説明

画像形成装置

【課題】適切なトナーの再配置を行えるとともにトナー再配置電極のトナー汚染が発生しても適切に対処できる透明感光体を用いた画像形成装置の提供。
【解決手段】透明感光体上の静電潜像を現像してトナー像とする現像装置と、現像装置下流の位置で前記透明感光体に対向して配置されるトナー再配置電極と、前記トナー再配置電極に交番電圧を印加する電源と、前記透明感光体の内側で、前記トナー再配置電極と対向する位置に配置され、前記トナー再配置電極のトナー汚染を検知する光学センサと、前記光学センサからのトナー汚染状態の検知信号に基づいて前記トナー再配置電極のトナー汚染の除去に関する制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置下流にトナー再配置電極を有する電子写真方式の画像形成装置に関し、特には透明感光体を用いる画像形成装置に係る。透明感光体を用いる画像形成装置は、透明感光体内部に露光装置を配置でき、装置本体をコンパクトにできる利点がある。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体上に形成された静電潜像を現像装置によってトナー像とし、これを用紙に転写している。静電潜像をトナー像とする現像方式は、2成分磁気ブラシ現像や1成分非接触現像など種々の方式があるが、これらの現像方式で現像されたトナー像は、ときに、がさつきのある画像となることがある。例えば、2成分磁気ブラシ現像方式においては、現像領域の上流側で現像されたトナー像が現像領域下流の磁気ブラシでかき乱されることで、がさつきのある画像となる。
【0003】
このようながさつきのある画像を改善するため、特許文献1は、現像装置下流にトナー再配置電極を設け、このトナー再配置電極に交番電圧を印加して、感光体上のトナーを飛翔往復運動させて再配置する技術を開示している。トナー再配置電極によりがさついたトナー像は修復され高品質な画像とすることができる。
【0004】
また、特許文献2は、特許文献1の改良として、トナー再配置電極に印加する交番電圧の値を条件規制してトナーの飛翔距離が感光体と再配置電極のギャップより小さくなるようにし、トナー再配置電極のトナー汚染を防止しながらがさつきのない高品位画像を得る技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−372964号公報
【特許文献2】特開平6−274040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の技術は、トナー再配置電極への印加電圧が小さいとトナー再配置が不充分であり、逆に大きいとトナー汚染防止効果が薄れることになる。また、最初に印加電圧を条件に適合するように設定したとしても環境変動や使用履歴により、例えばトナーの帯電量などが条件から外れる場合もある。従って、特許文献2の技術ではトナー再配置電極の条件規制に安全係数を含まざるを得ず、適切なトナーの再配置とトナー再配置電極のトナー汚染防止を完全に行うことは困難であった。
【0007】
本発明は、適切なトナーの再配置を行えるとともにトナー再配置電極のトナー汚染が発生しても適切に対処できる画像形成装置を提供することを目的とする。なお、本発明においてはトナー再配置電極に付着する成分は、トナーのみならず帯電異常のキャリアなども含めて対象とし、これらをトナーと総称する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、トナー再配置電極の汚れ度合いを直接に検知して対処することで達成される。
【0009】
具体的には、
(1)透明感光体上の静電潜像を現像してトナー像とする現像装置と、
該現像装置の下流の位置で前記透明感光体に対向して配置されるトナー再配置電極と、
前記トナー再配置電極に交番電圧を印加する電源と、
前記透明感光体の内側で、前記トナー再配置電極と対向する位置に配置され、前記トナー再配置電極のトナー汚染を検知する光学センサと、
前記光学センサからのトナー汚染状態の検知信号に基づいて前記トナー再配置電極のトナー汚染の除去に関する制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
である。
【0010】
ここで、制御手段は、トナー再配置電極のトナー汚染の除去に関する制御として、種々の態様で制御を行うことができる。すなわち、
(2)検知信号によりトナー汚染が検知された場合にはトナー再配置電極に印加する交番電圧をトナー汚染が発生しない電圧に補正する
