説明

画像形成装置

【課題】先端余白量や後端余白量を調整可能とした画像形成装置において、記録材に所望の余白量を設定する。
【解決手段】入力キー13、14によって記録材を搬送し、画像形成開始前の記録材先端から画像領域までの先端余白量や画像形成終了後の画像領域後端からカット位置までの後端余白量を操作部10のディスプレイ12に表示する手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プリンタ、プロッタ等の画像形成装置、特に画像形成開始前または終了後の先端または後端の余白量を設定する手段を具備する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】画像形成開始前に記録材を画像形成位置にセットする際、記録材先端から画像形成開始領域までの先端余白量を、記録材をプラテンに載置後、手動やキー入力による自動搬送などによって調整できる画像形成装置がすでに知られている。また、記録材としてロール紙などを使用し、1頁分の画像形成動作終了後に該ロール紙を所定位置で切断するような画像形成装置の場合、画像形成終了後、「図8」(a)に示すように、画像領域から一定の余白量分ロール紙を搬送してただちにカット作業を行う方法、同図(b)に示すように入力キーによってカット位置を指定してカット作業を行う方法などが従来から行われていた。
【0003】ところで、画像形成開始前に先端余白量を変更する際、極力先端余白量を狭めようとして記録材を戻してゆくと戻し過ぎて誤って搬送ローラから記録材がはずれてしまい再セットを必要とする。また、カット作業を行う場合、ユーザがカット位置を指定するにあたって、画像領域から所望の後端余白量を設けたいときに、定規などで設定すると正確さに欠けることを免れず、また、入力キーでカット位置を指定する方法においても、間違った位置を指定したり、極端な場合、誤って画像領域内でカット作業をするような事態が生ずると再印字が必要となり時間的ロス、無駄なコストを要することとなって好ましくない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な事態に対処すべくなされたものであって、画像形成開始前に先端余白量を調整するにあたって、乃至は画像形成動作終了後にロール紙をカットするにあたって、所定の余白量を装置のディスプレイ部位に表示して、所望の余白量をもって確実、正確に印字やカットができるようにした画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決する技術手段、その作用】
【0006】上記の目的を達成するため、本発明は、プラテン上に載置した記録材を搬送して、画像形成開始前に記録材先端から画像領域迄の先端余白量を調整する先端余白調整手段を有する画像形成装置において、調整している先端余白量を操作部のディスプレイに表示する手段を具備することを特徴とする画像形成装置(1)、または、上記(1)のものにおいて、前記先端余白調整手段が、記録材を搬送する際、記録材搬送可能範囲を制限する手段を具備することを特徴とする画像形成装置(2)、または、画像形成終了後に記録材をカットする画像形成装置において、カット位置を設定するにあたり、入力キーによって記録材を搬送して画像領域後端からカット位置までの余白量を操作部のディスプレイに表示する手段を具備することを特徴とする画像形成装置(3)、または、上記(3)のものにおいて、画像領域において記録材をカットしないための、記録材搬送可能範囲を制限する手段を具備することを特徴とする画像形成装置(4)、または、上記(3)または(4)のいずれかのものにおいて、カット位置指定後にカット作業を行うことを特徴とする画像形成装置(5)である。
【000 】この様に構成することによって、記録材の先端余白や後端余白を正確に決定できるとともに、記録材の再セットやミスカットのおそれを確実に減殺できる。
【0007】
【実施例】「図1」は本発明の実施例を示すブロック図、「図6」は画像形成装置の操作部である。「図1」において、画像データがホストコンピュータ1から送信され、インターフェイス2でホストコンピュータと画像形成装置との間で画像データその他の送受信を行う。
【0008】印字制御、カット制御、ディスプレイ表示、モータ制御などの各プログラム4をCPU3で処理し、画像形成用の印字ヘッド8、カットを行うカッタ9、ユーザに画像形成装置の状態を知らせるディスプレイ12、搬送モータ11の制御を行う。
【0009】受信した画像データは入力バッファメモリ5に格納され、画像データが印字可能なデータに変換されると、これが変換バッファメモリ6に格納されるものとする。画像形成前の記録材先端位置、余白量、画像形成終了後の画像領域後端などの必要データはメモリ7に格納される。
【0010】ホストコンピュータ1から画像データを受信すると、これがインタフェース2を介して入力バッファメモリ5に格納される。このとき画像データの大きさを読み取って画像形成終了後の画像領域後端位置を検出し(「図7」(a))、そのデータはメモリ7に格納される。
【0011】画像データが印字データに変換され、これが変換バッファメモリ6に格納されると、印字制御プログラム4によって印字ヘッド8を制御して印字動作が開始される。この場合の印字動作自体は周知の画像形成装置のそれと変りはない。
【0012】ユーザが所望する先端余白量の設定方法は画像形成装置に記録材をセット後、記録材は初期設定余白量になるように搬送され待機する。ここでユーザは所望する先端余白量になるように操作部10のディスプレイ12を見ながら上キー13または下キー14を入力する。キー入力後の動作は後述する後端余白の設定と同様である。
【0013】後端余白の設定は印字動作終了後、記録材が停止している状態で、操作部10の入力キー13、14によってモータ制御プログラム4は搬送モータ11の正逆転制御を行う。即ち、搬送モータがオンの間、検出した画像領域後端と搬送モータの回転パルス数から余白量を算出してディスプレイ12に表示する。搬送モータがオフとなったら余白量をメモリ7に格納する。
【0014】カット位置の指定が終了して、ユーザが操作部10のカットキー15を入力してカット指令を出すとカッタ制御プログラム4によってカット作業が遂行されて終了となる。
【0015】次に「図2」、「図3」によって画像形成開始前の記録材の先端余白量の設定処理のアルゴリズムについて説明する。
【0016】画像形成装置に記録材をセットする(S2)と記録材は印字位置まで搬送される。このとき、不図示の紙位置センサによって記録材の先端位置を検出(図7b)し、この位置を余白0(ゼロ)位置とし、初期設定余白量(例えば20mm)まで搬送する。
【0017】記録材の搬送量は、外径寸法が既知である搬送ローラ(不図示)を回転させる搬送モータ11によって読み取る。このため、CPU3は搬送モータ11のパルス数から搬送量を算出する。記録材の搬送後、操作部10のディスプレイ12には先端余白量が表示(例えば20mm)され(S3)、印字開始待ち状態(S4)となる。
【0018】ここでユーザが所望する先端余白量の設定を行い(S5)、設定完了後画像データを送信するとインタフェース2が受信(S6)して、印字動作が開始(S7)され、ついでこれが終了する(S8)。CPU3はユーザによって画像データが受信されない限り先端余白量の設定可能状態を維持する。
【0019】「図3」によって先端余白量設定のアルゴリズムについて説明する。ユーザの先端余白量設定は操作部10の入力キー13、14によって行うものとする。もし上キー13または下キー14が押圧されているならば(S10)押圧されているキーを判別(S11)し、下キー14が押圧されているときには記録材を印字中の搬送方向下流側に、上キー13が押圧されているときには記録材を搬送方向上流側に搬送するように搬送モータ11を回転乃至逆転(S12、S13)させる。
【0020】搬送モータ11の回転にともなって、そのパルス数から記録材の搬送量を算出し、下キー14が押圧されているときには前の先端余白量に搬送量を加え、上キー13が押圧されているときには前の先端余白量から搬送量を減じて現在の先端余白量を算出(S14)して、これをディスプレイ12に表示(S15)する。
【0021】前記搬送モータ11はキー13、14が押圧されている間だけ回転するもので、キーの押圧を止めると(S10)該モータは停止し、記録材の搬送も停止(S17)する。また、キー13、14を押圧しているときでも先端余白量が予め設定されている下限値あるいは上限値になったとき(S16)には搬送モータ11を強制的に停止(S17)させて記録材の搬送を停止(S18)する。
【0022】上記のように構成することによって、とくに上キー13を押圧しているとき先端余白量の下限値を記録材が搬送ローラからはずれる限度に設定することによって、記録材が搬送ローラからはずれて搬送不能となるような事態を好適に回避できる。
【0023】また、入力キー13、14からユーザが手を離したり、先端余白量が上限値または下限値となって搬送モータ11が停止したときには、この先端余白量のデータをメモリ7に格納しておき、入力キー13、14で再度先端余白量を設定するときには、この値を現在の先端余白量として算出時に使用できる。
【0024】つぎに「図4」、「図5」によって画像形成終了後の記録材の後端余白量の設定処理のアルゴリズムについて説明する。
【0025】画像形成装置は、ホストコンピュータから画像データを受信すると、この画像データの大きさから画像領域の後端位置を検出し(図7a)、この位置を後端余白0とする。記録材に対する画像形成動作が開始され、画像データが全て出力されて画像形成動作が終了する。このとき、先に検出した画像領域の後端位置を余白量0とし、初期設定余白量(例えば20mm)まで搬送する。
【0026】記録材の搬送量は、記録材を搬送する外径寸法が既知である搬送ローラを回転させる搬送モータ11で読み取る。このため、CPU3は搬送モータ11のパルス数から搬送量を算出する。記録材搬送後、操作部10のディスプレイ12には後端余白量(例えば20mm)を表示(S23)し、カット開始待ち状態(S24)となる。
【0027】ここで、ユーザが所望する後端余白量の設定を行い(S25)、設定完了後カットキー15を押圧(S26)すると、カット動作を開始(S27)し、処理を終了(S28)する。CPU3はユーザがカットキー15を押圧しない限り後端余白量の設定可能状態を維持する。
【0028】「図5」によって後端余白量設定のアルゴリズムについて説明する。ユーザの後端余白量の設定は操作部10の入力キー13、14によって行うものとする。上キー13または下キー14が押圧されているならば(S30)、押圧されているキーを判別(S31)し、下キー14が押圧されているときには記録材を印字中の搬送方向にみて下流側に、上キー13が押圧されているときには記録材搬送方向にみて上流側に、記録材が搬送されるように搬送モータ11を回転乃至逆転させる(S32、S33)。
【0029】搬送モータ11の回転にともなって、そのパルス数から記録材の搬送量を算出し、下キーが14押圧されているときには前の後端余白量に搬送量を加え、上キー13が押圧されているときには前の後端余白量から搬送量を減じて現在の後端余白量を算出(S34)して、これをディスプレイ12に表示(S35)する。
【0030】搬送モータ11はキー13、14が押圧されている間だけ回転するもので、キーの押圧を止める(S30)と、搬送モータ11は停止して記録材の搬送が停止(S37)する。またキー13、14を押圧しているときでも後端余白量が予め設定されている下限値乃至上限値になった(S36)ときには搬送モータ11を強制的に停止(S37)して、記録材の搬送を停止(S38)する。
【0031】上記のように構成することによって、とくに上キー13を押圧しているとき後端余白量の下限値を0に設定してあるので、記録材を戻し過ぎてその画像領域内でカットするような事態を確実に阻止できる。
【0032】また、ユーザが入力キー13、14から手を離したり、後端余白量が上限値または下限値となって搬送モータ11が停止したときには、このときの後端余白量のデータをメモリ7に格納しておき、入力キー13、14で再度後端余白量を設定するときにはこの値を現在の後端余白量として算出時に使用する。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、先端余白量や後端余白量を調整可能とした構成の画像形成装置において、入力キーによって先端余白量あるいは後端余白量を設定するにあたり、余白量をディスプレイに表示することによって正確に先端余白量を設定できるとともに、余白量に制限を設けることによって記録材が搬送ローラからはずれるような事態を確実に防止でき、正確にカット位置を設定できるとともに、余白量に制限を設けることによって出力した画像領域を切断するような事態を確実に防止することができ、記録材の正確な切断が行われる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示すブロック図
【図2】 同上の画像形成開始前処理を示すフローチャート
【図3】 同上の先端余白設定処理を示すフローチャート
【図4】 同上の画像形成終了後処理を示すフローチャート
【図5】 同上の後端余白設定処理を示すフローチャート
【図6】 同上画像形成装置側の操作部
【図7】 同上余白量0の検出位置
【図8】 公知装置におけるカット時のフローチャート
【符号の説明】
1 ホストコンピュータ
2 インタフェース
3 CPU
4 制御プログラム
5 入力バッファメモリ
6 変換バッファメモリ
7 メモリ
8 印字ヘッド
9 カッタ
10 操作部
11 搬送モータ
12 ディスプレイ
13 上キー
14 下キー
15 カットキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】プラテン上に載置した記録材を搬送して、画像形成開始前に記録材先端から画像領域迄の先端余白量を調整する先端余白調整手段を有する画像形成装置において、調整している先端余白量を操作部のディスプレイに表示する手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】前記先端余白調整手段が記録材を搬送する際、記録材搬送可能範囲を制限する手段を具備することを特徴とする「請求項1」記載の画像形成装置。
【請求項3】画像形成終了後に記録材をカットする画像形成装置において、カット位置を設定するにあたり、入力キーによって記録材を搬送して画像領域後端からカット位置までの後端余白量を操作部のディスプレイに表示する手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】画像領域において記録材をカットしないための、記録材搬送可能範囲を制限する手段を具備することを特徴とする「請求項3」記載の画像形成装置。
【請求項5】カット位置指定後にカット作業を行うことを特徴とする「請求項3」または「請求項4」のいずれか記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図8】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate