説明

畦形成機

【課題】運転者がトラクタの運転席に座った状態のまま、作業部(盛土装置や畦形成装置)の上下位置状態を把握できるようにする。
【解決手段】畦形成機は、トラクタ501の後方に装着される。畦形成機は、作業部121を備える。作業部121は、畦301の傾斜面303やその裾部をなす地面302を掘削して畦301に土を盛り上げる盛土装置141と、盛り上げられた土を締固めて新畦305を形成する畦形成装置131と、を有する。盛土装置141及び畦形成装置131の少なくとも一方は、可動ケースに取り付けられて上下に変位自在である。変位量表示部171は、畦形成機101において上方に突出する第1要素及び第2要素が互いに摺動自在に係合して構成される。変位量表示部171は、作業部121を構成する盛土装置141や畦形成装置131の相対高さを示し、運転席502に着座した運転者503に視認される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旧畦を修復して新畦を形成する畦形成機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、盛土装置と畦形成装置とを備え、盛土装置を駆動して旧畦上に土を盛り上げ、畦形成装置を駆動して盛り土を上から締め固めることで、旧畦上に新畦を形成する畦形成機が知られている。その一例は、特許文献1に記載の畦塗り機である。この畦塗り機では、畦塗り体36(畦形成装置)が、機枠1に対して上下方向に位置調節自在に設けられる。また、この畦塗り機では、ゲージ輪93が上下方向に位置調節自在となっていて、このゲージ輪93の上下位置を調節することにより、地面に対する泥土供給ロータリー63(盛土装置)の高さが調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−154409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の畦塗り機は、トラクタの後端部分に連結されて用いられる。このため、盛土装置や畦形成装置は、このトラクタの運転席に座る運転者の斜め後ろ方向に位置することになる。このとき、運転者は、畦塗り機を上方から覗き込むような状態となり、畦を形成する作業部(盛土装置や畦形成装置)の上下位置状態を把握することができない。
【0005】
本発明の目的は、運転者がトラクタの運転席に座った状態のまま、作業部(盛土装置や畦形成装置)の上下位置状態を把握できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の畦形成機は、運転席を有した走行機に装着される機枠と、前記機枠に設けられ旧畦面やその裾部を掘削して前記旧畦に土を盛り上げる盛土装置と、前記機枠に設けられ前記盛土装置によって盛り上げられた土を締固めて新畦を形成する畦形成装置とを有して、前記走行機の側方に位置し前記運転席の後方に配置される作業部と、前記盛土装置及び前記畦形成装置の少なくとも一方を前記機枠に対し上下に変位させる変位機構と、前記機枠側から上方に突出する第1要素と、前記変位機構により上下に変位する装置から上方に突出する前記第2要素と、を含み、前記第1要素と前記第2要素とが互いに摺動自在に係合する変位量表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機枠に対する盛土装置や畦形成装置の相対的な高さが変位量表示部により示され、この変位量表示部が上方に突出している。したがって、運転者は、トラクタの運転席に座った状態のまま後方に振り返るだけで、作業部(盛土装置、畦形成装置)の上下位置状態を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第一の実施の形態における、トラクタに取り付けられた状態の畦形成機の平面図である。
【図2】第一の実施の形態における、一部を破断させて示す畦形成機の平面図である。
【図3】第一の実施の形態における、畦形成機の側面図である。
【図4】(a)及び(b)は、第一の実施の形態における、変位量表示部の動きを示す側面図である。
【図5】(a)及び(b)は、第一の実施の形態における、変位量表示部の動きを示す正面図である。
【図6】第二の実施の形態における、変位量表示部の側面図である。
【図7】第三の実施の形態における、畦形成機の模式的な斜視図である。
【図8】第四の実施の形態における、畦形成機の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の一形態を、図1ないし図5に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第一の実施の形態と呼ぶ。図1は、トラクタ501に取り付けられた状態の畦形成機101の平面図である。畦形成機101は、トラクタ501(走行機)の後方に連結されて用いられる。トラクタ501は、その走行方向の後方部分(図1における右側)に運転席502を有する。運転者503は、この運転席502に座ってトラクタ501の前方側に向き、ハンドルや各種レバー等を操作してトラクタ501を運転し、畦301が設けられている地面302上を、畦301の傾斜面303に沿って走行する。以下、トラクタ501の走行方向前方側を、単に「走行方向前方側」と呼ぶことがある。また、トラクタ501の走行方向後方側を、単に「走行方向後方側」と呼ぶことがある。