(3)トナー汚染状態が一定以上になると警告を発してトナー再配置電極の清掃をユーザーに促す
(4)トナー再配置電極に付着したトナーを透明感光体の非画像領域に戻す電極清掃を実行する
(5)トナー再配置電極に付着したトナーを物理的に除去する電極清掃を実行する
である。また、これらの組み合わせとしてもよい。なお、(2)の交番電圧の補正は、交番電圧のDC成分、或いはAC成分のいずれか、または両者を補正することにより行う。また、(4)の電極清掃とは、トナー再配置の電圧より高い電圧を印加してトナー再配置電極に付着したトナーを強制的に透明感光体側に戻すことをいう。透明感光体に戻されたトナーはクリーニング手段で清掃される。
【0011】
前記光学センサは、発光素子と受光素子からなり、受光素子は正反射成分を検知する位置に配置されるか、拡散光成分を検知する位置に配置される。黒トナーの場合は、ほとんど拡散反射しないので、正反射成分を検知する位置が好適であり、トナー再配置電極で正反射された光を受光する。この際、トナー再配置電極がトナー汚染されているとトナー再配置電極で反射される光が汚染トナーで遮られ、汚染状態を検知することができる。一方、カラートナーの場合は、拡散反射しやすい一方、正反射成分の変動はトナー量に比べて少ないので、拡散反射成分を検知する位置に配置する。
【0012】
また、トナー再配置電極を曲面電極に形成して、透明感光体との距離が両者の対向領域に亘って一定であるように形成すると、トナー再配置効果を最大限に発揮できる。トナー再配置電極の裏面側の光学センサは、透明感光体との距離が最小なる位置に配置するが、前記の対向領域に亘って一定である形状のトナー再配置電極の場合は、前記対向領域の上流側端部に光学センサを配置するとよい。これによりもっともトナー汚染の発生しやすい対向領域の上流側で検知することで、制御の閾値に達したことをいち早く検知できる。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明によれば、トナー再配置電極に付着したトナーを直接検知してこの検知信号に基づいてトナー再配置電極のトナー汚染の除去に関する制御を行うので、トナー再配置効果を最大限に発揮できる再配置電圧とすることができ、また、正確なトナー汚染状態を基に適切に対処できる画像形成装置を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【図2】図1のトナー再配置電極を矢視Aから見た平面図(図2(a))と矢視Bから見た側面図(図2(b))。
【図3】変形例のトナー再配置電極を示す断面図。
【図4】本発明の制御を示すフローチャート。
【図5】本発明の制御の変形例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、2を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1において、1は透明感光体ドラムであり、反時計方向に回転駆動される。透明感光体ドラム1は、ポリカーボネートなどの透明基体上にITO(Indium Tin Oxide)の透明導電層を形成し、その上にOPC感光体層を形成したものである。透明感光体ドラム1上に図示しない手段によって形成された静電潜像は、現像装置2によってトナー像とされる。現像装置2の下流に透明感光体ドラム1と対向してトナー再配置電極3が配置されている。
【0016】
トナー再配置電極3は、透明感光体ドラム1の軸方向全幅をカバーする長さの基板3aに電極3bを形成したものである。電極3bには、図示しない電源から交番電圧が供給される。
【0017】
透明感光体ドラム1の内側で、トナー再配置電極3に対向する位置に光学センサ4が配置される。光学センサ4の配置は、トナー再配置電極3全幅の中央であって、透明感光体ドラム1の回転方向で透明感光体ドラム1とトナー再配置電極3がもっとも近接する位置に対向するよう配置される。
【0018】
光学センサ4は、LEDなどの発光素子5とフォトダイオードなどの受光素子6の対で構成されており、図2(b)には、黒トナーの場合の受光素子6aとカラートナーの場合の受光素子6bを両方示しているが、実際には、いずれかの受光素子を使用する。受光素子6の出力は図示しない制御手段に入力される。
【0019】
発光素子5は、斜め45°から光を入射させるように配置される。発光素子5の発光波長は、黒トナーの場合は950nm、カラートナーの場合は780nmのものを用いることができる。
【0020】
