説明

画像形成装置および加熱装置

【課題】用紙上のトナー画像における光沢ムラ(光沢段差)の発生を防止することが可能な画像形成装置および加熱装置を提供する。
【解決手段】トナー像が加熱定着された用紙S1を加熱するサーマルヘッド20と、用紙S1の搬送方向における温度分布を検出する温度センサ25により検出された温度分布に基づいて、用紙S1を加熱するようにサーマルヘッド20を制御する制御部19とを備えている。これにより、定着部16が備える定着ベルトの周長が用紙S1の搬送方向長さより短い場合、定着ベルトの同一ポイントが用紙の同一面上を2度通過しても、用紙S1上において定着ベルトの1周目に係る領域と2周目に係る領域との間における温度差が小さくなり、用紙S1上のトナー画像に光沢ムラが発生することを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスにより形成された画像における光沢ムラの発生を防止する画像形成装置および加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真プロセスにより画像を形成する画像形成装置では、像担持体(感光ドラム等)の表面が所定の電位に帯電され、これに画像露光が施されて静電潜像が形成される。そして、この感光ドラム表面の潜像が現像手段により現像剤(トナー)を用いて現像され、トナー画像として可視化される。得られたトナー画像が感光ドラムに搬送された用紙に転写され、トナー画像を担持した用紙が定着装置に搬送され、定着装置により用紙上の未定着トナー画像が加熱定着されて、用紙上に画像が形成される。
【0003】
画像形成装置に関する技術として、トナー像転写直後の転写材を定着処理に先だって、予め所定の温度にまで加熱する(いわゆる予備加熱する)ことにより、熱容量の比較的小さな熱ローラによってもトナー像の定着をできるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。さらに、転写材の種類・サイズまたは光沢画像の要否等に応じて、予備加熱の条件を自由に選択できるようにした技術も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−146393号公報
【特許文献2】特開平9−160408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、定着ベルトの周長が用紙の搬送方向長さより短い場合、定着ベルトの同一ポイントが用紙の同一面上を2度通過する。この場合、用紙が定着ベルトの1周目と接触することによって奪われた当該定着ベルトの熱が2周目までに回復することができず、1周目と2周目との間において温度差(定着ベルトの表面温度の温度差)が生じる。この温度差が大きいと、定着ベルトから用紙への供給熱量が1周目と2周目との間において変化してしまうため、用紙上のトナー画像において光沢ムラ(光沢段差、以下同じ)が発生するという問題があった。
【0006】
本発明は、用紙上のトナー画像における光沢ムラの発生を防止することが可能な画像形成装置および加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、トナー像が加熱定着された用紙を加熱する加熱部と、
前記用紙の搬送方向における温度分布を検出する温度検出部により検出された温度分布に基づいて、前記用紙を加熱するように前記加熱部を制御する制御部とを備えている。
【0008】
また、本発明に係る加熱装置は、トナー像が加熱定着された用紙を加熱する加熱部と、
前記用紙の搬送方向における温度分布を検出する温度検出部により検出された温度分布に基づいて、前記用紙を加熱するように前記加熱部を制御する制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙上のトナー画像における光沢ムラの発生を防止することが可能な画像形成装置および加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施の形態を示す画像形成システムの縦断面図である。
【図2】本発明に係る実施の形態を示す画像形成装置の制御ブロック図である。
【図3】本発明に係る実施の形態を示す画像形成装置の動作例を説明する図である。
【図4】本発明に係る実施の形態を示す画像形成システムの変形例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置10と、後処理装置21とを備えて構成されている。画像形成装置10は、電子写真プロセスにより用紙に画像を形成する。後処理装置21は、画像形成装置10の用紙の搬送方向において下流側に配置され、画像が形成された用紙に対して後処理を施す。後処理としては、ステープルを用いた綴じ処理、折り処理等がある。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置10は、自動原稿送り装置(ADF)11、原稿読取部12、画像処理部13、画像書込部14、画像形成部15、定着部16、用紙搬送部17、操作表示部18、制御部19および加熱部として機能するサーマルヘッド20を有する。なお、制御部19およびサーマルヘッド20は、加熱装置として機能する。
【0013】