【0010】
畦形成機101は、機枠102と、作業部121と、を備える。装着フレーム103は、機枠102の一部をなし、畦形成機101における走行方向前方側の端部に設けられ、トラクタ501の後方に連結される。装着フレーム103は、トラクタ501の三点リンク機構504に連結されるトップブラケット104及びロアピン105,106を備える。また、装着フレーム103は、その走行方向後方側に、略鉛直方向に延びる第1回動軸107を有する。
【0011】
機枠102は、上述の装着フレーム103に加え、第1フレーム109と、第2フレーム110と、を含む。第1フレーム109は、第1回動軸107を介して装着フレーム103に取り付けられ、第1回動軸107を中心に水平面内で回動自在になっている。第2フレーム110は、略鉛直方向に延びる第2回動軸111を介して第1フレーム109に取り付けられ、第2回動軸111を中心に水平面内で回動自在となっている。ところで、装着フレーム103と第1フレーム109とは、伸縮自在の第1シリンダ112によって連結される。また、第1フレーム109と第2フレーム110とは、伸縮自在の第2シリンダ113によって連結される。さらに装着フレーム103と第2フレーム110とは、屈曲自在のリンク機構103aにより連結される。これにより、第2フレーム110は、トラクタ501の走行方向に対して直交する方向に向けられ、トラクタ501に対する作業部121の走行方向側方側へのオフセット量が調整される。
【0012】
図2は、一部を破断させて示す畦形成機101の平面図である。図3は、畦形成機101の側面図である。作業部121は、畦形成装置131、盛土装置141、畦上面削土装置151及びゲージ輪161を備える。作業部121は、トラクタ501の走行方向側方に位置し、運転席502よりも走行方向後方側に配置される。
【0013】
畦形成装置131は、支持フレーム108の進行方向後方側の端部に取り付けられる。畦形成装置131は、畦形成装置回転軸132と、ディスク部133と、円筒部134と、カバー135と、変位機構としての可動ケース136と、調整ロッド137と、ハンドル138と、を備える。可動ケース136と調整ロッド137とハンドル138との詳細については、図4(a)、図4(b)に基づいて後述する。畦形成装置回転軸132は、第2フレーム110よりも走行方向後方側に位置し、可動ケース136(後述)から延出して走行方向に直交し水平に延び、その軸回り方向に回転自在となっている。ディスク部133は、円錐台状をなし、畦形成装置回転軸132に取り付けられる。ディスク部133の表面には、複数の金属板が貼り付けられる。ディスク部133の円錐台の先端側は、畦301の傾斜面303(図1参照)に向けられる。円筒部134は、円筒状をなし、ディスク部133の円錐台先端側に着脱自在に取り付けられる。畦形成装置回転軸132が回転すると、ディスク部133は、盛土装置141(後述)や畦上面削土装置151(後述)によって畦301に盛り上げられた土を締固めて、新畦305の傾斜面306(図1参照)を形成する。また、畦形成装置回転軸132が回転すると、円筒部134は、盛土装置141(後述)や畦上面削土装置151(後述)によって畦301に盛り上げられた土を締固めて、新畦305の上面307(図1参照)を形成する。カバー135は、ディスク部133の上方に位置し、作業員がディスク部133に接触することを防ぐ。
【0014】
盛土装置141は、畦形成装置131に対し走行方向前方側に位置する。盛土装置141は、盛土装置回転軸142と、複数の掘削刃143と、カバー144と、固定ケース145(図4(a)、図4(b)に基づいて後述)と、を備える。盛土装置回転軸142は、畦形成装置回転軸132と平行に延び、固定ケース145(後述)から延出して第2フレーム110よりも進行方向前方側に位置し、その軸回り方向に回転自在となっている。掘削刃143は、盛土装置回転軸142から放射して延び、その先端が畦301の傾斜面303側に屈曲している。盛土装置回転軸142が回転すると、掘削刃143は、掘削する畦301の傾斜面303(図1参照)及びその近傍の地面302(図1参照)を掘削し、掘削した土を畦301の傾斜面303及び畦301の上面304(図1参照)に飛散させる。カバー144は、掘削刃143の上方に設置され、掘削刃143による土の飛散を防止して畦301へ誘導したり、作業員が掘削刃143に接触することを防いだりする。
【0015】
畦上面削土装置151は、畦形成装置131と盛土装置141との間に位置する。畦上面削土装置151は、畦上面削土装置回転軸152と、掘削刃取付軸153と、複数の掘削刃154と、カバー155と、クラッチ部156と、を備える。畦上面削土装置回転軸152は、畦形成装置回転軸132と平行に延び、その軸回り方向に回転自在となっている。
