説明

用紙折曲装置

【課題】用紙を挟み込むローラを二つ有し、三つ以上は有さない用紙折曲装置で、より高い用紙折曲性能を得る。
【解決手段】用紙後処理装置100は、第一の用紙搬送経路101とこれに間隔をあけて並行して配置された第二の用紙搬送経路102との間に、二つのローラ201,202を有して隙間Gに用紙を挟み込んで当該用紙を折り曲げる用紙折曲機構200と、第一の用紙搬送経路101にある用紙に当接して当該用紙を二つのローラ201,202間の隙間Gに誘導する第一の用紙誘導部材303と、第二の用紙搬送経路102にある用紙に当接して当該用紙を二つのローラ201,202間の隙間Gに誘導する第二の用紙誘導部材304と、を備えた。第二の用紙誘導部材304は、用紙折曲機構200を介して第二の用紙搬送経路102に導入される用紙に当接して当該用紙の第二の用紙搬送経路102内での姿勢を切り替える姿勢切替部材としても機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙折曲装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三つのローラを有し、それら三つのうち二つのローラ間に用紙を挟み込むことで用紙を折り曲げる用紙折曲装置が知られている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−173442号公報
【特許文献2】特許第3817424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の用紙折曲装置は、用紙を挟み込むローラを三つ有するため、大型化しやすかったり、製造コストが増大しやすかったりといった、問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、用紙を挟み込むローラを二つ有し、三つ以上は有さない用紙折曲装置で、より高い用紙折曲性能を得ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる用紙折曲装置にあっては、第一の用紙搬送経路と当該第一の用紙搬送経路に対して間隔をあけて並行して配置された第二の用紙搬送経路との間に、前記第一および第二の用紙搬送経路の双方に沿って相互に隣接した状態に並べて配置されて、前記第一および前記第二の用紙搬送経路の幅方向に沿った回動軸回りに回動する二つのローラを有し、前記第一または前記第二の用紙搬送経路から回動する前記二つのローラ間の隙間に用紙を挟み込んで当該用紙を折り曲げる用紙折曲機構と、前記第一の用紙搬送経路にある前記用紙に当接して当該用紙を前記二つのローラ間の隙間に誘導する第一の用紙誘導部材と、前記第二の用紙搬送経路にある前記用紙に当接して当該用紙を前記二つのローラ間の隙間に誘導する第二の用紙誘導部材と、前記第一の用紙搬送経路から前記用紙折曲機構を介して前記第二の用紙搬送経路に導入される前記用紙に当接して当該用紙の前記第二の用紙搬送経路内での姿勢を切り替える姿勢切替部材と、を備えたことを特徴の一つとする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用紙を挟み込むローラを二つ有し、三つ以上は有さない構成でも、より高い用紙折曲性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置で折り曲げられた用紙の折曲状態を模式的に示す側面図であって、(a)は、Z字折りを示す図、(b)は、外三つ折りを示す図、(c)は、内三つ折りを示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、用紙が第一の用紙搬送経路内へ搬送された状態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、図3の状態の後に第一の用紙搬送経路内から用紙折曲機構を経た用紙の一部が第二の用紙搬送経路の第一部内へ搬送された状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、図4の状態の後に第一の用紙搬送経路内から用紙折曲機構を経た用紙の全部が第二の用紙搬送経路の第一部内へ搬送された状態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、図5の状態の後に第二の用紙搬送経路内に搬送された用紙が第二の用紙搬送経路内で所定の位置に搬送されて