対応する硬質部を有したシート材を選択し、選択されたシート材が回転開始状態となるよう第一折りローラを、対応する回転開始角度位置に到達させる駆動制御を、折りローラ駆動手段に対し実行するように構成できる。用紙又は用紙束の厚みは毎回同じとは限らないため、上記構成によれば、用紙の折り処理に際し、厚みに応じた最適な「コ」の字形状を作るシート材が使用されるため、用紙束の厚みがどのような厚みであっても、きれいな折りを形成できる。
【0020】
また、本発明において、用紙又は用紙束は、複数の用紙からなる用紙束であると、折り処理に関するふくらみ軽減効果をより大きな効果として得ることができる。
【0021】
また、本発明における用紙束は、その中央部がステープルで直線的に綴じられたものとすることができ、折り板は、ステープルの綴じ位置に対して当接し、ニップ搬送によりその綴じ位置にて用紙束に折りが形成されるものとできる。金属等のような紙面よりも硬いステープルを用紙又は用紙束の屈曲頂点部として、シート材の硬質部に当接させてニップに送り込む構成であれば、ステープルそのものが屈曲の起点になり、より正確な位置で用紙又は用紙束に折りを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の用紙折り装置としての構成を備える画像形成システムの外観図。
【図2】図1の画像形成システムにおける用紙後処理装置の内部構成を簡略的に示す図。
【図3】図2の用紙後処理装置における折りローラ対を簡略的に示した斜視図。
【図4】図3の折ローラ対に固定されたシート材の正面図と側面図。
【図5】図1の画像形成システムの構成を簡略的に示すブロック図。
【図6】図2の用紙後処理装置における折り処理の流れを示す図。
【図7】シート材の回転開始状態を示す図。
【図8】ニップ搬送時の状態を示す図。
【図9】図3の実施形態とは異なる本発明のシート材を示す図。
【図10】図3及び図9とは異なる本発明のシート材を示す図。
【図11】図3、図9及び図10とは異なる本発明のシート材を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明の用紙折り装置としての構成を備える画像形成システムの外観図である。図1に示す画像形成システム1は、用紙に対して画像を形成する画像形成装置100と、用紙折り装置として機能する用紙後処理装置200とを備えて構成されている。本実施形態の用紙後処理装置200は画像形成装置100とは別体に設けられ、図1に示すように、ここでは画像形成装置100の側部に取り付けられている。なお、用紙後処理装置200は、画像形成装置100とが一体に設けられるものでもよい。本発明の用紙折り装置は、少なくとも用紙折り装置としての機能部を備える装置ないしはシステムであればよく、必ずしも画像形成装置と共に使用されるものでなくともよい。
【0025】
本実施形態の用紙後処理装置200は、内部を搬送される用紙5ないしは用紙束5に対して、中折り(折り板31、折りローラ対32)の他に、穴明け(パンチユニット21)、用紙揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス24、端面綴じステープラ22)、用紙揃え+中綴じ(ジョガーフェンス24、中綴じステープラ23)、用紙の仕分け(シフトトレイ200C)、等の各処理を行うことが可能であるが、本発明においては、これら以外の処理が可能であってもよいし、中折りを除く他の処理が省略されていてもよい。
【0026】
図2は、図1の画像形成システム1における用紙後処理装置200の内部構成を簡略的に示す図である。図1の画像形成装置100は用紙5に対して可視画像を形成し、画像形成済みの用紙5を搬出口(図示なし)から排出する。排出された用紙5は、図2の用紙後処理装置200の搬入口201に導かれる。用紙後処理装置200は、搬入口201に導かれた用紙1枚ずつに所定の後処理を施す後処理手段21を備えた搬送路Aを通過する。
【0027】
搬送路Aには、上流側から順に、画像形成装置100から受け入れた用紙5を検出する入口センサ(図示なし)、搬入口201から進入した用紙5を受け止めて下流に導く入口ローラ212、後処理手段21としてのパンチユニット(穿孔手段)21、パンチかすホッパ(図示なし)、搬送ローラ213、分岐爪202及び分岐爪203が順次配置されており、必要に応じて穴明け処理が実行される。即ち、用紙後処理装置200の制御装置20が、受け入れた用紙5に対する穴明け指令を画像形成装置100の制御装置10から通信取得した場合に、穴明け処理を実行する。
【0028】
搬送路Aを通過した用紙5は、分岐爪(プルーフ分岐爪)202及び分岐爪(ステープル分岐爪)203によって下流に位置する異なる搬送路B,C,Dのいずれかへと振り分けられる。ここでの分岐爪202及び分岐爪203は、図示しないソレノイド等の分岐爪駆動手段により各々が回動駆動し、これにより、上トレイ(プルーフトレイ)200Bへ導く搬送路B、シフトトレイ200Cへ導く搬送路C及び整合及びステープル綴じ等を行うステープルトレイ200Fへ導く搬送路Dのいずれかに用紙5が振り分けられるよう、それぞれのポジションが切り替わる。
【0029】
搬送路B及び上トレイ(プルーフトレイ)200Bへ導く搬送機構、搬送路C及びシフトトレイ200Cへ導く搬送機構、さらにはシフトトレイ200Cの昇降機構等については、いずれも周知の構成を採用しているため説明を略する。
【0030】
搬送路Dには、分岐爪(プレスタック分岐爪)203が配置され、図示しない付勢手段(バネ等)により図の状態に保持されている。そして、搬送される用紙5の後端が分岐爪204を通過した後、搬送ローラ214,215、ステープル排紙ローラ217のうち少なくとも搬送ローラ214を逆転させ、さらにプレスタックローラ216を逆転させることで、その用紙後端を用紙収容部(プレスタックトレイ)200Eへと導いて滞留させることができる。これにより、次の用紙5が搬送されてきた際、少なくとも搬送ローラ214及びプレスタックローラ216を正転させれば、前用紙を次用紙とを重ね合せた状態で、搬送路Dの下流へと搬送することが可能な構成となっている。この動作を繰り返すことによって2枚以上の用紙を重ね合せた用紙束5の状態で、搬送路Dの下流へと搬送できる。
【0031】
搬送路Dを経てステープルトレイ200Fへ導かれた用紙5又は用紙束5は、そこで必要に応じて整合やステープル等を施された後、偏向手段である分岐ガイド板205と可動ガイド206によって、シフトトレイ200Cへ導く搬送路Cと、折り等を施す中折りトレイ200Gとのいずれかへ振り分けられる。
【0032】
ステープルトレイ200Fには、ステープル排紙ローラ217によって搬送路Dから導かれた用紙5又は用紙束5が順次積載される。ここではまず、搬送された用紙5ごとに用紙整合手段である叩きコロ218を駆動して縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、同じく用紙整合手段であるジョガーフェンス24によって横方向(用紙搬送方向と直交する方向、すなわち用紙幅方向)の整合が行われる。
【0033】
叩きコロ218は、所定の支点を中心に振り子運動するよう駆動手段(例えばソレノイド)により駆動される。これにより、ステープルトレイ200Fへ送り込まれた用紙に対し間欠的に作用して後端フェンス219に突き当てる。なお、叩きコロ218そのものは反時計回りに回転駆動する。
【0034】
ジョガーフェンス24は、駆動手段をなす正逆転可能なモータにより駆動され、用紙幅方向に往復移動することが可能である。具体的に言えば、ジョガーフェンス24は、用紙5又は用紙束5に対し用紙幅方向の両側から挟み込む形で当接するよう駆動して、当該用紙5又は用紙束5の用紙幅方向の両端部をそろえる。
【0035】
その上で、用紙後処理装置200の制御装置20が必要に応じて各種綴じ手段(ステープラ)に対し綴じ処理を実行させる。具体的に言えば、用紙後処理装置200の制御装置20が、画像形成装置100の制御装置10から、搬送されてきた用紙5又は用紙束5に対する綴じ指令を通信取得した場合、ジョブの切れ目(すなわち用紙束5の最終紙から次の用紙束5の先頭紙までの間)が到来するに伴い、通信取得した綴じ指令に対応するステープラ22,23を駆動する駆動信号を出力し、対応するステープラ22,23に綴じ処理を実行させる。
【0036】
端面綴じステープラ22は、駆動手段をなす正逆転可能なモータにより駆動され、用紙端部の所定位置を綴じるために用紙幅方向に移動し、制御装置20が指令する所定の端面綴じ位置にて、端面綴じ処理を実行する。端面綴じ処理が行われた用紙束5は、放出ベルト25に突設された放出爪(図示なし)により、用紙後端位置が支持された形でシフト排紙ローラ208へと送られ、受取り位置にセットされているシフトトレイ205に排出される。
【0037】
中綴じステープラ23は、整合後の用紙束5が、搬送方向における予め定められた中綴じ綴じ位置に用紙束5の搬送方向中央部が位置に達した際に、綴じ動作を実行する。ここでは、叩きコロ218やジョガーフェンス24による用紙整合がなされた後に放出ベルト25が駆動すると、ベルト25に設けられた放出爪(図示なし)により、用紙後端部を持ち上げる形で用紙束5が搬送される。そして、予め定められた中綴じ綴じ位置に用紙束5の搬送方向中央部が位置すると、放出ベルト25はその位置で停止する。この状態で、中綴じステープラ23が綴じ動作を実行する。綴じられた用紙束5は、中折りトレイ200G側に搬送される。
【0038】
ステープルトレイ200Fの搬送方向最下流側には用紙束偏向手段が設けられ、中折りトレイ211側に用紙5又は用紙束5を搬送可能である。ここでの用紙束偏向手段は公知のものであり、ここでは分岐ガイド板205と可動ガイド206とを有してなる。具体的に言えば、分岐ガイド板205及び可動ガイド206がステープルトレイ200Fの放出ローラ207の外周面に近接して設けられ、放出ローラ207の外周面との間に用紙搬送路を形成する。ただし、これら分岐ガイド板205及び可動ガイド206は、両者の間に所定幅の開放口が形成されるよう互いが離間した離間ポジションと、その開放口が塞がれるよう双方が近接した近接ポジションとの双方がとれるように駆動可能であり、開放状態においては、放出ローラ207に達した用紙5又は用紙束5が上記開放口を通過して上方のシフトトレイ200B(シフト排紙ローラ208)へと向かう経路が形成される一方、近接状態においては、放出ローラ207に達した用紙5又は用紙束5がステープルトレイ200Fの上端位置から下方の中折りトレイ200Gへと向かう経路が形成される。
【0039】
中折りトレイ200Gでは、図2及び図3に示すように、互いに圧接する第一折りローラ32Aと第二折りローラ32Bとによりニップ32Nを形成している折りローラ対32と、用紙5又は用紙束5の一方の主面に対し直線状に当接する形で押し込んで屈曲させ、さらにその屈曲部分50を先頭にしてニップ32Nに送り込むよう押込み動作をする折り板31と、を有した折り機構によって中折り処理が実行される。中折りトレイ200Gで折りを施された用紙5又は用紙束5は、搬送ローラ210を通過する形で、搬送路Hを通って下トレイ(中綴じトレイ)200Hへと導かれる。