【0016】
掘削刃取付軸153は、畦上面削土装置回転軸152と平行に設けられ、スプロケット及びチェーン(いずれも図示せず)を介して畦上面削土装置回転軸152の回転力が伝達されるようになっている。掘削刃154は、掘削刃取付軸153から放射状に延び、その先端が屈曲している。ここで、掘削刃取付軸153の高さ位置は、畦形成装置131の下端及び盛土装置141の下端のいずれよりも高く、かつ、掘削刃取付軸153の鉛直方向下方に位置した掘削刃154の下端を畦301の上面304に接触させる高さである。畦上面削土装置回転軸152が回転すると、掘削刃取付軸153が回転し、掘削刃154が畦301の上面304を掘削する。カバー155は、掘削刃154の上方に設置され、掘削刃154による土の飛散を防止したり、作業員が掘削刃154に接触することを防いだりする。
【0017】
畦形成機101は、入力軸114を備える。入力軸114は、トラクタ501に備わるPTO軸(図示せず)に連結される。入力軸114には、トラクタ501からの駆動力が入力される。入力軸114は、ユニバーサルジョイント115、ベベルギア(図示せず)、スプロケット(図示せず)、チェーン(図示せず)等より構成される動力伝達部116を介し、畦形成装置131、盛土装置141及び畦上面削土装置151のそれぞれに連結される。そして、入力軸114に駆動力が入力されると、畦形成装置131のディスク部133及び円筒部134、盛土装置141の掘削刃143、畦上面削土装置151の掘削刃154のいずれも、図3において時計回りとなる方向に回転する。このとき、畦形成装置131のディスク部133及び円筒部134、盛土装置141の掘削刃143、畦上面削土装置151の掘削刃154は、動力伝達部116の構成によって所望の回転速度比をなすように予め設定されている。また、クラッチ部156は、畦上面削土装置回転軸152の途中に設けられ、入力軸114から畦上面削土装置151への駆動力の伝達及び切断の切り替えを行う。
【0018】
ゲージ輪161は、金属製の円錐板であり、畦形成装置131の近傍で、この畦形成装置131における畦301とは反対側に配置される。ゲージ輪161は、可動ケース136(後述)に取り付けられハンドル162を回すことにより所望の長さに伸縮できる長尺の調整ロッド163により、畦形成装置131に対して上下に変位する。調整ロッド163には、一例として、端部に雄ネジ部を形成する雄ネジロッドと、端面に雌ネジ孔が開口した雌ネジロッドとを螺合させて構成される。そして、このゲージ輪161の外周部が地面302に刺さり込むことで、地面302に対する畦形成装置131の高さが調整される。さらに、このゲージ輪161は、畦301からの成形圧を受けとめて、トラクタ501に牽引される畦形成機101の走行の直進性を維持する。
【0019】
図4(a)及び図4(b)は、変位量表示部171の動きを示す側面図である。図5(a)及び図5(b)は、変位量表示部171の動きを示す正面図である。この変位量表示部171についての説明の前提として、可動ケース136、調整ロッド137、ハンドル138及び固定ケース145について述べる。可動ケース136は、畦形成装置回転軸132と支軸139とを連結する。可動ケース136は、動力伝達部116に含まれ入力軸114からの駆動力を伝達する駆動チェーン等を内部に収納する。この支軸139は、第2フレーム110の一部をなし畦形成機101の走行方向に対して直交する方向に延びる長尺の部材である。そして、可動ケース136は、この支軸139の軸回り方向に回転自在となっている。このため、畦形成装置131は、上下に変位自在となっている。また、固定ケース145は、支軸139から下方かつ走行方向前方側に延びる長尺の部材である。固定ケース145は、動力伝達部116に含まれ入力軸114からの駆動力を伝達する駆動チェーン等を内部に収納する。固定ケース145は、この支軸139に固定され、支軸139の軸回り方向に回転しない。固定ケース145の先端部には、盛土装置回転軸142(図2参照)が取り付けられる。盛土装置回転軸142は、それ自身の軸回り方向に回転自在となっている。
【0020】
調整ロッド137は、調整ロッド163と同様のものであり、ハンドル138を回すことにより所望の長さに伸縮できるものである。調整ロッド137の一方の端部は、第2フレーム110に回転自在に連結する。また、この調整ロッド137の他方の端部は、畦形成装置回転軸132(図2参照)よりも走行方向後方側で可動ケース136に回転自在に連結する。ハンドル138は、調整ロッド137の他方の端部から走行方向後方側に突出する。
【0021】
