説明

画像表示装置

【課題】2次元画像全体におけるスペクトルの変化等を直観的に把握することを補助するとともに、画像による様々な分析をより容易に進めることを可能とする画像表示装置を提供する。
【解決手段】波長域別画像データを、前記撮像対象について複数の波長域ごとに記憶する波長域別画像データ記憶部12と、撮像された波長域の異なる複数の波長域別画像データを選択し、選択された各波長域別画像データから、それぞれ異なる基本色のみで表現され、各画素が各強度データにそれぞれ対応した輝度を有する基本色画像を構成する基本色画像データをそれぞれ作成する基本色画像データ作成部13と、複数の基本色波長の異なる基本色画像データを合成して1つの合成画像データを作成する合成画像データ作成部14と、前記合成画像データを画像として表示する合成画像表示部15と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象から射出される光のうち特定の波長域のみを抽出して撮像された画像について、その色や波長強度等の分析を補助するための画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像対象の反射率やその色等の分析を撮像された画像に基づいて行う場合、例えば分光スペクトルを分析することが前記撮像対象の特徴をつかむのに役立つ。従来であれば、図9(a)のような撮像画像があった場合、ある撮像地点すなわち画素ごとに撮像された光の波長の強度分布である分光スペクトルを図9(b)のようにグラフ化することによりその部分の分析を行うことが行われている。
【0003】
このような分光スペクトルのグラフを部位ごとに作成する手法では、一部分ごとの分析は精密に行えるものの、画像全体、すなわち、撮像対象全体がどのような光学的な特性を有したものであるかを分析することは難しい。
【0004】
そこで、近年、特許文献1で示されるような分光イメージング装置とよばれるような撮像対象から射出される光を分光して、その分光された波長ごとに前記撮像対象の画像を作成する装置により、画像全体について波長ごとの特性を分析しようと試みられている。このような分光イメージング装置により、同一の撮像対象について単波長ごとに分解して撮像された画像群の一例を図10に示す。図10では、423nmから750nmまで波長域で単波長により構成された画像をそれぞれ示してある。
【0005】
このようにある波長のみを抽出して撮像された画像であれば、画像全体についてその抽出された波長における強度の違いを明暗差として知ることができる。より具体的には、例えばある色に対応する波長の光が撮像対象のどの部分から強く現れているか等を分析することには効果を発揮する。
【0006】
しかしながら、図10示すように単波長の画像を並べて表示するだけでは、ある波長から長波長側、あるいは、単波長側になるにつれてどのように強度変化が生じているのかを直観的に知ることは難しい。より具体的に説明すると、520nmの単波長画像と、その前後の500nm、540nmの単波長の画像との比較を行っても、長波長側に行くほど画像全体として強度が上昇しているのか、短波長側に行くほど画像全体として強度が上昇しているのかを判別する事は難しい。前述したようにある部分については分光スペクトルのグラフを作成すればその傾向は分かるかもしれないが、画像全体における強度変化等の傾向は分かりにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06−129908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述したような問題を鑑みてなされたものであり、2次元画像全体におけるスペクトルの変化等を直観的に把握することを補助するとともに、画像による様々な分析をより容易に進めることを可能とする画像表示装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の画像表示装置は、撮像対象から射出される所定の波長域の光に基づいて撮像された画像を構成するデータであり、撮像された波長域を示す波長データと、撮像された画像の各画素に関連付けられている撮像された波長域の光の強度である強度データと、からなる波長域別画像データを、前記撮像対象について複数の波長域ごとに記憶する波長域別画像データ記憶部と、撮像された波長域の異なる複数の波長域別画像データを選択し、選択された各波長域別画像データから、それぞれ異なる基本色のみで表現され、各画素が各強度データにそれぞれ対応した輝度を有する基本色画像を構成する基本色画像データをそれぞれ作成する基本色画像データ作成部と、複数の基本色の異なる基本色画像データを合成して1つの合成画像データを作成する合成画像データ作成部と、前記合成画像データを画像として表示する合成画像表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、「波長域」とはある波長から別の波長までの全て又はいくつかを含んだものから単波長のものまでを含む概念である。
【0011】
このようなものであれば、撮像対象からの光のうち、所定波長域の光を抽出した画像であり、強度の違いが例えば明暗として現れるモノトーン画像である波長域別画像をそのまま表示するのではなく、複数の波長域別画像データからそれぞれ異なる基本色のみで表現されており、もとの波長域別画像データの強度データに対応した輝度を有する基本色画像データを作成し、複数の基本色の異なる基本色画像データを合成した合成画像を表示部に表示するようにしているので、合成画像には、複数の波長域別データの情報、特に強度の差分情報を画像全体に表すことができる。より具体的には、各波長域別画像データを単純に表示してもモノトーンでしか表されず、それを見た人は単に波長域における光の強度を画像全体で把握できるに過ぎないが、本発明であれば波長域別画像データをそのまま表示した場合に実際に人の目に見える色とは異なる色で表現された基本色画像データを作成し、それらを合成して表示することで、疑似的なカラー画像として表示することができる。各基本色画像データでは、元の波長域別画像データの強度データには変更を加えていないので、基本色画像データの輝度には測定された強度の測定値が反映されており、各基本色画像データを合成した合成画像データでは、複数の波長域別画像データの光の強度で混色されていることなる。従って、人が合成画像データを見た場合には、各波長域別画像データ間の強度データにおける傾向の違いによって、モニタに表示される合成画像の色が異なって見えることになる。つまり、画像全体の強度変化等の情報が合成画像データの色の違いとして人は知覚する事が可能となり、画像全体の強度変化等といった情報を分析しやすくなる。
【0012】
波長域別画像データを容易に撮像し、前記波長域別データの作成するための具体例としては、前記撮像対象から射出される光を分光し、波長域ごとに電気信号に変換する分光撮像機構と、前記電気信号に基づいて、前記波長域別画像データを作成し、前記波長域別画像データ記憶部に記憶させる波長域別画像データ作成部と、を更に備えたものであればよい。
【0013】
各波長域別データ間のスペクトル変化等を画像全体で把握しやすくするには、前記基本色画像データ作成部が、撮像された波長域の異なる3つの波長域別画像データを選択し、選択された各波長域別画像データから、撮像された各波長域の長い方から順番に、赤、緑、青でのみで表現され、各画素が各強度データに対応した輝度を有する基本色画像を構成する3つの基本色画像データを作成するように構成されたものであればよい。このようなものであれば、人が見慣れた色の三原色により各波長域別画像データの強度が表現されるので、各波長域別画像データの光の強度変化、すなわちスペクトルの変化等が合成画像データが表示された際の色の違いとして現れることになる。つまり、合成画像データが表示部に表示された際に画像全体でどのような色が表れているかを人が見ることによってスペクトル変化等の傾向を掴みやすい。また、見慣れた基本原色によりモノトーンから疑似カラーへと変更しているので、人にとっても変化を直観的に理解しやすい。
【0014】
前記合成画像データを表示部に表示した際の合成画像の色が特にスペクトル変化の変化率、すなわち、波長変化に対する光の強度の変化率を表すようにして、画像全体におけるスペクトル変化等をより簡単に人が認識できるようにするには、前記基本色画像データ作成部が、ある波長域で撮像された波長域別画像データと、その前後の波長域で撮像された2つの波長域別画像データを選択して、赤、緑、青の3つの基本色画像データを作成するように構成されたものであればよい。
【0015】
さらに広い範囲の波長域でのスペクトル変化を画像全体で認識しやすくするには、前記合成画像表示部が、組み合わせの異なる波長域別画像データに基づいて作成された複数の合成画像データを同一画面上に同時に表示するように構成されたものであればよい。このようにすれば、例えば、表示されている合成画像において色の変化等の大きいものをピックアップする等して、どの波長域にピークが偏っているか等を分析しやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明の画像表示装置によれば、波長域別画像データをそのまま表示するのはなく、複数の波長域別画像データについて強度データに関しては保存したまま、別の色の波長を割り当てて、複数の基本色画像データを作成し、それらを合成することで、各波長域別画像データの強度情報を反映した色を有する疑似カラーの合成画像を表示部に表示するように構成しているので、例えばスペクトル変化等を直観的に認識しやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像表示装置を含む分光イメージングシステムの構成を示す模式図。
【図2】同実施形態における分光イメージングユニットを示す模式的斜視図。
【図3】同実施形態における撮像対象の一例を示す模式図。
【図4】同実施形態における単波長画像データ作成部による単波長画像データ作成の動作について示す模式図。
【図5】同実施形態における基本色画像データ作成部による基本色画像データ作成の動作について示す模式図。
【図6】同実施形態における合成画像データ作成部による合成画像データ作成の動作について示す模式図。
【図7】同実施形態における合成画像データの示す色とスペクトル変化の関係を示す模式図。