操作表示部18は、タッチパネル式の画面を有する。ユーザが行う各種の指示および設定のための入力操作は、タッチパネル式の画面を介して行うことができる。これら指示・設定の情報は、ジョブ情報として制御部19により扱われる。ジョブ情報としては、用紙サイズ、プリント枚数、必要な後処理、および1冊あたりの用紙枚数(綴じ処理を行う場合)等がある。なお、後処理装置21の後処理動作に関連するジョブ情報は、画像形成装置10から後処理装置21に転送される。
【0014】
制御部19は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置を有しており、CPUで所定の制御プログラムを実行することにより、画像形成装置10の制御を行う。制御部19は、操作表示部18により入力されたジョブ情報に従って画像形成装置10の画像形成動作を制御する。
【0015】
原稿読取部12は、コンタクトガラス上に搬送された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサの受光面上に結像させ、原稿を読み取る。なお、コンタクトガラス上への原稿の搬送は、ADF11により行われるが、手作業で原稿をコンタクトガラス上に載置する場合もある。
【0016】
画像処理部13は、アナログディジタル(A/D)変換処理を行う回路およびディジタル画像処理を行う回路を含む。画像処理部13は、原稿読取部12のCCDセンサにより取得されたアナログ画像信号から、A/D変換処理によりディジタル画像データを生成して画像書込部14に出力する。
【0017】
画像書込部14は、画像処理部13により生成されたディジタル画像データに基づいてレーザー光を発光し、当該発光したレーザー光を、画像形成部15の感光体ドラムに照射することにより、感光体ドラム上に静電潜像を形成する(露光工程)。
【0018】
画像形成部15は、上記の露光工程に加え、露光工程前に行われる帯電工程、露光工程後に行われる現像工程、現像工程後の転写工程および転写工程後のクリーニング工程をそれぞれ実行するための構成を備えている。帯電工程では、画像形成部15は、帯電装置からのコロナ放電により、感光体ドラム表面を一様に帯電させる。現像工程では、画像形成部15は、現像装置内の現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム上の静電潜像に付着させることにより、感光体ドラム上にトナー像を形成する。
【0019】
転写工程では、画像形成部15は、転写装置からのコロナ放電により、感光体ドラム上のトナー像を、用紙搬送部17により搬送された用紙S1に転写する。クリーニング工程では、画像形成部15は、ブラシ等のクリーニング装置を感光体ドラムに接触させることにより、転写工程後の感光体ドラムに残留しているトナーを除去する。
【0020】
定着部16は、加熱ローラ、定着ローラ、無端状の定着ベルトおよび加圧ローラを備えて構成されている。加熱ローラおよび定着ローラは、所定の距離離間して配置されている。加熱ローラおよび定着ローラの間には、定着ベルトが掛け渡されている。加圧ローラは、定着ベルトと定着ローラとが接触している領域において定着ベルトと圧接した状態で配置されている。定着ベルトと加圧ローラとの圧接部にはニップ部が形成されている。定着部16は、ニップ部に導入された用紙S1上のトナー像に熱および圧力を加えること(加熱定着)により、トナー像を用紙S1に定着させる(定着工程)。この結果、用紙S1上には定着トナー像が形成される。
【0021】
サーマルヘッド20は、用紙S1の搬送方向において定着部16の下流側に配置され、用紙S1の幅方向(用紙S1の搬送方向と直交する方向)に直線状に配置された複数の発熱体を有する。複数の発熱体は、例えば300[dpi(dot per inch)]の密度で配置される。サーマルヘッド20は、制御部19の制御を受けて、定着部16によりトナー像が加熱定着された用紙S1を加熱する。
【0022】
なお、サーマルヘッド20は、用紙S1の種類に応じてトナー像の定着性が異なるため、用紙S1を加熱する際の供給熱量を変えるようにするのが好ましい。例えば、用紙S1が熱容量の大きい厚紙等である場合、サーマルヘッド20は、高い供給熱量で用紙S1を加熱する。一方、用紙S1が熱容量の小さい薄紙等である場合、サーマルヘッド20は、低い供給熱量で用紙S1を加熱する。
【0023】
制御部19は、定着部16により加熱定着された用紙S1を加熱するようにサーマルヘッド20を制御する。なお、制御部19による具体的な制御動作については、図2を用いて後述する。
【0024】
サーマルヘッド20により加熱された用紙S1は、画像形成装置10の外部に排出され、後処理装置21の内部に導入される。
【0025】
図1に示すように、後処理装置21は、用紙搬送路H0、H1、H2、固定排紙皿22a、昇降排紙台22b、後処理部23および制御部24を備えて構成されている。なお、制御部24の一部または全部の機能を画像形成装置10の制御部19に組み込むように構成しても良い。
【0026】
制御部24は、CPU等の演算装置を有しており、CPUで所定の制御プログラムを実行することにより、後処理装置21の制御を行う。制御部24は、画像形成装置10の画像形成動作に連動する後処理装置21の後処理動作を、画像形成装置10から転送されたジョブ情報に従って制御する。
【0027】
用紙搬送路H0は、画像形成装置10から排出された用紙S1を後処理装置21の内部に導入するために、画像形成装置10の排紙部に対向配置された入口部を有する用紙搬送路である。用紙搬送路H0は、その出口部にて用紙搬送路H1、H2に分岐する。
【0028】