変位量表示部171について述べる。変位量表示部171は、第1要素172と第2要素173とを含む。第1要素172は、第2フレーム110に固定され、略鉛直方向に延びる柱状の部材である。第1要素172の上方部分には、縦長の開口部174が設けられる。開口部174は、畦形成機101の走行方向とは直交する方向に貫通する。また、開口部174における畦301とは反対側(図4(a)及び図4(b)における紙面の奥側)は、正面視略コ字形状に凹んでいる。そして、第1要素172の正面側の側面で開口部174と同じ高さ位置には、目盛175が設けられる。この目盛175は、第1要素172の正面側の側面にペンキ等で直接書き込まれたり、この側面にシールを貼りつけたり、この側面を開口してそこに目盛が書き込まれた透光性を有するアクリル板を嵌め込んだりすることで形成される。
【0022】
第2要素173は、長尺の棒状部材である。第2要素173の両端部は、図5(a)及び図5(b)に示すように、折れ曲がっている。第2要素173の一方の第1端部173aは、可動ケース136の上縁部分に固定取付されたブラケット176に回転自在に保持される。第2要素173の他方の第2端部173bは、第1要素172に設けられた開口部174に、畦301側(図4(a)及び図4(b)における紙面の手前側)から入り込み、その反対側に突出して、第1要素172に摺動自在に係合する。
【0023】
図1、図4及び図5を参照する。上記のように構成される畦形成機101を用いて畦301を整えて新畦305を形成する場合、作業者は、ハンドル138を回転して支軸139を中心に可動ケース136を回転させ、畦形成装置131を所望の高さに位置づける。すなわち、盛土装置141と畦形成装置131との相対高さを調整することにより、形成する新畦305の高さや盛土装置141による盛土量を調整する。この際、作業者は、ゲージ輪161や畦上面削土装置151も所望の高さに調整することが望ましい。
【0024】
ここで、畦形成機101において、第1要素172及び第2要素173はいずれも上方に突出し、これらが係合して変位量表示部171を構成している。このため、トラクタ501の運転席502に着座している作業者(運転者503)は、走行方向後方側に振り返るだけで、この変位量表示部171を視認できる。そして、変位量表示部171には目盛175が設けられ、この目盛175と開口部174に係合する第2要素173の第2端部173bとにより、第2フレーム110に対する畦形成装置131の上下方向の相対高さが示される。このように、本実施の形態の畦形成機101によれば、運転者503がトラクタ501から降りることなく、運転席502に着座したままで作業部121(畦形成装置131、盛土装置141)の上下位置状態を把握でき、畦301を整える作業の効率化を図ることができる。
【0025】
実施の別の一形態を、図6に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第二の実施の形態と呼ぶ。この場合、第一の実施の形態と同一の部分については同一の符号を用い、説明も省略する。図6は、変位量表示部171の側面図である。本実施の形態では、第2要素173が可動ケース136に固定され、第1要素172が第2フレーム110に対し回転自在となって第1要素172に摺動自在に係合している。より詳しく述べると、第2要素173は、可動ケース136の上縁部分に固定取付され、この可動ケース136の上辺に対し直交する方向に延びる柱状の部材である。第2要素173の上方部分には、開口部174及び目盛175が設けられる。また、ブラケット176は第2フレーム110に固定取付される。そして、本実施の形態では、第1要素172が両端部を折り曲げられた長尺の棒状部材であり、その一方の端部(第1端部173a)がブラケット176に回転自在に保持され、他方の端部(第2端部173b)が開口部174に入り込む。
【0026】
本実施の形態の畦形成機101においても、第1要素172及び第2要素173はいずれも上方に突出し、これらが係合して変位量表示部171を構成している。このため、トラクタ501の運転席502に着座している作業者(運転者503)は、走行方向後方側に振り返るだけで、この変位量表示部171を視認でき、運転者503は、運転席502に着座したままで作業部121(畦形成装置131、盛土装置141)の上下位置状態を把握できる。
【0027】
実施の別の一形態を、図7に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第三の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態は第一の実施の形態に準ずるものであり、第一の実施の形態と同一の部分については同一の符号を用い、説明も省略する。図7は、畦形成機101の模式的な斜視図である。本実施の形態では、畦形成装置131、盛土装置141及び畦上面削土装置151が、側面視「く」字形状をなす平板状の連動ケース181に取り付けられる。連動ケース181は、動力伝達部116に含まれ入力軸114からの駆動力を伝達する駆動チェーン等を内部に収納する。連動ケース181は、その中央部分を第2フレーム110に、支軸139の軸回り方向に回転自在に支持される。つまり、本実施の形態では、連動ケース181が変位機構としての役割を果たし、畦形成装置131と盛土装置141と畦上面削土装置151とが連動して、支軸139の軸回り方向に動く。そして、本実施の形態では、ブラケット176は、連動ケース181の上縁部分に固定取付される。
