説明

画像処理装置

【課題】印刷条件を変更する操作を容易に行なえるようにする。
【解決手段】過去に印刷を行った文書の識別情報としての第1の文書名と、該文書の印刷に適用された印刷条件とを関連付けて履歴情報として記憶する履歴保存部と、前記履歴保存部に記憶された履歴情報から前記第1の文書名を表示するとともに、前記第1の文書名に関連付けて記憶された印刷条件を抽出して表示する履歴表示制御部と、前記印刷条件を選択する操作を受付けて前記印刷条件を適用する印刷条件選択部とを備え、前記印刷条件選択部は、文書の識別情報としての第2の文書名の入力を受付けると、前記履歴表示制御部により、前記第2の文書名と、前記履歴情報の前記第1の文書名との少なくとも一部の比較結果に基づき、一致度が高い前記第1の文書名と、前記第1の文書名に関連付けられた前記印刷条件とを優先して前記履歴情報から抽出し、前記第1の文書名および前記印刷条件を選択可能に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷設定情報に従って印刷データを生成する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像処理装置は、通信可能に接続された印刷装置に、ユーザを特定するためのユーザ情報に関連付けられた印刷条件としての印刷設定情報を格納しておき、プリンタドライバソフトウェアをインストールする際に、印刷装置から印刷設定情報を読み出してプリンタドライバソフトウェアの印刷設定情報に反映させるようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−217097号公報(段落「0031」〜段落「0042」、図5、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、プリンタドライバソフトウェアをインストールする際に、印刷装置から読み出した印刷設定情報と異なる印刷条件で印刷を行う場合、その都度ユーザによる印刷条件の変更を行う操作が必要であり、ユーザはそれぞれの印刷条件を確認しながら印刷条件を変更する必要があるため、その操作は煩雑であるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、印刷条件を変更する操作を容易に行なえるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、印刷条件に従って印刷データを生成する画像処理装置において、過去に印刷を行った文書の識別情報としての第1の文書名と、該文書の印刷に適用された前記印刷条件とを関連付けて履歴情報として記憶する履歴保存部と、前記履歴保存部に記憶された履歴情報から前記第1の文書名を表示するとともに、前記第1の文書名に関連付けて記憶された印刷条件を抽出して表示する履歴表示制御部と、前記印刷条件を選択する操作を受付けて前記印刷条件を適用する印刷条件選択部とを備え、前記印刷条件選択部は、文書の識別情報としての第2の文書名の入力を受付けると、前記履歴表示制御部により、前記第2の文書名と、前記履歴情報の前記第1の文書名との少なくとも一部の比較結果に基づき、一致度が高い前記第1の文書名と、前記第1の文書名に関連付けられた前記印刷条件とを優先して前記履歴情報から抽出し、前記第1の文書名および前記印刷条件を選択可能に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、印刷条件を変更する操作を容易に行なえるようにすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例におけるホストPCの構成を示すブロック図
【図2】第1の実施例における印刷設定保存部に格納される印刷設定情報の説明図
【図3】第1の実施例における適用印刷設定に格納される印刷設定情報の説明図
【図4】第1の実施例における履歴保存部に格納される印刷履歴情報の説明図
【図5】第1の実施例における印刷設定画面の説明図
【図6】第1の実施例における印刷設定選択画面の説明図
【図7】第1の実施例におけるファイル名選択画面の説明図
【図8】第1の実施例におけるファイル参照画面の説明図
【図9】第1の実施例における印刷例表示画面の説明図
【図10】第1の実施例における印刷設定選択画面の説明図
【図11】第1の実施例における印刷処理を示すフローチャート
【図12】第1の実施例における印刷設定処理を示すフローチャート
【図13】第1の実施例における印刷設定選択処理を示すフローチャート
【図14】第1の実施例におけるファイル名選択処理を示すフローチャート
【図15】第1の実施例における印刷履歴制御処理を示すフローチャート
【図16】第1の実施例における印刷履歴選択の説明図(Key1)
【図17】第1の実施例における印刷履歴選択の説明図(Key2)
【図18】第1の実施例における印刷履歴選択の説明図(Key3)
【図19】第2の実施例におけるホストPCの構成を示すブロック図
【図20】第2の実施例における印刷履歴の説明図
【図21】第2の実施例における印刷設定選択画面の説明図
【図22】第2の実施例における印刷設定差異表示画面の説明図
【図23】第2の実施例における印刷設定選択処理を示すフローチャート
【図24】第2の実施例における印刷設定差異表示処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による画像処理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例におけるホストPCの構成を示すブロック図であり、ホストPC内のソフトウェアの構成を示している。
図1において、印刷条件に従って印刷データを生成する画像処理装置としてのホストPC(Personal Computer)100は、印刷装置としてのプリンタ200と通信可能に接続されている。このホストPC100およびプリンタ200は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等の制御部およびメモリ等の記憶部を備え、制御部が記憶部に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)にしたがって装置全体の動作を制御する。なお、ホストPC100は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力手段およびディスプレイ等の出力手段等を備えたコンピュータである。
【0010】
ホストPC100は、アプリケーションソフトウェア(以下、「アプリケーション」という。)110と、OS(Operating System)120と、プリンタドライバソフトウェア(以下、「プリンタドライバ」という。)130とにより構成されている。
