用紙折曲装置および画像形成装置
【課題】より効率よく挟み込み処理を実行することが可能な用紙折曲装置および画像形成装置を得る。
【解決手段】用紙後処理装置または画像形成装置に含まれる折曲機構4では、一対のプレス板219,220によって挟み込み処理(プレス処理)されるシートまたはシート束の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、プレス板219,220の移動量、すなわち、プレス区間Svの長さLvが、可変制御される。
【解決手段】用紙後処理装置または画像形成装置に含まれる折曲機構4では、一対のプレス板219,220によって挟み込み処理(プレス処理)されるシートまたはシート束の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、プレス板219,220の移動量、すなわち、プレス区間Svの長さLvが、可変制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙折曲装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機等の画像形成装置の後段に設けられて、用紙にステイプル処理や折曲処理を実行する用紙後処理装置が知られている。折曲処理では、一対の挟み込み部材により、折曲された用紙(シートあるいはシート束)に対して挟み込み処理(プレス処理)が施される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−210436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の上記挟み込み処理では、挟み込み処理の処理区間の長さが一定であったため、本来は短い処理区間で済む用紙に対しては、挟み込み処理が無駄に実行されていた。
【0005】
そこで、本発明は、より効率よく挟み込み処理を実行することが可能な用紙折曲装置および画像形成装置を得ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる用紙折曲装置にあっては、折り曲げられた用紙を挟み込む一対の挟み込み部材と、前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、前記挟み込み部材による前記用紙の挟み込み処理区間の長さを可変制御する制御部と、を備えたことを特徴の一つとする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、挟み込み部材の移動量、すなわち挟み込み処理の処理区間の長さを、可変することができるため、挟み込み処理をより効率よく実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の折曲機構の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の折曲機構の側面図である。
【図4】図4は、図2から折曲機構の部品を一部取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、図4の側面図である。
【図6】図6は、図4から折曲機構の部品をさらに取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、図5,6のVII部の側面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の折曲機構に含まれるプレス部の内部構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8の側面図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の折曲機構に含まれるプレス部の一例を簡略化して示した側面図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置におけるシート束の枚数に応じたプレス区間の長さの設定例を示す説明図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置におけるシートの厚さ毎の、シートまたはシート束の枚数と、プレス区間の長さと、の相関関係の一例を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の制御回路の一部の一例を示すブロック図である。
【図14】図14は、図13の制御回路に含まれるCPUの一部の一例を示すブロック図である。
【図15】図15は、本発明の第1実施形態にかかる用紙折曲装置の制御回路による折曲機構の制御の一例を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の第2実施形態にかかる用紙折曲装置の挟み込み部材を相互に離間させる離間機構の概略構成図である。
【図17】図17は、図16の離間機構の動作の一例を示す説明図であって、(a)は、プレスユニットが相互に離間した状態を示す図、(b)は、プレスユニットが相互に近接した状態を示す図である。
【図18】図18は、本発明の第2実施形態にかかる用紙折曲装置の制御回路による折曲機構の制御の一例を示すフローチャートである。
【図19】図19は、本発明の第3実施形態にかかる用紙折曲装置の制御回路による折曲機構の制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素については、共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
<用紙の経路>
図1は、第1実施形態にかかる用紙折曲装置としての用紙後処理装置1の概略構成を示す説明図である。図1に示すように、用紙後処理装置1には、画像形成装置2から排出された画像形成済みの用紙としてのシートSを受け入れる導入経路Pt1と、シートSを排紙トレイ22に積載するための搬送経路Pt2と、シートSにステイプル処理等が行われる搬送経路Pt3と、搬送経路Pt3からシートSまたはシート束B(図2,3等参照)を折曲機構4へ搬送する搬送経路Pt4と、が設けられている。
【0011】
<用紙の導入>
導入経路Pt1には、入口ローラ10と入口センサ13とが配置されている。入口センサ13は、シートSが用紙後処理装置1内へ搬入されたことを検知する。入口ローラ10の下流にはシートSに穿孔を形成する穿孔形成機構3が配置されており、さらに、その下流には搬送ローラ11,12が配置されている。シートSは、これらを経て搬送経路Pt3へ搬送される。
【0012】
<プルーフ排出>
搬送経路Pt2はシートSを排紙トレイ22へ搬送する経路である。導入経路Pt1から分岐爪20で進行方向を変えられたシートSが、排出ローラ21によって排紙トレイ22へと搬送される。
【0013】
<シフト、スタック>
搬送経路Pt3には、排紙ローラ31,33や排紙センサ35等が配置されている。ソートモード時には、シフト機構(図示せず)を有する搬送ローラ12が搬送ローラ駆動モータ403(図13参照)等を含む駆動機構によってシートSの搬送中にその搬送方向と直角方向に一定量移動することにより、シートSが、一定量シフトし、排紙ローラ33によって排紙トレイ32に排出されて、順次スタックされる。排紙トレイ32への排出口部では、排紙ローラ33と従動ローラ(排紙ローラ)31とで用紙としてのシートSまたは用紙としてのシート束Bが挟持され、排出される。すなわち、排紙ローラ33に対する従動ローラ31を備えた排出ガイド31aの接離動作によって、シートSまたはシート束Bが挟持されて排出可能な閉状態と、挟持されない開状態とが選択され、シートSまたはシート束Bのシフト動作が完了した後、シートSまたはシート束Bが挟持され、排出される。
【0014】
<シフトトレイの上下動作>
排紙口の上方付近には、フィラー34が設けられている。フィラー34は、スタックされたときのシートSの中央付近位置に回動自由に配置され、フィラー34の先端は、シートSの上面に接している。フィラー34の根元付近には、フィラー34の先端の高さ位置を検知する上面検知センサ(図示せず)があり、これによりスタックされたシートSの紙面高さが検知される。排紙トレイ32上の堆積枚数の増大によりシートSの高さが上昇するにしたがって、上面検知センサがONすると、制御部としてのCPU401(図14等参照)は排紙トレイ32を上下動させる駆動機構(図示せず)を制御して排紙トレイ32を下降させる。CPU401は、排紙トレイ32が下降して上面検知センサがOFFすると、排紙トレイ32の下降を停止させる。この動作が繰り返され、排紙トレイ32が規定のトレイ満杯高さまで達すると、用紙後処理装置1から画像形成装置2に停止信号が送出され、画像形成装置2における画像形成動作が停止する。
【0015】
<ステイプル処理>
搬送経路Pt3には、ステイプルトレイ36と叩きローラ30とが配置される。搬送経路Pt3の終端位置には、紙面と直交する方向へ進退するドライバ、クリンチャとで分割されたステイプラ41が配置されている。また、搬送経路Pt3には、紙面と直交する方向に進退してステイプルトレイ36上のシートSの整合を行うジョガーフェンス37,38が設けられている。搬送経路Pt3に搬送されたシートSは、ステイプルトレイ36上に排出され、ジョガーフェンス37,38によって幅方向位置が揃えられる。また、叩きローラ30は、振り子運動を行ってシートSの上面に当接することでステイプラ41方向にスイッチバックする。これにより、基準フェンス39,40にシートSの後端が突き当てられ、シート束Bの縦方向位置が揃えられる。
【0016】
端綴じモードでは、ステイプラ41が紙面と直交する方向に移動してシート束Bの下縁部の適所をステイプルすることによって、基準フェンス39,40に突き当てられて揃えられたシート束Bが綴じられ、排紙ローラ31,33が挟持することで排紙トレイ32上に排紙される。
【0017】
一方、中綴じモードでは、シートS(シート束B)の揃えが完了した後に、クランプ可動フェンス120,121によって、シート束Bの後端が挟持される。基準フェンス39,40はシート束Bの搬送に支障を来さないよう、シート束Bの幅方向の外側に待避する。クランプ可動フェンス120,121は、筐体の側板外に配置されたクランプ縦軸106に取り付けられて縦方向および湾曲した搬送経路Pt4に沿って横方向に移動する。クランプ可動フェンス120,121は、縦方向にはクランプ縦軸106によって移動し、横方向には、搬送経路Pt4と同一の軌跡である側板にあるガイドレール110に沿って移動し、シート束Bを搬送経路Pt4に沿って搬送する。後端を挟持されたシート束Bはガイドレール110に沿ってシートサイズに対応した所定位置まで搬送され、シート束Bの長手方向中央部の所定位置をステイプルされて中綴じされる。ここで、シートサイズに対応した所定位置とは、クランプ可動フェンスホームポジションセンサ49より所定パルス分送られた位置である。
【0018】
<折曲処理>
シートSまたはシート束Bは、クランプ可動フェンス120,121によってさらに下方へ搬送され、折曲機構4内へ導入される。クランプ可動フェンス120,121は、シートSまたはシート束Bの長手方向中央部が押し込み部材としてのブレード203に対向する位置で停止する。この後、シートSまたはシート束Bの折曲工程が実施される。シートSまたはシート束Bが停止した位置Pb(図2,3等参照)は、例えば、シートSまたはシート束Bの後端が位置センサ50によって検知され、シートサイズに対応した所定距離分を搬送ローラ駆動モータ403等を含む駆動機構により送られた位置であることができる。ブレード203は、図1の右から左へ移動して、位置Pbに停止したシートSまたはシート束Bの長手方向中央部を、一対の搬送ローラ206,207の間に押し込み、プレス部5へ導入する。
【0019】
次に、搬送ローラ206,207が回転して、それらの間隙に押し込まれたシートSまたはシート束Bを折り曲げながら、プレス部5内へ搬送する。このとき、折り曲げられたシートSまたはシート束Bのプレス部5への押し込み量、すなわち、折れ曲がったシートSまたはシート束Bの搬送ローラ206,207による搬送量は、シートSまたはシート束Bの枚数および厚さによって可変される。具体的には、例えば、折り先端検知センサ300(図10参照)によってシートSまたはシート束Bの折り先端Bt(図9,11参照)が検知された位置から、搬送ローラ駆動モータ403等を含む駆動機構によって搬送ローラ206,207を所定回数(角度)回転させることで、シートSまたはシート束Bが位置Pv(図10参照)に搬送される。
