説明

画像処理装置

【課題】原稿をコピーする場合、原稿読み取り時の位置ずれ補正のみでは不十分である。
【解決手段】画像処理装置10は、原稿を読み取ってイメージを取得するスキャナ部13と、画像処理部14と、印刷媒体に印刷を行うプリンタ部15と、スキャナ部13及びプリンタ部15の位置ずれを確認するための位置ずれ確認パターンデータ20cを記憶するフラッシュROM20と、プリンタ部15で位置ずれ確認パターンデータ20cを印刷媒体に印刷した結果をスキャナ部13で読み取った確認イメージを取得する位置ずれ確認イメージ取得部21と、位置ずれ補正データ生成部22とを有している。位置ずれ補正データ生成部22は、スキャナ部13で読み取った確認イメージから、スキャナ部13及びプリンタ部15の位置ずれを補正するための補正データを生成する。画像処理部14は、前記補正データを用いてスキャナ部13及びプリンタ部15の位置ずれの補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ部及びスキャナ部の位置ずれを補正する画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置の1つである光学式文字読み取り装置において、原稿読み取りの位置ずれ補正に関して、例えば、下記の特許文献1にて提案されている位置ずれ補正技術が知られている。この位置ずれ補正技術では、読み取った原稿のイメージ(画像)の上辺と下辺のスキュー量(斜行量)から、読み取り時のスキューを補正するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5ー174184公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像処理装置(例えば、スキャナ部とプリンタ部が一体となった複合機、以下「MFP」という。)では、原稿読み取り時のスキューを補正するようになっているので、原稿をコピー(複写)する場合、原稿読み取り時のスキュー以外に印刷時のスキューも考慮する必要があり、従来のように読み取り時の位置ずれ補正のみでは、十分な結果を得られないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうちの第1の発明の画像処理装置は、原稿を読み取ってイメージを取得するスキャナ部と、印刷媒体に印刷を行うプリンタ部と、前記スキャナ部及び前記プリンタ部の位置ずれを確認するための確認パターンデータを記憶する記憶部と、前記プリンタ部で前記確認パターンデータを前記印刷媒体に印刷した結果を前記スキャナ部で読み取った確認イメージを取得する確認イメージ取得部と、前記スキャナ部で読み取った前記確認イメージから、前記スキャナ部の位置ずれを補正するための第1の補正データを生成する第1の補正データ生成手段と、前記スキャナ部で読み取った前記確認イメージから、前記プリンタ部の位置ずれを補正するための第2の補正データを生成する第2の補正データ生成手段と、前記第1及び第2の補正データを用いて前記スキャナ部及び前記プリンタ部の位置ずれの補正を行う補正実行手段とを有している。
【0006】
第2の発明の画像処理装置は、原稿をそれぞれ読み取ってイメージをそれぞれ取得する第1の読み取り部及び第2の読み取り部の2つの読み取り部を有するスキャナ部と、印刷媒体に印刷を行うプリンタ部と、前記スキャナ部及び前記プリンタ部の位置ずれを確認するための確認パターンデータを記憶する記憶部と、前記プリンタ部で前記確認パターンデータを前記印刷媒体に印刷した結果を、前記第1の読み取り部で読み取った第1の読み取りイメージを取得すると共に、前記第2の読み取り部で読み取った第2の読み取りイメージを取得する確認イメージ取得部とを有している。
【0007】
更に、この第2の発明の画像処理装置は、前記第1の読み取りイメージから、前記第1の読み取り部の位置ずれを補正するための第1の補正データを生成する第1の補正データ生成手段と、前記第1の読み取りイメージから、前記プリンタ部の位置ずれを補正するための第2の補正データを生成する第2の補正データ生成手段と、前記第1の読み取りイメージと前記第2の読み取りイメージとから、前記第2の読み取り部の位置ずれを補正するための第3の補正データを生成する第3の補正データ生成手段と、前記第1、第2及び第3の補正データを用いて前記スキャナ部及び前記プリンタ部の位置ずれの補正を行う補正実行手段とを有している。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明の画像処理装置によれば、確認パターンデータをプリンタ部で印刷した印刷結果を、スキャナ部で読み取った結果から、スキャナ読み取り時の位置ずれと、印刷媒体の搬送時に発生するプリンタ部の位置ずれとの両方を補正することが可能となり、コピー時の位置ずれを改善することが可能となる。
【0009】
第2の発明の画像処理装置によれば、第1の発明の効果に加え、確認パターンデータをプリンタ部で印刷した印刷結果を、スキャナ部における第1及び第2の読み取り部における第2の読み取り部からスキャンすることで、第2の読み取り部の位置ずれを補正することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の実施例1における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は図1の画像処理装置10で使用する位置ずれ確認パターン30の例を示す図である。
【図3】図3は図1の画像処理装置10における位置ずれ補正値生成処理の概略を示すフローチャートである。
【図4】図4は図1の位置ずれ確認パターンの印刷結果の例を示す図である。
【図5】図5は図1のフラットベッド位置ずれ確認イメージの例を示す図である。
【図6】図6は図1のフラットベッド位置補正データ20aの算出方法を説明するための図である。
【図7】図7は図1のプリント位置補正データ20bの算出方法を説明するための図である。
【図8】図8は図1の画像処理装置10における位置ずれ補正処理の概略を示すフローチャートである。
【図9】図9は図8におけるフラットベッドコピー時の位置ずれ補正処理を説明するための図である。
【図10】図10は本発明の実施例2における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は図10の画像処理装置10Aにおける位置ずれ補正値生成処理の概略を示すフローチャートである。
【図12】図12は図11のドキュメントフィーダ位置ずれ確認イメージの例を示す図である。
【図13】図13は図11のドキュメントフィーダ位置ずれ補正値の算出方法を説明するための図である。
【図14】図14は図10の画像処理装置10Aにおける位置ずれ補正処理の概略を示すフローチャートである。
【図15】図15は図14におけるドキュメントフィーダコピー時の位置ずれ補正処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0012】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
この画像処理装置10は、例えば、MFPであり、装置全体をプログラム制御する中央処理装置(以下「CPU」という。)11と、パネル制御部12と、スキャナ部13と、補正実行手段(例えば、画像処理部)14と、プリンタ部15と、通信手段(例えば、ファクス通信制御部16及びネットワーク通信制御部17)と、読み出し専用メモリ(以下「ROM」という。)18と、随時読み書き可能なメモリ(以下「RAM」という。)19と、記憶部(例えば、不揮発性メモリであるフラッシュROM)20と、確認イメージ取得部(例えば、位置ずれ確認イメージ取得部)21と、第1及び第2の補正データ生成手段(例えば、位置ずれ補正データ生成部)22を有し、これらがシステムバス13を介して相互に接続されている。
【0014】
パネル制御部12は、画像処理装置10の操作全般を制御するものであり、位置ずれ確認パターンの印刷操作、及び位置ずれ確認パターンの印刷結果の読み取り操作に使用される。スキャナ部13は、図示しないガラス面にセットされた原稿をイメージセンサで読み取る読み取り部(例えば、フラットベッド部)13aを備えている。画像処理部14は、スキャナ部13で読み取ったイメージデータに対する画像処理を行うものであり、フラットベッド部13aで読み取られたイメージに対しては、第1の補正データ(例えば、フラットベッド位置補正データ)20aを用いた補正を行い、プリンタ部15にて印刷媒体(例えば、印刷用紙)に印刷されるイメージに対しては、第2の補正データ(例えば、プリント位置補正データ)20bを用いた補正を行う機能を有している。
【0015】
プリンタ部15は、画像処理部14で処理されたイメージデータ及び位置ずれ確認パターンデータ20cを印刷用紙に印刷するものである。ファクス通信制御部16は、ファクス送信及びファクス受信の制御を行うものである。ネットワーク通信制御部17は、ネットワーク経由での電子メール及びイメージデータの送受信を含むネットワークに関する全般の制御を行うものである。ROM18には、CPU11を動作させるためのプログラムが格納されている。RAM19は、イメージデータを蓄積するためのイメージバッファや、画像処理装置10を動作させるためのシステムメモリとして使用される。
【0016】
フラッシュROM20は、画像処理装置10の各種設定値を格納するための不揮発性メモリであり、スキャナ部13(例えば、フラットベッド部13a)の読み取り位置補正を行うためのフラットベッド位置補正データ20aと、プリンタ部15の印刷位置補正を行うためのプリント位置補正データ20bと、スキャナ部13とプリンタ部15の位置ずれを確認するために使用する確認パターンデータ(例えば、位置ずれ確認パターンデータ)20cとが格納されている。
【0017】
位置ずれ確認イメージ取得部21は、位置ずれ確認パターンデータ20cをプリンタ部15にて印刷用紙に印刷した結果をフラットベッド部13aで取り込み、確認イメージ(例えば、フラットベッド位置ずれ確認イメージ)を取得するものである。更に、位置ずれ補正データ生成部22は、位置ずれ確認イメージ取得部21によって取得されたフラットベッド位置ずれ確認イメージから、フラットベッド位置補正データ20aとプリント位置補正データ20bとを生成するものである。
【0018】
図2は、図1の画像処理装置10で使用する位置ずれ確認パターン30の例を示す図である。
【0019】
この位置ずれ確認パターン30は、長方形の四隅付近において、左上に矩形のTLパターン、右上に矩形のTRパターン、左下に矩形のBLパターン、及び右下に矩形のBRパターンが配置され、更に、TLパターン及びTRパターンの中間に矩形のTCパターンが配置されている。この位置ずれ確認パターン30は、スキャナ部13及びプリンタ部15の位置ずれを補正するために使用する基準パターンであり、画像処理装置10のスキャナ部13及びプリンタ部15等における形状、サイズ等の設計値に基づき作成され、このデータ(即ち、位置ずれ確認パターンデータ20c)が予めフラッシュROM20内に格納される。
【0020】
(実施例1の動作)
図3は、図1の画像処理装置10における位置ずれ補正値生成処理の概略を示すフローチャートである。
【0021】
図4は、図1の位置ずれ確認パターンの印刷結果の例を示す図、図5は、図1のフラットベッド位置ずれ確認イメージの例を示す図である。図6は、図1のフラットベッド位置補正データ20aの算出方法を説明するための図であり、フラットベッド位置補正と無関係な箇所は省略されている。図7は、図1のプリント位置補正データ20bの算出方法を説明するための図であり、プリント位置補正と無関係な箇所は省略されている。
【0022】
以下、図3を参照しつつ、位置ずれ補正値生成処理の処理手順を説明する。
図3の位置ずれ補正値生成処理の操作が開始され、ステップS1において、パネル制御部12を操作し、図2の位置ずれ確認パターン30の印刷を実行すると、プリンタ部15は、フラッシュROM20に格納されている位置ずれ確認パターンデータ20cを印刷用紙に印刷する。これにより、図4に示すような位置ずれ確認パターンが印刷用紙に印刷される。印刷された図4の位置ずれ確認パターンには、プリンタ部15によるずれ量が含まれているため、例えば、時計回りに少しスキューしている。ステップS2において、図4のような位置ずれ確認パターンの印刷結果を、スキャナ部13のフラットベッド部13aにセットした後、ステップS3において、パネル制御部12を操作し、図4の位置ずれ確認パターンの印刷結果の読み取りを行う。
【0023】
ステップS4において、位置ずれ確認イメージ取得部21は、スキャナ部13のフラットベッド部13aで読み取ったフラットベッド位置ずれ確認イメージを取得する。なお、フラットベッド位置ずれ確認イメージの読み取り時は、フラットベッド部13aのガラス面内にセットされた図4の印刷結果全面を読み取るために、フラットベッド部13aのガラス面全面を読み取る。このフラットベッド位置ずれ確認イメージの例が、図5に示されている。この図5のイメージには、前回のプリンタ部15によるずれ量と、今回のフラットベッド部13aによるずれ量とが含まれているため、例えば、時計回りに大きくスキューしている。
【0024】
ステップS5において、位置ずれ補正データ生成部22は、図5のフラットベッド位置ずれ確認イメージから、フラットベッド読み取り時のスキュー量を算出し、フラットベッド位置補正データ20aを生成する。このフラットベッド位置補正データ20aの算出方法を説明するための図が、図6に示されている。
【0025】
図5のフラットベッド位置ずれ確認イメージと、図4の位置ずれ確認パターンの印刷結果との差が、フラットベッド部13aによるずれ量のため、このずれ量を補正するためのフラットベッド位置補正データ20a(=adjS_fb)は、例えば、次式(1)にて算出できる。
【0026】
【数1】



【0027】
但し、
RT_fb:フラットベッド位置ずれ確認イメージの右端から原稿右先端部までの
長さ
RB_fb:フラットベッド位置ずれ確認イメージの右端から原稿右後端部までの
長さ
L_fb:原稿右先端部から原稿右後端部までの長さ
S_fb:フラットベッド読み取り時のスキュー量
【0028】
ステップS6において、生成されたフラットベッド位置補正データ20aは、フラッシュROM20内に格納される。
【0029】
次に、ステップS7において、位置ずれ補正データ生成部22は、図5のフラットベッド位置ずれ確認イメージから、印刷時のスキュー量を算出し、プリント位置補正データ20bを生成する。このプリント位置補正データ20bにおける算出方法を説明するための図が、図7に示されている。
【0030】
図4の位置ずれ確認パターンの印刷結果と、図2の位置ずれ確認パターンとの差が、プリンタ部15によるずれ量のため、このずれ量を補正するためのプリント位置補正データ20b(=adjS_pn)は、例えば、次式(2)にて算出できる。
【0031】
【数2】



【0032】
但し、
RT_pn:フラットベッド位置ずれ確認イメージの原稿右端部からTRパターン
右先端部までの長さ
RB_pn:フラットベッド位置ずれ確認イメージの原稿右端部からBRパターン
右後端部までの長さ
L_pn:フラットベッド位置ずれ確認イメージのTRパターン右先端部からBR
パターン右後端部までの長さ
S_fb:フラットベッド読み取り時のスキュー量
【0033】
ステップS8において、生成されたプリント位置補正データ20bが、フラッシュROM20内に格納され、位置ずれ補正値生成処理の操作が終了する。
【0034】
図8は、図1の画像処理装置10における位置ずれ補正処理の概略を示すフローチャートである。
【0035】
図9は、図8におけるフラットベッドコピー時の位置ずれ補正処理を説明するための図である。図9中のadjS_fbはフラットベッド読み取り時の位置ずれ補正量、及び、adjS_pnは印刷時の位置ずれ補正量である。
【0036】
以下、図8を参照しつつ、図1の位置ずれ補正処理の処理手順を説明する。
図8の位置ずれ補正処理の操作が開始され、ステップS10において、スキャナ部13のフラットベッド部13aに原稿をセットする。ステップS11において、パネル制御部12を操作して、コピー、スキャンもしくはファクス送信の操作を行い、フラットベッド部13aの原稿の読み取りを行う。ステップS12において、パネル制御部12により、実行する機能がフラットベッドコピーか否かが判定され、フラットベッドコピーの場合(Yes)はステップS13へ進み、スキャンもしくはファクス送信の場合(No)はステップS16へ進む。
【0037】
ステップS13において、実行する機能がコピーの場合であるので、画像処理部14は、フラッシュROM20に格納されたフラットベッド位置補正データ20a(=adjS_fb)とプリント位置補正データ20b(=adiS_pn)との和を算出し、この算出結果分だけ、読み取ったイメージを例えば反時計方向に回転させることにより、コピー結果に最適な位置ずれ補正を行う。このフラットベッドコピーにおける位置ずれ補正処理が、図9に示されている。
【0038】
ステップS14において、画像処理部14は、位置ずれ補正されたコピーの画像処理を実施し、ステップS15において、プリンタ部15により印刷用紙に印刷を行い、位置ずれ補正処理を終了する。
【0039】
ステップS12において、実行する機能がコピー以外のスキャンもしくはファクス送信だった場合(No)、ステップS16において、画像処理部14は、フラッシュROM20に格納されたフラットベッド位置補正データ20a(=adjS_fb)の値分だけ、読み取ったイメージを例えば反時計方向に回転させることにより、フラットベッド読み取り結果に最適な位置ずれ補正を行う。
【0040】
ステップS17において、画像処理部14は、位置ずれ補正されたスキャンもしくはファクス送信の画像処理を実施し、ステップS18において、ファクス通信制御部16もしくはネットワーク通信制御部17により、画像処理結果であるイメージデータを送信し、位置ずれ補正処理の操作を終了する。
【0041】
本実施例1により、図2の位置ずれ確認パターンを印刷用紙に印刷した結果を用いて、フラットベッド読み取り時と印刷時のスキューを補正することが可能となる。しかも、図4の位置ずれ確認パターンの印刷結果を原稿として使用するため、スキャナ部13(例えば、フラットベッド部13a)の位置ずれ補正のための専用チャートを準備する必要がなくなるという利点もある。
【0042】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、図4の位置ずれ確認パターンの印刷結果をフラットベッド部13aで読み取った結果から、スキャナ部13におけるイメージセンサの取り付け精度によって発生するフラットベッド読み取り時の位置ずれと、印刷用紙の搬送時に発生するプリンタ部15の位置ずれとの両方を補正することが可能となり、コピー時の位置ずれを改善することが可能となる。又、フラットベッド読み取り時の位置ずれを補正した後、スキャンもしくはファックス送信の画像処理を行い、この画像処理結果を送信するようにしたので、受信側において位置ずれのない画像受信が可能になる。
【実施例2】
【0043】
(実施例2の構成)
図10は、本発明の実施例2における画像処理装置の構成を示すブロック図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0044】
本実施例2の画像読取装置10Aは、実施例1の画像処理装置10と同様に、例えば、MFPであるが、実施例1のスキャナ部13、画像処理部14、フラッシュROM20、位置ずれ確認イメージ取得部21、及び位置ずれ補正データ生成部22に代えて、これらとは構成あるいは機能の異なるスキャナ部13Aと、補正実行手段(例えば、画像処理部)14Aと、記憶部(例えば、フラッシュROM)20Aと、確認イメージ取得部(例えば、位置ずれ確認イメージ取得部)21Aと、第1、第2及び第3の補正データ生成手段(例えば、位置ずれ補正データ生成部)22Aとが設けられている。
【0045】
スキャナ部13Aは、図示しないガラス面にセッ卜された原稿をイメージセンサで読み取るための実施例1と同様の第1の読み取り部(例えば、フラットベッド部)13aと、複数枚の原稿を読み取るための第2の読み取り部(例えば、ドキュメントフィーダ部)13bとを有している。画像処理部14Aは、スキャナ部13で読み取ったイメージデータに対する画像処理を行うものであり、フラットベッド部13aで読み取られたイメージに対しては第1の補正データ(例えば、フラットベッド位置補正データ)20aを用いた補正を行い、プリンタ部15で印刷用紙に印刷されるイメージに対しては、第2の補正データ(例えば、プリント位置補正データ)20bを用いた補正を行い、ドキュメントフィーダ部13bで読み取られたイメージに対しては、第3の補正データ(例えば、ドキュメントフィーダ位置補正データ)20dを用いた補正を行う機能を有している。
【0046】
フラッシュROM20Aは、画像処理装置10Aの各種設定値を格納するための不揮発性メモリであり、フラットベッド部13aの読み取り位置補正を行うための実施例1と同様のフラットベッド位置補正データ20aと、プリンタ部15の印刷位置補正を行うための実施例1と同様のプリント位置補正データ20bと、フラットベッド部13aとドキュメントフィーダ部13bとプリンタ部15との位置ずれを確認するために使用される実施例1と同様の位置ずれ確認パターンデータ20cと、ドキュメントフィーダ部13bの読み取り位置補正を行うためのドキュメントフィーダ位置補正データ20dとが格納されている。
【0047】
位置ずれ確認イメージ取得部21Aは、位置ずれ確認パターンデータ20cをプリンタ部15で印刷用紙に印刷した結果を、フラットベッド部13aとドキュメントフィーダ部13bとで読み取り、第1及び第2の読み取りイメージ(例えば、イメージデータ)をそれぞれ取得するものである。更に、位置ずれ補正データ生成部22Aは、位置ずれ確認イメージ取得部21Aによって取得された位置ずれ確認イメージから、フラットベッド位置補正データ20a、ドキュメントフィーダ位置補正データ20d、及びプリント位置補正データ20bを生成するものである。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0048】
(実施例2の動作)
図11は、図10の画像処理装置10Aにおける位置ずれ補正値生成処理の概略を示すフローチャートである。
【0049】
図12は、図11のドキュメントフィーダ位置ずれ確認イメージの例を示す図、図13(a)、(b)は、図11のドキュメントフィーダ位置ずれ補正値の算出方法を説明するための図である。
【0050】
以下、図11を参照しつつ、位置ずれ補正値生成処理の処理手順を説明する。
図11の位置ずれ補正値生成処理の操作が開始されると、図3のステップS1〜S8と同様の処理が行われ、このステップS8において、プリント位置補正データ20bがフラッシュROM20A内に格納された後、ステップS20において、図4の位置ずれ確認パターンの印刷結果を、スキャナ部13Aのドキュメントフィーダ部13bにセットする。ステップS21において、パネル制御部12を操作して、ドキュメントフィーダ部13bにより、位置ずれ確認パターンの印刷結果の読み取りを行う。
【0051】
ステップS22において、位置ずれ確認イメージ取得部21Aは、スキャナ部13Aのドキュメントフィーダ部13bで読み取ったドキュメントフィーダ位置ずれ確認イメージを取得する。このドキュメントフィーダ位置ずれ確認イメージの例が、図12に示されている。この図12のイメージには、前回のプリンタ部15によるずれ量と、今回のドキュメントフィーダ部13bによるずれ量とが含まれているため、例えば、時計回りにスキューしている。
【0052】
次に、ステップS23において、位置ずれ補正データ生成部22Aは、図4の位置ずれ確認パターンの印刷結果に対して相関関係にある図5のフラットベッド位置ずれ確認イメージと、図12のドキュメントフィーダ位置ずれ確認イメージとを比較し、ドキュメントフィーダ位置補正データ20dを生成する。このドキュメントフィーダ位置ずれ補正値の算出方法を説明する図が、図13(a)、(b)に示されている。
【0053】
図12のドキュメントフィーダ位置ずれ確認イメージと、図4の位置ずれ確認パターンの印刷結果との差が、ドキュメントフィーダ部13bによるずれ量のため、このずれ量を補正するためのドキュメントフィーダ位置補正データ20d(=adjS_df)は、例えば、次式(3)式にて算出できる。
【0054】
【数3】



【0055】
但し、
RT_df:ドキュメントフィーダ位置ずれ確認イメージの原稿右端部からTRパ
ターン右先端部までの長さ
RT_pn:フラットベッド位置ずれ確認イメージの原稿右端部からTRパターン
右先端部までの長さ
RB_df:ドキュメントフィーダ位置ずれ確認イメージの原稿右端部からBRパ
ターン右後端部までの長さ
RB_pn:フラットベッド位置ずれ確認イメージの原稿右端部からBRパターン
右後端部までの長さ
L_df:ドキュメントフィーダ位置ずれ確認イメージのTRパターン右先端部か
らBRパターン右後端部までの長さ
【0056】
その後、ステップS24において、位置ずれ補正データ生成部22Aにて生成したドキュメントフィーダ位置補正データ20dを、フラッシュROM20A内に格納し、位置ずれ補正値生成の操作を終了する。
【0057】
図14は、図10の画像処理装置10Aにおける位置ずれ補正処理の概略を示すフローチャートである。
【0058】