【0028】
本実施の形態では、変位量表示部171は、互いに連動する畦形成装置131と盛土装置141との相対高さを示す。そして、運転者503は、トラクタ501の運転席502に着座したままで作業部121(畦形成装置131、盛土装置141)の上下位置状態を把握でき、畦301を整える作業の効率化を図ることができる。
【0029】
実施の別の一形態を、図8に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第四の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態は第一の実施の形態に準ずるものであり、第一の実施の形態と同一の部分については同一の符号を用い、説明も省略する。図8は、畦形成機101の模式的な斜視図である。本実施の形態では、固定ケース145は、支軸139から下方かつ走行方向後方側に延び、この先端部に畦形成装置131が取り付けられる。また、本実施の形態では、可動ケース136は、支軸139から下方かつ走行方向前方側に延び、支軸139の軸回り方向に回転自在となっている。そして、可動ケース136の先端部には、盛土装置141が取り付けられる。このため、本実施の形態では、盛土装置141が上下に変位自在となっている。調整ロッド137は、第2フレーム110と可動ケース136とを連結する。ハンドル138は、調整ロッド137から盛土装置回転軸142よりも走行方向前方側に突出する。
【0030】
本実施の形態では、変位量表示部171は、畦形成装置131に対する盛土装置141の相対高さを示す。そして、運転者503は、トラクタ501の運転席502に着座したままで作業部121(畦形成装置131、盛土装置141)の上下位置状態を把握でき、畦301を整える作業の効率化を図ることができる。
【0031】
なお、第三の実施の形態及び第四の実施の形態のいずれにおいても、第二の実施の形態のように第1要素172を第2フレーム110に対して回転自在とし、第2要素173を連動ケース181や可動ケースに対して固定することができるのは、言うまでもない。
【0032】
さらに、いずれの実施の形態においても、第2フレーム110に対して第1要素172を回転自在とし、可動ケース136や連動ケース181に対して第2要素173を回転自在としても良い。このように畦形成機101を構成しても、可動ケース136や連動ケース181の動きとともに開口部174に入り込む第2要素173の第2端部173bは上下に摺動し、運転者503に作業部121の状態を示すことになる。
【0033】
さらに、別の実施の形態として、畦形成装置131と支軸139とを可動ケースで連結し、盛土装置141と支軸139とを別の可動ケースで連結して支軸139と盛土装置141とを別個独立に回転自在とし、第一の実施の形態にあるような変位量表示部を畦形成装置131と畦形成機101とに対して設け、第四の実施の形態にあるような変位量表示部を盛土装置141と畦形成機101とに対して設けて、畦形成装置131及び盛土装置141のそれぞれの高さ位置を運転者503が認識出来るようにしてもよい。
【0034】
さらに、別の実施の形態として、これまでに述べたいずれの実施の形態の畦形成機101に備わる調整ロッド137を、電動や油圧作動で伸縮するシリンダに置き換え、運転席502から遠隔操作を行えるようにしてもよい。この場合、運転者503は、変位量表示部171を確認しながら運転席502より容易に調整ができる。
【符号の説明】
【0035】
101 畦形成機
121 作業部
131 畦形成装置
136 可動ケース(変位機構)
141 盛土装置
171 変位量表示部
172 第1要素
173 第2要素
181 連動ケース(変位機構)
301 畦(旧畦)
302 地面(裾部)
305 新畦
501 トラクタ(走行機)
502 運転席

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を有した走行機に装着される機枠と、
前記機枠に設けられ旧畦面やその裾部を掘削して前記旧畦に土を盛り上げる盛土装置と、前記機枠に設けられ前記盛土装置によって盛り上げられた土を締固めて新畦を形成する畦形成装置とを有して、前記走行機の側方に位置し前記運転席の後方に配置される作業部と、
前記盛土装置及び前記畦形成装置の少なくとも一方を前記機枠に対し上下に変位させる変位機構と、
前記機枠側から上方に突出する第1要素と、前記変位機構により上下に変位する装置から上方に突出する前記第2要素と、を含み、前記第1要素と前記第2要素とが互いに摺動自在に係合する変位量表示部と、
を備える畦形成機。
【請求項2】
前記第1要素及び前記第2要素の一方は、前記作業部に回動自在に連結され、
前記第1要素及び前記第2要素の他方は、前記作業部に固定される、
請求項1記載の畦形成機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate