説明

画像分析によるサンプリング処理における試料収集機器と分析表面との位置関係の制御

システム(20)および方法は、例えば質量分析検出で使用するためのサンプリング・システムにおける収集機器−表面間距離を制御するために画像分析手法を利用する。そのような手法は、収集機器(23)又は表面(22)に落ちたその影の画像を取得し、線平均輝度(LAB)技術を利用して収集機器と表面との実際の距離を決定することを含む。次に、実際の距離は、必要に応じて自動化された表面サンプリング操作において収集機器−表面間距離を再最適化するためにターゲット距離と比較される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、サンプリング手段および方法に関し、より詳細には後の分析のために被分析表面から試料を得るための手段および方法に関する。
【0002】
本発明は、米国エネルギー省からUT−Battelle,LLCに認められた契約番号DE−AC05−00OR22725による政府支援を受けて行われ、政府は本発明に対する特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
本発明が関係するサンプリング収集技術は、分析のために表面の質量(例えば、イオン)を収集する目的で、分析またはサンプリングされる表面の比較的近くに収集機器を位置決めすることを必要とする。そのような収集技術の一例は、脱離エレクトロスプレイイオン化(DESI)質量分析法と関連して使用されるが、脱離大気圧化学イオン化(DAPCI)やマトリックス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI)など、表面からの検体または粒子の収集を必要とする他の技術にも当てはまる。そのようなどの技術でも、最適な収集結果を得るために収集機器が被分析表面から所定(または、所望)の距離に維持され、それにより後で分析されたときに収集結果が誤って解釈される可能性が減少することが望ましい。
【0004】
さらに、噴霧柱(スプレイ・プルーム)内で試料収集プロセス中にサンプリング表面に試薬を送出する自己吸気式放射器を必要とするいくつかの試料収集プロセスが存在する。そのような放射器(エミッタ)は、一般に、噴霧柱がサンプリング表面に向かって所定(又は、一定)の入射角で導かれるように収集機器に対して所定の位置に固定され、それにより、送出された噴霧柱が、サンプリング表面の所定の位置に当たり、それによりサンプリングされる表面の物質を収集機器の方に移動させることができる。換言すると、放射器と収集機器と被分析表面との間に望ましい空間割り当てが存在し、表面が位置決めされるべき位置(例えば、所定の平面内)に表面が正確に位置決めされないと、満足な収集結果が得られない可能性が高い。
【0005】
オペレータが、試料収集プロセスの間に試料収集機器と表面との距離を手動調整する必要をなくすために、試料収集プロセス中に収集機器と表面との距離を正確に制御するシステムおよび方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、試料収集機器と機器により分析(又は、サンプリング)される表面との距離を自動的に制御するシステムおよび方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、画像分析技術を利用して試料収集プロセス中に収集機器−表面間距離を制御するシステムおよび方法を提供することである。
【0008】
さらに、本発明の別の目的は、収集機器−表面間距離がサンプリング手順の間ずっと連続的に監視され、必要に応じて収集機器−表面間距離が最適間隔で維持されるように調整されるシステムおよび方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、試料収集プロセスの結果が、後で分析されたときに誤って解釈される可能性が減少するシステムを提供することである。
【0010】
本発明の更に他の目的は、試料に対して所定の角度で向けられた放射器を利用する試料収集操作と共に使用されるときに、試料収集プロセス中に放射器と収集機器と被分析表面間の適切な空間割り当てを維持するのに役立つシステムを提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、構造が複雑でないにも関わらず動作が有効なシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、被分析表面から試料を収集するためのサンプリング・システムおよび方法にある。
【0013】
本発明のシステムは、収集機器と表面とを互いに近づけ遠ざけるための手段を含み、収集機器と表面の間には試料収集に望ましい位置関係がある。更に、システムは、収集機器の少なくとも一部分またはその影の画像を取得し且つ取得画像に対応する信号を生成するための手段を含む。また、取得画像に対応する信号を受け取り、取得画像から収集機器と表面との実際の位置関係を決定するための手段が提供される。このシステムは、また、収集機器と表面の実際の位置関係を所望の位置関係と比較し、収集機器と表面の実際の位置関係と所望の位置関係との差が、所定の範囲から外れたときに収集機器と表面を互いに近づけ遠ざける動きを開始し、その結果、表面と収集機器を近づけるか遠ざけることによって、実際の位置関係が、所望の位置関係に近づくようにする比較手段を含む。取得画像から収集機器と表面との実際の位置関係を決定するための手段が、画像上の基準位置と収集機器または画像内のその影との距離を計算し、その結果、収集機器と表面との実際の距離の決定が、計算された距離を利用するようにする手段を含む。
【0014】
本発明の方法は、本発明のシステムによって実行される段階を含む。詳細には、そのような段階は、収集機器の少なくとも一部分または表面に落ちたその影の画像を取得することと、取得画像から収集機器と表面との実際の位置関係を決定することとを含む。この方法では、実際の位置関係を決定する段階が、画像上の基準位置および収集機器または画像内のその影から距離を計算し、これにより収集機器と表面との実際の位置関係を決定する段階が、計算された距離を利用するようにする段階を含む。次に、収集機器と表面との実際の位置関係が、所望の位置関係と比較され、実際の位置関係と所望の位置関係との差が所定の範囲から外れたときに表面と収集機器が互いに近づけられるか遠ざけられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の特徴が組み込まれたシステム20の概略図である。
