説明

画像形成ユニット及び画像形成装置

【課題】かぶり及び汚れの無い良好な画像を得ることができる。
【解決手段】静電潜像を形成するための像担持体と、像担持体と対向させて配設され、像担持体上に形成された潜像に現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体とを有する。現像剤のキャリヤに対する1分間の攪拌による帯電量の絶対値が、33〔μC/g〕以上、かつ、51(μC/g〕以下にされる。この場合、現像剤のキャリヤに対する1分間の攪拌による帯電量の絶対値が、33〔μC/g〕以上、かつ、51(μC/g〕以下にされるので、かぶり及び汚れの無い良好な画像を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成ユニット及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、電子写真式のプリンタには、画像形成ユニットが配設され、該画像形成ユニットに感光体ドラム、帯電ローラ、現像器等が配設される。そして、帯電ローラによって一様に、かつ、均一に帯電させられた感光体ドラムの表面をLEDヘッドによって露光して静電潜像を形成し、該静電潜像を現像器によって現像してトナー像を形成し、該トナー像を転写ローラによって用紙に転写し、定着器によって定着させることにより、画像を形成し、印刷を行うようになっている。
【0003】
ところで、前記画像形成ユニットにおいて、帯電特性として、例えば、1分間攪拌した後の帯電量をAとし、30分間攪拌した後の帯電量をBとしたとき、帯電量Bの絶対値が4〜10〔μC/g〕であり、
0.2≦|B/A|≦0.6
となるトナーが使用される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−307876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の画像形成ユニットにおいては、帯電の立上りが悪く、例えば、プリンタが起動された直後の画像にかぶりが発生してしまう。なお、この場合、かぶりとは、0〔%〕の濃度で印刷した場合に用紙の全面にうっすらとトナーがのってしまう現象をいう。
【0005】
本発明は、前記従来の画像形成ユニットの問題点を解決して、かぶり及び汚れの無い良好な画像を得ることができる画像形成ユニット及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の画像形成ユニットにおいては、静電潜像を形成するための像担持体と、該像担持体と対向させて配設され、像担持体上に形成された潜像に現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体とを有する。
【0007】
そして、前記現像剤のキャリヤに対する1分間の攪拌による帯電量の絶対値が、33〔μC/g〕以上、かつ、51(μC/g〕以下にされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成ユニットにおいては、静電潜像を形成するための像担持体と、該像担持体と対向させて配設され、像担持体上に形成された潜像に現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体とを有する。
【0009】
そして、前記現像剤のキャリヤに対する1分間の攪拌による帯電量の絶対値が、33〔μC/g〕以上、かつ、51(μC/g〕以下にされる。
【0010】
この場合、現像剤のキャリヤに対する1分間の攪拌による帯電量の絶対値が、33〔μC/g〕以上、かつ、51(μC/g〕以下にされるので、かぶり及び汚れの無い良好な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0013】
図に示されるように、プリンタは、像担持体としての感光体ドラム11、帯電工程において、前記感光体ドラム11の表面を一様に、かつ、均一に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ12、露光工程において、前記感光体ドラム11の表面を露光して潜像としての静電潜像を形成する露光装置としてのLEDヘッド13、現像工程において、前記静電潜像に現像剤としてのトナーtを付着させて可視像化し、現像剤像としてのトナー像を形成する現像器14、転写工程において、前記トナー像を媒体としての用紙15に転写する転写装置としての、かつ、転写部材としての転写ローラ16、クリーニング工程において、転写後に感光体ドラム11の表面に残留したトナーtを除去するクリーニング装置としてのクリーニングブレード20、定着工程において、転写されたトナー像を用紙15に定着させる定着装置としての定着器21等を備える。
【0014】
前記現像器14は、感光体ドラム11の回転方向(矢印方向)におけるLEDヘッド13より下流側において、感光体ドラム11と対向させて配設され、静電潜像にトナーtを付着させる現像剤担持体としての現像ローラ22、該現像ローラ22にトナーtを供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ23、前記現像ローラ22に当接させて配設され、現像ローラ22上にトナーtの薄層を形成する現像剤層形成部材としての現像ブレード24、現像剤収容部としてのトナーカートリッジ25等を備える。前記感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像器14、クリーニングブレード20等は一体化され、画像形成ユニット(現像装置ユニット)が構成される。
【0015】
なお、前記感光体ドラム11は、帯電ローラ12、現像ローラ22、転写ローラ16及びクリーニングブレード20と、現像ローラ22は、トナー供給ローラ23及び現像ブレード24と接触させられる。
【0016】
また、41は、用紙15を搬送し、その間にトナー像を用紙15に転写するための転写装置としての転写ユニットであり、該転写ユニット41は、第1のローラとしての駆動ローラ42、第2のローラとしての従動ローラ43、前記駆動ローラ42と従動ローラ43との間に張設され、前記駆動ローラ42を回転させることによって矢印方向に走行させられ、用紙15を搬送するシームレスの搬送ベルト(転写ベルト)44、及び該搬送ベルト44を挟んで感光体ドラム11と対向させて配設された転写ローラ16を備える。そして、転写後に感光体ドラム11の表面に残留したトナーtは、クリーニングブレード20によって掻き取られ、除去され、図示されないトナー回収部に回収される。
【0017】
前記定着器21は、用紙15の第1の面と対向させて配設された第1の回転体としての円筒状のヒートローラ45、定着ベルト55、及び用紙15の第2の面と対向させて、かつ、前記定着ベルト55を介してヒートローラ45に圧接させて配設された第2の回転体としてのバックアップローラ53を有する。なお、51はバックアップユニットであり、バックアップローラ53、ハロゲンランプ46及び定着ベルト55によって構成される。
【0018】
そして、前記ヒートローラ45内に第1の加熱体としてのハロゲンランプ46が、バックアップローラ53内に第2の加熱体としてのハロゲンランプ52が配設される。また、前記ヒートローラ45はアルミニウム製の素管の表面に弾性層47が被覆される。
【0019】
なお、感光体ドラム11及びバックアップローラ53を除く他のローラには、それぞれ回転を伝えるためのギヤが圧入又はその他の方法で取り付けられ、感光体ドラム11に固定されたギヤをドラムギヤとし、帯電ローラ12に固定されたギヤをチャージギヤとし、転写ローラ16に固定されたギヤを転写ギヤとし、現像ローラ22に固定されたギヤを現像ギヤとし、トナー供給ローラ23に固定されたギヤをスポンジギヤとし、現像ギヤとスポンジギヤとの間に配設されたギヤをアイドルギヤとし、ヒートローラ45に固定されたギヤをヒートローラギヤとする。
【0020】
また、帯電ローラ12、転写ローラ16、現像ローラ22及びトナー供給ローラ23には、プリンタの本体、すなわち、装置本体に配設された図示されない電源によってバイアス電圧が印加される。そのために、図示されない制御部が配設され、各バイアス電圧が制御される。
【0021】
本実施の形態において、感光体ドラム11は、アルミニウム製の素管の表面に、有機化合物による感光層を被覆することによって形成される。また、前記感光体ドラム11の外径は29.95〔mm〕であり、画像を形成するときの線速度(周速度)は177.9〔mm/sec〕にされる。
【0022】
そして、現像ローラ22は、金属(例えば、ニッケルめっきを施した銅)製の回転シャフト(芯金)の外周に、ウレタンゴムから成る弾性層を被覆し、弾性層の表面にイソシアネートから成る表面層を被覆することによって形成される。前記現像ローラ22の外径は19.6〔mm〕であり、画像を形成するときの線速度は213.36〔mm/sec〕にされる。なお、ウレタンゴムにはカーボンブラックが分散され、弾性層は導電性を有する。
【0023】
また、トナー供給ローラ23の外径は中央部が15.5〔mm〕であり、端部が14.8〔mm〕であり、画像を形成するときの線速度は144.87〔mm/sec〕にされる。トナー供給ローラ23は、金属(例えば、ニッケルめっきを施した銅)製の回転シャフト(芯金)の外周に、セル目の径が300〔μm〕以上、かつ、500〔μm〕以下のシリコーン発泡ゴムから成る弾性層を被覆することによって形成される。
【0024】
そして、本実施の形態において、現像ブレード24は、厚さ0.08〔mm〕のステンレス(SUS304B−TA)板を折り曲げたものを2枚重ねることによって形成され、現像ローラ22の回転方向において折り曲げた短辺が上流側に、長辺が下流側になり、かつ、撓むように現像ローラ22に圧接させられる。
【0025】
次に、本実施の形態におけるプリンタの動作について説明する。
【0026】
前記構成のプリンタにおいては、前記制御部から印字指示を受けると、装置本体のモータが駆動を開始し、プリンタに配設された複数のギヤを介してドラムギヤを回転させ、感光体ドラム11を回転させる。前記ドラムギヤから現像ギヤに回転が伝わることによって現像ローラ22が回転し、現像ギヤからアイドルギヤを介してスポンジギヤに回転が伝わることによってトナー供給ローラ23が回転し、ドラムギヤからチャージギヤに回転が伝わることによって帯電ローラ12が回転する。
【0027】
一方、前記モータの回転は、装置本体に配設された別系統の複数個のギヤを介して転写ギヤ及びドライブギヤに伝達され、転写ローラ16を回転させ、搬送ベルト44を走行させる。また、更に別系統の複数個のギヤを介してヒートローラギヤを回転させてヒートローラ45を回転させ、該ヒートローラ45の回転に伴ってバックアップローラ53及び定着ベルト55が連れ回りで回転させられる。前記感光体ドラム11、帯電ローラ12、転写ローラ16、現像ローラ22、トナー供給ローラ23、駆動ローラ42、従動ローラ43、ヒートローラ45及びバックアップローラ53の回転方向、並びに搬送ベルト44の走行方向は矢印で表される。
【0028】
なお、モータが回転を開始するのとほぼ同時に、帯電ローラ12、現像ローラ22、定着器21及び転写ローラ16にバイアス電圧が印加され、ハロゲンランプ52が通電させられる。
【0029】
そして、前記帯電ローラ12に印加されたバイアス電圧によって感光体ドラム11の表面は一様に、かつ、均一に帯電させられ、感光体ドラム11の帯電させられた部分がLEDヘッド13の下方に移動すると、該LEDヘッド13は、前記制御部に送られた画像データに従って発光させられ、感光体ドラム11の表面を照射し、静電潜像を形成する。前記感光体ドラム11上における静電潜像が形成された部分が現像ローラ22に到達すると、現像ブレード24によって薄層化された現像ローラ22上のトナーtが、感光体ドラム11上の静電潜像と現像ローラ22上との電位差によって感光体ドラム11上に移動し、トナー像が形成される。
【0030】
そして、前記用紙15に転写されたトナー像は、ハロゲンランプ46によって加熱されたヒートローラ45からの熱、及びヒートローラ45とバックアップローラ53との間の圧力によって用紙15に定着させられる。一方、転写後に感光体ドラム11の表面に残留したトナーtはクリーニングブレード20によって掻き取られて除去される。さらに、印刷が終了した後、除去されたトナーtは前記制御部によって決められたシーケンスに従って回収される。
【0031】
次に、感光体ドラム11、現像ローラ22及びトナー供給ローラ23の関係について説明する。
【0032】
図2は本発明の第1の実施の形態における感光体ドラム、現像ローラ及びトナー供給ローラの関係図である。
【0033】
図に示されるように、感光体ドラム11の軸11aと現像ローラ22の軸22aとの軸間距離L1は、24.71〔mm〕であり、現像ローラ22の軸22aとトナー供給ローラ23の軸23aとの軸間距離L2は、16.25〔mm〕であり、感光体ドラム11と現像ローラ22との間でニップ部101を、現像ローラ22とトナー供給ローラ23との間でニップ部102を形成する。
【0034】
現像ブレード24の折曲部24aの曲げ半径Rは、
R=0.275〔mm〕
にされる。
【0035】
ここで、
(感光体ドラム11の外径+現像ローラ22の外径)/2=24.775〔mm〕
であり、感光体ドラム11と現像ローラ22との軸間距離L1は24.71〔mm〕である。したがって、
(感光体ドラム11の外径+現像ローラ22の外径)/2>軸間距離L1
になるので、感光ドラム11と現像ローラ22との間にニップ部101が形成される。
【0036】
また、
(現像ローラ22の外径+トナー供給ローラ23の中央部の外径)/2=17.550〔mm〕
であり、
(現像ローラ22の外径+トナー供給ローラ23の端部の外径)/2=17.200〔mm〕
であり、現像ローラ22とトナー供給ローラ23との軸間距離L2は16.25〔mm〕である。したがって、
(現像ローラ22の外径+トナー供給ローラ23の中央部の外径)/2>軸間距離L2
(現像ローラ22の外径+トナー供給ローラ23の端部の外径)/2>軸間距離L2
となるので、現像ローラ22とトナー供給ローラ23との間にニップ部102が形成される。
【0037】
本実施の形態においては、キャリヤを使用することなく、帯電させることができるように、トナーt(図1)として、磁性体を含有しない非磁性の、かつ、一成分のトナー(非磁性現像剤であり、かつ、一成分現像剤)を使用した。また、トナーtとして、負の極性に帯電する負帯電性のトナーを使用した。そして、前記画像形成ユニットとしては、感光ドラム11と現像ローラ22とを接触させて現像を行う接触現像方式の画像形成ユニットを使用した。
【0038】
また、前記トナーtとして、帯電量の1分値が−53〔μC/g〕以上、かつ、−25〔μC/g〕以下であり、絶対値で表したときに、25〔μC/g〕以上、かつ、53〔μC/g〕以下であるトナーを使用した。なお、1分値は、トナーtのキャリヤに対する1分間の攪拌によって得られる帯電量を表す。
【0039】
また、帯電量は、「q/m−meter」(EPPING社製)を使用して測定した。まず、セルを蓋と共に精密天秤に乗せ、目盛りを0.0000〔g〕に合わせる。次に、トナーtを、計量スプーンにすり切りいっぱいに取り、キャリヤ(パウダーテック社製、ノンフェライトキャリヤ:F150)と共にセルに入れる。続いて、セルに蓋をして、トナーt及びキャリヤを1分間振とうし、トナーtとキャリヤとを混合することによって、トナーtを摩擦帯電させ、セルを精密天秤に乗せ、重量を読む(このとき、サンプルの分量は2.2〜2.5〔g〕は取るようにする)。精密天秤の目盛りを0.0000〔g〕に合わせて、(蓋をした)セルを取り出し、「q/m−meter」の本体に取り付け、本体の扉を閉め、スタートボタンを押す。このとき、測定時間を90秒とし、吸引量を1000〔cm3 /min〕程度とする。
【0040】
測定が終了した後、VACデジタル表示値(VAC値)を読む。続いて、(蓋をした)セルを取り出し、精密天秤に乗せ、トナー吸引量を測定する。
【0041】
次に、セルの蓋を開け、残ったトナーtを捨てる。セルと蓋とのメッシュ部、計量スプーン、及びすり切り板を軽くエアーブローする。また、ドアを開いた状態で左上部の「CLEAN」ボタンを押し、吸引ホースによる吸引を行う。基本的に連続して2回測定し、差が±1.0以内ならば、平均して測定値とし、
帯電量〔μC/g〕= (VAC値×10)/ (トナー吸引量〔g〕)
から、トナーtの帯電量の1分値を求める。
【0042】
次に、前記トナーtの作製方法について説明する。
【0043】
まず、水溶液中にスチレン、アクリル酸、メチルメタクリル酸等のモノマー成分のミセルを形成し、重合させることによって、スチレン−アクリル共重合体の樹脂を一次粒子として得る。次に、一次粒子と、着色剤(ブラックにはカーボンブラックを、イエローにはピグメントイエロー74を、マゼンタにはピグメントレッド238を、シアンにはピグメントブルー15:3を使用するが、本実施の形態においては、ピグメントレッド238を使用した。)及び離型剤(ワックスとして、高級脂肪酸エステル系ワックスであるステアリン酸ステアリル)とを分散質として水溶液中に分散させ、塩析によって会合させることで分散液中に会合体を得た。そして、分散液をろ過し、会合体を乾燥させてトナー粒子(ベーストナー)を得た。
【0044】
本実施の形態において、トナー粒子の体積平均粒径は7.0〔μm〕、円形度は0.95であった。
【0045】
