説明

画像形成材料を処理する装置および方法

印刷部数または印刷版の増加を含む、画像形成材料上の画像の耐久性を改善する装置および方法。前記装置および方法は、一例として、画像形成デバイスと、前焼きオーブンと、現像機と、前記画像に対して照射することができる赤外線ランプを用いる現像後処理ユニットとの使用を包含することができるが、これらに限定するものではない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、レジストおよび平版印刷版などの画像形成材料を処理する装置および方法に関する。本発明は、特に(但し限定はしないが)サーマル平版印刷版に関する用途が見出される。
【背景技術】
【0002】
サーマル平版印刷版は、赤外線および/または熱により露光または画像形成される版である。ある種の版に関しては、赤外線により、該版上の塗膜内に存在する例えばオニウム化合物などにおける光化学反応を開始することができる。斯かる態様においては、上記塗膜内に同様に存在する赤外色素が感光剤として作用して赤外線を吸収すると共に、上記オニウム化合物の分解を促進する。別のある種の版によれば、加熱はそれ自体が画像形成を直接生じ、上記塗膜内における成分の化学的分解も光化学反応も誘起しないと思われる。斯かる態様において熱は、例えば、版を加熱体に接触させる方法、または、該版上の塗膜内に吸収され、それによって熱を生成することができる、帯電粒子または電磁放射線を用いる方法などの多くの方法により、プレートセッター内の版に付与することができる。サーマル版に画像形成するひとつの方法は、IRレーザを介して赤外線を用いることである。
【0003】
いわゆるコンピュータ・トゥ・プレート(“CTP”)技術は、一部は、サーマル平版印刷版への発展によるものである。平版印刷版上の塗膜内に必要なパターンを、デジタル制御下で赤外線レーザにより“書き込む”ことができる。
【0004】
現在、主として2種類のサーマル版が市販されている。コダック・ポリクローム・グラフィックス社(Kodak Polychrome Graphics)のELECTRA版などのポジ型サーマル版は、典型的には画像形成用の赤外線に対する露光により該版の塗膜の所定領域を像様加熱することにより露光され、これらの領域を現像液に対してより可溶性とし、これにより、現像液によりより容易に除去されることができる。この種の版は、例えば、国際公開第97/39894の番号で公開されたPCT特許出願に開示されている。
【0005】
他方、ネガ型サーマル版は、ポジ版に対して前述した様に画像形成用の赤外線に対して露光することができる。次にそれは、画像形成の後であるが現像の前に、全体的加熱段階に置かれる。これは典型的には、“プレヒート段階”と称される。この加熱段階は、塗膜の内で選択的に画像形成された領域を選択的に架橋させることで、現像液に対する該領域の可溶性を選択的に低くすると思われる。故に、斯かる版の現像または現像処理時に、画像形成されなかった領域は選択的に現像除去される。斯かる版の典型例は、コダック・ポリクローム・グラフィックス社のTHERMAL PRINTING PLATE/830である。これらの版において典型的に利用される技法は、例えば、米国特許第5,340,699号、米国特許第5,372,907号および米国特許第5,491,046号明細書に開示されると共に、レゾール樹脂、ノボラック樹脂、潜像用ブレンステッド酸および赤外線吸収剤から成る画像形成層の使用を伴うことができる。これらの特許の内容は言及したことにより本明細書中に援用される。
【0006】
これらのネガ型版は一般的に、780〜1,400nmの近赤外レーザ光により像様露光されてから、以下順に記載する(これらは現像機内で一体化されたものとなることができる)、:
1.アルカリ現像液浴;
2.濯ぎ区画;および
3.ゴム引き区画
を有する現像機を通して現像する前に、約1〜3分にわたり約100〜200℃で加熱炉内でプレヒートされる。
【0007】
上記版は次に平版印刷機に取付けられ、そこで数万枚の印刷物を得ることができるが、典型的には、版の像が摩耗する前の250,000部に限定される。もし上記版から追加の部数を望む場合、上記版を強制空気加熱炉を通して搬送し、該版を加熱し、更に、典型的には約285℃にて約2分にわたる処理段階を続けることが知られている。“後焼き(ポストベーキング)”と称されるこのプロセスは、印刷機上の上記版の寿命を1,000,000部以上まで伸ばすことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしこの焼きプロセスには相当の不都合がある、と言うのも、このプロセスは付随的コストに関連する、相当量の電力を消費する極めて大型の加熱炉を使用するからである。更なる不都合は、それが過剰なまたは不均一な加熱を生じ、焼かれた版が波状となり印刷機上に正確に取付けることが困難となる場合があることである。第3の困難性は、後焼き処理の間に生ずる背景の汚れを防止するために、一定の場合にはThermotect(商標)プロセスと称される公知のプロセスにより、焼きの前に上記版に対しては保護用ゴムが適用されることである。印刷の前に上記版が貯蔵されるべきであれば、このゴムはその後に取り外されて通常の版仕上げ剤が適用されることから、更なる時間および労力を費やす必要がある。実際に一般的には、焼く前の保護用ゴムの適用前に、現像プロセスに続いて適用された版仕上げ剤を除去する必要があることから、上記プロセスには更なる遅延および非効率さが導入される。しかしこれらの問題にも関わらず、この種の版は一般的に、印刷機上でより印刷部数の増大を達成するために焼かれ、それによって、印刷の終了時に所望部数の作成を容易にする。
【0009】
したがって、後焼き方法に伴う不都合を克服する一方で、印刷部数の増大を含む該方法の重要な利点のいくつかもしくは全て達成することを依然として可能にする処理が案出されれば非常に有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、現像済み画像形成材料の露光済み領域に対して赤外線を当てることを含んで成る、画像形成材料上の画像の耐久性を改善する方法を包含することができる。本発明によれば、そのIR線の投射により改善される耐久性は非常に大きい。
【0011】