黒トナーの場合の受光素子6aの配置は、トナー再配置電極3からの正反射光を受光するように斜め45°に配置される。すなわち、トナー再配置電極3にトナー汚染がない場合がもっとも受光量が多く、トナー汚染が進むに従って受光量が低下するように構成されている。一方、カラートナーの場合の受光素子6bは、トナー再配置電極3に付着したトナーからの拡散光を受光するように透明感光体ドラム1内面に正対して配置される。従って、トナー汚染が進行するほど受光量は多くなる。
【0021】
黒トナーの場合は、ほとんど拡散反射しないので、正反射成分を検知する位置が好適であり、トナー再配置電極3で正反射された光を受光する。この際、トナー再配置電極3がトナー汚染されているとトナー再配置電極3で反射される光が汚染トナーで遮られ、汚染状態を検知することができる。一方、カラートナーの場合は、拡散反射しやすい一方、正反射成分の変動はトナー量に比べて少ないので、拡散反射成分を検知する位置に配置する。
【0022】
図1において、トナー再配置電極3は、両端に回動支持部3cを有し、この回動支持部3cを支持する軸3d(図2参照)の周りに回動できるように構成されている。光学センサ4からの信号により制御手段がトナー汚染ありと判断すると、操作パネルなどにトナー汚染の発生を知らせる警告を表示する。これにより、ユーザーはトナー再配置電極3を軸3dの周りに回動させ、電極3bの汚れを清掃することができる。
【0023】
また、軸3dの周りの回動をソレノイドなどで自動的に行い、開放された電極3bに沿って清掃手段を透明感光体ドラム1の軸と平行に移動させるように構成すれば、物理的清掃を自動的に行うこともできる。トナー再配置電極3の位置決めは、ストッパ(図示せず)を配置すればよい。
【0024】
一方、物理的清掃ではなく、静電的にトナー再配置電極3を清掃することもできる。この静電的清掃は、トナー再配置電極3にトナー再配置時の交番電圧より高く、トナーを透明感光体ドラム1側に強制的に戻す電圧を印加することにより行うことができる。
【0025】
トナー再配置電極に印加する電圧の一例を以下に示す。
【0026】
DC成分 AC成分
トナー再配置時 −600V 2.5kVpp
静電的清掃時 −1000V 2.5kVpp
注)AC成分の単位のppはピークトウピーク値を示す。
【0027】
図3は、本発明のトナー再配置電極の変形例を示す概略断面図である。図において、トナー再配置電極30は、透明感光体ドラム1に対向し電極30bが形成される面を曲面とし、透明感光体ドラム1との距離が全体に亘って一定になるようにした構成である。このように曲面電極として構成することによって透明感光体ドラム1上でトナー再配置を行う領域を長く確保でき、トナー再配置の効率が向上する。光学センサ4は、汚れの発生がもっとも多いトナー再配置電極30の上流側端部に配置される。
【0028】
このような実施の形態および変形例の構成を用いて行うトナー再配置電極の制御について、図4を用いて説明する。図4はトナー汚染を検知すると清掃(静電的清掃、或いは物理的清掃)を行う場合の制御を示し、制御手段(図示せず)のメインルーチンから所定タイミングごとに実行されるサブルーチンのフローチャートである。
【0029】
ここで、汚れ検知を行う所定タイミングについてまず説明する。この所定タイミングは2つに大別することができる。1つは、ジョブ動作以外の時間に専用の検知モードを設けてサブルーチンを実行する場合である。もう1つはジョブ実行中に汚れ検知を行う場合である。
【0030】
ジョブ動作以外の時間に専用の検知モードを設ける場合は、透明感光体ドラム1上にトナー像が形成されていないので、検知用のトナー像を作成し、このトナー像の再配置を行ってその後のトナー再配置電極の汚れ検知を行う。
【0031】
一方、ジョブ動作中に汚れ検知を行う場合は、ジョブのトナー像があるので検知用のトナー像は作成しなくてもよい。ジョブ動作中の検知は、規定プリント枚数を作像した後や規定の印字画素数を印字した後であり、より完璧を目指す場合は1プリントごとに行っても良い。プリント数の多いジョブの場合は、そのジョブ中の規定プリント枚数ごとに実行する。なお、ジョブ中の汚れ検知は、像と像との間の領域(像間領域という)がトナー再配置電極を通過するときに行う。また、1つのジョブ実行中に汚れ検知を行って清掃が必要となった場合は当該ジョブを一旦中断して清掃を行う。残りのプリント枚数が少ない場合は、ジョブの終了後に清掃を行うようにしてもよい。
【0032】
図4のフローチャートを説明するに、まず、ステップS1で、トナー再配置のための交番電圧の初期値(DC成分DC2dc0、AC成分V2ac0)をCPUのレジスタに登録する。このレジスタは、プリントを行うサブルーチンにて参照され、トナー再配置電圧を設定する。初期値V2dc0は、現像ローラのDC電圧V1dcと感光体ドラムの帯電電位V0の和の1/2として設定される。初期値V2ac0は、あらかじめ設定された固定値である。この初期値は、トナー再配置効果を最大限に発揮でき、通常の使用状況ではトナー汚染もほとんど発生しない値として実験などで確認したものである。
【0033】
そして、ステップS2で汚れ検知を行い、光学センサ4の出力からトナー汚染レベルを判断する。トナー汚染レベルが所定値以上である(ステップS2で「あり」)と判断されると、ステップS3で、清掃を実行する。この清掃は、先に説明した静電的清掃でも、物理的自動清掃でもよい。
【0034】
ステップS2でトナー汚染レベルが所定値より小さい場合(ステップS2で「なし」)、およびステップS3の清掃終了後は、サブルーチンを終了しメインルーチンに戻る。メインルーチンでは、公知の方法でプリント動作を実行するが、その際、トナー再配置電極は、上述したレジスタに登録された電圧で駆動される。
【0035】
ここで、ステップS3では清掃を実行したが、もっともシンプルには、画像形成装置の操作パネルにトナー汚染の警告を表示するだけでもよい。ユーザーはその警告を見てトナー再配置電極の清掃を手動で行うことができる。このような警告・手動清掃は、廉価なプリンタなどにトナー再配置機能を搭載する際には有効である。
【0036】
図5は、汚れ検知を行いながらトナー再配置電圧を最適に調整し、必要に応じて清掃動作を行う変形例のフローチャートである。
【0037】
図5において、まずステップS10で再配置電極の初期値(DC成分V2dc0、AC成分V2ac0)を設定し、CPUのレジスタに登録する。このレジスタは、プリントを行うサブルーチンにて参照され、トナー再配置電圧を設定する。初期値V2dc0は、現像ローラのDC電圧V1dcと透明感光体ドラムの帯電電位V0の和の1/2として設定される。また、初期値V2ac0は、前回の本サブルーチンにおいて設定され現在使用されているAC成分の値である。図5の制御においては、トナー再配置電圧の最適化を行うため、前回で設定された値を使って今回の初期値とするのである。そして、ステップS11でカウンタnをゼロにリセットする。
【0038】
ついで、ステップS12で、汚れ検知を行い、光学センサ4の出力から判断した汚染レベルが所定値未満の場合はステップS17にとんで、レジスタに登録したDC成分とAC成分の値をプリント動作を行うサブルーチンで利用可能にする。ステップS12からステップS17に進む場合はレジスタの値は初期値と同じである。
【0039】
一方、ステップS12で汚染レベルが所定値以上の場合、ステップS13で清掃を実行する。この清掃は、先に説明した静電的清掃でも、物理的自動清掃でもよい。ついで、ステップS14でカウンタnを「1」だけ増加させ、ステップS15で再配置電極のAC成分V2acを補正する。補正は、初期値からn×0.05kV減少させるようにして行う。すなわち
V2acn←V2ac0−n×0.05(kV)
である。そして、ステップS16で、補正された値でのトナー再配置電極の汚れ検知を行う。ステップS16の汚れ検知は、検知用のトナーパッチを作成しトナー再配置をしてから行うものである。
【0040】
このように、ステップS13からS16の補正、および汚れ検知を、ステップS16の汚れ検知でトナー汚れが所定値以下となるまで行い、ステップS17で、補正された再配置電圧のAC成分の値V2acnをレジスタにセットしてプリント動作を行うサブルーチンで利用可能にする。
【0041】
以上の図5の制御によれば、汚れ検知においてトナー汚れが所定値以上にあるときは、再配置電圧のAC成分を汚れが発生しない値まで逓減していくので、汚れが発生しない範囲で最大の再配置電圧を用いることができ、トナー再配置の効果を最大限に発揮できる。
【0042】
トナー再配置電圧の補正は、図5ではAC成分のピークトウピーク値を補正するものとしたが、AC成分の周波数f、或いはデューティ比(正側のパルス幅をパルス周期で割ったもの)を補正してもよい。周波数fの場合は周波数をあげる方向の補正であり、デューティ比の場合は比率を下げる方向の補正である。また、交番電圧のDC成分を補正することもできる。DC成分の場合は、絶対値を大きくする方向(マイナス帯電で反転現像の場合)に補正する。
【0043】