前記体積平均粒径は、コールターマルチサイザー3(ベックマンコールター社製)を使用し、アバーチャー径100〔μm〕において3000カウントの測定を行うことによって算出される。また、円形度については、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス株式会社製)によって、各トナー粒子の円形度
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子の投影像の周囲長)
を算出し、算出されたすべてのトナー粒子の各円形度の総和を、トナー粒子の粒子数(本実施の形態においては、3000)で除算した値とした。なお、円形度は、トナー粒子の凹凸の度合いを表す指標であり、トナー粒子が完全な球形の形状を有する場合、1.00となり、トナー粒子の形状が複雑になるほど小さい値になる。
【0046】
前記トナー粒子(ベーストナー)100重量部に、ヘキサメチルジシラザンによって表面処理された一次粒子の平均粒径が20〔μm〕の疎水性シリカを混合し、混合物の量を0.41重量部とすることによって、帯電量の1分値が−25〔μC/g〕のトナーAを得た。
【0047】
同様に、混合物の量を0.54重量部とすることによって帯電量の1分値が−33〔μC/g〕のトナーBを、混合物の量を0.60重量部とすることによって帯電量の1分値が−41〔μC/g〕のトナーCを、混合物の量を0.72重量部とすることによって帯電量の1分値が−51〔μC/g〕のトナーDを、混合物の量を0.75重量部とすることによって帯電量の1分値が−53〔μC/g〕のトナーEを得た。
【0048】
なお、前記トナー粒子(ベーストナー)と混合する外添剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を使用することができる。シリカは、Si−O−Si結合を有する微粉末であり、乾式法又は湿式法のいずれかで製造されたものでも良い。また、シリカのほかに、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛等を使用することもできる。さらに、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコンオイル、側鎖にアミンを有するシリコンオイル等によって表面処理されたシリカの微粉末等を使用することもできる。
【0049】
前記外添剤の一次粒子は、走査型電子顕微鏡によって、加速電圧を10〔kV〕、倍率を2万〜5万倍で写真を撮影する。該写真上の外添剤の一次粒子を無作為に50個選択し、その平均粒径を一次粒径とした。
【0050】
以上のように作製されたトナーA〜Eの初期印刷時のかぶり及び汚れを評価した。
【0051】
まず、トナーカートリッジ25内に、トナー380〔g〕を入れたプリンタを二台用意し、一方のプリンタは温度28〔℃〕、湿度80〔%〕の高温多湿の環境(HH)の恒温室に、他方のプリンタは温度10〔℃〕、湿度20〔%〕の低温低湿の環境(LL)の恒温室にそれぞれ所定の時間(12時間以上、本実施の形態においては14時間とした。)放置し、その後、各プリンタで1枚の白紙(0.0〔K〕)に対して印刷した。
【0052】
なお、この場合、A4判の用紙サイズの光沢紙(例えば、坪量128〔g/m2 〕、光沢度58.7(MURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORY GLOSS METER、Type.GM−26D、視野角75〔°〕による測定における光沢度)の用紙15を使用して、0〔%〕の印刷濃度の印刷(トナー像の形成を伴わない)を行った。ここで、印刷濃度は、A4判の用紙サイズの用紙15の全面にベタ画像を印刷したときの濃度を100〔%〕とした場合の濃度をいう。
【0053】
そして、0〔%〕の印刷濃度の印刷を行う前の光沢紙の色相(L*a*b*)と0〔%〕の印刷濃度の印刷を行った後の光沢紙の色相との色差ΔEを、色彩色差計CM−2600d(ミノルタ社製、C光源、2度視野)を使用して測定し、かぶり及び汚れの評価を行った。評価結果を表1で表す。なお、表1における帯電量の値は絶対値である。
【0054】
【表1】

【0055】
この場合、色差ΔEが大きいほど、かぶり及び汚れが大きく、画像品位が低いことを意味する。本実施の形態においては、色差ΔEが1.70以下を○で表し、1.70より大きい場合を×で表した。
【0056】