、第二の用紙誘導部材が用紙を用紙折曲機構へ導入しようとする状態を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、図6の状態の後に第二の用紙搬送経路内から用紙折曲機構を経た用紙の一部が第一の用紙搬送経路内へ搬送された状態を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、図7の状態の後に第二の用紙搬送経路内から用紙折曲機構を経た用紙の全部が第一の用紙搬送経路内へ搬送された状態を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、用紙が第一の用紙搬送経路内へ搬送された状態の別の一例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、図9の状態の後に第一の用紙搬送経路内から用紙折曲機構を経た用紙の一部が第二の用紙搬送経路の第二部内へ搬送された状態を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、図10の状態の後に第一の用紙搬送経路内から用紙折曲機構を経た用紙の全部が第二の用紙搬送経路の第二部内へ搬送された状態を示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、図11の状態の後に第二の用紙搬送経路内に搬送された用紙が第二の用紙搬送経路内で所定の位置に搬送されて、第二の用紙誘導部材が用紙を用紙折曲機構へ導入しようとする状態を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、図12の状態の後に第二の用紙搬送経路内から用紙折曲機構を経た用紙の全部が第一の用紙搬送経路内へ搬送された状態を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の概略構成を示す側面図であって、図13の状態の後に第一の用紙搬送経路内で用紙が搬送された状態を示す図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の用紙折曲機構および第二の用紙誘導部材を示す斜視図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の第二の用紙誘導部材の移動機構の一部を示す斜視図である。
【図17】図17は、本発明の実施形態にかかる用紙折曲装置の第二の用紙誘導部材の移動機構を全体的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<用紙後処理装置の構成:図1,2>
図1に示すように、本発明の一実施形態にかかる用紙後処理装置100内には、例えばガイド壁やローラ等によって、用紙Sを所定の経路で搬送する複数の用紙搬送経路が構成されている。特に、本実施形態では、相互に間隔をあけて並列に、第一の用紙搬送経路101と、第二の用紙搬送経路102とが、設けられている。
【0010】
相互に対向した二つのローラを有した複数のローラ対203,204,205,206,207,208,209,210が、第一および第二の用紙搬送経路101,102を含む用紙搬送経路に沿って配置され、これらローラ対203,204,205,206,207,208,209,210の回動によって、用紙Sが用紙搬送経路に沿って搬送される。ローラ対203,204,205,206,207,208,209,210内の各ローラは、図示しないモータやギヤ等を含む駆動機構によって相反する方向に回動される。また、用紙搬送経路における用紙Sの位置を検出するセンサ(図示せず)が適宜に設けられており、このセンサによる用紙Sの検出結果に基づいて、用紙後処理装置100の制御部(図示せず)が、ローラ対203,204,205,206,207,208,209,210の回動回数(回動角度)を制御し、これにより、用紙Sが、用紙搬送経路内の所定の位置に配置(搬送)される。すなわち、本実施形態では、制御部や、センサ、モータ、ローラ対203,204,205,206,207,208,209,210等が、用紙搬送機構に相当する。特に、第一の用紙搬送経路101および第二の用紙搬送経路102において用紙Sを搬送するローラ対203,204,205,206,207,208,209や、これらに関わる制御部、センサ、モータ等は、用紙Sの用紙折曲機構200(隙間Gや、第一の用紙誘導部材303、第二の用紙誘導部材304等)に対する相対的な位置を規定するものであり、折曲位置可変機構に相当する。