【図8】同実施形態により作成された合成画像データの表示例。
【図9】各画素におけるスペクトル変化等の分析手法を示す模式図。
【図10】分光イメージング装置により撮像された単波長画像の例。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態の画像表示装置100は、図1に示すように撮像対象から射出される光を分光して、波長ごとに撮像を行う分光イメージングユニット200とともに用いられて、分光イメージングシステム300の一部を構成するものである。この画像表示装置100は、例えば、紫外100−380nm、可視380−780nm、金赤外780−2500nmの領域における画像全体のスペクトル強度の変化を直観的に把握するために用いるためのものであるが、その他、X線領域、真空紫外線領域0.1nm−100nmの領域や、あるいは、赤外2.5−30μm、30μm以上、テラヘルツ領域(30μm−3mm)でも有効に用いることができる。
【0020】
前記分光イメージングユニット200は、撮像対象からの光を集光するレンズ21と、前記レンズ21を通過した光を分光し、分光された波長ごとに電気信号に変換する分光撮像機構22と、前記分光撮像機構22を水平方向に駆動するためのステージ23と、前記分光撮像機構22からの電気信号の処理及び前記ステージ23の駆動制御を行う分光撮像制御部と、から構成してある。
【0021】
まず、分光イメージングユニット200の各部について詳述する。
【0022】
この分光イメージングユニット200は、図2に示すように測定対象のうち一部を短冊状に切り取った領域からの光を分光し、同時に複数の波長のモノクロ画像を撮像できるように構成してある。
【0023】
より具体的には、前記分光撮像機構22は、前記レンズ21を通過した光を上下方向に延び得るスリット221を通した後、プリズムやグレーティング部材等により構成してある分光要素222を通過させて分光させ、その後CCD等の撮像素子223により電気信号に変換するものである。従って、分光撮像機構22を駆動せずに撮像を行った場合、図2に示すように撮像対象の上下方向の一部、すなわち一次元の領域について波長ごとの画像要素を撮像できることになる。従って、前記ステージ23により前記スリット221の延びる方向と直交する方向であるX軸方向に走査していくことで、各波長について一次元の画像である画像要素を並べていくことで、2次元画像を構成する画像データを作成することができる。さらに詳述すると図2の前記撮像素子223の近傍に示しているように、本実施形態では上下方向に視野軸を設定してあり、水平方向に波長軸を設定してある。前記波長軸に示すように図面視において右側から左側に進むにつれて長波長の光による撮像が行われて画像要素が形成されることになる。
【0024】
前記ステージ23は、前記CCDによる撮像に必要な時間と同期して、逐次X軸方向に前記撮像機構を移動させるためのものである。このステージ23の制御はステージドライバ26を後述するステージ指令部25からの指令により制御するようにしてある。
【0025】
前記分光撮像制御部は、CPU、メモリ、入出力手段、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ等を備えたいわゆるコンピュータCによりその機能を実現されるものである。本実施形態では、前記ステージ23の制御を行うステージ指令部25と、前記撮像機構から出力される電気信号をコンピュータC内で取り扱うことのできるデータへと変換する信号処理部24としての機能を発揮するように構成してある。
【0026】
前記画像表示装置100は、前記分光撮像装置から出力される電気信号に基づいて、撮像対象に関して波長域ごとの2次元画像を構成するデータを作成する単波長画像データ作成部11と、複数の異なる波長で撮像された単波長画像データを記憶する単波長画像データ記憶部12と、複数の異なる波長の単波長画像データから、撮像した波長を変更して基本色画像データを作成する基本色画像データ作成部13と、複数のそれぞれ基本色の異なる基本色画像データを合成して合成画像データを作成する合成画像データ作成部14と、前記合成画像データを表示部であるモニタ上に表示する合成画像表示部15とから構成してある。
【0027】
この画像表示装置100に関しても、いわゆるコンピュータCによりその機能を実現されるものであり、前記メモリに格納されたプログラムを実行することにより上述した、前記単波長画像データ作成部11、前記単波長画像データ記憶部12、前記基本色画像データ作成部13、前記合成画像データ作成部14、前記合成画像表示部15としての機能を発揮するように構成してある。
【0028】
各部について詳述するとともに、図3に示す撮像対象に基づいて画像表示装置100としての単波長画像データ、基本色画像データ、合成画像データを作成する動作について説明する。
【0029】
前記単波長画像データ作成部11は、請求項での波長域別画像データ作成部に相当するものであり、前記撮像機構から出力される前記電気信号に基づいて、前記単波長画像データを作成し、前記単波長画像データ記憶部12に記憶させるように構成してある。
【0030】
より具体的には、図4に示すよう前記信号処理部24からは所定時間ごとに撮像対象の異なる部位を撮像した画像要素が出力されてくるのを、撮像されている単波長λ、λ、λ・・・λ(λ<λ<λ3<・・・<λ)ごとに画像要素を並べていくことにより、前記単波長画像データ作成部11は、2次元画像を構成する単波長画像データを作成する。この単波長画像データは、撮像された波長λnを示す波長データと、前記2次元画像の各画素に関連付けられている撮像された単波長の光の強度である強度データと、から構成されるものである。図4に示すように、各単波長画像データは、1つの波長の強度しか情報として有していないため、仮にモニタ等で表示した場合にはその強度によって明暗が生じたモノトーン画像となり、撮像された波長によってその明暗が異なっている。ここで各単波長の間隔の一例としては可視(380−780nm)領域において本実施形態の画像表示装置100を用いる場合には、5、10、20nm等が好ましい。これは、一般的な等色関数が5、10、20nmで規定されているからである。しかしながら、その他の間隔で単波長画像を撮像しても構わない。
【0031】
前記単波長画像データ記憶部12は、同一の撮像対象を撮像したものであり、その撮像された波長が異なって単波長画像データを複数記憶しているものである。本実施形態では、前記分光撮像機構22から作成された単波長画像データを記憶しているが、その他の手段で撮像された単波長画像を併せて保存するようにしても構わない。
【0032】
前記基本色画像データ作成部13は、撮像された波長域の異なる複数の単波長画像データを選択し、選択された各波長域別画像データから、それぞれ異なる基本色のみで表現され、各画素が各強度データにそれぞれ対応した輝度を有する基本色画像を構成する基本色画像データをそれぞれ作成するように構成してある。
【0033】
より具体的には、前記基本色画像データ作成部13は、図5に示すように撮像された単波長λ1、λ2、λ3・・・λnの単波長画像データから連続して並ぶ3つの単波長で撮像された単波長画像データを選択して、それぞれ波長の長い順に、対応する表示系デバイスに合致するようにR(赤)、G(緑)、B(青)に対応する波長へと変更して、3つの基本色画像データを作成するように構成してある。この基本色画像データを作成する際には、画素ごとに関連付けられている光の強度に関しては変更を加えていないので、図5に示すように前記単波長画像データのモノトーン状態から、R、G、Bの濃淡で表現される状態に変更して基本色画像データは作成される。選択された各単波長画像は、sRGB表色系の各原色のみで表現するようにしてあり、ディスプレイにおいて表示される輝度が前記強度データと対応するように値付けしてある。ここで、Rはx=0.6400、y=0.3300で規定される色度、Gはx=0.3000、y=0.6000で規定される色度、Bはx=0.1500、y=0.600で規定される色度であり、それぞれの各画素における輝度は元となった単波長画像データの強度データに比例して設定する。この単波長画像データから基本色画像データの作成は、連続する単波長の組み合わせが無くなるまで、すなわち、nC3回繰り返される。
【0034】
前記合成画像データ作成部14は、複数の基本色波長の異なる基本色画像データを合成して1つの合成画像データを作成するものであり、本実施形態では、3つの連続する単波長画像データに基づいて作成されたR、G、Bの基本色画像データから合成画像データを作成する。つまり、図6に示すように3つのRGBの基本色画像データから、疑似カラー画像データが合成されることになる。図6に示しているようにこの合成画像データは、前記単波長画像データに対して本来とは異なる基本色で表現しているため、本来の撮像対象の色とは異なる色調になる可能性が高い。
【0035】
ここで、合成画像データで表現される色がどのような意味合いを有するのかについて説明すると、図7(a)に示すように前記合成画像データを作成するために用いた3つの単波長撮像画像データのうち短波長で撮像された単波長画像データの強度が相対的に強い場合には、その部分が青色系の色で表現されることになる。また、図7(b)に示すように全ての単波長画像データの強度が略等しい場合には、合成画像データにおける色としては灰色系の色として表現されることになる。さらに、図7(c)に示すように長波長で撮像された単波長画像データの強度が相対的に強い場合には、合成画像データにおける色としては赤色系で表現されることになる。従って、前記モニタに前記合成画像データを表示した際の色を見ることで、画像全体におけるスペクトルの変化傾向を分析することができる。具体的には、前記モニタに表示されている合成画像を見た際に、赤色の部分があれば、スペクトルが長波長側ほど強くなる傾向があり、灰色の部分はあまりスペクトルが変化しておらず、青色系の部分は単波長側ほどスペクトルが強くなっているといったことを画像全体で識別する事が可能となる。すなわち本実施形態の合成画像の色は、近接する波長に関する強度の変化率を示すものであるから、画像全体においてスペクトルの微分が表れていると考えることもできる。いわば、この合成画像は波長微分画像として捉えられる。
【0036】
さらに、前記合成画像表示部15は、図8に示すように組み合わせの異なる波長域別画像データに基づいて作成された複数の合成画像データをモニタの同一画面上に同時に並べて表示するように構成してある。例えば、本実施形態の分光イメージングユニット200で撮像された単波長画像から作成された複数の合成画像データを中心波長ごとに並べて表示すれば、どの波長域での変化に着目するべきかをすぐに判別することができる。また、図8のように合成画像データを一画面上に並べて表示しておくことにより、画像全体の全波長におけるスペクトル変化を直観的に把握する事が可能となる。より具体的には、図8に示されるように各合成画像の色の変化やその輝度からどの波長領域における強度変化がどの程度生じているのかを定性的に知ることができる。
【0037】
このように本実施形態の分光イメージングシステム300によれば、従来難しかった撮像された画像全体におけるスペクトルの変化等の情報を直観的に人に理解させることが可能となる。
【0038】
その他の実施形態について説明する。
【0039】
前記実施形態では、前記基本色画像データ作成部は、現在一般的なsRGB表色系を用いて、単波長データの色表示を決定していたが、その他の色表示径を基本とした色決定を行ってもかまわない。例えば、少し以前のNTSC表色系、より色表示系を広げた新規RGB表色系等様々な、基準色度座標に合致した、表示系の色彩基本色を用いても構わない。
【0040】
前記実施形態では、単波長画像データを用いていたが、分解能等に応じてある波長区間ごとに分光して撮像された波長域別画像データを用いて合成画像データを作成し、そこから分析を行うようにしても構わない。また基本色画像データを作成する際に、前記実施形態では撮像された画像が連続する3つの単波長画像データを選択していたが、例えば、撮像された波長が1つとばしで異なるように選択する等してもよい。要するに撮像されたときの波長が異なっていればよく、どのように選択しても構わない。
【0041】
前記分光撮像機構のように分光により各波長の撮像を行うのではなく、透過させる波長を可変できるバンドパスフィルタ等を用いて複数の単波長画像データを作成できるようにしても構わない。
【符号の説明】
【0042】
100・・・画像表示装置
11 ・・・単波長画像データ作成部(波長域別画像データ作成部)
12 ・・・単波長画像データ記憶部(波長域別画像データ記憶部)
13 ・・・基本色画像データ記憶部
14 ・・・合成画像データ作成部
15 ・・・合成画像表示部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象から射出される所定の波長域の光に基づいて撮像された画像を構成するデータであり、撮像された波長域を示す波長データと、撮像された画像の各画素に関連付けられている撮像された波長域の光の強度である強度データと、からなる波長域別画像データを、前記撮像対象について複数の波長域ごとに記憶する波長域別画像データ記憶部と、
撮像された波長域の異なる複数の波長域別画像データを選択し、選択された各波長域別画像データから、それぞれ異なる基本色のみで表現され、各画素が各強度データにそれぞれ対応した輝度を有する基本色画像を構成する基本色画像データをそれぞれ作成する基本色画像データ作成部と、
複数の基本色の異なる基本色画像データを合成して1つの合成画像データを作成する合成画像データ作成部と、
前記合成画像データを画像として表示する合成画像表示部と、を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記撮像対象から射出される光を分光し、波長域ごとに電気信号に変換する分光撮像機構と、
前記電気信号に基づいて、前記波長域別画像データを作成し、前記波長域別画像データ記憶部に記憶させる波長域別画像データ作成部と、を更に備えた請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記基本色画像データ作成部が、撮像された波長域の異なる3つの波長域別画像データを選択し、選択された各波長域別画像データから、撮像された各波長域の長い方から順番に、赤、緑、青でのみで表現され、各画素が各強度データに対応した輝度を有する基本色画像を構成する3つの基本色画像データを作成するように構成された請求項1又は2記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記基本色画像データ作成部が、ある波長域で撮像された波長域別画像データと、その前後の波長域で撮像された2つの波長域別画像データを選択して、赤、緑、青の3つの基本色画像データを作成するように構成された請求項3記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記合成画像表示部が、組み合わせの異なる波長域別画像データに基づいて作成された複数の合成画像データを同一画面上に同時に表示するように構成された請求項1、2、3又は4記載の画像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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