なお、高温多湿の環境下ではかぶりを、低温低湿の環境下では汚れを評価した。これは、高温多湿の環境下ではかぶりが、低温低湿の環境下では汚れが発生しやすいからである。汚れは、現像ローラ22上のトナーtの(表面)電位が高くなりすぎることによって現像工程のバランスが崩れ、感光体ドラム11上の静電潜像に関係なくトナーtが感光体ドラム11上に現像されてしまうことによって発生する。
【0057】
トナーAを使用する比較例1−1においては、かぶりが発生した。トナーB〜Dを使用する実施例1−1〜1−3においては、かぶり及び汚れのいずれも発生しなかった。また、トナーEを使用する比較例1−2においては、かぶりは発生しなかったが、汚れが発生した。
【0058】
このように、本実施の形態においては、トナーtの帯電量の1分値を−51〔μC/g〕以上、かつ、−33〔μC/g〕以下とした場合、初期印刷時において、かぶり及び汚れの無い良好な画像を得ることができる。
【0059】
なお、本実施の形態における現像ローラ22及び現像ブレード24の材質及び構造、並びにトナーtの原材料等は、トナーtの帯電量の1分値が前記範囲内であれば変更することができる。また、本実施の形態においては、トナーtとして負帯電性のトナーを使用したが、正の極性に帯電する正帯電性のトナーを使用することもできる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0061】
前記第1の実施の形態においては、現像剤としてのトナーtの帯電量の1分値を−51〔μC/g〕以上、かつ、−33〔μC/g〕以下とすることによって、初期印刷時においてかぶり及び汚れの無い良好な画像を得ることができたが、トナーtの帯電量の立上りを良くした場合、連続印刷を行うと現像剤担持体としての現像ローラ22(図1)上のトナーtの帯電量が徐々に高くなり、汚れが発生してしまう。
【0062】
そこで、本実施の形態においては、トナーtの経時的な帯電特性を表すものとして、トナーtの帯電量の5分値に着目し、該5分値の範囲が−45〔μC/g〕以上、かつ、−23〔μC/g〕以下であり、これを絶対値で表したときに、23〔μC/g〕以上、かつ、45〔μC/g〕以下であるトナーtを使用した。なお、5分値は、トナーtのキャリヤに対する5分間の攪拌によって得られる帯電量を表す。
【0063】
本実施の形態として以下に述べる方法でトナーtを作製した。
【0064】
前記第1の実施の形態と同様の方法でトナー粒子(ベーストナー)を作製し、トナー粒子100重量部に疎水性シリカの微粉末を混合する際に、ヘキサメチルジシラザンによって表面処理された疎水性シリカの微粉末(以下「シリカα」という。)を0.38重量部、粒径100〔nm〕以上、かつ、200〔nm〕以下のコロイダルシリカ(以下「シリカβ」という。)を0.18重量部とすることによって、帯電量の1分値が−33〔μC/g〕、5分値が−20〔μC/g〕のトナーFを得た。
【0065】
同様に、シリカαを0.39重量部、シリカβを0.19重量部とすることによって、帯電量の1分値が−33〔μC/g〕、5分値が−23〔μC/g〕のトナーGを、シリカαを0.41重量部、シリカβを0.16重量部とすることによって、帯電量の1分値が−33〔μC/g〕、5分値が−45〔μC/g〕のトナーHを、シリカαを0.39重量部、シリカβを0.24重量部とすることによって、帯電量の1分値が−41〔μC/g〕、5分値が−23〔μC/g〕のトナーIを、シリカαを0.42重量部、シリカβを0.22重量部とすることによって、帯電量の1分値が−41〔μC/g〕、5分値が−45〔μC/g〕のトナーJを、シリカαを0.53重量部、シリカβを0.29重量部とすることによって、帯電量の1分値が−51〔μC/g〕、5分値が−23〔μC/g〕のトナーKを、シリカαを0.54重量部、シリカβを0.27重量部とすることによって、帯電量の1分値が−51〔μC/g〕、5分値が−45〔μC/g〕のトナーLを、シリカαを0.56重量部、シリカβを0.25重量部とすることによって、帯電量の1分値が−51〔μC/g〕、5分値が−50〔μC/g〕のトナーMを得た。
【0066】
なお、帯電量は、前記第1の実施の形態と同様に行い、振とう時間を1分から5分に変えて測定した。
【0067】
前記第1の実施の形態と同じプリンタを使用し、比較例2−1においてトナーFを、実施例2−1〜2−6においてトナーG〜Lを、比較例2−2においてトナーMを使用して、初期印刷時、連続印刷時及び連続印刷後のかぶり及び汚れを評価した。