【0020】
そして、プレス部5内に導入され、折り先端Btが位置Pv(図10参照)に停止したシートSまたはシート束Bは、挟み込み部材としてのプレス板219,220によって、上下からプレスされる。プレスされたシートSまたはシート束Bは、搬送ローラ206,207と排紙ローラ58によって中綴じトレイ62上に排紙される。
【0021】
中綴じトレイ62に排出されたシートSまたはシート束Bは、シート押さえ60に取り付けられたシート押さえコロ61によって押さえられる。これにより、折られたシートSまたはシート束Bが膨らんで次のシートSまたはシート束Bが排出されにくくなるのが抑制される。なお、穿孔形成機構3および折曲機構4は、用紙後処理装置1に着脱可能に装着される。用紙後処理装置1では、これら穿孔形成機構3および折曲機構4による機能は、使用者のニーズに応じて提供されうる。
【0022】
<折曲機構の構成>
図2は、折曲機構4の斜視図、図3は、折曲機構4の側面図である。折曲機構4は、プレス板駆動カム201、ブレード駆動カム202、ブレード203、ブレード支持棒204、および側板205を有している。ブレード駆動カム202が回動すると、ブレード駆動カム202に設けられた溝202aに沿ってブレード支持棒204が水平移動し、ブレード203が図2,3中のX方向に移動してシートSまたはシート束Bの長手方向中央部をプレス部5内へ押し込む。
【0023】
図4は、図2の折曲機構4の部品を一部取り外した状態を示す図、図5は、図4の側面図である。プレス部5は、ブレード203によってプレス部5へ導入されたシートSまたはシート束Bをプレスする。プレス部5は、搬送ローラ206,207、移動プレート208、プレスガイドローラ211,212、プレス圧解除カム209,210を備えている。ブレード203によって一対の搬送ローラ206,207間に導入されたシートSまたはシート束Bは、図5には図示しない折り先端検知センサ300(図10参照)によって折り先端Bt(図9,11参照)が検知されるまで、搬送ローラ206,207によって搬送される。さらに、シートSまたはシート束Bは、搬送ローラ206,207の回転によって、プレス部5内の、挟み込み部材としてのプレス板219,220(図1,8〜10等参照)によってプレスが実行される位置Pv(図10参照)まで、搬送される。シートSまたはシート束Bは、このように一対の搬送ローラ206,207によって挟持されながらプレス部5内に搬送されることで、より深く折り曲げられる。なお、搬送ローラ206,207によるシートSまたはシート束Bの搬送量(移動量)は、制御部としてのCPU401(図13参照)によって制御される。また、本実施形態では、移動プレート208が図5の左右方向に移動可能に構成されており、さらに、この移動プレート208に接続されているプレスガイドローラ211,212ならびにプレス圧解除カム209,210が移動可能に構成されている。
【0024】
図6は、図4に示す折曲機構4からさらに移動プレート208を取り外した状態を示す斜視図である。図7は、図5,6のVII部の側面図である。上側のプレスユニット217の上側の左右端部、および下側のプレスユニット218の下側の左右端部には、スプリング(図示せず)によって押圧力が印加され、上側のプレスユニット217および下側のプレスユニット218は、相互に図6,7の上下方向に近接するように付勢されている。待機状態では、移動プレート208(図4,5参照)の内側に設けられたプレス圧解除カム209,210により、上側のプレスユニット217および下側のプレスユニット218は図6,7の上下方向に相互に離間された状態となっている。この待機状態で、プレス部5内にシートSまたはシート束Bを導入することができる。
【0025】
移動プレート208が図7中のX方向に移動すると移動プレート208に接続されているプレス圧解除カム209,210が移動し、上側のプレスユニット217のコロ213,215および下側のプレスユニット218のコロ214,216が、プレス解除カム209,210の傾斜面によって、それぞれ図7中のA方向およびB方向に移動し、これにより、シートSまたはシート束Bの折曲部が、プレス板219,220(図1,8〜10等参照)によってプレスされる。
【0026】
図8は、プレス部5の内部構成を示す斜視図である。図9は、図8の側面図である。上側および下側のプレスユニット217,218の内側には、それぞれ、挟み込み部材としてのプレス板219,220が接続されている。プレス圧解除カム209,210の移動により、上側および下側のプレスユニット217,218のそれぞれと連動して、プレス板219が図9中のA方向に、また、プレス板220が図9中のB方向に移動することにより、シートSまたはシート束Bが、プレス板219,220によって挟まれて、プレスされる。移動プレート208に接続されているプレスガイドローラ211,212は、移動プレート208の図9中のX方向への移動と連動してプレス板219,220上を移動することにより、プレスユニット217,218の側面の溝(図7の221,222,223,224)により回動可能なプレス板219,220の湾曲形状によって、シートSまたはシート束Bの折り先端Bt(図9,11参照)に向けて、挟み込みおよびプレスが施される。
【0027】
図10は、プレス部5の一部を簡略化して示した側面図である。図10には示さないシートSまたはシート束B(図9参照)をプレス部5に導入する搬送ローラ206,207とプレス板219,220との間には、折り先端検知センサ300が配置されている。図10中、P0は、折り先端検知センサ300の位置(基準位置)、P1は、一対の湾曲したプレス板219,220によってプレスが行えるプレス可能区間Smaxの最右端の位置(基準位置P0に最も近い位置)、P3は、最左端の位置(基準位置P0から最も遠い位置)、P2は、位置P1と位置P3との中間の位置、Pvは、プレス区間Svの最左端の位置(基準位置P0から最も遠い位置)である。また、図10中、L0は、基準位置P0から最右端の位置P1までの距離、Lvは、プレス区間Svの長さ、Lmaxは、プレス可能区間Smaxの長さである。
【0028】
湾曲したプレス板219,220は、図10には示さないプレスモータ404(図13参照)によって駆動される。プレス可能区間Smaxの全区間でプレスが行われる場合、プレス板219,220は、まず、実線で示される位置に配置され、シートSまたはシート束Bをプレスする。その後、プレス板219,220は、実線で示される位置から破線で示される状態を経由して一点鎖線で示される状態に徐々に移動し、それに伴って、プレスされる位置が、図10の右側から左側へ向けて徐々に移動する。
【0029】
上述したプレス処理が終了すると、プレス処理が終了したシートSまたはシート束Bの搬出、ならびに次のシートSまたはシート束Bの搬入のため、プレスモータ404が駆動されて、プレス板219,220が位置P1へ移動し、次いで、プレス圧解除カム209,210が駆動されて、上下のプレス板219,220が相互に離間する。
【0030】
そして、本実施形態では、プレス区間Sv(長さLv)を任意に変更することができる。すなわち、本実施形態では、例えば、プレス区間Svがプレス可能区間Smaxより短い場合には(Lv<Lmax)、プレス板219,220が位置P1から位置P3より手前の途中位置Pvまで動かされて、シートSまたはシート束Bがプレス区間Svでプレスされ、プレス板219,220が位置Pvから位置P1まで戻された後に、上下に相互に離間される。なお、プレス区間Svは、プレス可能区間Smaxの範囲内で設定される。
【0031】
本実施形態では、一対のプレス板219,220によるプレス区間Svは、シートSまたはシート束Bの枚数および厚さのうち少なくともいずれか一方に応じて変更される。図11は、シート束Bの枚数に応じたプレス区間Svの長さLvの設定例の説明図、図12は、シートSの厚さ毎のシートSまたはシート束Bの枚数Nとプレス区間Svの長さLvとの相関関係の一例を示す図である。
【0032】
図12に示すように、プレス区間Svの長さLvは、一例としては、シートSの枚数Nが増えるほど線形的に大きくなり(比例)、かつ、厚さが大きいほど大きくなるように、設定される。長さLvは、実験的に予め求められ、例えば、シートSの厚さや枚数Nによって増大する値に、シートSの「コシ」等によって変化する折曲部の膨らみや距離等に応じて増大するマージンが付加された値である。なお、図12では、シートSの枚数とプレス区間Svの長さLvとの相関関係が、シートSの厚さに応じた3区分で設定されているが、厚さの区分を例えば4区分としたり2区分としたりするなど、区分の数をより多くしたり少なくしたりすることも可能である。区分数を多くした場合には、シートSの厚さが大きいものに対してまで適用範囲を拡大することができたり、シートSの厚さに対する長さLvの精度をより向上して処理効率を高めることができたりといった効果が得られる。
【0033】
<制御回路の構成>
図13は、用紙後処理装置1の制御回路400の一部を示すブロック図、図14は、制御回路400に含まれるCPU(Central Processing Unit)401のブロック図である。用紙後処理装置1は、図13に示すように、CPU401や、ROM(Read Only Memory)402a、RAM(Random Access Memory)402b、NVRAM(Non Volatile Ram)402c、センサコントローラ402d、モータコントローラ402e,402f、通信インタフェース402g等を有している。これら各構成要素は、アドレスバス、データバス等のバスライン402hを介して相互に電気的に接続されている。
【0034】
CPU401は、ROM402a等に記憶されたコンピュータ読み取り可能な各種プログラムを実行することにより、用紙後処理装置1を制御する。ROM402aは、CPU401が実行する各種データや、各種プログラム(BIOS(Basic Input Output System)プログラム、アプリケーションプログラム、デバイスドライバプログラム等)等を記憶する。RAM402bは、CPU401が各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。また、NVRAM402cは、電源がオフ(OFF)された状態でも、後述する鍵(データ)等の各種データを記憶することができる。
【0035】
本実施形態では、プログラムに、プレス部5でプレスされるシートSの枚数を取得するモジュールや、シートSの厚さを取得するモジュール、シートSの厚さの区分を取得するモジュール、上下のプレス板219,220によるプレス区間Svの長さLvを演算するモジュール、搬送ローラ206,207によるシート束Bの搬送長さを演算するモジュール、基準位置信号として折り先端検知センサ300での検出信号を取得するモジュール、プレス板219,220の動作を制御するモジュール等が含まれている。よって、用紙後処理装置1のCPU401は、図14に示すように、シート枚数取得部401aや、シート厚さ取得部401b、シート厚さ区分取得部401c、プレス区間長さ算出部401d、搬送長さ算出部401e、基準位置信号取得部401g、プレス制御部401h等として機能する。なお、本実施形態では、プレス制御部401hが、挟み込み制御部に相当する。
【0036】
<折曲機構の制御>
図15は、制御回路400による折曲機構4の制御の一例を示すフローチャートである。まず、CPU401は、画像形成装置2から受け取った後処理の実行コマンド等の信号から、折曲処理を実行するか否かを取得する(ステップS1)。折曲処理が行われる場合は(ステップS1でYes)、ステップS2に移行し、行われない場合は(ステップS1でNo)、そのまま待機する。
【0037】
折曲処理が行われる場合(ステップS1でYes)、CPU401は、シート枚数取得部401aとして機能し、画像形成装置2から受け取った信号から、シートSの枚数を取得する(ステップS2)。次いで、CPU401は、画像形成装置2から受け取った信号から、シートSの厚さを取得する(ステップS3)。画像形成装置2には、シートSの厚さWを検知するシート厚センサ(図示せず)が装備されている。
【0038】
次に、CPU401は、シート厚さ区分取得部401cとして機能し、取得したシートSの厚さWと、区分の閾値W1,W2)とを比較することで、厚さ区分を取得する(ステップS4〜S8)。厚さWが閾値W1より小さい場合(ステップS4でYes)、厚さ区分は最も薄い「区分1」に設定される(ステップS6)。厚さWが閾値W2より大きい場合(ステップS5でYes)、厚さ区分は最も厚い「区分3」に設定される(ステップS7)。ステップS5でNoの場合、すなわち、厚さWが閾値W1以上でありかつ閾値W2以下である場合、厚さ区分は「区分2」に設定される(ステップS8)。
【0039】
閾値W1,W2は、実験等に基づいて予め設定される。具体的には、例えば、用紙後処理装置1のシートSのキロ連量対応力が42kg〜180kgであった場合において、42kg〜63kg(1枚辺りの厚さに換算すると一般的な上質紙は0.06〜0.08mm程度)までの用紙を薄紙(区分1)と設定する場合には、閾値W1は上限の0.08mmに設定される。なお、この例では、キロ連量対応力は、42kg〜63kgであったが、42kg〜55kg等、別の値であってもよい。連量とは、四六版の用紙1000枚あたりの重量である。また、用紙後処理装置1のシートSのキロ連量対応力が42kg〜180kgであった場合において、90kg〜180kg(1枚辺りの厚さに換算すると一般的な上質紙は0.13〜0.23mm程度)までの用紙を厚紙(区分3)と設定する場合には、閾値W2を下限の0.13mmとする。なお、この例では、キロ連量対応力は、90kg〜180kgであったが、110kg〜180kg等、別の値であってもよい。一例として、閾値W1,W2は、NVRAM402c等の記憶部に格納され、CPU401は、その記憶部に格納された閾値W1,W2を参照して、厚さ区分を取得する。
【0040】
次に、CPU401は、プレス区間長さ算出部401dとして機能し、NVRAM402cに記憶されたテーブルを参照して、ステップS6〜S8で取得された厚さ区分かつステップS2で取得されたシートSの枚数に応じたプレス区間Svの長さLvを算出する(ステップS9)。このステップS9で、プレス区間長さ算出部401dは、例えば、NVRAM402cに記憶された複数の代表値(図12でプロットされた点での値)から、内挿や外挿等の手法によって、ステップS6〜S8で取得された厚さ区分かつステップS2で取得されたシートSの枚数に応じたプレス区間Svの長さLvを算出する。また、プレス区間長さ算出部401dは、予め設定された関数(例えば1次関数、数式等)に、ステップS2で取得されたシートSの枚数を入力することで、プレス区間Svの長さLvを算出することができる。この場合、関数は厚さ区分毎に設定したり、厚さ区分毎に関数の係数を変更したりすることができる。
【0041】
次に、CPU401は、NVRAM402c等の記憶部から、用紙後処理装置1に対応した折り先端検知センサ300から最右端の位置P1までの距離L0を取得する(ステップS10)。この距離Lは、用紙後処理装置1や折曲機構4等に応じて設定される。
【0042】
次に、CPU401は、搬送制御部401fとして動作し、搬送ローラ駆動モータ403(図13参照)を駆動して一対の搬送ローラ206,207を回転させ、シートSあるいはシート束Bを搬送可能な状態にするとともに、一対の搬送ローラ206,207間に押し込まれたシートSあるいはシート束Bをプレス部5の内側へ搬送する(ステップS11)。そして、CPU401は、基準位置信号取得部401gとして動作して折り先端検知センサ300から検知信号としての基準位置信号を受け取ると、搬送制御部401fは、その基準位置信号を受け取った時点からシートSあるいはシート束Bが所定距離搬送された時点で搬送ローラ駆動モータ403を停止する。すなわち、搬送制御部401fは、シートSあるいはシート束Bを、折り先端検知センサ300で検知されてから所定距離搬送させる(ステップS12)。このステップS12での所定距離は、Lv+L0とする。これにより、シートSあるいはシート束Bは、プレス板219,220によってプレスされる位置まで搬送される。
【0043】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、必要に応じてプレスモータ404を駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、図10の位置P1に位置させる(ステップS13)。
【0044】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレスモータ404を駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、位置P3側に向けてプレス区間Svの長さLv分移動させ、当該プレス区間SvでシートSあるいはシート束BをX方向(図10参照)にプレスする(ステップS14)。
【0045】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレスモータ404を上記ステップS14とは逆回転方向に駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、位置P1側に向けてプレス区間Svの長さLv分移動させ、当該プレス区間SvでシートSあるいはシート束BをX方向と逆方向にプレスする(ステップS15)。
【0046】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレスモータ404をさらにステップS14とは逆回転方向に駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、相互に離間させる(ステップS16)。そして、CPU401は、用紙後処理装置1の各部を制御して、プレス処理されたシートSあるいはシート束Bを、中綴じトレイ62上に排出(排紙)する(ステップS17)。
【0047】
このように、本実施形態では、挟み込み制御部としてのプレス制御部401hが、シートSの枚数および厚さのうち少なくとも一方(本実施形態では双方)に応じて、挟み込み部材としてのプレス板219,220の移動(移動位置や移動量等)を可変制御する。また、本実施形態では、搬送制御部401fが、シートSの枚数および厚さのうち少なくとも一方(本実施形態では双方)に応じて、一対のローラとしての搬送ローラ206,207によるシートSあるいはシート束Bの搬送(搬送位置や搬送量等)を可変制御する。そして、本実施形態では、これらの制御によって、シートSあるいはシート束Bの挟み込み処理区間の長さを、シートSあるいはシート束Bのスペックに応じて、より適切に可変設定することができる。したがって、本実施形態によれば、無駄なプレス動作を減らすことができる。このため、折曲処理のスループットを向上することができるとともに、単位時間あたりの折曲処理の枚数を増大することができる。
【0048】
一例としては、用紙後処理装置1が対応している最大のプレス長さLmaxを15mm、2枚折り/厚紙のシート束Bに対するプレス長さLvを0.5mm、プレス板219,220によって1mmの距離をプレスするのに要する時間を0.05s(秒)とすると、2枚折り/厚紙の用紙束をプレスするのに掛かる時間は、上述した制御を用いず最大長さLmaxをプレスした場合には、15mm×0.05s×2(プレス板219,220の往復動作分)=1.5s、上述した制御によって長さLvをプレスした場合には、0.5mm×0.05s×2(プレス板の往復分)=0.5sとなる。すなわち、本実施形態によれば、プレスに要する時間を1.5−0.5=1s短縮することができる。この時間差は、処理数が増えるほど顕著になることが、理解できよう。
【0049】
なお、挟み込み処理区間の長さは、挟み込み部材としてのプレス板219,220の移動量のみによって可変することができるし、搬送ローラ206,207によるシートSまたはシート束Bの搬送量のみによって可変することもできる。本実施形態では、これらの双方を制御することで、より効率良く挟み込み処理を実行することができる。また、制御部としてのCPU401は、シートSの枚数および厚さのうち一方のみに応じて、プレス板219,220の移動あるいはシートSあるいはシート束Bの搬送の可変制御を実行してもよい。
【0050】
さらに、本実施形態では、挟み込み部材としてのプレス板219,220のうち少なくとも一方の少なくとも一部を、例えば、エラストマや、合成樹脂、可撓性を有した金属部材などの、弾性体として構成するのが好適である。これにより、プレスの開始あるいは終了時等に、プレス板219,220同士が当接あるいは離間することによる音や振動が生じるのを抑制することができる。弾性体を、例えばエラストマとして構成した場合、当該弾性体を、プレス板219,220の当接面に設けたり、プレス板219,220の被支持部(基端部)と当接部(先端部)との間に弾性体を介在させたりすることができる。
【0051】
(第2実施形態)
<離間機構>
図16は、挟み込み部材としてのプレス板219,220を相互に離間させる離間機構310の概略構成図である。図17は、離間機構310の動作を示す図であって、(a)は、プレスユニット217,218が相互に離間した状態を示す図、(b)は、プレスユニット217,218が相互に近接した状態を示す図である。本実施形態にかかる用紙後処理装置1は、挟み込み部材としてのプレス板219,220の位置によらず、プレスユニット217,218を上下に離間あるいは近接させる離間機構310を備えている。離間機構310は、離間機構駆動モータ301や、離間機構駆動モータ301の出力軸に取り付けられたウォーム302、プレスユニット離間プレート304、プレスユニット離間プレート304の内側に設けられたプレスユニット離間部材306,307、ウォーム302とプレスユニット離間プレート304に設けられたラック305とに噛合したギア303等を有している。この離間機構310で、離間機構駆動モータ301を正転(矢印方向に回転)させると、ウォーム302が回転し、ウォーム302に噛み合うギア303が、図中反時計回り方向に回転する。さらに、ギア303に噛み合うラック305によって、プレスユニット離間プレート304は図中左方向へ移動する。離間機構駆動モータ301を逆転させると、プレスユニット離間プレート304が図中右方向へ移動する。
【0052】
図17の(a)および(b)に示すように、離間機構駆動モータ301を駆動することでプレスユニット離間部材306,307を右方向へ移動させると、プレスユニット離間部材306,307に設けられた傾斜によってプレスユニット217,218上に設けられたコロ213,214,215,216がプレスユニット離間部材306,307に乗り上げて、プレスユニット217,218が上下方向に相互に離間する。逆に、離間機構駆動モータ301を駆動することでプレスユニット離間部材306,307を左方向へ移動させると、図示しないスプリング等の付勢機構による付勢力によって、プレスユニット217,218が上下方向に相互に近接する。すなわち、本実施形態では、離間機構310は、近接機構にも相当する。
【0053】
<折曲機構の制御>
図18は、本実施形態にかかる制御回路400による折曲機構4の制御の一例を示すフローチャートである。図18では、図15と同じ処理については図15と共通の符号が付与されている。なお、本実施形態では、図13中に破線で示すように、制御回路400に、離間機構駆動モータ301用のモータコントローラ402iが含まれている。また、CPU401には、図14中に破線で示す離間制御部401iが含まれている(判断部401jは含まれない)。CPU401は、当該CPU401を動作させるプログラムに含まれた離間機構駆動モータ301の動作を制御するモジュールにより、離間制御部401iとして動作する。
【0054】