より詳細には本発明は、現像済み印刷版の画像形成された露光済み領域に対して赤外線を当てることにより、印刷版の印刷部数を増大する方法を包含することができる。この方法は更に、上記印刷版を像様に露光して露光済み印刷版を形成する段階と、上記露光済み印刷版を現像して上記現像済み印刷版を提供する段階とを含むことができる。赤外線を当てる段階および現像段階の少なくとも一方は印刷機外または印刷機上で実施され得る。赤外線を当てる段階は、上記現像済み印刷版に赤外線を浴びせる段階、または、上記現像済み印刷版上に赤外線をラスタ走査させる段階を包含することができる。上記ラスタ走査段階は、像様露光の間に適用された画像を再トレースすることを包含するか、または、上記現像済み印刷版の画像形成領域の実質的に全体にわたり走査することを包含することができる。
【0012】
上記赤外線は、上記現像済み印刷版の近傍に配置された赤外線ランプにより供給されることができる。上記ランプは、約780nm〜約1,400nmの波長、または、より詳細には約800nm〜約850nmの範囲の波長を有する赤外線を発することができる。
【0013】
上記赤外線は上記現像済み印刷版を、約140℃〜約160℃の範囲の温度まで加熱することができる。上記赤外線を、約15秒〜約25秒にわたり上記現像済み印刷版に投射することができる。
【0014】
本発明は更に、上記印刷版が現像される前に該印刷版を加熱する段階および冷却する段階を含むことができる。同様にそれは、上記現像済み印刷版を濯ぐ段階と、上記現像済み印刷版に仕上げ剤を適用する段階とを含むことができる。
【0015】
上記現像済み印刷版は、熱的に画像形成可能な版などの、ネガ型平版印刷版となることができるが、これに限定されるものではない。本発明を、印刷版以外の画像形成材料に適用してもよい。
【0016】
本発明は、赤外線源の近傍であるときの露光済み材料の滞留時間、画像形成受容材料から赤外線源までの距離、および上記赤外線源の出力の内の少なくともひとつを制御することにより上記現像済み印刷版の加熱を制御する段階を含むことができる。
【0017】
本発明は、上述の手法のひとつ以上を用いる装置を包含することができる。例えば、それは、約780nm〜約1,400nmの範囲の赤外線を発する赤外線ランプを含むことができる。それは、上記印刷版を像様に露光する画像形成デバイスと、上記印刷版を現像する現像機とを含むことができる。更に、本発明は、印刷機と共に用いることができ、あるいは印刷機を包含することができる。そして更に上記装置は、冷却デバイス、濯ぎ液アプリケータ、および/または、仕上げ剤アプリケータを含むことができる。
【0018】
一般的に本発明の一つの態様は、画像の相当の強靱化すなわち印刷版の印刷部数または他の耐久性の限界が増大するような、基板上の画像形成された塗膜の処理を容易化する方法および装置を提供しようとするものである。更にこの態様は、公知の後焼き方法に伴う負担および労力ならびに耐え難い費用に関する非効率さを排除しまたは少なくとも低減するものである。そして今驚くべきことに斯かる改良は、画像形成材料の処理(例えば、現像またはエッチング)に続き主として赤外線の適用もしくは処理により達成され得ることが見出された。本発明の装置および方法を使用することができる画像形成材料としては、印刷版、およびプリント配線基板などの電子部品の製造において使用されるようなレジストが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0019】
故に本発明の第1の態様によれば、
(a)画像形成デバイスと、
(b)ベーキングオーブンと、
(c)現像機と、
(d)現像後処理ユニットと、
を含む画像形成材料の製造装置において、
前記現像後処理ユニットが、前記画像の耐久性または強靱性を改善するために、前記画像形成された材料を加熱するのに適合した赤外線源を有するユニットを含むことを特徴とする製造装置が提供される。
【0020】
上述の発明の類似の態様は、(b)におけるベーキングオーブンを省略することができるものであることに留意されたい。同様に別態様は、当業界で公知である濯ぎ区画(例えば、水)であって余分な破片を除去する濯ぎ区画と、使用前の長期にわたる上記材料の貯蔵を容易化する適切なゴムを適用するゴム引き区画とを含むことができる。
【0021】
上記装置は、ネガ型画像形成材料、特に熱的に画像形成されたネガ型画像形成材料に特に適用可能性が見出すことができる。最も詳細には上記装置は、特に印刷部数の増大が所望される熱的に画像形成されたネガ型平版印刷版の製造において特に有用である。
【0022】
詳細には上記装置は特に、約780〜約1,400nmの範囲、特に約800〜900nmの範囲、更に詳細には約830nmに画像形成感度を有するサーマル印刷版、特に、コダック・ポリクローム・グラフィックス社からのThermal Plate 830、DITP GoldおよびThermal Gold、ならびに、コダック・ポリクローム・グラフィックス社からのフォトポリマー版であるThermal Newsなどの版に対して適用性を有する。通常、Thermal Plate 830などの版において使用されるノボラック型組成物および同様の版用組成物は、印刷寿命の増大などを行うために相当の時間にわたり約200℃より高く昇温される必要がある。しかし本発明に係る上記装置は、例えば、プリント配線基板またはシリコン・チップ製造に対するマイクロ平版印刷などの様にエッチングに対する大きな耐性が好適であり得るという平版印刷版または写真平版用アセンブリと組み合わせて使用することができる。
【0023】
印刷版の場合、前述の追加の処理は苛酷な印刷条件に対する大きな耐性を提供することから、印刷部数は一般的に、1,000,000部超まで増大し、従来の冗長な焼き処置により達成される印刷部数と同様である。
【0024】
赤外線源もしくはエミッターを有する一つの態様は、約780〜1,400nmの波長においてIR-A光を出力する短波長赤外線ランプなどの赤外線ランプを含む。この処理または別の赤外線態様により達成される温度は、一般的に約140〜約195℃の範囲となることができると共に、約145〜約165℃の範囲に制御可能であり、且つ、理想的にはできるだけ155℃に近くになるのがよい。一般的に述べると上記版は好適には、該版の一種以上の材料が悪影響を受ける(例えば、アルミニウム基板が座屈する)ような上限値より高温には加熱されず、且つ、画像形成用化学物質の変換が不十分に行われるような下限値以下には加熱されない。制御は、例えば、温度センサおよびプログラム可能コントローラを包含するフィードバック・ループを介して、または、それらの組み合わせを介して放射出力、距離、ライン速度などに基づく試験により達成され得る。