【0068】
まず、現像剤収容部としてのトナーカートリッジ25内に、トナー380〔g〕を入れたプリンタを二台用意し、一方のプリンタは温度28〔℃〕、湿度80〔%〕の高温多湿の環境(HH)の恒温室に、他方のプリンタは温度10〔℃〕、湿度20〔%〕の低温低湿の環境(LL)の恒温室にそれぞれ所定の時間(12時間以上、本実施の形態においては14時間とした。)放置し、その後、各プリンタで1枚の白紙(0.0〔K〕)に対して印刷した。また、1.0〔%〕濃度の画像を2000枚連続印刷を行い、連続印刷が終了後に白紙(2.0〔K〕)を1枚印刷した。
【0069】
そして、第1の実施の形態と同様に色差ΔEを、色彩色差計CM−2600d(ミノルタ社製、C光源、2度視野)を使用して測定し、初期印刷時、連続印刷中及び連続印刷後のかぶり及び汚れの評価を行った。評価結果を表2で表す。なお、表2における帯電量の値は絶対値である。
【0070】
【表2】

【0071】
トナーFを使用する比較例2−1においては、連続印刷中及び連続印刷後にかぶりが発生した。これは、トナーFの帯電量の5分値が−20〔μC/g〕であり、5分値の帯電量が小さいためにかぶりが発生したと考えられる。トナーG〜Lを使用する実施例2−1〜2−6においては、かぶり及び汚れのいずれも発生しなかった。また、トナーMを使用する比較例2−2においては、かぶりは発生しなかったが、連続印刷中及び連続印刷後に汚れが発生した。
【0072】
このように、本実施の形態においては、トナーtの帯電量の1分値を−51〔μC/g〕以上、かつ、−33〔μC/g〕以下とし、5分値を−45〔μC/g〕以上、かつ、−23〔μC/g〕以下とした場合、初期印刷時、連続印刷中及び連続印刷後に、かぶり及び汚れの無い良好な画像を得ることができる。
【0073】
前記各実施の形態においては、画像形成装置としてのプリンタに適用した例について説明したが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用することができる。
【0074】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における感光体ドラム、現像ローラ及びトナー供給ローラの関係図である。
【符号の説明】
【0076】
11 感光体ドラム
12 帯電ローラ
13 LEDヘッド
14 現像器
16 転写ローラ
20 クリーニングブレード
21 定着器
22 現像ローラ
101 ニップ部
t トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)静電潜像を形成するための像担持体と、
(b)該像担持体と対向させて配設され、像担持体上に形成された潜像に現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体とを有するとともに、
(c)前記現像剤のキャリヤに対する1分間の攪拌による帯電量の絶対値が、33〔μC/g〕以上、かつ、51(μC/g〕以下にされることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項2】
前記現像剤のキャリヤに対する5分間の攪拌による帯電量の絶対値が、23〔μC/g〕以上、かつ、45〔μC/g〕以下にされる請求項1に記載の画像形成ユニット。
【請求項3】
前記キャリヤはノンフェライトキャリヤである請求項1又は2に記載の画像形成ユニット。
【請求項4】
(a)前記現像剤担持体は像担持体と当接させて配設され、
(b)該像担持体と前記現像剤担持体との間にニップ部が形成される請求項1又は2に記載の画像形成ユニット。
【請求項5】
前記現像剤は非磁性現像剤である請求項1又は2に記載の画像形成ユニット。
【請求項6】
前記現像剤は一成分現像剤である請求項1又は2に記載の画像形成ユニット。
【請求項7】
前記現像剤は負帯電性の現像剤である請求項1又は2に記載の画像形成ユニット。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成ユニットが搭載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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