【0040】
なお、本実施形態においては、中折りについては複数枚の用紙からなる用紙束5を折ることを前提にしているが、本発明においては1枚の用紙を折る場合にも適用できる。この場合、用紙1枚であれば中綴じが不要なので、1枚排紙された時点で中折りトレイ200G側に送り込み、折り板31と折りローラ対32とによって折り処理が実行される。
【0041】
折り板31は、折り板駆動手段及び折り板駆動機構によって直線往復動作するプレート状部材として構成され、当該直線往復動の途中で用紙5又は用紙束5の主面に対し、搬送方向中央位置にて用紙厚さ方向に突き当たるものである。具体的に言えば、折り板31は、中折りトレイ200Gの用紙束収容領域から完全に退避した退避ポジションと、中折りトレイ200Gの用紙束収容領域に突出して用紙5又は用紙束5の主面に対し垂直に突き当たって屈曲させた上でその屈曲部分50の先端(屈曲頂点部)51を折りローラ対32のニップ32Nに押し込ませる押込ポジションX1との間を直線的に往復動作する。ここでの折り板駆動手段はモータ31Mであり、折り板駆動機構としては例えば回転運動を直線運動に変換するリンク機構やギア等の周知の機構を用いることができる。
【0042】
折りローラ対32をなす第一折りローラ32Aと第二折りローラ32Bは、それぞれの軸線が平行をなす形で配置されるとともに、互いが圧接した状態となるよう付勢手段(ばね等:図示なし)により互いを接近させる方向に付勢されている。これにより、それら折りローラ32A,32Bが形成するニップ32N間に圧力が付与される。また、第一折りローラ32Aと第二折りローラ32Bは、それぞれが折りローラ駆動手段及び折りローラ対駆動機構によって回転駆動することにより、用紙5又は用紙束5のニップ搬送をアシストする。折りローラ駆動手段はモータ32Mであり、折りローラ対駆動機構としては例えばモータ出力軸と歯合するギアやタイミングベルト等の周知の機構を用いることができる。
【0043】
なお、中折りトレイ200Gでの用紙搬送方向は重力方向(図2及び図3の下方向)であり、束搬送ガイド板35,35にガイドされる形で用紙5又は用紙束5の先端を下方に向けて搬送される。下方へ搬送された用紙5又は用紙束5は、用紙搬送方向の先端を可動式の先端ストッパ(停止部材)209に当接させることで停止するとともに、当接によって先端が揃った状態で保持される。中折りトレイ200Gにおけるこの保持領域が用紙束収容領域である。なお、先端ストッパ209による用紙5又は用紙束5の停止位置は、保持されている用紙5又は用紙束5の搬送方向中央位置に折り板31が突き当たるよう、用紙サイズに応じた位置が制御装置20にて定められている。
【0044】
また、本実施形態の折り機構では、折りローラ対32のニップ32Nの用紙進入側(すなわち用紙束収容領域側)においてニップを覆うように曲げ変形可能(折り曲げ可能)なシート材33が配置されている。そして、シート材33には、ニップ32Nと対向する中間位置に残余部33A,33Bよりも硬い硬質部33Kが設けられている。
【0045】
本実施形態のシート材33は、図3及び図4に示すように、第一側の端部33A1が第一折りローラ32Aの外周面32aに固定され、その逆側の第二側の端部32B1が、ニップ32Nを形成する他方の第二折りローラ32B側に向けて延出し、その延出方向における中間位置に所定幅(当該延出方向における幅)を有する硬質部33Kが設けられ、ニップ32Nと対向するようになっている。つまり、シート材33の第一側(第一折りローラ32A側)の端部33A1が第一折りローラ32Aに固定されるが、第二側(第二折りローラ32B側)の端部33B1が非固定となるため、シート材33は、第一折りローラ32Aの回転に伴い第二側の端部が振り回される形で回転動作可能となっている。
【0046】
また、本実施形態のシート材33は短冊状をなしており、その長辺をなす一方の端部(第一側の端部)33A1が、各折りローラ32A,32Bの回転軸と平行をなす形で、折りローラ32Aの外周面に対し固定される。一方で、硬質部33Kも、各折りローラ32A,32Bの回転軸と平行をなす形でシート材33の短辺長さ方向における中間位置に設けられている。ここでの硬質部33Kは、シート材の折りローラ対32(ニップ32N)側の主面に面接触する形で固定設置された直方体状部材であり,その固定設置面が折り板31に突き当てられる側の面となる。
【0047】
また、本実施形態では、折りローラ32Aと折りローラ32Bとが重力方向において折りローラ32Aの方が上に位置する形で配置されており、上に位置する折りローラ43Aにシート材33が固定されている。このため、シート材33は、図7に示すように、自重により直下に垂れ下がる形で、他方の折りローラ32B側へと延出するように配置されている。なお、本実施形態のシート材33は、図3及び図4に示すように、2以上の締結部材(ここでは長辺両端側の2個のねじ)によって折りローラ32Aの外周面32aに安定的に締結固定されている。
【0048】
図5は、本実施形態の画像形成システム1の電気的構成を簡略的に示すブロック図である。本実施形態の画像形成システム1は、画像形成装置100と用紙後処理装置200とが通信手段(インターフェース:図示なし)を介して互いに通信可能に接続されている。後処理に係る各種の指令情報は、画像形成装置100での画像形成処理の実行に際して入力された入力情報に基づいて作成されるものであり、その制御装置10から用紙後処理装置200の制御装置20へと送信される。制御装置20は、用紙後処理装置200の制御装置20には、各搬送路上の各種検出手段が接続し、さらには搬送経路上の各種分岐爪や各種搬送ローラ、各種機構・ユニット等の各種駆動手段等も接続しており、画像形成装置100側から受信した後処理指令情報に基づいて、それらの駆動手段に対し適宜駆動指令情報を出力し、駆動させる。上述した折り機構の駆動手段31M,32Mも、制御装置20からの駆動指令情報に基づいて駆動する。
【0049】
以下、本実施形態の折り機構による折り処理の処理手順を説明する。
【0050】
本実施形態の折り処理は、図6に示すように、まずは折り板31が、中折りトレイ200Gの所定位置に搬送された用紙5又は用紙束5の一方の主面に対し直線状に当接する形で押し込んで屈曲させ、さらにその屈曲部分50を先頭にして折りローラ対32のニップ32Nに送り込む(押込み動作)。その途中で、用紙5又は用紙束5の上記屈曲部分50がシート材33に設けられた硬質部33Kに当接する。そして、さらに折り板31により押し込まれていくと、その当接状態を保持したまま、、当該硬質部33Kを先頭にして、当該硬質部ごとニップ32Nへと押し込まれ、折りローラ対32にてニップ搬送される。
【0051】
具体的に言えば、まずは制御装置20が、画像形成装置の制御装置10から送信される用紙情報(用紙サイズ情報)に基づいて、先端ストッパ209の停止位置を特定し、特定された停止位置となるよう先端ストッパ209の駆動部を駆動させる。これにより、搬送されてきた用紙5又は用紙束5の搬送方向中間位置と、折りローラ対32のニップ32Nと、折り板31の進退方向とが用紙厚み方向に一直線上に並んだ状態となる(図6(A))。なお、本実施形態においては、中折りトレイ200Gに搬送されてきた用紙5又は用紙束5の上記搬送方向中間位置はステープルで綴じられているが、本発明においては、用紙5又は用紙束5の上記搬送方向中間位置に必ずしもステープルにより綴じられていなくともよい。
【0052】
次に、制御装置20は、折り板駆動手段であるモータ31Mを駆動し、折り板31を、折りローラ対32のニップ32Nに向けて直線的に動作させる。モータ31Mが駆動すると、折り板31は、中折りトレイ200Gに向けて直下方向に搬送されてくる用紙5又は用紙束5の移動を遮ることのないよう、用紙束収容領域から完全に退避している退避ポジションから、用紙5又は用紙束5の主面に対し垂直に突き当たって屈曲させてその屈曲部分50の先端(屈曲頂点部)51を折りローラ対32のニップ32Nに押し込ませる押込ポジションX1へと水平移動(押込み動作)を開始する。
【0053】
上記折り板31が水平移動を開始して押込ポジションX1へと近づくと、まずは、所定位置に搬送された用紙5又は用紙束5の一方の主面に対し直線状に当接し、さらにこれを押し込むことで、用紙5又は用紙束5を直線状の当接位置にて屈曲させる(図6(B))。ここでは、用紙束5の搬送方向中央位置(ステープル部)に当接する。
【0054】
折り板31の水平移動がさらに進むと今度は、屈曲した用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51がシート材33の硬質部33Kに突き当たり、シート材33を、その硬質部33Kを中心に屈曲させる形でニップ32Nに向けて押し込む。ただし、少なくともそれ以前に、シート材33の中央に位置する硬質部33Kを、折り板31の水平移動軌跡に重なる初期位置に保持しておく必要がある。
【0055】
本実施形態の硬質部33Kは直方体状部材としてシート材33上の上記中間位置に固定設置されているから、その固定設置面が折り板31に突き当てられる側の面33kである。この面33kは、折り板31による屈曲前の用紙5又は用紙束5の主面に対し平行な平坦面である。上記初期位置は、この硬質部33Kの面33kに対し、用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51が垂直に突き当たる位置と定められている。ここでは、制御装置20が、シート材33の上記初期位置となる第一折りローラ32Aの回転角度位置を回転開始角度位置Y1として所定記憶部に予め記憶しており、その回転角度位置Y1にて折りローラ32Aを待機させている。
【0056】
上記初期位置にあるシート材33の上記面(硬質面)33kに対し用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51が垂直に突き当たると、用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51は、硬質部33Kもろとも(即ちシート材33もろとも)、ニップ32Nに向けて押し込む(図6(C))。このとき、シート材33は、硬質部33Kがニップ32Nに向けて押し込まれるに従い、折りローラ32Aとの固定端部33A1を起点に、折りローラ32A側のシート領域(柔軟性のある領域)が折りローラ32Aの外周面32aに接近していく形で撓み変形していく。折りローラ32B側のシート領域(柔軟性のある領域)も同様に、端部33B2を折りローラ32Bの外周面32bに当接させつつ、残余部分が折りローラ32Bの外周面32bに接近していく形で撓み変形していく。