アプリケーション110により文書データの印刷指示が行われると、OS120によりスプールファイルが生成され、プリンタドライバ130では生成されたスプールファイルを設定された印刷条件としての印刷設定に従ってプリンタ200で印刷可能な印刷データを作成する。作成された印刷データはプリンタ200に送信され、プリンタ200により印刷される。
【0011】
OS120は、アプリケーション110の印刷指示に応じてスプールファイルを生成するスプールファイル生成部121を有している。このスプールファイルは、アプリケーション110による文書データの印刷要求を、プリンタドライバ130が処理可能にするために変換された中間ファイルであり、ファイル名や印刷時刻などの情報や、文字、図形等の描画命令等により構成されている。スプールファイルは、例えばマイクロソフト社のWindows(登録商標)OSでは、EMF(Enhanced Meta File)やXPS(XML Paper Specification)といった形式が用いられる。
【0012】
プリンタドライバ130は、スプールドライバ生成部121により生成されたスプールファイルを受信するスプールファイル受信部131と、受信したスプールファイルから印刷データを印刷設定に従って作成する印刷データ作成部132と、作成した印刷データをプリンタ200に送信する印刷データ送信部133と、生成した印刷データをファイル名および印刷設定と関連付けて保存しておく印刷データ保存部143とを含んでいる。ここで、印刷データとは、プリンタ200が印刷可能なページ記述言語であり、Postscript(登録商標)、PCL(Printer Control Language)、XPS、HIPER−Cといった形式が用いられる。
【0013】
プリンタドライバ130は、さらに印刷データに適用する印刷条件としての印刷設定をユーザに設定させるためのダイアログボックス等を用いた印刷設定画面を表示する印刷設定ダイアログ制御部134と、頻繁に使用される印刷設定を再利用するために格納しておく印刷設定保存部140と、印刷データの実際の印刷に使用する印刷設定を記憶する適用印刷設定141と、過去に印刷を行なった文書の識別情報としての第1の文書名(ファイル名)とその印刷に適用された印刷条件としての印刷設定とが関連付けられた印刷履歴情報(以下、「印刷履歴」という。)を記憶、保存する履歴保存部142と、印刷履歴から使用する印刷設定を選択するダイアログボックス等を用いた印刷設定選択画面を表示して印刷設定の選択操作を受け付け、選択された印刷設定を適用させる印刷条件選択部としての印刷設定選択ダイアログ制御部135と、印刷設定選択画面において履歴保存部142に記憶された印刷履歴から第1の文書名(ファイル名)を表示するとともにその第1の文書名(ファイル名)に関連付けて記憶された印刷設定を印刷履歴から抽出して表示する履歴表示部137と、履歴表示部137に表示される印刷履歴の項目および順番をユーザが選択したファイル名を基準に決定する履歴表示制御部138と、選択された印刷設定を使用した印刷例を表示するダイアログボックス等を用いた印刷例表示画面を表示する印刷データ表示ダイアログ制御部144と、履歴表示制御部138で使用するファイル名を選択するためのダイアログボックス等を用いたファイル名選択画面を表示するファイル名選択ダイアログ制御部136と、ファイル名選択画面において現在起動しているアプリケーションが使用しているファイル名を取得するファイル名取得部139とを含んでいる。
【0014】
図5は第1の実施例における印刷設定画面の説明図であり、図1に示す印刷設定ダイアログ制御部134が表示する印刷設定画面である。
図5において、印刷設定画面600の用紙601の項目では印刷する用紙のサイズおよび用紙の種類を設定し、印刷形式602の項目ではカラー印刷またはモノクロ印刷を設定し、N−up印刷603の項目では用紙1枚あたり何枚のページの印刷データを印刷するかを設定し、両面印刷604の項目では両面印刷の可否およびその綴じ方を設定し、印刷設定の保存/読み出しの項目では予め保存してある印刷設定の呼び出しおよび現在の印刷設定の保存を行う。なお、本実施例では、印刷条件としての印刷設定を用紙、印刷形式、N−up印刷、および両面印刷として説明するが、それに限られるものでなく、印刷データを作成する条件であれば、その他の条件を含んでいても良い。
【0015】
印刷設定の保存/読み出しの項目605を操作すると、メニュー610のように現在印刷設定保存部に保存されている印刷設定の一覧が表示され、呼び出す印刷設定の選択を行うことができるようになっている。
「現在の設定を保存」ボタン606を押下すると印刷設定保存ダイアログ620が表示され、現在の印刷設定を保存することができるようになっている。印刷設定保存ダイアログ620の項目621に印刷設定を識別するための名前を入力して「OK」ボタン622を押下すると印刷設定を保存して印刷設定保存ダイアログ620を終了し、「キャンセル」ボタン623を押下すると印刷設定を保存せずに印刷設定保存ダイアログ620の表示を終了する。
【0016】
また、「印刷履歴から選択」ボタン607を押下すると過去の印刷履歴を参照して使用する印刷設定を選択するための印刷設定選択画面を表示する。この印刷設定選択画面の詳細は後述する。
印刷設定画面600で変更した印刷設定の保存および過去に保存した印刷設定の読み出しは図1に示す印刷設定保存部140に対して行うものとし、また印刷設定画面600の「OK」ボタン608を押下すると現在画面に表示されている印刷設定の情報が適用印刷設定141に保存されて印刷設定画面600の表示を終了し、「キャンセル」ボタン609を押下すると何も行われず印刷設定画面600の表示を終了する。
【0017】
図2は第1の実施例における印刷設定保存部に格納される印刷設定情報の説明図であり、図1に示す印刷設定保存部140に格納される印刷設定情報の例である。
図2において、印刷設定としての印刷設定情報300は、印刷設定名301と、設定項目302と、最新印刷ファイル名303との3列により構成された表形式のものである。
印刷設定名301は、図5に示す印刷設定画面600で保存および読み出し時に使用する識別名であり、設定項目302は、印刷設定画面600で設定された印刷設定の各項目の値であり、最新印刷ファイル名303は、該印刷設定を使用して印刷した直近のファイルの名称である。
【0018】
図3は第1の実施例における適用印刷設定に格納される印刷設定情報の説明図であり、図1に示す適用印刷設定141に格納される印刷設定情報の例である。
図3において、印刷設定としての印刷設定情報400は、印刷設定名401と、設定項目402との組によって構成されている。印刷設定名401および設定項目402は、それぞれ図2に示す印刷設定名301および設定項目302と同様である。
【0019】
図4は第1の実施例における履歴保存部に格納される印刷履歴情報の説明図であり、図1に示す履歴保存部142に格納される印刷履歴情報の例である。
図4において、印刷履歴としての印刷履歴情報500は、過去に印刷したファイルの名称であるファイル名501と、そのファイルを印刷するときに使用した印刷設定の名称である印刷設定名502との2列により構成された表形式のものである。この印刷履歴情報500には、図中上方向から順に印刷履歴が追加され、図中上方向が新しい印刷履歴、図中下方向が古い印刷履歴となっている。
【0020】
図6は第1の実施例における印刷設定選択画面の説明図であり、図1に示す印刷設定選択ダイアログ制御部135が表示する印刷設定選択画面である。この印刷設定選択画面は、図5に示す「印刷履歴から選択」ボタン607が押下されたときに表示される画面である。
図6において、印刷設定選択画面700の「選択した印刷設定」701には、ユーザによって選択された印刷設定の名称が表示されるが、印刷設定選択画面700を起動したときは空欄になっている。入力手段により印刷設定が選択された状態で「印刷例の表示」ボタン702を押下すると選択された印刷設定(ファイル名も含む)を使用した印刷データの出力例を表示する印刷例表示画面が表示される。
【0021】
印刷履歴703は、図1に示す履歴保存部142から読み込まれた印刷履歴に含まれる過去に印刷したファイル名と、そのファイルを印刷するときに使用した印刷設定が図1に示す履歴表示部137によって表示され、さらにユーザが入力手段により選択した行の印刷設定の名称が「選択した印刷設定」701に表示される。なお、本実施例では、印刷設定選択画面700を起動したとき、印刷履歴703には、直近に印刷した印刷履歴を図中上方向から順に4件表示するものとする。
【0022】
「ファイル名で絞り込む」704は、ユーザがこれから印刷を行おうとしているファイル名を入力させるものである。この「ファイル名で絞り込む」704にファイル名が入力されると、図1に示す履歴表示制御部138によって表示する印刷履歴が入力されたファイル名に基づいて検索、選択され、その結果が図1に示す履歴表示部137によって表示される。また、「ファイル名で絞り込む」704は、ユーザが直接ファイル名を入力する以外にも「ファイル名の選択」ボタン705を押下することにより表示されるファイル名選択ダイアログの結果を使用することができるようになっている。
【0023】
「OK」ボタン706を押下すると「選択した印刷設定」701に表示されている印刷設定が現在の印刷設定として使用され、印刷設定選択画面700の表示を終了し、「キャンセル」ボタン707を押下すると使用する印刷設定を変更することなく印刷設定選択画面700の表示を終了する。
【0024】
図10は印刷設定選択画面700の画面例であり、ファイル名として“2011新年会の案内.doc”を入力したものである。この画面例では、「ファイル名で絞り込む」704に入力したファイル名に近似したファイル名の印刷履歴が印刷履歴703に表示され、ユーザが最上位の“2010新年会の案内.doc”を含む履歴を選択した結果、その履歴に含まれる印刷設定の名称が“パンフレット”である印刷設定が選択されていることを示している。
図9は第1の実施例における印刷例表示画面の説明図であり、図6に示す印刷設定選択画面700の「印刷例の表示」ボタン702を押下したときに図1に示す印刷データ表示ダイアログ制御部144によって表示される印刷例表示画面である。
【0025】
図9において、印刷例表示画面900の領域901には、表示している印刷データに関連付けられたファイル名および印刷設定が表示される。また、描画結果902には、選択された印刷設定に従って実際に用紙に印刷される印刷結果が表示される。なお、印刷設定が片面印刷時には、裏面の表示は空白となる。総印刷枚数903には、出力する用紙の枚数、現在表示904には、描画結果902に表示されている用紙の順序が表示される。「前のページを表示」ボタン905は、現在、描画結果902に表示されている用紙のひとつ前の順序の用紙の印刷結果を表示し、「次のページを表示」ボタン906は、現在、描画結果902に表示されている用紙のひとつ後の順序の用紙の印刷結果を表示するためのものである。「閉じる」ボタン907を押下すると印刷例表示画面900の表示を終了する。
【0026】
図7は第1の実施例におけるファイル名選択画面の説明図であり、図6に示す印刷設定選択画面700の「ファイル名の選択」ボタン705を押下したときに図1に示すファイル名選択ダイアログ制御部136によって表示されるファイル名選択画面である。
図7において、ファイル名選択画面800の「選択したファイル名」801には、ユーザが選択したファイル名が表示される。このファイル名を選択する方法には2種類ある。
【0027】
一番目は、図1に示すファイル名取得部139より取得され、領域802に表示された現在起動しているアプリケーションおよびそのアプリケーションが使用しているファイルの一覧から選択する方法である。ユーザにより選択された行に含まれるファイル名が「選択したファイル名」801に表示される。
二番目は、「ファイル一覧から選択する」803を押下して表示させたファイル参照ダイアログの結果を使用する方法である。このファイル参照ダイアログについては後述する。
【0028】
「OK」ボタン804を押下すると、「選択したファイル名」801に表示されたファイル名を選択してファイル名選択画面800の表示を終了し、「キャンセル」ボタン805を押下すると、ファイル名を選択することなくファイル名選択画面800の表示を終了する。
【0029】
図8は第1の実施例におけるファイル参照画面の説明図であり、図7に示すファイル名選択画面800の「ファイル一覧から選択する」803を押下したときに表示されるファイル参照ダイアログである。
図8において、ファイル参照画面1000の「現在の場所」1001は、現在表示しているフォルダ名を表し、「ファイルの一覧」1002は、該フォルダに存在するファイルの一覧を表示する。ユーザは表示されたファイルの一覧の中から印刷を行うファイルを選択することができるようになっている。なお、ホストPCは、一般的にメモリやハードディスク等の記憶装置を内蔵しており、その記憶装置においてファイルはフォルダに格納され、さらにフォルダは階層構造に形成されている。
【0030】
「ファイル名」1003は、ファイル一覧からユーザによって選択されたファイル名を表示し、「OK」ボタン1004を押下すると、「ファイル名」1003に表示されたファイル名を選択してファイル参照画面1000の表示を終了し、「キャンセル」ボタン1005を押下すると、ファイル名を選択することなくファイル参照画面1000の表示を終了する。
【0031】
上述した構成の作用について説明する。
まず、図1に示すプリンタドライバ130が行う印刷処理を図11の第1の実施例における印刷処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1を参照しながら説明する。