ステップS1からステップS12までは上記第1実施形態(図15)と同様であるため、重複する説明を省略する。ステップS12の後のステップS13aにおいて、本実施形態では、CPU401は、離間制御部401iとして動作し、離間機構駆動モータ301を制御して、上下のプレス板219,220を相互に近接させて、シートSあるいはシート束Bをプレスする(ステップS13a)。このステップS13aで、シートSあるいはシート束Bが挟み込まれる位置は、図10の位置P1である。
【0055】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレスモータ404を駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、図16,17の左側に向けてプレス区間Svの長さLv分移動させ、当該プレス区間SvでシートSあるいはシート束BをX方向にプレスする(ステップS14)。
【0056】
次に、CPU401は、離間制御部401iとして動作し、離間機構駆動モータ301を制御して、上下のプレス板219,220を相互に離間させる(ステップS16a)。このステップS16aでは、プレス区間Svの長さLvによらず、すなわち、プレス板219,220の位置によらず、プレス板219,220を相互に離間させることができる。
【0057】
次に、CPU401は、用紙後処理装置1の各部を制御して、プレス処理されたシートSあるいはシート束Bを、中綴じトレイ62上に排紙する(ステップS17)。
【0058】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレスモータ404を上記ステップS14とは逆回転方向に駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、位置P1側に向けてプレス区間Svの長さLv分移動させる(戻す、ステップS15a)。ただし、このステップS15aでは、プレス板219,220同士は相互に離間しており、プレス板219,220によるシートSまたはシート束Bに対するプレスは実行されない。本実施形態では、位置P1は、ホームポジションと言うことができる。
【0059】
以上の第2実施形態にかかる用紙後処理装置1によれば、シートSまたはシート束Bに対するプレス処理が完了した後、速やかにプレス板219,220を相互に離間させ、シートSまたはシート束Bを排出することができる。よって、折曲処理の処理効率をより向上することができる。
【0060】
(第3実施形態)
<折曲機構の制御>
図19は、本実施形態にかかる制御回路400による折曲機構4の制御の一例を示すフローチャートである。図19では、図15,18と同じ処理については図15,18と共通の符号が付与されている。なお、本実施形態でも、上記第2実施形態と同様、図13中に破線で示すように、制御回路400に、離間機構駆動モータ301用のモータコントローラ402iが含まれている。また、CPU401には、図14中に破線で示す離間制御部401iに加えて、判断部401jが含まれている。CPU401は、当該CPU401を動作させるプログラムに含まれた離間機構駆動モータ301の動作を制御するモジュールにより、離間制御部401iとして動作し、プログラムに含まれた判断する(判断内容は後述)モジュールにより、判断部401jとして動作する。
【0061】
ステップS1からステップS10までは上記第2実施形態(図18)と同様であるため、重複する説明を省略する。ステップS10の後のステップS11aにおいて、本実施形態では、CPU401は、プレス板219,220の現在位置Pcを取得する(ステップS11a)。現在位置Pcは、基準位置P0を原点とする。
【0062】
次に、CPU401は、判断部401jとして動作し、現在位置(以降、Pcと記す)から挟み込み部材としてのプレス板219,220の移動を開始した場合に、プレス板219,220の移動量が足りるか否かを判断する。すなわち、判断部401jは、まず、現在位置Pc(位置P1からの距離:Lc)から位置Pmaxまでの残存距離(Lmax−Lc)を取得し、この残存距離(Lmax−Lc)と、ステップS9で算出されたプレス区間Svの長さLvとを比較する(ステップS11b)。ここで、残存距離(Lmax−Lc)がプレス区間Svの長さLv以上である場合(ステップS11bでYes)、現在位置Pcからプレスが開始されて基準位置P0より遠い側に向けて実行された場合に、ステップS9で算出されたプレス区間Svの長さLvの分のプレスを実行できることになる。よって、この場合は、CPU401は、図15,18のステップS11と同様に、搬送制御部401fとして動作し、搬送ローラ駆動モータ403(図13参照)を駆動して一対の搬送ローラ206,207を回転させ、シートSあるいはシート束Bを搬送可能な状態にするとともに、一対の搬送ローラ206,207間に導入されたシートSあるいはシート束Bをプレス部5の内側へ搬送する(ステップS11)。そして、CPU401は、基準位置信号取得部401gとして動作して折り先端検知センサ300から検知信号としての基準位置信号を受け取ると、搬送制御部401fは、その基準位置信号を受け取った時点からシートSあるいはシート束Bが所定距離搬送された時点で搬送ローラ駆動モータ403を停止する。すなわち、搬送制御部401fは、シートSあるいはシート束Bを、折り先端検知センサ300で検知されてから所定距離搬送させる(ステップS12a)。このステップS12aでの所定距離は、Lv+Lc+L0とする。これにより、シートSあるいはシート束Bは、プレス板219,220によってプレスされる位置まで搬送される。
【0063】
一方、ステップS11bでNoの場合、すなわち、残存距離(Lmax−Lc)がプレス区間Svの長さLvより小さい場合、現在位置Pcからプレスが開始されて基準位置P0より遠い側に向けて実行された場合には、残存距離(Lmax−Lc)が不足して、ステップS9で算出されたプレス区間Svの長さLvの分のプレスを実行できないことになる。よって、この場合は、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレス板219,220を、位置P1(図10参照)へ移動させる(ステップS11c)、また、このステップS11cに伴って、現在位置Pcに対応する距離Lcを0(ゼロ)にする(ステップS11d)。その後、ステップS11,12aが実行される。
【0064】
また、ステップS12aの後のステップS13a,S14,S16a,S17,S15aは、上記第2実施形態(図18)と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0065】
ステップS17が終了した時点で、基準位置P0からプレスが終了した位置までの長さはLc+Lvである。CPU401は、この長さを次回のプレス処理で用いる基準位置P0から現在位置Pcまでの長さLcとして、記憶部としてのNVRAM402cに記憶する(ステップS18)。これにより、次のシートSまたはシート束Bに対するプレス処理では、プレスが終了した時点でのプレス板219,220の位置から、プレスが実行できる場合には、プレスが実行される。したがって、本実施形態によれば、プレス板219,220を戻すことなくプレスが実行される場合を増やすことができるため、折曲処理のスループットをより向上することができるとともに、単位時間あたりの折曲処理の枚数をより増大することができる。また、プレスモータ404の駆動頻度を減らすことができる分、エネルギの消費を減らすことができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、折曲機構は画像形成装置の後段の一部に設けることができる。また、用紙後処理装置の他の部分の構成を、適宜変更して実施することができる。また、本発明は、ステイプルを施していないシートを折曲する場合にも適用することができる。また、挟み込み部材は、上記実施形態の構成には限定されず、例えば、用紙に沿って移動しながら用紙を挟む込む一対のローラ等として構成することも可能である。また、用紙に沿って移動しないタイプの挟み込み部材について、用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて用紙の搬送量を可変制御することで挟み込み処理区間の長さを変化させて、搬送に要する時間を調整し、ひいては挟み込み処理の効率を向上することも可能である。また、用紙後処理装置や、画像形成装置、押し込み部材、ローラ、挟み込み部材、近接機構、離間機構等のスペック(方式、構成、形状、材質、数、配置、大きさ、長さ、幅、厚さ等)は、適宜に変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明は、用紙折曲装置や、折曲機構を有した用紙後処理装置または画像形成装置等に有用である。
【符号の説明】
【0068】
1…用紙後処理装置(用紙折曲装置の一例)
2…画像形成装置
203…ブレード(押し込み部材の一例)
206,207…搬送ローラ(ローラの一例)
219,220…プレス板(挟み込み部材の一例)
310…離間機構(近接機構の一例)
401…CPU(制御部の一例)
401h…プレス制御部(挟み込み制御部の一例)
401f…搬送制御部
401j…判断部
S…シート(用紙の一例)
B…シート束(用紙の一例)
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙折曲装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機等の画像形成装置の後段に設けられて、用紙にステイプル処理や折曲処理を実行する用紙後処理装置が知られている。折曲処理では、一対の挟み込み部材により、折曲された用紙(シートあるいはシート束)に対して挟み込み処理(プレス処理)が施される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−210436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の上記挟み込み処理では、挟み込み処理の処理区間の長さが一定であったため、本来は短い処理区間で済む用紙に対しては、挟み込み処理が無駄に実行されていた。
【0005】
そこで、本発明は、より効率よく挟み込み処理を実行することが可能な用紙折曲装置および画像形成装置を得ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる用紙折曲装置にあっては、折り曲げられた用紙を挟み込む一対の挟み込み部材と、前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、前記挟み込み部材による前記用紙の挟み込み処理区間の長さを可変制御する制御部と、を備えたことを特徴の一つとする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、挟み込み部材の移動量、すなわち挟み込み処理の処理区間の長さを、可変することができるため、挟み込み処理をより効率よく実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の折曲機構の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の折曲機構の側面図である。
【図4】図4は、図2から折曲機構の部品を一部取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、図4の側面図である。
【図6】図6は、図4から折曲機構の部品をさらに取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、図5,6のVII部の側面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の折曲機構に含まれるプレス部の内部構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8の側面図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の折曲機構に含まれるプレス部の一例を簡略化して示した側面図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置におけるシート束の枚数に応じたプレス区間の長さの設定例を示す説明図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置におけるシートの厚さ毎の、シートまたはシート束の枚数と、プレス区間の長さと、の相関関係の一例を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の制御回路の一部の一例を示すブロック図である。