【0011】
そして、第一の用紙搬送経路101と第二の用紙搬送経路102との間に、用紙折曲機構200が設けられている。用紙折曲機構200は、二つのローラ201,202を有している。これら二つのローラ201,202は、第一の用紙搬送経路101および第二の用紙搬送経路102の双方に沿って(すなわち図1中の上下方向に沿って)相互に隣接した状態に並べて配置されている。また、これら二つのローラ201,202は、第一の用紙搬送経路101および第二の用紙搬送経路102の幅方向(すなわち図1の紙面と垂直な方向)に沿った回動軸Ax1,Ax2回りに、それぞれ回動する。そして、これらローラ201,202は、図示しないモータやギヤ等を含む駆動機構によって相反する回動方向に回動され、用紙Sを、二つのローラ201,202間の隙間Gに巻き込むように挟み込んで折曲する。
【0012】
また、用紙後処理装置100は、第一の用紙搬送経路101にある用紙Sに当接してその用紙Sを二つのローラ201,202間の隙間Gに誘導する第一の用紙誘導部材303と、第二の用紙搬送経路102にある用紙Sに当接してその用紙Sを二つのローラ201,202間の隙間Gに誘導する第二の用紙誘導部材304と、を備えている。これら第一の用紙誘導部材303、および第二の用紙誘導部材304は、いずれも、図示しないモータやギヤ等を含む駆動機構によって駆動される。
【0013】
また、第二の用紙誘導部材304は、用紙折曲機構200の二つのローラ201,202から排出された用紙Sに当接して、用紙Sの第二の用紙搬送経路102内への導入位置あるいは導入方向を切り替える経路切替部材としても機能する。例えば、第二の用紙誘導部材304が、図1に図示した位置よりも左下側で隙間Gに臨む位置に位置した場合、ローラ201,202の隙間Gから排出された用紙Sは、第二の用紙誘導部材304に当接して右上側、すなわち、第二の用紙搬送経路102の上側となる第二部102B内に搬送される。一方、第二の用紙誘導部材304が、図1に図示した位置よりも上側で隙間Gに臨む位置に位置した場合、ローラ201,202の隙間Gから排出された用紙Sは、第二の用紙誘導部材304に当接して下側、すなわち、第二の用紙搬送経路102の下側となる第一部102A内に搬送される。
【0014】
ここで、本実施形態では、用紙折曲機構200から第二の用紙搬送経路102の第一部102A内に搬送された場合と、第二部102B内に搬送された場合とで、用紙Sの姿勢が変化する。すなわち、第一部102A内に搬送された際に図1の左側である面は、第二部102B内に搬送された場合には図1の右側となり、第一部102A内に搬送された際に図1の右側である面は、第二部102B内に搬送された場合には図1の左側となる。すなわち、用紙Sの第二の用紙搬送経路102内での搬入位置(第一部102Aか第二部102Bか)を切り替える切替機構としての第二の用紙誘導部材304は、用紙Sの第二の用紙搬送経路102内での姿勢を切り替える姿勢切替部材としても機能する。
【0015】
また、用紙後処理装置100は、第二の用紙誘導部材304の他にも、用紙搬送経路を切り替える経路切替部材301,302を有している。経路切替部材301は、用紙後処理装置100の入口100aから導入された用紙Sを、第一の用紙搬送経路101の第一部101Aへ搬送する位置(図1に実線で示す位置)と、出口100b側へ搬送する位置(図1に二点鎖線で示す位置)とで切り替わる。また、経路切替部材302は、第一の用紙搬送経路101を入口100a側へ接続する位置(図1に二点鎖線で示す位置)と、第三の用紙搬送経路105を介して出口100b側へ接続する位置(図1に実線で示す位置)とで切り替わる。また、第一の用紙誘導部材303は、用紙搬送経路を切り替える経路切替部材としても機能する。すなわち、入口100a側から到来した用紙Sを第一の用紙搬送経路101の第二部101Bへ案内する位置(図1に二点鎖線で示す位置)と、用紙折曲機構200から排出された用紙Sを出口100b側へ案内する位置(図1に実線で示す位置)とで切り替わる。
【0016】
そして、上記構成の用紙後処理装置100によって、図2の(a)に示すZ字折り、図2の(b)に示す外三つ折り、図2の(c)に示す内三つ折りが可能となる。図2中、Siは画像形成面、B1は第1回目の折曲線(折曲位置)、B2は第2回目の折曲線(折曲位置)を示す。
【0017】
<Z字折り、外三つ折り:図3〜8>
