説明

画像形成装置

【課題】印刷可能な画像形成装置の小型化を図る。
【解決手段】用紙カセット12は、用紙Pが積載され、用紙Pのサイズに応じて、水平方向に伸縮可能に構成されている。排紙トレイ24は、印刷後の用紙Pが積載される。搬送ローラ対16a〜16cは、用紙カセット12から排紙トレイ24へと向かう搬送経路R1に沿って、用紙Pを搬送する。画像形成部18及び定着部20は、搬送経路R1上に設けられ、用紙Pに画像を印刷する。反転ローラ対26a,26bは、反転経路R2上に設けられ、画像形成部18及び定着部20により画像が印刷された用紙Pを、表裏を反転させて搬送経路R1の画像形成部18の上流側に進入させる。カバー32は、反転経路R2を格納しており、背面側に移動することにより、反転経路R2を長くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より特定的には、両面印刷のための反転経路を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、用紙の両面に画像を形成することができるものが存在する。以下に、図面を参照しながら該画像形成装置について説明する。図5は、画像形成装置100の構成図である。
【0003】
図5(a)に示すように、画像形成装置100は、用紙カセット102、給紙ローラ対104、搬送ローラ対106a〜106c、画像形成部108、定着部110、排紙ローラ対111、排紙トレイ112及び反転ローラ対114a,114bを備えている。また、画像形成装置100には、搬送経路R11及び反転経路R12が設けられている。
【0004】
用紙カセット102は、複数枚の用紙Pを積載状態で格納している。給紙ローラ対104は、用紙カセット102に格納されている用紙Pを一枚ずつ搬送する。搬送ローラ対106a〜106cは、搬送経路R11上に設けられており、用紙Pを搬送する。画像形成部108は、搬送経路R11上に設けられており、用紙Pに対してトナー画像を転写する。定着部110は、用紙Pに対して加熱・加圧処理を施して、トナー画像を該用紙Pに対して定着させる。排紙ローラ対111は、印刷が終了した用紙Pを矢印aの方向に搬送して、排紙トレイ112へと排出する。
【0005】
反転経路R12は、排紙ローラ対111と搬送ローラ対106cとの間に設けられている。排紙ローラ対111は、用紙Pの裏面に画像が印刷される場合には、用紙Pの排出時とは反対方向に回転させられて、用紙Pを矢印bの方向に搬送して、用紙Pを反転経路R12に進入させる。反転ローラ対114a,114bは、反転経路R12上に設けられており、用紙P2を搬送経路R11へと搬送する。これにより、反転経路R12を通過した用紙Pの表裏が反転させられる。
【0006】
ところで、用紙P1,P2に対して連続して両面印刷される場合には、以下に説明するように用紙P1,P2は搬送される。より詳細には、図5(a)に示すように、表面に画像が印刷された用紙P1は、排紙ローラ対111により、矢印bの方向に搬送されて、反転経路R12に搬送される。これにより、用紙P1は、図5(b)に示すように、反転経路R12内に収まる。この際、給紙ローラ対104及び搬送ローラ対106a,106b,106cは、新たな用紙P2を搬送する。併せて、画像形成部108及び定着部110は、用紙P2に対して画像を印刷する。
【0007】
次に、排紙ローラ対111は、用紙P2を、矢印bの方向に搬送し、反転経路R12に搬送する。これにより、搬送経路R11には、用紙P1が存在しなくなる。そこで、反転ローラ対114a,114bは、用紙P1を搬送し、搬送経路R11へと進入させる。これにより、用紙P1の裏面に画像が印刷される。すなわち、画像形成装置100では、用紙P1の表面の印刷、用紙P2の表面の印刷、用紙P1の裏面の印刷、用紙P2の裏面の印刷のように、用紙P1と用紙P2の印刷が交互に行われる。
【0008】
しかしながら、画像形成装置100では、用紙P1,P2の長さが反転経路よりも長い場合には、用紙P1,P2に対して連続して両面印刷する際に、印刷速度が低下してしまうという問題があった。より詳細には、図5(c)に示すように、用紙P1の長さが反転経路R12よりも長い場合には、用紙P1は、反転経路R12から搬送経路R11にはみ出してしまう。そのため、用紙P2は、搬送経路R11の搬送ローラ対106cよりも先に進入することができない。したがって、画像形成装置100では、用紙P1の裏面の印刷が終了するまで、用紙P2の画像の印刷が開始されない。よって、画像形成装置100において、印刷速度が大きく低下してしまう。そのため、印刷速度を向上させるには、画像形成装置100の反転経路R12を用紙P1よりも長くする必要がある。ところが、反転経路R12が用紙P1よりも長くなると、画像形成装置100が大型化してしまう。
【0009】
そこで、特許文献1に記載の両面画像形成装置が知られている。両面画像形成装置では、反転経路の長さを変更することができる。より詳細には、両面画像形成装置では、相対的に長い用紙Pに画像が印刷される場合には、反転経路が相対的に長くなるように制御される。一方、相対的に短い用紙Pに画像が印刷される場合には、反転経路が相対的に短くなるように制御される。
【0010】
しかしながら、前記両面画像形成装置は、印刷可能な最大のサイズの用紙を格納できる用紙カセットを備えている必要がある。そのため、両面画像形成装置において、印刷可能な用紙のサイズが大型化することにより用紙カセットが大型化していた。このような、用紙カセットの大型化は、装置の小型化を阻害していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−33236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の目的は、両面印刷可能な画像形成装置の小型化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、印刷媒体が積載される第1の格納部であって、該印刷媒体のサイズに応じて伸縮可能な第1の格納部と、印刷後の前記印刷媒体が積載される第2の格納部と、前記第1の格納部から前記第2の格納部へと向かう搬送経路に沿って、前記印刷媒体を搬送する第1の搬送手段と、前記搬送経路上に設けられ、前記印刷媒体に画像を印刷する印刷手段と、前記印刷手段により画像が印刷された前記印刷媒体を、表裏を反転させて前記搬送経路の該印刷手段の上流側に進入させるための反転経路に沿って、該印刷媒体を搬送する第2の搬送手段と、前記反転経路の長さを変更する変更手段と、を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、両面印刷可能な画像形成装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】反転経路が延ばされたときの画像形成装置の構成図である。
【図3】反転部の詳細な構成を示した図である。
【図4】図1及び図2のCの部分の拡大図であり、連動機構の構成を示した図である。
【図5】従来の画像形成装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置10の構成図である。図1において、左側を前面と定義し、右側を背面と定義する。
【0017】
画像形成装置10は、図1に示すように、本体10a及び反転部10bを備えている。本体10aは、用紙カセット12、給紙ローラ対14、搬送ローラ対16a〜16c、画像形成部18、定着部20、排紙ローラ対22、排紙トレイ24及びレール30を備えている。また、本体10aには、搬送経路R1が設けられている。
【0018】
用紙カセット12は、画像形成装置10の底部に設けられており、印刷前の複数枚の用紙(印刷媒体)Pを積載状態で格納する。用紙カセット12に格納されている用紙Pは、いわゆる平積み状態で積載されている。排紙トレイ24は、印刷後の用紙Pが積載される。搬送経路R1は、用紙カセット12から排紙トレイ24へと向かう用紙Pの通り道である。以下では、搬送経路R1の上流側とは、用紙カセット12側を示し、搬送経路R1の下流側とは、排紙トレイ24側を示す。
【0019】
給紙ローラ対14は、搬送経路R1の始端近傍に設けられ、用紙カセット12に格納されている用紙Pを一枚ずつ取り出して、搬送経路R1へと搬送する。給紙ローラ対14は、用紙Pよりも前面側に設けられており、用紙Pの前面側の端部を前端として該用紙Pを搬送する。搬送ローラ対16a〜16cは、搬送経路R1上において画像形成部18及び定着部20よりも上流側に設けられ、搬送経路R1に沿って、用紙Pを搬送する。
【0020】
画像形成部18は、搬送経路R1上に設けられ、用紙Pの前面側の主面に対してトナー画像を転写する。なお、トナー画像の形成及び転写は、一般的なトナー画像の形成及び転写と同じであるので、説明を省略する。定着部20は、用紙Pに対して加熱・加圧処理を施すことにより、用紙Pにトナー画像を定着させる。これにより、用紙Pには、画像が印刷される。すなわち、画像形成部18及び定着部20は、用紙Pに画像を印刷する印刷手段として機能している。