【図2】少し大きな倍率に描かれた図1のシステムの特定の構成要素の斜視図である。
【図3】上の図2から分かるような図1のシステムの被分析表面と様々な構成要素の図である。
【図4a−d】毛細管と表面が互いに近づけられるか遠ざけられるときの毛細管の一部分と表面の実際の取得画像と、それに対応する各取得画像の線平均輝度(LAB)のプロットの例の図である。
【図5a】本発明の方法において利用される画像分析を説明できる理論画像を表す図である。
【図5b】図5aの理論画像のZ軸に沿ったLABの対応プロットである。
【図6】収集機器−表面間距離の関数として取得画像のLAB(例えば、最大50パーセント)のプロットである。
【図7a−b】収集機器−表面間距離の連続的再最適化において、図1の表面に対する試料収集機器の先端の経路を概略的に示す図である。
【図8a】用紙上に事前印刷されたハート形画像の図である。
【図8b】本発明の方法の再最適化段階を利用せずに図8aのハート形画像を化学的画像形成することによって再現されたハート形画像の図である。
【図8c】本発明の方法の再最適化段階により図8aのハート形画像を化学的画像形成することにより再現されたハート形画像の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に詳細な図面に移り、最初に図1を検討すると、後の分析のために(サンプリングする表面を具現する)表面22の少なくとも1箇所(または領域)から試料を得るために本発明の特徴が具現された脱離エレクトロスプレイ(DESI)システムの一実施形態(全体が20で示される)の例が概略的に示される。サンプリングされる表面22は、例えば、質量分析計32で分析したい試料を有する配列でよいが、システム20を使用して、関心のあるいくつかの表面のどれもサンプリングすることができる。したがって、本発明の原理を様々に適用することができる。
【0017】
示した例のシステム20は、表面22に位置決めすることができる先端26で終端する毛細管23を有するサンプリング・プローブ24(および関連したDESI放射器25)の形の収集機器を含む。サンプリング・プロセス中に、例えば、シリンジポンプ37から放射器25を介して所定の試薬がサンプリング表面22に導かれ、試料の質量(例えば、試料のイオン)が、収集試料の分析のために、毛細管23によって表面22の残りの部分から真空および/または電界によって取り出される。
【0018】
図1と図2を参照し、またサンプリング表面22に沿った任意の箇所から試料を収集できるようにするために、収集管23は、その先端26と共に、固定された静止状態で支持され、またサンプリング表面22は、示されたXY座標軸に沿って(即ち、支持板27の平面内で)また示されたZ座標軸に沿って収集管23に対して動き、収集管23の先端26から近づき遠ざかるように、支持板27上に支持される。示されたシステムの支持板27は、例えば、分析したい物質量が配置された薄層クロマトグラフィ(TLC)板の形をとることができる。したがって、本明細書の説明のため、サンプリング表面22は、X−Y平面内で支持板27によって支持され、Z軸はX−Y平面と垂直である。
【0019】
放射器25は、毛細管23に対して所定の位置に固定され、表面22に対して事前に設定された関係で配置され、それにより、送出されたジェット(気体または液体)が、所定の入射角で表面22に当たる。したがって、試料収集結果を最適なものにするためには、毛細管23と放射器25と表面22との間に望ましい関係(すなわち、空間的割り当て)が存在することになる。
【0020】
支持板27は、それを動かすためのXYZステージ28(図1)の可動支持アーム36に支持され取り付けられ、それにより表面22は、示されたX、YおよびZ座標方向に沿って支持される。XYZステージ28は、コマンド信号を受け取るための第1の制御コンピュータ30に接続されたジョイスティック制御ユニット29に適切に配線され、これにより、システム20によって行われるサンプリング・プロセス中に、表面22が収集管先端26の下でX−Y平面内で動かされたときに表面22または表面22を横切る任意の所望のレーンに沿った(すなわち、XまたはY座標経路に沿った)任意の所望の箇所(すなわち、任意の所望のX−Y座標位置)から試料を得ることができる。
【0021】
例えば、図3では、表面22が、毛細管先端26の下で割り出し(インデックス)をされ、矢印18で示された複数のY座標レーン(すなわち、経路)に沿って順々に移動されるときに、表面22から試料を収集するために表面22の上の所定の位置に配置された放射器25と毛細管23の図が示される。収集管23を表面22と合わせて位置決めしたい掃引速度やX−Y位置の識別などの表面22と毛細管23の相対運動の特徴は、例えばコンピュータ・キーボード31によってコンピュータ30に入力されてもよく、コンピュータ30のメモリ33にあらかじめプログラムされてもよい。
【0022】
XYZステージ28の内部構成要素の説明が必要とは思われないが、ここでは、収集管先端26に対する支持面27(および、表面22)のXおよびY座標位置が、例えば、XYZステージ28内部に取り付けられた1対の可逆サーボモータ(図示せず)の適切な動作によって制御され、収集管先端26に対する支持面27(および、表面22)のZ座標位置が、例えば、XYZステージ28の内部に取り付けられた可逆ステップモータ(図示せず)の適切な動作によって制御されるとだけ説明しておく。したがって、XおよびY座標サーボモータに適切に通電することによって、収集管23の先端26を表面22のX−Y座標面内の任意の箇所と合うように位置決めできるように、表面22を位置決めすることができ、またZ軸ステッピングモータに適切に通電することによって、表面22を収集管先端26に近づけまたは遠ざけることができる。
【0023】
更に図1を参照すると、示された例のシステム20は、さらに、収集管23に接続されて分析のために送り込まれた試料を受け入れる質量分析計32を有し、質量分析計32は、質量分析計32の操作と機能を制御するための第2の制御コンピュータ34と関連付けられる。質量分析計32としての示されたシステム20と共に使用するのに適した質量分析計の例は、カナダ国オンタリオのMDS SCIEX of Concordから商品名4000 Qtrapで入手可能である。システム構成要素(質量分析計32を含む)の種々の動作を制御するために、示されたシステム20内では2つの別々のコンピュータ30および34が利用されるが、システム20内で実行される全ての動作は、本発明にとって、単一のコンピュータで制御されてもよく、あるいは質量分析計のソフトウェア・パッケージ内にロードされた適切なソフトウエアコンポーネントによって制御されてもよい。この後者の例では、単一ソフトウェア・パッケージは、XYZステージング、画像分析および質量分析検出を制御することになる。
【0024】
示されたシステム20の特徴は、収集管23の先端26と表面22との離間距離(すなわち、示されたZ座標軸に沿って測った距離)を制御するために全体が40で示された画像分析手段を含むことである。示されたシステム20内で、画像分析手段40は、収集管23の(少なくとも一部分の)影が表面22に落ちるように光線を収集管23の方に導くために、収集管23の近くに支持されたビーム放射器43を有する光源42を含む。
【0025】
画像分析手段40で収集された画像のタイプによっては、収集管の影を表面22の全体に落とすために光線を収集管の方に導く必要がないことを理解されよう。例えば、画像が赤外線検出によって取得される場合、得られた画像は、異なる温度の構成要素を区別し、そのような場合は、収集画像において毛細管の影を取得しなくてもよい。したがって、本発明のより広い対象では、光源42は必要とは限らない。
【0026】
更に、試料収集操作の準備とその操作の際に収集管23の少なくとも一部分と収集管23によって表面22に落ちる影の画像を収集するための閉回路カラーカメラ44が、表面22の一方の面に支持され、カメラ44には、それで収集した画像を受け取り表示するためのビデオ(例えば、テレビ)モニタ46が接続される。モニタ46は、次に、カメラ44によって撮影された画像に対応する信号をコンピュータ30に伝えるために、コンピュータ30(ビデオ・キャプチャ装置50によって)に接続される。本明細書でより詳しく説明されるように、そのような収集画像は、収集管23の先端26と表面22との実際の実時間距離を決定するために使用される。
【0027】
さらに、システム20は、毛細管23と表面22の広角ビューをオペレータに提供するために、ほぼ収集管23と表面22の方に向けられかつ第1の制御コンピュータ30に接続されたレンズ付きウェブカメラ48を備える。ウェブカメラ48によって収集された画像は、本発明の一実施形態では試料収集操作の準備で表面22の毛細管23に対する最初の位置決めを容易にするために、オペレータが、コンピュータ30と関連付けられた表示画面(52で示された)上で見ることができる。
【0028】
カメラ44として使用するのに適した閉回路カメラの一例は、Panasonic Matsushita Electric Corporationから商品名Panasonic GP−KR222で入手可能であり、カメラ44は、ニューヨーク州フェアポートのThales Optem Inc.から商品名Optem 70 XLで入手可能なようなズームレンズを備える。ビデオ・キャプチャ装置50として使用するのに適したビデオ・キャプチャ装置の例は、カリフォルニア州カンプトンのBelkin Corp.から商品名Belkin USB VideoBus IIで入手可能であり、ウェブカメラ48として使用するのに適したウェブカメラの例は、カリフォルニア州ミルピータスのW.Creative Labs Inc.から商品名Creative Notebook Webcamで入手可能である。
【0029】
システム20とその画像分析手段40の動作は、画像分析の使用により、システム20が、収集管23とサンプリング表面22との距離の実時間測定を監視し、その後で、必要に応じて、コンピュータ30とXYZステージ28によって実際の毛細管−表面間距離の調整を行い、これにより、表面22に沿った他の箇所又は表面22を横切る様々なレーンに沿った箇所から試料を収集するために表面22がXまたはY座標軸に沿って移動された場合でも、サンプリング・プロセス全体にわたって最適又は望ましい毛細管と表面との距離(Z軸に沿って測った)が維持されるというシステム動作の説明によってよりよく理解することができる。
【0030】
システム20により実行される試料収集操作の一実施形態の最初に、毛細管23の先端26が、試料を収集するのに最適または望ましい毛細管23と表面22との距離に対応する所望の毛細管−表面間距離に位置決めされ(操作の準備段階で)、この最適な距離は、(本明細書に述べた分析技術によって)計算されコンピュータ30のメモリ33に記憶される。表面22の毛細管23とのそのような所望の関係での位置決めは、XYZステージ28のジョイスティック制御ユニット29の適切な(例えば、手動)操作によって達成され、この位置決めは、オペレータが、操作のこの準備段階においてテレビモニタ46を見ながら視覚的に監視される。表面22が、毛細管23との所望の位置関係で位置決めされた後、初期画像が、カメラ48によって取得され、分析のためにコンピュータ30に送られる。
【0031】
そのよう所望の毛細管−表面間距離での毛細管23の前述の手動準備が、完全自動化された操作でなくてもよいことを理解されよう。例えば、連続的な試料収集操作中にXYZステージ28の再調整が不要な場合がある。したがって、同様に取り付けられた表面を含む第2またはその後の試料収集操作では、毛細管−表面間距離を最適な状態に繰り返し設定することなく、適切なコマンドをコンピュータ30に入力して試料収集操作を開始することができる。
【0032】
前述の操作の準備段階の後でカメラ48によって取得された初期画像は、毛細管23の少なくとも一部分、毛細管23の一部分の影、および表面22の背景を含む。例えば、図4a〜図4dでは、毛細管23と表面22が互いに様々な距離で配置されたときの毛細管23の一部分と下にある表面22の実際の取得画像が示される。図4a〜図4dの各画像では、毛細管23の影が表面に落ち(光源42を毛細管23に対して適切に位置決めすることにより)、また影が表面22の影のまわりの領域よりもかなり暗いことが分かる。
【0033】
システム20によって実行される画像分析は、毛細管と表面に落ちた影の17X13画素画像を概略的に示す図5aを参照して最も理解することができる。図5aの画像において、Aと示された領域は、毛細管の画像を表し、Bと示されたれ領域は、表面に落ちた毛細管の影の画像を表し、Cと示された領域は、示されたZ座標軸と平行に配列された垂直線L1およびL2によって画定された領域を表し、Dと示された領域は、画像の背景(すなわち、周囲の表面)を表す。この場合も、図5aの画像で、サンプリング毛細管の画像Aとその影の画像Bが、図5aの画像の残りの部分Dより暗いことが分かる。
【0034】