図3に示すように、画像形成装置等から入口100aに導入された用紙Sは、ローラ対203,204等の回動および経路切替部材301の配置によって、第一の用紙搬送経路101へ搬送される。さらに、用紙Sは、ローラ対204,205の回動および経路切替部材302および第一の用紙誘導部材303の配置(待避位置)によって、第一の用紙搬送経路101の第二部101Bへ搬送される。次いで、先端規制部材401が所定の位置へ向けて用紙折曲機構200側へ移動し、用紙Sの先端が先端規制部材401に突き当たって、ローラ201,202間の隙間Gに対向する位置に用紙Sの撓みを生じさせる。この際、第一の用紙誘導部材303は、用紙Sに当接して、用紙Sをローラ201,202側へ押す。これにより、用紙Sは、図3に示すように、隙間G側に膨出した状態に撓み、ローラ201,202間の隙間Gに導入される。なお、このとき、第一の用紙誘導部材303は、用紙Sを隙間G内へ押し込むまで移動する必要はなく、用紙Sの屈曲する起点を形成するなど、用紙Sが回動するローラ201,202に当接する状態となるのを補助すれば良い。また、先端規制部材401は、上流側への移動によって、用紙Sを座屈させ、用紙Sの隙間G側への撓み量(膨出量)を増大させることができる。
【0018】
図3の後、用紙折曲機構200でローラ201,202に挟み込まれて折曲線B1(図2参照)で折曲された用紙Sは、ローラ対204,205,206等の回動および第二の用紙誘導部材304の配置によって、図4に示すように、第二の用紙搬送経路102の第一部102Aへ搬送される。このとき、第二の用紙誘導部材304は、ローラ201側へ移動して、用紙Sを第二の用紙搬送経路102の第一部102A側へ案内する経路切替部材として機能する。
【0019】
その後、図5に示すように、ローラ対206,207等の回動によって、用紙折曲機構200から排出された用紙Sの全部が第二の用紙搬送経路102の第一部102A内へ導入される。そして、用紙Sは、ローラ対206,207,208等の回動および第二の用紙誘導部材304の配置(待避位置)によって、図6に示すように、第二の用紙搬送経路102の第二部102Bへ搬送される。このとき、ローラ対206,207,208等の回動回数(回動角度)の調整によって、用紙Sは、所定の位置で停止する。そして、第一の用紙誘導部材303と同様に、第二の用紙誘導部材304が用紙折曲機構200側へ移動して用紙Sを用紙折曲機構200の二つのローラ201,202間の隙間Gへ誘導し、回動するローラ201,202に巻き込まれて挟み込まれた用紙Sが折曲される。
【0020】
以上のようにして2箇所(折曲線B1,B2、図2参照)でZ字折りまたは外三つ折りされた用紙Sは、図7,8に示すように、二つのローラ201,202やローラ対205,209,210等の回動ならびに経路切替部材302や第一の用紙誘導部材303等の配置によって、第一の用紙搬送経路101ならびに第三の用紙搬送経路105を経由して出口100bへ搬送され、出口100bから排出される。
【0021】
<内三つ折り:図9〜14>
図9に示すように、画像形成装置等から入口100aに導入された用紙Sは、ローラ対203,204等の回動および経路切替部材301の配置によって、第一の用紙搬送経路101へ搬送される。さらに、用紙Sは、ローラ対204,205の回動および経路切替部材302および第一の用紙誘導部材303の配置(待避位置)によって、第一の用紙搬送経路101の第二部101Bへ搬送される。次いで、先端規制部材401が所定の位置へ向けて用紙折曲機構200側へ移動し、用紙Sの先端が先端規制部材401に突き当たって、ローラ201,202間の隙間Gに対向する位置に用紙Sの撓みを生じさせる。この際、第一の用紙誘導部材303は、用紙Sに当接して、用紙Sをローラ201,202側へ押す。これにより、用紙Sは、図9に示すように、隙間G側に膨出した状態に撓み、ローラ201,202間の隙間Gに導入される。ここまでの動作は、上述したZ字折りおよび外三つ折りの場合と同じである。
【0022】
図9の後、用紙折曲機構200でローラ201,202に挟み込まれて折曲線B1(図2参照)で折曲された用紙Sは、ローラ対204,205,208等の回動および第二の用紙誘導部材304の配置によって、図10に示すように、第二の用紙搬送経路102の第二部102Bへ搬送される。このとき、第二の用紙誘導部材304は、ローラ202側へ移動して、用紙Sを第二の用紙搬送経路102の第二部102B側へ案内する経路切替部材として機能する。