S101:ホストPC100のプリンタドライバ130のスプールファイル受信部131は、OS120のスプールファイル生成部121により生成されたスプールファイルを受信する。
【0032】
S102:印刷データ作成部132は、スプールファイル受信部131で受信したスプールファイルを基にして適用印刷設定141に格納された印刷設定に応じて印刷データを作成する。
S103:印刷データを作成した印刷データ作成部132は、スプールファイルに含まれるファイル名および印刷データ作成に使用した印刷設定名から印刷履歴を作成し、履歴保存部142に保存する。
【0033】
S104:また、印刷データ作成部132は、作成した印刷データを印刷例表示画面で使用するために、ファイル名および印刷データ作成に使用した印刷設定名と関連付けて印刷データ保存部143に保存する。
S105:作成した印刷データが印刷データ保存部143に保存されると、印刷データ送信部133は、その印刷データをプリンタ200に送信する。
このようにしてホストPC100のプリンタドライバ130は、印刷条件としての印刷設定に従って印刷データを生成する。
【0034】
次に、図1に示すプリンタドライバ130の印刷設定ダイアログ制御部134が行う印刷設定処理を図12の第1の実施例における印刷設定処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1および図5を参照しながら説明する。
S201:プリンタドライバ130の印刷設定ダイアログ制御部134は、適用印刷設定141に格納された印刷設定を読込み、それを現在の印刷設定とし、印刷設定画面600の表示結果に反映する。
【0035】
S202:印刷設定ダイアログ制御部134は、印刷設定画面600において印刷設定が変更されたか否かを判定し、印刷設定が変更された場合、処理をS203へ移行し、印刷設定が変更されていない場合、処理をS204へ移行する。
S203:印刷設定が変更されたと判定した印刷設定ダイアログ制御部134は、現在の印刷設定を変更された印刷設定に更新し、印刷設定画面600の表示に反映させ、処理をS202へ移行する。
【0036】
S204:一方、印刷設定が変更されていないと判定した印刷設定ダイアログ制御部134は、印刷設定画面600の「現在の設定を保存」ボタン606が押下されたことを検知すると処理をS205へ移行し、「現在の設定を保存」ボタン606が押下されたことを検知しないと処理をS206へ移行する。
S205:「現在の設定を保存」ボタン606が押下されたことを検知した印刷設定ダイアログ制御部134は、印刷設定保存ダイアログ620で入力された名前621を使用して現在の印刷設定を印刷設定保存部140に保存し、処理をS202へ移行する。
【0037】
S206:次に、印刷設定ダイアログ制御部134は、印刷設定画面600の「印刷履歴から選択」ボタン607が押下されたことを検知すると処理をS207へ移行し、「印刷履歴から選択」ボタン607が押下されたことを検知しないと処理をS208へ移行する。
S207:「印刷履歴から選択」ボタン607が押下されたことを検知した印刷設定ダイアログ制御部134は、印刷設定選択ダイアログ制御部135により表示された図6に示す印刷設定選択画面700で印刷設定の選択を受付ける印刷設定選択処理(図13参照)を行って処理をS203へ移行し、その印刷設定選択画面700で設定された結果に応じて現在の印刷設定を更新し、さらに処理をS202へ移行する。
【0038】
S208:次に、印刷設定ダイアログ制御部134は、印刷設定画面600の「キャンセル」ボタン609が押下されたことを検知すると処理を終了し、「キャンセル」ボタン609が押下されたことを検知しないと処理をS209へ移行する。
【0039】
S209:次に、印刷設定ダイアログ制御部134は、印刷設定画面600の「OK」ボタン608が押下されたことを検知すると処理をS210へ移行し、「OK」ボタン608が押下されたことを検知しないと処理をS202へ移行し、S202〜S208の処理を繰り返す。
S210:「OK」ボタン608が押下されたことを検知した印刷設定ダイアログ制御部134は、設定または選択された現在の印刷設定を適用印刷設定141に保存して印刷設定処理を終了する。
【0040】
次に、図1に示すプリンタドライバ130の印刷設定選択ダイアログ制御部135が行う印刷設定選択処理を図13の第1の実施例における印刷設定選択処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1および図6を参照しながら説明する。なお、この印刷設定選択処理は図12におけるS207で行われる処理である。
S301:プリンタドライバ130の印刷設定選択ダイアログ制御部135は、履歴表示制御部138を介して履歴保存部142から印刷履歴を読み出し、印刷設定選択画面700の印刷履歴703に表示する。
【0041】
S302:印刷設定選択ダイアログ制御部135は、表示した印刷設定選択画面700における印刷履歴のユーザの選択操作の有無を判定し、選択操作がされたと判定すると処理をS303へ移行し、選択操作がされなかったと判定すると処理をS304へ移行する。
S303:印刷履歴の選択操作がされたと判定した印刷設定選択ダイアログ制御部135は、選択された印刷履歴に含まれる印刷設定名を印刷設定選択画面700の「選択した印刷設定」701に表示し、処理をS302へ移行する。
【0042】
S304:印刷履歴の選択操作がされなかったと判定した印刷設定選択ダイアログ制御部135は、印刷設定選択画面700の「印刷例の表示」ボタン702の押下の有無を検知し、「印刷例の表示」ボタン702が押下され、かつS303において印刷設定が選択されていると判定すると処理をS305へ移行し、「印刷例の表示」ボタン702が押下されていない、またはS303において印刷設定が選択されていないと判定すると処理をS306へ移行する。
【0043】
S305:「印刷例の表示」ボタン702が押下され、かつS303において印刷設定が選択されていると判定した印刷設定選択ダイアログ制御部135は、選択された印刷設定(および第1の文書名としてのファイル名)に基づいて印刷データ保存部143を検索して印刷データを抽出し、その印刷データを印刷した場合の出力例を表示する図9に示す印刷例表示画面(ダイアログ)900を表示し、処理をS302へ移行する。
【0044】
S306:「印刷例の表示」ボタン702が押下されていない、またはS303において印刷設定が選択されていないと判定した印刷設定選択ダイアログ制御部135は、印刷設定選択画面700の「ファイル名の選択」ボタン705の押下の有無を判定し、「ファイル名の選択」ボタン705が押下されたと判定すると処理をS307へ移行し、押下されていないと判定すると処理をS308へ移行する。
【0045】
S307:「ファイル名の選択」ボタン705が押下されたと判定した印刷設定選択ダイアログ制御部135は、図7に示すファイル名選択画面800を表示し、ユーザによるファイル名の選択操作を受付けるファイル名選択処理(図14参照)を行って処理をS308へ移行する。
【0046】
S308:印刷設定選択ダイアログ制御部135は、図7に示すファイル名選択画面800における入力またはユーザによる直接入力により、印刷設定選択画面700の「ファイル名で絞り込む」704に入力されている文書の識別情報としての第2の文書名であるファイル名が変更されたか否かを判定し、ファイル名が変更されていると判定すると処理をS309へ移行し、ファイル名が変更されていないと判定すると処理をS310へ移行する。
【0047】
S309:ファイル名が変更されていると判定した印刷設定選択ダイアログ制御部135は、履歴表示制御部138により表示する印刷履歴を選択(図15の印刷履歴制御処理参照)し、印刷設定選択画面700の印刷履歴の表示を更新し、処理をS302へ移行する。
S310:次に、印刷設定選択ダイアログ制御部135は、印刷設定選択画面700の「キャンセル」ボタン707が押下されたことを検知すると処理を終了し、「キャンセル」ボタン707が押下されたことを検知しないと処理をS311へ移行する。
【0048】
S311:次に、印刷設定選択ダイアログ制御部135は、印刷設定選択画面700の「OK」ボタン706が押下されたことを検知すると処理をS312へ移行し、「OK」ボタン706が押下されたことを検知しないと処理をS302へ移行し、S302〜S310の処理を繰り返す。
S312:「OK」ボタン706が押下されたことを検知した印刷設定選択ダイアログ制御部135は、選択された印刷設定名の印刷設定情報を読み込んで印刷設定選択処理を終了する。
【0049】
次に、図1に示すプリンタドライバ130のファイル名選択ダイアログ制御部136が行うファイル名選択処理を図14の第1の実施例におけるファイル名選択処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1および図7を参照しながら説明する。なお、このファイル名選択処理は図13におけるS307で行われる処理である。
S401:プリンタドライバ130のファイル名選択ダイアログ制御部136は、ファイル名取得部139により現在起動しているアプリケーションの一覧およびそれらが使用しているファイル名の一覧を取得し、ファイル名選択画面800の領域802に表示する。
【0050】
S402:ファイル名選択ダイアログ制御部136は、ファイル名選択画面800の「ファイル一覧から選択する」ボタン803の押下を検知すると処理をS403へ移行し、「ファイル一覧から選択する」ボタン803の押下を検知しないと処理をS404へ移行する。
S403:「ファイル一覧から選択する」ボタン803の押下を検知したファイル名選択ダイアログ制御部136は、図8に示すファイル参照ダイアログ1000を表示し、ユーザによるファイルを選択する操作を受付けて処理をS405へ移行する。
【0051】
S404:「ファイル一覧から選択する」ボタン803の押下を検知しなかったファイル名選択ダイアログ制御部136は、ファイル名選択画面800の「起動中のアプリケーションから選択」において現在起動しているアプリケーション(ソフトウェア)が使用しているファイル名(文書名)が選択されたか否かを判定し、選択されたと判定すると処理をS405へ移行し、選択されていないと判定すると処理をS406へ移行する。
【0052】
S405:ファイル名選択ダイアログ制御部136は、S403またはS404で選択されたファイル名(第2の文書名)をファイル名選択画面800の「選択したファイル名」801に表示し、処理をS402へ移行する。
S406:次に、ファイル名選択ダイアログ制御部136は、ファイル名選択画面800の「キャンセル」ボタン805が押下されたことを検知すると処理を終了し、「キャンセル」ボタン805が押下されたことを検知しないと処理をS407へ移行する。
【0053】
S407:次に、ファイル名選択ダイアログ制御部136は、ファイル名選択画面800の「OK」ボタン804が押下されたことを検知すると処理をS408へ移行し、「OK」ボタン804が押下されたことを検知しないと処理をS402へ移行し、S402〜S406の処理を繰り返す。
S408:「OK」ボタン804が押下されたことを検知したファイル名選択ダイアログ制御部136は、選択されたファイル名を上述した印刷設定選択処理で使用するために記憶手段に記憶してファイル名選択処理を終了する。
【0054】
次に、図1に示すプリンタドライバ130の履歴表示制御部138が履歴表示部137に表示する印刷履歴を選択する印刷履歴制御処理について図15の第1の実施例における印刷履歴制御処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1を参照しながら説明する。なお、この印刷履歴制御処理は図13におけるS309で行われる処理である。
S501:履歴表示制御部138は、図6に示す印刷設定選択画面700の「ファイル名で絞り込む」704に入力または設定されたファイル名(第2の文書名)から、そのファイル名の末尾に付加された拡張子を抽出し、その拡張子をKey1とする。
【0055】
S502:次に、履歴表示制御部138は、ファイル名から拡張子および数値を除いた文字列を抽出し、それをKey2とする。
S503:次に、履歴表示制御部138は、ファイル名から数値を抽出し、その数値をKey3とする。
【0056】
例えば、ファイル名が“2011新年会の案内.doc”の場合、Key1=“doc”、Key2=“新年会の案内”、Key3=“2011”となる。以下のステップでは、各Keyに対する選択処理を行うことにより印刷履歴の表示順序を決定する。
S504:履歴表示制御部138は、印刷履歴保存部142に記憶されている印刷履歴のファイル名(第1の文書名)に含まれている拡張子を一覧としたリストを作成し、それをリスト1とする。
【0057】
S505:リスト1を作成した履歴表示制御部138は、リスト1に含まれる各拡張子とKey1の一致度を算出する。ここで、一致度とは、本実施例では、リスト1に含まれる各拡張子の文字列と、Key1の文字列と比較し、各拡張子の文字列における文字と、Key1における文字とが一致する文字数の、Key1の文字数における割合であり、例えばKey1が4文字の文字列で構成され、拡張子の文字列と比較した結果、Key1の文字列のうち2文字が、拡張子の文字列の文字と一致する場合、一致度は50%となる。なお、一致度は、上記のものに限られることなく、リスト1に含まれる各拡張子とKey1との近似した度合いを示すものであれば上記以外の算出方法であっても良い。
【0058】
S506:一致度を算出した履歴表示制御部138は、一致度の高い拡張子を有するファイル名の順に印刷履歴を並び替える。(第1の優先度)
このように履歴表示制御部138は、印刷履歴保存部142に記憶されている印刷履歴のファイル名(第1の文書名)および入力または設定されたファイル名(第2の文書名)の末尾に付加された拡張子の比較結果に基づき、入力または設定されたファイル名(第2の文書名)の拡張子(Key1)との一致度が高い拡張子を有する印刷履歴のファイル名(第1の文書名)を第1の優先度で抽出し、印刷履歴を並び替える。
【0059】
図16は第1の実施例における印刷履歴選択の説明図であり、Key1により印刷履歴を並び替えた例である。印刷履歴1101は、図4で説明した印刷履歴であり、履歴表示制御部138は、この印刷履歴1101に含まれている拡張子の一覧であるリスト1(1100)を作成する。また、履歴表示制御部138はリスト1(1100)の各拡張子とKey1=“doc”との一致度を算出し、一致度が高い順に並び替えてリスト1(1102)を作成する。拡張子“doc”はKey1と完全に一致するので一致度は100%となり、拡張子“pdf”(3文字)はKey1と1文字(“d”)だけ一致するので一致度は33%となり、拡張子“xls”および拡張子“jpg”はKey1と一致する文字が存在しないので一致度はともに0%となる。
履歴表示制御部138が各拡張子とKey1との一致度にしたがって印刷履歴1101を並び替えると印刷履歴1103が示すように、拡張子が“doc”のファイルが上位に移動する。
【0060】
S507:次に、履歴表示制御部138は、印刷履歴保存部142に記憶されている印刷履歴に含まれているファイル名から拡張子が同一であるファイルのグループのリストを作成し、それをリスト2とする。なお、同一の拡張子を有するファイルが複数存在しない(ひとつしか存在しない)場合、その拡張子のグループはリスト2に追加しないものとする。
S508:リスト2を作成した履歴表示制御部138は、そのリスト2からKey2による選択処理を行うグループをひとつ選択する。
【0061】
S509:履歴表示制御部138は、選択したグループに含まれるファイル名から拡張子および数値を除いたものと、Key2との一致度を算出する。なお、一致度の算出は、Key1の場合と同様とする。(第2の優先度)
S510:履歴表示制御部138は、算出した一致度に基づいて一致度の高いファイル名の順に、S506で並び替えた印刷履歴を、さらに並び替える。
S511:履歴表示制御部138は、S508〜S510の処理をリスト2に含まれるすべてのグループに対して行うまで繰り返し、すべてのグループに対して処理を行うと処理をS512へ移行する。
【0062】
このように履歴表示制御部138は、上述した第1の優先度の抽出結果から、印刷履歴保存部142に記憶されている印刷履歴のファイル名(第1の文書名)ならびに入力または設定されたファイル名(第2の文書名)から拡張子および数値を除いた文書名(Key2)の比較結果に基づき、入力または設定されたファイル名(第2の文書名)から拡張子および数値を除いた文書名(Key2)との一致度が高い印刷履歴のファイル名(第1の文書名)を第2の優先度で抽出し、印刷履歴を並び替える。
【0063】
図17は第1の実施例における印刷履歴選択の説明図であり、Key2により印刷履歴を並び替えた例である。印刷履歴1201(Key1で並び替えた図16に示す印刷履歴1103)に含まれる同じ拡張子を有するファイルのグループは、拡張子“doc”のグループおよび拡張子“jpg”のグループであり、履歴表示制御部138は各グループのファイル名の一覧であるリスト2(1200)を作成する。なお、拡張子“pdf”および拡張子“xls”のグループについては、ファイル名に各拡張子を有するファイルがそれぞれひとつしか存在しないのでリスト2(1200)から除外している。履歴表示制御部138がリスト2(1200)とKey2=“新年会の案内”との一致度を算出し、一致度の高い順で並び替えてリスト2(1202)を作成する。ファイル名に“新年会の案内”を含むファイルは一致度が100%、“町内会の案内”を含むファイルは一致度が66%、“年賀状”を含むファイルが16%等となり、履歴表示制御部138がKey2の一致度に従い印刷履歴を並び替えると印刷履歴1203に示すように、ファイル名に“新年会の案内”を含むファイルが上位に移動する。
【0064】
S512:次に、履歴表示制御部138は、印刷履歴保存部142に記憶されている印刷履歴に含まれているファイル名から数値を除いたファイル名が同一であるファイルのグループのリストを作成し、それをリスト3とする。なお、数値を除いたファイル名が同一であるファイルが複数存在しない(ひとつしか存在しない)場合、そのファイル名のグループはリスト3に追加しないものとする。
【0065】
S513:リスト3を作成した履歴表示制御部138は、そのリスト3からKey3による選択処理を行うグループをひとつ選択する。
S514:履歴表示制御部138は、選択したグループに含まれるファイル名から数値を抽出し、その数値とKey3との差分を算出する。なお、本実施例では、抽出した数値からKey3を減算した値の絶対値を差分として用いるものとする。
【0066】
S515:履歴表示制御部138は、算出した差分が少ない順に、S510で並び替えた印刷履歴を、さらに並び替える。(第3の優先度)
S516:履歴表示制御部138は、S513〜S515の処理をリスト3に含まれるすべてのグループに対して行うまで繰り返し、すべてのグループに対して処理を行うと処理を終了する。並び替えられた印刷履歴は、図13のS309において表示される。
【0067】
このように履歴表示制御部138は、上述した第2の優先度の抽出結果から、印刷履歴保存部142に記憶されている印刷履歴のファイル名(第1の文書名)および入力または設定されたファイル名(第2の文書名)に含まれる数値(Key3)の比較結果に基づき、入力または設定されたファイル名(第2の文書名)に含まれる数値と近似している数値を有する印刷履歴のファイル名(第1の文書名)を第3の優先度で抽出し、印刷履歴を並び替える。
【0068】
図18は第1の実施例における印刷履歴選択の説明図であり、Key3により印刷履歴を並び替えた例である。印刷履歴1301(Key2で並び替えた図17に示す印刷履歴1203)に含まれる数値以外は同じファイル名のグループは、ファイル名が“新年会の案内.doc”のグループおよびファイル名が“榛名山.jpg”の2つのグループであり、履歴表示制御部138は各グループのファイル名の一覧であるリスト3(1300)を作成する。なお、ファイル名が“町内会の案内.doc”やファイル名が“年賀状2011.doc”等のグループについては、数値を除いたファイル名が同一であるファイルがひとつしか存在しないのでリスト3(1300)から除外している。履歴表示制御部138がリスト3(1300)とKey3=“2011”との差分を算出し、差分の少ない順で並び替えてリスト3(1302)を作成する。ファイル名“2010新年会の案内.doc”の差分が「1」となり、ファイル名“2009新年会の案内.doc”の差分が「2」等となり、履歴表示制御部138がKey3との差分が少ない順に印刷履歴を並び替えると印刷履歴1303に示すように、ファイル名“2010新年会の案内.doc”がファイル名“2009新年会の案内.doc”よりも上位に移動する。
【0069】
このように、履歴表示制御部138は、入力または設定されたファイル名(第2の文書名)と、印刷履歴情報に含まれるファイル名(第1の文書名)との少なくとも一部の比較結果に基づき、一致度が高いファイル名(第1の文書名)と、ファイル名(第1の文書名)に関連付けられた印刷設定とを優先して印刷履歴情報から抽出し、ファイル名(第1の文書名)および印刷設定を選択可能に表示する。
【0070】
なお、各Keyにおける並び替えにおいて、一致度や差分が同一の場合には、並び替えを行わずにそれぞれの相対的な位置関係を保ったままにしておくものとする。したがって、同じファイル名を有する複数の印刷履歴が存在する場合、もともと上位に位置するもの、すなわち、より新しい印刷履歴がそのまま上位に位置することとなる。
【0071】
このように、ファイルの印刷を行う際に、印刷するファイル名に近似したファイル名を有するファイルを印刷するときに使用した印刷設定を印刷履歴から抽出して表示し、その印刷設定をユーザの操作により選択できるようにしたことにより、所望の印刷設定を容易に選択することができるようになる。
【0072】
以上説明したように、第1の実施例では、ファイルの印刷を行う際に、印刷するファイル名に近似したファイル名を有するファイルを印刷するときに使用した印刷条件としての印刷設定を印刷履歴から抽出して表示し、その印刷設定をユーザの操作により選択できるようにしたことにより、所望の印刷条件としての印刷設定を容易に選択することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0073】
第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成におけるプリンタドライバに印刷設定差異表示ダイアログ制御部を追加したものとなっている。その第2の実施例の構成を図19の第2の実施例におけるホストPCの構成を示すブロック図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
図19において、ホストPC100のプリンタドライバ130は、スプールファイル受信部131と、印刷データ作成部132と、印刷データ送信部133と、印刷データ保存部143と、印刷設定ダイアログ制御部134と、印刷設定保存部140と、適用印刷設定141と、履歴保存部142と、印刷設定選択ダイアログ制御部135と、履歴表示部137と、履歴表示制御部138と、印刷データ表示ダイアログ制御部144と、ファイル名選択ダイアログ制御部136と、ファイル名取得部139とに加え、履歴保存部142に記憶された履歴情報から、最後に適用された現在の印刷設定と、それより前に適用された過去の印刷設定との二つの印刷設定の設定項目を比較してその差異を示す印刷設定差異表示画面を表示する印刷設定差異表示部としての印刷設定差異表示ダイアログ制御部145を含んでいる。
【0075】
図20は第2の実施例における印刷履歴の説明図であり、本実施例の印刷履歴の例を示したものである。
図20において、本実施例の印刷履歴は、図4の第1の実施例における印刷履歴に、印刷設定の設定項目および印刷を行った印刷日時を追加した形式になっている。
【0076】
この例では、印刷設定名が同じ“パンフレット”であっても過去の設定項目と現在の設定項目とが異なる場合が存在しており、“2009新年会の案内.doc”を印刷した時点1400までは両面印刷の設定が“短辺とじ”であったが、“町内会の案内.doc”を印刷した時点1401からは両面印刷の設置が“長辺とじ”に変更されている。
【0077】
図21は第2の実施例における印刷設定選択画面の説明図である。
図21において、印刷設定選択画面700は、図6の第1の実施例における印刷設定選択画面に対して最新の印刷設定との差異を印刷設定差異表示画面として表示させる「最新との差異を表示」ボタン708が追加されたものとなっている。さらに、表示される印刷履歴703において印刷日時の列が追加され、また選択した印刷設定701には印刷設定名に加えて印刷日時も同時に表示されるようになっている。
【0078】
図22は第2の実施例における印刷設定差異表示画面の説明図である。
図22において、印刷設定差異表示画面1500は、過去の印刷設定と現在の印刷設定とを比較してその差異を表示するダイアログであり、印刷設定名1501には比較を行なう印刷設定名を表示し、過去の設定項目1503には、図21に示す印刷設定選択画面700で選択された印刷設定の項目を表示し、現在の設定項目1504には、図19に示す印刷設定保存部140に保存されている現在の印刷設定における設定項目を表示し、差異の有無1502には、各印刷設定で異なっている設定項目を「*」マークで表示する。図22では、最下行の「両面印刷」の設定項目の内容が異なっているため、「*」マークが最下行に表示される。
なお、上記以外の画面等は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0079】
上述した構成の作用について説明する。
まず、図19に示すプリンタドライバ130の印刷設定選択ダイアログ制御部135が行う印刷設定選択処理を図23の第2の実施例における印刷設定選択処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図19および図21を参照しながら説明する。なお、この印刷設定選択処理は図12におけるS207で行われる処理である。
【0080】
S601〜S609:図13におけるS301〜S309と同様の処理なのでその説明を省略する。
S610:ファイル名が変更されていないと判定した印刷設定選択ダイアログ制御部135は、印刷設定選択画面700の「最新との差異を表示」ボタン708の押下の有無を判定し、「最新との差異を表示」ボタン708が押下されたと判定すると処理をS611へ移行し、押下されていないと判定すると処理をS612へ移行する。
【0081】
S611:「最新との差異を表示」ボタン708が押下されたと判定した印刷設定選択ダイアログ制御部135は、印刷設定差異表示ダイアログ制御部145により、図22に示す印刷設定差異表示画面1500を表示し、処理をS602へ移行する。
S612〜S614:図13におけるS310〜S312と同様の処理なのでその説明を省略する。
【0082】
次に、図19に示すプリンタドライバ130の印刷設定差異表示ダイアログ制御部145が行う印刷設定差異表示処理を図24の第2の実施例における印刷設定差異表示処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図19および図22を参照しながら説明する。なお、この印刷設定差異表示処理は図23におけるS611で行われる処理である。