【0025】
所望温度における滞留時間は、約15〜約25秒の範囲、好適には約18〜約22秒、最も好適にはできるだけ約20秒に近くすることで、画像の相当の強靱性の達成と、満足できるスループット速度の維持との間のバランスを提供することができる。各赤外線ランプに対する画像形成材料の搬送速度は製造ラインにおいて用いられる一連の赤外線ランプの長さに基づき変えることができるが、替りに一個以上の赤外線ランプ(移動可能であっても静止していてもよい)の下方に短寸の画像形成材料置き、所望の滞留時間にわたり其処に留めてもよい。一つの態様において上記各ランプは、上記版の表面から25〜200ミリメートルの所に載置して使用され得る。斯かる赤外線ランプは、ヴィクトリィ・ライティング社(Victory Lighting)から入手可能であると共に、1.35kW、230V、2800Kの水平照射式カラーランプと称される。
【0026】
赤外線による露光処理に続き、上記画像形成された材料は水で濯ぐことができると共に、公知のアプリケータにより版仕上げ剤を適用することができる。濯ぎ操作は一般的に上記材料に対して水の噴流を噴霧することで実施される一方、上記仕上げ剤は典型的には、動力ローラを用いて上記材料を該仕上げ剤を含む容器に通すことで適用される。この目的に対しては、任意の適切な市販の仕上げ剤を使用することができる。
【0027】
本発明の一つの態様は、IR感受性の反応物質に投射すべく導向されて該反応物質を加熱する赤外線を使用することに言及するのは有用である。上記IRランプは2つの形態を提供することができる。各形態の詳細な“量”を変えて、一方の様式または他方の様式における処理に影響を与えるかまたは該処理を最適化することができる。
【0028】
上記装置における画像形成デバイスは、当業者に公知である種類の任意の適切な画像形成もしくは露光デバイスを含んで成ることができる。典型的にそれは、例えば、プレートセッターまたは写真植字機などの、レーザもしくは紫外線による画像形成デバイスを含む。
【0029】
上記前焼き(または前プロセス処理)加熱炉は適切な温度まで加熱されるファン式もしくは強制空気式などの大型加熱炉を含んで成るか、または代替的に上記加熱炉および現像機は、英国のセットフォードのテクニグラフ社(Technigraph)により販売されているPHW32現像機、およびグランツ・アンド・ジェンセン社(Glunz & Jensen)から入手可能なINTERPLATER 85 HD/135 HDポリマ現像機などの一体的なプレヒート/現像装置を含んで成ることができる。但し、斯かる多くの組み合わせデバイスは基本的にコダック・ポリクローム・グラフィックス社のヴィテッセ版(Vitesse plate)などの従来的に画像形成されるネガ型・平版印刷版に対して設計されることから、熱的に画像形成される版と共に使用されるにはそれほど適さないかも知れない、と言うのも該デバイスは、プレヒート用の加熱炉における版の例えば前部から後部にかけて上昇する温度勾配であって可能的には後方において指数的に上昇する温度勾配まで昇温させる傾向だからである。現像前加熱用の他の手段も使用することができる。
【0030】
明らかに、慣用的に画像形成されたネガ型・平版印刷版はこの種の前焼きオーブンにおいて使用され得る如く十分に堅牢であるが、サーマル版は斯かる条件下では更に損傷し易い。例えば、後縁部領域における“カブリ”と前縁部における低温とにより、受け入れられない性能をもたらす場合があると思われる。
【0031】
従って、本発明の目的に対しては、熱的に画像形成された材料と共に使用されるべく特に設計された前焼きオーブンを採用することが好適である。好適には上記前焼きオーブンが、画像形成された材料が該加熱炉を通り進行するときに、該画像形成された材料に対して適用される熱量を制御し、より好ましくは減少することができることである。先に論じた温度勾配および生じるカブリを防止するために、画像形成された材料に対して適用される熱の量を、該材料が前焼きオーブンを通り進行するときに減少されることが望ましい。感光剤を含む種類のサーマル印刷版に関しては、該版の一端から他端にかけての相当な温度差により、該版に沿って異なるドット・サイズを生じる場合がある異なる度合いの架橋を引き起こし、小さな温度差であっても非常に不都合となる場合がある。或いは、上記版は現像後にはドットのサイズに関して同一に見えるかも知れないが、該版の各部はより低いまたはより高い耐久性を呈して、印刷時に印刷部数が不十分な結果を生じる。
【0032】
上記前焼きオーブン内における温度制御は、画像形成された材料が該加熱炉を通り進行する際に該画像形成された材料に対して伝達される熱が、該材料の後縁部に向かって熱が蓄積するという傾向を少なくとも部分的に補償すべく減少されるようになることができる。好適には該補償は、上記材料の長さに沿い温度が実質的に一定であるか、または少なくとも、問題となる材料に対して容認可能な限界内で該材料内の温度差の減少があるというものである。例えば、上記材料の各領域間における約30℃以下の温度差は、容認可能となることができる。但しそれは、約20℃以下、約10℃以下、約5℃以下、更には約2℃以下であることが好ましい。
【0033】
上記目的を達成するために、種々の温度制御手段が利用可能である。しかし好適には、上記温度は、前焼きオーブンの熱放射部分と該加熱炉を通り進行する画像形成された材料との間に配備される制御可能な機械的障壁手段によって制御することができ、当該障壁は、上記材料が上記加熱炉を通り進行するときに該材料に対して適用される熱量を減少させるべく選択的に操作できるものである。その温度制御方法に加え、加熱炉内において又は赤外線ランプと組み合わせて、公知の温度センサおよびプログラム可能コントローラを使用してもよい。
【0034】