次に、以下に説明するテスト1、テスト2で本発明のトナー再配置、汚れ検知、清掃の効果を確認した結果を説明する。
【0044】
〔テスト1〕
テストに用いる装置構成は次のとおりである。
【0045】
透明感光体 直径60mmのOPC透明感光体ドラム
基体は厚さ3mmのポリカーボネート
プロセススピード 400mm/s
現像方式 2成分磁気ブラシ現像
現像ローラ表面速度720mm/s(逆転現像)
トナー径 6.5μm
キャリア径 33μm
トナー濃度 7質量%
感光体帯電電圧V0 −700V
現像ローラ電圧V1dc −500V
トナー再配置電極 長手方向寸法 310mm
進行方向寸法 15mm
厚さ 3mm
透明感光体との距離 0.3mm
トナー再配置時電圧 DC成分 −600V
AC成分 2.5kVpp(初期値)
電極清掃時電圧 DC成分 −1000V
AC成分 2.5kVpp
デューティ比 50%
注)AC成分の単位のppはピークトウピーク値を示す。
【0046】
上記の装置構成を用い、以下の実施例1、比較例1、比較例2でそれぞれカバレッジ5%と30%のテストパッチの画像を初期から1000枚ごとに評価した。
実施例1:上記の装置構成で図5のフローチャートを用いて100枚プリントごとに電極汚れを検知し、再配置電圧最適化(検知結果に応じて再配置電極のAC成分にフィードバックして再配置電圧を最適化)、再配置の静電的清掃を行った例。
比較例1:上記の装置構成でトナー再配置電極は持つが、本発明のトナー汚れ検知、再配置電圧最適化、および再配置電極清掃は行わない例。
比較例2:トナー再配置電極を持たない例。
【0047】
画像評価の項目は、濃度ムラ、掃き寄せ、粒状性であり、評価者5名が画像を目視評価し、上記項目の現象が全体的に起こり、評価者の半数以上がその発生に気付くレベルを不合格(×)、上記項目の発生箇所が部分的で、評価者の半数以下しか発生に気付かないレベルを合格(○)とした。
【0048】
ここで、画像評価に用いるテストパッチは、20mm×20mmの大きさで、スクリーン線数200線、傾き45°、濃度180/255のドットスクリーンのテストパッチである。画像評価の項目の濃度ムラとは、現像されたトナー像のトナーがトナー再配置電極に移動して起こる画像の濃度低下をいい、掃き寄せとは、磁気ブラシの穂によりトナー像が透明感光体ドラム進行方向と反対方向に偏る現象をいう。また、粒状性は画像のざらつきを評価するものである。
【0049】
実施例1、比較例1、比較例2の結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
カバレッジ5%のときは、プリントが進行しても現像剤中の新トナー(現像装置に新たに補給されるトナーで帯電量が高い)の増加はほとんどないので、実施例1のトナー再配置電圧のAC成分が2.5kVppのままでもトナー汚染は発生せず、本発明の実施例1も、汚れ検知と再配置電圧最適化を行わない比較例1も、濃度ムラ、掃き寄せ、粒状性の改善効果は5000枚のプリントまで良好であった。一方、比較例2は、トナー再配置電極がないので濃度ムラは発生しないが、掃き寄せ、粒状性は改善されなかった。
【0052】
カバレッジ30%のときは、プリントが進行すると新トナーが補給され、トナー再配置電極と透明感光体の間でトナーの運動が活発化し、トナー再配置電圧2.5kVppのままでは途中から電極面のトナー汚染が発生する。従って、トナー汚れ検知と再配置電圧最適化を行わない比較例1では電極のトナー汚染が進行し、これに伴って濃度ムラが発生し、また、電極上へ堆積したトナー層の電位の影響で再配置電極・透明感光体間のトナーの往復運動が減少し、掃き寄せと粒状性の改善効果が見られなくなった。
【0053】
これに対して、本発明の実施例1は、トナー汚染を検知してテストの途中でトナー再配置電圧を2.25kVまで下げたために、電極のトナー汚染による濃度ムラを回避でき、掃き寄せと粒状性の改善効果も良好であった。
【0054】
比較例2は、トナー再配置電極がないので、濃度ムラは発生しないが、掃き寄せと粒状性の改善はなかった。
【0055】
次に、テスト2の結果を説明する。
【0056】
〔テスト2〕
テスト2は、テスト1と同じ装置構成を用い、図4のフローチャートによる制御を行った実施例2を比較例3、4と比較して示すものである。すなわち、実施例2は電極のトナー検知を100枚プリントごとに行い、トナー汚染が検知されると静電的電極清掃を実施するよう制御する。一方、比較例3は、トナー再配置電極は持つがトナー汚染検知および清掃は行わない例であり、比較例4は、トナー再配置電極を持たない例である。
【0057】
テスト2の画像評価項目はテスト1と同様であるが、対象のテストパッチはカバリッジ5%と10%とで評価した。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
カバレッジ5%のときは、プリントが進行しても現像剤中の新トナー(新たに補給されるトナーで帯電量が高い)の増加はほとんどないので、テスト終了までトナー汚染は発生せず、本発明の実施例1も、汚れ検知と電極清掃を行わない比較例3も濃度ムラ、掃き寄せ、粒状性の改善効果は5000枚のプリントまで良好であった。一方、比較例4は、トナー再配置電極がないので濃度ムラは発生しないが、掃き寄せ、粒状性は改善されなかった。
【0060】
しかし、カバレッジ10%のときは、プリントが進行すると新トナーの割合が若干増加するため、トナー再配置電極と透明感光体の間でトナーの運動がやや活発化し、テスト途中から電極面のトナー汚染がごく軽微であるが発生する。従って、比較例3の場合はトナー運動がやや活発化する程度なので濃度ムラ発生までには至らないものの、電極上へ堆積したトナー層の電位の影響で電極・透明感光体間のトナー運動がプリント進行につれて減少し、掃き寄せ、粒状性の改善効果が途中から悪化した。これに対してトナー汚れを検知し、清掃する本発明の実施例2では、3000枚プリント後トナー汚れを検知して清掃を行ったため、掃き寄せ、粒状性の改善効果もテスト終了まで維持できた。
【0061】
比較例4は、トナー再配置電極がないので、濃度ムラは発生しないが、掃き寄せと粒状性の改善はなかった。
【符号の説明】
【0062】
1 透明感光体ドラム
2 現像装置
3、30 トナー再配置電極
3a、30a 基体
3b、30b 電極
4 光学センサ
5 発光素子
6、6a、6b 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明感光体上の静電潜像を現像してトナー像とする現像装置と、
該現像装置の下流の位置で前記透明感光体に対向して配置されるトナー再配置電極と、
前記トナー再配置電極に交番電圧を印加する電源と、
前記透明感光体の内側で、前記トナー再配置電極と対向する位置に配置され、前記トナー再配置電極のトナー汚染を検知する光学センサと、
前記光学センサからのトナー汚染状態の検知信号に基づいて前記トナー再配置電極のトナー汚染の除去に関する制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検知信号によりトナー汚染が検知された場合には前記トナー再配置電極に印加する交番電圧をトナー汚染が発生しない電圧に補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記交番電圧の補正は、交番電圧のDC成分、或いはAC成分のいずれか、または両者を補正することにより行うことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、トナー汚染状態が一定以上になると警告を発することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記トナー再配置電極に付着したトナーを前記透明感光体の非画像領域に戻す電極清掃を実行するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記トナー再配置電極に付着したトナーを物理的に除去する電極清掃を実行するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記光学センサは、正反射成分を検知することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記光学センサは、拡散反射成分を検知することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記トナー再配置電極は、曲面電極であり、前記透明感光体との距離が対向領域に亘って一定であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−59305(P2011−59305A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207904(P2009−207904)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】