用紙搬送路H1は、後処理の対象とならない用紙S1を搬送して固定排紙皿22aに排出する排紙路である。用紙搬送路H2は、後処理の対象となる用紙S1を搬送して後処理部23に供給する用紙搬送路である。
【0029】
後処理部23は、用紙S1に対して平綴じ処理を行うよう構成されている。より具体的には、後処理部23は、用紙S1を積載して用紙束を形成し、この用紙束に対し平綴じ処理を行って冊子を形成し、この冊子を昇降排紙台22bに排出する。図1に示すように、昇降排紙台22bは用紙搬送方向における下流側が上向きに傾斜しており、冊子は傾斜して積載される。また昇降排紙台22bは、冊子が排出される毎に下降して大量の冊子を積載することができる。
【0030】
次に、図2を参照して、画像形成装置10の制御ブロック図について説明する。図2に示すように、画像形成装置10は、定着部16、制御部19、サーマルヘッド20、温度検出部として機能する温度センサ25、タイミングセンサ26および加圧ローラ27を備えて構成されている。
【0031】
温度センサ25は、定着部16における用紙搬送方向(図2の矢印方向)下流側でサーマルヘッド20との間に配置され、かつ、用紙S1の幅方向における中央位置に配置されている。温度センサ25は、用紙S1の搬送方向(図2の矢印方向)における温度を所定時間毎に検出する。すなわち、用紙S1の搬送方向において複数点の温度分布を求める。そして、温度センサ25は、検出した温度および当該検出した時間を制御部19に出力する。
【0032】
タイミングセンサ26は、用紙S1の搬送方向において温度センサ25から距離Lだけ離間した位置に配置される。タイミングセンサ26は、発光部と受光部とを備える。タイミングセンサ26は、光学的に用紙S1の搬送方向における先端部の通過を検知する。タイミングセンサ26は、用紙S1の搬送方向における先端部の通過を検知した場合、その旨を制御部19に通知する。
【0033】
加圧ローラ27は、サーマルヘッド20と圧接した状態で配置されている。サーマルヘッド20と加圧ローラ27との圧接部にはニップ部が形成されている。このニップ部に導入された用紙S1上のトナー像は、サーマルヘッド20および加圧ローラ27により熱および圧力が加えられる。
【0034】
制御部19は、CPU30、ROM(Read Only Memory)31、RAM(Random Access Memory)32およびサーマル駆動部33を備えて構成されている。
【0035】
CPU30は、ROM31に格納されているシステムプログラムおよび各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAM32に展開し、RAM32に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置10の各部を制御する。
【0036】
CPU30は、タイミングセンサ26からの通知と、温度センサ25から出力された温度および時間とに基づいて、用紙S1の搬送方向における位置に対応する温度を特定する。具体的には、CPU30は、タイミングセンサ26から通知を受けた時間(用紙S1の搬送方向における先端部の通過時間)から、温度センサ25、タイミングセンサ26の間の距離Lを用紙S1の搬送速度で除算した値(時間)を減算した時間を求める。この時間は、用紙S1の搬送方向における先端部が温度センサ25により温度を検出された時間となる。この時間を基準にして、CPU30は、温度センサ25から出力された温度および時間と、用紙S1の搬送速度とに基づいて、用紙S1の搬送方向における(先端部からの)各位置に対応する温度を特定する。
【0037】
CPU30は、用紙S1の搬送方向における(先端部からの)位置に対応する温度を特定し、当該特定した温度が所定温度未満の位置を加熱するための制御信号を生成してサーマル駆動部33に出力する。この場合、CPU30は、温度センサ25により検出された温度に基づいて、所定温度以上の位置との温度差を打ち消すように用紙S1を加熱する際の供給熱量を決定し、決定した供給熱量を当該制御信号に含める。
【0038】
ROM31は、CPU30により実行される各種プログラムを記憶する。RAM32は、揮発性のメモリであって、CPU30により実行される各種プログラムやこれら各種プログラムに係るデータ等を格納するワークエリアを有し、その情報を一時的に記憶する。
【0039】
サーマル駆動部33は、CPU30から出力される制御信号を受けて、サーマルヘッド20の駆動を制御する。具体的には、サーマル駆動部33は、定着部16によりトナー像が定着された用紙S1(図2では、矢印方向に搬送中の用紙)において所定温度未満の位置を、制御信号に含まれる供給熱量で加熱するように制御する。
【0040】
図3(a)に示すように、サーマル駆動部33は、用紙S1がサーマルヘッド20を矢印方向(搬送方向)に通過する際、用紙S1上において定着ベルトの2周目に係る領域Bを加熱するようにサーマルヘッド20を制御する。領域Bは、用紙S1が定着ベルトの1周目と接触することによって奪われた当該定着ベルトの熱が2周目までに回復することができず、定着部16によりトナー像が定着される際の定着温度が所定温度未満の領域である。
【0041】
具体的には、サーマル駆動部33は、温度センサ25により検出された温度が所定温度未満の位置(用紙S1上において定着ベルトの1周目に係る領域Aと2周目に係る領域Bとの境の位置)から用紙S1の搬送方向における後端位置までの領域を領域Bとして特定する。そして、サーマル駆動部33は、用紙S1の搬送速度を考慮しながら、用紙S1の領域Bがサーマルヘッド20を通過するタイミングで用紙S1上に定着されたトナー像を加熱させる。