熱的に画像形成された材料の場合、前焼きオーブンと現像機との間の経路が洗浄区画を通る必要はない。しかし上記経路は、画像形成材料が、該画像形成された材料に対してクーラントを送給する手段を好適に含む冷却区画を通過するようなものとなることができる。
【0035】
クーラントは空気となることができ、クーラントが室温(すなわち約21℃)であれば通常は適切であるが、画像形成材料を冷却するために室温より高温もしくは低温の空気を用いても良い。上記クーラントは画像形成された材料上に又は該要素の方向又はその近傍に導向される一連の流体噴流を含むことができるが、好適には、画像形成された材料上に向けたシート状のクーラント、例えば、進行方向を横断するように配置されたスリットから発せられるクーラントを含むが、非横断配置を用いて、加熱不整合の場合に対して冷却性能を変えることもできる。また、スリットではなく、一連の小孔を用いるか、またはそれらの組み合わせを用いてもよい。従って冷却デバイスは、上記材料の表面上に導向された“エアナイフ”の形態となることができる。上記冷却区画は上記前焼き区画と上記現像機との間に一対のローラを更に含むことができると共に、それらの間を上記材料が搬送される。
【0036】
別の冷却方法は、冷却プレートまたは冷却ローラなどの冷却体表面に加熱された画像形成材料を接触させる段階を包含することができる。すなわち、熱は対流よりも伝導により除去される。伝導的および対流的な冷却の組み合わせもまた企図される。
【0037】
上記現像機または現像装置は、コダック・ポリクローム・グラフィックス社からのマーキュリー(Mercury)シリーズの現像機などの当業者に公知の形式の任意の適切な現像デバイスを含むことができる。上記現像機は、非画像領域の未露光の塗膜を除去および/または解放するために画像形成された要素の表面に流体(現像液と称されることが多い)を適用し、随意選択的に、その後、上記流体もしくは現像液と、解放された、もしくは除去された一切の塗膜とを洗浄除去すべく、現像されて処理された材料を濯ぐ役割を果たす機械である。
【0038】
典型的に上記現像液は容器内に収容され、画像形成された材料は動力式ローラにより該容器を通して推進される。上記現像液は、未露光の塗膜を除去することができる当業者公知の任意の適切な溶液を含むことができる。一般的に、熱的に画像形成可能な材料の場合、現像液はアルカリ溶液を含む。
【0039】
現像された上記材料は水により慣用的に濯がれ、且つ、上記現像機の濯ぎ区画は通常は該材料上に水の噴流を噴霧する手段により操作する。
【0040】
本発明の第2の側面もしくは態様は、画像形成された材料を調製する方法を包含し、該方法の一つの態様は:
(a)レーザ光または紫外線により画像形成材料を像様露光する段階と、
(b)画像形成された材料を加熱炉内で前焼きする段階と、
(c)上記画像形成された材料を現像する段階と、
(d)現像の後に上記画像形成された材料を処理する段階と、
を含んで成り、
上記処理段階は、画像の強靱化を達成するために上記画像形成された材料を赤外線に対して露光する段階を含むことを特徴とする。
【0041】
上述の発明の類似の態様は、(b)におけるベーキングオーブンを省略することができることを留意されたい。同様に、本発明の態様は、公知の濯ぎ機器を用いる濯ぎ段階を採用することができる。
【0042】
本発明の第2の態様の方法により製造された画像形成された材料は、後処理段階なしで獲得された材料と比較したときに相当に改善された性能を有することが見出される。特に、熱的に画像形成された平版印刷版の場合、印刷機上に採用されたときに該版の印刷部数は顕著な改善を示すと共に百万部を超える印刷部数が通常的に達成され、これは上記処理段階なしの場合よりも非常に多い。更に、上述の如く、上記前焼き段階に続いて冷却段階が採用可能であり、他の段階も同様である。
【0043】
後焼き段階を採用する先行技術のシステムに対して本発明の上記装置および方法を比較すると、コストおよび労力に関する相当の節約と、全体的な効率における顕著な改善とを伴って、画像形成された材料を得ることができることがわかる。これは、先行技術のシステムと本発明のシステムとの単純な比較により具体的に示すことができる。伝統的なプロセスは以下の各段階を含む:
1.像様露光;
2.150℃における前焼き;
3.現像
(a)現像
(b)水による濯ぎ
(c)版仕上げ剤を適用;
4.版仕上げ剤を洗浄除去;
5.保護用ゴムを適用;
6.285℃で2分にわたり後焼き;
7.保護用ゴムを除去;
8.版仕上げ剤を適用。
【0044】
対照的に、本発明の方法の一つの態様は以下の各段階を含むことができる:
1.像様露光;
2.150℃における前焼き;
3.現像
(a)現像
(b)水による濯ぎ;
4.後処理
(a)赤外線に対して露光;
(b)水による濯ぎ
(c)版仕上げ剤を適用。
【0045】
上述の如く、本発明の類似の態様は段階2(前焼き)を省略することができる。その態様または他の類似の態様は、段階3(b)(水による濯ぎ)および/または段階4(b)(水による濯ぎ)などを省略することができる。更なる別態様においては、“版仕上げ剤の適用”である段階3(c)が含む場合がある。
【0046】
当業者であれば、上述の種々の態様に加え、本発明の有効範囲から逸脱せずに種々の修正、変更、組み合わせ及び改変が記述態様に対して為され得ることは明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明の他の目的及び利点は、図面を参照した詳細な説明から明らかとなろう。
【0048】
以下の開示内容は本発明の多数の態様を記述するが、本発明者等によれば、これらの態様の種々の言及側面および更に別の側面の他の変更または組み合わせは本発明の一部として企図される。
【0049】
一般的に本発明の一つの態様は、画像の大きく強靱化する、すなわち印刷版の多い印刷部数または他の尺度の耐久性が達成されるように、基板上の画像形成された塗膜の処理を容易化する方法および装置を提供するものである。更にこの態様は、公知の後焼き方法に伴う負担および労力ならびに耐え難い費用に関する非効率さを排除し、または少なくとも低減するものである。そして今驚くべきことに斯かる改良は、画像形成材料の(現像またはエッチングなどの)現像に続き、主として赤外線の適用もしくは処理により達成されることが見出された。本発明の装置および方法を使用することができる画像形成材料としては、印刷版、およびプリント配線基板などの電子部品の製造において使用されるようなレジストが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0050】