【図14】図14は、図13の制御回路に含まれるCPUの一部の一例を示すブロック図である。
【図15】図15は、本発明の第1実施形態にかかる用紙折曲装置の制御回路による折曲機構の制御の一例を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の第2実施形態にかかる用紙折曲装置の挟み込み部材を相互に離間させる離間機構の概略構成図である。
【図17】図17は、図16の離間機構の動作の一例を示す説明図であって、(a)は、プレスユニットが相互に離間した状態を示す図、(b)は、プレスユニットが相互に近接した状態を示す図である。
【図18】図18は、本発明の第2実施形態にかかる用紙折曲装置の制御回路による折曲機構の制御の一例を示すフローチャートである。
【図19】図19は、本発明の第3実施形態にかかる用紙折曲装置の制御回路による折曲機構の制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素については、共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
<用紙の経路>
図1は、第1実施形態にかかる用紙折曲装置としての用紙後処理装置1の概略構成を示す説明図である。図1に示すように、用紙後処理装置1には、画像形成装置2から排出された画像形成済みの用紙としてのシートSを受け入れる導入経路Pt1と、シートSを排紙トレイ22に積載するための搬送経路Pt2と、シートSにステイプル処理等が行われる搬送経路Pt3と、搬送経路Pt3からシートSまたはシート束B(図2,3等参照)を折曲機構4へ搬送する搬送経路Pt4と、が設けられている。
【0011】
<用紙の導入>
導入経路Pt1には、入口ローラ10と入口センサ13とが配置されている。入口センサ13は、シートSが用紙後処理装置1内へ搬入されたことを検知する。入口ローラ10の下流にはシートSに穿孔を形成する穿孔形成機構3が配置されており、さらに、その下流には搬送ローラ11,12が配置されている。シートSは、これらを経て搬送経路Pt3へ搬送される。
【0012】
<プルーフ排出>
搬送経路Pt2はシートSを排紙トレイ22へ搬送する経路である。導入経路Pt1から分岐爪20で進行方向を変えられたシートSが、排出ローラ21によって排紙トレイ22へと搬送される。
【0013】
<シフト、スタック>
搬送経路Pt3には、排紙ローラ31,33や排紙センサ35等が配置されている。ソートモード時には、シフト機構(図示せず)を有する搬送ローラ12が搬送ローラ駆動モータ403(図13参照)等を含む駆動機構によってシートSの搬送中にその搬送方向と直角方向に一定量移動することにより、シートSが、一定量シフトし、排紙ローラ33によって排紙トレイ32に排出されて、順次スタックされる。排紙トレイ32への排出口部では、排紙ローラ33と従動ローラ(排紙ローラ)31とで用紙としてのシートSまたは用紙としてのシート束Bが挟持され、排出される。すなわち、排紙ローラ33に対する従動ローラ31を備えた排出ガイド31aの接離動作によって、シートSまたはシート束Bが挟持されて排出可能な閉状態と、挟持されない開状態とが選択され、シートSまたはシート束Bのシフト動作が完了した後、シートSまたはシート束Bが挟持され、排出される。
【0014】
<シフトトレイの上下動作>
排紙口の上方付近には、フィラー34が設けられている。フィラー34は、スタックされたときのシートSの中央付近位置に回動自由に配置され、フィラー34の先端は、シートSの上面に接している。フィラー34の根元付近には、フィラー34の先端の高さ位置を検知する上面検知センサ(図示せず)があり、これによりスタックされたシートSの紙面高さが検知される。排紙トレイ32上の堆積枚数の増大によりシートSの高さが上昇するにしたがって、上面検知センサがONすると、制御部としてのCPU401(図14等参照)は排紙トレイ32を上下動させる駆動機構(図示せず)を制御して排紙トレイ32を下降させる。CPU401は、排紙トレイ32が下降して上面検知センサがOFFすると、排紙トレイ32の下降を停止させる。この動作が繰り返され、排紙トレイ32が規定のトレイ満杯高さまで達すると、用紙後処理装置1から画像形成装置2に停止信号が送出され、画像形成装置2における画像形成動作が停止する。
【0015】
<ステイプル処理>
搬送経路Pt3には、ステイプルトレイ36と叩きローラ30とが配置される。搬送経路Pt3の終端位置には、紙面と直交する方向へ進退するドライバ、クリンチャとで分割されたステイプラ41が配置されている。また、搬送経路Pt3には、紙面と直交する方向に進退してステイプルトレイ36上のシートSの整合を行うジョガーフェンス37,38が設けられている。搬送経路Pt3に搬送されたシートSは、ステイプルトレイ36上に排出され、ジョガーフェンス37,38によって幅方向位置が揃えられる。また、叩きローラ30は、振り子運動を行ってシートSの上面に当接することでステイプラ41方向にスイッチバックする。これにより、基準フェンス39,40にシートSの後端が突き当てられ、シート束Bの縦方向位置が揃えられる。
【0016】
端綴じモードでは、ステイプラ41が紙面と直交する方向に移動してシート束Bの下縁部の適所をステイプルすることによって、基準フェンス39,40に突き当てられて揃えられたシート束Bが綴じられ、排紙ローラ31,33が挟持することで排紙トレイ32上に排紙される。
【0017】
一方、中綴じモードでは、シートS(シート束B)の揃えが完了した後に、クランプ可動フェンス120,121によって、シート束Bの後端が挟持される。基準フェンス39,40はシート束Bの搬送に支障を来さないよう、シート束Bの幅方向の外側に待避する。クランプ可動フェンス120,121は、筐体の側板外に配置されたクランプ縦軸106に取り付けられて縦方向および湾曲した搬送経路Pt4に沿って横方向に移動する。クランプ可動フェンス120,121は、縦方向にはクランプ縦軸106によって移動し、横方向には、搬送経路Pt4と同一の軌跡である側板にあるガイドレール110に沿って移動し、シート束Bを搬送経路Pt4に沿って搬送する。後端を挟持されたシート束Bはガイドレール110に沿ってシートサイズに対応した所定位置まで搬送され、シート束Bの長手方向中央部の所定位置をステイプルされて中綴じされる。ここで、シートサイズに対応した所定位置とは、クランプ可動フェンスホームポジションセンサ49より所定パルス分送られた位置である。
【0018】
<折曲処理>
シートSまたはシート束Bは、クランプ可動フェンス120,121によってさらに下方へ搬送され、折曲機構4内へ導入される。クランプ可動フェンス120,121は、シートSまたはシート束Bの長手方向中央部が押し込み部材としてのブレード203に対向する位置で停止する。この後、シートSまたはシート束Bの折曲工程が実施される。シートSまたはシート束Bが停止した位置Pb(図2,3等参照)は、例えば、シートSまたはシート束Bの後端が位置センサ50によって検知され、シートサイズに対応した所定距離分を搬送ローラ駆動モータ403等を含む駆動機構により送られた位置であることができる。ブレード203は、図1の右から左へ移動して、位置Pbに停止したシートSまたはシート束Bの長手方向中央部を、一対の搬送ローラ206,207の間に押し込み、プレス部5へ導入する。
【0019】
次に、搬送ローラ206,207が回転して、それらの間隙に押し込まれたシートSまたはシート束Bを折り曲げながら、プレス部5内へ搬送する。このとき、折り曲げられたシートSまたはシート束Bのプレス部5への押し込み量、すなわち、折れ曲がったシートSまたはシート束Bの搬送ローラ206,207による搬送量は、シートSまたはシート束Bの枚数および厚さによって可変される。具体的には、例えば、折り先端検知センサ300(図10参照)によってシートSまたはシート束Bの折り先端Bt(図9,11参照)が検知された位置から、搬送ローラ駆動モータ403等を含む駆動機構によって搬送ローラ206,207を所定回数(角度)回転させることで、シートSまたはシート束Bが位置Pv(図10参照)に搬送される。
【0020】
そして、プレス部5内に導入され、折り先端Btが位置Pv(図10参照)に停止したシートSまたはシート束Bは、挟み込み部材としてのプレス板219,220によって、上下からプレスされる。プレスされたシートSまたはシート束Bは、搬送ローラ206,207と排紙ローラ58によって中綴じトレイ62上に排紙される。
【0021】
中綴じトレイ62に排出されたシートSまたはシート束Bは、シート押さえ60に取り付けられたシート押さえコロ61によって押さえられる。これにより、折られたシートSまたはシート束Bが膨らんで次のシートSまたはシート束Bが排出されにくくなるのが抑制される。なお、穿孔形成機構3および折曲機構4は、用紙後処理装置1に着脱可能に装着される。用紙後処理装置1では、これら穿孔形成機構3および折曲機構4による機能は、使用者のニーズに応じて提供されうる。
【0022】
<折曲機構の構成>
図2は、折曲機構4の斜視図、図3は、折曲機構4の側面図である。折曲機構4は、プレス板駆動カム201、ブレード駆動カム202、ブレード203、ブレード支持棒204、および側板205を有している。ブレード駆動カム202が回動すると、ブレード駆動カム202に設けられた溝202aに沿ってブレード支持棒204が水平移動し、ブレード203が図2,3中のX方向に移動してシートSまたはシート束Bの長手方向中央部をプレス部5内へ押し込む。
【0023】
図4は、図2の折曲機構4の部品を一部取り外した状態を示す図、図5は、図4の側面図である。プレス部5は、ブレード203によってプレス部5へ導入されたシートSまたはシート束Bをプレスする。プレス部5は、搬送ローラ206,207、移動プレート208、プレスガイドローラ211,212、プレス圧解除カム209,210を備えている。ブレード203によって一対の搬送ローラ206,207間に導入されたシートSまたはシート束Bは、図5には図示しない折り先端検知センサ300(図10参照)によって折り先端Bt(図9,11参照)が検知されるまで、搬送ローラ206,207によって搬送される。さらに、シートSまたはシート束Bは、搬送ローラ206,207の回転によって、プレス部5内の、挟み込み部材としてのプレス板219,220(図1,8〜10等参照)によってプレスが実行される位置Pv(図10参照)まで、搬送される。シートSまたはシート束Bは、このように一対の搬送ローラ206,207によって挟持されながらプレス部5内に搬送されることで、より深く折り曲げられる。なお、搬送ローラ206,207によるシートSまたはシート束Bの搬送量(移動量)は、制御部としてのCPU401(図13参照)によって制御される。また、本実施形態では、移動プレート208が図5の左右方向に移動可能に構成されており、さらに、この移動プレート208に接続されているプレスガイドローラ211,212ならびにプレス圧解除カム209,210が移動可能に構成されている。
【0024】
図6は、図4に示す折曲機構4からさらに移動プレート208を取り外した状態を示す斜視図である。図7は、図5,6のVII部の側面図である。上側のプレスユニット217の上側の左右端部、および下側のプレスユニット218の下側の左右端部には、スプリング(図示せず)によって押圧力が印加され、上側のプレスユニット217および下側のプレスユニット218は、相互に図6,7の上下方向に近接するように付勢されている。待機状態では、移動プレート208(図4,5参照)の内側に設けられたプレス圧解除カム209,210により、上側のプレスユニット217および下側のプレスユニット218は図6,7の上下方向に相互に離間された状態となっている。この待機状態で、プレス部5内にシートSまたはシート束Bを導入することができる。