図15は、図14におけるドキュメントフィーダコピー時の位置ずれ補正処理を説明するための図である。図15中のadjS_dfはドキュメントフィーダ読み取り時の位置ずれ補正量、及び、adjS_pnは印刷時の位置ずれ補正量である。
【0059】
以下、図14を参照しつつ、図10の位置ずれ補正処理の処理手順を説明する。
図14の位置ずれ補正処理の操作が開始され、ステップS30において、スキャナ部13Aのドキュメントフィーダ部13bに原稿をセットする。ステップS31において、パネル制御部12を操作して、コピー、スキャンもしくはファクス送信の操作を行い、原稿の読み取りを行う。ステップS32において、パネル制御部12により、実行する機能がドキュメントフィーダコピーか否かが判定され、ドキュメントフィーダコピーの場合(Yes)はステップS33へ進み、スキャンもしくはファクス送信の場合(No)はステップS36へ進む。
【0060】
ステップS32において、実行する機能がドキュメントフィーダコピーだった場合(Yes)、ステップS33において、画像処理部14Aは、フラッシュROM20Aに格納されたドキュメントフィーダ位置補正データ20d(=adjS_df)とプリント位置補正データ20b(=adjS_pn)との和を算出し、この算出結果分だけ、読み取ったイメージを反時計方向に回転させることにより、コピー結果に最適な位置ずれ補正を行う。このドキュメントフィーダコピー時の位置ずれ補正処理を説明するための図が、図15に示されている。次に、ステップS34において、画像処理部14Aは、位置ずれ補正されたコピーの画像処理を実施し、ステップS35において、プリンタ部15により印刷用紙に印刷を行い、位置ずれ補正処理の操作を終了する。
【0061】
ステップS32において、実行する機能がコピー以外のスキャンもしくはファクス送信だった場合(No)、ステップS36において、画像処理部14Aは、フラッシュROM20Aに格納されたドキュメントフィーダ位置補正データ20d(=adjS_df)の値分だけ、読み取ったイメージを反時計方向に回転させることにより、ドキュメント読み取り結果に対して最適な位置ずれ補正を行う。次に、ステップS37において、画像処理部14Aは、位置ずれ補正されたスキャンもしくはファクス送信の画像処理を実施し、ステップS38において、ファクス通信制御部16もしくはネットワーク通信制御部17により、画像処理結果であるイメージデータを送信し、位置ずれ補正処理の操作を終了する。
【0062】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、図4の位置ずれ確認パターンの印刷結果をドキュメントフィーダ部13bからスキャンすることで、ドキュメントフィーダ部13bの位置ずれを補正することも可能になる。又、ドキュメントフィーダ読み取り時の位置ずれを補正した後、スキャンもしくはファックス送信の画像処理を行い、この画像処理結果を送信するようにしたので、受信側において位置ずれのない画像受信が可能になる。
【0063】
(変形例)
本発明は、上記実施例1、2に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)、(b)のようなものがある。
【0064】
(a) フラットベッド位置補正データ20a、プリント位置補正データ20b、及びドキュメントフィーダ位置補正データ20dは、(1)式〜(3)式以外の他の計算方法にて算出してもよい。又、これらを格納するフラッシュROM20,20Aは、他の不揮発性メモリで構成してもよい。
【0065】
(b) 実施例1、2では、画像処理装置10,10AをMFPにより構成したが、ファクシミリ装置やコピー機等により画像処理装置を構成しても、上記実施例1、2とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0066】
10,10A 画像処理装置
13,13A スキャナ部
13a フラットベッド部
13b ドキュメントフィーダ部
14 画像処理部
15 プリンタ部
20,20A フラッシュROM
20a フラットベッド位置補正データ
20b プリント位置補正データ
20c 位置ずれ確認パターンデータ
20d ドキュメントフィーダ位置補正データ
21,21A 位置ずれ確認イメージ取得部
22,22A 位置ずれ補正データ生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取ってイメージを取得するスキャナ部と、