故に本発明の第1の態様によれば、
(a)画像形成デバイスと、
(b)ベーキングオーブンと、
(c)現像機と、
(d)現像後処理ユニットと、
を含む画像形成された材料の製造装置において、
上記現像後処理ユニットは、上記画像形成された材料を加熱して画像の耐久性または強靱性を改善することができる赤外線源を含むユニットを含むことを特徴とする製造装置が提供される。
【0051】
上述の発明の類似の態様は、(b)におけるベーキングオーブンを省略することができるものであることを留意されたい。同様に別態様は、当業界で公知である濯ぎ区画(例えば、水)であって余分な破片を除去する濯ぎ区画と、使用前の長期にわたる上記材料の貯蔵を容易化すべく適切なゴムを適用するゴム引き区画とを含むことができる。
【0052】
上記装置は特に、ネガ型画像形成材料、特に熱的に画像形成されたネガ型に画像形成される材料に適用可能性が見出すことができる。最も詳細には上記装置は、特に印刷部数の増大が所望される熱的に画像形成されたネガ型平版印刷版の製造において特に有用である。
【0053】
詳細には上記装置は特に、約780〜約1,400nmの範囲、特に約800〜900nmの範囲、更に詳細には約830nmに画像形成感度を有するサーマル印刷版、特に、コダック・ポリクローム・グラフィックス社からのThermal Plate 830、DITP GoldおよびThermal Gold、ならびに、コダック・ポリクローム・グラフィックス社からのフォトポリマー版であるThermal Newsなどの版に対して適用性を有する。通常、Thermal Plate 830などの版において使用されるノボラック型組成物および同様の版用組成物は、印刷寿命の増大などを行うために相当の時間にわたり約200℃より高く昇温される必要がある。しかし本発明に係る上記装置は、例えば、プリント配線基板またはシリコン・チップ製造に対するマイクロ平版印刷などの様にエッチングに対する大きな耐性が好適であり得るという任意の平版印刷版または写真平版印刷用アセンブリと組み合わせて使用することができる。
【0054】
印刷版の場合、上記更なる処理は苛酷な印刷条件に対する大きな耐性を提供することから印刷部数は一般的に、1,000,000部を超えるまで増大され、従来の冗長な焼き処置により達成される印刷部数と同様である。
【0055】
赤外線源もしくはエミッターを有する一つの態様は、約780〜1,400nmの波長においてIR-A光を出力する短波長赤外線ランプなどの赤外線ランプを含む。この処理または別の赤外線態様により達成される温度は、一般的に約140〜約195℃の範囲とされ得ると共に、約145〜約165℃の範囲に制御可能であり、且つ、理想的にはできるだけ155℃に近くなるのがよい。一般的に述べると上記版は好適には、該版の一種以上の材料が悪影響を受ける(例えば、アルミニウム基板が座屈する)ような上限値より高温には加熱されず、且つ、画像形成用化学物質の変換が不十分に行われるような下限値より低温までは加熱されない。制御は、例えば、温度センサおよびプログラム可能コントローラを包含するフィードバック・ループを介して、または、それらの組み合わせを介して放射出力、距離、ライン速度などに基づく試験により実現することができる。
【0056】
所望温度における滞留時間は、約15〜約25秒の範囲、好適には約18〜約22秒、最も好適にはできるだけ約20秒に近くすることで、画像の相当の強靱性の達成と、満足できるスループット速度の維持との間のバランスが提供され得る。各赤外線ランプに対する画像形成材料の搬送速度は製造ラインにおいて用いられる一連の赤外線ランプの長さに基づき変えることができるが、一個以上の赤外線ランプ(移動可能であっても静止していてもよい)の下方に短寸の画像形成材料を置き、所望の滞留時間にわたり其処に留めてもよい。一つの態様において上記各ランプは、上記版の表面から25〜200ミリメートルの所に載置して使用され得る。斯かる赤外線ランプは、ヴィクトリィ・ライティング社から入手可能であると共に、1.35kW、230V、2800Kの水平照射式カラーランプと称される。
【0057】
赤外線による露光処理に続き、上記画像形成された材料は水で濯がぐことができると共に、公知のアプリケータにより版仕上げ剤を適用することができる。濯ぎ操作は一般的に上記材料に対して水の噴流を噴霧することで実施される一方、上記仕上げ剤は典型的には、動力ローラを用いて上記材料を該仕上げ剤を含む容器に通すことで適用される。この目的に対しては、任意の適切な市販の仕上げ剤を使用することができる。
【0058】
本発明の一つの態様は、IR感受性の反応物質に投射すべく導向されて該反応物質を加熱する赤外線を使用することに言及するのは有用である。上記IRランプは2つの形態を提供することができる。各形態の詳細な“量”を変えて、一方の様式または他方の様式における処理に影響を与えるかまたは該処理を最適化することができる。
【0059】
上記装置における画像形成デバイスは、当業者に公知である種類の任意の適切な画像形成もしくは露光デバイスを含んで成ることができる。典型的にそれは、例えば、プレートセッターまたは写真植字機などの、レーザもしくは紫外線による画像形成デバイスを含む。
【0060】
上記前焼き(または前プロセス処理)加熱炉は適切な温度まで加熱されるファン式もしくは強制空気式などの大型加熱炉を含んで成るか、または代替的に上記加熱炉および現像機は、英国のセットフォードのテクニグラフ社により販売されているPHW32現像機、およびグランツ・アンド・ジェンセン社から入手可能なINTERPLATER 85 HD/135 HDポリマ現像機などの一体的なプレヒート/現像装置を含んで成ることができる。但し、斯かる多くの組み合わせデバイスは基本的にコダック・ポリクローム・グラフィックス社のヴィテッセ版などの従来的に画像形成されたネガ型・平版印刷版に対して設計されることから、熱的に画像形成される版と共に使用されるにはそれほど適さないかも知れない、と言うのも該デバイスは、プレヒート用の加熱炉における版の例えば前部から後部にかけて上昇する温度勾配であって可能的には後方において指数的に上昇する温度勾配まで昇温させる傾向だからである。現像前加熱用の他の手段も使用することができる。
【0061】
明らかに、慣用的に画像形成されたネガ型・平版印刷版はこの種の前焼きオーブンにおいて使用され得る如く十分に堅牢であるが、サーマル版は斯かる条件下では更に損傷し易い。例えば、後縁部領域における“カブリ”と前縁部における低温とにより、受け入れられない性能をもたらす場合があると思われる。
【0062】
従って、本発明の目的に対しては、熱的に画像形成された材料と共に使用されるべく特に設計された前焼きオーブンを採用することが好適である。好適には上記前焼きオーブンが、画像形成された材料が該加熱炉を通り進行するときに、該画像形成された材料に対して適用される熱量を制御し、より好ましくは減少することができることである。先に論じた温度勾配および生じるカブリを防止するために、画像形成された材料に対して適用される熱の量を、該材料が前焼きオーブンを通り進行するときに減少されることが望ましい。感光剤を含む種類のサーマル印刷版に関しては、該版の一端から他端にかけての相当な温度差により、該版に沿って異なるドット・サイズを生じる場合がある異なる度合いの架橋を引き起こし、小さな温度差であっても非常に不都合となる場合がある。或いは、上記版は現像後にはドットのサイズに関して同一に見えるかも知れないが、該版の各部はより低いまたはより高い耐久性を呈して、印刷時に印刷部数が不十分な結果を生じる。
【0063】
上記前焼きオーブン内における温度制御は、画像形成された材料が該加熱炉を通り進行する際に該画像形成された材料に対して伝達される熱が、該材料の後縁部に向かって熱が蓄積するという傾向を少なくとも部分的に補償すべく減少されるようになることができる。好適には該補償は、上記材料の長さに沿い温度が実質的に一定であるか、または少なくとも、問題となる材料に対して容認可能な限界内で該材料内の温度差の減少があるというものである。例えば、上記材料の各領域間における約30℃以下の温度差は、容認可能となることができる。但しそれは、約20℃以下、約10℃以下、約5℃以下、更には約2℃以下であることが好ましい。
【0064】
上記目的を達成するために、種々の温度制御手段が利用可能である。しかし好適には、上記温度は、前焼きオーブンの熱放射部分と該加熱炉を通り進行する画像形成された材料との間に配備される制御可能な機械的障壁手段によって制御することができ、当該障壁は、上記材料が上記加熱炉を通り進行するときに該材料に対して適用される熱量を減少させるべく選択的に操作できるものである。その温度制御方法に加え、加熱炉内において又は赤外線ランプと組み合わせて、公知の温度センサおよびプログラム可能コントローラを使用してもよい。
【0065】
熱的に画像形成された材料の場合、前焼きオーブンと現像機との間の経路が洗浄区画を通る必要はない。しかし上記経路は、画像形成材料が、該画像形成された材料に対してクーラントを送給する手段を好適に含む冷却区画を通過するようなものとなることができる。
【0066】
クーラントは空気となることができ、クーラントが室温(すなわち約21℃)であれば通常は適切であるが、画像形成材料を冷却するために室温より高温もしくは低温の空気を用いても良い。上記クーラントは画像形成された材料上に又は該要素の方向又はその近傍に導向される一連の流体噴流を含むことができるが、好適には、画像形成された材料上に向けたシート状のクーラント、例えば、進行方向を横断するように配置されたスリットから発せられるクーラントを含むが、非横断配置を用いて、加熱不整合の場合に対して冷却性能を変えることもできる。また、スリットではなく、一連の小孔を用いるか、またはそれらの組み合わせを用いてもよい。従って冷却デバイスは、上記材料の表面上に導向された“エアナイフ”の形態となることができる。上記冷却区画は上記前焼き区画と上記現像機との間に一対のローラを更に含むことができると共に、それらの間を上記材料が搬送される。
【0067】
別の冷却方法は、冷却プレートまたは冷却ローラなどの冷却体表面に加熱された画像形成材料を接触させる段階を包含することができる。すなわち、熱は対流よりも伝導により除去される。伝導的および対流的な冷却の組み合わせもまた企図される。
【0068】
上記現像機または現像装置は、コダック・ポリクローム・グラフィックス社からのマーキュリー(Mercury)シリーズの現像機などの当業者に公知の形式の任意の適切な現像デバイスを含むことができる。上記現像機は、非画像領域の未露光の塗膜を除去および/または解放するために画像形成された要素の表面に流体(現像液と称されることが多い)を適用し、随意選択的に、その後、上記流体もしくは現像液と、解放された、もしくは除去された一切の塗膜とを洗浄除去すべく、現像されて処理された材料を濯ぐ役割を果たす機械である。
【0069】
典型的に上記現像液は容器内に収容され、画像形成された材料は動力式ローラにより該容器を通して推進される。上記現像液は、未露光の塗膜を除去することができる当業者公知の任意の適切な溶液を含むことができる。一般的に、熱的に画像形成可能な材料の場合、現像液はアルカリ溶液を含む。
【0070】
現像された上記材料は水により慣用的に濯がれ、且つ、上記現像機の濯ぎ区画は通常は該材料上に水の噴流を噴霧する手段により操作する。
【0071】
本発明の第2の側面もしくは態様は、画像形成された材料を調製する方法を包含し、該方法の一つの態様は:
(a)レーザ光または紫外線により画像形成材料を像様露光する段階と、
(b)画像形成された材料を加熱炉内で前焼きする段階と、
(c)上記画像形成された材料を現像する段階と、
(d)現像の後に上記画像形成された材料を処理する段階と、
を含んで成り、
上記処理段階は、画像の強靱化を達成するために上記画像形成された材料を赤外線に対して露光する段階を含むことを特徴とする。
【0072】
上述の発明の類似の態様は、(b)におけるベーキングオーブンを省略することができることを留意されたい。同様に、本発明の態様は、公知の濯ぎ機器を用いる濯ぎ段階を採用することができる。
【0073】
本発明の第2の態様の方法により製造された画像形成された材料は、後処理段階なしで獲得された材料と比較したときに相当に改善された性能を有することが見出される。特に、熱的に画像形成された平版印刷版の場合、印刷機上に採用されたときに該版の印刷部数は顕著な改善を示すと共に百万部を超える印刷部数が通常的に達成され、これは上記処理段階なしの場合よりも非常に多い。更に、上述の如く、上記前焼き段階に続いて冷却段階が採用可能であり、他の段階も同様である。
【0074】
後焼き段階を採用する先行技術のシステムに対して本発明の上記装置および方法を比較すると、コストおよび労力に関する相当の節約と、全体的な効率における顕著な改善とを伴って、画像形成された材料を得ることができることがわかる。これは、先行技術のシステムと本発明のシステムとの単純な比較により具体的に示すことができる。伝統的なプロセスは以下の各段階を含む:
1.像様露光;
2.150℃における前焼き;
3.現像
(a)現像
(b)水による濯ぎ
(c)版仕上げ剤を適用;
4.版仕上げ剤を洗浄除去;
5.保護用ゴムを適用;
6.285℃で2分にわたり後焼き;
7.保護用ゴムを除去;
8.版仕上げ剤を適用。
【0075】
対照的に、本発明の方法の一つの態様は以下の各段階を含むことができる:
1.像様露光;
2.150℃における前焼き;
3.現像
(a)現像
(b)水による濯ぎ;
4.後処理
(a)赤外線に対して露光;
(b)水による濯ぎ
(c)版仕上げ剤を適用。
【0076】
上述の如く、本発明の類似の態様は段階2(前焼き)を省略することができる。その態様または他の類似の態様は、段階3(b)(水による濯ぎ)および/または段階4(b)(水による濯ぎ)などを省略することができる。更なる別態様においては、“版仕上げ剤の適用”である段階3(c)が含む場合がある。
【0077】
このように、本発明の方法のより大きな実用性は明確であり、該装置をスケールダウンすることに関して生ずる対応する利点は図1および図2から明らかである。
【0078】
図1は、熱的に画像形成されたネガ型画像形成材料を調製するために使用される従来の製造ラインの一部を示している。図2は、図1と同一の縮尺で描かれた、例えば本発明の第1の態様に係る装置において採用可能な後処理ユニットを示している。
【0079】
典型的に平版印刷版の現像に使用される図1を考察すると、現像液を含む現像機2に画像形成された版を送給するコンベア区画1が示されており、上記版の現像は、濯ぎユニット3と版仕上げ剤を含むプロセス処理器4とを通過するに先立ち行われる。少ない印刷部数に対して使用される印刷版は、この箇所にて上記ラインから取り出され、後焼きを受けない。しかし、更に多い印刷部数を実施することが必要であり且つ後焼き処理を必要とする版は、濯ぎユニット5を通り進行し続き、ここでは保護用ゴムまたはいわゆる“前焼き溶液(pre-bake solution)”が適用されるプロセス処理器6に進入する前に、版仕上げ剤を除去する。
【0080】
上記版は次に加熱炉7内で焼かれ、その後に濯ぎユニット8においては保護用ゴムが除去されると共に、プロセス処理器9を通過することにより再び版仕上げ剤が適用され、最終的な印刷版はスタッカ10内に集められる。明らかに、現像の後に版仕上げ剤が適用されるが、後焼きに先立ち保護用ゴムが適用され得るために該版仕上げ剤は結果的には除去されるという上記版に対するこの後焼きプロセス処理の区画は、時間および材料の無駄を呈する。しかし、この様にすると、少ないの印刷部数用の版(後焼き無し)から多いの印刷部数用の版(後焼き有り)へと製造ラインが変更される場合は、常にまたは時折に行われる該製造ラインの再配置と比較すれば、コストが更に低くすることができる。
【0081】
次に、図2および図3に示された態様を参照すると、現像後処理ユニット1が示され、画像形成されて現像された版Pは一個以上の赤外線ランプLを介して赤外線に対して露光されてから、例えば、水により濯がれて最終的に版仕上げ剤により処理されることができる。このユニットは現像機および濯ぎユニット(図1における2および3など)の下流で、かつスタッカ(図1における10など)の上流に配置することができ、そのときの得られる組み合わせは、図1の冗長な現像ラインにより提供される場合と同様に好ましい印刷部数結果を提供する役割を果たす。上記したように、その組み合わせは公知の方法および装置において使用される、時間が掛かり且つ不経済なひとつ以上の段階および構造を排除することができる。
【0082】
本発明の処理を利用するために、他のインラインおよびオフライン配置構成を用いることができる。更に図4は胴Cを示しており、該胴の回りには印刷版を配置することができ、該胴の近傍には、本発明に係る上記印刷版を処理するために一個以上の赤外線ランプLを配置することができる。この態様またはその変形例は、例えば、印刷機上(オンプレス)での現像および処理と組み合わせて使用することができる。すなわち、オンプレスで現像される印刷版もまた、本発明に従い印刷機上で処理されることができる。そのような配置構成は、(例えば、水、インクなどの)印刷液体により版を現像する段階と、その液をスクイズし、もしくは乾燥除去(または転写除去を許容)する段階と、現像された上記版をその後に処理する段階とを包含することができる。これらの手法に関しては、更なる変形例が想起される。上記の結果として本発明の態様は、(本発明の方法の一部として)公知の印刷機上での現像段階と、(上記装置の一部として)公知の印刷機とを包含することができる。
【0083】
本発明は上記各態様に関して記述されたが、当業者であれば、発明の有効範囲から逸脱せずに記述態様に対しては種々の修正、変更、組み合わせおよび改変が為され得ることは明らかであろう。例えば、上述されたひとつ以上の方法、方法段階、装置および装置構造は、組み合わされることで更に少ない方法、段階、装置または構造とされ、または、分解されることで更に多い方法、段階、装置または構造とされ得る。開示された態様は、例示的にのみ提供される。
【0084】
例えば、現像された版を、加熱されたプラテン、ローラまたはベルト上を進行させることで、該版に対して熱を与ることができる。他の伝導的な加熱手法(または対流的もしくは輻射的な加熱手法)が採用してもよい。これらの代替的な加熱手法は、IRランプにより提供される熱と組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、熱的に画像形成されるネガ型画像形成材料のような画像形成材料を画像形成、現像、そして後焼きする公知の製造ラインの概略図である。
【図2】図2は、主として赤外線を用いて画像形成材料を後処理する本発明の態様の概略図である。
【図3】図3は、一連の赤外線ランプの下を運ばれる画像形成材料を含む図2に示された本発明の態様の内部の概略図である。
【図4】図4は、胴上に取付けられた印刷版に光を浴びせるべく赤外線ランプが配置された本発明の別の態様の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像済み画像形成材料の露光済み領域に対して赤外線を当てることを含んで成る、画像形成材料上の画像の耐久性を改善する方法。
【請求項2】
前記現像済み画像形成材料が、現像済み印刷版を含み、そして、
前記画像形成材料の耐久性の改善によって、前記印刷版の印刷部数を多くさせる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記印刷版を像様に露光して露光済み印刷版を形成すること、
前記露光済み印刷版を現像して前記現像済み印刷版を提供することを更に含んで成る、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記赤外線を当てる段階および現像段階の少なくとも一方が印刷機外で実施される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記赤外線を当てる段階および現像段階の少なくとも一方が印刷機上で実施される、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記赤外線を当てる段階が、前記現像済み印刷版に赤外線を浴びせる段階、および、前記現像済み印刷版上に赤外線をラスタ走査させる段階の少なくとも一方を含んで成る、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記赤外線を当てる段階が、前記現像済み印刷版の近傍に赤外線ランプを配置する段階を含み、前記赤外線ランプが、約780nm〜約1,400nmの波長を有する赤外線を発する、請求項2記載の方法。
【請求項8】
前記赤外線ランプが、約800nm〜約850nmの範囲の波長を有する赤外線を発する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記赤外線を当てる段階が、前記現像済み印刷版を約140℃〜約160℃の範囲の温度まで加熱する、請求項2記載の方法。
【請求項10】
前記赤外線を当てる段階が、約15秒〜約25秒にわたり前記現像済み印刷版に投射させて赤外線を当てる段階を含む、請求項2記載の方法。
【請求項11】
前記印刷版を現像する前に当該印刷版を加熱する段階と、
前記印刷版を現像する前に当該印刷版を冷却する段階と、
前記現像済み印刷版を濯ぐ段階と、
前記現像済み印刷版に仕上げ剤を適用する段階と
を更に含んで成る、
請求項2記載の方法。
【請求項12】
前記現像済み印刷版が、熱的に画像形成可能なネガ型平版印刷版を含む、請求項2記載の方法。
【請求項13】
赤外線源の近傍であるときの露光済み材料の滞留時間、画像形成受容材料から赤外線源までの距離、および前記赤外線源の出力の内の少なくともひとつを制御することにより前記現像済み印刷版の加熱を制御する段階を更に含んで成る、請求項2記載の方法。
【請求項14】
前記現像済み画像形成材料が、現像済みレジストを含み、そして、
前記方法が、
前記レジストを像様に露光して露光済みレジストを形成する段階と、
前記露光済みレジストをエッチングして前記現像済みレジストを形成する段階と
を更に含んで成る、
請求項1記載の方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法により調製された画像形成材料。
【請求項16】
請求項2記載の方法により調製されたネガ型印刷版。
【請求項17】
請求項14記載の方法により調製されたレジスト。
【請求項18】
請求項1記載の方法を使用する装置。
【請求項19】
(a)画像形成デバイスと、
(b)随意選択的なベーキングオーブンと、
(c)現像機と、
(d)現像後処理ユニットと、
を含む画像形成された材料の製造装置において、
前記現像後処理ユニットが、前記画像の耐久性または強靱性を改善するために、前記画像形成された材料を加熱するのに適合した赤外線源を有するユニットを含むことを特徴とする製造装置。
【請求項20】
約780nm〜約1,400nmの範囲の赤外線を発する赤外線ランプを含む、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
前記画像形成材料が、印刷版を含み、そして、
前記装置が、前記印刷版を像様に露光する画像形成デバイスと、前記印刷版を現像する現像機とを更に含んで成る請求項18または19に記載の装置。
【請求項22】
前記画像形成材料が、印刷版を含み、そして、
前記装置が、印刷機を更に含んで成る、請求項18または19に記載の装置。
【請求項23】
冷却デバイス、濯ぎ液アプリケータおよび仕上げ剤アプリケータの内の少なくともひとつを更に含んで成る、請求項18または19に記載の装置。
【請求項24】
前記画像形成材料が、レジストを含み、そして、
前記装置が、前記レジストを像様に露光する画像形成デバイスと、前記レジストをエッチングする現像機とを更に含んで成る、請求項18または19に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−515307(P2007−515307A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507491(P2005−507491)
【出願日】平成15年7月17日(2003.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007797
【国際公開番号】WO2005/015318
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(505316060)コダック ポリクロウム グラフィクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (16)
【Fターム(参考)】