【0057】
折り板31が所定の押込ポジションX1に到達すると、その先端の一部が折りローラ対32のニップ32Nに押し込まれた状態となる。このとき、この折り板31によって押し込まれたシート材33の硬質部33K並びに用紙5又は用紙束5の屈曲部分50の先端51も、ニップ32Nに押し込まれた状態となる。
【0058】
また、このときのシート材33は、図8に示すように、折りローラ32A側のシート領域における少なくとも硬質部33Kの近傍(ここでは折りローラ32A側のシート領域全体)が、折りローラ32Aの外周面32aに密着し、なおかつ他方の折りローラ32B側のシート領域における少なくとも硬質部33Kの近傍(ここでは折りローラ32B側のシート領域全体)も、ここでは折りローラ32Bの外周面32bに密着した状態となる。即ち、用紙5又は用紙束5は、折り板31に押し込まれてニップ32Nに送り込まれる際に、屈曲部分50の屈曲頂点部51がシート材33の硬質部33Kに当接し、なおかつ屈曲頂点部51を先頭にして後に続く屈曲先端側部分52が、シート材33における硬質部33Kの近傍の第一側(折りローラ32A側)と第二側(折りローラ32B側)とに挟まれることにより、シート材33によって略コの字状に収容されたコの字状の収容状態となっている。なお、このニップ搬送時における硬質部33Kは、硬質面33kの第一側(初期位置における折りローラ32A側)および第二側(初期位置における折りローラ側32B)で隣接する双方の面33a、33bが、折りローラ32A,32Bによって押圧された状態となっている。
【0059】
そして、折り板31が押込ポジションX1に到達するに伴い、制御装置20により折りローラ駆動手段をなすモータ32Mが駆動を開始する。具体的に言えば、双方の折りローラ32A,32Bが図6(C)の矢印方向に回転駆動する。これら折りローラ32A,32Bの回転駆動力により、ニップ32Nに押し込まれた用紙5又は用紙束5は、上記コの字状収容状態を保持したまま、硬質部33Kを先頭にして、シート材33ごと、折りローラ対32にてニップ搬送される。これにより、用紙5又は用紙束5の屈曲部分50に略コの字状の形状の折りが形成される。なお、第一折りローラ32Aのみを回転駆動して、第二折りローラ32Bをそれに従動させるよう構成してもよい。
【0060】
なお、制御装置20は、折り板31が押込ポジションX1に到達するに伴い、折り板駆動手段であるモータ31Mを逆回転駆動して(図6(D))、折り板31を折りローラ対32のニップ32Nから水平方向に直線的に離間させ、元の退避ポジションX0に戻す。待機ポジションZ0には、例えばポジションセンサ31S(ホームセンサ)31Sを設けておき、制御装置20は、その待機ポジションからの回転駆動を開始して所定時間が経過した場合に押込ポジションX1に到達したと判定して,逆回転を開始させる一方で、逆回転後、該ポジションセンサ31Sの検知に基づいて折り板31が待機ポジションに到達したと判定した場合に、折り板駆動手段であるモータ31Mの逆回転を停止させる。
【0061】
折りが施された用紙5又は用紙束5は、全体が折りローラ対32に対しニップ搬送方向側に送り出され、折りローラ対32のニップ搬送方向側に排出される(図6(D))。そして、中折りトレイ200Gへと搬送される。
【0062】
このとき、シート材33全体も、硬質部33Kごと折りローラ対32によりニップ搬送されて当該ニップ搬送方向側に送り出され、折りローラ対32のニップ搬送方向側に排出される(図6(D))。制御装置20は、折りローラ32Aの回転方向における回転停止角度位置Y2として、シート材33の排出完了する所定の回転角度位置を予め記憶しており、制御装置20は、折りローラ32Aが回転停止角度位置Y2に到達するに伴い、折りローラ32Aをニップ搬送時とは逆に回転駆動させ、先の回転開始角度位置Y1にて、シート材33が初期状態となって復帰するよう折りローラ駆動手段をなすモータ32Mを駆動させる。即ち、シート材33は、再び先のニップ搬送方向とは逆方向にニップ搬送される。その際、シート材33の第一側の端部33A1のみが引っ張られ、ニップ32Nに送り込まれるため、シート材33の第一側、硬質部33K、第二側の順でニップ32Nに送り込まれる。先のニップ搬送では、硬質部33Kにおいて、硬質面33kの第一側(初期位置における折りローラ32A側)および第二側(初期位置における折りローラ側32B)で隣接する双方の面33a、33bが、折りローラ32A,32Bによって押圧された状態となったが、今度は硬質面33kとその裏面33hが折りローラ32A,32Bによって押圧される形でニップ搬送される。このため、硬質面33kにてコの字形状が形成されることはない。
【0063】
この逆回転は、制御装置20によって所定の回転開始角度位置を一端越え、制御装置20が予め記憶する所定の折り返し角度位置Y3に達するまで継続する。これにより、シート材33Kの第二側の端部33B1が完全にニップ32Nから排出される(図6(F))。その上で、再び順方向に回転を始めて所定の回転開始角度位置Y1に戻り、待機状態となる(図7(G))。これにより、本実施形態の第一折りローラ32Aの待機状態では、シート材33の硬質部33Kがニップ32Nに対向し、固定端部33A1側とは逆側の端部33B1側が第二折りローラ対32B側へと直線的に下方に垂れ下がった上記初期状態(回転開始状態:図6(A))となる。
【0064】
なお、本実施形態においては、第一折りローラ32Aの回転角度を取得する回転角度検出手段として回転角センサ(ロータリーエンコーダ等)32Sが設けられており、制御装置20は、回転開始角度位置Y1を基準として算出される回転角度変位に基づいて、回転停止角度位置Y2並びに折り返し角度位置Y3への到達を検出する。
【0065】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0066】
例えば、上記実施形態の硬質面33kに、用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51が突き当たる直線状の領域に溝33Vが形成されていてもよい。これにより、用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51が、シート材33の硬質部33Kと確実に重なった状態で折りローラ対32のニップ32Nに搬送することができる。また、用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51がステープル処理されている場合には、そのステープル部分のわずかな突起を溝が捉えることができるので、用紙5又は用紙束5のステープル部分(屈曲頂点部51)が、シート材33の硬質部33Kとずれずに確実に重なった状態で折りローラ対32のニップ32Nに搬送することができる。
【0067】
上記実施形態の硬質部33Kは、直方体状部材としてシート材33上の中間位置に固定設置されるが、この場合に、少なくとも、屈曲頂点部51が突き当たる側とは逆側の面と、それに隣接する第一折りローラ側及び第二折りローラ側の面(ニップ搬送時の押圧面)33a,33bとの境界となる辺(エッジ部分)にアール33Rを形成してもよい。折りローラ対32のニップ32Nにシート材33上の直方体状の硬質部33Kが当接する場合、最初に接触するのは、直方体状の硬質部33Kのエッジ部分(「角」の部分)になるため、この硬質部33Kのエッジ部が、折りローラ対32の各ローラ32A,32Bと接触し、ローラ外周面が削れやすい。本実施形態のニップ32Nを形成する折りローラ32A,32Bは、ゴム材等の比較的柔らかい削られやすい材質であるため、こうした劣化を防ぐために、上記のようなアール33Rを形成しておくことは有効である。なお、直方体状の硬質部33Kのエッジ部分のすべてにアール33Rを形成してもよい。
【0068】
また、上記の用紙後処理装置において、制御装置20が、画像形成装置100の制御装置10にて入力される用紙枚数情報を、用紙又は用紙束の厚みを反映した厚み反映情報として通信取得する厚み反映情報取得手段を備えて構成できる。この場合、図11に示すように、第一折りローラ32Aにおいて、その外周面の周方向の異なる位置に、各硬質部33Kの所定幅が互いに異なる複数のシート材331,332,333を固定し、それら各シート材331,332,333ごとに、上述した回転角度位置を定めた上で、制御装置20が、制御装置10から取得した前記厚み反映情報に基づいて、対応する幅を有する硬質部33Kを有したシート材33を選択し、選択されたシート材33が上述のような回転開始状態となるよう第一折りローラ32Aを、選択されたシート材33に対応する回転開始角度位置に到達させる駆動制御を、折りローラ駆動手段をなすモータ31Mに対し実行するように構成してもよい。用紙又は用紙束の厚みは毎回同じとは限らないため、上記構成によれば、用紙の折り処理に際し、厚みに応じた最適な「コ」の字形状を作るシート材が使用されるため、用紙束の厚みがどのような厚みであっても、きれいな折りを形成できる。
【符号の説明】
【0069】
1 画像形成システム
100 画像形成装置
10 制御装置
200 用紙後処理装置
31 折り板
31M モータ(折り板駆動手段)
32 折りローラ対
32A 折りローラ(第一折りローラ)
32B 折りローラ(第二折りローラ)
32N ニップ
32M モータ(ローラ対駆動手段)
33 シート材
33K 硬質部
33k 硬質面
33R アール
33V 溝
33A1 シート材の第一側の端部
33B1 シート材の第二側の端部
5 用紙、用紙束
50 屈曲部分
51 屈曲頂点部(屈曲部分の先端)
200G 中折りトレイ
200H 下トレイ(中綴じトレイ)
209 先端ストッパ(停止部材)
X0 退避ポジション
X1 押込ポジション
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に対して折り処理を行う用紙折り装置に関する
【背景技術】
【0002】
用紙に画像を形成して出力する複写機、プリンタ、印刷機等の画像形成装置には、出力される用紙(記録媒体)に対し、中綴じ、中折り等の後処理を行う後処理装置を後段に配置して使用する場合がある(特許文献1)。こうした後処理装置のうち、中折りを施すものについては、例えば次のような中折り機構を備えるものが存在する。即ち、まずは用紙束に対して垂直な方向から折り板を突き当てて屈曲させ、その下流側に位置する折りローラ対のニップにその用紙束の屈曲部分を押し入れて折りローラ対のニップ搬送させることにより中折りし、機外のトレイに排出・積載するという機構である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3824985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記中折り機構による中折り処理においては、用紙枚数や紙厚等によっては十分に折り込めず(折りが甘くなる等)、用紙束の背の部分がふくらんだ状態で機外に排出される場合があり、この場合、仕上がり品質やトレイ上の積載性が低下するという課題が残る。
【0005】
この課題を解決する技術として、例えば、折りローラ対のニップでの折り動作を複数回実施して用紙束のふくらみを軽減するという技術や、中綴じの背の部分をローラによって押しつぶして、背の部分(折り部分)を「コの字状」にするような技術が存在する。しかしながら、前者の技術については実際のところふくらみ軽減の効果が少ないという事実があり、また後者の技術についてはコの字状に折るための機構を設けることで装置の大型化・コストアップが避けられないという問題を生ずる。
【0006】
本発明の課題は、装置を大型化させることなく、用紙及び用紙束に確実に折りを形成できる用紙折り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の用紙折り装置は、
互いに圧接する第一折りローラと第二折りローラとによりニップを形成している折りローラ対と、
所定位置に搬送された用紙又は用紙束の一方の主面に対し直線状に当接する形で押し込んで屈曲させ、さらにその屈曲部分を先頭にしてニップに送り込むよう押込み動作をする折り板と、
ニップの用紙進入側においてニップを覆うよう配置される曲げ変形可能なシート材と、
を備えるとともに、シート材には、ニップと対向する中間位置に残余部よりも硬い所定幅の硬質部が設けられており、折り板による押込み動作によりニップに向けて押し込まれる用紙又は用紙束は、その屈曲部分が当該硬質部に当接し、さらに折り板により押し込まれることで、その当接状態を保持したまま当該硬質部ごとニップに押し込まれ、当該硬質部を先頭にして折りローラ対にてニップ搬送されることを特徴とする。
【0008】
上記本発明の構成によれば、用紙又は用紙束の背となる部分(屈曲頂点部)に硬質の部材を当接させた状態で折りローラ対によりニップ搬送されるため、その部分に折が施されたときには、その背の部分が平坦となる略「コ」の字状の折り形状が形成される。このため、用紙枚数が多い場合や、紙厚が厚い場合であっても、折りが甘くなることがなく、背の部分がふくらんだ状態にはならない。また、硬質部を設けたシート材を用いるだけで「コ」の字形状を形成できるため、機構・装置が大型化する心配もない。
【0009】
また、本発明では、ニップを覆うよう配置されたシート材において中間位置を挟む両端側をそれぞれ第一側及び第二側とすると、用紙又は用紙束は、折り板によりニップに押し込まれる際に、屈曲部分の屈曲頂点部がシート材の硬質部に当接する一方で、その屈曲頂点部を先頭にして後に続く屈曲先端側部分が、シート材における硬質部近傍の第一側と第二側とにより挟まれた略コの字状の収容状態となり、その後さらに折り板によりニップに向けてさらに押し込まれると、当該コの字状収容状態のまま、硬質部を先頭に、折りローラ対にてニップ搬送されるように構成できる。これにより、シート材が、硬質部とその近傍のシート領域とで略「コ」の字の形状を作り、その「コ」の字形状に、用紙又は用紙束の屈曲部分が収容された状態で、ニップ搬送により折りが形成される。これにより、「コ」の字状の折り形状を形成することができる。
【0010】
本発明の硬質部は、折り板による屈曲前の用紙又は用紙束の主面に対し平行な硬質面を有し、該硬質面に対し用紙又は用紙束の屈曲頂点部が垂直に突き当たり、当該屈曲頂点部が略コの字状に折り込まれるものとすることができる。これにより、用紙又は用紙束の背となる部分(屈曲頂点部)が硬質面と面接触するため、きれいな平坦面を形成できるため、略「コ」の字状のきれいな折り形状を形成できる。
【0011】
本発明の硬質面には、屈曲頂点部が突き当たる直線状の領域に溝が形成されていてもよい。これにより、用紙又は用紙束の屈曲頂点部が、シート材の硬質部と確実に重なった状態で折りローラ対のニップに搬送することができる。また、用紙又は用紙束の屈曲頂点部がステープル処理されている場合には、そのステープル部分のわずかな突起を溝が捉えることができるので、用紙又は用紙束のステープル部分(屈曲頂点部)が、シート材の硬質部とずれずに確実に重なった状態で折りローラ対のニップに搬送することができる。
【0012】
上記本発明の硬質部は、直方体状部材としてシート材上の中間位置に固定設置することができる。これにより、シート材上に直方体状の硬質な別部材を接着固定するだけで、シート材上に簡易に硬質部を設けることができる。また、この場合、少なくとも、屈曲頂点部が突き当たる側とは逆側の面と、それに隣接する第一折りローラ側及び第二折りローラ側の面との境界となる辺(エッジ部分)にアールを形成してもよい。折りローラ対のニップにシート材上の直方体状の硬質部が当接する場合、最初に接触するのは、直方体状の硬質部のエッジ部分(「角」の部分)になるため、この硬質部のエッジ部が、折りローラ対の各ローラと接触し、ローラが削れやすい。そもそもニップを形成するためのローラは、一般的にゴム材等の比較的柔らかい削られやすい材質であることが多いため、こうした劣化を防ぐために、上記のようなアールを形成しておくことは有効である。なお、直方体状の硬質部のエッジ部分に対し選択的に、もしくはすべてにアールを形成してもよい。
【0013】
上記本発明のシート材は、第一折りローラの外周面に一方の端部を固定し、他方の端部を非固定とすることができる。この場合、シート材は、2以上の締結部材により、第一折りローラの外周面に一方の端部を固定することができるため、比較的容易に固定することができる。
【0014】
また、上記本発明のシート材は、第一折りローラと第二折りローラとは、重力方向において該第一折りローラが上に位置する形で互いが圧接するように配置されるように構成できる。この場合、シート材の他方の端部が該シート材の自重によって第二折りローラ側に延出した状態となることが可能となる。これにより、シート材の中間位置がニップに対向する回転開始状態を、第一折りローラからシート材を第二折りローラに向けて垂らすだけで容易に形成できる。
【0015】
上記本発明において、折りローラ対のニップ搬送により折りが施された用紙又は用紙束は、全体が折りローラ対に対しニップ搬送方向側に送り出されるとともに、シート材全体も、折りローラ対によりニップ搬送されて当該ニップ搬送方向側に送り出されるように構成できる。この構成によれば、用紙又は用紙束全体がニップを確実に通過することになるので、全体をきれいに折ることができる。
【0016】
上記本発明において、少なくとも第一折りローラは、折り板による押込み動作によりニップに向けて用紙又は用紙束が押し込まれる際に、シート材の固定位置がニップに接近する方向に向かう回転駆動状態となっているように構成できる。これにより、回転駆動力によりニップ搬送がなされるので、やや幅広の硬質部ごとニップ搬送する場合でも確実に搬送することができ、用紙又は用紙束に「コ」の字状の折りを確実に形成できる。
【0017】
上記本発明において、シート材は、第一折りローラの外周面に一方の端部が固定され、他方の端部が非固定とされ、なおかつ用紙又は用紙束とシート材とが、折りローラ対に対しニップ搬送方向側に送り出される構成を有する場合、折りローラ対のうち少なくとも第一折りローラを回転駆動する折りローラ駆動手段と、ローラ駆動手段の駆動制御を司る折りローラ駆動制御手段と、を備えて構成することができる。そして、第一折りローラには、自身の周方向(回転方向)における回転開始角度位置として、シート材の硬質部がニップに対向した回転開始状態となる所定の回転角度位置を定め、折りローラ駆動制御手段が、用紙束が折りローラ対に対し当該ニップ搬送方向側に送り出される前に、シート材が回転開始状態となるよう第一折りローラを回転開始角度位置に到達させる駆動制御を、折りローラ駆動手段に対し実行するように構成できる。第一折りローラの外周面にシート材を固定する構成では、折り処理を繰り返すためには初期位置(回転開始角度位置)への復帰するための回転駆動が必須となり、その駆動を駆動手段に実行させることで、繰り返しの折り処理がスムーズに実行できる。
【0018】
また、この場合、第一折りローラには、自身の周方向(回転方向)における回転停止角度位置として、シート材が硬質部ごと折りローラ対によりニップ搬送されてニップ搬送方向側に送り出された状態となる所定の回転角度位置が定められており、ローラ駆動制御手段は、第一折りローラが回転停止角度位置に到達するに伴い、第一折りローラをニップ搬送時とは逆に回転駆動させ、回転開始角度位置に復帰するよう折りローラ駆動手段を駆動させるものとできる。この構成によれば、回転完了後の逆回転により初期位置(回転開始角度位置)に復帰する構成となる。第一折りローラの外周面にシート材の一端のみが固定されている場合、一回転させて初期位置に復帰させようとすると、シート材が遠心力で大きく回転する等、シート材の挙動が大きくなる傾向があり、他の機構と干渉する恐れがあるが、逆回転とすることで、シート材はニップを通過して初期位置に戻るのみであるから、シート材の挙動はそれほど大きくならず、安定する。
【0019】
本発明においては、用紙又は用紙束の厚みを反映した厚み反映情報を取得する厚み反映情報取得手段を備えて構成できる。この場合、第一折りローラに、その外周面の周方向の異なる位置に、各硬質部の所定幅が互いに異なる複数のシート材を固定し、それら各シート材ごとに回転角度位置が定めた上で、折ローラ駆動制御手段が、取得した厚み反映情報に基づいて、対応する硬質部を有したシート材を選択し、選択されたシート材が回転開始状態となるよう第一折りローラを、対応する回転開始角度位置に到達させる駆動制御を、折りローラ駆動手段に対し実行するように構成できる。用紙又は用紙束の厚みは毎回同じとは限らないため、上記構成によれば、用紙の折り処理に際し、厚みに応じた最適な「コ」の字形状を作るシート材が使用されるため、用紙束の厚みがどのような厚みであっても、きれいな折りを形成できる。
【0020】
また、本発明において、用紙又は用紙束は、複数の用紙からなる用紙束であると、折り処理に関するふくらみ軽減効果をより大きな効果として得ることができる。
【0021】
また、本発明における用紙束は、その中央部がステープルで直線的に綴じられたものとすることができ、折り板は、ステープルの綴じ位置に対して当接し、ニップ搬送によりその綴じ位置にて用紙束に折りが形成されるものとできる。金属等のような紙面よりも硬いステープルを用紙又は用紙束の屈曲頂点部として、シート材の硬質部に当接させてニップに送り込む構成であれば、ステープルそのものが屈曲の起点になり、より正確な位置で用紙又は用紙束に折りを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の用紙折り装置としての構成を備える画像形成システムの外観図。
【図2】図1の画像形成システムにおける用紙後処理装置の内部構成を簡略的に示す図。
【図3】図2の用紙後処理装置における折りローラ対を簡略的に示した斜視図。