【0025】
移動プレート208が図7中のX方向に移動すると移動プレート208に接続されているプレス圧解除カム209,210が移動し、上側のプレスユニット217のコロ213,215および下側のプレスユニット218のコロ214,216が、プレス解除カム209,210の傾斜面によって、それぞれ図7中のA方向およびB方向に移動し、これにより、シートSまたはシート束Bの折曲部が、プレス板219,220(図1,8〜10等参照)によってプレスされる。
【0026】
図8は、プレス部5の内部構成を示す斜視図である。図9は、図8の側面図である。上側および下側のプレスユニット217,218の内側には、それぞれ、挟み込み部材としてのプレス板219,220が接続されている。プレス圧解除カム209,210の移動により、上側および下側のプレスユニット217,218のそれぞれと連動して、プレス板219が図9中のA方向に、また、プレス板220が図9中のB方向に移動することにより、シートSまたはシート束Bが、プレス板219,220によって挟まれて、プレスされる。移動プレート208に接続されているプレスガイドローラ211,212は、移動プレート208の図9中のX方向への移動と連動してプレス板219,220上を移動することにより、プレスユニット217,218の側面の溝(図7の221,222,223,224)により回動可能なプレス板219,220の湾曲形状によって、シートSまたはシート束Bの折り先端Bt(図9,11参照)に向けて、挟み込みおよびプレスが施される。
【0027】
図10は、プレス部5の一部を簡略化して示した側面図である。図10には示さないシートSまたはシート束B(図9参照)をプレス部5に導入する搬送ローラ206,207とプレス板219,220との間には、折り先端検知センサ300が配置されている。図10中、P0は、折り先端検知センサ300の位置(基準位置)、P1は、一対の湾曲したプレス板219,220によってプレスが行えるプレス可能区間Smaxの最右端の位置(基準位置P0に最も近い位置)、P3は、最左端の位置(基準位置P0から最も遠い位置)、P2は、位置P1と位置P3との中間の位置、Pvは、プレス区間Svの最左端の位置(基準位置P0から最も遠い位置)である。また、図10中、L0は、基準位置P0から最右端の位置P1までの距離、Lvは、プレス区間Svの長さ、Lmaxは、プレス可能区間Smaxの長さである。
【0028】
湾曲したプレス板219,220は、図10には示さないプレスモータ404(図13参照)によって駆動される。プレス可能区間Smaxの全区間でプレスが行われる場合、プレス板219,220は、まず、実線で示される位置に配置され、シートSまたはシート束Bをプレスする。その後、プレス板219,220は、実線で示される位置から破線で示される状態を経由して一点鎖線で示される状態に徐々に移動し、それに伴って、プレスされる位置が、図10の右側から左側へ向けて徐々に移動する。
【0029】
上述したプレス処理が終了すると、プレス処理が終了したシートSまたはシート束Bの搬出、ならびに次のシートSまたはシート束Bの搬入のため、プレスモータ404が駆動されて、プレス板219,220が位置P1へ移動し、次いで、プレス圧解除カム209,210が駆動されて、上下のプレス板219,220が相互に離間する。
【0030】
そして、本実施形態では、プレス区間Sv(長さLv)を任意に変更することができる。すなわち、本実施形態では、例えば、プレス区間Svがプレス可能区間Smaxより短い場合には(Lv<Lmax)、プレス板219,220が位置P1から位置P3より手前の途中位置Pvまで動かされて、シートSまたはシート束Bがプレス区間Svでプレスされ、プレス板219,220が位置Pvから位置P1まで戻された後に、上下に相互に離間される。なお、プレス区間Svは、プレス可能区間Smaxの範囲内で設定される。
【0031】
本実施形態では、一対のプレス板219,220によるプレス区間Svは、シートSまたはシート束Bの枚数および厚さのうち少なくともいずれか一方に応じて変更される。図11は、シート束Bの枚数に応じたプレス区間Svの長さLvの設定例の説明図、図12は、シートSの厚さ毎のシートSまたはシート束Bの枚数Nとプレス区間Svの長さLvとの相関関係の一例を示す図である。
【0032】
図12に示すように、プレス区間Svの長さLvは、一例としては、シートSの枚数Nが増えるほど線形的に大きくなり(比例)、かつ、厚さが大きいほど大きくなるように、設定される。長さLvは、実験的に予め求められ、例えば、シートSの厚さや枚数Nによって増大する値に、シートSの「コシ」等によって変化する折曲部の膨らみや距離等に応じて増大するマージンが付加された値である。なお、図12では、シートSの枚数とプレス区間Svの長さLvとの相関関係が、シートSの厚さに応じた3区分で設定されているが、厚さの区分を例えば4区分としたり2区分としたりするなど、区分の数をより多くしたり少なくしたりすることも可能である。区分数を多くした場合には、シートSの厚さが大きいものに対してまで適用範囲を拡大することができたり、シートSの厚さに対する長さLvの精度をより向上して処理効率を高めることができたりといった効果が得られる。
【0033】
<制御回路の構成>
図13は、用紙後処理装置1の制御回路400の一部を示すブロック図、図14は、制御回路400に含まれるCPU(Central Processing Unit)401のブロック図である。用紙後処理装置1は、図13に示すように、CPU401や、ROM(Read Only Memory)402a、RAM(Random Access Memory)402b、NVRAM(Non Volatile Ram)402c、センサコントローラ402d、モータコントローラ402e,402f、通信インタフェース402g等を有している。これら各構成要素は、アドレスバス、データバス等のバスライン402hを介して相互に電気的に接続されている。
【0034】
CPU401は、ROM402a等に記憶されたコンピュータ読み取り可能な各種プログラムを実行することにより、用紙後処理装置1を制御する。ROM402aは、CPU401が実行する各種データや、各種プログラム(BIOS(Basic Input Output System)プログラム、アプリケーションプログラム、デバイスドライバプログラム等)等を記憶する。RAM402bは、CPU401が各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。また、NVRAM402cは、電源がオフ(OFF)された状態でも、後述する鍵(データ)等の各種データを記憶することができる。
【0035】
本実施形態では、プログラムに、プレス部5でプレスされるシートSの枚数を取得するモジュールや、シートSの厚さを取得するモジュール、シートSの厚さの区分を取得するモジュール、上下のプレス板219,220によるプレス区間Svの長さLvを演算するモジュール、搬送ローラ206,207によるシート束Bの搬送長さを演算するモジュール、基準位置信号として折り先端検知センサ300での検出信号を取得するモジュール、プレス板219,220の動作を制御するモジュール等が含まれている。よって、用紙後処理装置1のCPU401は、図14に示すように、シート枚数取得部401aや、シート厚さ取得部401b、シート厚さ区分取得部401c、プレス区間長さ算出部401d、搬送長さ算出部401e、基準位置信号取得部401g、プレス制御部401h等として機能する。なお、本実施形態では、プレス制御部401hが、挟み込み制御部に相当する。
【0036】
<折曲機構の制御>
図15は、制御回路400による折曲機構4の制御の一例を示すフローチャートである。まず、CPU401は、画像形成装置2から受け取った後処理の実行コマンド等の信号から、折曲処理を実行するか否かを取得する(ステップS1)。折曲処理が行われる場合は(ステップS1でYes)、ステップS2に移行し、行われない場合は(ステップS1でNo)、そのまま待機する。
【0037】
折曲処理が行われる場合(ステップS1でYes)、CPU401は、シート枚数取得部401aとして機能し、画像形成装置2から受け取った信号から、シートSの枚数を取得する(ステップS2)。次いで、CPU401は、画像形成装置2から受け取った信号から、シートSの厚さを取得する(ステップS3)。画像形成装置2には、シートSの厚さWを検知するシート厚センサ(図示せず)が装備されている。
【0038】
次に、CPU401は、シート厚さ区分取得部401cとして機能し、取得したシートSの厚さWと、区分の閾値W1,W2)とを比較することで、厚さ区分を取得する(ステップS4〜S8)。厚さWが閾値W1より小さい場合(ステップS4でYes)、厚さ区分は最も薄い「区分1」に設定される(ステップS6)。厚さWが閾値W2より大きい場合(ステップS5でYes)、厚さ区分は最も厚い「区分3」に設定される(ステップS7)。ステップS5でNoの場合、すなわち、厚さWが閾値W1以上でありかつ閾値W2以下である場合、厚さ区分は「区分2」に設定される(ステップS8)。
【0039】
閾値W1,W2は、実験等に基づいて予め設定される。具体的には、例えば、用紙後処理装置1のシートSのキロ連量対応力が42kg〜180kgであった場合において、42kg〜63kg(1枚辺りの厚さに換算すると一般的な上質紙は0.06〜0.08mm程度)までの用紙を薄紙(区分1)と設定する場合には、閾値W1は上限の0.08mmに設定される。なお、この例では、キロ連量対応力は、42kg〜63kgであったが、42kg〜55kg等、別の値であってもよい。連量とは、四六版の用紙1000枚あたりの重量である。また、用紙後処理装置1のシートSのキロ連量対応力が42kg〜180kgであった場合において、90kg〜180kg(1枚辺りの厚さに換算すると一般的な上質紙は0.13〜0.23mm程度)までの用紙を厚紙(区分3)と設定する場合には、閾値W2を下限の0.13mmとする。なお、この例では、キロ連量対応力は、90kg〜180kgであったが、110kg〜180kg等、別の値であってもよい。一例として、閾値W1,W2は、NVRAM402c等の記憶部に格納され、CPU401は、その記憶部に格納された閾値W1,W2を参照して、厚さ区分を取得する。
【0040】
次に、CPU401は、プレス区間長さ算出部401dとして機能し、NVRAM402cに記憶されたテーブルを参照して、ステップS6〜S8で取得された厚さ区分かつステップS2で取得されたシートSの枚数に応じたプレス区間Svの長さLvを算出する(ステップS9)。このステップS9で、プレス区間長さ算出部401dは、例えば、NVRAM402cに記憶された複数の代表値(図12でプロットされた点での値)から、内挿や外挿等の手法によって、ステップS6〜S8で取得された厚さ区分かつステップS2で取得されたシートSの枚数に応じたプレス区間Svの長さLvを算出する。また、プレス区間長さ算出部401dは、予め設定された関数(例えば1次関数、数式等)に、ステップS2で取得されたシートSの枚数を入力することで、プレス区間Svの長さLvを算出することができる。この場合、関数は厚さ区分毎に設定したり、厚さ区分毎に関数の係数を変更したりすることができる。
【0041】
次に、CPU401は、NVRAM402c等の記憶部から、用紙後処理装置1に対応した折り先端検知センサ300から最右端の位置P1までの距離L0を取得する(ステップS10)。この距離Lは、用紙後処理装置1や折曲機構4等に応じて設定される。
【0042】
次に、CPU401は、搬送制御部401fとして動作し、搬送ローラ駆動モータ403(図13参照)を駆動して一対の搬送ローラ206,207を回転させ、シートSあるいはシート束Bを搬送可能な状態にするとともに、一対の搬送ローラ206,207間に押し込まれたシートSあるいはシート束Bをプレス部5の内側へ搬送する(ステップS11)。そして、CPU401は、基準位置信号取得部401gとして動作して折り先端検知センサ300から検知信号としての基準位置信号を受け取ると、搬送制御部401fは、その基準位置信号を受け取った時点からシートSあるいはシート束Bが所定距離搬送された時点で搬送ローラ駆動モータ403を停止する。すなわち、搬送制御部401fは、シートSあるいはシート束Bを、折り先端検知センサ300で検知されてから所定距離搬送させる(ステップS12)。このステップS12での所定距離は、Lv+L0とする。これにより、シートSあるいはシート束Bは、プレス板219,220によってプレスされる位置まで搬送される。