【0042】
図3(b)は、サーマルヘッド20が用紙S1上に定着されたトナー像を加熱する場合、用紙S1の搬送方向における先端からの距離と、加熱の際における供給熱量との関係を示す図である。図3(b)に示すように、サーマル駆動部33は、用紙S1上において定着ベルトの1周目に係る領域Aから2周目に係る領域Bに切り替わるタイミング(切替タイミング)で供給熱量が大きくなるようにサーマルヘッド20を制御する。なお、用紙S1上において定着ベルトの1周目に係る領域A(定着温度が所定温度以上の領域)に対しても熱量を供給しているのは、定着ベルトの2周目に係る領域Bで大きな熱量を供給するための加熱準備(ウォームアップ処理)が必要だからである。
【0043】
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、トナー像が加熱定着された用紙S1を加熱するサーマルヘッド20と、用紙S1の搬送方向における温度分布を検出する温度センサ25により検出された温度分布に基づいて、用紙S1の搬送方向における位置に応じて用紙S1を加熱するようにサーマルヘッド20を制御する制御部19とを備えている。このように構成した本実施の形態によれば、用紙S1上において定着ベルトの1周目に係る領域Aと2周目に係る領域Bとの間における光沢差が小さくなり、用紙S1上のトナー画像に光沢ムラが発生することを防止することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、温度センサ25により検出された温度に基づいて、用紙S1を加熱する際の供給熱量を決定している。これにより、定着ベルトの1周目に係る領域Aと2周目に係る領域Bとの間における光沢差が0(ゼロ)になるように加熱されるため、用紙S1上のトナー画像において光沢ムラが発生することを確実に防止することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、用紙S1を再加熱する手段として、短い時間で加熱温度に達し、供給熱量の制御が高精度で行えるサーマルヘッド20を採用している。これにより、所望の位置に必要な分だけ選択的に加熱する処理を高精度で行うことができる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、用紙S1上に定着されたトナー像を加熱する手段としてサーマルヘッド20を用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。要は、用紙S1の任意の領域を加熱するように制御可能な複数の発熱体を有するものであれば何でも良い。
【0047】
また、上記実施の形態では、温度センサ25により検出された温度に基づいて、用紙S1を加熱する際の供給熱量を決定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、温度センサ25により検出された温度に関係なく、用紙S1を加熱する際の供給熱量を一定にする(つまり、加熱するか否かのオンオフ制御)ようにしても良い。ただし、定着ベルトの1周目に係る領域Aと2周目に係る領域Bとの間における温度差を限りなく小さくして光沢ムラの発生を確実に防止する観点からは、温度センサ25により検出された温度に基づいて、用紙S1を加熱する際の供給熱量をその都度決定する方が好ましい。
【0048】
また、上記実施の形態では、温度センサ25は、用紙S1の搬送方向における温度分布を検出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、温度センサ25は、用紙S1の搬送方向における温度分布に加えて、用紙S1の幅方向における温度分布を検出するようにしても良い。この場合、温度センサ25は、用紙S1の幅方向における中央位置以外に両端位置にも対向するように配置される。そして、用紙S1の温度分布を3点で検出する。CPU30は、温度センサ25により検出された3点の温度間の温度勾配を算出し、算出した温度勾配に基づいて、用紙S1を加熱する際の供給熱量を幅方向で変えるようにサーマルヘッド20を制御する。これにより、様々な種類の用紙S1が定着部16により加熱定着されることにより用紙S1の幅方向における温度分布が均一とならない場合であっても、温度センサ25により検出された3点の温度勾配を打ち消すように加熱することができる。それゆえ、用紙S1上のトナー画像において光沢ムラが用紙S1の幅方向に発生することを防止することができる。なお、用紙S1の幅方向における温度分布がより均一となるように加熱する観点から、用紙S1の幅方向においてサーマルヘッド20が有する発熱体に対応する数だけ温度センサ25を配置するのが好ましい。この場合、CPU30は、温度センサ25により検出された各温度間の温度勾配を算出する処理を行う必要がなくなる。
【0049】