【0023】
その後、図11に示すように、ローラ対208等の回動によって、用紙折曲機構200から排出された用紙Sの全部が第二の用紙搬送経路102の第二部102B内へ導入される。そして、用紙Sは、ローラ対206,207,208等の回動および第二の用紙誘導部材304の配置(待避位置)によって、図12に示すように、第二の用紙搬送経路102の第一部102Aへ搬送される。このとき、ローラ対206,207,208等の回動回数(回動角度)の調整によって、用紙Sは、所定の位置で停止する。そして、第一の用紙誘導部材303と同様に、第二の用紙誘導部材304が用紙折曲機構200側へ移動して用紙Sを用紙折曲機構200の二つのローラ201,202間の隙間Gへ誘導し、回動するローラ201,202に巻き込まれて挟み込まれた用紙Sが折曲される。
【0024】
以上のようにして2箇所(折曲線B1,B2、図2参照)で内三つ折りされた用紙Sは、図13,14に示すように、二つのローラ201,202やローラ対205,209,210等の回動ならびに経路切替部材302や第一の用紙誘導部材303等の配置によって、第一の用紙搬送経路101ならびに第三の用紙搬送経路105を経由して出口100bへ搬送され、出口100bから排出される。
【0025】
以上のように、本実施形態では、第二の用紙誘導部材304の動作によって、第二の用紙搬送経路102内での用紙Sの姿勢(表裏)を切り替えることができ、これにより、Z字折りおよび外三つ折り(図3〜8)と、内三つ折り(図9〜14)とを切り替えることができる。すなわち、本実施形態によれば、二つのローラ201,202を有し三つ以上のローラを有さない用紙折曲機構200によって、用紙Sの種々の折曲状態を得ることができる。
【0026】
また、本実施形態では、第二の用紙誘導部材304を、姿勢切替部材としても用いたため、これらを別個独立に設けた構成に比べて部品点数が減る分、用紙後処理装置100をより小型に構成しやすくなるとともに、製造コストをより低くしやすくなる。
【0027】
<第二の用紙誘導部材:図15〜17>
図15に示すように、第二の用紙誘導部材304は、用紙折曲機構200のローラ201,202間の隙間Gに向けて突出する三角形状の断面を有してローラ201,202の回動軸Ax1,Ax2に沿って延びる柱状に形成されている。ローラ201,202の外周面に対向する二つの傾斜面は、隙間Gと第二の用紙搬送経路102の第一部102Aまたは第二部102Bとを円滑に接続する凹曲面として形成されている。
【0028】
本実施形態では、第二の用紙誘導部材304は、第二の用紙搬送経路102での用紙Sの搬送方向(図15中のY方向)、ならびに第二の用紙搬送経路102での用紙Sの搬送方向と直交しかつローラ201,202の回動軸Ax1,Ax2と直交する方向(図15中のX方向)に沿って、所定範囲内で移動可能に構成されている。なお、X方向は、隙間Gに対する接離方向と言うことができる。また、Z方向は、X方向およびY方向の双方と直交し、回動軸Ax1,Ax2に沿う方向である。
【0029】
図16は、第二の用紙誘導部材304のY方向での移動を可能とする移動機構の構成の一部を示す斜視図である。サブユニット310は、支持部材311や、モータ313、ピニオン312a、ラック312b等を備えている。支持部材311は、第二の用紙誘導部材304の延在方向(Z方向)に沿って延びて第二の用紙誘導部材304のZ方向の両端部を支持する。支持部材311のZ方向の両端部には、第二の用紙誘導部材304のZ方向の両端部をY方向に移動可能に案内するレールとしてのスリット状の貫通孔311aが設けられている。第二の用紙誘導部材304のY方向の駆動源としてのモータ313は、支持部材311に支持されている。このモータ313は、例えばステップモータとして構成され、その回動シャフト(図示せず)にはピニオン312aが取り付けられている。ラック312bは、Y方向に沿って延在している。ピニオン312aの鋸歯とラック312bの鋸歯とが噛み合っている。このような構成では、図示しない制御部によってモータ313の回動を制御することで、第二の用紙誘導部材304のY方向の位置を制御することができる。
【0030】