印刷媒体に印刷を行うプリンタ部と、
前記スキャナ部及び前記プリンタ部の位置ずれを確認するための確認パターンデータを記憶する記憶部と、
前記プリンタ部で前記確認パターンデータを前記印刷媒体に印刷した結果を前記スキャナ部で読み取った確認イメージを取得する確認イメージ取得部と、
前記スキャナ部で読み取った前記確認イメージから、前記スキャナ部の位置ずれを補正するための第1の補正データを生成する第1の補正データ生成手段と、
前記スキャナ部で読み取った前記確認イメージから、前記プリンタ部の位置ずれを補正するための第2の補正データを生成する第2の補正データ生成手段と、
前記第1及び第2の補正データを用いて前記スキャナ部及び前記プリンタ部の位置ずれの補正を行う補正実行手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置は、更に、
前記補正実行手段により前記位置ずれが補正された前記スキャナ部の読み取りイメージデータに対する送受信を行う通信手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記スキャナ部は、ガラス面にセットされた前記原稿を読み取るフラットベッド部を有し、
前記第1の補正データ生成手段は、前記フラットベッド部で読み取った前記確認イメージから、前記フラットベッド部の位置ずれを補正するための前記第1の補正データを生成することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
原稿をそれぞれ読み取ってイメージをそれぞれ取得する第1の読み取り部及び第2の読み取り部の2つの読み取り部を有するスキャナ部と、
印刷媒体に印刷を行うプリンタ部と、
前記スキャナ部及び前記プリンタ部の位置ずれを確認するための確認パターンデータを記憶する記憶部と、
前記プリンタ部で前記確認パターンデータを前記印刷媒体に印刷した結果を、前記第1の読み取り部で読み取った第1の読み取りイメージを取得すると共に、前記第2の読み取り部で読み取った第2の読み取りイメージを取得する確認イメージ取得部と、
前記第1の読み取りイメージから、前記第1の読み取り部の位置ずれを補正するための第1の補正データを生成する第1の補正データ生成手段と、
前記第1の読み取りイメージから、前記プリンタ部の位置ずれを補正するための第2の補正データを生成する第2の補正データ生成手段と、
前記第1の読み取りイメージと前記第2の読み取りイメージとから、前記第2の読み取り部の位置ずれを補正するための第3の補正データを生成する第3の補正データ生成手段と、
前記第1、第2及び第3の補正データを用いて前記スキャナ部及び前記プリンタ部の位置ずれの補正を行う補正実行手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像処理装置は、更に、
前記補正実行手段により前記位置ずれが補正された前記スキャナ部の読み取りイメージデータに対する送受信を行う通信手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の読み取り部は、ガラス面にセッ卜された前記原稿を読み取るフラットベッド部であり、
前記第2の読み取り部は、複数枚の前記原稿を読み取るドキュメントフィーダ部であり、
前記第1の補正データ生成手段は、前記フラットベッド部で読み取った確認イメージから、前記フラットベッド部の位置ずれを補正するための前記第1の補正データを生成し、
前記第3の補正データ生成手段は、前記フラットベッド部で読み取った確認イメージと、前記ドキュメントフィーダ部で読み取った確認イメージとから、前記ドキュメントフィーダ部の位置ずれを補正するための前記第3の補正データを生成することを特徴とする請求項4又は5記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−41099(P2011−41099A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187971(P2009−187971)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】