【0043】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、必要に応じてプレスモータ404を駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、図10の位置P1に位置させる(ステップS13)。
【0044】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレスモータ404を駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、位置P3側に向けてプレス区間Svの長さLv分移動させ、当該プレス区間SvでシートSあるいはシート束BをX方向(図10参照)にプレスする(ステップS14)。
【0045】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレスモータ404を上記ステップS14とは逆回転方向に駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、位置P1側に向けてプレス区間Svの長さLv分移動させ、当該プレス区間SvでシートSあるいはシート束BをX方向と逆方向にプレスする(ステップS15)。
【0046】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレスモータ404をさらにステップS14とは逆回転方向に駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、相互に離間させる(ステップS16)。そして、CPU401は、用紙後処理装置1の各部を制御して、プレス処理されたシートSあるいはシート束Bを、中綴じトレイ62上に排出(排紙)する(ステップS17)。
【0047】
このように、本実施形態では、挟み込み制御部としてのプレス制御部401hが、シートSの枚数および厚さのうち少なくとも一方(本実施形態では双方)に応じて、挟み込み部材としてのプレス板219,220の移動(移動位置や移動量等)を可変制御する。また、本実施形態では、搬送制御部401fが、シートSの枚数および厚さのうち少なくとも一方(本実施形態では双方)に応じて、一対のローラとしての搬送ローラ206,207によるシートSあるいはシート束Bの搬送(搬送位置や搬送量等)を可変制御する。そして、本実施形態では、これらの制御によって、シートSあるいはシート束Bの挟み込み処理区間の長さを、シートSあるいはシート束Bのスペックに応じて、より適切に可変設定することができる。したがって、本実施形態によれば、無駄なプレス動作を減らすことができる。このため、折曲処理のスループットを向上することができるとともに、単位時間あたりの折曲処理の枚数を増大することができる。
【0048】
一例としては、用紙後処理装置1が対応している最大のプレス長さLmaxを15mm、2枚折り/厚紙のシート束Bに対するプレス長さLvを0.5mm、プレス板219,220によって1mmの距離をプレスするのに要する時間を0.05s(秒)とすると、2枚折り/厚紙の用紙束をプレスするのに掛かる時間は、上述した制御を用いず最大長さLmaxをプレスした場合には、15mm×0.05s×2(プレス板219,220の往復動作分)=1.5s、上述した制御によって長さLvをプレスした場合には、0.5mm×0.05s×2(プレス板の往復分)=0.5sとなる。すなわち、本実施形態によれば、プレスに要する時間を1.5−0.5=1s短縮することができる。この時間差は、処理数が増えるほど顕著になることが、理解できよう。
【0049】
なお、挟み込み処理区間の長さは、挟み込み部材としてのプレス板219,220の移動量のみによって可変することができるし、搬送ローラ206,207によるシートSまたはシート束Bの搬送量のみによって可変することもできる。本実施形態では、これらの双方を制御することで、より効率良く挟み込み処理を実行することができる。また、制御部としてのCPU401は、シートSの枚数および厚さのうち一方のみに応じて、プレス板219,220の移動あるいはシートSあるいはシート束Bの搬送の可変制御を実行してもよい。
【0050】
さらに、本実施形態では、挟み込み部材としてのプレス板219,220のうち少なくとも一方の少なくとも一部を、例えば、エラストマや、合成樹脂、可撓性を有した金属部材などの、弾性体として構成するのが好適である。これにより、プレスの開始あるいは終了時等に、プレス板219,220同士が当接あるいは離間することによる音や振動が生じるのを抑制することができる。弾性体を、例えばエラストマとして構成した場合、当該弾性体を、プレス板219,220の当接面に設けたり、プレス板219,220の被支持部(基端部)と当接部(先端部)との間に弾性体を介在させたりすることができる。
【0051】
(第2実施形態)
<離間機構>
図16は、挟み込み部材としてのプレス板219,220を相互に離間させる離間機構310の概略構成図である。図17は、離間機構310の動作を示す図であって、(a)は、プレスユニット217,218が相互に離間した状態を示す図、(b)は、プレスユニット217,218が相互に近接した状態を示す図である。本実施形態にかかる用紙後処理装置1は、挟み込み部材としてのプレス板219,220の位置によらず、プレスユニット217,218を上下に離間あるいは近接させる離間機構310を備えている。離間機構310は、離間機構駆動モータ301や、離間機構駆動モータ301の出力軸に取り付けられたウォーム302、プレスユニット離間プレート304、プレスユニット離間プレート304の内側に設けられたプレスユニット離間部材306,307、ウォーム302とプレスユニット離間プレート304に設けられたラック305とに噛合したギア303等を有している。この離間機構310で、離間機構駆動モータ301を正転(矢印方向に回転)させると、ウォーム302が回転し、ウォーム302に噛み合うギア303が、図中反時計回り方向に回転する。さらに、ギア303に噛み合うラック305によって、プレスユニット離間プレート304は図中左方向へ移動する。離間機構駆動モータ301を逆転させると、プレスユニット離間プレート304が図中右方向へ移動する。
【0052】
図17の(a)および(b)に示すように、離間機構駆動モータ301を駆動することでプレスユニット離間部材306,307を右方向へ移動させると、プレスユニット離間部材306,307に設けられた傾斜によってプレスユニット217,218上に設けられたコロ213,214,215,216がプレスユニット離間部材306,307に乗り上げて、プレスユニット217,218が上下方向に相互に離間する。逆に、離間機構駆動モータ301を駆動することでプレスユニット離間部材306,307を左方向へ移動させると、図示しないスプリング等の付勢機構による付勢力によって、プレスユニット217,218が上下方向に相互に近接する。すなわち、本実施形態では、離間機構310は、近接機構にも相当する。
【0053】
<折曲機構の制御>
図18は、本実施形態にかかる制御回路400による折曲機構4の制御の一例を示すフローチャートである。図18では、図15と同じ処理については図15と共通の符号が付与されている。なお、本実施形態では、図13中に破線で示すように、制御回路400に、離間機構駆動モータ301用のモータコントローラ402iが含まれている。また、CPU401には、図14中に破線で示す離間制御部401iが含まれている(判断部401jは含まれない)。CPU401は、当該CPU401を動作させるプログラムに含まれた離間機構駆動モータ301の動作を制御するモジュールにより、離間制御部401iとして動作する。
【0054】
ステップS1からステップS12までは上記第1実施形態(図15)と同様であるため、重複する説明を省略する。ステップS12の後のステップS13aにおいて、本実施形態では、CPU401は、離間制御部401iとして動作し、離間機構駆動モータ301を制御して、上下のプレス板219,220を相互に近接させて、シートSあるいはシート束Bをプレスする(ステップS13a)。このステップS13aで、シートSあるいはシート束Bが挟み込まれる位置は、図10の位置P1である。
【0055】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレスモータ404を駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、図16,17の左側に向けてプレス区間Svの長さLv分移動させ、当該プレス区間SvでシートSあるいはシート束BをX方向にプレスする(ステップS14)。
【0056】
次に、CPU401は、離間制御部401iとして動作し、離間機構駆動モータ301を制御して、上下のプレス板219,220を相互に離間させる(ステップS16a)。このステップS16aでは、プレス区間Svの長さLvによらず、すなわち、プレス板219,220の位置によらず、プレス板219,220を相互に離間させることができる。
【0057】
次に、CPU401は、用紙後処理装置1の各部を制御して、プレス処理されたシートSあるいはシート束Bを、中綴じトレイ62上に排紙する(ステップS17)。
【0058】
次に、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレスモータ404を上記ステップS14とは逆回転方向に駆動して、挟み込み部材としてのプレス板219,220を、位置P1側に向けてプレス区間Svの長さLv分移動させる(戻す、ステップS15a)。ただし、このステップS15aでは、プレス板219,220同士は相互に離間しており、プレス板219,220によるシートSまたはシート束Bに対するプレスは実行されない。本実施形態では、位置P1は、ホームポジションと言うことができる。
【0059】
以上の第2実施形態にかかる用紙後処理装置1によれば、シートSまたはシート束Bに対するプレス処理が完了した後、速やかにプレス板219,220を相互に離間させ、シートSまたはシート束Bを排出することができる。よって、折曲処理の処理効率をより向上することができる。
【0060】
(第3実施形態)
<折曲機構の制御>
図19は、本実施形態にかかる制御回路400による折曲機構4の制御の一例を示すフローチャートである。図19では、図15,18と同じ処理については図15,18と共通の符号が付与されている。なお、本実施形態でも、上記第2実施形態と同様、図13中に破線で示すように、制御回路400に、離間機構駆動モータ301用のモータコントローラ402iが含まれている。また、CPU401には、図14中に破線で示す離間制御部401iに加えて、判断部401jが含まれている。CPU401は、当該CPU401を動作させるプログラムに含まれた離間機構駆動モータ301の動作を制御するモジュールにより、離間制御部401iとして動作し、プログラムに含まれた判断する(判断内容は後述)モジュールにより、判断部401jとして動作する。
【0061】
ステップS1からステップS10までは上記第2実施形態(図18)と同様であるため、重複する説明を省略する。ステップS10の後のステップS11aにおいて、本実施形態では、CPU401は、プレス板219,220の現在位置Pcを取得する(ステップS11a)。現在位置Pcは、基準位置P0を原点とする。
【0062】