【図4】図3の折ローラ対に固定されたシート材の正面図と側面図。
【図5】図1の画像形成システムの構成を簡略的に示すブロック図。
【図6】図2の用紙後処理装置における折り処理の流れを示す図。
【図7】シート材の回転開始状態を示す図。
【図8】ニップ搬送時の状態を示す図。
【図9】図3の実施形態とは異なる本発明のシート材を示す図。
【図10】図3及び図9とは異なる本発明のシート材を示す図。
【図11】図3、図9及び図10とは異なる本発明のシート材を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明の用紙折り装置としての構成を備える画像形成システムの外観図である。図1に示す画像形成システム1は、用紙に対して画像を形成する画像形成装置100と、用紙折り装置として機能する用紙後処理装置200とを備えて構成されている。本実施形態の用紙後処理装置200は画像形成装置100とは別体に設けられ、図1に示すように、ここでは画像形成装置100の側部に取り付けられている。なお、用紙後処理装置200は、画像形成装置100とが一体に設けられるものでもよい。本発明の用紙折り装置は、少なくとも用紙折り装置としての機能部を備える装置ないしはシステムであればよく、必ずしも画像形成装置と共に使用されるものでなくともよい。
【0025】
本実施形態の用紙後処理装置200は、内部を搬送される用紙5ないしは用紙束5に対して、中折り(折り板31、折りローラ対32)の他に、穴明け(パンチユニット21)、用紙揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス24、端面綴じステープラ22)、用紙揃え+中綴じ(ジョガーフェンス24、中綴じステープラ23)、用紙の仕分け(シフトトレイ200C)、等の各処理を行うことが可能であるが、本発明においては、これら以外の処理が可能であってもよいし、中折りを除く他の処理が省略されていてもよい。
【0026】
図2は、図1の画像形成システム1における用紙後処理装置200の内部構成を簡略的に示す図である。図1の画像形成装置100は用紙5に対して可視画像を形成し、画像形成済みの用紙5を搬出口(図示なし)から排出する。排出された用紙5は、図2の用紙後処理装置200の搬入口201に導かれる。用紙後処理装置200は、搬入口201に導かれた用紙1枚ずつに所定の後処理を施す後処理手段21を備えた搬送路Aを通過する。
【0027】
搬送路Aには、上流側から順に、画像形成装置100から受け入れた用紙5を検出する入口センサ(図示なし)、搬入口201から進入した用紙5を受け止めて下流に導く入口ローラ212、後処理手段21としてのパンチユニット(穿孔手段)21、パンチかすホッパ(図示なし)、搬送ローラ213、分岐爪202及び分岐爪203が順次配置されており、必要に応じて穴明け処理が実行される。即ち、用紙後処理装置200の制御装置20が、受け入れた用紙5に対する穴明け指令を画像形成装置100の制御装置10から通信取得した場合に、穴明け処理を実行する。
【0028】
搬送路Aを通過した用紙5は、分岐爪(プルーフ分岐爪)202及び分岐爪(ステープル分岐爪)203によって下流に位置する異なる搬送路B,C,Dのいずれかへと振り分けられる。ここでの分岐爪202及び分岐爪203は、図示しないソレノイド等の分岐爪駆動手段により各々が回動駆動し、これにより、上トレイ(プルーフトレイ)200Bへ導く搬送路B、シフトトレイ200Cへ導く搬送路C及び整合及びステープル綴じ等を行うステープルトレイ200Fへ導く搬送路Dのいずれかに用紙5が振り分けられるよう、それぞれのポジションが切り替わる。
【0029】
搬送路B及び上トレイ(プルーフトレイ)200Bへ導く搬送機構、搬送路C及びシフトトレイ200Cへ導く搬送機構、さらにはシフトトレイ200Cの昇降機構等については、いずれも周知の構成を採用しているため説明を略する。
【0030】
搬送路Dには、分岐爪(プレスタック分岐爪)203が配置され、図示しない付勢手段(バネ等)により図の状態に保持されている。そして、搬送される用紙5の後端が分岐爪204を通過した後、搬送ローラ214,215、ステープル排紙ローラ217のうち少なくとも搬送ローラ214を逆転させ、さらにプレスタックローラ216を逆転させることで、その用紙後端を用紙収容部(プレスタックトレイ)200Eへと導いて滞留させることができる。これにより、次の用紙5が搬送されてきた際、少なくとも搬送ローラ214及びプレスタックローラ216を正転させれば、前用紙を次用紙とを重ね合せた状態で、搬送路Dの下流へと搬送することが可能な構成となっている。この動作を繰り返すことによって2枚以上の用紙を重ね合せた用紙束5の状態で、搬送路Dの下流へと搬送できる。
【0031】
搬送路Dを経てステープルトレイ200Fへ導かれた用紙5又は用紙束5は、そこで必要に応じて整合やステープル等を施された後、偏向手段である分岐ガイド板205と可動ガイド206によって、シフトトレイ200Cへ導く搬送路Cと、折り等を施す中折りトレイ200Gとのいずれかへ振り分けられる。
【0032】
ステープルトレイ200Fには、ステープル排紙ローラ217によって搬送路Dから導かれた用紙5又は用紙束5が順次積載される。ここではまず、搬送された用紙5ごとに用紙整合手段である叩きコロ218を駆動して縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、同じく用紙整合手段であるジョガーフェンス24によって横方向(用紙搬送方向と直交する方向、すなわち用紙幅方向)の整合が行われる。
【0033】
叩きコロ218は、所定の支点を中心に振り子運動するよう駆動手段(例えばソレノイド)により駆動される。これにより、ステープルトレイ200Fへ送り込まれた用紙に対し間欠的に作用して後端フェンス219に突き当てる。なお、叩きコロ218そのものは反時計回りに回転駆動する。
【0034】
ジョガーフェンス24は、駆動手段をなす正逆転可能なモータにより駆動され、用紙幅方向に往復移動することが可能である。具体的に言えば、ジョガーフェンス24は、用紙5又は用紙束5に対し用紙幅方向の両側から挟み込む形で当接するよう駆動して、当該用紙5又は用紙束5の用紙幅方向の両端部をそろえる。
【0035】
その上で、用紙後処理装置200の制御装置20が必要に応じて各種綴じ手段(ステープラ)に対し綴じ処理を実行させる。具体的に言えば、用紙後処理装置200の制御装置20が、画像形成装置100の制御装置10から、搬送されてきた用紙5又は用紙束5に対する綴じ指令を通信取得した場合、ジョブの切れ目(すなわち用紙束5の最終紙から次の用紙束5の先頭紙までの間)が到来するに伴い、通信取得した綴じ指令に対応するステープラ22,23を駆動する駆動信号を出力し、対応するステープラ22,23に綴じ処理を実行させる。
【0036】
端面綴じステープラ22は、駆動手段をなす正逆転可能なモータにより駆動され、用紙端部の所定位置を綴じるために用紙幅方向に移動し、制御装置20が指令する所定の端面綴じ位置にて、端面綴じ処理を実行する。端面綴じ処理が行われた用紙束5は、放出ベルト25に突設された放出爪(図示なし)により、用紙後端位置が支持された形でシフト排紙ローラ208へと送られ、受取り位置にセットされているシフトトレイ205に排出される。
【0037】
中綴じステープラ23は、整合後の用紙束5が、搬送方向における予め定められた中綴じ綴じ位置に用紙束5の搬送方向中央部が位置に達した際に、綴じ動作を実行する。ここでは、叩きコロ218やジョガーフェンス24による用紙整合がなされた後に放出ベルト25が駆動すると、ベルト25に設けられた放出爪(図示なし)により、用紙後端部を持ち上げる形で用紙束5が搬送される。そして、予め定められた中綴じ綴じ位置に用紙束5の搬送方向中央部が位置すると、放出ベルト25はその位置で停止する。この状態で、中綴じステープラ23が綴じ動作を実行する。綴じられた用紙束5は、中折りトレイ200G側に搬送される。
【0038】
ステープルトレイ200Fの搬送方向最下流側には用紙束偏向手段が設けられ、中折りトレイ211側に用紙5又は用紙束5を搬送可能である。ここでの用紙束偏向手段は公知のものであり、ここでは分岐ガイド板205と可動ガイド206とを有してなる。具体的に言えば、分岐ガイド板205及び可動ガイド206がステープルトレイ200Fの放出ローラ207の外周面に近接して設けられ、放出ローラ207の外周面との間に用紙搬送路を形成する。ただし、これら分岐ガイド板205及び可動ガイド206は、両者の間に所定幅の開放口が形成されるよう互いが離間した離間ポジションと、その開放口が塞がれるよう双方が近接した近接ポジションとの双方がとれるように駆動可能であり、開放状態においては、放出ローラ207に達した用紙5又は用紙束5が上記開放口を通過して上方のシフトトレイ200B(シフト排紙ローラ208)へと向かう経路が形成される一方、近接状態においては、放出ローラ207に達した用紙5又は用紙束5がステープルトレイ200Fの上端位置から下方の中折りトレイ200Gへと向かう経路が形成される。
【0039】
中折りトレイ200Gでは、図2及び図3に示すように、互いに圧接する第一折りローラ32Aと第二折りローラ32Bとによりニップ32Nを形成している折りローラ対32と、用紙5又は用紙束5の一方の主面に対し直線状に当接する形で押し込んで屈曲させ、さらにその屈曲部分50を先頭にしてニップ32Nに送り込むよう押込み動作をする折り板31と、を有した折り機構によって中折り処理が実行される。中折りトレイ200Gで折りを施された用紙5又は用紙束5は、搬送ローラ210を通過する形で、搬送路Hを通って下トレイ(中綴じトレイ)200Hへと導かれる。
【0040】
なお、本実施形態においては、中折りについては複数枚の用紙からなる用紙束5を折ることを前提にしているが、本発明においては1枚の用紙を折る場合にも適用できる。この場合、用紙1枚であれば中綴じが不要なので、1枚排紙された時点で中折りトレイ200G側に送り込み、折り板31と折りローラ対32とによって折り処理が実行される。
【0041】
折り板31は、折り板駆動手段及び折り板駆動機構によって直線往復動作するプレート状部材として構成され、当該直線往復動の途中で用紙5又は用紙束5の主面に対し、搬送方向中央位置にて用紙厚さ方向に突き当たるものである。具体的に言えば、折り板31は、中折りトレイ200Gの用紙束収容領域から完全に退避した退避ポジションと、中折りトレイ200Gの用紙束収容領域に突出して用紙5又は用紙束5の主面に対し垂直に突き当たって屈曲させた上でその屈曲部分50の先端(屈曲頂点部)51を折りローラ対32のニップ32Nに押し込ませる押込ポジションX1との間を直線的に往復動作する。ここでの折り板駆動手段はモータ31Mであり、折り板駆動機構としては例えば回転運動を直線運動に変換するリンク機構やギア等の周知の機構を用いることができる。
【0042】
折りローラ対32をなす第一折りローラ32Aと第二折りローラ32Bは、それぞれの軸線が平行をなす形で配置されるとともに、互いが圧接した状態となるよう付勢手段(ばね等:図示なし)により互いを接近させる方向に付勢されている。これにより、それら折りローラ32A,32Bが形成するニップ32N間に圧力が付与される。また、第一折りローラ32Aと第二折りローラ32Bは、それぞれが折りローラ駆動手段及び折りローラ対駆動機構によって回転駆動することにより、用紙5又は用紙束5のニップ搬送をアシストする。折りローラ駆動手段はモータ32Mであり、折りローラ対駆動機構としては例えばモータ出力軸と歯合するギアやタイミングベルト等の周知の機構を用いることができる。
【0043】
なお、中折りトレイ200Gでの用紙搬送方向は重力方向(図2及び図3の下方向)であり、束搬送ガイド板35,35にガイドされる形で用紙5又は用紙束5の先端を下方に向けて搬送される。下方へ搬送された用紙5又は用紙束5は、用紙搬送方向の先端を可動式の先端ストッパ(停止部材)209に当接させることで停止するとともに、当接によって先端が揃った状態で保持される。中折りトレイ200Gにおけるこの保持領域が用紙束収容領域である。なお、先端ストッパ209による用紙5又は用紙束5の停止位置は、保持されている用紙5又は用紙束5の搬送方向中央位置に折り板31が突き当たるよう、用紙サイズに応じた位置が制御装置20にて定められている。
【0044】
また、本実施形態の折り機構では、折りローラ対32のニップ32Nの用紙進入側(すなわち用紙束収容領域側)においてニップを覆うように曲げ変形可能(折り曲げ可能)なシート材33が配置されている。そして、シート材33には、ニップ32Nと対向する中間位置に残余部33A,33Bよりも硬い硬質部33Kが設けられている。
【0045】
本実施形態のシート材33は、図3及び図4に示すように、第一側の端部33A1が第一折りローラ32Aの外周面32aに固定され、その逆側の第二側の端部32B1が、ニップ32Nを形成する他方の第二折りローラ32B側に向けて延出し、その延出方向における中間位置に所定幅(当該延出方向における幅)を有する硬質部33Kが設けられ、ニップ32Nと対向するようになっている。つまり、シート材33の第一側(第一折りローラ32A側)の端部33A1が第一折りローラ32Aに固定されるが、第二側(第二折りローラ32B側)の端部33B1が非固定となるため、シート材33は、第一折りローラ32Aの回転に伴い第二側の端部が振り回される形で回転動作可能となっている。
【0046】
また、本実施形態のシート材33は短冊状をなしており、その長辺をなす一方の端部(第一側の端部)33A1が、各折りローラ32A,32Bの回転軸と平行をなす形で、折りローラ32Aの外周面に対し固定される。一方で、硬質部33Kも、各折りローラ32A,32Bの回転軸と平行をなす形でシート材33の短辺長さ方向における中間位置に設けられている。ここでの硬質部33Kは、シート材の折りローラ対32(ニップ32N)側の主面に面接触する形で固定設置された直方体状部材であり,その固定設置面が折り板31に突き当てられる側の面となる。
【0047】
また、本実施形態では、折りローラ32Aと折りローラ32Bとが重力方向において折りローラ32Aの方が上に位置する形で配置されており、上に位置する折りローラ43Aにシート材33が固定されている。このため、シート材33は、図7に示すように、自重により直下に垂れ下がる形で、他方の折りローラ32B側へと延出するように配置されている。なお、本実施形態のシート材33は、図3及び図4に示すように、2以上の締結部材(ここでは長辺両端側の2個のねじ)によって折りローラ32Aの外周面32aに安定的に締結固定されている。
【0048】
図5は、本実施形態の画像形成システム1の電気的構成を簡略的に示すブロック図である。本実施形態の画像形成システム1は、画像形成装置100と用紙後処理装置200とが通信手段(インターフェース:図示なし)を介して互いに通信可能に接続されている。後処理に係る各種の指令情報は、画像形成装置100での画像形成処理の実行に際して入力された入力情報に基づいて作成されるものであり、その制御装置10から用紙後処理装置200の制御装置20へと送信される。制御装置20は、用紙後処理装置200の制御装置20には、各搬送路上の各種検出手段が接続し、さらには搬送経路上の各種分岐爪や各種搬送ローラ、各種機構・ユニット等の各種駆動手段等も接続しており、画像形成装置100側から受信した後処理指令情報に基づいて、それらの駆動手段に対し適宜駆動指令情報を出力し、駆動させる。上述した折り機構の駆動手段31M,32Mも、制御装置20からの駆動指令情報に基づいて駆動する。
【0049】
以下、本実施形態の折り機構による折り処理の処理手順を説明する。
【0050】
本実施形態の折り処理は、図6に示すように、まずは折り板31が、中折りトレイ200Gの所定位置に搬送された用紙5又は用紙束5の一方の主面に対し直線状に当接する形で押し込んで屈曲させ、さらにその屈曲部分50を先頭にして折りローラ対32のニップ32Nに送り込む(押込み動作)。その途中で、用紙5又は用紙束5の上記屈曲部分50がシート材33に設けられた硬質部33Kに当接する。そして、さらに折り板31により押し込まれていくと、その当接状態を保持したまま、、当該硬質部33Kを先頭にして、当該硬質部ごとニップ32Nへと押し込まれ、折りローラ対32にてニップ搬送される。
【0051】
具体的に言えば、まずは制御装置20が、画像形成装置の制御装置10から送信される用紙情報(用紙サイズ情報)に基づいて、先端ストッパ209の停止位置を特定し、特定された停止位置となるよう先端ストッパ209の駆動部を駆動させる。これにより、搬送されてきた用紙5又は用紙束5の搬送方向中間位置と、折りローラ対32のニップ32Nと、折り板31の進退方向とが用紙厚み方向に一直線上に並んだ状態となる(図6(A))。なお、本実施形態においては、中折りトレイ200Gに搬送されてきた用紙5又は用紙束5の上記搬送方向中間位置はステープルで綴じられているが、本発明においては、用紙5又は用紙束5の上記搬送方向中間位置に必ずしもステープルにより綴じられていなくともよい。
【0052】
次に、制御装置20は、折り板駆動手段であるモータ31Mを駆動し、折り板31を、折りローラ対32のニップ32Nに向けて直線的に動作させる。モータ31Mが駆動すると、折り板31は、中折りトレイ200Gに向けて直下方向に搬送されてくる用紙5又は用紙束5の移動を遮ることのないよう、用紙束収容領域から完全に退避している退避ポジションから、用紙5又は用紙束5の主面に対し垂直に突き当たって屈曲させてその屈曲部分50の先端(屈曲頂点部)51を折りローラ対32のニップ32Nに押し込ませる押込ポジションX1へと水平移動(押込み動作)を開始する。
【0053】
上記折り板31が水平移動を開始して押込ポジションX1へと近づくと、まずは、所定位置に搬送された用紙5又は用紙束5の一方の主面に対し直線状に当接し、さらにこれを押し込むことで、用紙5又は用紙束5を直線状の当接位置にて屈曲させる(図6(B))。ここでは、用紙束5の搬送方向中央位置(ステープル部)に当接する。
【0054】
折り板31の水平移動がさらに進むと今度は、屈曲した用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51がシート材33の硬質部33Kに突き当たり、シート材33を、その硬質部33Kを中心に屈曲させる形でニップ32Nに向けて押し込む。ただし、少なくともそれ以前に、シート材33の中央に位置する硬質部33Kを、折り板31の水平移動軌跡に重なる初期位置に保持しておく必要がある。
【0055】
本実施形態の硬質部33Kは直方体状部材としてシート材33上の上記中間位置に固定設置されているから、その固定設置面が折り板31に突き当てられる側の面33kである。この面33kは、折り板31による屈曲前の用紙5又は用紙束5の主面に対し平行な平坦面である。上記初期位置は、この硬質部33Kの面33kに対し、用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51が垂直に突き当たる位置と定められている。ここでは、制御装置20が、シート材33の上記初期位置となる第一折りローラ32Aの回転角度位置を回転開始角度位置Y1として所定記憶部に予め記憶しており、その回転角度位置Y1にて折りローラ32Aを待機させている。
【0056】
上記初期位置にあるシート材33の上記面(硬質面)33kに対し用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51が垂直に突き当たると、用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51は、硬質部33Kもろとも(即ちシート材33もろとも)、ニップ32Nに向けて押し込む(図6(C))。このとき、シート材33は、硬質部33Kがニップ32Nに向けて押し込まれるに従い、折りローラ32Aとの固定端部33A1を起点に、折りローラ32A側のシート領域(柔軟性のある領域)が折りローラ32Aの外周面32aに接近していく形で撓み変形していく。折りローラ32B側のシート領域(柔軟性のある領域)も同様に、端部33B2を折りローラ32Bの外周面32bに当接させつつ、残余部分が折りローラ32Bの外周面32bに接近していく形で撓み変形していく。
【0057】
折り板31が所定の押込ポジションX1に到達すると、その先端の一部が折りローラ対32のニップ32Nに押し込まれた状態となる。このとき、この折り板31によって押し込まれたシート材33の硬質部33K並びに用紙5又は用紙束5の屈曲部分50の先端51も、ニップ32Nに押し込まれた状態となる。
【0058】
また、このときのシート材33は、図8に示すように、折りローラ32A側のシート領域における少なくとも硬質部33Kの近傍(ここでは折りローラ32A側のシート領域全体)が、折りローラ32Aの外周面32aに密着し、なおかつ他方の折りローラ32B側のシート領域における少なくとも硬質部33Kの近傍(ここでは折りローラ32B側のシート領域全体)も、ここでは折りローラ32Bの外周面32bに密着した状態となる。即ち、用紙5又は用紙束5は、折り板31に押し込まれてニップ32Nに送り込まれる際に、屈曲部分50の屈曲頂点部51がシート材33の硬質部33Kに当接し、なおかつ屈曲頂点部51を先頭にして後に続く屈曲先端側部分52が、シート材33における硬質部33Kの近傍の第一側(折りローラ32A側)と第二側(折りローラ32B側)とに挟まれることにより、シート材33によって略コの字状に収容されたコの字状の収容状態となっている。なお、このニップ搬送時における硬質部33Kは、硬質面33kの第一側(初期位置における折りローラ32A側)および第二側(初期位置における折りローラ側32B)で隣接する双方の面33a、33bが、折りローラ32A,32Bによって押圧された状態となっている。