また、上記実施の形態では、定着ベルトの1周目に係る領域Aと2周目に係る領域Bとの間における温度差が小さくなるように加熱する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。定着ベルトの周長が用紙S1の搬送方向長さよりかなり短い場合、定着ベルトの同一ポイントが用紙の同一面上を3度通過するときもある。このとき、用紙S1が定着ベルトの2周目と接触することによって奪われた当該定着ベルトの熱が3周目までに回復することができず、1周目と2周目との間と同様に、2周目と3周目との間において温度差(定着ベルトの表面温度の温度差)が生じる。この温度差が大きいと、用紙上のトナー画像において光沢ムラが発生する。このような状況においても、定着ベルトの2周目に係る領域と3周目に係る領域との間における温度差が小さくなるように用紙S1を加熱することによって、用紙S1上のトナー画像において2周目と3周目との間に光沢ムラが発生することを防止することができる。なお、用紙S1において、定着ベルトの2周目に係る領域よりも3周目に係る領域の方が(定着ベルトと接触する前に定着ベルトの熱が多く奪われている分だけ)温度が低くなっている。そのため、定着ベルトの3周目に係る領域に対しては、定着ベルトの2周目に係る領域よりも高い供給熱量で加熱する必要がある。
【0050】
また、上記実施の形態では、サーマルヘッド20は用紙S1の搬送方向において定着部16の下流側、すなわち画像形成装置10内に配置する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図4に示すように、サーマルヘッド20を、後処理装置21内の用紙搬送路H0上における出口部の前に配置するようにしても良い。この場合、サーマルヘッド20は、制御部19の制御を受けて、定着部16によりトナー像が定着された用紙S1を加熱する。
【0051】
また、上記実施の形態において、画像形成装置10は、ADF11によりコンタクトガラス上に搬送された原稿に対応するデジタル画像データに基づいて用紙S1に画像を形成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、画像形成装置10は、図示しない通信部を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピュータ)から送信されたデジタル画像データを受信し、当該受信したデジタル画像データに基づいて用紙S1に画像を形成しても良い。
【0052】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
11 自動原稿送り装置(ADF)
12 原稿読取部
13 画像処理部
14 画像書込部
15 画像形成部
16 定着部
17 用紙搬送部
18 操作表示部
19 制御部
20 サーマルヘッド
21 後処理装置
22a 固定排紙皿
22b 昇降排紙台
23 後処理部
24 制御部
25 温度センサ
26 タイミングセンサ
27 加圧ローラ
30 CPU
31 ROM
32 RAM
33 サーマル駆動部
H0,H1,H2 用紙搬送路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が加熱定着された用紙を加熱する加熱部と、
前記用紙の搬送方向における温度分布を検出する温度検出部により検出された温度分布に基づいて、前記用紙を加熱するように前記加熱部を制御する制御部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記温度検出部は、前記用紙の搬送方向における温度分布に加えて、前記用紙の幅方向における温度分布を検出する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度検出部により検出された温度に基づいて、前記用紙を加熱する際の供給熱量を決定する請求項1または2の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記加熱部は、前記用紙の幅方向に配列された複数の発熱体を有するサーマルヘッドである請求項1〜3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
トナー像が加熱定着された用紙を加熱する加熱部と、
前記用紙の搬送方向における温度分布を検出する温度検出部により検出された温度分布に基づいて、前記用紙を加熱するように前記加熱部を制御する制御部とを備えた加熱装置。
【請求項6】
前記温度検出部は、前記用紙の搬送方向における温度分布に加えて、前記用紙の幅方向における温度分布を検出する請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記温度検出部により検出された温度分布に基づいて、前記用紙を加熱する際の供給熱量を決定する請求項5または6の何れか1項に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記加熱部は、前記用紙の幅方向に配列された複数の発熱体を有するサーマルヘッドである請求項5〜7の何れか1項に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記加熱部は、前記用紙に対して所定の後処理を行う後処理装置内に設けられている請求項5〜8の何れか1項に記載の加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−92719(P2013−92719A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235945(P2011−235945)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】