【0083】
S701:まず、印刷設定差異表示ダイアログ制御部145は、選択された印刷設定に対応する印刷履歴を履歴保存部142から読出し、過去の設定項目として印刷設定差異表示画面1500の過去の設定項目1503に表示する。この過去の設定項目は、図20に示す印刷履歴の印刷設定名を、選択された印刷設定に基づいて図中上位の新しいものから検索し、一致する印刷設定名のうち、2番目に抽出された印刷設定名の設定項目1400を表示するものとする。
【0084】
S702:次に、印刷設定差異表示ダイアログ制御部145は、選択された印刷設定の現在の設定項目を印刷設定保存部140から読み出し、現在の設定項目として印刷設定差異表示画面1500の現在の設定項目1504に表示する。この現在の設定項目は、図20に示す印刷履歴の印刷設定名を、選択された印刷設定に基づいて図中上位の新しいものから検索し、一致する印刷設定名のうち、最初に抽出された印刷設定名の設定項目1401を表示するものとする。
【0085】
S703:過去の設定項目および現在の設定項目を表示した印刷設定差異表示ダイアログ制御部145は、過去の設定項目と現在の設定項目とを比較する。
S704:過去の設定項目と現在の設定項目とを比較した印刷設定差異表示ダイアログ制御部145は、過去の設定項目と現在の設定項目との差異の有無を判定し、差異があると判定すると処理をS705へ移行し、差異がないと判定すると処理をS706へ移行する。
【0086】
S705:過去の設定項目と現在の設定項目との差異があると判定した印刷設定差異表示ダイアログ制御部145は、差異のある設定項目に対応する差異の有無1502の行に「*」マークを表示する。
S706:印刷設定差異表示ダイアログ制御部145は、印刷設定差異表示画面1500の「閉じる」ボタン1505の押下を待機し、「閉じる」ボタン1505の押下を検知すると印刷設定差異表示処理を終了する。
【0087】
このように、ファイルの印刷を行う際に選択した設定項目が過去と現在で異なる場合、印刷履歴として保存された過去の印刷設定を表示し、その印刷設定をユーザの操作により選択できるようにしたことにより、所望の印刷設定を容易に選択することができるようになる。
【0088】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、ファイルの印刷を行う際に選択した設定項目が過去と現在で異なる場合、印刷履歴として保存された過去の印刷設定を表示し、その印刷設定をユーザの操作により選択できるようにしたことにより、さらに所望の印刷設定を容易に選択することができるという効果が得られる。
なお、第1の実施例および第2の実施例では、印刷装置をプリンタとして説明したが、それに限られることなく、複合機(MFP)やファクシミリ装置としても良い。
【符号の説明】
【0089】
100 ホストPC
110 アプリケーション
120 OS
130 プリンタドライバ
131 スプールファイル受信部
132 印刷データ作成部
133 印刷データ送信部
134 印刷設定ダイアログ制御部
135 印刷設定選択ダイアログ制御部
136 ファイル名選択ダイアログ制御部
137 履歴表示部
138 履歴表示制御部
139 ファイル名取得部
140 印刷設定保存部
141 適用印刷設定
142 履歴保存部
143 印刷データ保存部
144 印刷データ表示ダイアログ制御部
145 印刷設定差異表示ダイアログ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷条件に従って印刷データを生成する画像処理装置において、
過去に印刷を行った文書の識別情報としての第1の文書名と、該文書の印刷に適用された前記印刷条件とを関連付けて履歴情報として記憶する履歴保存部と、
前記履歴保存部に記憶された履歴情報から前記第1の文書名を表示するとともに、前記第1の文書名に関連付けて記憶された印刷条件を抽出して表示する履歴表示制御部と、
前記印刷条件を選択する操作を受付けて前記印刷条件を適用する印刷条件選択部とを備え、
前記印刷条件選択部は、文書の識別情報としての第2の文書名の入力を受付けると、前記履歴表示制御部により、前記第2の文書名と、前記履歴情報の前記第1の文書名との少なくとも一部の比較結果に基づき、一致度が高い前記第1の文書名と、前記第1の文書名に関連付けられた前記印刷条件とを優先して前記履歴情報から抽出し、前記第1の文書名および前記印刷条件を選択可能に表示することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記履歴表示制御部は、
前記第1の文書名および前記第2の文書名の末尾に付加された拡張子の比較結果に基づき、前記第2の文書名の拡張子との一致度が高い拡張子を有する前記第1の文書名を第1の優先度で抽出し、
前記第1の優先度の抽出結果から、前記第1の文書名および前記第2の文書名から前記拡張子および数値を除いた文書名の比較結果に基づき、前記第2の文書名との一致度が高い前記第1の文書名を第2の優先度で抽出し、
前記第2の優先度の抽出結果から、前記第1の文書名および前記第2の文書名に含まれる数値の比較結果に基づき、前記第2の文書名に含まれる数値と近似している数値を有する前記第1の文書名を第3の優先度で抽出し、
前記第1の優先度から第3の優先度に応じて抽出した前記第1の文書名を、前記一致度が高い前記第1の文書名とすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
前記印刷条件選択部は、現在起動しているソフトウェアが使用している文書名から前記第2の文書名の選択入力を受け付けることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
生成した印刷データを前記第1の文書名および前記印刷条件と関連付けて保存する印刷データ保存部を備え、
前記印刷条件選択部は、選択された前記第1の文書名および前記印刷条件に基づいて前記印刷データ保存部を検索して前記印刷データを抽出し、該印刷データを表示することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記履歴保存部に記憶された前記履歴情報から、最後に適用された現在の印刷条件と、それより過去に適用された印刷条件との差異を表示する印刷設定差異表示部を備えたことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−114519(P2013−114519A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261038(P2011−261038)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】