次に、CPU401は、判断部401jとして動作し、現在位置(以降、Pcと記す)から挟み込み部材としてのプレス板219,220の移動を開始した場合に、プレス板219,220の移動量が足りるか否かを判断する。すなわち、判断部401jは、まず、現在位置Pc(位置P1からの距離:Lc)から位置Pmaxまでの残存距離(Lmax−Lc)を取得し、この残存距離(Lmax−Lc)と、ステップS9で算出されたプレス区間Svの長さLvとを比較する(ステップS11b)。ここで、残存距離(Lmax−Lc)がプレス区間Svの長さLv以上である場合(ステップS11bでYes)、現在位置Pcからプレスが開始されて基準位置P0より遠い側に向けて実行された場合に、ステップS9で算出されたプレス区間Svの長さLvの分のプレスを実行できることになる。よって、この場合は、CPU401は、図15,18のステップS11と同様に、搬送制御部401fとして動作し、搬送ローラ駆動モータ403(図13参照)を駆動して一対の搬送ローラ206,207を回転させ、シートSあるいはシート束Bを搬送可能な状態にするとともに、一対の搬送ローラ206,207間に導入されたシートSあるいはシート束Bをプレス部5の内側へ搬送する(ステップS11)。そして、CPU401は、基準位置信号取得部401gとして動作して折り先端検知センサ300から検知信号としての基準位置信号を受け取ると、搬送制御部401fは、その基準位置信号を受け取った時点からシートSあるいはシート束Bが所定距離搬送された時点で搬送ローラ駆動モータ403を停止する。すなわち、搬送制御部401fは、シートSあるいはシート束Bを、折り先端検知センサ300で検知されてから所定距離搬送させる(ステップS12a)。このステップS12aでの所定距離は、Lv+Lc+L0とする。これにより、シートSあるいはシート束Bは、プレス板219,220によってプレスされる位置まで搬送される。
【0063】
一方、ステップS11bでNoの場合、すなわち、残存距離(Lmax−Lc)がプレス区間Svの長さLvより小さい場合、現在位置Pcからプレスが開始されて基準位置P0より遠い側に向けて実行された場合には、残存距離(Lmax−Lc)が不足して、ステップS9で算出されたプレス区間Svの長さLvの分のプレスを実行できないことになる。よって、この場合は、CPU401は、プレス制御部401hとして動作し、プレス板219,220を、位置P1(図10参照)へ移動させる(ステップS11c)、また、このステップS11cに伴って、現在位置Pcに対応する距離Lcを0(ゼロ)にする(ステップS11d)。その後、ステップS11,12aが実行される。
【0064】
また、ステップS12aの後のステップS13a,S14,S16a,S17,S15aは、上記第2実施形態(図18)と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0065】
ステップS17が終了した時点で、基準位置P0からプレスが終了した位置までの長さはLc+Lvである。CPU401は、この長さを次回のプレス処理で用いる基準位置P0から現在位置Pcまでの長さLcとして、記憶部としてのNVRAM402cに記憶する(ステップS18)。これにより、次のシートSまたはシート束Bに対するプレス処理では、プレスが終了した時点でのプレス板219,220の位置から、プレスが実行できる場合には、プレスが実行される。したがって、本実施形態によれば、プレス板219,220を戻すことなくプレスが実行される場合を増やすことができるため、折曲処理のスループットをより向上することができるとともに、単位時間あたりの折曲処理の枚数をより増大することができる。また、プレスモータ404の駆動頻度を減らすことができる分、エネルギの消費を減らすことができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、折曲機構は画像形成装置の後段の一部に設けることができる。また、用紙後処理装置の他の部分の構成を、適宜変更して実施することができる。また、本発明は、ステイプルを施していないシートを折曲する場合にも適用することができる。また、挟み込み部材は、上記実施形態の構成には限定されず、例えば、用紙に沿って移動しながら用紙を挟む込む一対のローラ等として構成することも可能である。また、用紙に沿って移動しないタイプの挟み込み部材について、用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて用紙の搬送量を可変制御することで挟み込み処理区間の長さを変化させて、搬送に要する時間を調整し、ひいては挟み込み処理の効率を向上することも可能である。また、用紙後処理装置や、画像形成装置、押し込み部材、ローラ、挟み込み部材、近接機構、離間機構等のスペック(方式、構成、形状、材質、数、配置、大きさ、長さ、幅、厚さ等)は、適宜に変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明は、用紙折曲装置や、折曲機構を有した用紙後処理装置または画像形成装置等に有用である。
【符号の説明】
【0068】
1…用紙後処理装置(用紙折曲装置の一例)
2…画像形成装置
203…ブレード(押し込み部材の一例)
206,207…搬送ローラ(ローラの一例)
219,220…プレス板(挟み込み部材の一例)
310…離間機構(近接機構の一例)
401…CPU(制御部の一例)
401h…プレス制御部(挟み込み制御部の一例)
401f…搬送制御部
401j…判断部
S…シート(用紙の一例)
B…シート束(用紙の一例)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げられた用紙を挟み込む一対の挟み込み部材と、
前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、前記挟み込み部材による前記用紙の挟み込み処理区間の長さを可変制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする用紙折曲装置。
【請求項2】
前記一対の挟み込み部材は、前記折り曲げられた用紙に沿って移動しながら前記用紙を挟み込むものであり、
前記制御部は、前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、前記挟み込み部材の移動量を可変制御することを特徴とする請求項1に記載の用紙折曲装置。
【請求項3】
前記用紙の厚さが大きいほど前記用紙の枚数に対する前記挟み込み部材の移動量の増分が大きいことを特徴とする請求項2に記載の用紙折曲装置。
【請求項4】
前記用紙を搬送して折り曲げる一対のローラを備え、
前記制御部は、前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、前記一対のローラによる前記用紙の搬送量を可変制御することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の用紙折曲装置。
【請求項5】
前記一対の挟み込み部材がその移動区間内の途中に位置した状態で前記一対の挟み込み部材を相対的に離間させる離間機構を備えたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の用紙折曲装置。
【請求項6】
前記一対の挟み込み部材を前記離間機構によって相対的に離間された位置から前記移動区間内の途中の位置に向けて相対的に近接させる近接機構を備え、
前記制御部は、前記途中の位置から前記一対の挟み込み部材の移動を開始させることを特徴とする請求項5に記載の用紙折曲装置。
【請求項7】
前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方および前記途中の位置に基づいて、当該途中の位置から前記一対の挟み込み部材の移動を開始した場合に当該一対の挟み込み部材の移動量が足りるか否かを判断する判断部を有し、
前記判断部が前記移動量が足りると判断した場合には、前記制御部は、前記途中の位置から前記一対の挟み込み部材の移動を開始し、
前記判断部が前記移動量が足りないと判断した場合には、前記制御部は、前記挟み込み部材を前記途中の位置から移動させて所要の移動量を確保することを特徴とする請求項6に記載の用紙折曲装置。
【請求項8】
前記一対の挟み込み部材のうち少なくとも一方が弾性体を有したことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一つに記載の用紙折曲装置。
【請求項9】
折り曲げられた用紙を挟み込む一対の挟み込み部材と、
前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、前記挟み込み部材による前記用紙の挟み込み処理区間の長さを可変制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
折り曲げられた用紙を挟み込む一対の挟み込み部材と、
前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、前記挟み込み部材による前記用紙の挟み込み処理区間の長さを可変制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする用紙折曲装置。
【請求項2】
前記一対の挟み込み部材は、前記折り曲げられた用紙に沿って移動しながら前記用紙を挟み込むものであり、
前記制御部は、前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、前記挟み込み部材の移動量を可変制御することを特徴とする請求項1に記載の用紙折曲装置。
【請求項3】
前記用紙の厚さが大きいほど前記用紙の枚数に対する前記挟み込み部材の移動量の増分が大きいことを特徴とする請求項2に記載の用紙折曲装置。
【請求項4】
前記用紙を搬送して折り曲げる一対のローラを備え、
前記制御部は、前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、前記一対のローラによる前記用紙の搬送量を可変制御することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の用紙折曲装置。
【請求項5】
前記一対の挟み込み部材がその移動区間内の途中に位置した状態で前記一対の挟み込み部材を相対的に離間させる離間機構を備えたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の用紙折曲装置。
【請求項6】
前記一対の挟み込み部材を前記離間機構によって相対的に離間された位置から前記移動区間内の途中の位置に向けて相対的に近接させる近接機構を備え、
前記制御部は、前記途中の位置から前記一対の挟み込み部材の移動を開始させることを特徴とする請求項5に記載の用紙折曲装置。
【請求項7】
前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方および前記途中の位置に基づいて、当該途中の位置から前記一対の挟み込み部材の移動を開始した場合に当該一対の挟み込み部材の移動量が足りるか否かを判断する判断部を有し、
前記判断部が前記移動量が足りると判断した場合には、前記制御部は、前記途中の位置から前記一対の挟み込み部材の移動を開始し、
前記判断部が前記移動量が足りないと判断した場合には、前記制御部は、前記挟み込み部材を前記途中の位置から移動させて所要の移動量を確保することを特徴とする請求項6に記載の用紙折曲装置。
【請求項8】
前記一対の挟み込み部材のうち少なくとも一方が弾性体を有したことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一つに記載の用紙折曲装置。
【請求項9】
折り曲げられた用紙を挟み込む一対の挟み込み部材と、
前記用紙の枚数および厚さのうち少なくとも一方に応じて、前記挟み込み部材による前記用紙の挟み込み処理区間の長さを可変制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−86957(P2012−86957A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235953(P2010−235953)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
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