L1とL2の間の水平線(すなわち、示されたX軸と平行な線)に沿った画素の輝度が加算される(図5aの画像では、すべての列の3つの画素が丸で示されている)。この計算された数は、分析されている図5aの画像のZ座標に対する、図5bにプロットされた水平線(すなわち、線平均輝度(line average brightness)、すなわちLAB)の平均輝度を表す。図5bにプロットされたLABは、検査範囲で調べた最も明るいLABと最も暗いLABに対して正規化される。
【0035】
前述のLAB分析を考慮し、また本明細書に示された分析段階により、毛細管−表面間距離は、線L1およびL2と交差する水平基準線(仮想でもよい)と、LAB値が画像上で測った最大LAB値の所定の割合(この例では50パーセント)に最初に達するZ座標位置との間の画素の距離を測定することにより計算される。換言すると、この例で水平基準線を図5aの画像の下縁とみなしたとき、測定距離は、図5aの画像の下縁と、LAB値が例えば画像上で測った最大LAB値の50パーセントに最初に達した画像のZ座標位置との間の画素の距離を最初に測定することによって得られる。この測定された画素値は、次に、図6に示されたような所定の距離/画素値較正曲線を使用して、実際または現実(例えば、μm)の距離に変換される。したがって、この画素距離を実際の距離に変換するために、コンピュータ30のメモリ33は、取得画像の1画素当たりの実際の離間距離に関連する情報と経験的手段によって収集された情報によって事前にプログラムされる。
【0036】
自動化DESI表面サンプリング実験における本出願人の過去の成功から、前述の基準線(例えば、取得画像の下縁)と、LABが例えば最大測定値の50パーセントに最初に達する図5aの示されたZ座標方向の位置とからの距離が、毛細管と表面との実際の距離を表すことが実証されている。しかしながら、同じ方針で、本出願人は、50パーセントの数値(最大LAB値の所定の割合として使用されたような)が、本明細書に記載された方法に使用される画像分析技術に不可欠であるとは考えない。例えば、収集画像内で取得された影の縁を示すために、10〜90パーセントの割合値を選択してもよい。
【0037】
この準備段階(すなわち、管−表面間距離がその最適距離に設定されたとき)で毛細管と表面との実際の距離が決定された後で、その距離は、コンピュータ30に記憶され、目下の目的のために、試料収集プロセス全体にわたって維持したいターゲット毛細管−表面間距離として指定される。換言すると、ターゲット毛細管−表面間距離がコンピュータ30に記憶された後で、表面22上の所望の位置または表面22を横切る所望のレーンに沿った位置から試料を収集するために図1に示されたX−Y平面内で表面22を毛細管23に対して移動させることによって、サンプリング・プロセスを開始することができる。サンプリング・プロセスにおいて、毛細管と表面に落ちたその影の画像(毛細管23が様々な距離だけ表面から離間された図4a〜図4dの画像と同等)が定期的に取得され、各画像が分析されて実際管−表面間距離が決定され、その後で決定された実際管−表面間距離がターゲット管−表面間距離と比較され、必要に応じて、実際管−表面間距離をターゲット管−表面間距離の近くに維持するように調整される。
【0038】
比較のために、コンピュータ30(すなわち、そのメモリ30)にターゲット距離に対する受け入れ可能な距離(すなわち、許容)限度に関する情報が事前にプログラムされることが理解されよう。換言すると、実際の距離がターゲット距離と、そのような許容限度を超える量とは異なると判断された場合は、コマンドがXYZステージ28に送られて、毛細管23と表面22との間のZ軸方向の調整が行われて、実際の距離がターゲット距離と一致するように(すなわち、許容限度内に)戻される。したがって、そのようにあらかじめ設定された許容限度は、実際管−表面間距離が、表面22がそれ以上毛細管23に近づく必要も遠ざかる必要もない所望のターゲット管−表面間距離に十分近づく(例えば、±3μm以内)ことができる所定の範囲に対応する。
【0039】
したがって、試料収集プロセスにおける実際の毛細管−表面間距離の画像分析に基づく制御が、一連の段階からなることが分かる。最初に、システム20によって行われる画像分析の準備で毛細管−表面間距離の初期設定が必要な場合、オペレータは、表面22のZ軸位置を、表面22が毛細管23の先端26の比較的近くに位置決めされ、それにより毛細管先端−表面間距離が試料収集に最適になるまで調整する。この設定手順において、表面22と毛細管先端26の相対位置は、ウェブカメラ48によって得られ表示画面52に表示された画像を見るオペレータによって視覚的に監視することができる。しかしながら、以前に述べたように、この初期設定段階は、完全自動化された操作では省略することができる。
【0040】
この準備段階で表面22が毛細管先端26と望ましい位置関係に動かされた後で、光ビームが、光源42から毛細管先端26の方に導かれ、その結果、毛細管23の(少なくとも一部分の)影が表面22に落とされ、オペレータは、コンピュータ30にそのキーボード31によって適切なコマンドを入力し、それにより、カメラ44によって、毛細管先端26、毛細管先端26の落ちた影、および表面22の落ちた影の近く(例えば、周囲)の領域を示す初期画像が得られる。落ちた影と近くの表面22の良好な画像を得るには、光源42のビーム放射器43とカメラ44が互いに、毛細管先端26の方に光ビームを導く経路とカメラ44が毛細管先端26の方に向けられた経路が直角になるように配置される。
【0041】
次に、得られたこの初期画像により、画像の分析(以前に述べた)を行い、毛細管23の影が画像の基準線(例えば、下縁)からどれだけ離れているかが決定される。より具体的には、本発明の分析により、基準線と、LABが画像上で測定された最大LABの所定の割合(例えば、50パーセント)に最初に達した画像に沿ったZ座標位置との間の距離(画素で表した)が測定される。次に、コンピュータ30は、図6の所定の距離/画素値較正曲線によって表わされたような、取得画像の1画素当たりの実際の離間距離に関連するあらかじめプログラムされた情報によって、測定した画素距離を実際の距離に変換する。
【0042】
実際の(および所望の)毛細管−表面間距離が決定された後で、決定された距離が、毛細管先端26と表面22間のターゲット距離に対応するように、コンピュータ30のメモリ33に記憶される。その後で、試料収集プロセスが開始されたとき、プローブ先端26と表面22の連続画像と、より具体的には表面22に落ちた毛細管先端26の影が、カメラ44によって取得または撮影される。そのような取得画像に対応する電気信号は、すぐに第1の制御コンピュータ30に送られ、そこでそのような画像のうちの選択された画像に画像分析が実行される。本発明のために、語句「取得画像のうちの選択された画像」は、あらかじめ選択され定期的な時間間隔(例えば、0.5秒ごと)で取得された画像を意味し、これらの選択された画像間の分析のための時間間隔は、コンピュータ30にあらかじめプログラムされてもよくコンピュータ30で選択されてもよい。
【0043】
同じように、取得画像のうちの選択された画像から、コンピュータ30は、画像ごとに、コンピュータ30にロードされた適切なプログラムによって、Z軸に沿った、またはより具体的にはZ軸に沿って延在する所定幅の経路に沿った各画像の平均線輝度(LAB)のプロットを生成することができる。その後で、これらのLABプロットを前述のように利用して、毛細管先端26と表面22との間の実時間(または実際)の離間距離を決定する。
【0044】
図4a〜図4dを再び参照すると、表面22が毛細管先端26に近づくときの表面22の実際の取得画像の例と、それに対応するLABとZ軸位置の関係を示すプロットを示す。図4aに示された画像は、表面22から比較的遠い距離(すなわち、約200μm)に配置された毛細管23を、得られたZ軸と輝度の関係のプロットと共に示し、ここで、LAB曲線が、画像内で測定されたLABの最大値の50パーセント(LABMAXの50%またはLAB50%)に最初に達するZ軸に沿った場所を示す位置(例えば、点線位置)が、画像の下縁から約84画素離間されている。毛細管先端26と表面22の間の距離が小さくなるとき、毛細管23の影Eは、画像の下縁からさらに離れる。例えば、図4bの画像は、表面22から約100μmの距離に配置された毛細管23を示し、この図4bではLAB曲線が最初にLABMAXの50%に達する画像内の位置は、画像の下縁から約92画素であり、図4cの画像は、表面22から約0μmの距離に配置された毛細管23を示し、この図4cの画像ではLAB曲線が最初にLABMAXの50%に達する画像内の位置は、画像の下縁から約100画素である。これと比較して、図4dに示された画像は、表面22から約−200μmの距離に配置された毛細管23を示し(図4cに示された位置から毛細管23が曲げられるか上昇することを表す)、この図4cの画像ではLAB曲線が最初にLABMAXの50%に達する位置が、画像の下縁から約111画素である。
【0045】
収集試料の分析に関する限り、表面22から収集管23によって収集された試料は、質量分析計32に送られ、そこで当該技術分野で既知の方法で分析される。必要に応じて、質量分析計32の操作を制御するために、表示画面38とキーボード39を有する第2の制御コンピュータ34(図1)を質量分析計32に接続することができる。換言すると、キーボード39を使用して、コンピュータ34にコマンドを入力し、それにより質量分析計32の動作とデータ収集を制御することができる。
【0046】
一般に、システム20により実行される試料収集動作において、表面22は、毛細管23に対してX−Y平面内で移動され、これにより、表面22がプローブ24の下で動くときに毛細管23の先端26が表面22をサンプリングする。このために、例えば、コンピュータ30は、代替位置で試料を得るための代替位置(または箇所)を毛細管先端26による試料収集位置に位置決めできるようにX−Y平面内で表面22を割り出すか、表面22を横切る特定のレーン(図3の経路18など)に沿って毛細管23で表面22をサンプリングするようにXまたはY座標軸に沿って表面22を移動させるように、あらかじめプログラムされてもよい。
【0047】
図7aと図7bに関して、試料収集動作の際に表面22が毛細管先端26の下を通るときの表面22と毛細管先端26との位置関係と、毛細管−表面位置の再最適化の際の毛細管先端26の動きを概略的に示す。(図7aと図7bの両方で、表面22は、例示のために毛細管の縦軸に対して誇張された角度で示される。)
より具体的には、図7a内で、表面22と毛細管23は互いに、試料収集プロセスで試料が表面22のレーンから試料が収集されるように、矢印62で示された負の(−)X座標方向に動かされ、図7b内で、表面22と毛細管23は互いに、試料収集プロセスで試料が表面22のレーンから収集されるように、矢印63で示された正の(+)X座標方向に動かされる。
【0048】
一方、図7aと図7bに示された点線64および66は、表面22と毛細管先端26間に試料収集に最適または望ましい距離を維持するために、毛細管先端26を位置決めしなければならない外側境界またはあらかじめ設定された限度を示す。例えば、毛細管26と表面22との距離を試料収集の最適条件に対応する距離に維持するために、毛細管先端26は、(Z軸に沿って)線64よりも表面22に近づいてはならず、また毛細管先端26を表面22から線66より遠ざけてはならない。実際には、(Z軸に沿って測定されたような)あらかじめ設定された限度間の離間距離が、互いから約6μmなどの数マイクロメートル以内でよく、これにより、あらかじめ設定された限度(点線64および66に対応する)はそれぞれ、表面22が毛細管先端26に対して最適に調整された関係のターゲット距離から約3μmに離間される。したがって、システム20によって実行される試料収集操作では、定期的に離間された間隔で画像が取得され、前述の画像分析技術によって、毛細管先端26と表面22との実際の距離が決定される。
【0049】
次に、決定された実際の距離は、コンピュータ30で動作している適切なソフトウェア70(図1)によって、毛細管先端26と表面22との所望のターゲット距離と比較され、このターゲット距離は、規定された限度線64および66(図7aまたは図7b)によって定められる。実際の毛細管−表面間距離が、規定された限度線64および66内にあると判定された場合は、Z軸に沿った表面22と毛細管先端26の相対的な動きまたは調整は不要である。しかしながら、実際の毛細管−表面間距離が、規定された限度線64および66上またはその外にあると判定された場合は、実際の毛細管−表面間距離を限度線64および66に対応する規定された限度内に戻すために、表面22と毛細管先端26との相対位置の調整が必要である。したがって、図7aに示されたような試料収集操作では、毛細管23が表面22に対して負(−)X座標軸の方向に移動されるときにZ軸方向の表面22とプローブ24の頻繁な調整を行わなければならず、表面26に対して毛細管先端26が辿る経路は、階段状経路68によって示すことができる。
【0050】
これと比較し、図7bに示された試料収集操作では、毛細管23が表面22に対して正(+)X座標軸に沿って移動されるときにZ軸方向の表面22と毛細管26の頻繁な調整を行わなければならず、表面22に対して毛細管先端26が辿る経路は、階段状経路69によって示すことができる。
【0051】
したがって、以上のことから、表面サンプリング・プロセスにおいて毛細管−表面間距離を制御するためのシステム20およびそれに関連した方法が述べられた。これに関連して、システム20は、画像分析を使用する試料収集機器−表面間距離の実時間再最適化の構築を自動化する。画像分析は、毛細管23の先端26の近くの領域の方に向けられたレンズを有するビデオカメラ44から静止画像を定期的に取得することと、その後で取得画像を分析して実際の毛細管−表面間距離を決定することを含む。この実際の毛細管−表面距離を決定し、次に実際の毛細管−表面間距離を、例えば手順の準備段階で確立することができる実際の毛細管−表面間距離に対応するターゲット毛細管−表面間距離と比較することによって、システム20は、必要に応じて、離間された毛細管−表面間距離をZ座標軸の方向に調整することによって、試料収集手順において毛細管−表面間距離を自動的かつ連続的に再最適化することができる。必要に応じて、表面22をX−Y平面に沿って(かつ毛細管23に対して)動かして、表面22上の等しい間隔または個別化された間隔の複数の平行レーンに沿って毛細管23によって試料を自動収集することができる。前述のシステム20により、試料を一定の走査速度または個別化された(即ち、様々な)走査速度で収集することができる。
【0052】
試料収集プロセス全体にわたって毛細管−表面間距離を制御するためのシステム20および関連した方法によって提供される基本利点は、試料収集プロセスにおける毛細管−表面間距離(すなわち、Z座標軸方向の)の操作介入および手動制御を不要にすることと関係する。したがって、システム20により行われる試料収集操作の精度は、試料収集プロセスを監視するために必要なオペレータの技術によって限定されない。さらに、システム20は、また、毛細管23によって収集された試料の精度に直接影響を及ぼす利点を有する。例えば、試料収集プロセス全体にわたって最適または望ましい毛細管−表面距離が維持されるので、表面22が不正確にサンプリングされ、その結果により分析されるときに収集された試料が誤って解釈される可能性が実質的に減少する。
【0053】
前述のシステム20およびプロセスは、互いに望ましい空間的関係(すなわち、割り当て)で位置決めされるように設計されたノズルチップを有する放射器25などの部品を使用する試料収集機器においてさらなる利点を提供する。例えば、試料収集操作においてノズルチップとサンプリング表面が一般に互いに一定関係で配置された試料収集システムでは、ノズルチップ−表面間距離が変化がすると、それに対応する大きさだけサンプリング毛細管−表面間距離が変化することになる。しかしながら、本発明のシステム20およびプロセスは、試料収集プロセスにおいて望ましい毛細管−表面距離を維持するのに役立つので、システム20およびプロセスは、放射器と収集管とサンプリング表面の間に望ましい空間的関係を維持するのにも役立つ。
【0054】
本出願人は、本明細書に記載したシステムおよび方法を使用してイメージング用途を改善することができると判断し、そのような改善を実験によって立証した。例えば、2つの実験において、本出願人は、化学的画像化によって、本発明の原理により図8aに示されたハート形画像を再現することを試みた。これに関連して、図8aのハート形画像(領域が約18mm×14.5mmの寸法の)は、プリンタ紙にその原理染料としてローダミンBを含む赤インクで事前印刷され、また事前印刷用紙が、XYZステージに取り付けられ、毛細管先端26が位置決めされる平面(すなわち、X−Y平面)に対して意図的に傾斜された。より具体的には、ハート形画像を含む用紙は、X−Y平面(すなわち、真の水平面)に対して1.35度の角度で配置された。換言すると、これらの実験のために、図8aに示されたような事前印刷用紙の左側は、用紙の右側より約400μm低かった。
【0055】
毛細管23と放射器25を図8aの事前印刷用紙の表面の近くに位置決めし、通常試料収集のために表面を走査するのと同じように用紙を走査することによって、インク成分の抽出イオン電流画像を得ることができる。換言すると、図8aの用紙を化学的画像形成するために図8aの事前印刷用紙が毛細管23と放射器25によって走査されるとき、検出インクのイオン電流信号の強さを示す相当画像が、DESI−MSイメージングによって再生される。
【0056】
第1の実験では、事前印刷用紙のハート形画像は、毛細管23が位置決めされた用紙上の位置に対して毛細管23が配置される距離を最適化することなく化学的画像形成された(100μm/秒の走査速度で)。換言すると、この第1の実験では、XYZステージを調整して、事前印刷用紙をZ軸に沿って動かして毛細管−用紙間距離を調整することをしなかった。この第1の実験の抽出イオン電流画像は図8bに示され、図8aのハート形画像の左側部分が、図8bではあまりよく再現されていないことが分かり、したがって、図8aの事前印刷された用紙の左側部分が走査されたときに検出されたインク信号の強度が比較的低かったことを示す。
【0057】
第2の実験では、本発明の方法の画像分析段階によって収集管−表面間距離が所定の位置に調整され、その結果、事前印刷用紙が試料収集操作において化学的画像形成されるときに毛細管−事前印刷用紙間距離が最適化される。この第2の実験で再現されたハート形画像が、図に8c示され、再現された画像(図8c)の全体が均質であり、また図8aに示された画像と実質的に同じであることが分かり、したがって、図8aの事前印刷用紙のハート形画像全体の検出インク信号の強度が、走査プロセス全体にわたって強い(かつ比較的一定である)ことを示す。
【0058】
本発明の精神から逸脱することなく前述の実施形態に多数の修正および置換を行うことができることを理解されよう。例えば、前述の実施形態では、毛細管23が固定された静止状態で示され、表面22が、所望の箇所または現像レーンを毛細管23と合うように位置決めするためにX,YまたはZ座標方向のいずれに沿って毛細管23に対して動かされるように示し説明したが、本発明の幅広い態様による代替実施形態は、固定された静止状態で支持された表面と、X、YまたはZ座標方向のいずれかに沿って表面に対して移動可能なプローブとを含むことができる。したがって、前述の実施形態は、限定としてではなく例示のためのものである。
【符号の説明】
【0059】
20…システム、22…表面、23…毛細管、24…サンプリング・プローブ、25…放射器、26…先端、27…支持板、28…XYZステージ、29…ジョイスティック制御ユニット、30…制御コンピュータ、32…質量分析計、36…可動支持アーム、37…シリンジポンプ、40…画像分析手段、43…ビーム放射器、42…光源、44…カメラ、46…モニタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリング・システムであって、
被分析表面から試料を収集する収集機器と、
前記収集機器と前記表面を互いに近づけ遠ざけるため動かす手段であって、前記収集機器と前記表面の間に試料収集に望ましい位置関係を得るための、動かす手段と、
前記収集機器の少なくとも一部分とその影の画像を取得し、前記取得画像に対応する信号を生成する手段と、
前記取得画像に対応する信号を受け取り、前記取得画像から前記収集機器と前記表面との実際の位置関係を決定する手段と、
前記収集機器と前記表面の実際の位置関係を前記望ましい位置関係と比較し、前記収集機器と前記表面の前記実際の位置関係と前記望ましい位置関係と差が所定の範囲から外れたときに、前記収集機器と前記表面を互いに近づけ遠ざける動きを開始し、それににより、前記表面と前記収集機器を互いに近づけるか遠ざけることによって、前記実際の位置関係が前記望ましい位置関係に近づくようにする比較手段とを含み、
前記取得画像から前記収集機器と前記表面の前記実際の位置関係を決定する手段が、前記画像上の基準位置と前記収集機器または前記画像内のその影との距離を計算し、その結果、前記収集機器と前記表面の間の前記実際の距離の決定が、前記計算された距離を利用するようにする手段を含むサンプリング・システム。
【請求項2】
前記実際の位置関係を決定する手段が、前記取得画像と共に線平均輝度(LAB)技術を利用して、前記収集機器と前記表面との実際の前記距離を決定するように適応された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記実際の位置関係を決定する前記手段が、前記基準位置と、前記基準位置から前記収集機器の前記影の方に経路を辿るときに前記LABが前記画像上で測定された最大LABの所定の割合に最初に達する前記画像上の位置との間の距離を測定するように適応された、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記最大LABの所定の割合が、約50パーセントである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記取得画像上の基準位置、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記画像上の前記基準位置と前記収集機器または前記画像内のその影との距離を計算する手段が、前記縁と前記収集機器またはその影との前記画素距離を計算し且つ前記計算した画素距離を前記実際の距離に変換するように適応された、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記収集機器によってサンプリングされる前記表面が、実質的にX−Y平面内に配置され、Z座標軸方向に前記収集機器から離間され、前記表面と前記収集機器を互いに近づけ遠ざける手段が、更に、前記表面を前記X−Y平面内で前記収集機器に対して移動させ、その結果、前記表面に沿ったいくつかの座標位置のどの座標位置も、試料収集のために前記収集機器の近くに位置決めできるようにする手段を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
分析のために被分析表面をサンプリングするための表面サンプリング・システムにおいて、前記システムが、表面をサンプリングするための収集機器を含み、試料収集のために前記収集機器と前記表面との間に望ましいターゲット距離が存在する表面サンプリング・システムであって、
前記収集機器と前記表面の間の試料収集に望ましいターゲット距離に関する情報を含むコンピュータと、
前記コンピュータに接続され、前記コンピュータから受け取ったコマンドに応じて前記表面と前記収集機器を互いに近づけ遠ざける、動かす手段と、
前記収集機器または前記表面に落ちたその影の画像を取得し、前記取得画像に対応する信号を前記コンピュータに送る手段とを含み、
前記コンピュータが、前記取得画像に対応する信号を受け取り、前記取得画像から前記収集機器と前記表面との実際の距離を決定する手段を含み、前記実際の距離を決定する手段が、前記画像上の基準位置と前記収集機器または前記画像内のその影との間の距離を計算し、それにより前記収集機器と前記表面の間の前記実際の距離が前記計算された距離を利用するようにする手段を含み、
前記コンピュータが、更に、前記収集機器と前記表面の間の前記実際の距離を比較し、前記収集機器と前記表面の間の前記実際の距離が所定の範囲から外れたときに前記実際の距離が前記ターゲット距離に近づくように前記表面と前記収集機器を互いに近づけ遠ざける動きを開始する比較手段を含む
表面サンプリング・システム。
【請求項9】
前記実際の位置関係を決定する手段が、線平均輝度(LAB)技術を前記取得画像と共に利用して、前記収集機器と前記表面の間の前記実際の距離を決定するように適応された、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記収集機器と前記表面の間の前記実際の距離を決定する手段が、前記基準位置と、前記基準位置から前記収集機器またはその前記影に向けて経路を辿ったときに前記LABが前記画像上で測定された前記最大LABの所定の割合に最初に達する画像上の位置との間の距離を測定するように適応された、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記取得画像上の前記基準位置が、画像の縁である、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記画像上の基準位置と前記収集機器または前記画像内のその影との間の距離を計算する手段が、前記縁と前記収集機器またはその影との間の画素距離を計算し、前記計算した画素距離を前記実際の距離に変換するように適応された、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
サンプリング・システムであって、
被分析表面から試料を収集する収集機器と、
前記収集機器と前記表面を互いに近づけ遠ざける動かす手段であって、前記収集機器と前記表面との間に試料収集に望ましい位置関係を存在させるための、動かす手段と、
前記収集機器の影が前記表面上に落ちるように光ビームを前記収集機器の方に導く光源と、
前記画像上に落ちた前記収集機器の前記影の少なくとも一部分の画像を取得し、前記取得画像に対応する信号を生成する手段と、
前記取得画像に対応する信号を受け取り、前記取得画像から前記収集機器と前記表面との前記実際の位置関係を決定する手段と、