【0059】
そして、折り板31が押込ポジションX1に到達するに伴い、制御装置20により折りローラ駆動手段をなすモータ32Mが駆動を開始する。具体的に言えば、双方の折りローラ32A,32Bが図6(C)の矢印方向に回転駆動する。これら折りローラ32A,32Bの回転駆動力により、ニップ32Nに押し込まれた用紙5又は用紙束5は、上記コの字状収容状態を保持したまま、硬質部33Kを先頭にして、シート材33ごと、折りローラ対32にてニップ搬送される。これにより、用紙5又は用紙束5の屈曲部分50に略コの字状の形状の折りが形成される。なお、第一折りローラ32Aのみを回転駆動して、第二折りローラ32Bをそれに従動させるよう構成してもよい。
【0060】
なお、制御装置20は、折り板31が押込ポジションX1に到達するに伴い、折り板駆動手段であるモータ31Mを逆回転駆動して(図6(D))、折り板31を折りローラ対32のニップ32Nから水平方向に直線的に離間させ、元の退避ポジションX0に戻す。待機ポジションZ0には、例えばポジションセンサ31S(ホームセンサ)31Sを設けておき、制御装置20は、その待機ポジションからの回転駆動を開始して所定時間が経過した場合に押込ポジションX1に到達したと判定して,逆回転を開始させる一方で、逆回転後、該ポジションセンサ31Sの検知に基づいて折り板31が待機ポジションに到達したと判定した場合に、折り板駆動手段であるモータ31Mの逆回転を停止させる。
【0061】
折りが施された用紙5又は用紙束5は、全体が折りローラ対32に対しニップ搬送方向側に送り出され、折りローラ対32のニップ搬送方向側に排出される(図6(D))。そして、中折りトレイ200Gへと搬送される。
【0062】
このとき、シート材33全体も、硬質部33Kごと折りローラ対32によりニップ搬送されて当該ニップ搬送方向側に送り出され、折りローラ対32のニップ搬送方向側に排出される(図6(D))。制御装置20は、折りローラ32Aの回転方向における回転停止角度位置Y2として、シート材33の排出完了する所定の回転角度位置を予め記憶しており、制御装置20は、折りローラ32Aが回転停止角度位置Y2に到達するに伴い、折りローラ32Aをニップ搬送時とは逆に回転駆動させ、先の回転開始角度位置Y1にて、シート材33が初期状態となって復帰するよう折りローラ駆動手段をなすモータ32Mを駆動させる。即ち、シート材33は、再び先のニップ搬送方向とは逆方向にニップ搬送される。その際、シート材33の第一側の端部33A1のみが引っ張られ、ニップ32Nに送り込まれるため、シート材33の第一側、硬質部33K、第二側の順でニップ32Nに送り込まれる。先のニップ搬送では、硬質部33Kにおいて、硬質面33kの第一側(初期位置における折りローラ32A側)および第二側(初期位置における折りローラ側32B)で隣接する双方の面33a、33bが、折りローラ32A,32Bによって押圧された状態となったが、今度は硬質面33kとその裏面33hが折りローラ32A,32Bによって押圧される形でニップ搬送される。このため、硬質面33kにてコの字形状が形成されることはない。
【0063】
この逆回転は、制御装置20によって所定の回転開始角度位置を一端越え、制御装置20が予め記憶する所定の折り返し角度位置Y3に達するまで継続する。これにより、シート材33Kの第二側の端部33B1が完全にニップ32Nから排出される(図6(F))。その上で、再び順方向に回転を始めて所定の回転開始角度位置Y1に戻り、待機状態となる(図7(G))。これにより、本実施形態の第一折りローラ32Aの待機状態では、シート材33の硬質部33Kがニップ32Nに対向し、固定端部33A1側とは逆側の端部33B1側が第二折りローラ対32B側へと直線的に下方に垂れ下がった上記初期状態(回転開始状態:図6(A))となる。
【0064】
なお、本実施形態においては、第一折りローラ32Aの回転角度を取得する回転角度検出手段として回転角センサ(ロータリーエンコーダ等)32Sが設けられており、制御装置20は、回転開始角度位置Y1を基準として算出される回転角度変位に基づいて、回転停止角度位置Y2並びに折り返し角度位置Y3への到達を検出する。
【0065】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0066】
例えば、上記実施形態の硬質面33kに、用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51が突き当たる直線状の領域に溝33Vが形成されていてもよい。これにより、用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51が、シート材33の硬質部33Kと確実に重なった状態で折りローラ対32のニップ32Nに搬送することができる。また、用紙5又は用紙束5の屈曲頂点部51がステープル処理されている場合には、そのステープル部分のわずかな突起を溝が捉えることができるので、用紙5又は用紙束5のステープル部分(屈曲頂点部51)が、シート材33の硬質部33Kとずれずに確実に重なった状態で折りローラ対32のニップ32Nに搬送することができる。
【0067】
上記実施形態の硬質部33Kは、直方体状部材としてシート材33上の中間位置に固定設置されるが、この場合に、少なくとも、屈曲頂点部51が突き当たる側とは逆側の面と、それに隣接する第一折りローラ側及び第二折りローラ側の面(ニップ搬送時の押圧面)33a,33bとの境界となる辺(エッジ部分)にアール33Rを形成してもよい。折りローラ対32のニップ32Nにシート材33上の直方体状の硬質部33Kが当接する場合、最初に接触するのは、直方体状の硬質部33Kのエッジ部分(「角」の部分)になるため、この硬質部33Kのエッジ部が、折りローラ対32の各ローラ32A,32Bと接触し、ローラ外周面が削れやすい。本実施形態のニップ32Nを形成する折りローラ32A,32Bは、ゴム材等の比較的柔らかい削られやすい材質であるため、こうした劣化を防ぐために、上記のようなアール33Rを形成しておくことは有効である。なお、直方体状の硬質部33Kのエッジ部分のすべてにアール33Rを形成してもよい。
【0068】
また、上記の用紙後処理装置において、制御装置20が、画像形成装置100の制御装置10にて入力される用紙枚数情報を、用紙又は用紙束の厚みを反映した厚み反映情報として通信取得する厚み反映情報取得手段を備えて構成できる。この場合、図11に示すように、第一折りローラ32Aにおいて、その外周面の周方向の異なる位置に、各硬質部33Kの所定幅が互いに異なる複数のシート材331,332,333を固定し、それら各シート材331,332,333ごとに、上述した回転角度位置を定めた上で、制御装置20が、制御装置10から取得した前記厚み反映情報に基づいて、対応する幅を有する硬質部33Kを有したシート材33を選択し、選択されたシート材33が上述のような回転開始状態となるよう第一折りローラ32Aを、選択されたシート材33に対応する回転開始角度位置に到達させる駆動制御を、折りローラ駆動手段をなすモータ31Mに対し実行するように構成してもよい。用紙又は用紙束の厚みは毎回同じとは限らないため、上記構成によれば、用紙の折り処理に際し、厚みに応じた最適な「コ」の字形状を作るシート材が使用されるため、用紙束の厚みがどのような厚みであっても、きれいな折りを形成できる。
【符号の説明】
【0069】
1 画像形成システム
100 画像形成装置
10 制御装置
200 用紙後処理装置
31 折り板
31M モータ(折り板駆動手段)
32 折りローラ対
32A 折りローラ(第一折りローラ)
32B 折りローラ(第二折りローラ)
32N ニップ
32M モータ(ローラ対駆動手段)
33 シート材
33K 硬質部
33k 硬質面
33R アール
33V 溝
33A1 シート材の第一側の端部
33B1 シート材の第二側の端部
5 用紙、用紙束
50 屈曲部分
51 屈曲頂点部(屈曲部分の先端)
200G 中折りトレイ
200H 下トレイ(中綴じトレイ)
209 先端ストッパ(停止部材)
X0 退避ポジション
X1 押込ポジション
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに圧接する第一折りローラと第二折りローラとによりニップを形成している折りローラ対と、
所定位置に搬送された用紙又は用紙束の一方の主面に対し直線状に当接する形で押し込んで屈曲させ、さらにその屈曲部分を先頭にして前記ニップに送り込むよう押込み動作をする折り板と、
前記ニップの用紙進入側において前記ニップを覆うよう配置される曲げ変形可能なシート材と、
を備えるとともに、前記シート材には、前記ニップと対向する中間位置に残余部よりも硬い所定幅の硬質部が設けられており、前記折り板による前記押込み動作により前記ニップに向けて押し込まれる前記用紙又は用紙束は、前記屈曲部分が当該硬質部に当接し、さらに前記折り板により押し込まれることで、その当接状態を保持したまま当該硬質部ごと前記ニップに押し込まれ、当該硬質部を先頭にして前記折りローラ対にてニップ搬送されることを特徴とする用紙折り装置。
【請求項2】
前記ニップを覆うよう配置された前記シート材において前記中間位置を挟む両端側をそれぞれ第一側および第二側とすると、前記用紙または用紙束は、前記折り板に押し込まれて前記ニップに送り込まれる際に、前記屈曲部分の屈曲頂点部が前記シート材の前記硬質部に当接する一方で、前記屈曲頂点部を先頭にして後に続く屈曲先端側部分が、前記シート材における前記硬質部近傍の前記第一側と前記第二側とにより挟まれた略コの字状の収容状態となり、その後さらに前記折り板により前記ニップに向けてさらに押し込まれると、当該略コの字状収容状態のまま、前記硬質部を先頭にして、前記折りローラ対にてニップ搬送される請求項1に記載の用紙折り装置。
【請求項3】
前記硬質部は、前記折り板による屈曲前の前記用紙または用紙束の主面と平行な硬質面を有し、該硬質面に対し前記用紙または用紙束の屈曲頂点部が垂直に突き当たり、当該屈曲頂点部が略コの字状の形状に折り込まれる請求項1または請求項2に記載の用紙折り装置。
【請求項4】
前記硬質面には、前記屈曲頂点部が突き当たる直線状の領域に溝が形成されている請求項3に記載の用紙折り装置。
【請求項5】
前記硬質部は、直方体状部材として前記シート材上の前記中間位置に固定設置されており、少なくとも、前記屈曲頂点部が突き当たる側とは逆側の面と、それに隣接する第一折りローラ側および第二折りローラ側の面との境界となる辺にアールが形成されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の用紙折り装置。
【請求項6】
前記シート材は、前記第一折りローラの外周面に一方の端部が固定され、他方の端部が非固定とされている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の用紙折り装置。