【0021】
排紙ローラ対22は、搬送経路R1の終端近傍に設けられ、画像が印刷された用紙Pを排紙トレイ24へと排出する。
【0022】
反転部10bは、反転ローラ対26a,26b及びカバー32を備えている。また、反転部10bには、反転経路R2が設けられている。反転経路R2は、排紙ローラ対22を始端とし、搬送ローラ対16cを終端とする用紙Pの通り道である。用紙Pを排紙トレイ24に排出する際の回転方向とは反対方向に排紙ローラ対22が回転させられることにより、用紙Pは、反転経路R2に進入する。すなわち、用紙Pは、搬送経路R1を搬送されているときとは反対の方向に搬送されることにより、反転経路R2に進入する。
【0023】
反転ローラ対26a,26bは、反転経路R2上に設けられ、用紙Pを排紙ローラ対22から搬送ローラ対16cに向かって搬送する。これにより、用紙Pは、表裏が反転した状態で、搬送経路R1の画像形成部18の上流側に進入する。この後、画像形成部18及び定着部20は、用紙Pの裏面に画像を印刷する。また、カバー32は、本体10aの背面側に取り付けられ、反転経路R2及び反転ローラ対26a,26bを内部に格納している。
【0024】
ところで、画像形成装置10は、用紙Pの長さが図1に示す搬送経路R1よりも長くなっても、印刷速度を落とすことなく複数枚の用紙Pに対して連続して両面印刷を行うための構成を有している。以下に、かかる構成について図面を参照しながら説明する。図2は、反転経路R2が延ばされたときの画像形成装置10の構成図である。図3は、反転部10bの詳細な構成を示した図である。図3(a)は、図1の状態における反転部10bを示した図であり、図3(b)は、図2の状態における反転部10bを示した図である。図4は、図1及び図2のCの部分の拡大図であり、連動機構40の構成を示した図である。
【0025】
用紙カセット12は、図1及び図2に示すように、水平方向に伸縮可能な構造を有している。具体的には、用紙カセット12は、図2の背面側に引き出されることにより、拡張される。これにより、図2の状態の用紙カセット12は、図1の状態の用紙カセット12よりも長い用紙Pを格納することができる。
【0026】
更に、レール30は、図1及び図2に示すように、本体10aから背面に向かって延在している。また、カバー32は、その内周面においてレール30と接触しており、図1及び図2に示すように、該レール30に沿って移動可能である。これにより、カバー32が図2に示すように背面側に移動することにより、反転経路R2は、図1の状態の反転経路R2に比べて長くなる。すなわち、レール30及びカバー32は、反転経路R2の長さを変更する変更手段として機能している。
【0027】
ここで、図3を参照しながら、反転経路R2の構成についてより詳細に説明する。図3に示すように、反転経路R2は、ガイドGa〜Gcにより構成されている。ガイドGa,Gcは、本体10aに固定されており、ガイドGbは、反転部10bに固定されている。よって、カバー32が、図2に示すように背面側に移動すると、ガイドGbは、図3(b)に示すように、背面側に移動する。これにより、反転経路R2の長さは長くなる。
【0028】
なお、図3(b)に示すように、反転経路R2が延ばされた状態で、ガイドGa,Gb間及びガイドGb,Gc間に隙間ができることを防止するために、図3(a)に示すように、ガイドGaは、ガイドGb内に挿入されていると共に、ガイドGbは、ガイドGc内に挿入されている。
【0029】
また、画像形成装置10は、用紙カセット12の伸縮に連動して、反転経路R2の長さを変更する連動機構を有している。具体的には、画像形成装置10は、用紙カセット12とカバー32とが近接している部分(図1及び図2のC)において、図4に示す連動機構40を有している。
【0030】
連動機構40は、図4に示すように、ラックG1,G2及びピニオンギアG3,G4により構成されている。ラックG1は、用紙カセット12に設けられている。ピニオンギアG3は、ラックG1に噛み合っており、該ラックG1と共に1対のラックアンドピニオンを構成している。また、ラックG2は、カバー32に設けられている。ピニオンギアG4は、ラックG2に噛み合っており、該ラックG2と共に1対のラックアンドピニオンを構成している。更に、ピニオンギアG3,G4は、互いに噛み合っている。
【0031】
以上のような構成を有する連動機構40では、例えば、用紙カセット12が矢印Aの方向に引き出されると、ピニオンギアG3が反時計回り(矢印Dの方向)に回転し、ピニオンギアG4が時計回り(矢印Eの方向)に回転する。その結果、ラックG2は、矢印Aの方向に押し出され、カバー32は、矢印Aの方向に移動する。よって、用紙カセット12が拡張されると、反転経路R2が延びる。なお、ラックG1,G2及びピニオンギアG3,G4のギア比を調整することにより、搬送経路R2が延びる長さに対する用紙カセット12が引き出される長さの比の値を調整することができる。用紙カセット12が縮小されて、反転経路R2が縮む動作については、上記動作の逆の動作であるので、説明を省略する。
【0032】
以上のような構成を有する画像形成装置10では、用紙Pのサイズに応じて、反転経路R2の長さが変更可能である。そのため、用紙Pのサイズが大きくなったとしても、反転経路R2から用紙Pがはみ出すことを抑制することができる。その結果、画像形成装置10は、大きなサイズの用紙Pに対して、印刷速度を大きく低下させることなく両面印刷を行うことができる。
【0033】
更に、画像形成装置10では、用紙カセット12が伸縮可能に構成されている。そのため、相対的に小さなサイズの用紙Pに画像が印刷されるときには、図1に示すように、用紙カセット12が相対的に小さな状態とされ、相対的に大きなサイズの用紙Pに画像が印刷されるときには、図2に示すように、用紙カセット12が相対的に大きな状態とされる。そのため、画像形成装置10は、従来のように、印刷可能な最大のサイズの用紙を格納できる用紙カセットを備えている必要はない。その結果、画像形成装置10の小型化が図られる。
【0034】
更に、画像形成装置10では、用紙カセット12の拡張に連動して、反転経路R2が延びるように構成されている。そのため、ユーザは、用紙カセット12を拡張する作業と反転経路R2を伸ばす作業とを別々に行う必要がなくなる。
【0035】
更に、画像形成装置10では、前面側に給紙ローラ対14が設けられていると共に、用紙カセット12が背面側に拡張可能に構成されている。そのため、用紙カセット12の拡張の際に、給紙ローラ対14が移動することがない。その結果、搬送経路R1の形状が変化することがなくなるので、画像形成装置10の構成が簡単になる。
【0036】
なお、用紙カセット12の拡張は、ユーザの手動によって行われてもよいし、例えば、モーターなどによって自動的に行われてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、両面印刷可能な画像形成装置の小型化を図ることができる点において優れている。
【符号の説明】
【0038】
G1,G2 ラック
G3,G4 ピニオンギア
Ga〜Gc ガイド
P 用紙
R1 搬送経路
R2 反転経路
10 画像形成装置
10a 本体
10b 反転部
12 用紙カセット
14 給紙ローラ対
16a〜16c 搬送ローラ対
18 画像形成部
20 定着部
22 排紙ローラ対
24 排紙トレイ
26a,26b 反転ローラ対
30 レール
32 カバー
40 連動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体が積載される第1の格納部であって、該印刷媒体のサイズに応じて伸縮可能な第1の格納部と、
印刷後の前記印刷媒体が積載される第2の格納部と、
前記第1の格納部から前記第2の格納部へと向かう搬送経路に沿って、前記印刷媒体を搬送する第1の搬送手段と、
前記搬送経路上に設けられ、前記印刷媒体に画像を印刷する印刷手段と、
前記印刷手段により画像が印刷された前記印刷媒体を、表裏を反転させて前記搬送経路の該印刷手段の上流側に進入させるための反転経路に沿って、該印刷媒体を搬送する第2の搬送手段と、
前記反転経路の長さを変更する変更手段と、
を備えていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の格納部の伸縮に連動して、前記反転経路の長さを変更する連動手段を、
更に備えていること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−186107(P2010−186107A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30929(P2009−30929)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】