図17は、第二の用紙誘導部材304のX方向での移動を可能とする移動機構も含めた移動機構の全体的な構成を示す斜視図である。サブユニット310のZ方向の両端部が、用紙後処理装置100の本体部(例えば筐体)の一部である一対の側板322に、X方向に移動可能に支持されている。側板322には、X方向に沿って延在するレールとしてのスリット状の貫通孔322aが設けられている。サブユニット310のZ方向の一方向の端部には、X方向に沿って延在するラック324bが設けられている。また、第二の用紙誘導部材304のX方向の駆動源としてのモータ325は、側板322に支持されている。このモータ325は、例えばステップモータとして構成され、その回動シャフト(図示せず)にはピニオン324aが取り付けられている。ピニオン324aの鋸歯とラック324bの鋸歯とが噛み合っている。このような構成では、図示しない制御部によってモータ325の回動を制御することで、サブユニット310すなわち第二の用紙誘導部材304のX方向の位置を制御することができる。すなわち、本実施形態では、図示しない制御部が二つのモータ313,325を制御することで、第二の用紙誘導部材304を、所定範囲内でX方向およびY方向に、動かすことができ、これにより、第二の用紙誘導部材304による上述した作用および効果を得ることができる。
【0031】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、用紙折曲装置を用紙後処理装置として構成した場合を例示したが、用紙折曲装置は、用紙に画像を形成する画像形成部を有した画像形成装置(の一部)として、画像の形成された用紙に上述した折曲処理を施す構成とすることも可能である。また、第二の用紙誘導部材と姿勢切替部材とをそれぞれ別個に有した構成とすることも可能である。また、用紙後処理装置や、画像形成装置、用紙折曲機構、ローラ、第一の用紙誘導部材、第二の用紙誘導部材、姿勢切替部材、搬送ローラ、折曲位置可変機構等のスペック(方式、構成、形状、材質、数、配置、大きさ、長さ、幅、厚さ等)は、適宜に変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明は、用紙折曲装置や、折曲機構を有した用紙後処理装置および画像形成装置等に有用である。
【符号の説明】
【0033】
100…用紙後処理装置(用紙折曲装置)
101…第一の用紙搬送経路
101A…第一部
101B…第二部
102…第二の用紙搬送経路
102A…第一部
102B…第二部
200…用紙折曲機構
201…ローラ
202…ローラ
203〜208…ローラ対(用紙搬送機構、搬送ローラ、折曲位置可変機構)
303…第一の用紙誘導部材
304…第二の用紙誘導部材(姿勢切替部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の用紙搬送経路と当該第一の用紙搬送経路に対して間隔をあけて並行して配置された第二の用紙搬送経路との間に、前記第一および第二の用紙搬送経路の双方に沿って相互に隣接した状態に並べて配置されて、前記第一および前記第二の用紙搬送経路の幅方向に沿った回動軸回りに回動する二つのローラを有し、前記第一または前記第二の用紙搬送経路から回動する前記二つのローラ間の隙間に用紙を挟み込んで当該用紙を折り曲げる用紙折曲機構と、
前記第一の用紙搬送経路にある前記用紙に当接して当該用紙を前記二つのローラ間の隙間に誘導する第一の用紙誘導部材と、
前記第二の用紙搬送経路にある前記用紙に当接して当該用紙を前記二つのローラ間の隙間に誘導する第二の用紙誘導部材と、
前記第一の用紙搬送経路から前記用紙折曲機構を介して前記第二の用紙搬送経路に導入される前記用紙に当接して当該用紙の前記第二の用紙搬送経路内での姿勢を切り替える姿勢切替部材と、
を備えた用紙折曲装置。
【請求項2】
前記用紙を搬送する搬送ローラを有し、前記第二の用紙搬送経路に導入された前記用紙の前記第二の用紙誘導部材に対する相対位置を変化させる折曲位置可変機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の用紙折曲装置。
【請求項3】
前記姿勢切替部材が前記第二の用紙誘導部材としても機能することを特徴とする請求項1または2に記載の用紙折曲装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−111607(P2012−111607A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262541(P2010−262541)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】