【請求項7】
前記シート材は、前記第一折りローラの外周面に対し2以上の締結部材によって締結固定されている請求項6に記載の用紙折り装置。
【請求項8】
前記第一折りローラと前記第二折りローラとは、重力方向において該第一折りローラが上に位置する形で配置されており、前記シート材の前記他方の端部が該シート材の自重によって前記第二折りローラ側に延出した状態となることが可能である請求項6または請求項7に記載の用紙折り装置。
【請求項9】
前記折りローラ対のニップ搬送により折りが施された前記用紙または用紙束は、その全体が前記折りローラ対に対しニップ搬送方向側に送り出されるとともに、前記シート材全体も、前記折りローラ対によりニップ搬送されて全体が当該ニップ搬送方向側に送り出される請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の用紙折り装置。
【請求項10】
少なくとも前記第一折りローラは、前記折り板による前記押込み動作により前記ニップに向けて前記用紙又は用紙束が押し込まれる際に、前記シート材の固定位置が前記ニップに接近する方向に向かう回転駆動状態となっている請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の用紙折り装置。
【請求項11】
請求項6および請求項9に記載の要件を備え、
前記折りローラ対のうち少なくとも前記第一折りローラを回転駆動する折りローラ駆動手段と、前記折りローラ駆動手段の駆動制御を司る折りローラ駆動制御手段と、を備え、前記第一折りローラには、自身の周方向における回転開始角度位置として、前記シート材の前記硬質部が前記ニップに対向した回転開始状態となる所定の回転角度位置が定められており、前記折りローラ駆動制御手段は、前記用紙束が前記折りローラ対に対し当該ニップ搬送方向側に送り出される前に、前記シート材が前記回転開始状態となるよう前記第一折りローラを前記回転開始角度位置に到達させる駆動制御を、前記折りローラ駆動手段に対し実行する請求項9に記載の用紙折り装置。
【請求項12】
前記第一折りローラには、自身の周方向における回転停止角度位置として、前記シート材が前記硬質部ごと前記折りローラ対によりニップ搬送されてニップ搬送方向側に送り出された状態となる所定の回転角度位置が定められており、前記ローラ駆動制御手段は、前記第一折りローラが前記回転停止角度位置に到達するに伴い、前記第一折りローラを前記ニップ搬送時とは逆に回転駆動させ、前記回転開始角度位置に復帰するよう前記折りローラ駆動手段を駆動させる請求項11に記載の用紙折り装置。
【請求項13】
前記用紙又は用紙束の厚みを反映した厚み反映情報を取得する厚み反映情報取得手段を備えるとともに、前記第一折りローラには、その外周面の周方向の異なる位置に、各前記硬質部の前記所定幅が互いに異なる複数の前記シート材が固定されてるとともに、それら各シート材ごとに前記回転角度位置が定められ、前記折ローラ駆動制御手段は、取得した前記厚み反映情報に基づいて、対応する前記硬質部を有した前記シート材を選択し、選択されたシート材が前記回転開始状態となるよう前記第一折りローラを、対応する前記回転開始角度位置に到達させる駆動制御を、前記折りローラ駆動手段に対し実行する請求項11に記載の用紙折り装置。
【請求項14】
前記用紙または用紙束は、複数の用紙からなる用紙束である請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の用紙折り装置。
【請求項15】
前記用紙束は、その中央部がステープルで直線的に綴じられたものであり、前記折り板は、前記ステープルの綴じ位置に対して当接し、前記ニップ搬送によりその綴じ位置にて前記用紙束に折りが形成される請求項14に記載の用紙折り装置。
【請求項1】
互いに圧接する第一折りローラと第二折りローラとによりニップを形成している折りローラ対と、
所定位置に搬送された用紙又は用紙束の一方の主面に対し直線状に当接する形で押し込んで屈曲させ、さらにその屈曲部分を先頭にして前記ニップに送り込むよう押込み動作をする折り板と、
前記ニップの用紙進入側において前記ニップを覆うよう配置される曲げ変形可能なシート材と、
を備えるとともに、前記シート材には、前記ニップと対向する中間位置に残余部よりも硬い所定幅の硬質部が設けられており、前記折り板による前記押込み動作により前記ニップに向けて押し込まれる前記用紙又は用紙束は、前記屈曲部分が当該硬質部に当接し、さらに前記折り板により押し込まれることで、その当接状態を保持したまま当該硬質部ごと前記ニップに押し込まれ、当該硬質部を先頭にして前記折りローラ対にてニップ搬送されることを特徴とする用紙折り装置。
【請求項2】
前記ニップを覆うよう配置された前記シート材において前記中間位置を挟む両端側をそれぞれ第一側および第二側とすると、前記用紙または用紙束は、前記折り板に押し込まれて前記ニップに送り込まれる際に、前記屈曲部分の屈曲頂点部が前記シート材の前記硬質部に当接する一方で、前記屈曲頂点部を先頭にして後に続く屈曲先端側部分が、前記シート材における前記硬質部近傍の前記第一側と前記第二側とにより挟まれた略コの字状の収容状態となり、その後さらに前記折り板により前記ニップに向けてさらに押し込まれると、当該略コの字状収容状態のまま、前記硬質部を先頭にして、前記折りローラ対にてニップ搬送される請求項1に記載の用紙折り装置。
【請求項3】
前記硬質部は、前記折り板による屈曲前の前記用紙または用紙束の主面と平行な硬質面を有し、該硬質面に対し前記用紙または用紙束の屈曲頂点部が垂直に突き当たり、当該屈曲頂点部が略コの字状の形状に折り込まれる請求項1または請求項2に記載の用紙折り装置。
【請求項4】
前記硬質面には、前記屈曲頂点部が突き当たる直線状の領域に溝が形成されている請求項3に記載の用紙折り装置。
【請求項5】
前記硬質部は、直方体状部材として前記シート材上の前記中間位置に固定設置されており、少なくとも、前記屈曲頂点部が突き当たる側とは逆側の面と、それに隣接する第一折りローラ側および第二折りローラ側の面との境界となる辺にアールが形成されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の用紙折り装置。
【請求項6】
前記シート材は、前記第一折りローラの外周面に一方の端部が固定され、他方の端部が非固定とされている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の用紙折り装置。
【請求項7】
前記シート材は、前記第一折りローラの外周面に対し2以上の締結部材によって締結固定されている請求項6に記載の用紙折り装置。
【請求項8】
前記第一折りローラと前記第二折りローラとは、重力方向において該第一折りローラが上に位置する形で配置されており、前記シート材の前記他方の端部が該シート材の自重によって前記第二折りローラ側に延出した状態となることが可能である請求項6または請求項7に記載の用紙折り装置。
【請求項9】
前記折りローラ対のニップ搬送により折りが施された前記用紙または用紙束は、その全体が前記折りローラ対に対しニップ搬送方向側に送り出されるとともに、前記シート材全体も、前記折りローラ対によりニップ搬送されて全体が当該ニップ搬送方向側に送り出される請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の用紙折り装置。
【請求項10】
少なくとも前記第一折りローラは、前記折り板による前記押込み動作により前記ニップに向けて前記用紙又は用紙束が押し込まれる際に、前記シート材の固定位置が前記ニップに接近する方向に向かう回転駆動状態となっている請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の用紙折り装置。
【請求項11】
請求項6および請求項9に記載の要件を備え、
前記折りローラ対のうち少なくとも前記第一折りローラを回転駆動する折りローラ駆動手段と、前記折りローラ駆動手段の駆動制御を司る折りローラ駆動制御手段と、を備え、前記第一折りローラには、自身の周方向における回転開始角度位置として、前記シート材の前記硬質部が前記ニップに対向した回転開始状態となる所定の回転角度位置が定められており、前記折りローラ駆動制御手段は、前記用紙束が前記折りローラ対に対し当該ニップ搬送方向側に送り出される前に、前記シート材が前記回転開始状態となるよう前記第一折りローラを前記回転開始角度位置に到達させる駆動制御を、前記折りローラ駆動手段に対し実行する請求項9に記載の用紙折り装置。
【請求項12】
前記第一折りローラには、自身の周方向における回転停止角度位置として、前記シート材が前記硬質部ごと前記折りローラ対によりニップ搬送されてニップ搬送方向側に送り出された状態となる所定の回転角度位置が定められており、前記ローラ駆動制御手段は、前記第一折りローラが前記回転停止角度位置に到達するに伴い、前記第一折りローラを前記ニップ搬送時とは逆に回転駆動させ、前記回転開始角度位置に復帰するよう前記折りローラ駆動手段を駆動させる請求項11に記載の用紙折り装置。
【請求項13】
前記用紙又は用紙束の厚みを反映した厚み反映情報を取得する厚み反映情報取得手段を備えるとともに、前記第一折りローラには、その外周面の周方向の異なる位置に、各前記硬質部の前記所定幅が互いに異なる複数の前記シート材が固定されてるとともに、それら各シート材ごとに前記回転角度位置が定められ、前記折ローラ駆動制御手段は、取得した前記厚み反映情報に基づいて、対応する前記硬質部を有した前記シート材を選択し、選択されたシート材が前記回転開始状態となるよう前記第一折りローラを、対応する前記回転開始角度位置に到達させる駆動制御を、前記折りローラ駆動手段に対し実行する請求項11に記載の用紙折り装置。
【請求項14】
前記用紙または用紙束は、複数の用紙からなる用紙束である請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の用紙折り装置。
【請求項15】
前記用紙束は、その中央部がステープルで直線的に綴じられたものであり、前記折り板は、前記ステープルの綴じ位置に対して当接し、前記ニップ搬送によりその綴じ位置にて前記用紙束に折りが形成される請求項14に記載の用紙折り装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−82040(P2012−82040A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228692(P2010−228692)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
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