前記収集機器と前記表面の前記実際の位置関係を前記望ましい位置関係と比較し、前記収集機器と前記表面の前記実際の位置関係と前記望ましい位置関係と差が所定の範囲から外れたときに、前記収集機器と前記表面を互いに近づけ遠ざける動きを開始し、それににより、前記表面と前記収集機器を互いに近づけるか遠ざけることによって、前記実際の位置関係が前記望ましい位置関係に近づくようにする比較手段とを含み、
前記取得画像から前記収集機器と前記表面の実際の位置関係を決定する手段が、前記画像上の基準位置と前記画像内の前記収集機器の前記影との距離を計算する手段を含み、その結果前記収集機器と前記表面の間の前記実際の距離の決定が、前記計算された距離を利用するようにするサンプリング・システム。
【請求項14】
被分析表面をサンプリングする方法であって
収集機器が前記表面に対して望ましい位置関係で配置されたときに、分析のために被分析表面から試料を収集する収集機器を準備する段階と、
前記収集機器と前記表面を互いに支持して、前記収集機器と前記表面が互いに近づき遠ざかることを可能にする、支持する段階と、
前記収集機器の少なくとも一部分と前記表面に落ちたその影の画像を取得する段階と、
前記取得画像から前記収集機器と前記表面との前記実際の位置関係を決定する段階であって、前記実際の位置関係を決定する段階が、前記画像上の基準位置と前記収集機器または前記画像内のその影とから前記距離を計算し、前記収集機器と前記表面の前記実際の位置関係を決定する段階が、前記計算された距離を利用するようにする段階を含み、
前記収集機器と前記表面との前記実際の位置関係を前記望ましい位置関係と比較し、前記実際の位置関係と前記望ましい位置関係との差が所定の範囲から外れたときに、前記表面と前記収集機器を互いに近づけるか遠ざける動きを開始する段階と
を含む方法。
【請求項15】
前記実際の位置関係を決定する段階が、線平均輝度(LAB)技術を前記取得画像と共に利用して前記収集機器と前記表面との実際の距離を決定する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記実際の位置関係を決定する段階が、前記基準位置と、前記基準位置から前記収集機器に向けて経路を辿るときに前記LABが前記画像上で測定された前記最大LABの所定の割合に最初に達する前記画像上の位置との距離を測定する段階を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記決定する段階で利用される前記取得画像上の前記基準位置が、前記画像の縁であり、それにより、前記画像上の基準位置からの距離を決定する前記段階が、前記画像の縁と前記収集機器または前記画像上のその影との距離を決定する段階を含むようにする、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記画像上の前記基準位置と前記収集機器または前記表面に落ちたその影とからの前記距離を計算する段階が、前記画像の前記縁と前記収集機器またはその前記影との画素距離を計算し、前記計算された画素距離を前記実際の距離に変換する段階を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記取得し、決定し、比較し、移動させる段階が、必要に応じて、前記収集機器と前記表面の間の前記実際の距離が、前記所望の距離の所定の範囲内になるまで繰り返される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記取得し、決定し、比較し、移動する段階が、前記表面と前記収集機器を互いに対して移動させることをサンプリング・プロセス中に実行し、それにより、前記表面の代替位置が、前記試料収集のために前記収集機器の近くに位置決めされ、また前記サンプリング・プロセスにおいて、前記収集機器と前記表面の間の前記実際の距離が、前記距離の所定の範囲内に維持されるようにする段階を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記支持する段階が、試料収集プロセスの最初に、前記収集機器と前記表面を試料収集に互いに望ましい位置関係に位置決めし、その後で、
前記収集機器の少なくとも一部分または前記表面に落ちた前記影の初期画像を取得する段階と、
前記初期画像から前記収集機器と前記表面との前記望ましい位置関係に関する情報を取得し、それにより、前記初期画像から、前記比較する段階において前記実際の位置関係が比較される前記望ましい位置関係に関する情報が得られるようにする段階を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
被分析表面をサンプリングする方法であって、
収集機器が前記表面に対して望ましい位置関係で配置されたときに分析のために被分析表面から試料を収集する収集機器を準備する段階と、
前記収集機器と前記表面を互いに対して支持して、前記収集機器と前記表面を互いに近づけ遠ざける動きを可能にする、支持する段階と、
前記収集機器の影が前記表面に落ちるように前記収集機器に向けて光ビームを導く段階と、
前記表面に落ちた前記器収集機器の前記影の少なくとも一部分の画像を取得する段階と、
前記取得画像から前記収集機器と前記表面との前記実際の位置関係を決定する段階であって、前記実際の位置関係を決定する段階が、前記画像上の基準位置と前記画像内の前記収集機器の前記影との距離を計算し、それにより、前記収集機器と前記表面との前記実際の位置関係を決定する段階が、前記計算された距離を利用するようにする段階を含む段階と、
前記収集機器と前記表面との前記実際の位置関係を前記望ましい位置関係と比較し、前記実際の位置関係と前記望ましい位置関係との差が所定の範囲から外れたときに、前記表面と前記収集機器を互いに近づけるか遠ざける動きを開始する段階とを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【公表番号】特表2011−527074(P2011−527074A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516270(P2011−516270)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/003346
【国際公開番号】WO2010/002426
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(301006404)ユーティバトル・エルエルシイ (5)
【Fターム(参考)】